車両用ドア機構
【課題】 従来の車両用ドア機構により、車両のバックドアを鉛直軸心回りに開閉するようにした場合、バックドアを左右一方側からしか開閉することができないという問題があり、バックドアの開放側近傍に他の自動車や壁等の障害物があると、荷室への荷物の出し入れ等を容易に行えない場合がある。
【解決手段】 バックドア4の左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)を車体2側とドア4側とに分離可能な状態にするヒンジ分離機構40A(40B)と、バックドア4の左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構30B(30A)を分離不能にする分離阻止機構50を設け、バックドア4全体が車体2から外れることを確実に防止して、バックドア4を左右何方側からでも開閉できるようにする。
【解決手段】 バックドア4の左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)を車体2側とドア4側とに分離可能な状態にするヒンジ分離機構40A(40B)と、バックドア4の左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構30B(30A)を分離不能にする分離阻止機構50を設け、バックドア4全体が車体2から外れることを確実に防止して、バックドア4を左右何方側からでも開閉できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は車両用ドア機構に関し、特に、車両用ドアを左右何れか一方側から開閉可能にした車両用ドア機構に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、車両のサイドドアを開閉する一般的な車両用ドア機構には、ドア本体の前端部分を車体に鉛直軸心回りに回動自在に支持するドアヒンジ機構と、閉扉位置のドア本体の後端部分を車体にロック解除可能にロックするドアロック機構が設けられ、最近では、この種のドア機構をバンやワゴン等の車両のバックドアに適用し、バックドアを鉛直軸心回りに開閉するようにしたドア機構が実用化されている。
【0003】一般的なドアロック機構は、車体のドア開口部付近のフレーム(例えば、ピラー等)に固定されたドアストライカと、そのドアストライカに係脱可能な係脱可能位置と係脱不能な係脱不能位置とに亙って回動自在にドア本体に枢支されたラッチと、そのラッチを係脱可能位置へ回動付勢する付勢部材と、ラッチを付勢部材の付勢力に抗して係脱不能位置に係止可能な係止部材等を備えている。
【0004】このドアロック機構では、開放しているドアを閉じると、係脱可能位置に保持されたラッチがドアストライカに係合しながら係脱不能位置側へ回動し、そのラッチが係脱不能位置において付勢部材の付勢力に抗して係止部材で係止され、ドアが閉扉位置で自動的にロックされる。また、ドアが閉扉位置のときにドアアウタハンドル又はドアインナハンドルを操作すると、係止部材によるラッチへの係止つまりドアロックが解除され、ラッチとドアストライカとが係合解除して分離しドアが開放可能になる。
【0005】ところで、従来の車両用ドア機構では、ドアを後方の一方側からしか開閉することができないが、バンやワゴン等の車両のバックドアを、荷室への荷物の出し入れ等が便利なように、鉛直軸心回りに左右何方側からでも開閉したいという要請がある。最近の自動車産業以外の分野においては、ドアを左右何方側からでも開閉可能なドア機構が実用化されつつあり、この技術を車両用ドア機構に適用することも考えられる。
【0006】例えば、特開平7−40959号公報のドア機構では、ドアに左右1対の取っ手が取付けられ、各取っ手にはドア外部の支持部に上下両端部分が回動可能に支持される上下方向向きの支軸が作動的に連結され、取っ手を操作するとその取っ手に対応する支軸が作動してその上下両端部分が支持部から外れ、もう一方の支軸を軸心として、操作した取っ手側からドアを開閉できるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 従来の車両用ドア機構を適用し、バンやワゴン等の車両のバックドアを鉛直軸心回りに開閉するようにした場合、バックドアを左右一方側からしか開閉することができないため、例えば、自動車のバックドアの開放側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に自動車を移動させなければ、荷室への荷物の出し入れ等を容易に行うことができないという問題がある。
【0008】一方、特開平7−40959号公報のドア機構では、両方の取っ手を操作し両方の支軸をドア外部の支持部から外すことで、ドア全体を容易に取外すことができるようになっているため、このドア機構を車両用ドア機構に適用した場合、乗員等が非常に重いバックドア全体を車体から容易に外すことが可能になり安全性等の面で問題がある。
【0009】本発明の目的は、車両用ドア全体が車体から外れることを確実に防止して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができる車両用ドア機構を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】 請求項1の車両用ドア機構は、車両用ドアを左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構であって、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構を分離不能にする分離阻止手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】ここで、例えば、車両用ドアに左右2つのドアハンドルを設け、左側のドアハンドルを操作すると、ヒンジ分離手段により左側のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にし、分離阻止手段により右側のドアヒンジ機構を分離不能にし、また、右側のドアハンドルを操作すると、ヒンジ分離手段により右側のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にし、分離阻止手段により左側のドアヒンジ機構を分離不能にするように構成することができる。
【0012】この車両用ドア機構では、ヒンジ分離手段により車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にすると、分離阻止手段により車両用ドアの左右他方のドアヒンジ機構を分離不能にすることができるため、車両用ドアを左右他方のドアヒンジ機構により鉛直軸心回りに回動自在に支持した状態を維持して、左右一方のドアヒンジ機構を分離させ、車両用ドアを左右一方側から開閉することができる。
【0013】つまり、車両用ドア全体が車体から外れることを確実に防止して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができるようになり、その結果、車両用ドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側から車両用ドアを開放することで、荷室への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0014】請求項2の車両用ドア機構は、請求項1の発明において、前記ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有することを特徴とするものである。ここで、例えば、係合部材は、ドアストライカに係脱可能な係脱可能位置と係脱不能な係脱不能位置とに亙って作動可能に構成される。
【0015】この車両用ドア機構では、ヒンジ分離手段により、左右一方のドアヒンジ機構の係合部材を作動可能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右一方のドアヒンジ機構)を分離可能な状態にすることができ、また、分離阻止手段により、左右他方のドアヒンジ機構の係合部材を所定の係脱不能位置で作動不能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右他方のドアヒンジ機構)を分離不能にすることができる。
【0016】請求項3の車両用ドア機構は、請求項2の発明において、前記分離阻止手段は、ドアアウタハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を含むことを特徴とするものである。尚、例えば、作動伝達経路は、係合部材を作動不能な状態から作動可能な状態に切換える為のものである。
【0017】この車両用ドア機構では、車両用ドアを左右一方側から開閉する為にドアアウタハンドルを操作すると、作動部材がドアハンドルに連動して作動し、ヒンジ分離手段による車両用ドアの左右他方のヒンジ機構の係合部材への作動伝達経路が遮断され、車両用ドアを左右他方側から開閉する為にドアアウタハンドルを操作しても、車両用ドアの左右他方のヒンジ機構の係合部材を作動可能な状態にできなくなり、左右他方のドアヒンジ機構を確実に分離不能にすることができる。
【0018】請求項4の車両用ドア機構は、請求項2又は3の発明において、前記分離阻止手段は、ドアインナハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を有することを特徴とするものである。
【0019】この車両用ドア機構では、基本的に請求項4の作用と同様の作用を奏するが、車両内部(荷室)側からドアインナハンドルを操作して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉可能にすることができる。また、この作動部材を作動させ左右両方のドアヒンジ機構の係合部材への作動伝達経路を遮断するように構成することで、車両外側からドアアウタハンドルの操作で車両用ドアを開閉できないようにすることができる。
【0020】請求項5の車両用ドア機構は、請求項3又は4の発明において、前記作動部材をドアハンドル以外の操作部材で作動させるように構成したことを特徴とするものである。ドアハンドル以外の操作部材で作動部材をドアハンドルに連動させないで作動させることができ、作動部材をある位置で保持しておくことで、ドアハンドルで車両用ドアを常時左右一方側からしか開閉できないようにすること等が可能になる。
【0021】請求項6の車両用ドア機構は、車両用ドアを左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構であって、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段とを備えたことを特徴とするものである。ここで、例えば、車両用ドアに左右2つのドアハンドルを設け、左側のドアハンドルを操作すると、ヒンジ分離手段により左側のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にし、また、右側のドアハンドルを操作すると、ヒンジ分離手段により右側のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするように構成することができる。
【0022】この車両用ドア機構では、ヒンジ分離手段により車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にすることで、車両用ドアを前記左右他方のドアヒンジ機構により鉛直軸心回りに回動自在に支持した状態を維持して、左右一方のドアヒンジ機構を分離させ、車両用ドアを左右一方側から開閉することができる。つまり、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができるようになり、その結果、車両用ドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側から車両用ドアを開放することで、荷室等への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0023】請求項7の車両用ドア機構は、請求項6の発明において、前記ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有することを特徴とするものである。ここで、例えば、係合部材は、ドアストライカに係脱可能な係脱可能位置と係脱不能な係脱不能位置とに亙って作動可能に構成される。従って、ヒンジ分離手段により、左右一方のドアヒンジ機構の係合部材を作動可能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右一方のドアヒンジ機構)を分離可能な状態にすることができる。
【0024】請求項8の車両用ドア機構は、請求項1〜7の何れか1項の発明において、前記車両用ドアはバックドアであることを特徴とするものである。従って、バックドアを左右何方側からでも開閉できるようになり、バックドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側からバックドアを開放することで、荷室等への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、バン型の自動車の後端部分に装着されたバックドアを開閉する車両用ドア機構に、本発明を適用した場合の一例である。
【0026】図1〜図6に示すように、自動車1は車体2の内部後側に荷室3を有し、車体2の後端部分に、車体2の後側から荷室3に荷物を出し入れする為のバックドア4が装着され、このバックドア4を左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構5(以下、ドア機構という)が設けられている。
【0027】車体2の後端部分は、枠状のアウタパネル10と、アウタパネル10の内面部に溶接等で固着されて荷室3側へ凹状に且つアウタパネル10の内端部よりも内側まで配設された枠状の補助フレーム11を有し、アウタパネル10と補助フレーム11の下端部から高さ方向略中段部までの部位が鉛直部2aに形成され、鉛直部2aの上端部から車体ルーフ付近までの部位が緩やかな前方斜め上がりの斜行部2bに形成されている。
【0028】補助フレーム11の端部の荷室3と反対側へ屈曲した部分に環状のウエザストリップ12が装着され、鉛直部2aの補助フレーム11の左右各々には、ドア回動規制用のストッパ25の他、ドア機構5の上下1対のドアストライカ31が固定的に装着されている。
【0029】一方、バックドア4はドア本体13を有し、そのドア本体13の上部に車体2の斜行部2bに対応するウインドウサッシ部14が設けられ、ウインドウサッシ部14にリヤウインドウガラス15が装着されている。ドア本体13の後面部には左右2つのアウタドアハンドル7A、7Bが支軸7c回りに回動操作可能に設けられ、ドア本体13の内面部には1つのインナロックノブ7C(ドアアウタハンドルに相当する)が設けられている(図7参照)。
【0030】ドア本体13は、略平板状のアウタドアパネル16と、アウタドアパネル16の外端部よりも内側においてその内面部に溶接等で固着されたインナドアパネル17を有し、ドア本体15の内部(アウタドアパネル16とインナドアパネル17の間)に少なくとも左右1対の閉断面フレーム18が設けられ、各閉断面フレーム18の内部に、ドア機構5の上下1対のラッチ32(係合部材に相当する)及び係止部材41等が設けられている。
【0031】図2、図3に示すように、バックドア4が閉扉状態のとき、車体2のアウタパネル10とドア本体13の外面が略同一平面状になってそれらの間の隙間が殆どなくなり、また、ウエザストリップ12は弾性変形してドア本体13のインナドアパネル17及びウインドウサッシ部14の内面に密着し、外部から荷室3内への水の侵入が防止される。尚、各閉断面フレーム18の外面部には、前記ストッパ25に対応する回動規制部材26が固着されている。
【0032】また、ドア本体13の内部には、ドア機構5の後述する作動伝達経路42A,42Bや作動部材51,52等が設けられている(図7参照)。尚、図1に示すように、車体2の後端部分において、その下端部にはリヤバンパー20が装着され、左右の鉛直部2aにはテールランプ21が装着され、上端部にはウォッシャーノズル22が装着されている。また、バックドア4のドア本体13には、リヤウインドウガラス15用のリヤワイパー23が装着されている。
【0033】前記ドア機構5について説明する。図1〜図7に示すように、ドア機構5は、(閉扉状態の)バックドア4の左右両端部付近に夫々上下1対ずつ計4組のドアヒンジ機構30A,30Bと、バックドア4の左側の上下1対のドアヒンジ機構30Aを車体2側とドア4側とに分離可能な状態にするヒンジ分離機構40Aと、バックドア4の右側の上下1対のドアヒンジ機構30Bを車体2側とドア4側とに分離可能な状態にするヒンジ分離機構40Bと、バックドア4の左右一方の上下1対のドアヒンジ機構30A(30B)が分離可能な状態のときに他方の上下1対のドアヒンジ機構30B(30A)を分離不能にする分離阻止機構50等を備えている。
【0034】前記ドアヒンジ機構30Aについて説明する。但し、ドアヒンジ機構30Bはドアヒンジ機構30Aと左右対称構造であるので説明を省略する。ドアヒンジ機構30Aは、車体2側に設けられたドアストライカ31と、ドア4側に設けられドアストライカ31に係脱可能に作動し係合するラッチ32を有する。ドアストライカ31は側面視略コの字型に形成され、その基端部が取付部材33を介して車体2の鉛直部2aの補助フレーム11に固着されて後方へ延び、その途中部の軸部31aが鉛直に保持されている。
【0035】ラッチ32は平面視略U字型に形成され、ドアストライカ31の軸部31aに係脱可能な係脱可能位置(図2に鎖線で又は図4に示す)と係脱不能な係脱不能位置(図2に実線又は図5、図6に示す)とに亙って、例えば、閉断面フレーム18に固着のブラケット34(図3参照)に枢支軸34aを介して鉛直軸心回りに回動自在に支持されている。また、ラッチ32を係脱可能位置側つまり平面視にて時計回りにへ回動付勢する付勢部材と、ラッチ32を付勢部材の付勢力に抗して係脱不能位置に係止可能な係止部材41が設けられている。
【0036】ラッチ32がドアストライカ31に係合し且つラッチ32が係止部材41で係脱不能位置に係止された状態で、ドアヒンジ機構30Aのドアストライカ31の軸部31aにラッチ32が回動自在に支持した状態が維持され、バックドア4を右側から開閉することが可能になる。
【0037】ここで、例えば、図6に示すように、バックドア4の左右各々において、バックドア4の上下両端側の車体2には、ドアストライカ31の軸部31aを中心とする部分リング部材38が固着されるとともに、ドア本体13のアウタドアパネル16の内面外端付近に、ガイドローラ39がブラケット39aを介して回動自在に装着され、例えば、バックドア4を右側から開放すると、左側のガイドローラ39が部分リング部材39の外周面を転動するため、左側のドアストライカ31とラッチ32を分離させないようにすることができる。
【0038】前記ヒンジ分離機構40Aについて説明する。但し、ヒンジ分離機構40Bはヒンジ分離機構40Aと略同様の構造であるので、ヒンジ分離機構40Aに対応する符号を付し説明を省略する。
【0039】ヒンジ分離機構40Aは、ドアヒンジ機構30Aのラッチ32を係脱可能位置へ回動付勢する付勢部材、ラッチ32を係脱不能位置に係止して作動不能な状態にする係止部材41、係止部材41を平面視にて時計回りに回動付勢する付勢部材(図示略)、アウタドアハンドル7Aを操作することにより上下1対のドアヒンジ機構30Aのラッチ41を作動不能な状態から作動可能な状態にする作動伝達経路42A等を有する。
【0040】ラッチ32の外周部に被係合部32aが形成され、係止部材41の一端部に係合部41aが形成され、この係合部41aが被係合部32aに係合した状態で、ラッチ32が前記係脱可能位置に係止され作動不能な状態になり、アウタドアハンドル7aを操作することにより、作動伝達経路42Aを介して係止部材41を平面視にて反時計回りに微小角度回動させ、係合部41aが被係合部32aから係合解除し、ラッチ41が作動可能な状態になる。
【0041】図7に示すように、作動伝達経路42Aは、左側のアウタドアハンドル7Aから左側のドアヒンジ機構30Aへ至る経路に沿って配設された、プッシュプルワイヤ43、作動部材51、プッシュプルワイヤ44、作動部材52、作動伝達部材45、プッシュプルワイヤ46(47)等を有する。尚、作動部材51は、ヒンジ分離機構40Bの作動伝達経路42Bと共通の部材であり、作動部材51,52は分離阻止機構50に含まれる。
【0042】図8、図10、図12に示すように、アウタドアハンドル7A(7B)には、上下方向向きの長孔7aが形成され、その長孔7aにプッシュプルワイヤ43の端部の係合部43aが摺動自在に係合されている。図9、図11、図13に示すように、作動部材51は、例えば左右に長い直方体状に形成され、その中央部分に長孔51aを有し、その長孔51aにドア本体13に固着の枢支軸51bが挿通され、左右方向へ移動自在且つ枢支軸51b回りに回動自在である。
【0043】プッシュプルワイヤ43の他端部は、作動部材51の左端部付近に臨み、プッシュプルワイヤ44の一端部は、プッシュプルワイヤ43の他端部と対向状に、作動部材51の左端部付近に臨んでいる。尚、アウタドアハンドル7A(7B)は、付勢部材(図示略)により図8の姿勢になるように回動付勢されている。
【0044】図7に示すように、プッシュプルワイヤ44の他端部は、作動部材52の端部に連結され、作動部材52のプッシュプルワイヤ44との連結部の反対側に作動伝達部材45が配設され、作動伝達部材45にプッシュプルワイヤ46(47)の一端部が連結され、各プッシュプルワイヤ46,47の他端部がドアヒンジ機構30Aに対応するラッチ41の係合部41aと反対側端部に連結されている。
【0045】前記分離阻止機構50は、作動伝達経路42A,42Bの少なくとも一方を遮断する前記作動部材51、作動伝達経路42A,42Bの両方を遮断する前記作動部材52、アウタドアハンドル7A,7Bの操作に連動させて作動部材51を作動させる為に、アウタドアハンドル7A,7Bと作動部材51とを夫々連結するプッシュプルワイヤ53、インナロックノブ7Cに連動させて作動部材52を作動させ作動伝達経路42A,42Bを遮断する遮断経路54等を有する。
【0046】図8、図10、図12に示すように、アウタドアハンドル7A(7B)には、連結孔7bが形成され、その連結孔7bにプッシュプルワイヤ53の一端部の連結部53aが嵌合され連結されている。図9、図11R>1、図13に示すように、作動部材51は長孔51aの左右両側に長孔51cを有し、各長孔51cにプッシュプルワイヤ53の端部の係合部53bが摺動自在に係合されている。
【0047】図7に示すように、遮断経路54は、インナロックノブ7Cに一端部が連結されたプッシュプルワイヤ55と、プッシュプルワイヤ55から各作動部材52への経路に沿って配設された、L型金具56、プッシュプルワイヤ57、L型金具58、プッシュプルワイヤ59を有する。L型金具56,58はドア本体13に夫々回動自在に枢支され、プッシュプルワイヤ55,57,59の端部は、L型金具56,58、作動部材52に連結されている。
【0048】尚、各作動部材52は、左右方向移動自在に且つ揺動自在に設けられている。尚、図2等に示すように、プッシュプルワイヤ46(47)の殆どがワイヤチューブ49に挿通しガイドされているように、他のプッシュプルワイヤ43,44,46,55,57,59の殆どもワイヤチューブに挿通しガイドされている。
【0049】上記ドア機構5の作用・効果について説明する。図2、図3に示すように、バックドア4が閉扉状態のとき、ドアヒンジ機構30A(30B)のラッチ32がドアストライカ31に係合し、そのラッチ32が平面視にて時計回り(係脱可能位置側)に回動しないように、係止部材41により係脱不能位置で係止され、作動不能な状態になっている。
【0050】また、図8に示すように、ドアアウタハンドル7A(7B)が操作されないとき、図9に示すように、1対のプッシュプルワイヤ53の端部の係合部53bは、作動部材51の1対の長孔53bの外端部に夫々係合した状態に、また、4本のプッシュプルワイヤ43,44の端部は、作動部材51の左右方向への移動を干渉しない位置に保持されている。
【0051】図10に示すように、例えば、左側のドアアウタハンドル7Aを支軸7c回りに所定量回動操作すると、プッシュプルワイヤ43,53のうち、分離阻止機構50のプッシュプルワイヤ53だけが押され、図11R>1に示すように、そのプッシュプルワイヤ53の端部の係合部53bが作動部材51の長孔51cの内端部に係合した状態になる。
【0052】その後、図12に示すように、更にドアアウタハンドル7Aを支軸7c回りに所定量回動操作すると、分離阻止機構50のプッシュプルワイヤ53だけが更に押されるとともに、作動伝達経路42Aのプッシュプルワイヤ43の係合部43aがドアアウタハンドル7Aの長孔7aの上端部に係合する。
【0053】図13に示すように、プッシュプルワイヤ53が更に押されると、その係合部53bにより作動部材51が右側へ押動され、作動伝達経路42Aのプッシュプルワイヤ43,44の間に作動部材51の右端部分が介装される。このとき、右側のアウタドアハンドル7Bから延びるプッシュプルワイヤ53の係合部53bは、長孔51cの途中部に係合している。
【0054】その後、更にドアアウタハンドル7Aを支軸7c回りに回動操作すると、プッシュプルワイヤ43,53の両方が押され、図13に鎖線で示すように、そのプッシュプルワイヤ43と対向するプッシュプル44の端部が、作動部材51を介して押される。このとき、作動部材51は枢支軸51b回りに反時計回りに回動しながら右側へも移動する。
【0055】作動伝達経路42Aのプッシュプルワイヤ44が押されると、作動部材52と作動伝達部材45を介してプッシュプル46(47)が押され、係止部材41が図2の状態から枢支軸34b回りに反時計回りに回動して、係止部材41のラッチ32への係止が解除され、ラッチ32が作動可能の状態になり、左側のドアヒンジ機構30Aが分離可能な状態になる。
【0056】つまり、この状態でドアアウタハンドル7Aを引張ると、ラッチ32が係脱可能位置へ回動しつつ、ドアストライカ31から係合解除していき、ドアストライカ31とラッチ32が分離し、図4に示すように、バックドア4を左側から開放することができる。尚、バックドア4を開放した状態で、ドアアウタハンドル7Aを戻すと、係止部材41の係合部41aがラッチ32の外周面に摺動自在に当接した状態になる。
【0057】さて、左側のドアヒンジ機構30Aが分離可能な状態のとき、図13に示すように、作動部材51が右側へ移動し、作動伝達経路42Bのプッシュプルワイヤ43,44の間に、作動部材51が介装されないため、右側のヒンジ機構30Bに対応するラッチ32への作動伝達経路42Bが遮断され、右側のドアアウタハンドル7Bを操作しても右方のドアヒンジ機構30Bが分離不能になる。
【0058】バックドア4を左側から開放した状態では、図4に示すように、ラッチ32は係脱可能位置に保持されており、その後、開放しているバックドア4を閉じると、係脱可能位置のラッチ32がドアストライカ31に係合しながら係脱不能位置へ回動し、そのラッチ32が係脱不能位置において係止部材41で係止されて、バックドア4が閉扉位置で自動的にロックされる。ラッチ32がドアストライカ32に係合し易いように、ラッチ32の一端部内面はテーパ面32bを形成されている。
【0059】ドア機構5によれば、バックドア4の左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構30A,30Bと、バックドア4の左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)を車体2側とドア4側とに分離可能な状態にするヒンジ分離機構40A(40B)と、バックドア4の左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構30B(30A)を分離不能にする分離阻止機構50とを設けたので、バックドア4全体が車体2から外れることを確実に防止して、バックドア4を左右何方側からでも開閉することができる。
【0060】その結果、バックドア4の側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に自動車1を移動させなくても、障害物の反対側からバックドア4を開放することで、荷室3への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0061】ドアヒンジ機構30A(30B)は、車体2側に設けられたドアストライカ31と、ドア4側に設けられドアストライカ31に係脱可能に作動し係合するラッチ32とを有するので、ヒンジ分離機構40A(40B)により、左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)のラッチ32を作動可能にすることで、そのラッチ32とドアストライカ31を分離可能な状態にすることができ、また、分離阻止機構40A(40B)により、左右他方のドアヒンジ機構30B(30A)のラッチ32を係脱不能位置で作動不能にすることで、そのラッチ32とドアストライカ31を分離不能にすることができる。
【0062】分離阻止機構50は、ドアアウタハンドル7A(7B)の操作に連動し、ヒンジ分離機構40A(40B)によるラッチ32への作動伝達経路42A(42B)を遮断する作動部材51を含むので、バックドア4を左右一方側から開閉する為にドアアウタハンドル7A(7B)を操作すると作動部材51が連動し、ヒンジ分離機構40B(40A)によるバックドア4の左右他方のヒンジ機構30B(30A)のラッチ32への作動伝達経路42B(42A)を遮断し、バックドア4を左右他方側から開閉する為にドアアウタハンドル7B(7A)を操作しても、バックドア4の左右他方のヒンジ機構30B(30A)のラッチ32を作動可能な状態にできなくなり、左右他方のドアヒンジ機構30B(30A)を確実に分離不能にすることができる。
【0063】分離阻止機構50は、ヒンジ分離機構40A,40Bによるラッチ32への作動伝達経路42A,42Bを遮断する作動部材52を有するので、ドアロックノブ7Cを操作して、外側からドアアウタハンドル7A,7Bの操作でバックドア4を開閉できないようにすることができる。
【0064】次に、前記実施形態を部分的に変更した変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同じものには同一符号を付して説明を省略する。1〕図14に示すように、前記実施形態の分離阻止機構50のプッシュプルワイヤ53を省略するとともに、作動部材51をドアドアハンドル7A,7B以外の操作部材60で、例えば、荷室3側から作動させ得るように構成してもよい。
【0065】この場合、ドアハンドル7A,7B以外の操作部材60で作動部材51をドアハンドル7A,7Bに連動させないで作動させることができ、作動部材51を左限位置又は右限位置で保持しておくことで、ドアハンドル7A,7Bでバックドア4を常時左右一方側からしか開閉できないようにすること等が可能になる。
【0066】2〕ドアハンドル7A(7B)の操作を検出するセンサを設け、そのセンサから受ける信号に基いてソレノイド等のアクチュエータを作動させることにより、作動部材51を所定方向へ移動させるようにしてもよい。尚、アクチュエータへの給電手段としては、左右に1対のコネクタ機構を設け、左右一方を開放する場合には、左右他方のコネクタ機構を介して車体2側からアクチュエータへ給電するようにしてもよい。尚、バックドアのランプ類やウインドウ熱線ヒータ等についても同等のコネクタ機構にて給電することができる。
【0067】3〕バックドア4の内面部にも左右2つのドアインナハンドルを設け、荷室3側からでもバックドア4を左右何れか一方に開放できるように構成してもよい。この場合、例えば、前記作動伝達部材45とプッシュプルワイヤ46,47と同じ部材を、それらと並列的に設ければよい。
【0068】尚、前記実施形態の車両用ドア機構は一例を示すものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加し、バン等の車両の他、乗用車、ワゴン等の車両のバックドアに本発明を適用することができる。
【0069】
【発明の効果】 請求項1の車両用ドア機構によれば、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構を分離不能にする分離阻止手段とを設けたので、車両用ドア全体が車体から外れることを確実に防止して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができるようになり、その結果、車両用ドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側から車両用ドアを開放することで、荷室への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0070】請求項2の車両用ドア機構によれば、請求項1と同様の効果を奏するが、ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有するので、ヒンジ分離手段により、左右一方のドアヒンジ機構の係合部材を作動可能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右一方のドアヒンジ機構)を分離可能な状態にすることができ、また、分離阻止手段により、左右他方のドアヒンジ機構の係合部材を所定の係脱不能位置で作動不能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右他方のドアヒンジ機構)を分離不能にすることができる。
【0071】請求項3の車両用ドア機構によれば、請求項2と同様の効果を奏するが、分離阻止手段は、ドアアウタハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を含むので、車両用ドアを左右一方側から開閉する為にドアアウタハンドルを操作すると作動部材が連動し、ヒンジ分離手段による車両用ドアの左右他方のヒンジ機構の係合部材への作動伝達経路を遮断し、車両用ドアを左右他方側から開閉する為にドアアウタハンドルを操作しても、車両用ドアの左右他方のヒンジ機構の係合部材を作動可能な状態にできなくなり、左右他方のドアヒンジ機構を確実に分離不能にすることができる。
【0072】請求項4の車両用ドア機構によれば、請求項2又は3と同様の効果を奏するが、分離阻止手段は、ドアインナハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を有するので、車両内部(荷室)側からドアインナハンドルを操作して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉可能にすることができ、また、この作動部材を作動させ左右両方のドアヒンジ機構の係合部材への作動伝達経路を遮断するように構成することで、車両外側からドアアウタハンドルの操作で車両用ドアを開閉できないようにすることができる。
【0073】請求項5の車両用ドア機構によれば、前記作動部材をドアハンドル以外の操作部材で作動させるように構成したので、ドアハンドル以外の操作部材で作動部材をドアハンドルに連動させないで作動させることができ、作動部材をある位置で保持しておくことで、ドアハンドルで車両用ドアを常時左右一方側からしか開閉できないようにすること等が可能になる。
【0074】請求項6の車両用ドア機構によれば、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段とを設けたので、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができるようになり、その結果、車両用ドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側から車両用ドアを開放することで、荷室等への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0075】請求項7の車両用ドア機構によれば、請求項6と同様の効果を奏するが、ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有するので、ヒンジ分離手段により、左右一方のドアヒンジ機構の係合部材を作動可能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右一方のドアヒンジ機構)を分離可能な状態にすることができる。
【0076】請求項8の車両用ドア機構によれば、請求項1〜7の何れか1項と同様の効果を奏するが、前記車両用ドアはバックドアであるので、バックドアを左右何方側からでも開閉できるようになり、バックドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側からバックドアを開放することで、荷室等への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車の後方斜め上からの斜視図である。
【図2】ドア機構(バックドア閉扉状態)の要部横断面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】ドア機構(バックドア一方側開放状態)の要部横断面図である。
【図5】ドア機構(バックドア他方側開放状態)の要部横断面図である。
【図6】ドア機構(バックドア他方側開放状態)の要部横断面図である。
【図7】ドア機構の作動伝達経路等を含む模式図である。
【図8】ドア機構のアウタドアハンドル(未操作時)付近の縦断面図である。
【図9】ドア機構の作動部材(未作動時)付近の部分断面図である。
【図10】ドア機構のアウタドアハンドル(操作時)付近の縦断面図である。
【図11】ドア機構の作動部材(未作動時)付近の部分断面図である。
【図12】ドア機構のアウタドアハンドル(操作時)付近の縦断面図である。
【図13】ドア機構の作動部材(作動時)付近の部分断面図である。
【図14】別実施形態に係るドア機構の作動伝達経路等を含む模式図である。
【符号の説明】
1 自動車
4 バックドア
5 車両用ドア機構
7A,7B ドアアウタハンドル
7C インナロックノブ
30A,30B ドアヒンジ機構
31 ドアストライカ
32 ラッチ
40A,40B ヒンジ分離機構
42A,42B 作動伝達経路
50 分離阻止機構
51,52 作動部材
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は車両用ドア機構に関し、特に、車両用ドアを左右何れか一方側から開閉可能にした車両用ドア機構に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、車両のサイドドアを開閉する一般的な車両用ドア機構には、ドア本体の前端部分を車体に鉛直軸心回りに回動自在に支持するドアヒンジ機構と、閉扉位置のドア本体の後端部分を車体にロック解除可能にロックするドアロック機構が設けられ、最近では、この種のドア機構をバンやワゴン等の車両のバックドアに適用し、バックドアを鉛直軸心回りに開閉するようにしたドア機構が実用化されている。
【0003】一般的なドアロック機構は、車体のドア開口部付近のフレーム(例えば、ピラー等)に固定されたドアストライカと、そのドアストライカに係脱可能な係脱可能位置と係脱不能な係脱不能位置とに亙って回動自在にドア本体に枢支されたラッチと、そのラッチを係脱可能位置へ回動付勢する付勢部材と、ラッチを付勢部材の付勢力に抗して係脱不能位置に係止可能な係止部材等を備えている。
【0004】このドアロック機構では、開放しているドアを閉じると、係脱可能位置に保持されたラッチがドアストライカに係合しながら係脱不能位置側へ回動し、そのラッチが係脱不能位置において付勢部材の付勢力に抗して係止部材で係止され、ドアが閉扉位置で自動的にロックされる。また、ドアが閉扉位置のときにドアアウタハンドル又はドアインナハンドルを操作すると、係止部材によるラッチへの係止つまりドアロックが解除され、ラッチとドアストライカとが係合解除して分離しドアが開放可能になる。
【0005】ところで、従来の車両用ドア機構では、ドアを後方の一方側からしか開閉することができないが、バンやワゴン等の車両のバックドアを、荷室への荷物の出し入れ等が便利なように、鉛直軸心回りに左右何方側からでも開閉したいという要請がある。最近の自動車産業以外の分野においては、ドアを左右何方側からでも開閉可能なドア機構が実用化されつつあり、この技術を車両用ドア機構に適用することも考えられる。
【0006】例えば、特開平7−40959号公報のドア機構では、ドアに左右1対の取っ手が取付けられ、各取っ手にはドア外部の支持部に上下両端部分が回動可能に支持される上下方向向きの支軸が作動的に連結され、取っ手を操作するとその取っ手に対応する支軸が作動してその上下両端部分が支持部から外れ、もう一方の支軸を軸心として、操作した取っ手側からドアを開閉できるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 従来の車両用ドア機構を適用し、バンやワゴン等の車両のバックドアを鉛直軸心回りに開閉するようにした場合、バックドアを左右一方側からしか開閉することができないため、例えば、自動車のバックドアの開放側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に自動車を移動させなければ、荷室への荷物の出し入れ等を容易に行うことができないという問題がある。
【0008】一方、特開平7−40959号公報のドア機構では、両方の取っ手を操作し両方の支軸をドア外部の支持部から外すことで、ドア全体を容易に取外すことができるようになっているため、このドア機構を車両用ドア機構に適用した場合、乗員等が非常に重いバックドア全体を車体から容易に外すことが可能になり安全性等の面で問題がある。
【0009】本発明の目的は、車両用ドア全体が車体から外れることを確実に防止して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができる車両用ドア機構を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】 請求項1の車両用ドア機構は、車両用ドアを左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構であって、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構を分離不能にする分離阻止手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】ここで、例えば、車両用ドアに左右2つのドアハンドルを設け、左側のドアハンドルを操作すると、ヒンジ分離手段により左側のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にし、分離阻止手段により右側のドアヒンジ機構を分離不能にし、また、右側のドアハンドルを操作すると、ヒンジ分離手段により右側のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にし、分離阻止手段により左側のドアヒンジ機構を分離不能にするように構成することができる。
【0012】この車両用ドア機構では、ヒンジ分離手段により車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にすると、分離阻止手段により車両用ドアの左右他方のドアヒンジ機構を分離不能にすることができるため、車両用ドアを左右他方のドアヒンジ機構により鉛直軸心回りに回動自在に支持した状態を維持して、左右一方のドアヒンジ機構を分離させ、車両用ドアを左右一方側から開閉することができる。
【0013】つまり、車両用ドア全体が車体から外れることを確実に防止して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができるようになり、その結果、車両用ドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側から車両用ドアを開放することで、荷室への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0014】請求項2の車両用ドア機構は、請求項1の発明において、前記ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有することを特徴とするものである。ここで、例えば、係合部材は、ドアストライカに係脱可能な係脱可能位置と係脱不能な係脱不能位置とに亙って作動可能に構成される。
【0015】この車両用ドア機構では、ヒンジ分離手段により、左右一方のドアヒンジ機構の係合部材を作動可能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右一方のドアヒンジ機構)を分離可能な状態にすることができ、また、分離阻止手段により、左右他方のドアヒンジ機構の係合部材を所定の係脱不能位置で作動不能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右他方のドアヒンジ機構)を分離不能にすることができる。
【0016】請求項3の車両用ドア機構は、請求項2の発明において、前記分離阻止手段は、ドアアウタハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を含むことを特徴とするものである。尚、例えば、作動伝達経路は、係合部材を作動不能な状態から作動可能な状態に切換える為のものである。
【0017】この車両用ドア機構では、車両用ドアを左右一方側から開閉する為にドアアウタハンドルを操作すると、作動部材がドアハンドルに連動して作動し、ヒンジ分離手段による車両用ドアの左右他方のヒンジ機構の係合部材への作動伝達経路が遮断され、車両用ドアを左右他方側から開閉する為にドアアウタハンドルを操作しても、車両用ドアの左右他方のヒンジ機構の係合部材を作動可能な状態にできなくなり、左右他方のドアヒンジ機構を確実に分離不能にすることができる。
【0018】請求項4の車両用ドア機構は、請求項2又は3の発明において、前記分離阻止手段は、ドアインナハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を有することを特徴とするものである。
【0019】この車両用ドア機構では、基本的に請求項4の作用と同様の作用を奏するが、車両内部(荷室)側からドアインナハンドルを操作して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉可能にすることができる。また、この作動部材を作動させ左右両方のドアヒンジ機構の係合部材への作動伝達経路を遮断するように構成することで、車両外側からドアアウタハンドルの操作で車両用ドアを開閉できないようにすることができる。
【0020】請求項5の車両用ドア機構は、請求項3又は4の発明において、前記作動部材をドアハンドル以外の操作部材で作動させるように構成したことを特徴とするものである。ドアハンドル以外の操作部材で作動部材をドアハンドルに連動させないで作動させることができ、作動部材をある位置で保持しておくことで、ドアハンドルで車両用ドアを常時左右一方側からしか開閉できないようにすること等が可能になる。
【0021】請求項6の車両用ドア機構は、車両用ドアを左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構であって、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段とを備えたことを特徴とするものである。ここで、例えば、車両用ドアに左右2つのドアハンドルを設け、左側のドアハンドルを操作すると、ヒンジ分離手段により左側のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にし、また、右側のドアハンドルを操作すると、ヒンジ分離手段により右側のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするように構成することができる。
【0022】この車両用ドア機構では、ヒンジ分離手段により車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にすることで、車両用ドアを前記左右他方のドアヒンジ機構により鉛直軸心回りに回動自在に支持した状態を維持して、左右一方のドアヒンジ機構を分離させ、車両用ドアを左右一方側から開閉することができる。つまり、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができるようになり、その結果、車両用ドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側から車両用ドアを開放することで、荷室等への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0023】請求項7の車両用ドア機構は、請求項6の発明において、前記ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有することを特徴とするものである。ここで、例えば、係合部材は、ドアストライカに係脱可能な係脱可能位置と係脱不能な係脱不能位置とに亙って作動可能に構成される。従って、ヒンジ分離手段により、左右一方のドアヒンジ機構の係合部材を作動可能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右一方のドアヒンジ機構)を分離可能な状態にすることができる。
【0024】請求項8の車両用ドア機構は、請求項1〜7の何れか1項の発明において、前記車両用ドアはバックドアであることを特徴とするものである。従って、バックドアを左右何方側からでも開閉できるようになり、バックドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側からバックドアを開放することで、荷室等への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、バン型の自動車の後端部分に装着されたバックドアを開閉する車両用ドア機構に、本発明を適用した場合の一例である。
【0026】図1〜図6に示すように、自動車1は車体2の内部後側に荷室3を有し、車体2の後端部分に、車体2の後側から荷室3に荷物を出し入れする為のバックドア4が装着され、このバックドア4を左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構5(以下、ドア機構という)が設けられている。
【0027】車体2の後端部分は、枠状のアウタパネル10と、アウタパネル10の内面部に溶接等で固着されて荷室3側へ凹状に且つアウタパネル10の内端部よりも内側まで配設された枠状の補助フレーム11を有し、アウタパネル10と補助フレーム11の下端部から高さ方向略中段部までの部位が鉛直部2aに形成され、鉛直部2aの上端部から車体ルーフ付近までの部位が緩やかな前方斜め上がりの斜行部2bに形成されている。
【0028】補助フレーム11の端部の荷室3と反対側へ屈曲した部分に環状のウエザストリップ12が装着され、鉛直部2aの補助フレーム11の左右各々には、ドア回動規制用のストッパ25の他、ドア機構5の上下1対のドアストライカ31が固定的に装着されている。
【0029】一方、バックドア4はドア本体13を有し、そのドア本体13の上部に車体2の斜行部2bに対応するウインドウサッシ部14が設けられ、ウインドウサッシ部14にリヤウインドウガラス15が装着されている。ドア本体13の後面部には左右2つのアウタドアハンドル7A、7Bが支軸7c回りに回動操作可能に設けられ、ドア本体13の内面部には1つのインナロックノブ7C(ドアアウタハンドルに相当する)が設けられている(図7参照)。
【0030】ドア本体13は、略平板状のアウタドアパネル16と、アウタドアパネル16の外端部よりも内側においてその内面部に溶接等で固着されたインナドアパネル17を有し、ドア本体15の内部(アウタドアパネル16とインナドアパネル17の間)に少なくとも左右1対の閉断面フレーム18が設けられ、各閉断面フレーム18の内部に、ドア機構5の上下1対のラッチ32(係合部材に相当する)及び係止部材41等が設けられている。
【0031】図2、図3に示すように、バックドア4が閉扉状態のとき、車体2のアウタパネル10とドア本体13の外面が略同一平面状になってそれらの間の隙間が殆どなくなり、また、ウエザストリップ12は弾性変形してドア本体13のインナドアパネル17及びウインドウサッシ部14の内面に密着し、外部から荷室3内への水の侵入が防止される。尚、各閉断面フレーム18の外面部には、前記ストッパ25に対応する回動規制部材26が固着されている。
【0032】また、ドア本体13の内部には、ドア機構5の後述する作動伝達経路42A,42Bや作動部材51,52等が設けられている(図7参照)。尚、図1に示すように、車体2の後端部分において、その下端部にはリヤバンパー20が装着され、左右の鉛直部2aにはテールランプ21が装着され、上端部にはウォッシャーノズル22が装着されている。また、バックドア4のドア本体13には、リヤウインドウガラス15用のリヤワイパー23が装着されている。
【0033】前記ドア機構5について説明する。図1〜図7に示すように、ドア機構5は、(閉扉状態の)バックドア4の左右両端部付近に夫々上下1対ずつ計4組のドアヒンジ機構30A,30Bと、バックドア4の左側の上下1対のドアヒンジ機構30Aを車体2側とドア4側とに分離可能な状態にするヒンジ分離機構40Aと、バックドア4の右側の上下1対のドアヒンジ機構30Bを車体2側とドア4側とに分離可能な状態にするヒンジ分離機構40Bと、バックドア4の左右一方の上下1対のドアヒンジ機構30A(30B)が分離可能な状態のときに他方の上下1対のドアヒンジ機構30B(30A)を分離不能にする分離阻止機構50等を備えている。
【0034】前記ドアヒンジ機構30Aについて説明する。但し、ドアヒンジ機構30Bはドアヒンジ機構30Aと左右対称構造であるので説明を省略する。ドアヒンジ機構30Aは、車体2側に設けられたドアストライカ31と、ドア4側に設けられドアストライカ31に係脱可能に作動し係合するラッチ32を有する。ドアストライカ31は側面視略コの字型に形成され、その基端部が取付部材33を介して車体2の鉛直部2aの補助フレーム11に固着されて後方へ延び、その途中部の軸部31aが鉛直に保持されている。
【0035】ラッチ32は平面視略U字型に形成され、ドアストライカ31の軸部31aに係脱可能な係脱可能位置(図2に鎖線で又は図4に示す)と係脱不能な係脱不能位置(図2に実線又は図5、図6に示す)とに亙って、例えば、閉断面フレーム18に固着のブラケット34(図3参照)に枢支軸34aを介して鉛直軸心回りに回動自在に支持されている。また、ラッチ32を係脱可能位置側つまり平面視にて時計回りにへ回動付勢する付勢部材と、ラッチ32を付勢部材の付勢力に抗して係脱不能位置に係止可能な係止部材41が設けられている。
【0036】ラッチ32がドアストライカ31に係合し且つラッチ32が係止部材41で係脱不能位置に係止された状態で、ドアヒンジ機構30Aのドアストライカ31の軸部31aにラッチ32が回動自在に支持した状態が維持され、バックドア4を右側から開閉することが可能になる。
【0037】ここで、例えば、図6に示すように、バックドア4の左右各々において、バックドア4の上下両端側の車体2には、ドアストライカ31の軸部31aを中心とする部分リング部材38が固着されるとともに、ドア本体13のアウタドアパネル16の内面外端付近に、ガイドローラ39がブラケット39aを介して回動自在に装着され、例えば、バックドア4を右側から開放すると、左側のガイドローラ39が部分リング部材39の外周面を転動するため、左側のドアストライカ31とラッチ32を分離させないようにすることができる。
【0038】前記ヒンジ分離機構40Aについて説明する。但し、ヒンジ分離機構40Bはヒンジ分離機構40Aと略同様の構造であるので、ヒンジ分離機構40Aに対応する符号を付し説明を省略する。
【0039】ヒンジ分離機構40Aは、ドアヒンジ機構30Aのラッチ32を係脱可能位置へ回動付勢する付勢部材、ラッチ32を係脱不能位置に係止して作動不能な状態にする係止部材41、係止部材41を平面視にて時計回りに回動付勢する付勢部材(図示略)、アウタドアハンドル7Aを操作することにより上下1対のドアヒンジ機構30Aのラッチ41を作動不能な状態から作動可能な状態にする作動伝達経路42A等を有する。
【0040】ラッチ32の外周部に被係合部32aが形成され、係止部材41の一端部に係合部41aが形成され、この係合部41aが被係合部32aに係合した状態で、ラッチ32が前記係脱可能位置に係止され作動不能な状態になり、アウタドアハンドル7aを操作することにより、作動伝達経路42Aを介して係止部材41を平面視にて反時計回りに微小角度回動させ、係合部41aが被係合部32aから係合解除し、ラッチ41が作動可能な状態になる。
【0041】図7に示すように、作動伝達経路42Aは、左側のアウタドアハンドル7Aから左側のドアヒンジ機構30Aへ至る経路に沿って配設された、プッシュプルワイヤ43、作動部材51、プッシュプルワイヤ44、作動部材52、作動伝達部材45、プッシュプルワイヤ46(47)等を有する。尚、作動部材51は、ヒンジ分離機構40Bの作動伝達経路42Bと共通の部材であり、作動部材51,52は分離阻止機構50に含まれる。
【0042】図8、図10、図12に示すように、アウタドアハンドル7A(7B)には、上下方向向きの長孔7aが形成され、その長孔7aにプッシュプルワイヤ43の端部の係合部43aが摺動自在に係合されている。図9、図11、図13に示すように、作動部材51は、例えば左右に長い直方体状に形成され、その中央部分に長孔51aを有し、その長孔51aにドア本体13に固着の枢支軸51bが挿通され、左右方向へ移動自在且つ枢支軸51b回りに回動自在である。
【0043】プッシュプルワイヤ43の他端部は、作動部材51の左端部付近に臨み、プッシュプルワイヤ44の一端部は、プッシュプルワイヤ43の他端部と対向状に、作動部材51の左端部付近に臨んでいる。尚、アウタドアハンドル7A(7B)は、付勢部材(図示略)により図8の姿勢になるように回動付勢されている。
【0044】図7に示すように、プッシュプルワイヤ44の他端部は、作動部材52の端部に連結され、作動部材52のプッシュプルワイヤ44との連結部の反対側に作動伝達部材45が配設され、作動伝達部材45にプッシュプルワイヤ46(47)の一端部が連結され、各プッシュプルワイヤ46,47の他端部がドアヒンジ機構30Aに対応するラッチ41の係合部41aと反対側端部に連結されている。
【0045】前記分離阻止機構50は、作動伝達経路42A,42Bの少なくとも一方を遮断する前記作動部材51、作動伝達経路42A,42Bの両方を遮断する前記作動部材52、アウタドアハンドル7A,7Bの操作に連動させて作動部材51を作動させる為に、アウタドアハンドル7A,7Bと作動部材51とを夫々連結するプッシュプルワイヤ53、インナロックノブ7Cに連動させて作動部材52を作動させ作動伝達経路42A,42Bを遮断する遮断経路54等を有する。
【0046】図8、図10、図12に示すように、アウタドアハンドル7A(7B)には、連結孔7bが形成され、その連結孔7bにプッシュプルワイヤ53の一端部の連結部53aが嵌合され連結されている。図9、図11R>1、図13に示すように、作動部材51は長孔51aの左右両側に長孔51cを有し、各長孔51cにプッシュプルワイヤ53の端部の係合部53bが摺動自在に係合されている。
【0047】図7に示すように、遮断経路54は、インナロックノブ7Cに一端部が連結されたプッシュプルワイヤ55と、プッシュプルワイヤ55から各作動部材52への経路に沿って配設された、L型金具56、プッシュプルワイヤ57、L型金具58、プッシュプルワイヤ59を有する。L型金具56,58はドア本体13に夫々回動自在に枢支され、プッシュプルワイヤ55,57,59の端部は、L型金具56,58、作動部材52に連結されている。
【0048】尚、各作動部材52は、左右方向移動自在に且つ揺動自在に設けられている。尚、図2等に示すように、プッシュプルワイヤ46(47)の殆どがワイヤチューブ49に挿通しガイドされているように、他のプッシュプルワイヤ43,44,46,55,57,59の殆どもワイヤチューブに挿通しガイドされている。
【0049】上記ドア機構5の作用・効果について説明する。図2、図3に示すように、バックドア4が閉扉状態のとき、ドアヒンジ機構30A(30B)のラッチ32がドアストライカ31に係合し、そのラッチ32が平面視にて時計回り(係脱可能位置側)に回動しないように、係止部材41により係脱不能位置で係止され、作動不能な状態になっている。
【0050】また、図8に示すように、ドアアウタハンドル7A(7B)が操作されないとき、図9に示すように、1対のプッシュプルワイヤ53の端部の係合部53bは、作動部材51の1対の長孔53bの外端部に夫々係合した状態に、また、4本のプッシュプルワイヤ43,44の端部は、作動部材51の左右方向への移動を干渉しない位置に保持されている。
【0051】図10に示すように、例えば、左側のドアアウタハンドル7Aを支軸7c回りに所定量回動操作すると、プッシュプルワイヤ43,53のうち、分離阻止機構50のプッシュプルワイヤ53だけが押され、図11R>1に示すように、そのプッシュプルワイヤ53の端部の係合部53bが作動部材51の長孔51cの内端部に係合した状態になる。
【0052】その後、図12に示すように、更にドアアウタハンドル7Aを支軸7c回りに所定量回動操作すると、分離阻止機構50のプッシュプルワイヤ53だけが更に押されるとともに、作動伝達経路42Aのプッシュプルワイヤ43の係合部43aがドアアウタハンドル7Aの長孔7aの上端部に係合する。
【0053】図13に示すように、プッシュプルワイヤ53が更に押されると、その係合部53bにより作動部材51が右側へ押動され、作動伝達経路42Aのプッシュプルワイヤ43,44の間に作動部材51の右端部分が介装される。このとき、右側のアウタドアハンドル7Bから延びるプッシュプルワイヤ53の係合部53bは、長孔51cの途中部に係合している。
【0054】その後、更にドアアウタハンドル7Aを支軸7c回りに回動操作すると、プッシュプルワイヤ43,53の両方が押され、図13に鎖線で示すように、そのプッシュプルワイヤ43と対向するプッシュプル44の端部が、作動部材51を介して押される。このとき、作動部材51は枢支軸51b回りに反時計回りに回動しながら右側へも移動する。
【0055】作動伝達経路42Aのプッシュプルワイヤ44が押されると、作動部材52と作動伝達部材45を介してプッシュプル46(47)が押され、係止部材41が図2の状態から枢支軸34b回りに反時計回りに回動して、係止部材41のラッチ32への係止が解除され、ラッチ32が作動可能の状態になり、左側のドアヒンジ機構30Aが分離可能な状態になる。
【0056】つまり、この状態でドアアウタハンドル7Aを引張ると、ラッチ32が係脱可能位置へ回動しつつ、ドアストライカ31から係合解除していき、ドアストライカ31とラッチ32が分離し、図4に示すように、バックドア4を左側から開放することができる。尚、バックドア4を開放した状態で、ドアアウタハンドル7Aを戻すと、係止部材41の係合部41aがラッチ32の外周面に摺動自在に当接した状態になる。
【0057】さて、左側のドアヒンジ機構30Aが分離可能な状態のとき、図13に示すように、作動部材51が右側へ移動し、作動伝達経路42Bのプッシュプルワイヤ43,44の間に、作動部材51が介装されないため、右側のヒンジ機構30Bに対応するラッチ32への作動伝達経路42Bが遮断され、右側のドアアウタハンドル7Bを操作しても右方のドアヒンジ機構30Bが分離不能になる。
【0058】バックドア4を左側から開放した状態では、図4に示すように、ラッチ32は係脱可能位置に保持されており、その後、開放しているバックドア4を閉じると、係脱可能位置のラッチ32がドアストライカ31に係合しながら係脱不能位置へ回動し、そのラッチ32が係脱不能位置において係止部材41で係止されて、バックドア4が閉扉位置で自動的にロックされる。ラッチ32がドアストライカ32に係合し易いように、ラッチ32の一端部内面はテーパ面32bを形成されている。
【0059】ドア機構5によれば、バックドア4の左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構30A,30Bと、バックドア4の左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)を車体2側とドア4側とに分離可能な状態にするヒンジ分離機構40A(40B)と、バックドア4の左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構30B(30A)を分離不能にする分離阻止機構50とを設けたので、バックドア4全体が車体2から外れることを確実に防止して、バックドア4を左右何方側からでも開閉することができる。
【0060】その結果、バックドア4の側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に自動車1を移動させなくても、障害物の反対側からバックドア4を開放することで、荷室3への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0061】ドアヒンジ機構30A(30B)は、車体2側に設けられたドアストライカ31と、ドア4側に設けられドアストライカ31に係脱可能に作動し係合するラッチ32とを有するので、ヒンジ分離機構40A(40B)により、左右一方のドアヒンジ機構30A(30B)のラッチ32を作動可能にすることで、そのラッチ32とドアストライカ31を分離可能な状態にすることができ、また、分離阻止機構40A(40B)により、左右他方のドアヒンジ機構30B(30A)のラッチ32を係脱不能位置で作動不能にすることで、そのラッチ32とドアストライカ31を分離不能にすることができる。
【0062】分離阻止機構50は、ドアアウタハンドル7A(7B)の操作に連動し、ヒンジ分離機構40A(40B)によるラッチ32への作動伝達経路42A(42B)を遮断する作動部材51を含むので、バックドア4を左右一方側から開閉する為にドアアウタハンドル7A(7B)を操作すると作動部材51が連動し、ヒンジ分離機構40B(40A)によるバックドア4の左右他方のヒンジ機構30B(30A)のラッチ32への作動伝達経路42B(42A)を遮断し、バックドア4を左右他方側から開閉する為にドアアウタハンドル7B(7A)を操作しても、バックドア4の左右他方のヒンジ機構30B(30A)のラッチ32を作動可能な状態にできなくなり、左右他方のドアヒンジ機構30B(30A)を確実に分離不能にすることができる。
【0063】分離阻止機構50は、ヒンジ分離機構40A,40Bによるラッチ32への作動伝達経路42A,42Bを遮断する作動部材52を有するので、ドアロックノブ7Cを操作して、外側からドアアウタハンドル7A,7Bの操作でバックドア4を開閉できないようにすることができる。
【0064】次に、前記実施形態を部分的に変更した変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同じものには同一符号を付して説明を省略する。1〕図14に示すように、前記実施形態の分離阻止機構50のプッシュプルワイヤ53を省略するとともに、作動部材51をドアドアハンドル7A,7B以外の操作部材60で、例えば、荷室3側から作動させ得るように構成してもよい。
【0065】この場合、ドアハンドル7A,7B以外の操作部材60で作動部材51をドアハンドル7A,7Bに連動させないで作動させることができ、作動部材51を左限位置又は右限位置で保持しておくことで、ドアハンドル7A,7Bでバックドア4を常時左右一方側からしか開閉できないようにすること等が可能になる。
【0066】2〕ドアハンドル7A(7B)の操作を検出するセンサを設け、そのセンサから受ける信号に基いてソレノイド等のアクチュエータを作動させることにより、作動部材51を所定方向へ移動させるようにしてもよい。尚、アクチュエータへの給電手段としては、左右に1対のコネクタ機構を設け、左右一方を開放する場合には、左右他方のコネクタ機構を介して車体2側からアクチュエータへ給電するようにしてもよい。尚、バックドアのランプ類やウインドウ熱線ヒータ等についても同等のコネクタ機構にて給電することができる。
【0067】3〕バックドア4の内面部にも左右2つのドアインナハンドルを設け、荷室3側からでもバックドア4を左右何れか一方に開放できるように構成してもよい。この場合、例えば、前記作動伝達部材45とプッシュプルワイヤ46,47と同じ部材を、それらと並列的に設ければよい。
【0068】尚、前記実施形態の車両用ドア機構は一例を示すものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加し、バン等の車両の他、乗用車、ワゴン等の車両のバックドアに本発明を適用することができる。
【0069】
【発明の効果】 請求項1の車両用ドア機構によれば、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構を分離不能にする分離阻止手段とを設けたので、車両用ドア全体が車体から外れることを確実に防止して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができるようになり、その結果、車両用ドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側から車両用ドアを開放することで、荷室への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0070】請求項2の車両用ドア機構によれば、請求項1と同様の効果を奏するが、ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有するので、ヒンジ分離手段により、左右一方のドアヒンジ機構の係合部材を作動可能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右一方のドアヒンジ機構)を分離可能な状態にすることができ、また、分離阻止手段により、左右他方のドアヒンジ機構の係合部材を所定の係脱不能位置で作動不能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右他方のドアヒンジ機構)を分離不能にすることができる。
【0071】請求項3の車両用ドア機構によれば、請求項2と同様の効果を奏するが、分離阻止手段は、ドアアウタハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を含むので、車両用ドアを左右一方側から開閉する為にドアアウタハンドルを操作すると作動部材が連動し、ヒンジ分離手段による車両用ドアの左右他方のヒンジ機構の係合部材への作動伝達経路を遮断し、車両用ドアを左右他方側から開閉する為にドアアウタハンドルを操作しても、車両用ドアの左右他方のヒンジ機構の係合部材を作動可能な状態にできなくなり、左右他方のドアヒンジ機構を確実に分離不能にすることができる。
【0072】請求項4の車両用ドア機構によれば、請求項2又は3と同様の効果を奏するが、分離阻止手段は、ドアインナハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を有するので、車両内部(荷室)側からドアインナハンドルを操作して、車両用ドアを左右何方側からでも開閉可能にすることができ、また、この作動部材を作動させ左右両方のドアヒンジ機構の係合部材への作動伝達経路を遮断するように構成することで、車両外側からドアアウタハンドルの操作で車両用ドアを開閉できないようにすることができる。
【0073】請求項5の車両用ドア機構によれば、前記作動部材をドアハンドル以外の操作部材で作動させるように構成したので、ドアハンドル以外の操作部材で作動部材をドアハンドルに連動させないで作動させることができ、作動部材をある位置で保持しておくことで、ドアハンドルで車両用ドアを常時左右一方側からしか開閉できないようにすること等が可能になる。
【0074】請求項6の車両用ドア機構によれば、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段とを設けたので、車両用ドアを左右何方側からでも開閉することができるようになり、その結果、車両用ドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側から車両用ドアを開放することで、荷室等への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【0075】請求項7の車両用ドア機構によれば、請求項6と同様の効果を奏するが、ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有するので、ヒンジ分離手段により、左右一方のドアヒンジ機構の係合部材を作動可能にすることで、その係合部材とドアストライカ(左右一方のドアヒンジ機構)を分離可能な状態にすることができる。
【0076】請求項8の車両用ドア機構によれば、請求項1〜7の何れか1項と同様の効果を奏するが、前記車両用ドアはバックドアであるので、バックドアを左右何方側からでも開閉できるようになり、バックドアの側方一方側近傍に他の自動車や壁等の障害物がある場合、その障害物を回避する為に車両を移動させなくても、障害物の反対側からバックドアを開放することで、荷室等への荷物の出し入れ等を容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車の後方斜め上からの斜視図である。
【図2】ドア機構(バックドア閉扉状態)の要部横断面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】ドア機構(バックドア一方側開放状態)の要部横断面図である。
【図5】ドア機構(バックドア他方側開放状態)の要部横断面図である。
【図6】ドア機構(バックドア他方側開放状態)の要部横断面図である。
【図7】ドア機構の作動伝達経路等を含む模式図である。
【図8】ドア機構のアウタドアハンドル(未操作時)付近の縦断面図である。
【図9】ドア機構の作動部材(未作動時)付近の部分断面図である。
【図10】ドア機構のアウタドアハンドル(操作時)付近の縦断面図である。
【図11】ドア機構の作動部材(未作動時)付近の部分断面図である。
【図12】ドア機構のアウタドアハンドル(操作時)付近の縦断面図である。
【図13】ドア機構の作動部材(作動時)付近の部分断面図である。
【図14】別実施形態に係るドア機構の作動伝達経路等を含む模式図である。
【符号の説明】
1 自動車
4 バックドア
5 車両用ドア機構
7A,7B ドアアウタハンドル
7C インナロックノブ
30A,30B ドアヒンジ機構
31 ドアストライカ
32 ラッチ
40A,40B ヒンジ分離機構
42A,42B 作動伝達経路
50 分離阻止機構
51,52 作動部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両用ドアを左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構であって、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構を分離不能にする分離阻止手段と、を備えたことを特徴とする車両用ドア機構。
【請求項2】 前記ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア機構。
【請求項3】 前記分離阻止手段は、ドアアウタハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用ドア機構。
【請求項4】 前記分離阻止手段は、ドアインナハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用ドア機構。
【請求項5】 前記作動部材をドアハンドル以外の操作部材で作動させるように構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用ドア機構。
【請求項6】 車両用ドアを左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構であって、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段と、を備えたことを特徴とする車両用ドア機構。
【請求項7】 前記ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有することを特徴とする請求項6に記載の車両用ドア機構。
【請求項8】 前記車両用ドアはバックドアであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車両用ドア機構。
【請求項1】 車両用ドアを左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構であって、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構が分離可能な状態のときに他方のドアヒンジ機構を分離不能にする分離阻止手段と、を備えたことを特徴とする車両用ドア機構。
【請求項2】 前記ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア機構。
【請求項3】 前記分離阻止手段は、ドアアウタハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用ドア機構。
【請求項4】 前記分離阻止手段は、ドアインナハンドルの操作に連動し、ヒンジ分離手段による係合部材への作動伝達経路を遮断する作動部材を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用ドア機構。
【請求項5】 前記作動部材をドアハンドル以外の操作部材で作動させるように構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用ドア機構。
【請求項6】 車両用ドアを左右何れか一方側から開閉する車両用ドア機構であって、車両用ドアの左右両端部付近に夫々設けられたドアヒンジ機構と、車両用ドアの左右一方のドアヒンジ機構を車体側とドア側とに分離可能な状態にするヒンジ分離手段と、を備えたことを特徴とする車両用ドア機構。
【請求項7】 前記ドアヒンジ機構は、車体側に設けられたドアストライカと、ドア側に設けられドアストライカに係脱可能に作動し係合する係合部材とを有することを特徴とする請求項6に記載の車両用ドア機構。
【請求項8】 前記車両用ドアはバックドアであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車両用ドア機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2000−43573(P2000−43573A)
【公開日】平成12年2月15日(2000.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−215392
【出願日】平成10年7月30日(1998.7.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【公開日】平成12年2月15日(2000.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年7月30日(1998.7.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
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