説明

車両用ドアミラー

【課題】本発明は、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)を2個のLEDで均一に光らせるようにした車両用ドアミラーを提供する。
【解決手段】車両用ドアミラーは、側方車両検知シンボルSと第1及び第2のLED41,42との間に光拡散部80を配置させ、側方車両検知シンボルSと第1及び第2のLED41,42との配置関係は、自車両表示部10内で第1のLED41の光軸L1が交差し、他車両表示部20内で第2のLED42の光軸L2が交差するようにしたことで、2個のLED41,42で側方車両検知シンボルSを均一に光らせることが実現できた。更に、第1のLED41の光軸L1は、自車両表示部10の光不透過部Bと交差し、第2のLED42の光軸L2は、他車両表示部20の光不透過部Bと交差する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)を2個のLEDによって照らすようにした車両用ドアミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアミラーの鏡面に警告シンボルを光らせるようにした技術として、特開2009−83631号公報がある。この公報に記載された車両用ドアミラーは、透明ガラス基板の裏面に半透過反射膜が蒸着されたミラー板を有し、この半透過反射膜には、警告シンボルが切り抜かれたマスク部材が貼り付けられている。ミラー板の裏面側に配置されたLEDからの光が警告シンボルを透過することで、ミラー板の表面に警告シンボルが表示されることになる。この警告シンボルとして、三角マークやエクスクラメーション・マークなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−83631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
警告シンボルとして利用される前述した三角マークやエクスクラメーション・マークなどは、比較的簡単な形状を有している。しかしながら、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)は、運転席側に配置される自車両表示部と、自車両表示部より外側で斜め後方に配置される他車両表示部と、自車両表示部と他車両表示部との間に配置され、検知波を示す検知波表示部と、の3つの表示部で構成され、それぞれの表示部は複雑な形状を有している。そして、基板上に配列されたLEDで側方車両検知シンボルを均一に光らせるためには、LEDの数を多くして、この側方車両検知シンボルからLEDを離すように配置させることが好ましい。しかしながら、LEDの数を多くすればする程、コストアップや回路基板の大型化を招来し、側方車両検知シンボルからLEDを離せば離す程、スペース効率が悪化する。
【0005】
本発明は、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)を2個のLEDで均一に光らせるようにした車両用ドアミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、反射ミラーの裏面から、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)を第1のLEDと第2のLEDとにより照らすようにした車両用ドアミラーであって、
光透過部と光不透過部とからなる側方車両検知シンボルは、
運転席側に配置される自車両表示部と、
自車両表示部より外側で斜め後方に配置される他車両表示部と、
自車両表示部と他車両表示部との間に配置され、検知波を示す検知波表示部と、からなり、
側方車両検知シンボルと第1及び第2のLEDとの間には、光拡散部が配置され、
側方車両検知シンボルと側方車両検知シンボルの裏面側に配置された第1及び第2のLEDとの配置関係は、
第1のLEDの光軸が自車両表示部内と交差し、第2のLEDの光軸が他車両表示部と交差することを特徴とする。
【0007】
この車両用ドアミラーは、運転席側に配置される自車両表示部と、自車両表示部より外側で斜め後方に配置される他車両表示部と、自車両表示部と他車両表示部との間に配置され、検知波を示す検知波表示部と、の3つの表示部で構成されたISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)を有している。そして、表示部毎に均一に光らせるために3個のLEDを利用すると、回路基板が大型化し、回路基板を小型化させるために側方車両検知シンボルの中央を照らすように1個のLEDを利用すると、側方車両検知シンボルの周囲が暗くなりがちで、側方車両検知シンボルを均一に光らせることが難しい。そこで、側方車両検知シンボルと第1及び第2のLEDとの間に光拡散部を配置させ、側方車両検知シンボルと側方車両検知シンボルの裏面側に配置された第1及び第2のLEDとの配置関係は、自車両表示部内で第1のLEDの光軸が交差し、他車両表示部内で第2のLEDの光軸が交差することで、2個のLEDで側方車両検知シンボルを均一に光らせることが実現できた。
【0008】
また、第1のLEDの光軸は、自車両表示部の光不透過部と交差し、第2のLEDの光軸は、他車両表示部の光不透過部と交差すると好適である。
このような構成を採用すると、自車両の運転席から側方車両検知シンボルを見たときの光量に比べて後続車両から側方車両検知シンボルを見たときの光量を低減させることができるで、側方車両検知シンボルの点灯や点滅が後続車両の運転者に与える影響を低減させることができる。
【0009】
また、第1のLEDの光軸は、自車両表示部内で、自車両表示部を左右に分割する中心軸線から検知波表示部側に寄せられ、第2のLEDの光軸は、他車両表示部内で、他車両表示部を左右に分割する中心軸線から検知波表示部側に寄せられていると好適である。
このような構成を採用すると、側方車両検知シンボルの点灯や点滅が後続車両の運転者に与える影響を低減させつつ、側方車両検知シンボル全体の明るさを更に均一にさせることができる。
【0010】
また、側方車両検知シンボルは、反射ミラーの裏面をブラスト処理又はレーザエッチング処理することで形成されていると好適である。
このような構成を採用すると、側方車両検知シンボル自体に光拡散効果をもたせることができ、側方車両検知シンボルを更に均一に光らせることができる。特に、気体レーザエッチングでは、ブラスト処理と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)を2個のLEDで均一に光らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車両用ドアミラーに適用される反射ミラー及びランプユニットを示す分解斜視図である。
【図2】(a)は側方車両検知シンボルの平面図、(b)は図2(a)のII−II線に沿う端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る車両用ドアミラーの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、車両用ドアミラーは、後方車両を視認するための反射ミラー1を有し、この反射ミラー1は、カップ状のハウジングの開口を塞ぐように配置され、ハウジング内には、反射ミラー1を可動させるための機構が収容されている。この反射ミラー1は、透明なガラス2の裏面に反射膜Rが蒸着されたものである。そして、この反射ミラー1は、樹脂性のミラーホルダ(不図示)によって裏面が覆われと共に、このミラーホルダの周縁に嵌め込み固定されている。
【0015】
反射ミラー1には、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)Sが形成されている。この側方車両検知シンボルSは、運転席側に配置される自車両表示部10と、自車両表示部10より外側で斜め後方に配置される他車両表示部20と、自車両表示部10と他車両表示部20との間に配置され、検知波(レーザ波など)を示す検知波表示部30と、からなる。
【0016】
そして、この側方車両検知シンボルSは、反射膜Rを透明なガラス2からブラスト処理又はレーザエッチング処理によって剥離させることで反射ミラー1の裏面に形成される。このようにして形成された側方車両検知シンボルSは、光透過部Aと光不透過部Bとからなる。
【0017】
更に、反射ミラー1の裏面には、ランプユニットUが貼り付け固定され、このランプユニットU内には、側方車両検知シンボルSを照らすための第1のLED41と第2のLED42とが配置され、各LED41,42は、回路基板50上に固定されている。回路基板50は、ランプハウジング60内で固定され、ランプハウジング60は、側方車両検知シンボルSを囲む領域Mより大きな開口60aを有し、クッションテープ70の裏面は、ランプハウジング60の開口60aの周縁に貼着され、クッションテープ70の表面は、反射ミラー1の裏面に貼着される。
【0018】
そして、クッションテープ70には、領域Mより一回り大きな開口70aが形成され、この開口70aと側方車両検知シンボルSとの位置が合うように、ランプハウジング60は接着剤付きのクッションテープ70により反射ミラー1の裏面に貼り付けられる。
【0019】
ランプハウジング60の開口60aを塞ぐように、ランプハウジング60には板状の光拡散部80が固定され、光拡散部80とランプハウジング60とで形成される空間内には各LED41,42が収容されている。また、光拡散部80の周縁は、ランプハウジング60の開口60a側に形成された拡張部60bによって保持されている。光拡散部80の採用により、第1及び第2のLED41,42を、側方車両検知シンボルSに近づけるように配置させることができ、ランプハウジング60の薄型化を可能にする。
【0020】
なお、ランプユニットUは、ランプハウジング60と第1のLED41と第2のLED42と回路基板50と光拡散部80とクッションテープ70とにより構成されている。従って、光源をユニット化することで、組立て作業性が良好になる。
【0021】
更に、図2に示すように、側方車両検知シンボルSと側方車両検知シンボルSの裏面側に配置された第1及び第2のLED41,42との配置関係は、自車両表示部10内で第1のLED41の光軸L1が交差し、他車両表示部20内で第2のLED42の光軸L2が交差する。
【0022】
側方車両検知シンボルSの自車両表示部10と他車両表示部20と検知波表示部30とをそれぞれ均一に光らせるために3個のLEDを利用すると、回路基板が大型化し、回路基板を小型化させるために側方車両検知シンボルSの中央を照らすように1個のLEDを利用すると、側方車両検知シンボルSの周囲が暗くなりがちで、側方車両検知シンボルSを均一に光らせることが難しい。
【0023】
そこで、側方車両検知シンボルSと第1及び第2のLED41,42との間に光拡散部80を配置させ、側方車両検知シンボルSと第1及び第2のLED41,42との配置関係は、自車両表示部10内で第1のLED41の光軸L1が交差し、他車両表示部20内で第2のLED42の光軸L2が交差するようにしたことで、2個のLED41,42で側方車両検知シンボルSを均一に光らせることが実現できた。
【0024】
更に、第1のLED41の光軸L1は、自車両表示部10の光不透過部Bと交差し、第2のLED42の光軸L2は、他車両表示部20の光不透過部Bと交差する。このような構成を採用すると、自車両の運転席から側方車両検知シンボルSを見たときの光量に比べて後続車両から側方車両検知シンボルSを見たときの光量を低減させることができるので、側方車両検知シンボルSの点灯や点滅が後続車両の運転者に与える影響を低減させることができる。
【0025】
更に、光軸L1,L2が光不透過部Bと交差することに加えて、第1のLED41の光軸L1は、自車両表示部10内で、自車両表示部10を左右(ドアミラーを車体にセットした状態での左右)に分割する中心軸線P1から検知波表示部30側に寄せられる。第2のLED42の光軸L2は、他車両表示部20内で、他車両表示部20を左右(ドアミラーを車体にセットした状態での左右)に分割する中心軸線P2から検知波表示部30側に寄せられている。このような構成を採用すると、側方車両検知シンボルSの点灯や点滅が後続車両の運転者に与える影響を低減させつつ、側方車両検知シンボルS全体の明るさを更に均一にさせることができる。
【0026】
そして、側方車両検知シンボルSは、反射ミラー1の裏面をブラスト処理又はレーザエッチング処理することで形成されている。このような構成を採用すると、側方車両検知シンボルS自体にも光拡散効果をもたせることができ、側方車両検知シンボルSを更に均一に光らせることができる。特に、気体レーザエッチングでは、ブラスト処理と同様の効果を得ることができる。
【0027】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、レーザエッチング処理で側方車両検知シンボルSを反射ミラー1の裏面に形成する場合、透明なガラス2の表面を荒らして、光拡散効果が得られる場合と、透明なガラス2の表面を荒らすことなく、単に反射膜Rを剥離させる場合とがある。
【符号の説明】
【0028】
1…反射ミラー、10…自車両表示部、20…他車両表示部、30…検知波表示部、41…第1のLED、42…第2のLED、50…回路基板、60…ランプハウジング、80…光拡散部、A…光透過部、B…光不透過部、L1,L2…光軸、P1,P2…中心軸線、S…側方車両検知シンボル、U…ランプユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射ミラーの裏面から、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)を第1のLEDと第2のLEDとにより照らすようにした車両用ドアミラーであって、
光透過部と光不透過部とからなる前記側方車両検知シンボルは、
運転席側に配置される自車両表示部と、
前記自車両表示部より外側で斜め後方に配置される他車両表示部と、
前記自車両表示部と前記他車両表示部との間に配置され、検知波を示す検知波表示部と、からなり、
前記側方車両検知シンボルと前記第1及び第2のLEDとの間には、光拡散部が配置され、
前記側方車両検知シンボルと前記側方車両検知シンボルの裏面側に配置された前記第1及び第2のLEDとの配置関係は、
前記第1のLEDの光軸が前記自車両表示部内と交差し、前記第2のLEDの光軸が前記他車両表示部と交差するようにしたことを特徴とする車両用ドアミラー。
【請求項2】
前記第1のLEDの前記光軸は、前記自車両表示部の光不透過部と交差し、前記第2のLEDの前記光軸は、前記他車両表示部の光不透過部と交差することを特徴とする請求項1記載の車両用ドアミラー。
【請求項3】
前記第1のLEDの前記光軸は、前記自車両表示部内で、前記自車両表示部を左右に分割する中心軸線から前記検知波表示部側に寄せられ、前記第2のLEDの前記光軸は、前記他車両表示部内で、前記他車両表示部を左右に分割する中心軸線から前記検知波表示部側に寄せられていることを特徴とする請求項2記載の車両用ドアミラー。
【請求項4】
前記側方車両検知シンボルは、前記反射ミラーの裏面をブラスト処理又はレーザエッチング処理することで形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の車両用ドアミラー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−192879(P2012−192879A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59630(P2011−59630)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】