説明

車両用シート

【課題】テーブルを使用位置で支える構造のコンパクト化を図る。
【解決手段】テーブル10は、車両用シートに設けられた回転アーム11(ベース)にヒンジ連結されており、回転により水平位置まで倒し込まれた使用状態と、側方に起こし上げられた格納状態と、に切り替えられるようになっている。テーブル10の裏面部には、テーブル10を使用位置で係止させるつっかえ棒となる支え棒12が回転可能にヒンジ連結されている。支え棒12は、その先端12Bが附勢により回転アーム11に設けられた壁板11Dに押し付けられた状態とされ、テーブル10が格納状態のときには、テーブル10の裏面に沿って倒し込まれた状態とされるが、テーブル10が使用位置まで倒し込まれる動きによって、壁板11D上を摺動し、回転アーム11の上面部11Cに突き当たって、テーブル10を下方側から支えた状態として保持する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。詳しくは、水平位置まで展開されて使用状態とされる格納可能なテーブルを備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートにおいて、着座者の前部に展開されて使用される格納可能なテーブルが配設された構成が知られている(特許文献1参照)。具体的には、上記テーブルは、車両用シートに回転可能にヒンジ連結されて設けられており、回転により下方側に倒し込まれて格納された状態と、水平位置まで起こし上げられて展開された状態と、に切り替えられるようになっている。上記テーブルは、その展開位置状態では、シート本体との間に設けられた支え棒により下方側から支えられた状態として保持されるようになっている。上記支え棒は、一端がシート本体にヒンジ連結され、他端がテーブルの側面に形成された長孔にピンがスライド可能な状態に連結された状態として設けられている。
【0003】
上記支え棒は、テーブルが格納位置状態のときには、テーブルの側面に沿ってコンパクトに倒し込まれた状態とされる。そして、上記支え棒は、テーブルが展開位置まで起こし上げられる動作により、上記ヒンジ連結された一端を支点に他端のピンがテーブルの側面の長孔に沿ってスライドし、テーブルが展開位置まで起こし上げられたところでピンのスライドが係止されて、テーブルを下支えした状態として保持される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−36687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の従来技術では、テーブルの側面に長孔を形成するためのブラケットが付設される構成であるため、ブラケットの設置に余計なスペースが必要となる問題がある。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、テーブルを使用位置で支える構造のコンパクト化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートは次の手段をとる。
第1の発明は、水平位置まで展開されて使用状態とされる格納可能なテーブルを備えた車両用シートである。テーブルは、車両用シートに設定されたベースにヒンジ連結されて、回転により水平位置まで展開された使用状態と、いずれかの回転方向に倒し込まれた格納状態と、に切り替えられるようになっている。テーブルとベースとの間には、これらのうちの一方に一端がヒンジ連結され、他方に他端が附勢により押し付けられた状態とされた支え棒が設けられている。支え棒は、テーブルが格納状態のときには、テーブルの裏面に沿って倒し込まれた状態として保持され、テーブルが使用状態に展開されることにより、他端が他方に沿って摺動して同他方に設けられた係合部と係合し、テーブルを下方側から支えた状態として保持する構成となっている。
【0007】
この第1の発明によれば、支え棒は、テーブルの格納時には、テーブルの裏面に沿うようにコンパクトに倒し込まれた状態として保持され、テーブルの展開により、他端が他方に沿って摺動して、テーブルを下支えした状態に切り替えられる。このように、テーブルとベースとの間に支え棒を設けた簡素な構成により、別途、支え棒の移動を案内するための長孔とピンとを組み合わせたガイド構造などを設けることなく、格納展開可能なテーブルを使用位置で支えることのできる構成をコンパクトに得ることができる。
【0008】
第2の発明は、上述した第1の発明において、テーブルの格納状態が、使用状態から上方側に倒し込まれた状態であり、支え棒が、テーブルの裏面部とテーブルの回転中心よりも下側に位置するベースとの間に跨って設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
この第2の発明によれば、テーブルを格納状態から使用状態へと展開させる動作により、支え棒の他端は、テーブル(他方)の先端側に向かって、又はベース(他方)の下方側に向かって摺動し、その移動先の箇所に設けた係合部に突き当たってテーブルを下支えした状態に保持される。したがって、係合部を、単に支え棒の他端をその移動方向に突き当てるのみの単純な係止部材として設定することができる。また、テーブルを格納状態から使用状態へと展開させる時も、その逆の時も、支え棒を一切操作することなく、支え棒の他端を係合部に突き当てたり離間させたりして、テーブルの格納展開動作に合わせて追従移動させることができ、コンパクトな構成で良好な操作性を得ることができる。
【0010】
第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、支え棒の附勢構造を、支え棒の一端のヒンジ連結軸のまわりに巻装されて掛着される捩りコイルバネにより構成したことを特徴とするものである。
【0011】
この第3の発明によれば、支え棒の附勢構造を、支え棒の一端のヒンジ連結軸のまわりに巻装されて掛着される捩りコイルバネとしたことにより、バネをテーブルとベースとの間の空間に張り出させないようにコンパクトに設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の車両用シートの全体構成を表した斜視図である。
【図2】テーブルの使用状態を表した正面図である。
【図3】テーブルの格納状態を表した正面図である。
【図4】実施例2のテーブルの格納状態を表した正面図である。
【図5】同テーブルの使用状態を表した正面図である。
【図6】実施例3のテーブルの格納状態を表した正面図である。
【図7】同テーブルの使用状態を表した正面図である。
【図8】実施例4のテーブルの格納状態を表した正面図である。
【図9】同テーブルの使用状態を表した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
始めに、実施例1の車両用シート1の構成について、図1〜図3を用いて説明する。本実施例の車両用シート1は、図1に示すように、自動車等の車両内に設置される座席用シートとして構成されており、背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、を備える。シートバック2は、その左右両サイドの下端部が、それぞれ図示しないリクライニング装置を間に介して、シートクッション3の左右両サイドの後端部に連結されており、その背凭れ角度の調節が自由に行える構成とされている。シートクッション3は、車両のフロア上に、図示しない左右一対のスライド装置を間に介して連結されており、そのフロアに対する前後方向の着座位置の調節が自由に行える構成とされている。
【0015】
上記シートクッション3の左右両サイド部には、車両用シート1に着座した乗員が肘置きとして使用することのできるアームレスト4R,4Lが設けられている。これらアームレスト4R,4Lは、それぞれ、シート高さ方向と前後方向とにそれぞれ幅広な縦長の箱形状に形成されており、シートクッション3の左右両サイドの骨格フレームに一体的に結合されて設けられている。これらアームレスト4R,4Lは、それらの外面が樹脂製のカバー部材4Ra,4Laにより覆われた構成となっており、それぞれ、肘置きとなる天板面の高さ位置が、肘置きとしての使用に適した着座乗員の腰上あたりの高さ位置に設定されている。上記各アームレスト4R,4Lは、シートクッション3と一体的に結合されていることから、シートクッション3のフロアに対する着座位置を調整する移動の時には、シートバック2と共に、シートクッション3と一体的となって移動するようになっている。
【0016】
ここで、上記車両用シート1には、着座乗員の前部に倒し込まれて使用される格納可能なテーブル10が設けられている。このテーブル10は、回転アーム11を介して、車両内側(図示向かって右側:車両用シート1に着座した乗員から見た左側)のアームレスト4Lの内部骨格に回転可能にヒンジ連結されて設けられている。ここで、回転アーム11が本発明の「ベース」に相当する。上記回転アーム11は、L字状に折れ曲がった形のアーム部材として形成されており、その一端が、回転軸11Aによりアームレスト4Lの内部骨格に回転可能にヒンジ連結されており、他端が、支軸11Bによりテーブル10の裏面部に固定されたブラケット10Aに回転可能にヒンジ連結されている。詳しくは、上記支軸11Bは、回転アーム11に一体的に結合されており、テーブル10(ブラケット10A)が上記支軸11Bに対して回転可能に枢着された構成となっている。
【0017】
上記連結により、回転アーム11は、回転軸11Aを中心に、車両内側のアームレスト4Lとシートクッション3との間に形成された空所4Lc内に収納された状態(同図の仮想線状態)と、この空所4Lc内から前回転により水平位置まで起こし上げられた状態(同図の実線状態)との間で、上下に回転移動することができる状態とされている。ここで、上記回転アーム11は、上記空所4Lc内に収納された状態と、上方側の展開位置まで起こし上げられた状態の各位置において、図示しない回転止め機構によって、それぞれ解除可能に回転ロックされた状態に保持されるようになっている。
【0018】
また、テーブル10は、上記回転アーム11が水平位置まで起こし上げられた展開状態(同図の実線状態)から、支軸11Bを中心に、回転アーム11に対して起立した状態(同図の仮想線状態)と、乗員の前部に水平位置まで倒し込まれた状態(同図の実線状態)との間で、起倒回転することができる状態とされている。上記テーブル10は、その使用前の初期時には、回転アーム11から起こし上げられて起立された状態として、回転アーム11と共に、上述した車両内側のアームレスト4Lとシートクッション3との間の空所4Lc内に収納された状態として保持されている(同図の仮想線状態)。ここで、上記アームレスト4Lの前面部には、テーブル10が空所4Lc内に収納された状態時に、空所4Lcを外部に対して閉鎖した状態として保持する蓋カバー4Lbが開閉可能にヒンジ連結されて設けられている。この蓋カバー4Lbは、テーブル10が空所4Lc内から出される動作によって、テーブル10に押される格好で開けられるようになっており、テーブル10が空所4Lc内に収納されることにより、図示しないバネの附勢力によって閉じられて空所4Lcを閉鎖した状態に戻されるようになっている。
【0019】
上記収納状態のテーブル10を使用する際には、先ず、回転アーム11を空所4Lc内から回転軸11Aのまわりに前回転させて水平位置まで起こし上げた状態にして回転ロックさせる。次に、テーブル10を回転アーム11とのヒンジ連結点である支軸11Bを中心に乗員の前部に向けて水平位置まで倒し込む。これにより、テーブル10が乗員の前部に展開された使用状態へと切り替えられる(同図の実線状態)。また、上記使用状態としたテーブル10を使用しない時には、これを支軸11Bのまわりに回転アーム11の上部位置まで起こし上げて起立させることにより、テーブル10を着座乗員の前部から邪魔にならない側方へと退避させた格納状態へと切り替えることができる(同図の仮想線状態)。
【0020】
更に、上記テーブル10を起こし上げた格納状態から、回転アーム11の回転ロック状態を解除して、回転アーム11を回転軸11Aのまわりに落とし込むように前回転させて、テーブル10をアームレスト4Lとシートクッション3との間の空所4Lc内に収納することにより、テーブル10を着座乗員にとって更に邪魔とならない車両用シート1の構造内部に収納した状態へと切り替えることができる(同図の仮想線状態)。このように、テーブル10は、回転アーム11の回転による収納展開動作と、テーブル10自体の回転による格納展開動作と、によって、上述した収納状態(仮想線で示された状態)と、格納状態(端折った仮想線で示された状態)と、使用状態(実線で示された状態)との3つの状態に切り替えられるようになっている。
【0021】
ところで、図2〜図3に示すように、上述したテーブル10を支軸11Bを中心に水平位置まで倒し込んだところで係止させるストッパ構造は、テーブル10の裏面部に回転可能にヒンジ連結された支え棒12の先端12Bが、回転アーム11の上面部11Cに突き当たって係止される構造により構成されている。ここで、上記支え棒12は、図1(拡大図)に示すように、梯子状の形に形成された板部材の両側の棒(柱)部分が互いに内側に対面するように折り曲げられることで、一対の棒形状を一体的に有する構造強度が高められた構成とされている。上記支え棒12は、その棒の延びる長さ方向の一端(各棒部分の一端)が、連結軸12Aによりテーブル10の裏面部に固定されたブラケット10Aに回転可能にヒンジ連結されて設けられている。上記連結軸12Aは、上述した支軸11Bと並行向きに配されて、ブラケット10Aに一体的に結合されており、この連結軸12Aに対して支え棒12が回転可能に枢着された構成となっている。上記支え棒12は、ブラケット10Aとの間に掛着された捩りコイルバネ12Cのバネ力により、常時、その先端12Bがテーブル10の回転中心である支軸11Bに向かって近づけられる方向(図示反時計回り方向)に回転附勢された状態とされている。
【0022】
ここで、上記捩りコイルバネ12Cは、上述したブラケット10Aに一体的とされた連結軸12Aに巻装されて設けられており、その内側の端部が連結軸12Aに掛着されて固定され、外側の端部が、支え棒12に形成されたピン12Dに掛着されて固定されている。この捩りコイルバネ12Cの附勢力により、支え棒12は、常時、その先端12Bが、回転アーム11に一体的に結合された立壁状の壁板11Dに押し付けられた状態として保持されている。ここで、上記壁板11Dは、図1(拡大図)に示すように、回転アーム11のL字状に折れ曲がった角部の内角部分に立壁面を形成するものとして、上記角部に外側からあてがえられて一体的に結合された状態として設けられている。この壁板11Dにより、支え棒12の先端12Bは、図2〜図3に示すように、テーブル10を支軸11Bのまわりに起倒回転させる動きに追従して、壁板11D上を上下に摺動するように移動案内されるようになっている。
【0023】
具体的には、上記支え棒12の先端12Bは、図3に示すように、テーブル10が起こし上げられる動きに従って、壁板11D上を上方側へと摺動し、図2に示すように、テーブル10が水平位置に向けて倒し込まれる動きに従って、壁板11D上を下方側へと押されて摺動するようになっている。そして、上記支え棒12の先端12Bは、テーブル10が水平位置まで倒し込まれることにより、壁板11Dの下側の角部を成す回転アーム11の上面部11Cに突き当たり、その下方側への摺動が規制された状態となる。これにより、支え棒12がつっかえ棒となって、テーブル10の倒れ込み方向の回転が規制された状態となる。ここで、上記支え棒12の先端12Bが本発明の「他端」に相当し、この支え棒12の先端12Bが突き当たる回転アーム11の上面部11Cが本発明の「係合部」に相当する。
【0024】
上記支え棒12の先端12Bは、上記壁板11Dと回転アーム11の上面部11Cとの角部の形に合致する三角形の先細り形状となっており、テーブル10が水平位置まで倒し込まれて支え棒12が斜めの姿勢となったところで回転アーム11の上面部11Cに面で当接して突き当てられるようになっている。詳しくは、支え棒12の先端12Bは、壁板11Dと当接する側の角面も三角形の先細り形状となっており、壁板11Dと回転アーム11の上面部11Cとの角部に深く入り込んだ状態として、回転アーム11の上面部11Cに突き当たった状態をとるようになっている。これにより、支え棒12は、テーブル10のつっかえ棒として、回転アーム11との係合状態から外れにくく、テーブル10の使用荷重を回転アーム11に安定的に伝えて支持させられるようになっている。
【0025】
上記支え棒12は、図3に示すように、テーブル10が上記倒し込まれた使用状態から側方へ起こし上げられていくことにより、その先端12Bが壁板11D上を上方側へと摺動しながら、全体がテーブル10の裏面に沿う形となるように倒し込まれていく。そして、支え棒12は、テーブル10が起立状態(格納状態)となる位置まで起こし上げられることにより、テーブル10の裏面に沿った形に倒し込まれた状態となる。
【0026】
このように、本実施例の車両用シート1の構成によれば、支え棒12は、テーブル10の格納時(図3の状態)には、テーブル10の裏面に沿ってコンパクトに倒し込まれた状態として保持され、テーブル10の使用状態への展開により、その先端12Bが壁板11Dに沿って摺動していき、テーブル10を下支えした状態に切り替えられる。このように、テーブル10と回転アーム11との間に支え棒12を設けた簡素な構成により、別途、支え棒12の移動を案内するための長孔とピンとを組み合わせたガイド構造などを設けることなく、格納展開可能なテーブル10を使用位置で支えることのできる構成をコンパクトに得ることができる。
【0027】
また、テーブル10の格納状態が、使用状態から上方側に倒し込まれた状態として設定され、支え棒12が、テーブル10の裏面部とテーブル10の回転中心(支軸11B)よりも下側に位置する壁板11Dとの間に跨って設けられた構成となっている。これにより、テーブル10を格納状態から使用状態へと展開させる動作によって、支え棒12の先端12Bは、壁板11D上を下方側に向かって摺動し、その移動先に設けられた回転アーム11の上面部11Cに突き当たってテーブル10を下支えした状態となって保持される構成となる。したがって、支え棒12を係合させる構成を、単に支え棒12の先端12Bをその移動方向に突き当てるのみの単純な係止部材として設定することができる。また、テーブル10を格納状態から使用状態へと展開させる時も、その逆の時も、支え棒12を一切操作することなく、支え棒12の先端12Bを回転アーム11の上面部11Cに突き当てたり離間させたりして、テーブル10の格納展開動作に合わせて追従移動させることができ、コンパクトな構成で良好な操作性を得ることができる。
【0028】
また、支え棒12の附勢構造を、支え棒12のヒンジ連結軸(連結軸12A)のまわりに巻装されて掛着される捩りコイルバネ12Cとしたことにより、バネをテーブル10と回転アーム11との間の空間に張り出させないようにコンパクトに設けることができる。
【実施例2】
【0029】
続いて、実施例2の車両用シート1の構成について、図4〜図5を用いて説明する。なお、本実施例では、実施例1で説明した車両用シート1と実質的な構成及び作用が同じとなっている箇所については、これらと同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について異なる符号を付して詳しく説明することとする。すなわち、テーブル10は、実施例1で示した構成と同様に、回転アーム(11)等のベース13に対して、支軸13Aにより起倒回転可能な状態にヒンジ連結されて設けられている。上記テーブル10は、図4に示すように、ベース13に対して起立した状態(格納状態)から、図5に示すように、着座乗員の前部に向けて水平位置まで倒し込まれることにより使用状態へと切り替えられる構成となっている。
【0030】
上記テーブル10を水平位置まで倒し込んだところで係止させる支え棒12は、連結軸12Aによりベース13に回転可能にヒンジ連結されて設けられている。上記連結軸12Aは、ベース13に一体的に結合され、支え棒12が上記連結軸12Aに回転可能に枢着された構成となっている。上記支え棒12は、ベース13との間に掛着された捩りコイルバネ12Cのバネ力により、常時、その先端12Bがテーブル10の裏面部に押し付けられる方向(図示時計回り方向)に回転附勢された状態とされている。
【0031】
上記捩りコイルバネ12Cは、上述した連結軸12Aに巻装されて設けられており、その内側の端部が連結軸12Aに掛着されて固定され、外側の端部が、支え棒12に形成されたピン12Dに掛着されて固定されている。上記捩りコイルバネ12Cの附勢力により、支え棒12は、常時、その先端12Bが、テーブル10の裏面部に押し付けられた状態として保持されている。上記支え棒12の先端12Bは、図4〜図5に示すように、テーブル10を支軸13Aのまわりに起倒回転させる動きに追従して、テーブル10の裏面上を摺動するように移動案内される。
【0032】
具体的には、上記支え棒12の先端12Bは、図4に示すように、テーブル10が起こし上げられる動きに従って、テーブル10の裏面上をテーブル10の先端側から回転中心(支軸13A)側へ向かって摺動し、図5に示すように、テーブル10が倒し込まれる動きに従って、テーブル10の裏面上をテーブル10の回転中心側から先端側(回転中心から遠い側)へ向かって押されて摺動するようになっている。上記支え棒12の先端12Bは、図5に示すように、テーブル10が水平位置まで倒し込まれることにより、テーブル10の裏面部に突出して設けられた係合部10Bに突き当たり、その摺動が規制された状態となる。これにより、支え棒12がつっかえ棒となって、テーブル10の倒れ込み方向の回転が規制された状態となる。ここで、上記支え棒12の先端12Bが本発明の「他端」に相当する。
【0033】
上記支え棒12は、図4に示すように、テーブル10が上記倒し込まれた使用状態から側方へ起こし上げられることにより、その先端12Bがテーブル10の裏面上を摺動しながら、全体がテーブル10の裏面に沿った状態に向かって起こし上げられていく。そして、支え棒12は、テーブル10が起立状態(格納状態)となる位置まで起こし上げられることにより、テーブル10の裏面に沿った形に倒し込まれた(起こし上げられた)状態となる。
【0034】
このように、本実施例の車両用シート1の構成によれば、支え棒12は、テーブル10の格納時(図4の状態)には、テーブル10の裏面に沿うようにコンパクトに倒し込まれた状態として保持され、テーブル10の使用状態(図5の状態)への展開により、先端12Bがテーブル10の裏面に沿って摺動して、テーブル10を下支えした状態(係合部10Bに突き当たった状態)に切り替えられる。このように、テーブル10とベース13との間に支え棒12を設けた簡素な構成により、別途、支え棒12の移動を案内するための長孔とピンとを組み合わせたガイド構造などを設けることなく、格納展開可能なテーブル10を使用位置で支えることのできる構成をコンパクトに得ることができる。
【0035】
また、テーブル10の格納状態が、使用状態から上方側に倒し込まれた状態として設定され、支え棒12が、テーブル10の裏面部とテーブル10の回転中心(支軸13A)よりも下側に位置するベース13との間に跨って設けられた構成となっている。これにより、テーブル10を格納状態から使用状態へと展開させる動作によって、支え棒12の先端12Bは、テーブル10の裏面上をテーブル10の先端側(回転中心から離間していく側)に向かって摺動し、その移動先の箇所に設けられたテーブル10の裏面部の係合部10Bに突き当たってテーブル10を下支えした状態となって保持される構成となる。したがって、支え棒12を係合させる構成(係合部10B)を、単に支え棒12の先端12Bをその移動方向に突き当てるのみの単純な係止部材として設定することができる。また、テーブル10を格納状態から使用状態へと展開させる時も、その逆の時も、支え棒12を一切操作することなく、支え棒12の先端12Bをテーブル10の裏面の係合部10Bに突き当てたり離間させたりして、テーブル10の格納展開動作に合わせて追従移動させることができ、コンパクトな構成で良好な操作性を得ることができる。
【実施例3】
【0036】
続いて、実施例3の車両用シート1の構成について、図6〜図7を用いて説明する。なお、本実施例では、実施例1で説明した車両用シート1と実質的な構成及び作用が同じとなっている箇所については、これらと同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について異なる符号を付して詳しく説明することとする。すなわち、テーブル10は、実施例1で示した回転アーム(11)等のベース13に対して、支軸13Aにより起倒回転可能な状態にヒンジ連結されて設けられている。上記テーブル10は、図6に示すように、ベース13に畳み込まれるように下方側に倒し込まれた状態(格納状態)から、図7に示すように、着座乗員の前部に向けて水平位置まで起こし上げられることにより使用状態へと切り替えられる構成となっている。
【0037】
上記テーブル10を水平位置まで起こし上げたところで係止させる支え棒12は、連結軸12Aによりテーブル10の裏面部に回転可能にヒンジ連結されて設けられている。上記連結軸12Aは、テーブル10の裏面部に一体的に結合され、支え棒12が上記連結軸12Aに対して回転可能に枢着されている。上記支え棒12は、テーブル10の裏面部との間に掛着された捩りコイルバネ12Cのバネ力により、常時、その先端12Bがベース13に押し付けられる方向(図示反時計回り方向)に回転附勢された状態とされている。
【0038】
上記捩りコイルバネ12Cは、上述した連結軸12Aに巻装されて設けられており、その内側の端部が連結軸12Aに掛着されて固定され、外側の端部が、支え棒12に形成されたピン12Dに掛着されて固定されている。上記捩りコイルバネ12Cの附勢力により、支え棒12は、常時、その先端12Bが、ベース13に押し付けられた状態として保持されている。上記支え棒12の先端12Bは、図6〜図7に示すように、テーブル10を支軸13Aのまわりに起倒回転させる動きに追従して、ベース13上を上下方向に摺動するように移動案内される。
【0039】
具体的には、上記支え棒12の先端12Bは、図7に示すように、テーブル10が起こし上げられる動きに従って、ベース13上を上方側へ向かって摺動し、図6に示すように、テーブル10が倒し込まれる動きに従って、ベース13上を下方側へ向かって押されて摺動するようになっている。上記支え棒12の先端12Bは、図7に示すように、テーブル10が水平位置まで起こし上げられることにより、ベース13上に突出して設けられた係合部13Bを上方側へと乗り越えて、テーブル10がその自重によって下方側へと倒し込まれようとする荷重を、係合部13Bとベース13との角部に上方側から突き当たることで受け止める状態となる。これにより、支え棒12がつっかえ棒となって、テーブル10の倒れ込み方向の回転が規制された状態となる。ここで、上記支え棒12の先端12Bが本発明の「他端」に相当する。上記テーブル10を使用状態から格納状態へと倒し込む際には、先ず、テーブル10を更に上方側に浮かして支え棒12の先端12Bを係合部13Bとの突き当たり状態から外し、その後にテーブル10を下方側に沈み込ませることにより、テーブル10を図6に示すようにベース13に畳み込んだ格納状態に切り替えることができる。
【0040】
このように、本実施例の車両用シート1の構成によれば、支え棒12は、テーブル10の格納時(図6の状態)には、テーブル10の裏面に沿うようにコンパクトに倒し込まれた状態として保持され、テーブル10の使用状態(図7の状態)への展開により、先端12Bがベース13に沿って上方側へと摺動して、テーブル10を下支えした状態(係合部13Bに突き当たった状態)に切り替えられる。このように、テーブル10とベース13との間に支え棒12を設けた簡素な構成により、別途、支え棒12の移動を案内するための長孔とピンとを組み合わせたガイド構造などを設けることなく、格納展開可能なテーブル10を使用位置で支えることのできる構成をコンパクトに得ることができる。
【実施例4】
【0041】
続いて、実施例4の車両用シート1の構成について、図8〜図9を用いて説明する。なお、本実施例では、実施例1で説明した車両用シート1と実質的な構成及び作用が同じとなっている箇所については、これらと同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について異なる符号を付して詳しく説明することとする。すなわち、テーブル10は、実施例1で示した回転アーム(11)等のベース13に対して、支軸13Aにより起倒回転可能な状態にヒンジ連結されて設けられている。上記テーブル10は、図8に示すように、ベース13に畳み込まれるように下方側に倒し込まれた状態(格納状態)から、図9に示すように、着座乗員の前部に向けて水平位置まで起こし上げられることにより使用状態へと切り替えられる構成となっている。
【0042】
上記テーブル10を水平位置まで起こし上げたところで係止させる支え棒12は、連結軸12Aによりベース13に回転可能にヒンジ連結されて設けられている。上記連結軸12Aは、ベース13に一体的に結合され、支え棒12が上記連結軸12Aに対して回転可能に枢着されている。上記支え棒12は、ベース13との間に掛着された捩りコイルバネ12Cのバネ力により、常時、その先端12Bがテーブル10の裏面部に押し付けられる方向(図示時計回り方向)に回転附勢された状態とされている。
【0043】
上記捩りコイルバネ12Cは、上述した連結軸12Aに巻装されて設けられており、その内側の端部が連結軸12Aに掛着されて固定され、外側の端部が、支え棒12に形成されたピン12Dに掛着されて固定されている。上記捩りコイルバネ12Cの附勢力により、支え棒12は、常時、その先端12Bが、テーブル10の裏面部に押し付けられた状態として保持されている。上記支え棒12の先端12Bは、図8〜図9に示すように、テーブル10を支軸13Aのまわりに起倒回転させる動きに追従して、テーブル10の裏面上を摺動するように移動案内される。
【0044】
具体的には、上記支え棒12の先端12Bは、図9に示すように、テーブル10が起こし上げられる動きに従って、テーブル10の裏面上をテーブル10の先端側から回転中心(支軸13A)側へ向かって摺動し、図8に示すように、テーブル10が倒し込まれる動きに従って、テーブル10の裏面上をテーブル10の回転中心側から先端側(回転中心から遠い側)へ向かって押されて摺動するようになっている。上記支え棒12の先端12Bは、図9に示すように、テーブル10が水平位置まで起こし上げられることにより、テーブル10の裏面部に突出して設けられた係合部10Bをテーブル10の回転中心(支軸13A)側へ乗り越えて、テーブル10がその自重によって下方側へと倒し込まれようとする荷重を、係合部10Bとテーブル10の裏面部との角部に突き当たることで受け止める状態となる。これにより、支え棒12がつっかえ棒となって、テーブル10の倒れ込み方向の回転が規制された状態となる。ここで、上記支え棒12の先端12Bが本発明の「他端」に相当する。上記テーブル10を使用状態から格納状態へと倒し込む際には、先ず、テーブル10を更に上方側に浮かして支え棒12の先端12Bを係合部10Bとの突き当たり状態から外し、その後にテーブル10を下方側に沈み込ませることにより、テーブル10を図8に示すようにベース13に畳み込んだ格納状態に切り替えることができる。
【0045】
このように、本実施例の車両用シート1の構成によれば、支え棒12は、テーブル10の格納時(図8の状態)には、テーブル10の裏面に沿うようにコンパクトに倒し込まれた状態として保持され、テーブル10の使用状態(図9の状態)への展開により、先端12Bがテーブル10の裏面に沿って摺動して、テーブル10を下支えした状態(係合部10Bに突き当たった状態)に切り替えられる。このように、テーブル10とベース13との間に支え棒12を設けた簡素な構成により、別途、支え棒12の移動を案内するための長孔とピンとを組み合わせたガイド構造などを設けることなく、格納展開可能なテーブル10を使用位置で支えることのできる構成をコンパクトに得ることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を4つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、上記各実施例では、テーブル10を水平位置まで倒し込んだり起こし上げたりして使用状態に展開させた際に、支え棒12の先端12Bを係合させてテーブル10の回転止めをする構成として、支え棒12の先端12Bを突き当てて係止させる突起形状の各種係合部を例示したが、係合部は、凹部として形成されて支え棒の先端(本発明の「他端」に相当する)を入れ込んで嵌合させたり凹部内の角部に突き当てて止めるように構成したものであってもよい。
【0047】
また、上記各実施例では、支え棒12の附勢構造として、支え棒12の一端のヒンジ連結軸(連結軸12A)のまわりに巻装して掛着した捩りコイルバネ12Cを例示したが、支え棒の附勢構造は、支え棒とテーブル又はベースとの間に掛着される引張バネや圧縮バネ等の変形方向が直線状となるバネであってもよい。但し、このような変形方向が直線状となるバネを用いた場合には、バネがテーブルとベースとの間の空間に張り出すなどして構成が大型化するおそれがあることに留意が必要である。
【0048】
また、上記各実施例では、テーブル10を格納した位置に係止させるための具体的な構成については特に例示しなかったが、テーブルを格納した位置に係止させる構成としては、例えば、テーブルとベースとのヒンジ連結部に摺動摩擦による抵抗力によってテーブルを格納位置に係止させて保持するようにしたものであってもよい。また、テーブルを起立位置まで起こし上げて格納状態とするものでは、テーブルをその重心が回転中心を越える位置まで起こし上げるようにして、その越えた位置でベースに設けた係止構造によって下方側から支えて保持するようにしたものであってもよい。また、テーブルを下方側に落とし込んで格納状態とするものでは、テーブルがそれ自体の重さによって格納状態に保たれるため、特に係止構造を設けない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 車両用シート
2 シートバック
3 シートクッション
4R,4L アームレスト
4Ra,4La カバー部材
4Lb 蓋カバー
4Lc 空所
10 テーブル
10A ブラケット
10B 係合部
11 回転アーム(ベース)
11A 回転軸
11B 支軸
11C 上面部(係合部)
11D 壁板
12 支え棒
12A 連結軸
12B 先端(他端)
12C 捩りコイルバネ
12D ピン
13 ベース
13A 支軸
13B 係合部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平位置まで展開されて使用状態とされる格納可能なテーブルを備えた車両用シートであって、
前記テーブルは、当該車両用シートに設定されたベースにヒンジ連結されて、回転により前記水平位置まで展開された使用状態といずれかの回転方向に倒し込まれた格納状態とに切り替えられるようになっており、
前記テーブルと前記ベースとの間には、これらのうちの一方に一端がヒンジ連結され、他方に他端が附勢により押し付けられた状態とされた支え棒が設けられ、該支え棒は、前記テーブルが格納状態のときには前記テーブルの裏面に沿って倒し込まれた状態として保持され、前記テーブルが使用状態に展開されることにより他端が前記他方に沿って摺動して該他方に設けられた係合部と係合し、前記テーブルを下方側から支えた状態として保持する構成となっていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートであって、
前記テーブルの前記格納状態が、前記使用状態から上方側に倒し込まれた状態であり、前記支え棒が、前記テーブルの裏面部と前記テーブルの回転中心よりも下側に位置する前記ベースとの間に跨って設けられていることを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用シートであって、
前記支え棒の附勢構造を、該支え棒の一端のヒンジ連結軸のまわりに巻装されて掛着される捩りコイルバネにより構成したことを特徴とする車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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