説明

車両用シートの部材組付け構造

【課題】車両用シートの部材を、より見栄え良く着脱自在に組付けることにある。
【解決手段】表皮材6Sをシート外形に対応の一枚物として構成して、着座部30と、サイドサポート部40を二重織りにて形成するとともに、サイドサポート部40を折返し自在として、その折返し基端を一重織りにて形成し、着座部30とサイドサポート部40に、各々パッド部材6Pを収納するとともに、車両用シート2の着座位置に着座部30を配置して、着座部30端部のフック部材32F,34Fを第一フレーム22に着脱自在に掛け止めるとともに、着座部30に対してサイドサポート部40を膨出状に折返したのち、その途中で着座側とは異なるシート裏側に折返して、サイドサポート部40端部のフック部材46F,46Fを第二フレーム20に着脱自在に掛け止める構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの部材組付け構造に関し、より詳しくは、車両用シートのフレームに対してパッド部材と表皮材を組付けるための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の部材組付け構造として、車両用シートのフレームに支持パネルを取付けたのち、この支持パネルに対して外皮クッション材を組付ける構成が公知である(特許文献1を参照)。この外皮クッション材は、パッド部材と表皮材を一体化した部材であり、シート意匠面をなす表皮材と、表皮材裏面に固定のパッド部材にて構成されている。
そして公知技術では、乗員の着座位置を構成する第一の外皮クッション材(着座部)と、着座位置側方を構成する第二の外皮クッション材(サイドサポート部)を各々支持パネルの対応箇所に接着固定する。こうすればパッド部材と表皮材を同時に組付けることができ、部材ごとに組付ける場合と比較してその組付け作業の簡略化を図ることができる。
【特許文献1】特開2003−118435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで車両用シートは、着座性や意匠性向上の観点から、パッド部材や表皮材を着脱自在に組付けて、適宜他のパッド部材等と交換可能な構成であることが望ましい。しかしながら上記公知技術では、外皮クッション材を支持パネルに接着固定することから、容易に部材の取外しのきかない構成(部材の着脱には不向きな構成)であった。
もっとも支持パネルを省いて、外皮クッション材をフレームに着脱自在に直接組付けることも考えられるが、そうすると外皮クッション材裏面(表皮材裏面のパッド部材)がシート後側で丸見えとなり、シートの見栄えが極端に悪化する。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、車両用シートの部材を、より見栄え良く着脱自在に組付けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の部材組付け構造は、車両用シートのフレームにパッド部材と表皮材を組付けて、乗員の着座位置となる着座部と、着座部側方に位置するサイドサポート部を形成する構成である。
そしてこの種の構成では、各部材を見栄え良く着脱自在に組付けることが望ましいことから、本発明では、上述の表皮材をシート外形に対応の一枚物として構成することとした。そしてこの一枚物の表皮材に、着座部と、サイドサポート部を二重織りにて形成するとともに、サイドサポート部を折返し自在として、その折返し基端を一重織りにて形成する。そしてこれら着座部とサイドサポート部(いずれも二重織り状)に各々パッド部材を収納して、パッド部材と表皮材を見栄え良く一体化する構成とした。
【0005】
そして車両用シートの着座位置に着座部を配置して、着座部端部のフック部材を第一フレームに着脱自在に掛け止める。そしてこの着座部に対してサイドサポート部を膨出状に折返したのち、その途中で着座側とは異なるシート裏側に折返して、サイドサポート部端部のフック部材を第二フレームに着脱自在に掛け止める構成とした。
このように本発明では、車両用シートのフレームに対して、パッド部材を収納の表皮材を折返し状として掛け止める構成(比較的シンプルな構成)によって、両部材を見栄え良く着脱自在に組付けることができる。
【0006】
第2発明の車両用シートの部材組付け構造は、第1発明に記載の部材組付け構造であって、上述の着座部とサイドサポート部の少なくとも一方に、第一パッド部材と、第一パッド部材よりも柔軟な第二パッド部材を重層して収納する。
そして第一パッド部材と第二パッド部材のいずれを着座側に配置した場合においても、着座部及びサイドサポート部を各フレームに掛け止め可能な構成(表裏いずれにおいても使用可能な構成)とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる第1発明の車両用シートの部材組付け構造によれば、車両用シートの部材を、より見栄え良く着脱自在に組付けることができる。また第2発明の部材組付け構造によれば、より使い勝手の良いシート構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図5を参照して説明する。そして各図には、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを適宜付す。
図1の車両用シート2は、シートクッション4とシートバック6を備えており、これら各構成要素が各々表皮材(4S、6S)で被覆されている。
そしてシートバック6は、図1及び図2を参照して、後述するパッド部材6Pと表皮材6Sが着脱自在に組付けられて構成されている。そこで本実施例では、このシートバック6を一例として、本実施例に係る部材組付け構造を説明することとする。
【0009】
[シートバック]
本実施例のシートバック6は、シート骨格をなすフレーム枠10に対して、後述のパッド部材6P及び表皮材6Sを組付ける構成である。
このフレーム枠10(正面視略矩形の枠体)は、図1を参照して、上方骨格をなす略逆U字状のパイプフレーム12と、側方骨格をなす一対の側部フレーム14,14と、下方骨格をなす下部プレート16を有する。そしてこのフレーム枠10で囲まれた部分が乗員の着座位置となる。
そして一対の側部フレーム14、14の下方にはリクライニング軸18が橋渡し状に取付けられており、その端部が、側部フレーム14より突出している。そしてこのリクライニング軸18端部に嵌設されたリクライニング装置R(円盤状)によって、シートクッション4に対してシートバック6を相対回動可能に支持する構成である。
【0010】
(第一フレーム及び第二フレーム)
そして本実施例では、このフレーム枠10裏側(シート裏側)に、パッド部材6P及び表皮材6Sを掛け止めるためのフレームを配設する。すなわち本実施例では、まず左右一対の第二フレーム20r,20s(円柱状の線材)をシート左右に並列配置する。そして第二フレーム20r(20s)の上端をパイプフレーム12に固定するとともに、第二フレーム20r(20s)の下端を下部プレート16に固定する。
そして上下一対の第一フレーム22u,22d(円柱状の線材)を、上記一対の第二フレーム20r,20sを跨ぐようにシート上下に並列配置する。そして上部側の第一フレーム22u両端を、各々パイプフレーム12下部に橋渡し状に固定するとともに、下部側の第一フレーム22d両端を、一対の側部フレーム14,14に橋渡し状に固定する。
そして本実施例では、これら各フレームに対して、車両用シート2の見栄えを極力悪化させることなく、パッド部材6Pと表皮材6Sを着脱自在に掛け止めて組付けることとしたものである。
【0011】
[部材組付け構造]
本実施例の部材組付け構造は、図3及び図4を参照して、表皮材6Sと、パッド部材6Pと、これらを上述の各フレームに掛け止めるフック部材(32F,34F,48F)を備える。
そしてパッド部材6P及び表皮材6Sを各フレームに組み付けることで、乗員の着座位置をなす着座部30と、この着座部30側方に位置する一対のサイドサポート部40,40(膨出状)を形成する構成である。以下、各構成要素について詳述する。
【0012】
(表皮材)
表皮材6Sは、シート外形に対応の一枚物の織物として構成されている。本実施例の表皮材6Sの平面形状は、図3を参照して、車両用シート2の前部及び両側部の立体形状を平面に展開した形状(展開図形状)である。この表皮材6Sは二重織り(袋織り又は風通織り)にて構成されており、二枚の織り組織を重層して構成の二重織り部分と、一枚の織り組織で構成の一重織り部分を有する。
そして本実施例の表皮材6Sでは、着座位置をなす中央部分(後述の着座部30)と、着座位置側方に張出状に形成の両側部分(後述のサイドサポート部40)が各々二重織りにて形成されている。
【0013】
(着座部)
そして着座部30は、乗員の着座位置をなす部位であり、表皮材6S中央部分に形成されている(図3を参照)。本実施例の着座部30は縦長矩形状をなしており、その下方が若干先細り状である。そしてこの着座部30は、その中央の二重織り部分と、その縁周りの一重織り部分にて構成されており、その袋状内部に後述のパッド部材6Pを収納可能な構成である。
そして着座部30の上下端部には、上帯部32と下帯部34が設けてある。これら上帯部32と下帯部34は、いずれもシート幅方向に長尺な帯状部位であり、その中央が二重織りにて構成されている。そしてこれら上帯部32と下帯部34の各々の端部(二重織り部分)に、後述するフック部材を取付けることとなる(図4を参照)。
【0014】
(パッド部材)
そして図2及び図3を参照して、着座部30の内部にパッド部材6Pを収納する。本実施例では、第一パッド部材61と、第一パッド部材61よりも柔軟な第二パッド部材62を収納する(図2を参照)。この第一パッド部材61は、車両用の典型的な軟質ウレタンフォーム(例えば密度30kg/m3〜70kg/m3、反発弾性40%〜65%の軟質ウレタンフォーム)にて構成されている。また第二パッド部材62は、第一パッド部材61よりも柔軟な軟質ウレタンフォーム(例えば密度20kg/m3〜35kg/m3、反発弾性40%〜55%の軟質ウレタンフォーム)にて構成されている。なおこれら軟質ウレタンフォームの物性は、「JIS K 6401のクッション用軟質ウレタンフォーム試験」にて測定可能である。
そして上述の着座部30(二重織り部分)にスリットを入れて、第一パッド部材61と第二パッド部材62を重層状態で収納したのちスリットを縫合する。こうすることで、着座部30(二重織り部分)によって、パッド部材6P(61,62)全体を被覆して見栄え良く両部材を一体化することができる。なお上述の構成であると、スリットを縫合するだけで表皮材6S内にパッド部材6Pを収納することができるため、縫着作業が簡便となり組付け作業時間の短縮にもつながる。
【0015】
(フック部材)
そして上述の上帯部32と下帯部34に対して、図4を参照して、樹脂製フック部材(上方フック部材32F,下方フック部材34F)を各々取付ける。
これらフック部材32F,34Fは、いずれもシート幅方向に長尺な平板部材(側面視Y字状)であり、フック部材一端(U字状)の内面に、一対の係止片が対面状に突設している。
そしてこの上方フック部材32F(平板部分)を、上帯部32端部の二重織り部分に挿入して上帯部32に縫着する。また同形の下方フック部材34F(平板部分)を、下帯部34端部の二重織り部分に挿入して下帯部34に縫着する。
【0016】
(サイドサポート部)
そして一対のサイドサポート部40,40は、乗員の両側を支持する部位であり、着座部30の両側に左右対称となるよう形成されている(図2及び図3を参照)。
本実施例の一対のサイドサポート部40,40は、各々、第一サイドサポート部44(正面視で略三角形状)と、第二サイドサポート部48(縦長の略矩形状)と、これらを折返すための折返し基端(第一ヒンジ部42,第二ヒンジ部46)を備える。
【0017】
そして第一サイドサポート部44(三角形状)は、その中央が二重織り部分であり、その袋状内部に第三パッド部材63(正面視略三角状)が収納されている。
この第一サイドサポート部44は、その一方端で着座部30に連結する一方、その他端側が三角状(側方に凸状)とされている。すなわち第一サイドサポート部44他端側(三角状)は、その頂点から下帯部34までの第一傾斜辺部44aと、頂点から上帯部32までの第二傾斜辺部44bを有する。そしてこの第二傾斜辺部44bで、後述の第二サイドサポート部48に連結する。
【0018】
そして第二サイドサポート部48(略縦長の矩形状)は、その一端側で、上述の第一サイドサポート部44に下方傾斜状に連結している。そしてこの第二サイドサポート部48は、正面視で略逆U字状の二重織り部分を有しており、第一サイドサポート部44寄り(一端側)の二重織り部分に、第四パッド部材64(正面視略三角状)が収納されている。
そして他端(48E)側には、図2を参照して、側方フック部材48F(樹脂製)が取付けられている。この側方フック部材48Fは、シート上下方向に長尺な平板部材(側面視Y字状)であり、フック部材一端(U字状)の内面に、一対の係止片が対面状に突設している。そしてこの側方フック部材48F(平板部分)を、第二サイドサポート部48他端(48E)の二重織り部分に挿入して第二サイドサポート部48に縫着する。
【0019】
また第二サイドサポート部48の下部は、略円形の二重織り部分を有しており、この袋状内部に軸受け盤50(円盤状の樹脂部材)が収納されている(図3及び図4を参照)。
そしてサイドサポート部40をフレーム枠10に組付ける際に、軸受け盤50中央の挿通孔52に、側部フレーム14から突出のリクライニング軸18を挿入することで、サイドサポート部40をフレーム枠10に対して位置決めする。
【0020】
(折返し基端)
そしてサイドサポート部40は、上述の着座部30に対して膨出状に折返し可能な構成である。すなわち本実施例では、サイドサポート部40の連結部分が、一重織りの折返し基端(第一ヒンジ部42,第二ヒンジ部46)とされている。
より詳しくは第一サイドサポート部44と着座部30の連結部分に、一重織りにて構成の第一ヒンジ部42が形成されている。そしてこの第一ヒンジ部42によって、サイドサポート部40を、着座部30に対してシート前側に(膨出状に)折返すことができる。
また第一サイドサポート部44と第二サイドサポート部48の連結部分に、一重織りにて構成の第二ヒンジ部46が形成されている。そしてこの第二ヒンジ部46によって、第一サイドサポート部44を、第二サイドサポート部48に対してシート裏側に折返すことができる(サイドサポート部40を途中で折返すことができる)。
【0021】
(部材の組付け作業)
そして図4及び図5を参照して、フレーム枠10中央に着座部30を配置したのち、その上帯部32をパイプフレーム12周りに折返す。そして上帯部32の上方フック部材32Fを第一フレーム22uに着脱自在に掛け止める。また下帯部34を、シートクッション4との連結箇所(隙間)からシート裏側に導き通して、下部プレート16周りに折返したのち、下帯部34の下方フック部材34Fを第一フレーム22dに着脱自在に掛け止める。このように車両用シート2の着座位置に着座部30を配置して、上帯部32(下帯部34)のフック部材32F(34F)を第一フレーム22u(22d)に着脱自在に組付ける。
【0022】
つぎに第一サイドサポート部44を、第一ヒンジ部42にて着座部30に対して膨出状に折返す(図2を参照)。そして第二ヒンジ部46にて、第二サイドサポート部48をシート裏側に折返すことにより、側部フレーム14周りにサイドサポート部40を巻き回し状に配置する。このとき第二サイドサポート部48の軸受け盤50に、リクライニング軸18を挿入して位置決めする。そして第二サイドサポート部48の端部(48E)の側方フック部材48Fを、第二フレーム20r(20s)に着脱自在に掛け止める。
このようにサイドサポート部40を着座側に膨出状に折返したのち、その途中で(第二ヒンジ部46で)シート裏面に折返して、その端部の側方フック部材48Fを第二フレーム20r(20s)に着脱自在に組付ける。
【0023】
このように本実施例によれば、車両用シート2のフレームに対して、パッド部材6Pを収納の表皮材6Sを折返し状として掛け止める構成(比較的シンプルな構成)によって、両部材を着脱自在に組付けることができる。
また本実施例では、着座部30等のパッド部材6Pを表皮材6S内に収納する構成であるため、シート表面(着座側)及びシート裏面のいずれにおいても、パッド部材6Pが表皮材6Sにて被覆された状態となる(図5を参照)。このためシート前側及びシート裏側のいずれにおいても、パッド部材6Pの露出しない見栄えの良いシート構成とすることができる。
そしてパッド部材6Pを表皮材6S内に収納する構成(これら部材間に隙間ができにくい構成)とすることで、シートバック6が見た目スリムとなり、より見栄えの良いシート構成とすることができる。
【0024】
そして本実施例では、第一パッド部材61と第二パッド部材62のいずれを着座側に配置した場合においても、着座部30及びサイドサポート部40を各フレームに掛け止め可能な構成(表裏いずれにおいても使用可能な構成)である。
すなわち表皮材6Sの一重織部分(第一ヒンジ部42及び第二ヒンジ部46)は、表裏いずれの方向にも折返し可能な構成である。また表皮材6Sを裏返したのち、着座部30及びサイドサポート部40に設けた各フック部材(32F,34F,48F)を、各々対応するフレームに嵌合して掛け止めることができる。
このため本実施例の部材組付け構造によれば、第一パッド部材61を着座側に向けた図2の表状態で使用することができる。また適宜表皮材6Sを裏返すことにより、第二パッド部材62を着座側に向けた裏状態でも使用することができるため、より使い勝手の良いシート構成となる。
このとき着座部30及びサイドサポート部40を、その表裏で別の着色をしておけば、第一パッド部材61と第二パッド部材62を極力取り違えることなく収納することができる。また表裏どちらの面のパッド部材が柔軟であるかを一目で判別できるとともに、その意匠性もより向上させることができる。
【0025】
本実施形態の車両用シートの部材組付け構造は、上述した実施例に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施例では、専らシートバック6の部材組付け構造を説明した。本実施例の部材組付け構造は、シートクッション4をはじめとする車両用シート2の各種構成について適用可能な技術である。
(2)また本実施例では、第一フレーム22u(22d)又は第二フレーム20r(20s)に表皮材6S及びパッド部材6Pを掛け止める構成を説明した。これらフック部材の掛止め箇所は、それらが掛け止め可能である限り、車両用シート2の他のフレーム(例えばパイプフレーム12や側部フレーム14)であってもよい。
【0026】
(3)また本実施例の表皮材6S外形(展開図形状)は、組付けるべき車両用シート2の外形によって適宜変更可能である。例えばヘッドレストを備える車両用シート2では、上述の上帯部32に、ヘッドレストとの干渉を避ける切欠き部を設けてもよい。また表皮材の展開図形状に対応してパッド部材の形状も適宜変更可能である。
なお本実施例では、表皮材6Sを一枚物の織物(一つなぎの織り組織)にて構成したが、複数の表皮ピースを縫着してなる一枚物として構成してもよい。
【0027】
(4)また本実施例では、着座部30及びサイドサポート部40を掛け止めるフック部材として略Y字状のフック部材を用いた。このフック部材の形状は、例えば錨状(矢印状)、J字状、U字状や矢尻状などのフレームに掛止め可能な各種の形状を取り得る。好ましくは、Y字状や錨状などの表裏対称形状のフック部材である。
また本実施例では、シート幅方向(シート上下方向)に長尺なフック部材を用いたが、短尺なフック部材を複数用いることもできる。
【0028】
(5)また本実施例では、第一パッド部材61と第二パッド部材62を重層して着座部30内に収納する構成(使い勝手の良い構成)を説明した。これとは異なり、第一パッド部材61と第二パッド部材62のいずれか一方を着座部30に収納するシンプルな構成としてもよい。またサイドサポート部40に、第一パッド部材61と第二パッド部材62を重層して収納する構成としてもよい。また本実施例では、第一パッド部材61と第二パッド部材62を同一の材質にて構成したが、互いに異なる材質にて構成してもよい。
また本実施例では、第一パッド部材61と第二パッド部材62を直接重層する構成(最も合理的な二層構造)を説明したが、これらの間に他の部材(例えば他のパッド部材や樹脂板)を挿設することもできる。
【0029】
(6)また本実施例では、第三パッド部材63と第四パッド部材64の物性については特に限定しないが、これらを同一の物性(例えば第一パッド部材61と第二パッド部材62のいずれか一方と同一物性)としてもよい。また第三パッド部材63と第四パッド部材64を互いに異なる物性としてもよい。例えば第三パッド部材63を、第一パッド部材61と第二パッド部材62のいずれか一方と同一物性とし、第四パッド部材64を前記一方とは異なる他方と同一物性とする。
また第一パッド部材〜第四パッド部材を、各々異なる物性の軟質ウレタンフォームにて構成してもよく、軟質ウレタンフォームとは異なる材質にて構成してもよい。
【0030】
(7)また本実施例では、第一サイドサポート部44及び第二サイドサポート部48(二つのパーツ)で構成したサイドサポート部40を説明したが、サイドサポート部の構成を限定する趣旨ではない。例えばサイドサポート部40を、三個以上のパーツで構成してもよい。また折返し基端(一重織り部分)の数や形状も、上述のサイドサポート部の構成に応じて適宜変更可能である。
(8)また本実施例の着座部30の形状は一例である。すなわち着座部30の形状は、車両用シートの着座位置の形状に応じて適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】車両用シートの一部透視斜視図である。
【図2】図1のII−II線横断面図である。
【図3】(a)は、表皮材の正面図であり、(b)は、(a)のb−b線横断面図である。
【図4】部材の組付け工程を示す車両用シートの一部分解斜視図である。
【図5】車両用シートの後方斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
6P パッド部材
6S 表皮材
10 フレーム枠
18 リクライニング軸
20r、20s 第一フレーム
22u、22d 第二フレーム
30 着座部
32 上帯部
32F 上方フック部材
34 下帯部
34F 下方フック部材
40 サイドサポート部
42 第一ヒンジ部
44 第一サイドサポート部
46 第二ヒンジ部
48 第二サイドサポート部
48F 側方フック部材
50 軸受け盤
61 第一パッド部材
62 第二パッド部材
63 第三パッド部材
64 第四パッド部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのフレームにパッド部材と表皮材を組付けて、乗員の着座位置となる着座部と、前記着座部側方に位置するサイドサポート部を形成する車両用シートの部材組付け構造において、
前記表皮材を、シート外形に対応の一枚物として構成して、前記着座部と、前記サイドサポート部を二重織りにて形成するとともに、前記サイドサポート部を折返し自在として、その折返し基端を一重織りにて形成し、
前記着座部と前記サイドサポート部に、各々前記パッド部材を収納するとともに、
前記車両用シートの着座位置に前記着座部を配置して、前記着座部端部のフック部材を第一フレームに着脱自在に掛け止めるとともに、前記着座部に対して前記サイドサポート部を膨出状に折返したのち、その途中で着座側とは異なるシート裏側に折返して、前記サイドサポート部端部のフック部材を第二フレームに着脱自在に掛け止める構成とした車両用シートの部材組付け構造。
【請求項2】
前記着座部と前記サイドサポート部の少なくとも一方に、第一パッド部材と、前記第一パッド部材よりも柔軟な第二パッド部材を重層して収納するとともに、
前記第一パッド部材と前記第二パッド部材のいずれを着座側に配置した場合においても、前記着座部及び前記サイドサポート部を前記各フレームに掛け止め可能な構成とした請求項1に記載の車両用シートの部材組付け構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−292352(P2009−292352A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148912(P2008−148912)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】