説明

車両の少なくとも半自律的な駐車を行う方法及び車両の駐車支援システム

【課題】障害物が、駐車空間に存在しても、使いやすくかつ便利な駐車工程を提供する。
【解決手段】障害物18が存在する状況で、車両13を駐車空間3に駐車させる際の駐車経路を、決定する方法で、この方法は、複数の操作26、27、29、34、38、39 として行われ、自律的操縦介入で行われるその中の少なくとも1つの操作は、前記障害物を考慮して、そのプロフィールを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援システムにより、少なくとも半自律的な駐車を行う方法であって、車両が潜在的駐車空間の近傍を移動する際に、車両の周囲条件を検知し、該周囲条件と前記駐車空間を考慮して、駐車経路を決定する方法に関する。更に、本発明は、車両の駐車支援システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
車両を駐車空間に駐車させる際に、駐車空間を囲む構造体が、衝突を起こさせる重要な要素であったり、駐車工程を妨害する障害物が、駐車空間の外側に位置していたりすることもある。
【0003】
特許文献1は、車両の駐車工程を支援する方法及び装置を開示している。車両が駐車空間近傍を移動する際に、車載に設けたセンサにより、駐車空間を検出し、車両が駐車空間近傍を移動する際に、駐車空間から離れた側の車両の長手方向にある障害物からの距離を測定する。少なくともこの駐車空間から離れた側の車両の長手方向にある障害物からの距離を考慮して、駐車工程間に、車両が追従すべき駐車経路を決定する。駐車工程は、1回の操作で行うべきである。駐車空間から離れた側の長手方向にある障害物と車両との間に起こり得る衝突は、シグナルが運転者に対して発せられ、衝突する前に、運転者が駐車工程が中止することにより防止される。
【0004】
公知の方法では、駐車空間の外側に位置する障害物との衝突を回避するように、未決定の駐車経路を予備設定する。前記衝突が起こり得る状況が単一の駐車操作で引き起こされる場合は、そのまま駐車工程を中止しなければならない。この中止は、運転者が既に駐車空間中に車両を駐車させる準備を行っているため、実行しやすいものではなく、かつ不便である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許公報第1755921号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、車両の少なくとも半自律的な駐車工程を実行する方法、及び駐車支援システムを利用できるようにすることであり、障害物が、駐車空間と境界を有せず、かつ該駐車空間の外側の近傍雰囲気に存在するにもかかわらず、これらの条件下で、前記駐車工程を使いやすく、かつ便利にすることを可能にするものである。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法、及び請求項15の特徴を有する駐車支援システムにより達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方法では、車両を駐車空間内へ少なくとも半自律的に、駐車支援システムを使用して駐車させる。本方法では、実際の駐車工程を行う前に、車両が潜在的駐車空間を走行している際に、車両の周囲条件を検出し、好ましい場合には、好適な駐車空間を検出する。駐車空間が好適であると検出されると、駐車空間の外側にあり、該駐車空間と直接境界を形成していない少なくとも1個の障害物を含む周囲条件、及び駐車空間自体の特徴的な変数を考慮して、駐車経路を決定する。駐車工程を、複数操作で行い、自律的操縦介入で実行される少なくとも1回の操作を、駐車空間の外側にあり、該駐車空間と直接境界を形成していない少なくとも1個の障害物を考慮して、そのプロフィールに関して決定する。特にこれに関して、駐車空間の外側にあり、該駐車空間と直接境界を形成していないこれらの周囲条件なしに決定できる駐車経路の場合の周囲条件とは異なった駐車経路が形成されるように、駐車空間の外側の車両にあり、駐車工程に悪影響を及ぼす周囲条件を考慮しなければならない。
【0009】
半自律的駐車工程では、運転者には、スロットルとブレーキを作動させる役割が割り当てられる。操縦及び車両の可動車輪のロックは、運転者とは独立して自動的に行われるか、あるいは操縦は運転者により行われ、かつ電子的駐車支援システムは、聴覚的に、及び/又は視覚的に、及び/又は触覚的に認識できる信号を運転者に伝え、運転者が行う操縦操作は、前記システムが決定する駐車経路に基づいて行わなければならない。
【0010】
複数操作で行われるべき駐車工程の結果として、駐車経路も複数操作から成っている。自律的操縦介入で行われる少なくとも1回の操作のプロフィールは、特に前記操作の長さと幾何的形状に特徴を有し、例えばこれは弓状経路が特徴的であり、かつ湾曲の方向と湾曲自体で特徴付けられる。
【0011】
この方法によると、便利で実施しやすい駐車工程が、駐車空間の外側の異なった周囲条件に基づいて、可能になる。従って、前記駐車経路は、車両が衝突せずに、確実に駐車空間に駐車し、あるいは退去できるように、周囲条件を考慮して、駐車工程の開始時に既に決定されている。駐車工程が開始する際の、そして衝突の危険に起因する再停車しなければならない制限は、公知技術のようには賦課されない。本発明では、これの回避が可能になり、より使いやすく便利な駐車作業が保証される。特に、駐車作業の開始前に、車両の近傍で、かつ駐車空間の外側に配置され、かつ駐車空間と境界を形成しない障害物と衝突しない複数の操作で駐車することを可能にするように、駐車経路が決定される。特に、前記周囲条件は、駐車空間の外側の障害物と駐車空間を直接限定しない境界を含み、これらの障害物は、比較的車両の近傍に位置し、駐車空間の外側にこれらの障害物が存在しない場合に要求されるものとは異なった駐車経路の設計が要求される。
【0012】
更に車両は、駐車空間の外側で前記周囲条件に含まれない障害物を容易に回避する。このような障害物は、例えば、壁や他の車両や境界の柱などである。例えば敷石のような、地表に近く車両が容易に乗り越えられる背の低い障害物は、前記障害物に含まれない。このような障害物の場合、これらを駐車支援システム、特に駐車支援システムの1又は2以上のセンサで検出できる。このような障害物の特定の構成に応じて、障害物が駐車工程に悪影響を及ぼすか否かを決定して、好適な場合にはそれを乗り越えるようにする。特に敷石の場合、検出できる高さ、及び/又は輪郭に応じて、駐車工程の間の困難なく乗り越えられるか、あるいは敷石に対する衝突や乗り越えを避けるべきか否かを検出することが可能になる。特に、敷石が比較的高く、かつ上面と側壁間の境が鋭いエッジの場合がこれに当たる。前記境が丸いか比較的平滑な場合は、車両の損傷を与えずに、乗り越えることが可能である。
【0013】
特に、このような乗り越えるべきでない障害物の場合、例えば光学カメラのような、人間に見えるスペクトル範囲で感知できる検出ユニットで画像記録を行うことが可能であり、これは運転者に示される。適切な場合には、駐車支援システムで提供される情報に基づいて、この障害物を乗り越えるか否かの判断を、運転者に示すことが可能である。運転者の判断に基づいて、前記システムは、衝突が起こらない特定の駐車経路を決定する。
【0014】
駐車工程又は駐車経路の少なくとも2回の操作は、自律的操縦介入で行うことが好ましく、少なくとも1回の操作は、駐車空間の外側の特定の障害物を考慮して、そのプロフィールに関して決定する。この構成により、対象となる駐車空間に関する幅広い状況と周囲条件が許容できるように、駐車経路の決定は多様になる。従って、駐車経路は、その決定を更に変えてより柔軟に実行して、衝突のない駐車に改良できる。特に、駐車経路の可能性を増加させると、実際に駐車できない周囲条件を有する駐車空間の数を確実に減少させることとなる。
【0015】
好ましくは、自律的操縦介入で実行される駐車経路の操作は、駐車空間の特定の障害物を考慮して、そのプロフィールに関して決定され、自律的操縦介入で実行される他の操作は、それ以外の操作を考慮して実行される。これにより、駐車経路の構成の多様性及び柔軟性も増加させ、かつ前記駐車工程を実行するために重要な駐車空間の外側の周囲条件で、異なった駐車空間に駐車する可能性が増大する。駐車空間の外側に配置され、かつ駐車空間と境界を形成しない特定の障害物を、前記プロフィールの決定に際して考慮し、更に少なくともそれ以外の障害物又は当該障害物のみを考慮して、自律的操縦介入で実行される他の操作を決定する。
【0016】
駐車空間への逆方向駐車は、駐車工程として好ましいことである。特に横断方向の駐車空間内に駐車する際に好ましい。横断方向の駐車空間とは、車道と横方向の境界で接触し、かつその長手方向軸が、車道の長手方向軸に対して、0°より大きく、180°より小さい角度方向を有する車両用駐車空間のことである。駐車空間は、その長手方向軸が、車道の長手方向軸に対して、30°から150°の角度で広がっていると理解することが好ましい。特に駐車空間の長手方向軸は、車道の長手方向に対して、直交している。
【0017】
特に、駐車空間の外側に配置され、かつ駐車空間と直接境界を形成しない障害物で妨害されない駐車工程を妨害する周囲条件は、例えば、車両が、駐車工程を実行する前に、駐車空間と境界を接する車道が、第1の障害物により進行方向が抑制され、かつ駐車空間から離れた側の車両の長手方向に隣接している第2の障害物が存在することである。従って、特定の周囲条件は、車両から見て順方向に、及び/又は駐車空間から離れた車両の長手方向側に、これらが存在しない場合の駐車工程と比較して、制限的効果を有する1又は2以上の障害物を駐車空間に位置させることである。
【0018】
例えば、第1の障害物は、地下駐車場又は他の駐車場の壁である。更にこの障害物は、大面積及び多くの駐車空間や他の車両を有する駐車場の境界用柱である。基本的にこの第1の障害物は、駐車する車両が乗り越えられないか、あるいは乗り越えるべきでないものと考えるべきである。例示であり限定的ではないが、同じことは、特定の条件で対応する手法で具現される第2の障害物に関しても適用される。
【0019】
本発明の方法は、複数操作の駐車工程、特に逆方向駐車工程で適用することができる。
【0020】
第1の障害物に面する駐車空間の横方向の境界から、第1の障害物までの第1の距離が、駐車する車両の長さの1.5倍に等しいか、それよりも短かく、特に車両の長さより短くなるように、駐車空間の外側に車両を配置し、これらの重要な条件を評価するシステムにより、制限される周囲条件を評価する。
【0021】
更に、これに関する他の改良では、第2の障害物に面しかつ車道から駐車空間を分離する境界からの第2の障害物の第2の距離は、駐車する車両の長さの1.5倍未満、特に車両の長さ未満である。駐車する車両に比較的近く位置する障害物は、それが存在しない場合と比較して、駐車工程の実行の間に、自由な空間を実質的に限定する。本発明は、このような状況の自由な駐車空間にも駐車できる利点がある。車両の可動車輪の通常サイズ及び可能なロック角度を使用して、特に特定の領域の境界を有する環境で、衝突のない駐車工程用に前記駐車経路を適用できることが非常に重要である。これに関連して、一方では複数操作駐車工程により、他方では自律的操縦介入が実行される間に、少なくとも1回の操作を適用することにより、衝突のない駐車工程、及び/又は駐車空間を残すプロセスが可能になり、駐車空間の外側に配置され、かつ駐車空間と境界を形成しない前述の障害物を考慮して前記操作を決定する。
【0022】
本発明の方法では、駐車工程の開始前に、駐車空間の長手方向に対して、40°より大きく、130°より小さい角度で、長手方向に、車両が位置し、駐車工程が3回の操作で実行されることが好ましい。
【0023】
このような初期状況で、第2の、特に好ましくは少なくとも第2の操作及び第3の操作は、自律的操縦介入で実行され、第2の操作の実行の間、車両の可動車輪は、第1の方向にロックされ、第3の操作の間、前記可動車輪は、前記第1方向とは逆の第2の方向にロックされる。従って、周囲条件に応じて、第2及び/又は第3の操作は、前記周囲条件を考慮して、それらの長さ及びそれらの幾何的経路について決定される。
【0024】
この3回操作駐車経路の第1の操作も、自律的操縦介入で行うことが好ましい。この第1の操作も、直線的に行える。この直線的進行の場合、アクティブステアリングシステムで行うことが可能である。このタイプの特定状況の下では、第1の操作を自律的操縦介入では行わず、その代わりに運転者が独自に行っても良い。実際に、自律的操縦介入は必要ではなく、このタイプの直線的進行の場合には行わない。
【0025】
前記第1の操作も、逆方向で、かつ少なくとも部分的に非直線的に行うことが好ましく、特に自律的操縦介入による動きを実行する。このような改良の場合、3種類の駐車経路での運行は、完全に1回の自律的操縦介入で実行する。
【0026】
第1の操作に続いて、他の操作、特に第2の操作及び/又は第3の操作を、第1の操作を考慮して、特にその長さ及び幾何的経路を考慮して決定することが可能である。これに関連して、最も適した駐車経路が、非常に正確に、かつ状況特異的に決定できるように、前記駐車経路の個々の操作を決定するための異なった条件を含めることが可能である。従って、非常に制限された空間条件下でも、その長さ及び幅に関して適切な原理を適用して、駐車経路への駐車工程を行うことが可能である。
【0027】
駐車工程の開始前に、駐車空間の長手方向に対して、40°より大きく、130°より小さい角度で、長手方向に、車両が位置し、駐車工程は3回の駐車工程で実行されることも好ましい。駐車工程の開始前に、特に、車両の参照領域における、駐車工程の間の可能な最大ベールアウト(veering-out)距離(望ましい距離)を決定する。ここで駐車工程は、自律的操縦介入による進行に関連する。車両のより以上の動きは、運転者独自の操縦介入の事前にも事後にも行うことができ、これにより、例えば車両を駐車工程の開始位置に移動させるか、あるいは自律的操縦介入で実行される3回の操作の後に、最終的な駐車位置に移動させることができる。ベールアウト距離が決定され、特にそれを考慮して、駐車工程用の適切な開始位置が決定した後に、運転者がこの位置に移動できるように、運転者にはこれが通知される。従って例えば、駐車空間及びベールアウト距離等に関するデータを取得して得た位置に基づく車両は、駐車工程を開始するために最も適したものではないことが必要である。システムはこれに関する信号を発信し、開始位置を提示し、運転者を車両とともに、その位置に案内する。例えば、障害物からの距離が測定された場合の位置と比較して、開始位置は、進行方向から見て、順方向に、例えば数メートル順方向にある。
【0028】
このタイプの第1の操作の状況特異的な改良では、言うなれば、車両の開始位置は遅れ、第1の逆方向操作は、必要なだけ平滑になるよう設計する。これに追加して、あるいはその代わりに、駐車工程を実行する際の決定された最大許容ベールアウト距離に依存して、その長さに関して第2の操作を最小にして、車両が必要とする横方向の空間を最小にする。駐車工程の第1の操作の長さ、及び/又は駐車工程の第2の操作の長さは、ベールアウト距離を考慮して決定することが可能である。幾何的なプロフィールに加えて、これらの操作の更に他のパラメータとして、特定のパラメータ、特に前述の通り決定されたベールアウト距離を考慮して、前記長さが決定される。
【0029】
可能な限り平滑である第1の操作に関して、これを、駐車空間の外側にあり、かつ特徴的な周囲条件である第1及び/又は第2の障害物が存在しない場合の第1の操作と比較して考える。この第1及び/又は第2の障害物が存在しない場合の自由な動きと比較すると、第1の操作は、このような障害物があると考えると、比較的大きな半径つまり比較的小さい湾曲を有する。更に、第2の操作は短く、かつ車両により近く駐車空間の外側に存在するこれらの第1及び/又は第2の障害物がない場合の第2の操作より順方向に短いことが好ましい。
【0030】
最大ベールアウト距離は、駐車する車両の対向する長手方向側面に位置する障害物の2個の参照領域間の距離を考慮して形成されることが好ましい。ベールアウト距離は、この距離より小さくなるように決定される。ここで、小さいとは、ベールアウト距離が前記距離より小さい最小値で、これが駐車の間の自由空間を最大限に利用することを可能にし、それにもかかわらず、それらの障害物との衝突は回避できることを意味する。前記ベールアウト距離は、10cmと0cm超の間の間隔で、2個の障害物間の距離より小さいことが好ましい。従ってベールアウト距離は、駐車工程前に、車両が駐車工程間に、衝突なしに移動できる、特に、車両の側面に位置する自由空間を示す。
【0031】
前記ベールアウト距離は、絶対ベールアウト距離であることが好ましく、これは、駐車空間に隣接する障害物と、駐車空間から離れている長手方向側面に形成される駐車空間の外側の障害物間の距離が基本として使用され、かつ前記ベールアウト距離は前記距離より小さいことを意味する。2個の障害物が対向して配置されていると、これらの間の直接的距離が決定され、絶対ベールアウト距離は、前記距離より小さくなるように決定される。これに関しては、前記絶対ベールアウト距離が小さくなるという前述の記載を参照されたい。
【0032】
前記ベールアウト距離は、相対ベールアウト距離とすることもできる。この相対ベールアウト距離は、駐車工程の開始時の車両の実際の開始位置から始まって、車両の、特に車両の特定領域と、障害物、特に駐車空間から離れた車両側面に位置する駐車空間の外側に存在する障害物間の距離より小さい。
【0033】
第2の参照領域の最大ベールオフ距離を、特に駐車空間に対する、及び/又は第2の障害物に対する、車両の第1の参照領域の位置、及び駐車空間の第2の境界に対して、駐車空間から離れた車両の第2の参照領域の距離を考慮して決定することが可能である。駐車工程を実行する前に、車両のこの第2の参照領域が、どの程度最大限まで方向を変えて、駐車工程の実行の際に、車両に近くかつ駐車空間の外側にある障害物との衝突を回避するかを決定する。
【0034】
車両の第1の参照領域は、車両上の複数の点により決定できる。該参照領域の正確な位置は、幾何的データ等の既知の車両データ、及び車両に配置した1又は2以上のセンサの既知の位置に基づいて決定できる。個々の車両部品のそれらの位置が既知である連携システムが、車両に割り振られることが好ましい。その結果、2又はそれ以上の部品間の距離が決定され、その結果、これらの外部障害物等に対する参照領域の位置は、車両のセンサで測定される、障害物等からの距離を考慮して決定できる。
【0035】
第2の参照領域は、特に位置依存的に決定される。これに関して、駐車空間の外側の障害物に対する車両の位置を考慮することが好ましい。車両の前記第2の参照領域は、駐車工程前の車両の所定位置に対して及び実行される特定の駐車工程に基づいて、駐車空間の外側の障害物に対して起こり得る衝突に対して危険な位置である。従って、例えば車両を、該車両の側面に位置する横方向の駐車空間に逆方向駐車させる場合、車両の左前部又は右前部のコーナーが、この第2の参照領域となる。
【0036】
この態様では、駐車工程の第1の操作における、駐車空間から離れた車両の長手方向側面で、弓状の経路が形成され、該弓状経路の湾曲は、既に決定された最大ベールアウト距離を考慮して決定される。ここでも、駐車空間の外側の周囲条件に関する特異的な許容があり、特定の操作、つまり第1の操作が、特定の特徴的な変数、つまりベールアウト距離を考慮して決定される。
【0037】
これにより、所定の状況に特別に適用できる第1の操作の幾何的形状及び長さを提供することが可能になる。
【0038】
このように状況特異的な第1の操作の改良に関し、車両の開始位置を、言うなれば遅らせて、第1の逆方向操作を、必要なだけ平滑にするよう設計する。これに追加して、あるいはその代わりに、駐車工程を実行する際の決定された最大許容ベールアウト距離に依存して、その長さに関して第2の操作を最小にして、車両が必要とする横方向の空間を最小にできる。駐車工程の第1の操作の長さ、及び/又は駐車工程の第2の操作の長さは、ベールアウト距離を考慮して決定することが可能である。幾何的なプロフィールに加えて、これらの操作の更に他のパラメータとして、特定のパラメータ、特に前述の通り決定されたベールアウト距離を考慮して、前記長さを決定する。
【0039】
可能な限り平滑な第1の操作に関して、これを、駐車空間の外側にありかつ特徴的な周囲条件である、駐車空間の外側にある第1及び/又は第2の障害物が存在しない場合の第1の操作と比較して考える。この第1及び/又は第2の障害物が存在しない場合の自由な動きと比較すると、第1の操作は、このような障害物があると考えると、比較的大きな半径つまり比較的小さい湾曲を有する。更に、第2の操作は短く、かつ車両により近く駐車空間の外側に存在するこれらの第1及び/又は第2の障害物がない場合の第2の操作より順方向に短いことが好ましい。
【0040】
複数操作運行を、逆方向駐車の間に、逆方向の第1操作、順方向の第2操作、再度逆方向の第3操作が車両に対し行われるようにする。
【0041】
特に、周囲条件、及び特にその奥行き及び幅である駐車空間の特徴的変数、更に駐車工程の前及び工程中の駐車空間に対する車両の位置を、駐車支援システムの好適なセンサで検出する。これに関連して、車両の前方、車両の後方及び車両の後方の環境を検出するように設計された超音波センサを使用する。前記車両は、これに関連して、車両から障害物までの距離を検出できる距離センサを有していても良い。更に、前記車両は、駐車経路上を進行した距離を決定できる運行センサを備えることができる。更に、前記車両は、1又は2以上の操縦角度センサ、及び/又は1又は2以上のヨーレートセンサを有することができる。これらのセンサは、駐車空間に関する情報、駐車工程前及び工程間の駐車空間に対する車両の位置に関する情報、及び駐車空間に隣接する障害物、及び駐車空間の外側の障害物に対する車両の位置に関する情報を得、かつ決定する。
【0042】
適切であるならば、複数の操作で行う特定の駐車経路を、駐車工程の実行中に修正できる。この前述の通り決定した駐車経路の少なくとも1回の妥当なチェックは、駐車経路を進行している際に行う。実際の条件が、前もって設定した許容範囲を超えて、設定条件から外れる場合は、駐車工程の間に好ましくは依然として継続している、駐車空間等に対する車両位置の関する条件に基づいて、駐車経路の修正を行うことができる。
【0043】
更に、本発明は、車両の少なくとも部分的な自律的駐車工程を実行するための駐車支援システムに関する。前記駐車支援システムは、特に駐車工程の実行前に、車両が、潜在的な駐車空間の前を進行する際に、前記車両の周囲条件を検出する検出装置を備え、かつ駐車経路が、周囲条件に影響され、駐車空間の外側にあり、前記駐車空間と直接隣接せず、かつ車両の近傍に存在すると検出される障害物、及び駐車支援システムの制御及び評価ユニットによる駐車空間を考慮して決定される。前記駐車工程が、複数の操作で形成され、そのうちの少なくとも1回が、車両の操縦装置に対して駐車支援システムにより行われる自律的操縦介入で実行され、周囲条件を考慮してそのプロフィールを決定する。このプロフィールは、前記操作の長さ及び幾何的形状を備える。
【0044】
駐車支援システムの検出装置は、特に、それらにより、車両の周囲条件、周囲の障害物に対する車両の位置、駐車空間及びその境界に対する車両の位置、及び駐車空間の幾何的データが得られる複数のセンサを備える。この情報は、長さ、幅及びホイールベース等の既知の及び記録した車両データに関して生じる。
【0045】
本発明の好ましい態様は、本発明の駐車支援システム、及び駐車支援装置の好ましい態様と考えることができる。特に、前記駐車支援システムは、駐車工程を実行するための駐車補助システムである。
【0046】
本発明の他の特徴は、特許請求の範囲、図面及び図面の説明から明らかになるであろう。前記説明で特定した特徴及び特徴の組み合わせ、及び後述する図面の説明及び図面に単独で示された特徴及び特徴の組み合わせは、特定の組み合わせだけでなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせで、あるいは単独で使用できる。特に、説明した態様の特徴及び特徴の組み合わせを、互いに組み合わせることができ、その結果、本開示に含まれる新しい態様が生じる。
【0047】
本発明の実施態様を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】駐車完了前の第1の駐車状況を示す概略平面図である。
【図2】駐車工程の概略平面図と共に、図1による駐車状況の平面図である。
【図3】駐車工程の実行前の第2の駐車状況の概略平面図である。
【図4】概略駐車工程と共に、図3による駐車状況の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
各図において、同一の、及び機能的に同一の要素には、同一の符号を付してある。
【0050】
図1は、第1の通行状況Iを示す概略平面図である。例えば、これは、車両にとって多くの駐車可能性のある、多層階駐車場又は地下駐車場又は屋外の大規模駐車場である。しかし、これらは、通行状況Iに関する例示である。
【0051】
車道1は、横方向の複数の駐車空間2、3及び4に直接隣接している。前記車道1は、矢印P1方向に通行でき、この車道1の長さ方向軸は、x方向に水平に延びている。前記駐車空間2〜4は、このように横方向駐車空間として配置され、この場合、それらの長手方向又は長手方向軸はy方向を向き、従って前記車道1の長手方向軸に対して直角に位置している。
【0052】
第1車両5は駐車空間2に駐車し、第2車両は駐車空間4に駐車している。駐車空間3は空いていて、駐車することが可能である。前記駐車空間3は、奥行き7及び幅8を有している。この奥行き7の寸法は、例えば壁である後側境界9から、仮想の前側境界10までである。前記駐車空間3は、前記境界10により車道1から分離されている。前記境界10は、車両5及び/又は6の前部に仮想形成されている。幅8は、概略的に示した境界11及び12の間の距離である。前記幅は、互いに対向する車両5及び6の長手方向側面間の距離で、地面上の境界マーカ間の距離としても良い。
【0053】
二軸二トラック車両13は、横方向の駐車空間3に駐車しようとしている。この態様では、後向き駐車を3回の操作で行うことを条件とし、3回の全ての操作において、車両13のステアリング装置14に、自律的操縦介入を行う。この目的のため、前記車両13は、制御及び評価ユニット16及びメモリユニット17を有する電子駐車支援装置つまり電子駐車支援システム15を備える。更に、前記車両13は、例えば、距離センサ、運行センサ、ステアリング角度センサ、ヨーレートセンサなどの複数のセンサを備えている。前記駐車空間3に対する車両13の位置、前記駐車空間3の境界9,10、11及び12に対する車両13の位置、及び車両の他の環境条件に対する車両13の位置を、これらのセンサのうちの少なくとも幾つかで検出される情報、及び例えば、長さ、幅、ホイールベース、センサの位置、車両連携システム中の車両の要素等の記憶装置17に記憶された車両データにより決定できる。特に他の周囲条件である障害物が駐車空間の外側に存在し直接境界を形成していない場合である。例えば図1のこのような障害物18は、車道1の順方向に対して境界となり、かつ車両13の進行方向に対して縦に延びる他の壁である。前記障害物18は、それを越えて車両13が駆動できない高さを有する。更に前記障害物18は、例えば地下駐車場の壁のような、補強体としての連続的な高い壁である他に、1又は2以上の柱などであっても良い。従って、前記障害物18は、それを越えて車両が進行できず、あるいは車両13に損傷を与えずに車両が進行できない全ての態様を含む。
【0054】
単なる例示であるが、図1に超音波センサ19が示してある。この超音波センサ19は、車両の前部右側面に位置し、車両13の周囲の側面の検出ができる。更にこれも単なる例示であるが、検出部分20、21、22及び23が図示され、それぞれの検出部分に対応する車両の前部24に他の超音波センサが割り当てられ、車両前方の状況を検出するように設計されている。勿論、前記検出部分20から23はオーバーラップし、前記例示的な図示を、これらの間に検出しないあるいは検出できない部分があると理解すべきではない。
【0055】
前記車両13は、該車両の対向する2つの側面の状況を検出する対応するセンサを備える他に、その後部に対応する改良品を備えていても良い。
【0056】
前記車両13は車長L1を有し、図1の態様では、駐車工程の開始前に、その長手方向軸Aが、車道1の長手方向軸に実質的に平行になるように位置している。
【0057】
前記障害物18に面する駐車空間3の境界12は、図示の態様では、障害物からの距離L2に位置している。この距離L2が車長L1より短いことは明らかである。前記車両13を前記駐車空間3に駐車させる際には、前記障害物18を考慮しなければならない。従って前記駐車空間3に駐車する際の駐車経路は、前記駐車工程を制限しかつ駐車空間外に存在する障害物18がない場合に決定される経路と比較して、異なった駐車支援システムにより決定されなければならない。
【0058】
前記駐車空間3への駐車工程は、駐車経路が複数の操作で行える結果を得るために、複数の操作で行う駐車支援システム15により予備設定される。特にこの目的のために、3回操作による駐車工程が予備設定される。図示の態様では、3回の全ての操作が、ステアリング装置14への自律的なステアリング介入により行われ、この目的のために、車両13の操縦可能な前輪を、制御回路16及び対応するアクチュエータにより、自律的に作動させる。
【0059】
3回の操作のうちの少なくとも1回の駐車経路は、これらの周囲条件、特に障害物18を考慮して決定する。図1の交通状況Iでは、車両13前方3で利用できる空間は大きく限定され、前記駐車空間3への駐車経路決定に際しては、考慮する必要がある。
【0060】
前記車両13が前記駐車空間3の前を移動した際に得られた、前記駐車空間3に関する情報も、駐車経路決定の際に考慮する。更に、駐車工程が行われる前の駐車空間3に対する車両13の位置も、駐車経路決定の際に考慮する。更に、境界10、11及び12に対する車両13の位置を、駐車経路決定の際に考慮し、かつ障害物18に対する、及び他の車両5及び6に対する前記車両13の位置も考慮する。図1の態様では、第1の障害物18のみが駐車空間の外側にあり、該駐車空間3に直接隣接するものではないが、前記第1障害物18は実行される駐車工程に関して前記車両13の近傍に位置し、駐車経路決定に関しては、この障害物18を考慮しなければならない。車両の近傍とは、障害物が、駐車空間に駐車する車両13の長さの1.5倍の距離未満、特に同じ距離未満だけ離れていることを意味する。
【0061】
従って、前記駐車支援システム15は、前記情報の少なくとも幾つかを考慮して、衝突を起こさずかつ駐車工程を中止することのないように実行される駐車空間3への駐車を可能にする3回操作による駐車経路を決定する。この3回操作による駐車工程は、第1操作は逆方向に、続く第2操作は順方向に、次に続く第3操作は逆方向に行うように実行される。
【0062】
図1は、車両13が停止位置に達し、このスタート位置から駐車工程を直接開始する状況を示している。この駐車工程は、図2の概略平面図に詳細に図示され、それに従って以下に説明する。
【0063】
図1に示す開始位置から始めて、車両13は後方に動いて位置25に達する。図1に示す開始位置から始めて、矢印に示す第1の操作26を行う。従って、第1の操作26は、アクティブステアリングで、僅かに弓形になった経路で後方に向かって行われ、この第1の操作26の行程は、図1に示す開始位置の車両13に対する障害物18の位置を考慮して決定される。
図示の例では、この第1の操作26は、比較的短くされ、車両13の後方部は依然として、x方向から見て他の車両5の長手方向位置の前方に位置している。この僅かに傾いた位置に到達した後、第2の操作27を順方向に行い、車両13は、図2の位置28に達する。第1の操作26で、車輪が右側にロックされた状態から始めて、可動車輪を、通常の、つまり真直ぐな位置と比較して、左側に自動ロックさせ、第2の操作27を行って、その第2の操作27の最後で、前記位置28に達する。次にこの位置28から始めて、第3の操作29を逆方向に行って、前記可動車輪が通常位置と比較して右にロックされ、車両は第3の操作での最後の位置30に達する。この最後の位置30で、前記車両13の長手方向軸Aは、前記駐車空間3の長手方向と平行又は実質的に平行に位置する。次いで前記車両13は更に逆方向に駐車空間3に進入して最終位置に達する。この複数の操作で行う特定の駐車経路の結果として、駐車工程の状況に特異的な条件に起因して、順方向に必要な最小限の空間しかなく、かつ前記第1の障害物18が許容する条件下で、衝突せずに完全な駐車が実行される。
【0064】
この時点で、駐車空間4が空いていれば、図1の車両13位置から始めて、前記駐車空間4に駐車する駐車経路を決定する対応する手段が可能であることを強調できる。
【0065】
図3は、他の交通状況IIの概略平面図である。この代替状況では、図1の例と対照的に、車両の前方に障害物18は存在しないが、その替りに、駐車空間3から離れる方向の、車両13の長手方向側面に位置する障害物18’及び18’’が存在する。図示の例では、駐車すべき駐車空間3の外側にあってこの駐車空間3に直接接していない前記障害物18’及び18’’は、駐車している車両である。しかし、他の態様では、壁や柱の形態とすることも可能である。前記障害物18’及び18’’は、前記車両13の近傍に配置され位置している。この場合、これらの障害物18’及び18’’は、車両13の左側前側部分の他の距離センサで検出でき、これに関して、このセンサの検出領域32のみを象徴的に図示している。更に右前部の検出領域19aの検出センサ19も図示され、これにより他の駐車した車両6からの前記車両13までの距離を検出できる。ここでも、障害物18’及び18’’は、前記車両の近接領域の前記車両13の側面に位置し、該車両13からの距離を考慮して駐車経路を決定する。ここでも、距離L3は、車両13の長さL1より短い。図3の交通状況IIで、駐車空間3に駐車するために決定されるべき、駐車経路は、これらの障害物18’及び18’’が存在しない場合の駐車支援システム15で決定される経路と異なる。このことは、前記障害物18’及び18’’は、これらの障害物18’及び18’’が存在しない場合の駐車手法を変えなければならないほど、前記車両13に近づいていることを意味している。
【0066】
ここでも、図1及び2で説明した態様に関して既述した、情報を考慮して、前記駐車支援システム15は、状況特有の駐車経路を決定する。ここでも、駐車工程は、3回の操作による駐車工程で行われると期待され、車両13の駐車空間3への逆方向駐車が行われる。
【0067】
距離L4は、障害物18’、及び/又は18’’と車両6間、特にそれらの間の最短距離である。
【0068】
ここで予備設定される交通状況IIでは、可能な最大絶対のベールアウト距離は、前記駐車工程の実行の間に決定される。この距離は、図3の駐車工程の開始前に、特に、前記車両13の位置に関する情報を考慮して決定される。
【0069】
図示の例では、前記距離は、車両13の前部に横方向に配置されたセンサの距離情報を考慮して行う、車両6と障害物18’間として決定される。車両13の、特に検出領域32のセンサの前記障害物18’に対する距離L5,及び車両13、特にセンサ19と、前記車両6間の距離L6はここで決定される。車両13の幅、特に該車両13の対向する長手方向側面に配置された2個の前部センサ間の距離は既知であるため、前記車両6と前記障害物18’間の距離L4は決定できる。前記最大絶対のベールアウト距離は、幾分小さく、10cmと0cm超の間の間隔で、前記距離L4に依存する。
【0070】
この許容できる最大絶対のベールアウト距離に依存して、車両13の開始位置は、駐車工程の実行、特に第1操作の実行の際に遅らせ、第1の逆方向操作つまり第1の操作を必要なだけ平滑に設計し、及び/又は第2の操作をその長さが最小になるように設計し、これにより、図3に示した状況から開始して、車両13は、横方向空間、つまり障害物18’及び/又は18’’に対する空間を小さくしなければならない。この遅れの意味は、前記車両13が、図3の位置から開始して、順方向の距離を移動して、駐車工程に関して良好な開始位置に達しなければならないことである。この開始位置35を、図4に示す。図3の位置から開始位置35への移行は、運転者自身が行い、自律な操縦介入は行わず、この動きも、その間に、3回の操作の自律的な操縦介入が行われる実際の駐車工程には含まれない。
【0071】
図4は、駐車工程を示し、ここでは、図3の例示に基づいて、前記車両13は、図示の例では、ある距離を順方向に向かって直線状に移動することで、前記駐車工程を開始する開始位置35に到達する。これは、図4に例示され、前記車両13は、車長の約半分を移動し、開始位置35に達する。図3の位置から前記開始位置への動きは、好ましくは、駐車支援システム15によって、運転者に伝えられ、あるいは運転者は、どのようにして開始位置35に達するかの指示を受け取る。この目的のため、これは、聴覚的に及び/又は視覚的に示すことが可能であり、そして好ましければ、運転者はどのくらい彼が移動しなければならないかの指示を受ける。前述の通り、次いで自律的操縦介入する第1の操作34が、この開始位置35から開始され、この第1の操作34の湾曲は比較的小さく、従って半径は比較的大きい。その結果、非常に平滑で弓状に湾曲した経路が形成され、前記障害物18’及び/又は18’’の方向の、それぞれの交通状況又は駐車状況に依存して、第1の操作34の最終位置37の特定の参照領域33は、開始位置35と比較して、距離36だけ、僅かに近づいている。図示の例では、参照領域33は、車両13の左前部である。
【0072】
この第1の操作34の最終位置37から開始して、順方向移動が第2の操作38として行われ、これは、第1の操作34及び第3の操作39と比較して非常に短い。図示の例では、可動前輪は、第1の操作34の真直ぐな通常位置から開始して、右側にロックされ、第2の操作38で、車輪は、通常位置を越えて左側にロックされる。車両13も、第2の操作38で弓状経路に沿って移動し、第2の操作38の最後に、最終位置40に達する。到達したこの最終位置から開始して、逆方向の第3の操作39を行い、可動車輪は、ここでは自動的に、第2の操作38でロックされた左側方向から開始して、通常位置を通って、再度右側方向にロックされ、車両13は、第3の操作39の最終位置41に達する。ここでも、最終位置41での車両13の長手方向軸Aの方向は、前記駐車空間3の長手方向軸Aと実質的に平行又は完全に平行であり、従ってy方向に広がっている。
【0073】
前記第1の操作34の長さ、及び/又はプロフィール、従って湾曲、及び/又は前記第2の操作38の長さ、及び/又は湾曲は、可能な最大絶対のベールアウト距離を考慮して、決定される。その結果、この交通状況IIでも、駐車空間3の中に駐車するための複数の操作を、衝突を起こさずかつ全ての操作を半自律的に行うことを可能にする。ここでも、駐車工程の開始前に、衝突のない全駐車経路が決定されるため、駐車工程を中止する必要はない。
【符号の説明】
【0074】
I、II 通行状況
L1 車長
L2、L4 距離
A 長手方向軸
1 車道
2、3、4 駐車空間
5、6 車両
7 奥行き
8 幅
9、10、11、12 境界
13 トラック車両
14 ステアリング装置
15 駐車支援システム
16 制御及び評価ユニット
17 メモリユニット
18、18’、18’’ 障害物
19 超音波センサ
20、21、22、23 検出部分
24 車両前部
25 位置
26 第1の操作
27 第2の操作
28 位置
29 第3の操作
30 位置
33 参照領域
34 第1の操作
35 開始位置
36 距離
37 最終位置
38 第2の操作
39 第3の操作
41 最終位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(13)が潜在的な駐車空間(3)前を走行する際に、該駐車空間の外側に存在しかつ直接該駐車空間との境界を形成せず、前記車両の近傍に位置すると検出されかつ前記駐車空間(3)への駐車の際に考慮される、少なくとも1個の障害物(18、18’及び18’’)を含む前記車両(13)の周囲条件を検出し、前記周囲条件及び前記駐車空間(3)を考慮して駐車経路を決定する、駐車支援システム(15)により、前記車両(13)の少なくとも半自律的駐車工程を実行する方法において、
該方法は、複数の操作(26、27、29、34、38、39)として行われ、自律的操縦介入で行われる少なくとも1つの前記操作(26、27、29、34、38、39)は、前記障害物(18、18’及び18’’)を考慮して、そのプロフィールを決定することを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも2回の操作(26、27、29、34、38、39)が、前記車両(13)のステアリング装置(14)での自律的操縦介入として行われ、少なくとも1回の前記操作(26、27、29、34、38、39)が、前記障害物(18、18’及び18’’)を考慮して、そのプロフィールを決定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
自律的操縦介入で行われる操作(26、27、29、34、38、39) が、前記障害物(18、18’及び18’’)を考慮して、そのプロフィールを決定し、自律的操縦介入で行われる他の操作(26、27、29、34、38、39)が、更に他の操作(26、27、29、34、38、39)を考慮して決定されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
逆方向駐車を駐車工程として実行することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
車両(13)が、横方向の駐車空間(3)に駐車することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記駐車空間(3)に隣接する車道(1)は、少なくとも1個の第1の障害物(18)により駆動方向(P1)の動きが制限され、及び/又は少なくとも1個の第2の障害物(18’及び18’’)により、駐車空間(3)から離れた側の車両(13)の長手方向(31)で境界が形成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1の障害物(18)に面する駐車空間(3)の横方向の境界(12)から第1の障害物(18)までの第1の距離(L2)は、車両(6)の長さ(L1)の1.5倍に等しいか、それ未満、特に車両(13)の長さ(L1)未満であることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
第2の障害物(18’及び18’’)に面しかつ車道(1)から駐車空間(3)を分離する境界(10)から第2の障害物(18’及び18’’)までの第2の距離(L4)は、車両(13)の長さ(L1)の1.5倍未満、特に車両(13)の長さ(L1)未満であることを特徴とする請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
駐車工程開始前に、前記車両(13)は、前記駐車空間(3)の長手方向に対して、特に40°より大きく130°より小さい角度でその長手方向に対して位置し、かつ駐車工程は、3回の操作(26、27、29、34、38、39)で実行されることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも第2の操作(27、38)及び第3の操作(29、39)は、自律的操縦介入で実行され、該第2の操作(27、38)の実行の間、前記車両(13)の可動車輪は、第1の方向にロックされ、前記第3の操作(29、39)の実行の間、前記可動車輪は、第1の方向に対向する第2の方向にロックされることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
自律的操縦介入で実行される3回の操作(26、27、29、34、38、39)で、衝突が起こらないように、駐車工程が実行されるように、駐車経路が決定され、特に衝突が起こらない駐車経路が決定されていないと、前記駐車工程が開始されないことを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
駐車工程開始前に、前記車両(13)は、前記駐車空間(3)の長手方向に対して、特に40°より大きく130°より小さい角度でその長手方向に対して位置し、駐車工程開始前に、駐車工程間の最大可能ベールアウト距離が、前記車両(13)の対向面近くで検出される車両(13)の2個の障害物(6、18’、18’’)間の距離(L4)を考慮して決定されることを特徴とする請求項5、6及び8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
駐車工程の第1操作(26、27、29、34、38、39)において、弓状経路が形成され、該弓状経路の湾曲は、ベールアウト距離を考慮して決定されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
駐車工程の第1操作(26、34)の長さ及び/又は駐車工程の第2操作(27、38)の長さが、ベールアウト距離を考慮して決定されることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
車両が、潜在的な駐車空間(3)の前を進行する際に、前記車両の周囲条件を検出する検出装置を備える車両(13)の少なくとも半自律的駐車支援システム15工程を実行するための駐車支援システムであり、
前記周囲条件は、駐車空間の外側にあり、前記駐車空間と直接隣接せず、かつ車両の近傍に存在するものとして検出される少なくとも1個の障害物(8、18’、18’’)を備え、かつ駐車経路は、制御及び評価ユニット(16)を使用して、少なくとも前記障害物(8、18’、18’’)及び駐車空間(3)を考慮して決定される前記駐車支援システムにおいて、
前記駐車工程は、複数の操作(26、27、29、34、38、39)で構成され、そのうちの少なくとも1回の操作(26、27、29、34、38、39)は、車両の操縦装置(14)に対して駐車支援システム(15)により行われる自律的操縦介入で実行され、かつ前記前記障害物(8、18’、18’’)を考慮して、そのプロフィールを決定することを特徴とする駐車支援システム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−528755(P2012−528755A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513513(P2012−513513)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003407
【国際公開番号】WO2010/139486
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(508108903)ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (22)
【Fターム(参考)】