説明

車両用ナビゲーション装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、自動車等の走行経路表示装置に係り、特に、目的地に到達すべき道路に対する最短経路の方角と距離を表示することができる車両用ナビゲーション装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来の車両用ナビゲーション装置においては、表示すべき目的地として、到達すべき目標地点そのものを指定するようにしていた。
第5図は、従来の車両用ナビゲーション装置における、表示装置の画面上における目的地の指定方法を示したものであって、図中、Aで示す☆は到達すべき目的地点を表している。
また、第6図は、従来のナビゲーション装置におけるナビゲーション情報の表示方法を示したものであって、図中Sで示す△は車両の現在位置を表し、Bで示す■と15.3kmは、それぞれ目的地点までの方角と距離からなる目的地情報を表している。
〔発明が解決しようとする課題〕
車両の運転者にとって、目的地点が例えば自宅のように既知であっても、現在地付近の地理に不案内であった場合には、自宅を目的地点として、それに到る方角と距離とが示されたとしても、それによって直ちに自宅に到る途中の経路を判断して、最良の経路をとることはできない。
しかしながら、「国道でさえ出られれば、あとは道がわかる」こともあり、この場合はむしろ、現在地から最寄りの幹線道路に到達するための、最短経路の方角,距離の情報を知ることによってその幹線道路に出て、それを経由して自宅に行くようにした方が、実際上、便利である。
この場合、従来の車両用ナビゲーション装置では、目的地を1つの点として指定する必要があったため、目的とする道路上の各交差点のうちから、最適な地点を運転者自身が選択して、それを目的時点として指定する必要があった。
〔発明の目的〕
本発明は、このような従来技術の課題を解決しようとするものである。
すなわち、本発明は、目的とする道路と、その道路における上り,下り等の方向を指定すれば、その道路を経由する場合の最適な経路を示すナビゲーション情報を自動的に出力することができる、車両用のナビゲーション装置を提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明においては、車両用ナビゲーション装置において、現在地認識手段2によって、現在地を示す情報を発生し、地図情報格納手段3によって、現在地と目的地とを含む地図データを保持し、入力手段6によって、目的とする道路およびその道路を利用する方向を入力し、演算手段1によって、現在地を中心とする円または他の図形等からなる検索範囲内における所定数以上の交差点のうち、現在地から最も指定方向側にある交差点に対して各交差点経由で行く場合のそれぞれの経路における距離が最小となる経路を最適経路として選択する。そして、表示手段4によって、地図情報格納手段3からの現在地を含む地図と、現在地認識手段2からの地図上における現在地の情報と、演算手段1からの決定された最適経路における経路,距離,方向の情報を画面上に表示し、および/または、音声出力手段5によって、決定された最適経路における経路,距離,方向の情報を音声によって出力する、という構成をとっている。これによって前述した目的を達成しようとするものである。
〔作 用〕
現在地を示す情報を発生し、現在地と目的地とを含む地図データを保持し、目的とする道路およびその道路を利用する方向を入力し、現在地を中心とする円または他の図形等からなる検索範囲内における所定数以上の交差点のうち、現在地から最も指定方向側にある交差点に対して各交差点経由で行く場合のそれぞれの経路における距離が最小となる経路を最適経路として選択し、現在地を含む地図と、この地図上における現在地の情報と、決定された最適経路における経路,距離,方向の情報を画面上に表示する。そして、決定された最適経路における経路,距離,方向の情報は、必要に応じて音声によって出力される。これにより、運転者が目的とする道路上の特定の交差点を指定して目的地情報を求める必要がないため、操作回数,操作時間を少なくすることができ、ナビゲーション上の負担を減らすことができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を第1図ないし第4図に基づいて説明する。
この第1図ないし第4図に示す実施例においては、現在地認識センサ2を備えて、現在地を示す情報を発生し、地図データ格納装置3を備えて、現在地と目的地とを含む地図データを保持し、入力装置6を備えて、目的とする道路およびその道路を利用する方向を入力するようになっている。また、ナビゲーションコントローラ1を備えて、現在地を中心とする円または他の図形等からなる検索範囲内における所定数以上の交差点のうち、現在地から最も指定方向側にある交差点に対して各交差点経由で行く場合のそれぞれの経路における距離が最小となる経路を最適経路として選択される。表示装置4によって、地図データ格納装置3からの現在地を含む地図と、現在地認識センサ2からのこの地図上における現在地の情報と、ナビゲーションコントローラ1からの決定された最適経路における経路,距離,方向の情報を画面上に表示する機能を有する。また、スピーカ5を備えてナビゲーションコントローラ1からの決定された最適経路における経路,距離,方向の情報を必要に応じて音声によって出力し得るようになっている。
第1図に、本実施例のブロック図を示す。
図中、ナビゲーションコントローラ1は、本システムにおける演算,制御,表示等の全体の制御を行うものである。現在地認識センサ2は、車両の現在の位置,車速,方位等を知るためのものであって、例えば、地磁気センサ等の方位センサ,車輪速センサ等の車速センサ,GPS受信機等の位置センサ等からなっている。地図データ格納装置3は、CD−ROM等からなる地図情報を格納している。
表示装置4は、CRT,LCD等のディスプレイからなり,現在地情報,目的地情報等のナビゲーション情報を表示する。スピーカ5は、このようなナビゲーション情報を、音声によって出力する。入力装置6は、キーパッド,タッチパネル等からなり、所要の設定情報の入力を行う。
第2図は、本発明装置によって目的道路を指定、検索する場合の目的地情報の設定方法を例示したものであって、現在地Sから道路Rの方向a(例えば上り方向)に出ようとする場合を示している。
第3図は、目的道路上における最適な交差点を検索,表示する場合の処理を示すフローチャートである。
次に、上記実施例の動作を説明する。
■.運転者は入力装置6から、目的とする道路をその道路記号によって、例えば道路Rのように指定するとともに、道路Rを利用する方向(上り,下りまたは○○方面,××方面等)を指定する。
これによって、現在地認識センサ2および地図データ格納装置3のデータによって、表示装置4の表示画面上に、第2図に示すように現在地Sを中心とする道路Rおよび方向aを含む地図が表示される。
これによって、ナビゲーションコントローラ1は、以下の処理を実行する。
■.現在地Sを中心とする検索円を描く。検索円の半径lを、最初初期地l0とする。そしてこの検索円内に含まれる、目的道路R上の交差点を検索する。第2図において、x1,x2,x3,x4は求められた交差点を示している。
■.この場合、求められた交差点の数が所定数n以上であったときは、■の処理に移行する。
■.求められた交差点の数がn以下または0であったときは、検索円の半径lを所定の長さcだけ延長して、■以降の処理を繰り返す。
■.求められた交差点のうち、現在地Sからみて最も指定方向(a)側にある交差点(x4)へ各交差点(x1,x2,x3,x4)経由で行く場合の距離di(i=1〜4)を計算し、最小となるものを求める。いま、地点p,q間の距離をp〜qで表すものとすると、 d1=S〜x1+x1〜x2+x2〜x3+x3〜X4 d2=S〜x2+x2〜x3+x3〜x4 d3=S〜x3+x3〜x4 d4=S〜x4 なおここで、S〜xiの経路は、道路Rを通らない経路とする。
第2図の例では、最小距離はd3であるとする。この場合、現在地から最も近い目的道路交差点はx1であるが、方向aへ行く場合にはx1経由では遠回りになってしまう。しかし、方向を指定して、「現在地から最も指定方向側の交差点に対して、各交差点経由で行く場合の距離」によって比較することによって、遠回りな経路を選択することはなくなる。
■.表示装置4の表示画面上において、距離diが最小となる交差点(例えばx3)へ誘導するための経路、方位,距離を表示し、またはスピーカ5を用いて、これらの情報を音声によって例えば「1.2km直進後、右折して下さい」のように、その交差点(またはその点に対する所定範囲内)に到達するまで指示する。
第4図は、この最適経路の表示例を示したものであって、現在地Sから目的交差点に到達するための経路を太線で示すとともに、■で示す方位と、距離2.5kmとを表示することが示されている。
なお、■のステップにおいて、上例では検索範囲を円としたが、正多角形等の他の図形を使用することも可能である。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、車両用ナビゲーション装置において、例えば「国道にさえ出られれば、あとは道がわかる」ような場合、目的とする道路と、その道路における上り,下り等の方向を指定することによって、その道路上におけるある交差点を経由する最適な経路が表示画面上に表示され、また音声によって出力される。
従って本発明のナビゲーション装置では、運転者が目的とする道路上の特定の交差点を指定して目的地情報を求める必要がないため、操作回数,操作時間を少なくすることができ、ナビゲーション上の負担を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すブロック図、第2図は本発明装置における目的地情報の設定方法を例示する図、第3図は目的道路上における最適な交差点を検索,表示する場合の処理を示すフローチャート、第4図は最適経路の表示例を示す図、第5図は従来の車両用ナビゲーション装置における表示面上の目的地の指定方法を示す図、第6図は従来のナビゲーション装置におけるナビゲーション情報の表示方法を示す図である。
1……演算手段、2……現在地認識手段、3……地図情報格納手段、4……表示手段、5……音声出力手段、6……入力手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】現在地を示す情報を発生する現在地認識手段と、現在地と目的地とを含む地図データを保持する地図情報格納手段と、目的とする道路およびその道路を利用する方向を入力する入力手段とを有するとともに、現在地を中心とする円または他の図形等からなる検索範囲内における所定数以上の交差点のうち、現在地から最も指定方向側にある交差点に対して各交差点経由で行く場合のそれぞれの経路における距離が最小となる経路を最適経路として選択する演算手段を設け、前記地図情報格納手段からの現在地を含む地図情報と,前記現在地認識手段からの該地図上における現在地の情報と,前記演算手段からの前記決定された最適経路における経路,距離,方向の情報とを画面上に表示する表示手段を設け、これらの情報の一部又は全部を必要に応じて音声によって出力する音声出力手段を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第5図】
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【第6図】
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【特許番号】第2780206号
【登録日】平成10年(1998)5月15日
【発行日】平成10年(1998)7月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−172315
【出願日】平成2年(1990)6月29日
【公開番号】特開平4−62418
【公開日】平成4年(1992)2月27日
【審査請求日】平成9年(1997)5月23日
【出願人】(999999999)スズキ株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平3−157800(JP,A)
【文献】特開 平2−210599(JP,A)
【文献】特開 平3−142318(JP,A)
【文献】特開 平1−100416(JP,A)
【文献】特開 平2−3899(JP,A)
【文献】特開 平2−185000(JP,A)
【文献】特開 平1−250200(JP,A)