説明

車両用イグニッションスイッチ

【課題】キー操作に応じたロータの回動を可能として該ロータを嵌合せしめるシリンダ孔を有するボディに、固定接点を有するスイッチケースが取付けられ、固定接点に接触し得る可動接点を保持する接点ホルダが、ロータに連動、連結されてスイッチケース内に収容され、スイッチケースの一部を覆うカバー部材に、固定接点に連なってスイッチケースから突出する端子を覆うカプラの少なくとも一部が一体に形成される車両用イグニッションスイッチにおいて、ボディに対するスイッチケースおよびカバー部材の組付け性を高める。
【解決手段】接点ホルダを内蔵せしめたスイッチケース33と、カプラ35cの全体が一体に形成されるとともにスイッチケース33に係合されるカバー部材35とで構成されるスイッチ組立ユニット75が、ボディに取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー操作に応じたロータの回動を可能として該ロータを嵌合せしめるボディに、固定接点を有するスイッチケースが取付けられ、前記固定接点に接触し得る可動接点を保持する接点ホルダが、前記ロータに連動、連結されて前記スイッチケース内に収容され、前記スイッチケースの一部を覆うカバー部材に、前記固定接点に連なって前記スイッチケースから突出する端子を覆うカプラの少なくとも一部が一体に形成される車両用イグニッションスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用イグニッションスイッチは、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−210284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されるものでは、接点ホルダを内蔵したスイッチケースをボディに取付けた後、スイッチケースの一部を覆うカバー部材をボディに取り付ける構造であり、スイッチケースおよびカバー部材をボディに別々に取り付ける必要があり、組み付け作業が煩雑である。
【0005】
しかも上記特許文献1で開示されるものでは、カプラが、ボディに一体に形成されたカプラ半部と、カバー部材に一体に形成されるカプラ半部とから成る2分割構造に構成されており、両カプラ半部を相互に組み付ける作業も必要となり、ボディに対するスイッチケースおよびカバー部材の組み付け性が優れているとは言い難い。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ボディに対するスイッチケースおよびカバー部材の組付け性を高めた車両用イグニッションスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、キー操作に応じたロータの回動を可能として該ロータを嵌合せしめるボディに、固定接点を有するスイッチケースが取付けられ、前記固定接点に接触し得る可動接点を保持する接点ホルダが、前記ロータに連動、連結されて前記スイッチケース内に収容され、前記スイッチケースの一部を覆うカバー部材に、前記固定接点に連なって前記スイッチケースから突出する端子を覆うカプラの少なくとも一部が一体に形成される車両用イグニッションスイッチにおいて、前記スイッチケースと、該スイッチケースに収容される前記接点ホルダと、前記カプラの全体が一体に形成される前記カバー部材とをユニット化して成るスイッチ組立ユニットが、前記接点ホルダを前記ロータに連動、連結するようにして前記ボディに取付けられることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記カバー部材および前記スイッチケースが複数の係合部で相互に係合され、前記スイッチ組立ユニットの前記ボディへの取付け状態で前記係合部を外側から覆う係合解除阻止部が、前記係合部の係合解除を阻止するようにして前記ボディに一体に設けられることを第2の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記スイッチケースに設けられる第1の水抜き孔の下方に位置する第2の水抜き孔が、第1の水抜き孔に通じるようにしつつ前記カバー部材に設けられることを第3の特徴とする。
【0010】
なお実施の形態の第2係合部64が本発明の係合部に対応する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、スイッチケース、接点ホルダおよびカバー部材をユニット化して構成したスイッチ組立ユニットをボディに取り付けるようにしているので、ボディに対してスイッチケースおよびカバー部材を別々に取り付ける必要がなく、組み付け作業性を高めることができる。しかもカバー部材に、カプラの全体が一体に形成されるので、ボディに対してカプラを組み付けるための作業が不要であり、ボディに対するスイッチケースおよびカバー部材の組み付け作業性をより高めることができる。
【0012】
また本発明の第2の特徴によれば、ボディに一体に設けられる係合解除阻止部が、スイッチ組立ユニットのボディへの取付け状態でカバー部材およびスイッチケースの係合部を外側から覆って係合部の係合解除を阻止するので、スイッチケースへのカバー部材の組付けを容易とした上で、ボディにスイッチ組立ユニットが取付けられた状態ではスイッチケースからカバー部材が外れてしまうことを確実に阻止することができる。
【0013】
さらに本発明の第3の特徴によれば、スイッチケースに設けられた第1の水抜き孔に通じる第2の水抜き孔が第1の水抜き孔よりも下方でカバー部材に設けられるので、スイッチケース内に水が浸入したとしても第1および第2の水抜き孔から排出することができ、スイッチケース内に水が溜まることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両用ステアリングロック装置の正面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2の4矢視図である。
【図5】第2ケース半体およびカバー部材の分解斜視図である。
【図6】カバー部材の一部を切欠いてスイッチ組立ユニットを示す斜視図である。
【図7】図4の7−7線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付の図1〜図7を参照しながら説明すると、先ず図1〜図4において、たとえば自動二輪車のヘッドパイプ(図示せず)には金属製のボディ11が取付けられており、このボディ11にはLOCK位置およびOFF位置間での回動時にはプッシュ操作を伴うことを条件としてLOCK位置、OFF位置およびON位置を順次占めるように回動し得るロータ12が回動可能に嵌合されるとともに、ロータ12の回動動作に応じてスイッチ態様を変化するイグニッションスイッチ13が取付けられ、さらにロータ12の回動に応じて転舵操作の許容および阻止を切換えるロック部材14がスライド可能に支承される。
【0016】
前記ボディ11には、該ボディ11の一端(図2および図3の左端)に一端を開口するシリンダ孔15と、シリンダ孔15の他端に連なるとともにボディ11の側面に開放する凹部16と、該凹部16との間に隔壁18を介在させてボディ11の他端(図2および図3の右端)に開放する有底のスイッチ収容孔17とが設けられ、ボディ11の側面には、該ボディ11との間に収容室19を形成するようにして前記凹部16の開口端を覆う蓋板20が取付けられる。
【0017】
前記シリンダ孔15は、前記ボディ11の一端に開放する大径シリンダ孔部15aと、大径シリンダ孔部15aよりも小径にして大径シリンダ孔部15aの他端に一端が同軸に連なる小径シリンダ孔部15bとから成り、大径シリンダ孔部15aの他端および小径シリンダ孔部15bの一端間には環状の段部15cが形成される。
【0018】
ロータ12は、正規のメカニカルキー21を挿入せしめるための有底のキー孔22を有して前記シリンダ孔15の小径シリンダ孔部15bに摺動可能に嵌合されるロータ部12aと、前記シリンダ孔15の大径シリンダ孔部15aに摺動可能に嵌合されるとともに前記ロータ部12aの一端部から半径方向外方に張り出す鍔部12bと、前記ロータ部12aの他端に連なってクランク状に形成されるとともに前記収容室19に収容される駆動部12cと、前記ロータ部12aと同軸にして前記駆動部12cに連なる軸部12dと、該軸部12dに連なる連結軸部12eとを一体に有し、前記鍔部12bは、LOCK位置およびOFF位置間での回動時にロータ12をプッシュする際に前記段部15cに当接してロータ12の後退限を規制するようにしながら前記段部15cに前方(図2および図3の左方)から対向して配置され、前記軸部12dの一部は、前記隔壁18に設けられた貫通孔23に回動可能かつ軸方向の移動を可能として挿通される。
【0019】
前記ロータ12におけるロータ部12aの一端部にはキャップ24が嵌着されており、このキャップ24には前記キー孔22に連なるキー挿入孔25が設けられる。前記ロータ12の一端部には、キー挿入孔25を内方から閉じるシャッター板26が回動可能に支承され、このシャッター板26は、メカニカルキー21がキー挿入孔25に挿入されたときにはキー挿入孔25を開くようにして、図示しないばねによってキー挿入孔25を閉じる側に付勢される。
【0020】
また前記ボディ11には、前記ロータ12におけるロータ部12aのうち前記キャップ24が嵌着される部分を囲繞する円筒部27aを一端部に有する合成樹脂製のボディカバー27が取付けられており、前記ロータ12における鍔部12bが前記円筒部27aに当接することで、ロータ12の前進限が規制される。
【0021】
ボディ11のシリンダ孔15における小径シリンダ孔部15bの内面には、軸方向に延びる一対の係合溝28,28が設けられており、ロータ部12aには、正規のメカニカルキー21をキー孔22に挿入するのに応じて前記係合溝28…との係合を解除する複数のタンブラー29…が、前記係合溝28…に係合する方向に弾発付勢されながら配設される。
【0022】
またロック部材14は、前記ロータ12の軸線と直交する平面内でスライド作動することを可能としてボディ11に支承されており、前記収容室19内で、前記ロータ12の駆動部12cに連結される。すなわちロック部材14には、前記駆動部12cを挿通せしめる連結孔30が設けられるものであり、ロック部材14およびボディ11間には、ステアリングシャフトとの係合を解除する側に前記ロック部材14を付勢するばね31が設けられる。
【0023】
而して前記駆動部12cがクランク状に形成されていることにより、ロータ12がLOCK位置およびOFF位置間で回動するのに伴って、ロック部材14がスライド駆動されるものであり、ロータ12のLOCK位置では図示しないステアリングシャフトに係合して転舵操作を阻止すべく突出位置にあったロック部材14が、OFF位置では前記ステアリングシャフトとの係合を解除することで転舵操作を許容すべく図3で示す位置まで後退することになる。
【0024】
前記イグニッションスイッチ13のスイッチケース33は、前記ボディ11のスイッチ収容孔17に嵌合されるようにしてボディ11に取付けられるものであり、前記スイッチケース33内には、前記ロータ12の連結軸部12eに連動、連結される接点ホルダ34がロータ12の回動に応じて回動するようにして収容され、前記スイッチケース33の一部はカバー部材35で覆われる。
【0025】
前記スイッチ収容孔17は、前記収容室19との間に介在する前記隔壁18側から順に、前記貫通孔23と同軸の小径孔部17aと、小径孔部17aよりも大径に形成されて小径孔部17aに同軸に連なる大径孔部17bとから成るものであり、前記スイッチケース33は、前記スイッチ収容孔17に嵌合される合成樹脂製の第1ケース半体36と、前記隔壁18とは反対側で第1ケース半体36に取付けられる合成樹脂製の第2ケース半体37とから成る。
【0026】
第1ケース半体36は、隔壁18に当接する端壁部36aを一端部に有するとともに前記スイッチ収容孔17の内周に対応した外周を有して段付きの有底円筒状に形成されており、前記端壁部36aの中央部には、前記隔壁18の貫通孔23と同軸であって該貫通孔23よりも大径である透孔38が設けられる。また前記端壁部36aの外面には、前記透孔38と同軸のリング状である嵌合突部36bが一体に突設されており、前記隔壁18には、前記嵌合突部36bを嵌合せしめるリング状の嵌合凹部39が設けられる。
【0027】
図5を併せて参照して、第2ケース半体37は、第1ケース半体36の前記端壁部36aとは反対側の開放端部すなわち他端部に当接するようにして基本的には矩形の平板状に形成されており、第1ケース半体36の他端部に嵌合される短円筒状の嵌合筒部37aが第2ケース半体37に一体に設けられる。
【0028】
第1ケース半体36および第2ケース半体37は、それらのケース半体36,37間に接点ホルダ34を収容するようにして複数の第1係合部40…で相互に係合されるものであり、この実施の形態では、第1ケース半体36の周方向に等間隔をあけた2箇所の第1係合部40…で第1ケース半体36および第2ケース半体37が相互に係合される。
【0029】
図6を併せて参照して、第1係合部40…は、第1係合孔41…を形成するようにして第1ケース半体36に一体に設けられる第1係合腕部42…と、第1係合孔41…に係合するようにして第2ケース半体37に一体に突設される第1係合突起43…とから成るものであり、第1係合腕部42…は、第1ケース半体36の他端部の外周の周方向に等間隔をあけた2箇所から第2ケース半体37側に延出される。一方、第2ケース半体37の側部外面には、図5で明示するように、第1係合腕部42…を配置するための溝44…が設けられており、第1係合突起43…は、前記溝44…に配置された第1係合腕部42…の第1係合孔41…に係合するようにして第2ケース半体37に一体に突設される。
【0030】
而して第2ケース半体37の嵌合筒部37aを第1ケース半体36に嵌合せしめるようにして第1および第2ケース半体36,37を相互に当接させると、第1ケース半体36の第1係合腕部42…の先端部が撓みつつ第2ケース半体37の第1係合突起43…を乗り越え、第1係合突起43…が第1係合腕部42…に弾発的に係合することで第1および第2ケース半体36,37が相互に組付けられてスイッチケース33が構成されることになる。
【0031】
前記スイッチケース33のうち第2ケース半体37の内面には、一対ずつ2組の固定接点45A,45B;46A,46Bが固設される。それらの固定接点45A,45B;46A,46Bは、第2ケース半体37に埋設される複数のバスバーの一部で形成されており、それらのバスバーは、前記固定接点45A,45B;46A,46Bに個別に連なる端子47A,47B;48A,48Bをも形成する。それらの端子47A,47B;48A,48Bは、ヘッドパイプに取付けられたボディ11にスイッチケース33が取付けられた状態では前記接点ホルダ34の回動軸線と直交する方向に並列しつつ下方を向くようにして第2ケース半体37から突出されるものであり、それらの端子47A,47B;48A,48Bの基部を支持するための端子支持部37bが、前記両溝44…との間の周方向間隔を等しくした位置で第2ケース半体37の側部に一体に設けられ、端子支持部37bは、第2ケース半体37の嵌合筒部37aとの間に、ボディ11の他端部および第1ケース半体36の他端部を挟むように形成される。
【0032】
前記接点ホルダ34には、対をなして第2ケース半体37の内面に固設される固定接点45A,45B;46A,46Bに接触し得る一対の可動接点49,50が保持される。それらの可動接点49,50は接点ホルダ34の回動軸線に沿う方向での移動を可能として第1ケース半体36に保持されており、第1ケース半体36および可動接点間49,50には、可動接点49,50を第2ケース半体37側に付勢するばね51,52が設けられる。
【0033】
ところで前記ロータ12の連結軸部12eは、横断面矩形の形状を有するように形成されるものであり、前記隔壁18の貫通孔23を貫通する横断面円形の前記軸部12dおよび前記連結軸部12e間には、接点ホルダ34側に臨む段部12f(図2参照)が形成される。また前記接点ホルダ34の中央部には連結筒部34aが一体に設けられており、この連結筒部34a内には、前記連結軸部12eを相対回動不能に嵌合せしめる有底の連結孔55が、横断面矩形の形状を有するように形成される。而して前記連結軸部12eが連結孔55に嵌合されることで接点ホルダ34がロータ12に相対回動不能に連動、連結される。したがってロータ12の回動に応じて接点ホルダ34もスイッチケース33内で回動することになり、それによって前記可動接点49,50および前記固定接点45A,45B;46A,46Bの連通・遮断状態が切換られてスイッチング態様が変化することになる。
【0034】
しかもロータ12の軸部12dおよび連結軸部12e間の前記段部12fに当接するばね受け板56と、前記接点ホルダ34との間には前記連結筒部34aを囲繞するコイルばねである戻しばね57が縮設されており、この戻しばね57が発揮するばね力によって前記ロータ12は鍔部12bを前記ボディカバー27の円筒部27aに当接させる側すなわち前進側に付勢されることになる。
【0035】
また前記スイッチケース33の第1ケース半体36と、前記接点ホルダ34との間には、接点ホルダ34の回動に節度感を持たせるためのクリック機構58が設けられており、このクリック機構58は、前記接点ホルダ34の周方向に等間隔をあけた2箇所に設けられて第1ケース半体36の端壁部36a側に開放する有底のばね収容孔59…と、それらのばね収容孔59…の開口端部に保持される球体60…と、各球体60…の一部を前記ロータ12のLOCK,OFFおよびONの各位置で嵌合させるようにして前記端壁部36aに設けられる凹部61…と、前記球体60…および前記接点ホルダ34との間に介在するようにして前記ばね収容孔59…に収容されるばね62…とで構成される。
【0036】
前記カバー部材35は、第2ケース半体37を外方から覆う矩形の平板部35aと、第2ケース半体37の側部のうち前記端子支持部37bが設けられる部分側を側方から覆うようにして略U字状に形成されて前記平板部35aの周縁部に直角に連設される側壁部35bと、第2ケース半体37の端子支持部37bならびに該端子支持部37bから突出される端子47A,47B;48A,48Bを収容、配置するようにして前記側壁部35bから突出する筒状のカプラ35cとを一体に有しており、カバー部材35にカプラ35cの全体が一体に形成される。
【0037】
このカバー部材35は、前記ロータ12および前記接点ホルダ34の回動軸線に直交するスライド方向63(図5参照)での前記スイッチケース33に対するスライド動作で前記スイッチケース33の第2ケース半体37に係合されるものであり、前記スイッチケース33の第2ケース半体37およびカバー部材35は、複数箇所たとえば2箇所の第2係合部64,64で相互に係合される。
【0038】
図7を併せて参照して、第2係合部64…は、第2係合孔65…を形成するようにしてカバー部材35に一体に設けられる第2係合腕部66…と、第2係合孔65…に係合するようにして第2ケース半体37に一体に突設される第2係合突起67…とから成るものであり、第2係合腕部66…は、図5で示すように、カバー部材35における側壁部35bの両端から前記スライド方向63に沿って前記カプラ35cとは反対側に延出される。一方、第2ケース半体37の側部外面には、図5で示すように、第2係合腕部66…の第2係合孔65…に係合するようにして第2係合突起67…が一体に突設される。
【0039】
而して第2ケース半体37の端子支持部37bおよび端子47A,47B;48A,48Bをカプラ35c内に収容するようにしてカバー部材35を第2ケース半体37に対してスライド方向63にスライドさせることにより、第2係合腕部66…と、第2係合腕部66…に弾発的に係合する第2係合突起67…とから成る第2係合部64…で、カバー部材35がスイッチケース33の第2ケース半体37に係合されることになる。
【0040】
また前記スイッチケース33の第2ケース半体37および前記カバー部材35間には、第2ケース半体37に対するカバー部材35の前記スライド作動をガイドするガイド機構68が設けられており、このガイド機構68は、前記スライド方向63に沿って延びるようにして第2ケース半体35の外面に突設される一対の第1ガイド突部69…と、第1ガイド突部69…をスライド可能に嵌合させるようにして前記カバー部材35における平板部35aの内面に設けられて前記スライド方向63に沿って延びる一対の第1ガイド凹部70…と、前記スライド方向63に沿って延びるようにして第2ケース半体35の両側部に突設される一対の第2ガイド突部71…と、第2ガイド突部71…をスライド可能に嵌合させるようにして前記カバー部材35における側壁部35bの内面に設けられて前記スライド方向に延びる一対の第2ガイド凹部72…とで構成される。
【0041】
而して前記スイッチケース33と、該スイッチケース33に収容される前記接点ホルダ34と、前記カバー部材35とは、図6で示すようにユニット化されてスイッチ組立ユニット75を構成するものであり、このスイッチ組立ユニット75が、前記接点ホルダ34を前記ロータ12に連動、連結するようにして前記ボディ11に取付けられる。
【0042】
ところで基本的に矩形状である第2ケース半体37の4つの隅角部のうち2つの隅角部で第2ケース半体37の外面から突出するボス部37c…が、カバー部材35における平板部35aの内面に当接するようにして第2ケース半体27に一体に設けられており、それらのボス部37c…で形成される挿通孔76…に対応する挿通孔77…がカバー部材35の平面部35aに設けられる。
【0043】
前記ボディ11には、その他端部から外側方に張り出すフランジ部11aが一体に設けられており、前記スイッチ組立ユニット75は、そのスイッチ組立ユニット75の一部を構成する第1ケース半体36をボディ11のスイッチ収容孔17に挿入するとともに第2ケース半体37のうち第1ケース半体36からはみ出した部分を前記フランジ部11aに当接させるようにしてボディ11に取付けられるものであり、前記挿通孔76…,77…に挿通されるねじ部材78…が、前記フランジ部11aに設けられるねじ孔(図示せず)に螺合され、それらのねじ部材78…を締めつけることでスイッチ組立ユニット75がボディ11に取付けられる。すなわちスイッチ組立ユニット75の一部を構成して接点ホルダ34を収容するスイッチケース33のうち第2ケース半体37がボディ11にねじ部材78…で取付けられ、スイッチ組立ユニット75の残部を構成するカバー部材35が、第2ケース半体37との共締めで前記ねじ部材78…によってボディ11に取付けられることになる。
【0044】
而してボディ11のスイッチ収容孔17における大径孔部17bの内面には、第1ケース半体36に一体に設けられた第1係合腕部42…の一部を収容するための収容凹部79…が軸方向に延びるようにして設けられる。
【0045】
図7を併せて参照して、また前記ボディ11には、前記スイッチ組立ユニット75がボディ11に取付けられた状態で前記カプラ35cとは反対側から第2ケース半体37を覆うカバー部11b、すなわちヘッドパイプに取付けられたボディ11に前記スイッチ組立ユニット75が取付けられた状態では第2ケース半体37を上方から覆うカバー部11bが一体に設けられ、そのカバー部11bの両端に一体に連なる係合解除阻止部11c,11cが、第2係合部64,64の係合解除を阻止すべく第2係合部64…を外側から覆うようにして前記ボディ11に一体に設けられる。
【0046】
また第1ケース半体36の他端部には、前記カプラ35cとは反対側に配置される位置決め突起80が突設されており、その位置決め突起80を嵌合せしめる位置決め凹部81が前記カバー部11bの内面に設けられる。
【0047】
前記スイッチケース33の第2ケース半体37には、ボディ11およびロータ12間の間隙および接点ホルダ34を経て第2ケース半体37側に流れて来た水を外部に排出するための第1の水抜き孔82が設けられており、ヘッドパイプに取付けられたボディ11に前記スイッチ組立ユニット75が取付けられた状態で第1の水抜き孔82の下方に位置する第2の水抜き孔83が、第1の水抜き孔82に通じるようにしつつ前記カバー部材35に設けられている。
【0048】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、スイッチケース33と、該スイッチケース33に収容される接点ホルダ34と、カバー部材35とをユニット化して成るスイッチ組立ユニット75が、接点ホルダ34をロータ12に連動、連結するようにしてボディ11に取付けられるので、ボディ11に対してスイッチケース33およびカバー部材35を別々に取り付ける必要がなく、組み付け作業性を高めることができる。しかもカバー部材35に、カプラ35cの全体が一体に形成されるので、ボディ11に対してカプラ35cを組み付けるための作業が不要であり、ボディ11に対するスイッチケース33およびカバー部材35の組み付け作業性をより高めることができる。
【0049】
またカバー部材35およびスイッチケース33の第2ケース半体37が一対の第2係合部64…で相互に係合され、スイッチ組立ユニット75のボディ11への取付け状態で第2係合部64…を外側から覆う係合解除阻止部11c…が、第2係合部64…の係合解除を阻止するようにしてボディ11に一体に設けられるので、スイッチケース33へのカバー部材35の組付けを容易とした上で、ボディ11にスイッチ組立ユニット75が取付けられた状態ではスイッチケース33からカバー部材35が外れてしまうことを確実に阻止することができる。
【0050】
またスイッチケース33の第2ケース半体37に設けられる第1の水抜き孔82の下方に位置する第2の水抜き孔83が、第1の水抜き孔82に通じるようにしつつ前記カバー部材35に設けられるので、スイッチケース33内に水が浸入したとしても第1および第2の水抜き孔82,83から排出することができ、スイッチケース33内に水が溜まることを防止することができる。
【0051】
また前記カバー部材35は、ロータ12の回動軸線に直交するスライド方向63での前記スイッチケース33に対するスライド動作で前記スイッチケース33に係合されるので、組み付け寸法を確保するためにスイッチケース33をロータ12の回動軸線に沿う方向に大型化することが不要であり、スイッチケース33すなわちイグニッションスイッチ13の小型化を図ることができる。
【0052】
また合成樹脂から成る前記カバー部材35に、前記スライド方向63に延びる第2係合腕部66…が一体に設けられ、前記スイッチケース33の第2ケース半体37に、第2係合腕部66…に弾発的に係合する第2係合突起67…が一体に設けられるので、スイッチケース33にカバー部材35を係合させるにあたり、スイッチケース33に係合腕部が設けられるのに比べてスイッチケース33の小型化を図ることができる。
【0053】
さらにスイッチケース33およびカバー部材35間に、スイッチケース33に対するカバー部材35のスライド作動をガイドするガイド機構68が設けられるので、スイッチケース33へのカバー部材35のスライド係合を容易に行うことができる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0055】
11・・・ボディ
11c・・・係合解除阻止部
12・・・ロータ
13・・・イグニッションスイッチ
33・・・スイッチケース
34・・・接点ホルダ
35・・・カバー部材
35c・・・カプラ
45A,45B,46A,46B・・・固定接点
47A,47B,48A,48B・・・端子
49,50・・・可動接点
64・・・係合部である第2係合部
75・・・スイッチ組立ユニット
82・・・第1の水抜き孔
83・・・第2の水抜き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー操作に応じたロータ(12)の回動を可能として該ロータ(12)を嵌合せしめるボディ(11)に、固定接点(45A,45B,46A,46B)を有するスイッチケース(33)が取付けられ、前記固定接点(45A,45B,46A,46B)に接触し得る可動接点(49,50)を保持する接点ホルダ(34)が、前記ロータ(12)に連動、連結されて前記スイッチケース(33)内に収容され、前記スイッチケース(33)の一部を覆うカバー部材(35)に、前記固定接点(45A,45B,46A,46B)に連なって前記スイッチケース(33)から突出する端子(47A,47B,48A,48B)を覆うカプラ(35c)の少なくとも一部が一体に形成される車両用イグニッションスイッチにおいて、前記スイッチケース(33)と、該スイッチケース(33)に収容される前記接点ホルダ(34)と、前記カプラ(35c)の全体が一体に形成される前記カバー部材(35)とをユニット化して成るスイッチ組立ユニット(75)が、前記接点ホルダ(34)を前記ロータ(12)に連動、連結するようにして前記ボディ(11)に取付けられることを特徴とする車両用イグニッションスイッチ。
【請求項2】
前記カバー部材(35)および前記スイッチケース(33)が複数の係合部(64)で相互に係合され、前記スイッチ組立ユニット(75)の前記ボディ(11)への取付け状態で前記係合部(64)を外側から覆う係合解除阻止部(11c)が、前記係合部(64)の係合解除を阻止するようにして前記ボディ(11)に一体に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用イグニッションスイッチ。
【請求項3】
前記スイッチケース(33)に設けられる第1の水抜き孔(82)の下方に位置する第2の水抜き孔(83)が、第1の水抜き孔(82)に通じるようにしつつ前記カバー部材(35)に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の車両用イグニッションスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146508(P2012−146508A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3914(P2011−3914)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000155067)株式会社ホンダロック (164)