説明

車両用サンシェード装置

【課題】巻取装置から引き出されたシェードの皺を低減すると共に、シェードが弛むことを防止する。
【解決手段】ローラ29を巻取装置近傍でシェード11の筒状部11aを介して案内棒17に車幅方向内側から当接させる。これにより、巻取装置から引き出されたシェード11の四隅を引出部材及びローラ29,29,・・・により保持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り・引出し可能なシェードで車両の窓部を覆って直射日光を遮る車両用サンシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のサンシェード装置として、例えば特許文献1には、巻取り・引出し方向と直交する幅方向両端部それぞれに、幅方向端縁部を折り返して成る筒状部を有するシェードと、シェードを巻取り・引出し可能に収納する巻取装置と、シェードの引出し方向端部にシェード幅方向に延設された引出部材と、それぞれシェード巻取り・引出し方向に延びて、シェード引出し方向端部が固定端とされると共に、シェード巻取り方向端部が自由端とされ且つ、シェードの筒状部に挿通される一対の案内棒とを備えたものが開示されている。このサンシェード装置では、巻取装置にシェードをロール状に巻き取ることができると共に、ロール状に巻き取られたシェードを巻取装置から案内棒に沿って引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−99031号公報(第5頁、図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示されたサンシェード装置では、シェードに筒状部が設けられているため、ロール状に巻き取られたシェードの幅方向両端部の厚みがその他の部分の厚みよりも厚くなり、シェードに皺が入ってしまう。そして、この皺が巻取装置から引き出されたシェードに残り、見栄えが悪くなってしまう。
【0005】
また、案内棒が片持ち支持されているため、シェードの巻取り・引出し動作の際に、案内棒がシェード幅方向内方に撓み、シェードが弛む虞がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シェードの幅方向両端部それぞれに筒状部が設けられ、各筒状部に片持ち支持の案内棒が挿通された車両用サンシェード装置において、巻取装置から引き出されたシェードの皺を低減すると共に、シェードが弛むことを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、それぞれローラを有する一対のローラ装置を車両窓部のシェード幅方向外側に対向配設し、各ローラ装置のローラを(巻取装置近傍で)シェードの筒状部を介して案内棒にシェード幅方向内側から当接させ、巻取装置から引き出されたシェードの四箇所(四隅)を引出部材及び両ローラ装置のローラにより保持した。
【0008】
具体的に、第1の発明では、車両用サンシェード装置は、巻取り・引出し方向と直交する幅方向両端部それぞれに、幅方向端縁部を折り返して成る筒状部を有し、車両の窓部を覆って直射日光を遮るシェードと、前記窓部のシェード巻取り方向外側に設けられ、前記シェードを巻取り・引き出し可能に収納する巻取装置と、前記シェードの引出し方向端部にシェード幅方向に延びるように設けられ、シェードの幅方向両端縁からはみ出した両端部にスライダ部を有し且つ、シェード巻取り・引出し方向に移動可能に構成され、シェードに張力を付与する引出部材と、前記窓部のシェード幅方向両外側にシェード巻取り・引出し方向に延びるように並設され、それぞれシェード引出し方向端部が固定端にされる一方、シェード巻取り方向端部が自由端にされ、前記シェードの筒状部に挿通される一対の案内棒と、前記窓部のシェード幅方向両外側に対向配設され、それぞれローラ及び該ローラが取り付けられる取付部を有する一対のローラ装置とを備え、前記各ローラ装置のローラは、前記巻取装置近傍で前記シェードの筒状部を介して前記案内棒とシェード幅方向内側から当接すると共に、シェードの巻取り・引出し動作に伴って回転することを特徴とする車両用サンシェード装置。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記各ローラ装置のローラは、シェードの前記巻取り・引出し方向及び幅方向に直交する表裏方向両側それぞれに設けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1又は2の発明において、前記窓部のシェード幅方向両外側にシェード巻取り・引出し方向に延びるように並設され、前記引出部材のスライダ部をシェード巻取り・引出し方向に移動可能に係合案内する一対のガイドレールをさらに備え、前記各ガイドレールは、シェード幅方向内方に開口した中空部材であり、前記各ガイドレール内には、前記案内棒が挿通され、前記各ガイドレールのシェード巻取り方向端部は、前記巻取装置近傍に位置すると共に、前記ローラ装置の取付部を構成し、その開口周縁部には、当該ローラ装置のローラが取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第1又は2の発明において、ワイヤを走行駆動する駆動装置と、前記ワイヤが掛け渡されるプーリ及び該プーリが取り付けられる取付座をそれぞれ有する複数のプーリ部材とをさらに備え、前記シェードは、前記引出部材のスライダ部が前記ワイヤに固定されて前記駆動装置によりシェード巻取り・引出し方向に移動可能に構成され、前記複数のプーリ部材の内、2つのプーリ部材は、前記巻取装置近傍における前記窓部のシェード幅方向両外側に対向配設され、前記各ローラ装置の取付部は、前記巻取装置近傍のプーリ部材の取付座と一体成形されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1又は2の発明において、前記窓部のシェード幅方向両外側にシェード巻取り・引出し方向に延びるように並設され、前記引出部材のスライダ部をシェード巻取り・引出し方向に移動可能に係合案内する一対のガイドレールをさらに備え、前記各ガイドレールは、前記窓部のシェード幅方向外側に立設されると共に、シェード巻取り・引出し方向に延びるガイド壁と、該ガイド壁からシェード幅方向内方に向かって突出すると共に、シェード巻取り・引出し方向に延びるガイド突起とを有し、前記各ガイドレールのガイド壁には、前記ローラ装置が取り付けられ、前記両ガイドレールのガイド突起には、前記引出部材のスライダ部がシェード巻取り・引出し方向に移動可能に取り付けられ、当該引出部材のスライダ部は、前記一対のローラ装置と干渉しないように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によると、引出部材により、シェードに張力が付与されると共に、各ローラ装置のローラと案内棒とが当接するように、シェードの幅方向両端部の筒状部が一対のローラ装置のローラによって案内棒に押し付けられるため、シェードに幅方向の張力が付与される。ここで、引出部材がシェードの引出し方向端部に幅方向全長に亘って設けられていると共に、両ローラ装置のローラが巻取装置近傍でシェードの筒状部を介して案内棒と当接しているため、巻取装置から引き出されたシェードの四箇所(四隅)が引出部材及び両ローラ装置のローラにより保持され、それによってシェードに対し均等に張力が付与される。これにより、巻取装置から引き出されたシェードの皺を低減することができる。
【0014】
また、各案内棒のシェード引出し方向端部が固定端にされ、シェード巻取り方向端部が自由端にされているため、例えば、シェードの巻取り・引出し動作の際に、各案内棒がシェード幅方向内方に撓み、シェードが弛み得るところ、各ローラ装置のローラが案内棒とシェード幅方向内側から当接しているため、両ローラ装置のローラにより上記両案内棒の撓みが規制され、シェードが弛むことは防止される。
【0015】
さらに、両ローラ装置のローラがシェードの巻取り・引出し動作に伴って回転するため、シェードをスムーズに巻取り・引出し方向に案内することができる。
【0016】
第2の発明では、シェードの表裏方向両側それぞれに設けられたローラがシェードの筒状部を介して案内棒と当接するから、シェードの皺を効果的に低減することができると共に、シェードが弛むことを確実に防止できる。また、これらのローラによって、シェードをよりスムーズに巻取り・引出し方向に案内することができる。
【0017】
第3の発明では、各ローラ装置のローラは、ガイドレールに取り付けられるため、両ローラ装置のローラを取り付けるための取付部を別途設ける必要がなく、部品点数を低減することができる。
【0018】
第4の発明では、プーリ部材の取付座が各ローラ装置の取付部を兼ねているため、上記第3の発明と同様に、両ローラ装置のローラを取り付けるための取付部を別途設ける必要がない。
【0019】
ガイドレールは、一般的に、引出部材のスライダ部をシェード巻取り・引出し方向に移動可能にするべく、断面が均一な長尺中空形状を有し、例えば押出し成形で製造される。こうした押出し成形で製造されたガイドレールに対し、上記第3の発明のように、ローラを取り付けるためには、ガイドレールを切り起こす等の後工程が必要になる場合がある。
【0020】
これに対し、第4の発明では、各ローラ装置の取付部が各プーリ部材の取付座に一体成形されているから、上記のような後工程は必要にならない。
【0021】
第5の発明では、引出部材のスライダ部がシェード巻取り・引出し方向に移動しても、一対のローラ装置と干渉しないから、引出部材が一対のローラ装置が設けられたシェード巻取り・引出し方向位置よりも巻取り方向側に位置するまでシェードを巻き取ることができる。従って、一対のローラ装置を異なるシェード巻取り・引出し方向位置に複数組設けることができ、こうすることで、ローラ装置のローラを、異なるシェード巻取り・引出し方向位置でシェードの筒状部を介して案内棒と当接させ、そのことにより、シェードの皺をより効果的に低減することができると共に、シェードが弛むことをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る車両用サンシェード装置が取り付けられた自動車のルーフを車室内から見た概略斜視図である。
【図2】実施形態1に係る車両用サンシェード装置を自動車のルーフから取り外して分解した概略斜視図である。
【図3】図1のIII部拡大図である。
【図4】実施形態1に係る車両用サンシェード装置のガイドレールと引出部材のスライダ部との係合状態を説明するための図である。
【図5】図3のV−V線端面図である。
【図6】図3のVI−VI線端面図である。
【図7】図1のVII部拡大図である。
【図8】図1のVIII部拡大図である。
【図9】図8のIX−IX線端面図である。
【図10】実施形態2に係る車両用サンシェード装置の図8相当図である。
【図11】図10のXI−XI線端面図である。
【図12】実施形態3に係る車両用サンシェード装置のガイドレールと引出部材のスライダ部との係合状態を説明するための図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV線端面図である。
【図15】実施形態4に係る車両用サンシェード装置の要部拡大図である。
【図16】実施形態4に係る車両用サンシェード装置の図10相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用サンシェード装置1が取り付けられた自動車のルーフ(パノラマルーフ)Rを車室内から見た概略斜視図であり、図2は、車両用サンシェード装置1をルーフRから取り外して分解した概略斜視図である。ルーフRには、車幅方向に延びる短辺と、車体前後方向に延びる長辺とを有する略矩形状の窓部Wが形成されている。この車両用サンシェード装置1は、巻取り・引出し可能なシェード11でルーフRの窓部Wを覆って直射日光を遮る装置である。
【0024】
ルーフRは、例えば二色成形により製造され、透明樹脂から成る透明パネルR1の窓部W対応領域以外の領域に不透明樹脂から成る不透明パネルR3が積層されて、透明パネルR1と不透明パネルR3とが一体化された構造を有する。透明パネルR1の材料としては、例えば、PC(ポリカーボネート)が、不透明パネルR3の材料としては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂がそれぞれ採用される。但し、透明パネルR1及び不透明パネルR3の材料は、これに限られない。
【0025】
ルーフRの窓部W外周囲(つまり、不透明パネルR3)には、車両用サンシェード装置1の各種部品を締結するための締結部R5が複数設けられている(図2には図示せず、図1,6,7,9参照)。
【0026】
車両用サンシェード装置1は、シェード11、巻取装置13、引出部材15、一対の案内棒17,17、一対のガイドレール19,19、駆動装置21、4つのプーリ部材23〜26、及びワイヤ27を備えている。
【0027】
シェード11は、窓部Wに対応して車幅方向に延びる短辺と、車体前後方向に延びる長辺とを有する長尺帯状の略矩形状に形成され、その車幅方向両端部それぞれに、車幅方向端縁部を折り返して成る筒状部11aを有している。シェード11の車体後方向端部は、巻取装置13に取り付けられている。
【0028】
巻取装置13は、シェード11を巻取り・引出し可能に収納する装置である。この巻取装置13は、窓部Wの車体後方向外側に設けられ、シェード11がロール状に巻き取られる巻取軸(不図示)を有する。即ち、本車両用サンシェード装置1では、巻取装置13の巻取軸にシェード11をロール状に巻き取ることができると共に、ロール状に巻き取られたシェード11を巻取装置13から車体前方向に引き出して窓部Wを覆うことができる。従って、本実施形態1では、引出し方向が車体前方向となり、巻取り方向が車体後方向となる。また、シェード幅方向は車幅方向であり、シェード表裏方向はこれら巻取り・引出し方向及びシェード幅方向と直交する方向であるから、車体上下方向である。また、巻取装置13は、図示しないバネ等の付勢手段を有し、この付勢手段によりシェード11を常時巻取り方向(車体後方向)に引っ張っている。
【0029】
引出部材15は、シェード11を巻取装置13から引き出すための部材であり、シェード11の車体前方向端部に車幅方向に延びるように設けられている。より詳しくは、引出部材15は、車体前方向端縁部が折り返されて接合されたシェード11により覆われるようにして、シェード11の車体前方向端部に設けられている。そして、引出部材15の車幅方向両端部は、図3〜5に示すように、シェード11の車幅方向両端縁からはみ出しており、このはみ出した部分がスライダ部15a,15aとなっている。
【0030】
各スライダ部15aは、ワイヤ27の端部27a,27b(又は27c,27d)が取り付けられるスライダ部本体15bと、該スライダ部本体15bと車幅方向内側で連続すると共に、案内棒17を挿通するための挿通孔15dを有する連続部15cとを備えている。
【0031】
案内棒17,17は、窓部Wの車幅方向両外側に車体前後方向に延びるように並設され、前述した引出部材15の挿通孔15d及びシェード11の筒状部11aにそれぞれ挿通されている。これにより、引出部材15(のスライダ部15a,15a)が案内棒17,17に沿って(つまり、車体前後方向に)移動可能になっていると共に、シェード11の車幅方向両端部が案内棒17,17により支持され、シェード11が弛むことが防止されている。各案内棒17は、図2,4〜7に示すように、例えば断面円形状の金属棒であり、その車体前方向端部が窓部Wよりも車体前側に位置していると共に、ルーフRの締結部R5に締結固定されている一方、車体後方向端部が巻取装置13の近傍に位置していると共に、自由端にされている。
【0032】
ガイドレール19,19は、引出部材15(のスライダ部15a,15a)を車体前後方向に移動可能に係合案内する部材であり、窓部Wの車幅方向両外側に車体前後方向に延びるように並設されている。各ガイドレール19は、例えばアルミニウム製の押出材であり、断面が車幅方向内方(つまり、図5,6の右)に開口した略C字乃至コ字状の長尺中空部材である。そして、コ字状の対向する第1対向壁19a及び第2対向壁19bの内、車体下側(つまり、図5,6の上側)の第1対向壁19aには、ガイドレール19をルーフRの締結部R5に締結する際の作業孔19cが複数設けられている。
【0033】
各ガイドレール19内には、引出部材15のスライダ部15aが摺動可能に設けられていると共に、案内棒17が挿通されている。即ち、案内棒17,17を取り囲むシェード11の車幅方向両端部(つまり、筒状部11a,11aに対応する部分)は、ガイドレール19,19内に位置し、シェード11の車幅方向内側部分とガイドレール19,19の上記開口19fを通じて連続している。
【0034】
各ガイドレール19の車体前方向端部は、窓部Wの車体前方向端部近傍に位置している一方、各ガイドレール19の車体後方向端部は、巻取装置13近傍に位置し、これら車体前後方向両端部から案内棒17が突出している。各ガイドレール19の車体後方向端縁部には、図8,9に示すように、第1対向壁19aが車体下方向(図9の上方向)に切り起こされた切起部19dが設けられている。そして、切起部19d及び該切起部19dと対向する第2対向壁19bの部分19eそれぞれの上記開口周縁部には、円盤状のローラ29が回転自在に取り付けられている。即ち、本実施形態1では、各ガイドレール19の切起部19d及び部分19eがローラ装置33の取付部31を構成する。各ガイドレール19の切起部19dに取り付けられたローラ29は、シェード11の車体下側(図9の上側)に位置している一方、各ガイドレール19の部分19eに取り付けられたローラ29は、シェード11の車体上側(図9の下側)に位置している。つまり、ローラ29は、各ガイドレール19において、シェード11を挟んで車体上下方向両側(つまり、シェード11の表裏方向両側)それぞれに設けられている。各ガイドレール19のローラ29,29は、車体前後方向視で、当該ローラ29,29間の距離が車幅方向内方に向かって次第に大きくなる略ハ字状を成し、これにより、各ローラ29が巻取装置13近傍でシェード11の筒状部11aを介して案内棒17と車幅方向内側から当接すると共に、シェード11の巻取り・引出し動作に伴って回転するようになっている。
【0035】
駆動装置21は、ワイヤ27を走行駆動するための装置である。この駆動装置21は、窓部Wの車体前方向外側で且つ、車幅方向略中央位置に設けられたモータ21aと、該モータ21aの出力軸に回転一体に取り付けられた駆動ドラム21bとを有する。駆動ドラム21bには、ワイヤ27の端部27e,27fが取り付けられる。
【0036】
4つのプーリ部材23〜26の内、2つのプーリ部材23,24は、駆動装置21の車幅方向両側に配設されている。これらプーリ部材23,24はそれぞれ、ワイヤ27が掛け渡される2つのプーリ23a,23a(24a,24a)と、2つのプーリ23a,23a(24a,24a)が回転自在に取り付けられると共に、ルーフRの締結部R5に締結固定される取付座23b(24b)とを有している。2つのプーリ23a,23a(24a,24a)は、それぞれの回転軸が車体上下方向となるように、車体上下方向に並べて配設されている(図7参照)。
【0037】
4つのプーリ部材23〜26の内、残り2つのプーリ部材25,26は、窓部Wの車幅方向外側で且つ、巻取装置13近傍で車幅方向に対向するように配設されている。このプーリ部材25,26は、上記プーリ部材23,24とは異なり、プーリ25a(26a)を1つしか有していない。そして、このプーリ25a(26a)は、回転軸が車幅方向となるように取付座25b(26b)に取り付けられている。
【0038】
ワイヤ27は、前述したように、駆動装置21の駆動ドラム21b及び引出部材15のスライダ本体15bに固定されると共に、4つのプーリ部材23〜26の各プーリに掛け渡され、駆動装置21のモータ21aの起動により走行駆動されるようになっている。尚、ワイヤ27が走行中に他の部材(例えば、ルーフR)と接触しても当該ワイヤ27や他の部材が傷つかないように、ワイヤ27のガイドレール19,19内以外に位置する部分(厳密には、全ての部分ではない)は、保護チューブ28により覆われている(図4,5等参照、図2には図示せず)。そして、本車両用サンシェード装置1では、駆動装置21のモータ21aの正逆転動作により、ワイヤ27と連結された引出部材15のスライダ部15aがガイドレール19,19に沿って車体前後方向に移動し、そのことによりシェード11を巻取り・引出しできるようになっている。つまり、図1の矢印の方向に駆動ドラム21bを回転させると、ワイヤ27の端部27e側が駆動ドラム21bに巻き取られ、ワイヤ27の端部27f側が駆動ドラム21bから繰り出されることになり、それによって引出部材15のスライダ部15aが車体後方向に移動し、シェード11が巻取装置13に巻き取られる一方、図1の矢印の方向とは反対方向に駆動ドラム21bを回転させると、上記とは逆にシェード11が巻取装置13から引き出されるようになっている。
【0039】
車両用サンシェード装置1は以上のように構成されており、次に本車両用サンシェード装置1の作用効果を説明する。
【0040】
本車両用サンシェード装置1では、シェード11に筒状部11a,11aが設けられているため、シェード11を巻取装置13に巻き取ると、その巻き取られたシェード11の車幅方向両端部の厚みがその他の部分の厚みよりも厚くなるため、シェード11に皺が入ってしまう。そうして、駆動装置21のモータ21aを起動させてシェード11を巻取装置13から引き出すと、シェード11に皺が残って見栄えが悪くなり得るところ、引出部材15により、シェード11に張力が付与されると共に、各ガイドレール19に設けられたローラ29,29と案内棒17とがシェード11の筒状部11aを介して当接する、つまり、シェード11の筒状部11aがローラ29,29により案内棒17に押し付けられるから、両ガイドレール19,19に設けられたローラ29,29,・・・により、シェード11に車幅方向の張力が付与される。ここで、引出部材15がシェード11の車体前方向端部に車幅方向全長に亘って設けられていると共に、ローラ29,29,・・・が巻取装置13近傍で案内棒17,17とシェード11の筒状部11a,11aを介して当接しているため、巻取装置13から引き出されたシェード11の四箇所(四隅)が引出部材15及びローラ29,29,・・・により保持され、それによってシェード11に対し均等に張力が付与される。その結果、巻取装置13から引き出されたシェード11の皺が低減され、見栄えが悪くなることが防止される。
【0041】
また、各案内棒17の車体前方向端部が固定端にされ、車体後方向端部が自由端にされているため、シェード11の巻取り・引出し動作の際に、各案内棒17が車幅方向内方に撓み、シェード11が弛み得るところ、ローラ29,29・・・が案内棒17,17と車幅方向内側から当接しているため、ローラ29,29,・・・により上記案内棒17,17の撓みが規制され、シェード11が弛むことは防止される。
【0042】
さらに、ローラ29,29,・・・がシェード11の巻取り・引出し動作に伴って回転するため、シェード11をスムーズに巻取り・引出し方向に案内することができる。
《実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係る車両用サンシェード装置101について図10,11を参照しながら説明する。この車両用サンシェード装置101は、ガイドレール、ローラ装置及びプーリ部材の構成が実施形態1に係る車両用サンシェード装置1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については適宜説明を省略し、実施形態1と異なる構成を中心に説明する。尚、図10,11において、上記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付している。
【0043】
車両用サンシェード装置101は、ローラ29,29がガイドレール19,19ではなく、プーリ部材25,26に取り付けられている点が実施形態1と異なる。そのため、各ガイドレール19には、切起部が設けられていない。
【0044】
プーリ部材25(26)の取付座25b(26b)の車体前方向端部は、断面が車幅方向内方(図11の右)に開口した略C字乃至コ字状となっている。そして、取付座25b(26b)のコ字状部分の開口周縁部には、上記実施形態1と同様に、ローラ29,29が、車幅方向視で、略ハ字状を成すように取り付けられている。即ち、本実施形態2では、プーリ部材25,26の取付座25b,26bがローラ装置33の取付部31を構成する。また、取付座25b(26b)の上記コ字状部分には、案内棒17が挿通され、上記実施形態1と同様に、各ローラ29が案内棒17と筒状部11aを介して車幅方向内側から当接すると共に、各ローラ29がシェード11の巻取り・引出し動作に伴って回転するようになっている。
【0045】
車両用サンシェード装置101は、以上のように構成されており、この構成によると、上記実施形態1のように、ローラ29,29・・・を取り付けるために、ガイドレール19の形成後に、ガイドレール19に切起部を設ける後工程を必要とせず、既設されたプーリ部材25,26の取付座25b,26bにローラ29,29,・・・を取り付けるだけでよい。従って、上記実施形態1と同様の効果に加えて、ローラ29,29,・・・を取り付けるための労力を低減することができる。
《実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係る車両用サンシェード装置201について図12〜14を参照しながら説明する。この車両用サンシェード装置201は、引出部材、ガイドレール及びローラ装置の構成が上記実施形態1に係る車両用サンシェード装置1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については適宜説明を省略し、実施形態1と異なる構成を中心に説明する。尚、図12〜14において、上記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付している。
【0046】
車両用サンシェード装置201は、引出部材15のスライダ部15a,15aの形状と、ガイドレール19,19の形状とが車両用サンシェード装置1と異なる。
【0047】
引出部材15の各スライダ部15aは、車体前後方向視で略L字形状を成し、ワイヤ27が取り付けられるスライダ部本体215bと、スライダ部本体215bの車幅方向内側の端部(図13の右側の端部)から車体上方に向かって延びる連続部215cとを有している。
【0048】
スライダ部本体215bには、後述するガイドレール19のガイド突起219bと係合する係合溝215dが車体前後方向に延びるように設けられている。
【0049】
各ガイドレール19は、ルーフRの不透明パネルR3と一体形成され、不透明パネルR3に立設されると共に、車体前後方向に延びるガイド壁219aと、該ガイド壁219aから車幅方向内方(図13,14の右)に向かって突出すると共に、車体前後方向に延びるガイド突起219bとを有する。
【0050】
各ガイドレール19のガイド壁219aの巻取装置13近傍には、ガイド突起219bよりも車体下側部分(図14の上側部分)にローラ装置33が取り付けられている。そうして、両ローラ装置33,33が車幅方向に対向している。
【0051】
各ローラ装置33は、ローラ29,29と、該ローラ29,29を取り付けるための取付部31とを有している。
【0052】
取付部31は、車幅方向内方に開口した略C字乃至コ字状の断面形状を有し、そのコ字状部分の開口周縁部には、上記実施形態1と同様に、ローラ29,29が、車幅方向視で、略ハ字状を成すように取り付けられている。また、取付部31には案内棒17が挿通され、上記実施形態1と同様に、各ローラ29が案内棒17と筒状部11aを介して車幅方向内側から当接すると共に、各ローラ29がシェード11の巻取り・引出し動作に伴って回転するようになっている。
【0053】
ガイド突起219bは、上記引出部材15の係合溝215dと係合して、引出部材15のスライダ部15aを車体前後方向に移動可能に案内する機能を有する。ここで、引出部材15の各スライダ部15aは、車体前後方向視で略L字形状を有していることにより、案内棒17及びローラ装置33を回避し、車体前後方向に移動しても、ローラ装置33と干渉しないようになっている。尚、引出部材15の各スライダ部15aの形状は、案内棒17及びローラ装置33を回避することができる形状であれば車体前後方向視で略L字形でなくともよい。
【0054】
車両用サンシェード装置201は、以上のように構成されており、この構成によると、引出部材15が車体前後方向に移動しても、スライダ部15a,15aとローラ装置33,33とが干渉しないから、ローラ装置33,33が設けられた車体前後方向位置よりも車体後側に引出部材15が位置するまでシェード11を巻き取ることができる。そのため、ローラ装置33,33を異なる車体前後方向位置に複数組設けることができ、こうすることで、ローラ装置33,33のローラ29,29,・・・を、異なる車体前後方向位置でシェード11の筒状部11a,11aを介して案内棒17,17と当接させ、そのことにより、シェード11の皺をより効果的に低減することができると共に、シェード11が弛むことをより確実に防止することができる。
《実施形態4》
次に、本発明の実施形態4に係る車両用サンシェード装置301について説明する。
【0055】
この車両用サンシェード装置301は、図15,16に示すように、ガイドレールを備えていない。この点のみが上記実施形態2に係る車両用サンシェード装置101と異なる。従って、この車両用サンシェード装置301では、引出部材15(のスライダ部15a,15a)は、案内棒17,17のみにより、車体前後方向に移動可能に案内される。尚、図15,16において、上記実施形態1,2と同様の構成については同一の符号を付している。この構成によると、上記実施形態2と同様の効果に加えて、ガイドレールを備えていない分だけ、車両用サンシェード装置の製造コストを低減することができる。但し、案内棒17,17には、引出部材15(及びシェード11)の重量を支持しても車体上下方向に大きく撓まないだけの剛性が要求される。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のようにしてもよい。
【0056】
即ち、前記実施形態では、シェードの巻取り方向を車体後方向とし、引出し方向を車体前方向としているが、これに限られず、例えば、巻取り方向を車体前方向とし、引出し方向を車体後方向としてもよい。
【0057】
また、ローラ装置をガイドレール又はプーリ部材に設けているが、ルーフの不透明パネルに設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、シェードの幅方向両端部それぞれに筒状部が設けられ、各筒状部に片持ち支持の案内棒が挿通された車両用サンシェード装置において、シェードの皺を低減すると共に、シェードが弛むことを防止できる点で有用である。
【符号の説明】
【0059】
1,101,201,301 車両用サンシェード装置
11 シェード
11a 筒状部
13 巻取装置
15 引出部材
15a スライダ部
17 案内棒
19 ガイドレール
21 駆動装置
23〜26 プーリ部材
23a〜26a プーリ
23b〜26b 取付座(取付部)
27 ワイヤ
29 ローラ
31 取付部
33 ローラ装置
219a ガイド壁
219b ガイド突起
R ルーフ
R1 透明パネル
R3 不透明パネル
R5 締結部
W 窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り・引出し方向と直交する幅方向両端部それぞれに、幅方向端縁部を折り返して成る筒状部(11a)を有し、車両の窓部(W)を覆って直射日光を遮るシェード(11)と、
前記窓部(W)のシェード巻取り方向外側に設けられ、前記シェード(11)を巻取り・引き出し可能に収納する巻取装置(13)と、
前記シェード(11)の引出し方向端部にシェード幅方向に延びるように設けられ、シェード(11)の幅方向両端縁からはみ出した両端部にスライダ部(15a,15a)を有し且つ、シェード巻取り・引出し方向に移動可能に構成され、シェード(11)に張力を付与する引出部材(15)と、
前記窓部(W)のシェード幅方向両外側にシェード巻取り・引出し方向に延びるように並設され、それぞれシェード引出し方向端部が固定端にされる一方、シェード巻取り方向端部が自由端にされ、前記シェード(11)の筒状部(11a,11a)に挿通される一対の案内棒(17,17)と、
前記窓部(W)のシェード幅方向両外側に対向配設され、それぞれローラ(29)及び該ローラ(29)が取り付けられる取付部(31)を有する一対のローラ装置(33,33)とを備え、
前記各ローラ装置(33)のローラ(29)は、前記巻取装置(13)近傍で前記シェード(11)の筒状部(11a)を介して前記案内棒(17)とシェード幅方向内側から当接すると共に、シェード(11)の巻取り・引出し動作に伴って回転することを特徴とする車両用サンシェード装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サンシェード装置において、
前記各ローラ装置(33)のローラ(29)は、シェード(11)の前記巻取り・引出し方向及び幅方向に直交する表裏方向両側それぞれに設けられていることを特徴とする車両用サンシェード装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用サンシェード装置において、
前記窓部(W)のシェード幅方向両外側にシェード巻取り・引出し方向に延びるように並設され、前記引出部材(15)のスライダ部(15a,15a)をシェード巻取り・引出し方向に移動可能に係合案内する一対のガイドレール(19,19)をさらに備え、
前記各ガイドレール(19)は、シェード幅方向内方に開口した中空部材であり、
前記各ガイドレール(19)内には、前記案内棒(17)が挿通され、
前記各ガイドレール(19)のシェード巻取り方向端部は、前記巻取装置(13)近傍に位置すると共に、前記ローラ装置(33)の取付部(31)を構成し、その開口周縁部には、当該ローラ装置(33)のローラ(29)が取り付けられていることを特徴とする車両用サンシェード装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両用サンシェード装置において、
ワイヤ(27)を走行駆動する駆動装置(21)と、
前記ワイヤ(27)が掛け渡されるプーリ(23a,24a,25a,26a)及び該プーリ(23a,24a,25a,26a)が取り付けられる取付座(23b,24b,25b,26b)をそれぞれ有する複数のプーリ部材(23,24,25,26)とをさらに備え、
前記シェード(11)は、前記引出部材(15)のスライダ部(15a,15a)が前記ワイヤ(27)に固定されて前記駆動装置(21)によりシェード巻取り・引出し方向に移動可能に構成され、
前記複数のプーリ部材(23,24,25,26)の内、2つのプーリ部材(25,26)は、前記巻取装置(13)近傍における前記窓部(W)のシェード幅方向両外側に対向配設され、
前記各ローラ装置(33)の取付部(31)は、前記巻取装置(13)近傍のプーリ部材(25,26)の取付座(25b,26b)と一体成形されていることを特徴とする車両用サンシェード装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の車両用サンシェード装置において、
前記窓部(W)のシェード幅方向両外側にシェード巻取り・引出し方向に延びるように並設され、前記引出部材(15)のスライダ部(15a,15a)をシェード巻取り・引出し方向に移動可能に係合案内する一対のガイドレール(19,19)をさらに備え、
前記各ガイドレール(19)は、前記窓部(W)のシェード幅方向外側に立設されると共に、シェード巻取り・引出し方向に延びるガイド壁(219a)と、該ガイド壁(219a)からシェード幅方向内方に向かって突出すると共に、シェード巻取り・引出し方向に延びるガイド突起(219b)とを有し、
前記各ガイドレール(19)のガイド壁(219a)には、前記ローラ装置(33)が取り付けられ、
前記両ガイドレール(19,19)のガイド突起(219b,219b)には、前記引出部材(15)のスライダ部(15a,15a)がシェード巻取り・引出し方向に移動可能に取り付けられ、当該引出部材(15)のスライダ部(15a,15a)は、前記一対のローラ装置(33,33)と干渉しないように構成されていることを特徴とする車両用サンシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−96680(P2012−96680A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246584(P2010−246584)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)