説明

車両またはその部分システムをテストするための装置

【課題】
テストベンチ上でまたは車両実験において、車両またはその部分システムをテストする方法であって、力伝達を行いかつトルク伝達を行うインターフェースが、少なくとも部分的に現実に存在する前記方法において、テスト走行またはテスト運転の柔軟性をさらに向上させる。
【解決手段】
当該インターフェースと独立して、少なくとも一つの別の部分システムまたは現実に存在しないコンポーネントが、シミュレーションプログラムによってシミュレートされ、このシミュレーションプログラムが、現実の実際計測値及び/又は現実の部品の信号を供給され、その際シミュレーションモデルの出力信号が、現実の部品の制御装置に、更なる処理のために供給されることにより前記課題は解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テストベンチ上でまたは車両実験において、車両またはその部分システムをテストする方法であって、力伝達を行いかつトルク伝達を行うインターフェースが、少なくとも部分的に現実に存在する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の開発において、テストベンチでのテストと、テストコースまたは現実の走行運転における車両実験は大きな意味を有する。これらテストと車両実験の枠内では、シミュレーションの導入によって柔軟性がかなり向上するので、開発サイクルは短縮されそして生産品質も高める可能性が生じている。このため、置きかえ可能な詳細なシステムモデルおよびコンポーネントモデルによって、車両の相互作用や、ドライバー、タイヤ、路面、交通状況および環境条件をシミュレートするソフトウェアパッケージが提供されている。シミュレーションシステムでは、しばしば所定の車両コンポーネントもまた、詳細にモデル化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、テスト走行またはテスト運転の柔軟性をさらに向上させることが可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、インターフェースと独立して、少なくとも一つの別の部分システムまたは現実に存在しないコンポーネントが、シミュレーションプログラムによってシミュレートされ、このシミュレーションプログラムが、現実の実際計測値及び/又は現実の部品の信号を供給され、その際シミュレーションモデルの出力信号が、現実の部品の制御装置に、更なる処理のために供給されることを特徴とする方法によって解決される。
【0005】
有利な実施形にしたがい、更に、存在しないセンサー機能がシミュレーションモデルによってシミュレートされ、かつシミュレーションモデルの出力信号が、センサー値として現実の部品にフィードバックされることが意図されることができる。
【0006】
シミュレートされる部分システムまたはシミュレートされる車両コンポーネントの反応を表わすことができるよう、本発明の有利なバリエーションは、シミュレーションモデルの出力信号が、現実の部品に影響を及ぼすために少なくとも一つのアクチュエータに供給されることを意図している。
【0007】
好ましくは、このバリエーションにおいて更に、組みつけられていない部分システムまたは現実に存在しないコンポーネントの現実のシステムへの反応が、少なくとも一つの追加的なアクチュエータによってシミュレートされ、その際当該アクチュエータまたは各アクチュエータのための調整値が、シミュレーションモデルの出力信号から算出されることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の記載において、本発明を例に基づいて詳細に説明する。
【0009】
本発明は、コンピューターにサポートされたシミュレーション方法およびシミュレーションモデルの使用に基づいている。これらは、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで例えば実験車両中で使用される。シミュレーションモデルによって今や、現実には組み付けられていないハードウェアコンポーネントが、あらゆる可能なデザインと状況で、現実の車両に組み込まれることができる。よって車両は、シミュレーションとして、パティキュレートフィルター(Partikelfiltern)や、SCR触媒、アンモニアスリップ探知器(Ammoniak Slip Sonde)、ラムダセンサー、NOx吸蔵触媒などを備えることが可能である。
【0010】
その際、入力値としては、実際の物理的計測値か、または車両の制御装置に一つからのデータが提供される。センサー値は、エンジン、ドライブトレイン、トランスミッション、GPS,排ガス、周囲環境、音響などから受けることが可能である。
【0011】
存在しないセンサー機能はもちろん、シミュレーションモデルによってシミュレート可能であり、そしてシミュレーションモデルの出力値は、センサー値として現実に存在する車両にフィードバックされることが可能である。これは、物理的に存在するかまたは存在しないかもしれないセンサー機能のシミュレーションを含む。定義されたエラーサンプル(Fehlermuster)とエラー機能の基準によって、一方ではアーマチャ(Stellgliedern)の診断が、オンボード診断(On-Board-Diagnose、OBD)の枠内で可能である。破損したコンポーネントの開発目標値に対する影響(例えば破損したインテークパイプ温度センサーのローラーテスター結果への影響)も、早期かつ少ない労力でシミュレート可能である。
【0012】
反対に制御装置は、例えば車両状態、積載(Beladung)、回生コーディネーター(Regenerationskoordinator)、切替えモード(Schaltmodus)、運転性(Driveability)、OBDなどに関するシミュレーションデータを提供する。
【0013】
シミュレーションモデルの出力値は、シミュレートされた部分システムまたはシミュレートされた車両コンポーネントの反応を表わすことができるよう、ここでもまた、現実の部品の一つの制御装置内でさらに処理されることが可能であるし、または、アクチュエータの調整値として使用されることが可能である。これは、現実の車両中にいずれにせよ存在するかまたは、シミュレーション実験の枠内で追加的に取付けられたアクチュエータにも関係することが可能である。例えば、現実に存在しないディーゼルパティキュレートフィルターの物理的に代表するシミュレーションのために、対応する機械式の装置を用いて排ガスバックプレッシャーを調整することが必要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストベンチ上でまたは車両実験において、車両またはその部分システムをテストする方法であって、力伝達を行いかつトルク伝達を行うインターフェースが、少なくとも部分的に現実に存在する前記方法において、
当該インターフェースと独立して、少なくとも一つの別の部分システムまたは現実に存在しないコンポーネントが、シミュレーションプログラムによってシミュレートされ、このシミュレーションプログラムが、現実の実際計測値及び/又は現実の部品の信号を供給され、その際シミュレーションモデルの出力信号が、現実の部品の制御装置に、更なる処理のために供給されることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
存在しないセンサー機能がシミュレーションモデルによってシミュレートされ、かつシミュレーションモデルの出力信号が、センサー値として現実の部品にフィードバックされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シミュレーションモデルの出力信号が、現実の部品に影響を及ぼすために少なくとも一つのアクチュエータに供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
組みつけられていない部分システムまたは現実に存在しないコンポーネントの現実のシステムへの反応が、少なくとも一つの追加的なアクチュエータによってシミュレートされ、その際当該アクチュエータまたは各アクチュエータのための調整値が、シミュレーションモデルの出力信号から算出されることを特徴とする請求項3に記載の方法。

【公開番号】特開2011−164104(P2011−164104A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20308(P2011−20308)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(398055255)アー・ファウ・エル・リスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (30)