説明

車両操舵装置

【課題】ホイールハウスを拡幅すること無く、また、車両前部スペースを狭くすること無く、車輪の最大転舵角を大きく取ることができる車両操舵装置を提供する。
【解決手段】車輪Wを支持するナックル11を揺動可能に懸架するサスペンションリンク12と、ステアリングラック18の移動に伴い回動するアーム16と、サスペンションリンク12の揺動端部12bに回動自在に軸支され、両側自由端の一方15aにナックル11を連結したエクステンションリンク15と、アーム16の回動に伴いナックル11を進出退避させるコントロールロッド17とを有し、車輪Wの非転舵時、アーム16とサスペンションリンク12、アーム16とコントロールロッド17、コントロールロッド17とエクステンションリンク15の各連結点を一直線上に配置し、ナックル11とタイロッド13により連結されたステアリングラック18の移動に伴いナックル11の向きを変え車輪Wを転舵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両操舵装置に関し、特に、車輪転舵時におけるホイールハウス内のアクスルの動きを制御する車両操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールの操作により前方の車輪を転舵し車両の進行方向を変える車両操舵装置が知られている。転舵時、車輪は、一般に、ホイールハウス内部でキングピン軸を中心にその前部或いは後部が車幅方向内側或いは車幅方向外側に向きを変える。このため、転舵角を大きくすると、車幅方向内側に向きを変えた車輪の一部がホイールハウス内壁等に触れてしまう虞がある。
【0003】
このような車輪とホイールハウス内壁等の接触の虞を回避するため、ホイールハウスを車幅方向に広げようとすると、車輪の最大転舵角を大きくすることができるものの、ホイールハウスを広げた分、エンジンルーム等のための車両前部スペースが狭くなる。車両前部スペースが狭くなれば、大型のエンジンやトランスミッション等を搭載することができなくなってしまう。
【0004】
そこで、車輪の最大転舵角を大きく取ることができる転舵装置が提案されている。例えば、ナックルとラックアンドピニオン式伝達機構を連接するリンクロッドの中間部に伸縮連結装置を挿入配置し、車両の旋回半径内側にある車輪が最大転舵角に達した場合であっても、旋回半径外側にある車輪の最大転舵角を増やすようにした転舵装置である(特許文献1参照)。この転舵装置により、大舵角時のアッカーマン特性を可変にして、操舵リンク装置の作動のために必要なスペースを少なくすることが可能になる。
【特許文献1】特開2004−163338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の転舵装置(特許文献1参照)においても、旋回半径内側にある車輪の転舵角を増加させることができないため、車輪の最大転舵角が制約を受けることについては解消されず、車輪の最大転舵角を大きくすることと車両前部スペースが狭くなることを一体的に解決することにはならない。つまり、外輪の舵角は増えることになるが、増えた舵角分、タイヤハウスを拡幅する必要がある。
この発明の目的は、ホイールハウスを拡幅すること無く、また、車両前部スペースを狭くすること無く、車輪の最大転舵角を大きく取ることができる車両操舵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明に係る車両操舵装置は、車両に備えられた転舵用の車輪を自転自在に支持するナックルを、車両上下方向に揺動可能に懸架するサスペンションリンクと、前記サスペンションリンク上に配置され、ステアリング操作によるステアリングラックの移動に伴い回動するアームと、前記サスペンションリンクの揺動端部に回動自在に軸支され、両側自由端の一方に前記ナックルを連結したエクステンションリンクと、前記アームと前記エクステンションリンクの他方の自由端を連結し、前記アームの回動に伴い前記ナックルを車両幅方向に沿って進出退避させるコントロールロッドとを有し、前記車輪の非転舵時、前記アームと前記サスペンションリンクの連結点、前記アームと前記コントロールロッドの連結点、及び前記コントロールロッドと前記エクステンションリンクの連結点が一直線上に位置するように配置し、前記ナックルと前記ステアリングラックをタイロッドにより連結し、前記ステアリングラックの移動に伴い前記ナックルの向きを変え前記車輪を転舵する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ステアリング装置からの操舵入力によりステアリングラックが車両幅方向へ移動するのに伴い、タイロッドはナックルの向きを変えて車輪の転舵を行い、同時に、アームがサスペンションリンク上で回転して、コントロールロッドを車両中心側へと引き込むことにより、エクステンションリンクが揺動端部を中心に回転し、ナックル及び車輪が車両外側に移動するので、ホイールハウスを拡幅すること無く、また、車両前部スペースを狭くすること無く、車輪の最大転舵角を大きく取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る車両操舵装置の非転舵時の平面図である。図2は、図1の車両操舵装置における右転舵時の平面図であり、図3は、図1の車両操舵装置における左転舵時の平面図である。
【0009】
図1から図3に示すように、車両操舵装置10は、車両に備えられた転舵用の車輪Wを自転自在に支持するナックル11、ナックル11を車両上下方向に揺動可能に懸架するサスペンションリンク(ロアリンク)12、ステアリング装置(図示しない)からの出力をナックル11に伝達するタイロッド13を有しており、ステアリングホイール(図示しない)の操作に伴ってタイロッド13が移動しナックル11が車両前後方向に向きを変えることにより車輪Wを転舵する。
【0010】
この車両操舵装置10は、前輪を転舵輪とする車両のフロントサスペンションに適用した例であり、フロントサスペンションには、例えば、ストラット型が用いられ、ステアリング装置には、例えば、ラックアンドピニオン式が用いられる。
【0011】
ナックル11を懸架するサスペンションリンク12は、車両側面側に配置した車体側部材14に取り付けた2箇所の基端部12a,12aと、車輪W側に突出する1箇所の揺動端部12bを有している。このサスペンションリンク12は、2箇所の基端部12a,12a、即ち、サスペンションリンク12の車体側部材取り付け位置を通る直線Oを軸として、車両上下方向に揺動する。揺動端部12bには、ピンジョイントによって連結されたエクステンションリンク15が装着されている。エクステンションリンク15は、車輪接地面に沿って回動するようにその長手方向略中心部が揺動端部12bに回動自在に軸支されており、回動時、リンク両側の各自由端15a,15bが、揺動端部12bを中心とする円弧上を移動して車体側部材14に対し接近し或いは離反する。
【0012】
エクステンションリンク15の一方の自由端15aには、ナックル11が車輪接地面に沿って回動自在に軸支されている。つまり、ナックル11は、車両上下方向に延びるキングピン軸を形成するピンジョイントを介して、キングピン軸と略直交する平面上を車両前後方向に回動するように、エクステンションリンク15に装着される。このナックル11の上端は、車両上下方向に沿って配置されたストラット部材(図示しない)に取り付けられている。
【0013】
サスペンションリンク12の車両前方側上面には、平面形状が逆向き略L字形のアーム16が装着されている。アーム16は、その屈曲部が、車両上下方向に位置する回転軸を持つピンジョイントにより、サスペンションリンク12の前方側基端部12aの前方に軸支されており、車輪接地面に沿って自在に回動する。アーム16の一方の自由端16aとエクステンションリンク15の他方の自由端15bは、両端にボールジョイントを有するコントロールロッド17によって、それぞれ回動自在に連結されている。よって、アーム16の回動に伴い、コントロールロッド17を介してナックル11が車両幅方向に沿って進出し或いは退避する。
【0014】
このアーム16は、車両運転者(図示しない)がステアリングホイールを操作しない非転舵時(例えば、直進走行時)、アーム16とサスペンションリンク12の連結点a、アーム16とコントロールロッド17の連結点b、及びコントロールロッド17とエクステンションリンク15の連結点cが一直線上に位置するように、配置される(図1参照)。加えて、アーム16は、上述した非転舵時、アーム16とサスペンションリンク12の連結点aが、サスペンションリンク12の車体側部材取り付け位置を通る直線O(サスペンションリンク12の揺動軸)上に位置するように、配置される(図1参照)。
【0015】
また、アーム16の上方の車体側には、ステアリングラック18に連動するラック部材19が隣接配置されている。板状のラック部材19は、車両幅方向に沿って移動するステアリングラック18の端部に、ステアリングラック18に対し略直交して固定されており、ステアリングラック18と共に車両幅方向に横移動する。つまり、ステアリングホイールの回動運動は、ステアリングラック18で車両幅方向に沿う直線運動に変換されるので、ステアリングラック18は、ステアリングホイールの転舵角に応じ、車両幅方向に沿って車両左側面側或いは車両右側面側に移動する。
【0016】
このラック部材19の車両前方側とアーム16の他方の自由端16bは、両端にボールジョイントを有するリンクロッド(エクステンションロッド)20によって、それぞれ回動自在に連結されている。アーム16の他方の自由端16bとリンクロッド20の連結は、アーム16の回動中心である屈曲部から十分離間した位置で行われている。リンクロッド20は、車両運転者がステアリングホイールを操作しない非転舵時、リンクロッド20とアーム16の連結点dが、サスペンションリンク12の揺動軸である直線O上に位置するように、且つ、ステアリングラック18と略平行に、配置される(図1参照)。また、ラック部材19の車両後方側とナックル11の車両前方側に突設されたナックルアーム11aの突出端(自由端)は、両端にボールジョイントを有するタイロッド13によって、それぞれ回動自在に連結されている。
【0017】
続いて、この車両操舵装置10による車輪操舵作用について説明する。先ず、図1に示すように、車両運転者(図示しない)がステアリングホイールを操作しない非転舵状態において、ステアリングラック18の端部に取り付けたラック部材19は、車体側部材14の上方に位置しており、ナックルアーム11aが車両側面と略平行に、即ち、車輪Wが車両側面と略平行に位置している。このとき、エクステンションリンク15も、ナックルアーム11aと同様に、車両側面と略平行な状態にあり、アーム16とリンクロッド20との連結点dが、サスペンションリンク12の揺動軸である直線O上に位置し、コントロールロッド17とタイロッド21は、互いに略平行な状態にある。
【0018】
次に、図2に示すように、車両運転者が右方向へ転舵するためにステアリングホイールを操作すると、ステアリングホイールの回動運動がステアリングラック18で車両幅方向に沿う直線運動に変換され、ステアリングラック18が車体側部材14の上方から車両中心側(図中、右側)へ移動する。ステアリングラック18の右方移動により、ラック部材19に取り付けたタイロッド13を介して、ナックルアーム11aが車両中心側へと引き込まれる。この結果、ナックル11が車両前方へと向きを変えて、車輪Wは車両幅方向右側へと向きを変え転舵される。
【0019】
これと同時に、ラック部材19に取り付けたリンクロッド20を介して、アーム16が、屈曲部を軸として時計回り方向に回転し、コントロールロッド17を車両中心側へと引き込む。車両中心側へと引き込まれるコントロールロッド17を介して、エクステンションリンク15が、長手方向略中心部を軸に時計回り方向に回転し、一方の自由端15aが外側、即ち、車輪W側へと移動する。この結果、ナックル11、即ち、車輪Wは、転舵されると同時に移動量e分、車両外側へ向かって移動する(図2参照)。
【0020】
次に、図3に示すように、車両運転者が左方向へ転舵するためにステアリングホイールを操作すると、ステアリングホイールの回動運動がステアリングラック18で車両幅方向に沿う直線運動に変換され、ステアリングラック18が車体側部材14の上方から車輪W側(図中、左側)へ移動する。ステアリングラック18の左方移動により、ラック部材19に取り付けたタイロッド13を介して、ナックルアーム11aを車輪W側へと押し出す。この結果、ナックル11が車両後方へと向きを変えて、車輪Wは車両幅方向左側へと向きを変え転舵される。
【0021】
これと同時に、ラック部材19に取り付けたリンクロッド20を介して、アーム16が、屈曲部を軸として反時計回り方向に回転し、コントロールロッド17を車両中心側へと引き込む。車両中心側へと引き込まれるコントロールロッド17を介して、エクステンションリンク15が、長手方向略中心部を軸に時計回り方向に回転し、一方の自由端15aが外側、即ち、車輪W側へと移動する。この結果、ナックル11、即ち、車輪Wは、転舵されると同時に移動量e分、車両外側へ向かって移動する(図3参照)。
【0022】
そして、車両運転者が、例えば、車両の旋回走行を終了するために、ステアリングホイールを切り戻して車輪Wを転舵状態から直進状態へと変更する操作を行うと、車輪Wは、上述した転舵時とは反対の手順で動作して転舵角が減少する。この転舵角の減少と同時に、車両外側へ向かって突出していた車輪W、即ち、ナックル11は、転舵による移動量e分、車両中心側へと戻って非転舵状態(図1参照)に復帰する。
【0023】
従って、転舵動作に伴って車輪Wが車両外側へ向かって移動することにより、車輪Wの転舵を大舵角で行った場合でも車輪Wとホイールハウス内壁の間隔を十分確保することができ、転舵時に車輪Wがホイールハウス内壁に接触する虞が無い。このため、転舵時の最大舵角を大きくすることが可能になり、車両の最小回転半径を小さくすることができる。或いは、最大舵角を大きくする必要が無い場合、ホイールハウスの車両幅方向長さを短くして省スペース化を図ることができ、車両前部スペースの拡大に寄与することができる。
【0024】
また、車両操舵装置10は、転舵時に、車輪W、即ち、ナックル11を車両外側へ移動させるためのアーム16を、サスペンションリンク(ロアリンク)12上に配置すると共に、アーム16を回転させるためのリンクロッド20及びナックル11の向きを変えるタイロッド13を、ラック部材19を介してステアリングラック18に直接連結している。
【0025】
つまり、アーム16をサスペンションリンク12上に配置することにより、車両が走行時に路面から受ける振動を、サスペンションリンク12と車体を結合するブッシュによって防止することができるので、ロードノイズ性能が向上する。また、タイロッド13をステアリングラック18に直接連結することにより、通常のサスペンションと同様に、ホイールストロークに伴うトー変化を最適化することが容易になり、ステアリングラック18の車両レイアウト時の自由度に影響を及ぼすことが無い。
【0026】
このように、この発明に係る車両操舵装置10は、車両に備えられた転舵用の車輪Wを自転自在に支持するナックル11を、車両上下方向に揺動可能に懸架するサスペンションリンク12と、サスペンションリンク12上に配置され、ステアリング操作によるステアリングラック18の移動に伴い回動するアーム16と、サスペンションリンク12の揺動端部12bに回動自在に軸支され、両側自由端の一方15aにナックル11を連結したエクステンションリンク15と、アーム16とエクステンションリンク15の他方の自由端15bを連結し、アーム16の回動に伴いナックル11を車両幅方向に沿って進出退避させるコントロールロッド17とを有し、操舵時に、ナックル11を非操舵時より外側に移動させる。
【0027】
そして、車輪Wの非転舵時、アーム16とサスペンションリンク12の連結点a、アーム16とコントロールロッド17の連結点b、及びコントロールロッド17とエクステンションリンク15の連結点cが一直線上に位置するように配置し(図1参照)、更に、ステアリングラック18の移動によりアーム16を回転させるリンクロッド20と、ナックルアーム11aに連結されたタイロッド13を、共に、ステアリングラック18に固定された1本のラック部材19に直接連結している。
【0028】
従って、ステアリング装置からの操舵入力によりステアリングラック18が車両幅方向へ移動するのに伴い、タイロッド13はナックル11の向きを変えて転舵を行い、同時に、リンクロッド20がアーム16をサスペンションリンク12上で回転させて、コントロールロッド17を車両中心側へと引き込むことにより、エクステンションリンク15が揺動端部12bを中心に回転し、ナックル11及び車輪Wが車両外側に移動する。
【0029】
この結果、車輪転舵に伴い、ナックル11を車両外側へ押し出すことができ、転舵時に車輪Wが接触する虞があるホイールハウス内壁や車体部品等との距離を広げること、即ち、転舵時の車輪移動空間を広くすることができるので、ホイールハウスを拡幅する必要が無く、車両レイアウトの自由度が向上する。また、転舵角を大きく設定することが可能になるので、車両の最小回転半径を小さくすることができ、車両取り回し性が向上する。更に、タイロッド13が、ラック部材19に連結されていてアーム16には連結されていないため、ホイールストロークに伴うトー変化に影響を及ぼすことが無く、不整路等走行時においても直進性を確保することができる。
【0030】
また、アーム16を、非転舵時、アーム16とサスペンションリンク12の連結点aが、サスペンションリンク12の揺動軸である直線O上に位置するように、配置している。これにより、アーム16の揺動に伴うリンクロッド20やコントロールロッド17の引き込みや押し出しを回避することができるので、不整路等を走行する際に走行車両の直進性を確保することができる。
【0031】
つまり、アーム16とリンクロッドとの連結点が、サスペンションリンク12の揺動軸である直線Oから離れた位置にある場合、ナックル11に支持された車輪Wがバウンドリバウンドするとサスペンションリンク12も車両上下方向に揺動し、サスペンションリンク12に取り付けたアーム16もサスペンションリンク12の揺動軸である直線Oを中心に揺動してしまう。
【0032】
アーム16が揺動すると、アーム16と連結するリンクロッド20が車両内側へ引き込まれたり車両外側へ押し出されたりして、リンクロッド20と機械的に連結されたステアリングホイールがリンクロッド20の動きに連れ回されるので、ステアリングホイールを操作する車両運転者に負担がかかってしまう。また、リンクロッド20と同様に、コントロールロッド17も車両内側へ引き込まれたり車両外側へ押し出されたりして、ナックル11に支持される車輪Wが転舵してしまい、走行安定性が損なわれる。
【0033】
しかしながら、アーム16を、非転舵時、リンクロッド20の連結点aがサスペンションリンク12の揺動軸である直線O上に位置するように配置すれば、リンクロッド20やコントロールロッド17が車両内側へ引き込まれたり車両外側へ押し出されたりするのを回避することができる。
【0034】
また、アーム16の他端16bとリンクロッド20の連結位置が、アーム16の回動中心である屈曲部から十分離間していることにより、ラック部材19を介してリンクロッド20が連結されたステアリングラック18のラックストロークに対し、アーム16の回転量を少なくすることができるため、転舵による変化量が微小な微舵領域においても、確実に対応することができる。
【0035】
また、リンクロッド20を、車輪非転舵時、ステアリングラック18と略平行に位置するように、つまり、リンクロッド20の長軸方向とステアリングラック18の移動方向が同じ向きになるように配置されているので、ステアリングラック18の移動力を、アーム16を回動させる力に効率良く変換することができる。
【0036】
なお、タイロッド13は、非転舵時、その長軸方向とステアリングラック18の移動方向が同じ向きになるように配置しても良い(図1想像線参照)。タイロッド13の向きがステアリングラック18の移動方向と一致することにより、ステアリングラック18の移動力を、ナックル11の向きを変える力に効率良く変換することが可能になる。つまり、ステアリングラック18の移動量とナックル11の回転角度量との関係が線形(変化率が一対一)となり、より良好な操舵感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の一実施の形態に係る車両操舵装置の非転舵時の平面図である。
【図2】図1の車両操舵装置における右転舵時の平面図である。
【図3】図1の車両操舵装置における左転舵時の平面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 車両操舵装置
11 ナックル
11a ナックルアーム
12 サスペンションリンク
12a,12a 基端部
12b 揺動端部
13 タイロッド
14 車体側部材
15 エクステンションリンク
15a,15b 自由端
16 アーム
16a,16b 自由端
17 コントロールロッド
18 ステアリングラック
19 ラック部材
20 リンクロッド
O 揺動軸
W 車輪
a,b,c,d 連結点
e 移動量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられた転舵用の車輪を自転自在に支持するナックルを、車両上下方向に揺動可能に懸架するサスペンションリンクと、
前記サスペンションリンク上に配置され、ステアリング操作によるステアリングラックの移動に伴い回動するアームと、
前記サスペンションリンクの揺動端部に回動自在に軸支され、両側自由端の一方に前記ナックルを連結したエクステンションリンクと、
前記アームと前記エクステンションリンクの他方の自由端を連結し、前記アームの回動に伴い前記ナックルを車両幅方向に沿って進出退避させるコントロールロッドとを有し、
前記車輪の非転舵時、前記アームと前記サスペンションリンクの連結点、前記アームと前記コントロールロッドの連結点、及び前記コントロールロッドと前記エクステンションリンクの連結点が一直線上に位置するように配置し、
前記ナックルと前記ステアリングラックをタイロッドにより連結し、前記ステアリングラックの移動に伴い前記ナックルの向きを変え前記車輪を転舵する車両操舵装置。
【請求項2】
車輪非転舵時、前記アームの前記ステアリングラックとの連結点が、前記サスペンションリンクの車体側部材取り付け位置を通る前記サスペンションリンクの揺動軸上に位置する請求項1に記載の車両操舵装置。
【請求項3】
前記アームと前記ステアリングラックは、前記アームの前記コントロールロッドとの連結点とは別の自由端に取り付けたリンクロッドを介して連結されている請求項1または2に記載の車両操舵装置。
【請求項4】
車輪非転舵時、前記リンクロッドの長軸方向と前記ステアリングラックの移動方向が同じ向きに配置される請求項3に記載の車両操舵装置。
【請求項5】
車輪非転舵時、前記タイロッドの長軸方向と前記ステアリングラックの移動方向が同じ向きに配置される請求項1から4のいずれか一項に記載の車両操舵装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−151101(P2006−151101A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342325(P2004−342325)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】