説明

車両用スイッチパネル

【課題】車両用スイッチパネルにおいて、カバーホールを取付けた際のガタつきを抑制する。
【解決手段】第1及び第2のリブ14,15の平面46,47がそれぞれ第1及び第2の溝型ガイド24,25のフランジの接面41,43に接し、第1及び第2のリブ14,15の突部17,18がそれぞれ第1及び第2の溝型ガイド24,25のウェブ33の接面42,44に接し、第3のリブ16の突部19が第3の溝型ガイド26のウェブの接面45に接し、第1と第2のリブ14,15の各突部17,18間の距離Aは、各突部17,18が接する各接面42,44の面間距離Bよりも短く、第3のリブ16の突部19と第1、第2のリブの各平面46,47との各距離Cが第3の溝型ガイド26のウェブ33の接面45と第1、第2の溝型ガイド24,25の各一方のフランジ31の各接面41,43との各面間距離Dよりも短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スイッチパネルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内には空調機器のコントロールパネルやオーディオ装置のコントロールパネルが設けられている。このような各種のコントロールパネルには、空調モードの切り替えなどを行うプッシュスイッチが多く用いられている。プッシュスイッチは、プッシュスイッチ本体が設けられたスイッチハウジングと、スイッチハウジングに取付けられた溝型のガイドと、溝型のガイドの溝に係合するリブを備え、スイッチハウジングに対して進退方向にスライドし、その先端がプッシュスイッチ本体に接続されるプッシュノブとを備えている(例えば、特許文献1参照)。そして、各プッシュスイッチの表面にはプッシュボタンの用途、接続されているプッシュスイッチ本体の接続状態がわかるような表示あるいはインジケータが取付けられている。プッシュボタンの表面の意匠はコントロールパネルの意匠面の意匠と合わせて、コントロールパネルの操作面の意匠を構成しているものである(例えば、特許文献1の図3参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平3-32332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、一般的に販売されている乗用車などにおいては、ユーザの好みに合わせて、例えば、高級仕様から一般仕様、エコノミー仕様など多様な種類のグレードのものが提供されている。このように、車両のグレードが変わるとそれにつれて搭載している空調機器等の機能も変わり、例えば、ある機能は高級仕様の車両には搭載されているが一般仕様の車両については使用されていないという場合がある。空調コントロールパネルなどは共通部品として同一の意匠デザインを採用していることから、車両の共通の操作面を持つものが取付けられる場合が多い。この場合、そのグレードでは搭載されていない機能に対応するプッシュノブは取付けず、表面にインジケータなどがないカバーホールと呼ばれる部品をスイッチハウジングに固定してプッシュスイッチ本体の取付け孔などをカバーする方法が用いられている。
【0005】
カバーホールはプッシュノブと同様のリブを備え、共通部品として製造されているスイッチハウジングの溝型ガイドの溝にそのリブを押込んで、スイッチハウジングに固定する方法が多く用いられている。このようにしてカバーホールをスイッチハウジングに取付ける場合には、取付けた後にカバーホールがガタつかないようにガイドとリブとの間の寸法をできるだけ小さい隙間とすることが必要となる。
【0006】
しかし、スイッチハウジング及びカバーホールは何れも樹脂成形によって製造されることが多いため、スイッチハウジングのガイドの寸法やカバーホールのリブの寸法の精度もあまり高くない。このため、製造においては試作品を製造してガイドとリブとの間の隙間を確認し、その隙間がガタつきの生じないような微小隙間となるまで金型の寸法を調整していく金型チューニングを行ってから最終的な金型を決めて製造に入るという工程が必要となり、製造時間が長くなったり、製造コストが掛かってしまったりするという問題があった。特に、近年の車種の多様化によりカバーホールが複数のスイッチ取付け穴をカバーする場合が多い。このような場合には、従来のように1つずつのスイッチ取付け孔をカバーするカバーホールと同様の隙間寸法としていたのではそれにより生じるガタが大きくなってしまい、ユーザが不快に感じるという問題があった。
【0007】
また、カバーホールのリブの寸法、スイッチハウジングの溝型ガイドの溝の寸法の精度をより高くしようとすると、金型チューニングの回数が増加し、製造工数、コストの上昇を招いてしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、車両用スイッチパネルにおいて、簡便な方法によってカバーホールを取付けた際のガタつきを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用スイッチパネルは、基体部に取付けられる複数の溝型ガイドと、基体部に取付けられる意匠板の開口を塞ぐカバーホールに取付けられ、各溝型ガイドに長手方向に差し込まれてカバーホールを基体部に固定する複数のリブと、を備える車両用スイッチパネルであって、各溝型ガイドは、対向する2つのフランジと各フランジを接続するウェブとを含み、第1及び第2の溝型ガイドは各ウェブ側が対向するように基体部に設けられ、第3の溝型ガイドはウェブが第1及び第2の各溝型ガイドの各フランジと略平行になるように配置され、カバーホールの各リブは、各溝型ガイドの対向する各フランジ面の間に入る平板と、各溝型ガイドのウェブに向かう側の端面に設けられた突部と、を含み、第1及び第2のリブの各一方の平面がそれぞれ第1及び第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面に接し、第1及び第2のリブの突部がそれぞれ第1及び第2の溝型ガイドの各ウェブ面に接し、第3のリブの突部が第3の溝型ガイドのウェブ面に接し、第1と第2のリブの各突部間の距離は、各突部が接する第1、第2の溝型ガイドの各ウェブ面の面間距離よりも短く、第3のリブの突部と第1、第2のリブの各一方の平面との各距離が第3の溝型ガイドのウェブ面と第1、第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面との各面間距離よりも短いこと、を特徴とする。
【0010】
本発明の車両用スイッチパネルにおいて、第1又は第2のリブのいずれか一方の突部と第3のリブの突部は、それぞれ第1又は第2の溝型ガイド又は第3の溝型ガイドのウェブ面に接した際に稜線部が潰れる三角柱状断面であること、としても好適であるし、各リブの突部は、溝型ガイドへの差込方向に沿った根本側に設けられていること、としても好適であるし、基体部は溝型ガイドと共に樹脂により一体成形されており、カバーホールは各リブと共に樹脂により一体成形されていること、としても好適である。
【0011】
また、本発明の車両用スイッチパネルにおいて、第1及び第2のリブの各一方の平面及び第1及び第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面は、第3の溝型ガイドから遠い側の面であること、としても好適であるし、第1及び第2のリブの各一方の平面及び第1及び第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面は、第3の溝型ガイドに近い側の面であり、第1又は第2のリブのいずれか一方の突部は、第1又は第2の溝型ガイドのウェブ面に接した際に潰れて第1及び第2のリブの各突部が第1及び第2の溝型ガイドの対向するウェブ面を締め付け、第3のリブの突部は、第3の溝型ガイドのウェブ面に接した際に潰れて第1及び第2のリブの各一方の平面をそれぞれ第1及び第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面に押し付けること、としても好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、車両用スイッチパネルにおいて、簡便な方法によってカバーホールを取付けた際のガタつきを抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する前に、カバーホールが取付けられていない車両用スイッチパネルについて説明する。図1に示すように、車両用スイッチパネル100は、車室内の運転席近くのセンターコンソールなどに設けられ、空調温度の設定やシートヒータの調節を行うものである。車両用スイッチパネル100は、スイッチハウジングに取り付けられた意匠板11と、スイッチハウジングに設けられたスイッチホルダ113,123,133と、意匠板11の開口11aに設けられ、スイッチホルダ113,123,133に取り付けられる各プッシュスイッチ本体に接続され、ユーザが操作して各プッシュスイッチ本体を動作させるプッシュノブ111,121,131とを備えている。また、車両用スイッチパネル100には温度設定調整用のスイッチノブ12が取り付けられている。
【0014】
プッシュノブ111,121,131はいずれも高級仕様車に設けられているシートヒータ用のプッシュノブで、プッシュノブ111,121はシートヒータの出力の高低を切り替えるプッシュノブであり、プッシュノブ131はシートヒータのオンオフの切り換え操作を行うプッシュノブである。各プッシュノブ111,121,131は表面に各プッシュノブ111,121,131の機能を示す表示が設けられている。また、プッシュノブ111,121には、各プッシュノブ111,121に接続されている各プッシュスイッチ本体の動作状態を示すインジケータ112,122が設けられている。各インジケータ112,122は各スイッチホルダ113,123に取り付けられたLEDなどの光源によって照明されるように構成されている。
【0015】
各プッシュノブ111,121,131は、各機能が表示された長方形の表面板と、表面板の各周囲に設けられ、表面板から各スイッチホルダ113,123,133の外側を囲むように延びる4つの側板と、によって構成される開放箱形形状である。図1に示すように、4つの側板の内の3つの側板の内側には各スイッチホルダ113,123,133にそれぞれ3つずつ設けられた溝型ガイド114,116,118,124,126,128,134,136,138にガイドされる各リブ115,117,119,125,127,129,135,137,139が設けられている。各リブ115,117,119,125,127,129,135,137,139は各溝型ガイド114,116,118,124,126,128,134,136,138の各溝に入る厚さの平板で、各溝と各リブ115,117,119,125,127,129,135,137,139との間には各プッシュノブ111,121,131がガタつかずにスライドできる程度の隙間が設けられている。
【0016】
次に、本発明の実施形態であるカバーホールが取り付けられる車両用スイッチパネル10について説明する。図2は車両用スイッチパネル10を示す三面図であり、図2(a)は車両用スイッチパネル10を意匠板11の面から見た平面を示し、図2(b)はカバーホール13の長手方向の断面を示し、図2(c)はカバーホール13の短辺方向の断面を示している。
【0017】
図2に示すように、車両用スイッチパネル10は、基体部であるスイッチハウジング50に取り付けられた意匠板11と、スイッチハウジング50に設けられたスイッチホルダ21,22,23と、カバーホール13とを備えている。また、カバーホール13の隣には先に図1で説明した車両用スイッチパネル100と同様に温度設定調整用のスイッチノブ12が取り付けられている。
【0018】
図2に示す車両用スイッチパネル10は、一般仕様車或いはシートヒータが必要ないような地域向けの車両に用いられるものであるが、このような仕様の車両にはシートヒータが取り付けられていない。このため、各スイッチホルダ21,22,23にはプッシュスイッチ本体は取り付けられておらず、図1に示したシートヒータ用のプッシュノブ111,121,131も取り付けられていない。一方、スイッチホルダ21,22,23が設けられているスイッチハウジング50や意匠板11は高級車仕様のものも一般車仕様のものも共通部品として製造されることから、一般仕様の車両に搭載される車両用スイッチパネル10のスイッチハウジング50には各スイッチホルダ21,22,23が設けられ、意匠板11の各スイッチホルダ21,22,23の位置には先に図1を参照して説明した高級車用の車両用スイッチパネル100と同様の開口11aが設けられている。この意匠板11の開口11aには、開口11aを塞ぐカバーホール13が取り付けられている。
【0019】
図2及び図3に示すように、カバーホール13は、その表面が意匠板11と共にデザインされた長方形の表面板13aと、表面板13aの各周囲に設けられ、スイッチホルダ21,22,23を囲むように表面板13aから延びる4つの側板13b,13c,13d,13eとで構成された開放箱形形状である。カバーホール13の3つの側板13b,13c,13eには、それぞれ第1のリブ14、第2のリブ15、第3のリブ16が設けられている。カバーホール13は、図2に示す矢印のように、意匠板11の開口11aに意匠板11の側からスイッチハウジング50に向かって差し込まれ、カバーホール13の第1、第2、第3のリブ14,15,16はそれぞれスイッチホルダ21の両側に設けられた第1の溝型ガイド24及び第2の溝型ガイド25とスイッチホルダ23の一面に設けられた第3の溝型ガイド26に差し込まれている。カバーホール13の各側板13d,13eの差し込み方向の先端にはスナップフィット27が設けられ、スナップフィット27はスイッチハウジング50に設けられた孔に差し込まれ、先端のツメがスイッチハウジング50の孔の周縁に係合している。カバーホール13はスイッチハウジング50に差し込まれて取り付けられると、その表面板13aの表面は意匠板11の表面に沿った位置となり、意匠板11に設けられた開口11aを塞ぐ。
【0020】
図3(a)、図3(b)はカバーホール13をスイッチハウジング50の側から見た斜視図である。図3(a)に示すように、カバーホール13の各側板13b,13cの内側のスイッチホルダ21に向かう面にはそれぞれ平板の第1のリブ14及び第2のリブ15が設けられている。第1、第2のリブ14,15の表面板13aに近い差し込み方向の根本側にはそれぞれ各リブ14,15の端面からスイッチホルダ21に向かって突出した突部17,18が設けられている。また、図3(b)に示すように、カバーホール13の側板13eの内側のスイッチホルダ23に向かう面には平板の第3のリブ16が設けられている。第3のリブ16の表面板13aに近い差し込み方向の根本側にはリブ16の端面からスイッチホルダ23に向かって突出した突部19が設けられている。
【0021】
図3(a)に示すように、突部18は平板の第1のリブ15の厚さと同様の直径の半円柱形状で、第1のリブ15の差し込み方向の中間で差し込み方向に向かって端面からの突出高さが低くなるような斜面18aを持つように構成されている。また、突部17,19はそれぞれ平板の第1、第3のリブ14,16の端面を1つの面とする三角柱形状で、三角柱の稜線が各スイッチホルダ21,23に向かうように構成されている。そして、突部17,19には第1、第3のリブ14,16の差し込み方向の中間で差し込み方向に向かって各端面からの突出高さが低くなるような斜面17a,19aが構成されている。
【0022】
図4はスイッチホルダ21,23に設けられている第1の溝型ガイド24、第2の溝型ガイド25、第3の溝型ガイド26及びカバーホール13に設けられている第1、第2、第3のリブ14,15,16を取り出して示した斜視図である。図4においてはカバーホールの表面板13a、各側板13b,13c,13d,13eの図示は省略している。また、図4においては第1の溝型ガイド24から第2の溝型ガイド25に向かう方向をX方向、各溝型ガイド24,25,26の長手方向をZ方向、XZ方向と直角方向をY方向として説明する。
【0023】
図4に示すように、第1、第2、第3の溝型ガイド24,25,26はそれぞれ2つの略平行に対向して配置されたフランジ31,32と各フランジ31,32を接続するウェブ33によって構成されている。ウェブ33は各フランジ31,32と略直角に配置されている。各フランジ31,32及び各ウェブ33は各スイッチホルダ21,22,23と一体として樹脂成形によって構成され、各スイッチホルダ21,22,23はスイッチハウジング50に取り付けられている。また、各スイッチホルダ21,22,23はスイッチハウジング50と共に樹脂の一体成形によって構成してもよい。
【0024】
スイッチホルダ21に設けられた第1の溝型ガイド24及び第2の溝型ガイド25は各ウェブ33のある側が対向するように配置され、第1、第2の溝型ガイド24,25の各一方のフランジ31の第1、第2のリブ14,15の各一方の平面46,47に接する接面41,43は、略同一面になるように配置されており、第1、第2の溝型ガイド24,25の各ウェブ33の第1、第2のリブ14,15の各突部17,18に接する接面42,44は互いに略平行となるように配置されている。また、第3の溝型ガイド26は、第3のリブ16の突部19に接するウェブ33の接面45が第1及び第2の各溝型ガイド24,25の各一方のフランジ31の各一方の接面41,43と略平行になるように配置され、第3の溝型ガイド26の各フランジ31,32は第1、第2の溝型ガイド24,25の各ウェブ33の各接面42,44と略平行となるように配置されている。即ち、第1、第2の溝型ガイド24,25はY方向に略同様の位置でX方向に向かって互いに反対方向に向かって設けられ、各一方のフランジ31及び各フランジの接面41,43はX方向に向かって略平行に設けられている。また、第3の溝型ガイド26のウェブ33及びウェブ33の接面45はX方向に略平行に設けられている。そして、第1、第2の溝型ガイド24,25の各ウェブ33及び各ウェブ33の面42,44及び第3の溝型ガイド26の各フランジ31はY方向に向かって平行に設けられている。ここで、各フランジ31の各接面41,43は、各フランジ32に対向する方向の面、あるいは第1、第2の溝型ガイド24,25の各フランジ31の内側面であり、Y方向に向かってフランジ32よりも第3の溝型ガイド26から遠い側の接面である。
【0025】
カバーホール13に設けられた第1、第2、第3のリブ14,15,16は図4の矢印に示すように、Z方向に向かって下向きに第1、第2、第3の溝型ガイド24,25,26の各フランジ31,32と各ウェブ33とによって構成される溝に差し込まれる。
【0026】
図4に示す第1のリブ14の突部17の接面42に向かう側の先端と第2のリブ15の突部18の接面44に向かう側の先端との間の距離Aは、各接面42,44の面間距離Bよりも短くなるよう構成されている。また、第3のリブ16の突部19の接面45に向かう側の先端と第1、第2のリブ14,15の各一方の平面46,47との各距離Cは、第3の溝型ガイド26のウェブ33の接面45と第1、第2の溝型ガイド24,25の各接面41,43との各面間距離Dよりも短くなるよう構成されている。また、各溝型ガイド24,25,26の各フランジ31,32の面間寸法は各リブ14,15,16の平板の厚さよりも広くなっている
【0027】
以上のように構成された本実施形態の車両用スイッチパネル10のカバーホール13の取り付けについて説明する。図4に示すように、第1、第2、第3のリブ14,15,16が各溝型ガイド24,25,26の各溝に入る位置に位置合わせした後、カバーホール13を図4の矢印に示すようにスイッチハウジング50に向かって移動させ、各リブ14,15,16を各溝型ガイド24,25,26の各溝に差し込んでいく。そして、各リブ14,15,16がそれぞれ各溝型ガイド24,25,26の各溝に入り始めたら、第1のリブ14の一方の平面46と第2のリブ15の一方の平面47をそれぞれ第1の溝型ガイド24の接面41と第2の溝型ガイド25の接面43とに押し付けて、各平面46,47が各接面41,43に接するようにする。そして、各リブ14,15,16が各溝に差し込まれると、各リブ14,15,16の各ウェブ33に面している各突部17,18,19の各斜面17a,18a,19aは各ウェブ33の各接面42,44,45の周縁に接する。第3の溝型ガイド26のフランジ31,32の面間寸法は第3のリブ16の平板の厚さよりも広くなっているので、第3のリブ16と第3の溝型ガイド26の各フランジ31,32の間には隙間がある状態となっている。
【0028】
更に各リブ14,15,16をスイッチハウジング50に向かって移動させると、突部17と突部18との間の距離Aは接面42と接面44との間の面間距離Bよりも短いので、各斜面17a,18aは各接面42,44を互いに接近させる方向に押し付け始める。突部18は半円柱形状であり、突部17は三角形状でその稜線が接面42に向いているので、突部17の稜線部は突部18の円柱部分よりも弱くなっている。このため、図5に示すように突部17の稜線部は接面42にあたって押し潰されながら溝型ガイド24に差し込まれていく。一方、突部18は押し潰されることなく斜面18aが接面44にあたり、突部18が接面44に接するように溝型ガイド25に差し込まれていく。
【0029】
そして、図6に示すように、突部17が押し潰されると突部17と突部18との間の距離Aは接面42と接面44との間の面間距離Bと等しい距離となるので第1のリブ14と第2のリブ15はそれぞれ各溝型ガイド24,25に隙間なく取り付けられ、カバーホール13がX方向に移動しないように位置決めすることができる。また、突部17を押し潰した際の反発力によって第1、第2の溝型ガイド24,25の各接面42,44は互いに接近する方向に締め付けられる。
【0030】
また、各リブ14,15,16をスイッチハウジング50に向かって移動させると、第3のリブ16の突部19の先端と第1、第2のリブ14,15の各一方の平面46,47との各距離Cは、第3の溝型ガイド26のウェブ33の接面45と第1、第2の溝型ガイド24,25の各一方のフランジ31の各接面41,43との各面間距離Dよりも短く、各一方の平面46,47はそれぞれ第1、第2の接面41,43に押し付けられているので、図5に示すように突部19の稜線部は接面45にあたって押し潰されながら溝型ガイド26に差し込まれていく。一方、第1、第2のリブ14,15の各一方の平面46,47はそれぞれ第1、第2の溝型ガイド24,25の各接面41,43に接しながら第1、第2の溝型ガイド24,25に差し込まれていく。
【0031】
そして、図6に示すように、突部19の稜線部が押し潰されると、突部19の先端と第1、第2のリブ14,15の各一方の平面46,47との各距離Cは第3の溝型ガイド26のウェブ33の接面45と第1、第2の溝型ガイド24,25の各一方のフランジ31の各接面41,43との各面間距離Dと同一距離となり、第1、第2、第3の各リブ14,15,16はそれぞれ各溝型ガイド24,25,26に隙間なく取り付けられ、カバーホール13のY方向位置を決めることができる。
【0032】
以上説明した本実施形態では、カバーホール13をスイッチハウジング50に取り付ける際に第1、第3のリブ14,16の各突部17,19の稜線部が潰れることによって、第1、第2、第3のリブ14,15,16をそれぞれ各溝型ガイド24,25,26のXY方向に隙間なく取り付けることができるので、簡便な方法によって組み立て後のカバーホール13のガタつきを抑制することができるという効果を奏する。また、樹脂成形によって各溝型ガイド24,25,26の各接面41,43,44,45を管理面として寸法精度を確保しておけば、第1、第2、第3のリブ14,15,16をそれぞれ各溝型ガイド24,25,26のXY方向に隙間なく取り付けることができるので、金型チューニングをすることなく各部品の製造を行うことができ、製造工程、製造時間を短縮することができるという効果を奏する。また、カバーホール13が大きくなっても各リブ14,15,16を各溝型ガイド24,25,26のXY方向に隙間なく取り付けることができるので、カバーホール13の大きさが大きくなってもカバーホール13のガタつきを効果的に抑制することができるという効果を奏する。
【0033】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。先に説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
【0034】
図7に示すように、本実施形態の車両用スイッチパネル10は、第1、第2の溝型ガイド24,25の各フランジ32の側にある第1、第2のリブ14,15の各一方の平面48,49と、第3のリブ16の突部19の先端との距離Eは、第3の溝型ガイド26のウェブ33の接面45と第1、第2の溝型ガイド24,25の各一方のフランジ32の各接面51,52との各面間距離Fよりも短くなるよう構成されている。ここで、各フランジ32の各接面51,52は、各フランジ31に対向する方向の面、あるいは第1、第2の溝型ガイド24,25の各フランジ32の内側面であり、Y方向に向かって各フランジ31の各接面41,43よりも第3の溝型ガイド26に近い側の接面である。
【0035】
図8に示すように、本実施形態では、カバーホール13を組み付けると、第1、第2の溝型ガイド24,25の各フランジ32の側にある第1、第2のリブ14,15の各一方の平面48,49と、第3のリブ16の突部19の先端との距離Eは、第3の溝型ガイド26のウェブ33の接面45と第1、第2の溝型ガイド24,25の各一方のフランジ32の各接面51,52との各面間距離Fよりも短いので、第3のリブ16の突部19の稜線部は押し潰されて距離Eと面間距離Fは同一距離となり、第1、第2、第3の各リブ14,15,16はそれぞれ各溝型ガイド24,25,26に隙間なく取り付けられ、カバーホール13のXY方向位置を決めることができる。また、本実施形態では、突部19を押し潰した際の反発力によって第1、第2のリブ14,15の各一方の平面48,49はそれぞれ第1、第2の溝型ガイド24,25の各接面51,52に押し付けられる。そして、第1のリブ14、第2のリブ15の各一方の平面48,49と第3のリブ16の突部19とは第1、第2の溝型ガイド24,25と第3の溝型ガイド26とをY方向に向かって互いに接近する方向に締め付ける。
【0036】
本実施形態は先に説明した実施形態と同様の効果に加え、突部17を押し潰した際の反発力によって第1、第2の溝型ガイド24,25の各接面42,44が互いに接近するX方向に締め付けられるとともに、突部19を押し潰した際の反発力で、第1、第2の溝型ガイド24,25と第3の溝型ガイド26とがY方向に向かって互いに接近する方向に締め付けられる。このため、カバーホール13に設けられた各リブ14,15,16は各溝型ガイド24,25,26をXYの各方向に締め付け固定することができることから、先の実施形態よりもより効果的にカバーホール13のガタつきを抑制することができるという効果を奏する。なお、本実施形態では、各溝型ガイド24,25,26の樹脂成形の金型の寸法管理を行う管理面は、各溝型ガイド24,25,26の各接面51,52,44,45となる。
【0037】
以上説明した各実施形態では、カバーホール13をスイッチハウジング50に取付ける場合について説明したが、本発明はカバーホール13の取り付け構造にかかわらず、インジケータ表示板などをスイッチホルダ50に取付ける場合にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】カバーホールの取付けられていないスイッチパネルを示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態のスイッチパネルの平面と長手方断面と短辺方向の断面とを示す三面図である。
【図3】本発明の実施形態のスイッチパネルのカバーホールを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態のスイッチパネルにおいて、カバーホールのリブとスイッチホルダに取り付けられた溝型ガイドの配置を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態のスイッチパネルにおいて、リブの突部の潰れる様子を示した説明図である。
【図6】本発明の実施形態のスイッチパネルにおいて、カバーホールが組み付けられた状態の各リブと各溝型ガイドとの状態を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態のスイッチパネルにおいて、カバーホールのリブとスイッチホルダに取り付けられた溝型ガイドの配置を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態のスイッチパネルにおいて、カバーホールが組み付けられた状態の各リブと各溝型ガイドとの状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
10,100 車両用スイッチパネル、11 意匠板、11a 開口、12 スイッチノブ、13 カバーホール、13a 表面板、13b,13c,13d,13e 側板、14 第1のリブ、15 第2のリブ、16 第3のリブ、17,18,19 突部、17a,18a,19a 斜面、21,22,23,113,123,133 スイッチホルダ、24 第1の溝型ガイド、25 第2の溝型ガイド、26 第3の溝型ガイド、27 スナップフィット、31,32 フランジ、33 ウェブ、41,42,43,44,45,51,52 接面、46,47,48,49 平面、50 スイッチハウジング、111,121,131 プッシュノブ、112,122 インジケータ、114,116,118 溝型ガイド、115,117,119,125,127,129,135,137,139 リブ、A,C,E 距離、B,D,F 面間距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部に取付けられる複数の溝型ガイドと、
基体部に取付けられる意匠板の開口を塞ぐカバーホールに取付けられ、各溝型ガイドに長手方向に差し込まれてカバーホールを基体部に固定する複数のリブと、を備える車両用スイッチパネルであって、
各溝型ガイドは、
対向する2つのフランジと各フランジを接続するウェブとを含み、第1及び第2の溝型ガイドは各ウェブ側が対向するように基体部に設けられ、第3の溝型ガイドはウェブが第1及び第2の各溝型ガイドの各フランジと略平行になるように配置され、
カバーホールの各リブは、
各溝型ガイドの対向する各フランジ面の間に入る平板と、各溝型ガイドのウェブに向かう側の端面に設けられた突部と、を含み、
第1及び第2のリブの各一方の平面がそれぞれ第1及び第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面に接し、第1及び第2のリブの突部がそれぞれ第1及び第2の溝型ガイドの各ウェブ面に接し、第3のリブの突部が第3の溝型ガイドのウェブ面に接し、
第1と第2のリブの各突部間の距離は、各突部が接する第1、第2の溝型ガイドの各ウェブ面の面間距離よりも短く、第3のリブの突部と第1、第2のリブの各一方の平面との各距離が第3の溝型ガイドのウェブ面と第1、第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面との各面間距離よりも短いこと、
を特徴とする車両用スイッチパネル。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用スイッチパネルであって、
第1又は第2のリブのいずれか一方の突部と第3のリブの突部は、それぞれ第1又は第2の溝型ガイド又は第3の溝型ガイドのウェブ面に接した際に稜線部が潰れる三角柱状断面であること、
を特徴とする車両用スイッチパネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用スイッチパネルであって、
各リブの突部は、溝型ガイドへの差込方向に沿った根本側に設けられていること、
を特徴とする車両用スイッチパネル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用スイッチパネルであって、
基体部は溝型ガイドと共に樹脂により一体成形されており、
カバーホールは各リブと共に樹脂により一体成形されていること、
を特徴とする車両用スイッチパネル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用スイッチパネルであって、
第1及び第2のリブの各一方の平面及び第1及び第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面は、第3の溝型ガイドから遠い側の面であること、
を特徴とする車両用スイッチパネル。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用スイッチパネルであって、
第1及び第2のリブの各一方の平面及び第1及び第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面は、第3の溝型ガイドに近い側の面であり、
第1又は第2のリブのいずれか一方の突部は、第1又は第2の溝型ガイドのウェブ面に接した際に潰れて第1及び第2のリブの各突部が第1及び第2の溝型ガイドの対向するウェブ面を締め付け、
第3のリブの突部は、第3の溝型ガイドのウェブ面に接した際に潰れて第1及び第2のリブの各一方の平面をそれぞれ第1及び第2の溝型ガイドの各一方のフランジ面に押し付けること、
を特徴とする車両用スイッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−107369(P2009−107369A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278667(P2007−278667)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】