説明

車両整備用リフト

【課題】 比較的簡易な作業でメンテナンスが可能な降下止め装置を備え、大型車両のリフトアップに対しても容易に適用できる車両整備用リフトを提供する。
【解決手段】 車両を載置する左右一対の昇降台2を、アームをX字状に組み合わせて伸縮可能に構成したX型伸縮機構により昇降動させ、X型伸縮機構と昇降台2の連結を、X字を成すアームの組のうち一方のアームの上端を昇降台2下部に軸着し、他方のアームの上端を昇降台2下面に摺動可能に当接させて構成し、昇降台2とアームの間に昇降台2の自然降下を防止する降下止め装置4を設けた。降下止め装置4を、昇降台2下面に配置されて他方のアームの摺動方向に鋸状に複数の係止溝を備えたラック21と、他方のアームに設けられてラックの係止溝に係止する係止爪22とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X字状にアームを組み合わせて伸縮可能に構成したX型伸縮機構により昇降台を昇降動させる車両整備用リフトに関する。
【背景技術】
【0002】
車両整備用リフトは、アームをX字状に組み合わせたX型伸縮機構を伸縮させて昇降台を昇降動させる構成のものが、床に設けるピットが浅くて済むため普及している(例えば、特許文献1参照)。
このようなX型伸縮機構により昇降動する車両整備用リフトは、例えば特許文献2に開示されているような降下止め装置が取り付けられて、リフトアップした状態で昇降台の一方が降下して車両が滑り落ちるような事態を防止している。
一方で、比較的大型な車両を昇降できるリフトとしては、特許文献3に記載されたリフトがある。これは、左右に配置した昇降台に対して夫々前後にリフトを配置して、計4機のリフトで昇降するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−162715号公報
【特許文献2】特許第3755699号公報
【特許文献3】特開2000−198690号公報(図8,図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、大型車両にも適用可能な上記特許文献3のリフトは、構造は比較的単純であるが、リフトアップした状態で作業者が車両の下に入ることが可能な高さまで上昇させようとすると、油圧シリンダ等各部材が大型化し、コスト高となるし重量が増す問題があった。また、このような大型なリフトの場合、上記特許文献2に示すような降下止め装置は、油圧シリンダと一体に構成されているため、装置を交換する場合は油圧シリンダを外す作業を伴い、交換作業が大がかりであった。
特に、上記特許文献3に記載されているような大型な車両に対応可能なリフトの場合、降下止め装置は大型なものと成り、交換は大がかりで厄介な作業となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、比較的簡易な作業でメンテナンスが可能な降下止め装置を備え、大型車両のリフトアップに対しても容易に適用できる車両整備用リフトを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、車両を載置する左右一対の昇降台を、アームをX字状に組み合わせて伸縮可能に構成したX型伸縮機構により昇降動させる車両整備用リフトであって、X型伸縮機構と昇降台の連結部が、X字を成すアームの組のうち一方のアームの上端を昇降台下部に軸着し、他方のアームの上端を昇降台下面に摺動可能に当接させて構成され、昇降台とアーム間に昇降台の自然降下を防止する降下止め装置を設け、降下止め装置は、昇降台下面に配置されて他方のアームの摺動方向に鋸状に複数の係止溝を備えたラックと、他方のアームに設けられてラックの係止溝に係止する係止爪とを有し、ラックに係止爪が係止して、他方のアームの摺動を禁止して昇降台の降下を防止することを特徴とする。
この構成によれば、降下止め装置はアーム上部と昇降台下面との間に配置されるので、X型伸縮機構を伸縮させる駆動手段と一体に設ける必要がない。よって、降下止め装置をメンテナンス或いは交換する場合に、駆動手段を取り外す等の大がかりな作業を必要としない。そのため、X型伸縮機構を伸張させてリフトアップした状態でメンテナンスすることも可能となり、大型車両用のリフトであってもメンテナンス作業がし易い。更に降下止め装置は、駆動手段とは独立して配置できるため、既設のリフトに対しても大きな設計変更すること無く組み付けることが可能である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、降下止め装置による昇降台の降下防止を解除する解除装置を備え、解除装置は係止爪に連結され、昇降台の下面を押圧するよう突出動作して係止爪をラックから引き離して係止を解除させる突出部を有することを特徴とする。
この構成によれば、係止爪に連結された解除装置が昇降台を押圧して係止爪をラックから引き離すため、解除装置を例えばエアシリンダで構成することができ、解除装置をコンパクトで簡易な構成にできる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、X型伸縮機構は、X字状に組み合わせたアームの組を左右に鏡面配置して形成したX状リフトアームを上下2段備えて構成したことを特徴とする。
この構成によれば、X型伸縮機構は、X字状に組み合わせたアームの組を上下2段備えるので、個々の部材を大型化することなく、作業者が立った状態で作業することが可能な高さまでリフトアップすることが可能となる。また、個々のアームの組は鏡面配置されて対を成すため、X型伸縮機構が2段から成るX状リフトアームで構成されても安定して伸縮動作する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成において、一対の昇降台は夫々前後にX型伸縮機構を配置して昇降動し、個々のX型伸縮機構に対して降下止め装置が配置されることを特徴とする。
この構成によれば、昇降台は前後2機のX型伸縮機構により昇降動するので、大型車両であってもリフトアップが可能となるし、降下止め装置を個々のX型伸縮機構に設けるため、何れかのX型伸縮機構が自然収縮して昇降台が傾くようなこともない。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の構成において、係止爪は、鏡面配置した左右2本のアームの間に掛け渡されたブリッジ片に組み付けられたことを特徴とする。
この構成によれば、左右のアームに対して降下止め装置を中間に設けて作用させるので、降下止め装置に加わる応力は左右からバランスされて加わり、最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、降下止め装置はアーム上部と昇降台下面との間に配置されるので、X型伸縮機構を伸縮させる駆動手段と一体に設ける必要がない。よって、降下止め装置をメンテナンス或いは交換する場合に、駆動手段を取り外す等の大がかりな作業を必要としない。そのため、X型伸縮機構を伸張させてリフトアップした状態でメンテナンスすることも可能となり、大型車両用のリフトであってもメンテナンス作業がし易い。更に降下止め装置は、駆動手段とは独立して配置できるため、既設のリフトに対しても大きな設計変更すること無く組み付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車両整備用リフトの一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1の側面説明図で、一方の昇降台及び機構部を断面で示している。
【図3】A部の拡大図である。
【図4】昇降台を斜め下から見た図である。
【図5】B部の拡大図である。
【図6】係止爪とエアシリンダのアセンブリを抜き出した斜視図である。
【図7】C部の拡大説明図で、係止爪がラックに係止した状態を示し、(a)は係止爪の説明図、(b)は解除装置の説明図である。
【図8】C部の拡大説明図で、係止爪の係止が解除された状態を示し、(a)は係止爪の説明図、(b)は解除装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1、図2は本発明に係る車両整備用リフトの一例を示す説明図であり、図1は斜視図、図2は一方の昇降台及び機構部を断面で示した側面説明図である。1はリフト全体を収納するために床に凹設されたピット、2は車両を載置する昇降台、3は昇降台2を昇降する昇降装置、5は作業床、5aは昇降台2をリフトアップした際にピット1に形成される穴を閉塞し、作業床として使用される閉塞板、6は閉塞板5aを昇降させるためのベースリフト機構、7は車両の本体をリフトアップしてタイヤ(図示せず)を浮かせるためのフリーホイールリフト装置である。
図1に示すように、昇降台2は左右に一対配置されて前後2機の昇降装置3により夫々昇降動する。また、昇降装置3は閉塞板5a上に組み付けられており、ベースリフト機構6が閉塞板5aを昇降する際に昇降装置3及び昇降台2も合わせて昇降する。
尚、図1は全体をリフトアップし、昇降台2の一部天板を外して降下止め装置4を露出させた状態を示している。
【0014】
ピット1は床に凹設され、平坦な内底部を備え、閉塞板5a、昇降装置3、昇降台2を収納可能となっている。内底部にはベース8が設けられ、このベース8上に閉塞板5aを昇降動させるベースリフト機構6が設置されている。
【0015】
昇降台2は長方形の板状体であり、左右の昇降台2は載置する車両の左右のタイヤの位置に合わせて平行に配置され、車両の移動をスムーズに行うことができるよう上面は平坦に形成されている。また、前後端部には載置された車両が移動して脱輪するのを防止する車止め10が設けられ、フリーホイールリフト装置7は昇降台2のほぼ中央に配置されている。
【0016】
昇降装置3は、複数のアームをX字状に組み合わせて伸縮可能に構成したX型伸縮機構11と、この機構を伸縮させる駆動手段としての油圧シリンダ12とで構成されている。X型伸縮機構11は、X状リフトアーム15を2段連結して構成され、このX状リフトアーム15は、棒状のアーム14同士を中央で軸着してX字状に組み合わせたアームの組15aを左右に鏡面配置し、全4本のアーム14により形成されている。そして、上下のX状リフトアーム15同士は、鏡面配置した内側のアーム14,14同士、及び外側のアーム14,14同士を回動可能に夫々連結し、連動して伸縮する構成となっている。
【0017】
X型伸縮機構11は昇降台5aに対して、下段のX状リフトアーム15の内側のアーム14の下端部がピット1端部と成る閉塞板5a端部に軸着されて連結され、外側のアーム14下端部が閉塞板5a上に設けられた案内レール18aに沿って摺動するよう構成されている。実際には、外側のアーム14の下端部にはローラ19aが取り付けられ、案内レール18a上を転動することで、外側のアーム14のスムーズな移動が可能となっている。
【0018】
X型伸縮機構11は昇降台2に対して、上段のX状リフトアーム15の内側のアーム14上端部が昇降台2の長手方向端部に軸着されて連結され、外側のアーム14上端部が昇降台2下面に設けられた案内レール18bに沿って摺動するよう構成されている。実際には、外側のアーム14の上端部にはローラ19bが取り付けられ、案内レール18b上を転動することで、外側のアーム14のスムーズな移動が可能となっている。そして、前後に配置されたX型伸縮機構11,11は対向するように配置されている。
【0019】
油圧シリンダ12は、下段のX状リフトアーム15の一対の内側のアーム14,14間に掛け渡された下ブリッジ片17aと、上段X状リフトアーム15の一対の内側アーム14,14間に掛け渡された上ブリッジ片17bとの間に配置され、油圧シリンダ12のピストンロッド12aを伸張させると、上下ブリッジ片17a,17b同士が引き離されて上下のX状リフトアーム15、15が伸張され、X型伸縮機構11が伸張動作する。その結果、昇降台2がリフトアップする。
【0020】
図3は図1のA部の拡大図であり、X型伸縮機構11と昇降台2の間に設けた降下止め装置4を拡大した図を示している。また、図4は昇降台2を斜め下から見た図、図5は図4のB部の拡大図で、降下止め装置4を拡大している。これらの図を基に降下止め装置4を説明する。
降下止め装置4は、X型伸縮機構11上端部と昇降台2下面に設けられ、鋸歯状に複数の係止溝21bを直線状に備えたラック21と、昇降台2下面を摺動する外側のアーム14に設けられた係止爪22とで構成され、係止爪22がラック21へ係止することで外側のアーム14の摺動を阻止して昇降台2の降下が阻止される。そして、係止爪22に隣接して係止を解除させる解除装置としてのエアシリンダ23が設けられている。
【0021】
ラック21は外側のアーム14の摺動方向である昇降台2の長手方向に平行に2本設置され、係止爪22も同様に2個設置されている。係止爪22は、摺動する一対の外側のアーム14,14の上部間に掛け渡したブリッジ片24上に設置されている。
図6は、このブリッジ片24に組み付けられた係止爪22とエアシリンダ23のアセンブリを抜き出した斜視図を示している。この図6に示すように、一対の係止爪22,22は、基部がブリッジ片24に固定された軸棒27に固着され、連動するよう構成されている。そして係止爪22は、ブリッジ片24に固定された部材との間でコイルバネ30が取り付けられ、係止片22が常時ラック21と係合する方向へ付勢されるよう構成されている。
【0022】
更に、係止爪22の係止する爪部22aが形成された頭部間は、連結板28により連結され、この連結板28の中央にエアシリンダ23が取り付けられている。エアシリンダ23は、ピストンロッド23aが上方に突出するよう配置され、突出動作で昇降台2を押圧して自身は下方に移動するよう動作する。
尚、ブリッジ片24にはラック21に一体形成されているレール溝21aに係合して係止爪22の安定した係止動作を維持させるガイド部材32が組み付けられている。
【0023】
図7、図8は図2のC部を拡大した説明図であり、ラック21と係止爪22の関係を示している。図7は係止爪22がラック21に係止した状態、図8はエアシリンダ23の作用により係止爪22の係止が解除された状態を示している。何れも、(a)はラック21と係止爪22の関係を示し、(b)は昇降台2とエアシリンダ23の関係を示している。
この図7に示すように、エアシリンダ23のピストンロッド23aが突出しない状態では、エアシリンダ23が昇降台2に係合しないため、コイルバネ30の作用で係止爪22がラック21の何れかの係止溝21bに係止する。この係止した状態では、所定の一方向への移動が規制され、外側のアーム14の摺動は阻止される。
【0024】
具体的に、図7に示す係止状態において、図示左方向へ係止爪22が移動しようとしても、係止爪22はラック21に係止しているため、係止解除操作しない限り移動しない。しかし、矢印Pに示す方向(昇降台2が上昇する場合)に外側のアーム14が移動する場合、係止爪22の支点となる軸棒27と、作用点となる係止爪22先端の爪部22aの関係から、ラック21に係止爪22が係合した状態にあっても、係止爪22は回動して順次ラック21のレール溝21bを移動する。
こうして、リフト降下時は降下止め装置4の外側のアーム14の摺動を阻止する機能が発揮されるが、リフト上昇時は摺動を阻止する機能を発揮しないよう構成されている。そのため、リフトアップ中に故障等で停止しても昇降台2が自然に降下するような事態を防止できる。
【0025】
そして、図8に示すように、エアシリンダ23のピストンロッド23aが突出すると、その先端が昇降台2裏面に当接して押圧し、エアシリンダ23が下方へ移動する。その結果、係止爪22がコイルバネ30の付勢に抗して下方へ回動し、ラック21との係合が外れ、外側のアーム14は自由な摺動(ローラ19bの転動による前後移動)が可能となる。
【0026】
次に、このように構成された車両整備用リフトの動作について説明する。まず、昇降台2を最下位置まで下げ、フリーホイールリフト装置7も下げる。この時、昇降装置3及び昇降台2の下部はピット1内に収容され、昇降台2全体が作業床5とほぼ同一の高さとなる。この状態で、昇降台2の上に車両(図示せず)を移動してタイヤを乗せたら、リフトアップ動作にはいる。
リフトアップは、図示しない操作部を操作して行われ、最初に車止め10が車止め動作し、次にベースリフト機構6が閉塞板5aを上昇させて、その上部に設置された昇降台2及び昇降装置3を上昇させる。その後油圧シリンダ12を作用させてX型伸縮機構11を伸張させる。尚、このベースリフト機構6の上昇は左右同時に実施されるし、油圧シリンダ12の駆動は4本同時に実施される。
【0027】
こうして、閉塞板5aが作業床5の高さまでせり上がり、その後車両を乗せた昇降台2が上昇する。尚、このX型伸縮機構11の伸張時は、エアシリンダ23は作用せず、ラック21に係止爪22が当接させた状態で実施される。
【0028】
リフトアップ動作が終了したら、その後、必要に応じてフリーホイールリフト装置7を動作させる。
【0029】
リフトダウンさせる場合は、操作部の所定の操作で、まずエアシリンダ23を動作させて係止爪22が引き下げられ、ラック21との係止が解除される。そして、油圧シリンダ12の伸張させたピストンロッド12aを収縮させる。こうしてX型伸縮機構11は収縮して昇降台2はリフトダウンする。
昇降台2のリフトダウンが終了したら、閉塞板5aが降下して昇降台2の下部がピット1内へ収容され、昇降台2が作業床5と略同一の高さとなる。最後に車止め10が倒れて車両の移動が可能となり、リフトアップ前の最初の状態に戻り終了する。
【0030】
このように、降下止め装置4はアーム14上部と昇降台2下面との間に配置されるので、X型伸縮機構11を伸縮させる油圧シリンダ12と一体に設ける必要がない。よって、降下止め装置4をメンテナンス或いは交換する場合に、油圧シリンダ12を取り外す等の大がかりな作業を必要としない。そのため、X型伸縮機構11を伸張させてリフトアップした状態でメンテナンスすることも可能となり、大型車両用のリフトであってもメンテナンス作業がし易い。更に、降下止め装置4は、油圧シリンダ12とは独立して配置できるため、既設のリフトに対しても大きな設計変更すること無く組み付けることが可能である。
また、係止爪22に連結されたエアシリンダ23が、ラック21と係止爪22との係止解除操作をするため、解除装置をコンパクトな構成にできる。
【0031】
更に、X型伸縮機構11は、X字状に組み合わせたアームの組15aを上下2段備えるので、個々の部材を大型化することなく、作業者が立った状態で作業することが可能な高さまでリフトアップすることが可能となるし、個々のアームの組15aは鏡面配置されて対を成すため、X型伸縮機構11が2段から成るX状リフトアーム15で構成されても安定して伸縮動作する。
また、個々の昇降台2は前後2機のX型伸縮機構11により昇降動するので、大型車両であってもリフトアップが可能となるし、降下止め装置4を個々のX型伸縮機構11に設けるため、何れかのX型伸縮機構11が自然収縮して昇降台2が傾くようなこともない。
また、左右のアーム14に対して降下止め装置4を中間に設けて作用させるので、降下止め装置4に加わる応力は左右からバランスされて加わり、最小限に抑えることができる。
【0032】
尚、上記実施形態では、X型伸縮機構11をX状リフトアーム15を2段連結して形成したが、勿論1段で形成しても良い。逆に、3段或いはそれ以上の段数を連結して形成することも可能である。また、ラック21と係止爪22の組を2組設けて1つの降下止め装置4を形成したが、1組で構成しても良い。
更に、X状リフトアーム15の内側のアーム14を昇降台2或いは閉塞板5aに連結し、外側のアーム14を摺動させているが、逆であっても良い。また、係止爪22の係止を解除する解除装置は、エアシリンダ23でなくとも良く、当然油圧シリンダでも良いし、突出部をモータ駆動しても良い。
【符号の説明】
【0033】
2・・昇降台、3・・昇降装置、4・・降下止め装置、5a・・閉塞板、11・・X型伸縮機構、12・・油圧シリンダ、12a・・ピストンロッド(突出部)、14・・アーム、15・・X状リフトアーム、15a・・アームの組、21・・ラック、22・・係止爪、23・・エアシリンダ(解除装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置する左右一対の昇降台を、アームをX字状に組み合わせて伸縮可能に構成したX型伸縮機構により昇降動させる車両整備用リフトであって、
前記X型伸縮機構と前記昇降台の連結部が、X字を成すアームの組のうち一方のアームの上端を前記昇降台下部に軸着し、他方のアームの上端を前記昇降台下面に摺動可能に当接させて構成され、
前記昇降台と前記アーム間に前記昇降台の自然降下を防止する降下止め装置を設け、
前記降下止め装置は、前記昇降台下面に配置されて前記他方のアームの摺動方向に鋸状に複数の係止溝を備えたラックと、前記他方のアームに設けられて前記ラックの係止溝に係止する係止爪とを有し、
前記ラックに前記係止爪が係止して、前記他方のアームの摺動を禁止して前記昇降台の降下を防止することを特徴とする車両整備用リフト。
【請求項2】
降下止め装置による前記昇降台の降下防止を解除する解除装置を備え、
前記解除装置は前記係止爪に連結され、前記昇降台の下面を押圧するよう突出動作して前記係止爪を前記ラックから引き離して係止を解除させる突出部を有することを特徴とする請求項1記載の車両整備用リフト。
【請求項3】
前記X型伸縮機構は、X字状に組み合わせたアームの組を左右に鏡面配置して形成したX状リフトアームを上下2段備えて構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両整備用リフト。
【請求項4】
前記一対の昇降台は夫々前後に前記X型伸縮機構を配置して昇降動し、個々のX型伸縮機構に対して前記降下止め装置が配置されることを特徴とする請求項3記載の車両整備用リフト。
【請求項5】
前記係止爪は、前記鏡面配置した左右2本のアームの間に掛け渡されたブリッジ片に組み付けられたことを特徴とする請求項3又は4記載の車両整備用リフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−16618(P2011−16618A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161976(P2009−161976)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(390018326)株式会社スギヤス (35)