説明

車両用ハンドルスイッチ装置

【課題】親指の上下方向の位置に依存することなくフラッシャースイッチの操作部を常に容易に操作できるようにする。
【解決手段】車両の左右方向に回動可能なフラッシャーレバー11が操作されることにより方向指示器を動作させるフラッシャースイッチ7を備える。フラッシャーレバー11は、車両の左右方向の一方のハンドルグリップと隣り合う位置に設けられている。フラッシャーレバー11は、ハンドルグリップの軸方向から見てハンドルグリップから径方向の外側に突出すると共にハンドルグリップの周方向に延びる操作部15を有する。操作部15の車両前側の端部は、ハンドルグリップの上端より車両前側に位置している。操作部15の車両後側の下端部は、ハンドルグリップの後端より下側に位置している。フラッシャーレバー11の回動軸線Lは、ハンドルグリップの上端より車両前側と、ハンドルグリップの後端より下側とを通るように前上がりに傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員が片手で操作する車両用ハンドルスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車やスクータ型自動二輪車などの車両に用いられているハンドルスイッチ装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された車両用ハンドルスイッチ装置は、操向ハンドルのハンドルグリップの近傍に設けられており、乗員の親指で操作する複数の操作部を備えている。
【0003】
これらの複数の操作部のうち、車両の方向指示器を作動させるフラッシャースイッチの操作部は、親指の指先で車両の左右方向にスライドさせるものである。このフラッシャースイッチの操作部の上側近傍には、ヘッドライトの光軸切り替えスイッチの操作部が設けられている。また、フラッシャースイッチの操作部の下側近傍には、ホーンスイッチの操作部が設けられている。
【0004】
乗員の腕の長さや、乗員がシートに座るときの前後方向の位置には個人差がある。このため、ハンドルグリップを把持したときの手の親指の位置は、乗員毎に異なる。例えば、乗員がシートの前部に座った場合は、相対的に上体がハンドルグリップに近付くために、手の甲が車両の前方を指向するように手首を大きく曲げてハンドグリップを把持しなければならない。このような場合は、親指が相対的に上側に位置するようになり、親指を大きく伸ばして下げるとともに、腕を後方へ引いて手首を伸ばすようにしなければフラッシャースイッチの操作部を操作することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−214597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている車両用ハンドルスイッチ装置では、上述したように乗員がシートの前部に座っている状態でフラッシャー操作が頻繁に行われると、フラッシャー操作を行う腕が疲労し易いという問題があった。この理由は、シートの前部に座った状態でフラッシャー操作を行うためには、親指を大きく伸ばして下げるとともに腕を後方へ引いて手首を伸ばすことが必要だからである。すなわち、フラッシャー操作を腕の全体で行わなければならないから、フラッシャー操作を頻繁に行うと腕が疲労し易い。
【0007】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、親指の上下方向の位置にかかわらずフラッシャースイッチの操作部を常に容易に操作することが可能な車両用ハンドルスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る車両用ハンドルスイッチ装置は、車両の左右方向に回動可能なフラッシャーレバーが操作されることにより車両の方向指示器を動作させるフラッシャースイッチを備え、前記フラッシャーレバーは、車両の左右方向の一方のハンドルグリップと隣り合う位置に設けられ、かつ前記ハンドルグリップの軸方向から見てハンドルグリップから径方向の外側に突出すると共にハンドルグリップの周方向に延びる操作部を有し、前記操作部の車両前側の端部は、前記ハンドルグリップの上端より車両前側に位置し、前記操作部の車両後側の下端部は、前記ハンドルグリップの後端より下側に位置し、前記フラッシャーレバーの回動軸線は、前記ハンドルグリップの上端より車両前側と、前記ハンドルグリップの後端より下側とを通るように前上がりに傾斜しているものである。
【0009】
本発明は、上記発明において、前記操作部は、前記ハンドルグリップの軸線と交差する面に沿って移動可能に形成され、前記フラッシャースイッチは、前記操作部が前記面に沿う方向に押されたときに方向指示器を停止させるものであることを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記発明において、前記フラッシャースイッチの下方には、ホーンスイッチの主操作部が設けられ、前記主操作部には、前記フラッシャースイッチの操作部に沿って上方に延びる副操作部が設けられているものである。
【0011】
本発明は、上記発明において、前記フラッシャースイッチの前方には、ヘッドライトのハイビーム、ロービームの切換えを行うためのディマースイッチの操作部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フラッシャーレバーを操作できる範囲が上下方向に拡がり、親指がハンドルグリップの上端の近傍に位置している場合であっても、親指を車両の左右方向に伸ばすだけの簡単な動作によってフラッシャー操作を容易に行うことができる。
したがって、親指の上下方向の位置(手首を曲げる角度)にかかわらず、フラッシャースイッチの操作部を常に容易に操作することが可能な車両用ハンドルスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両用ハンドルスイッチ装置の平面図である。
【図2】本発明に係る車両用ハンドルスイッチ装置の車両後方から見た側面図である。
【図3】本発明に係る車両用ハンドルスイッチ装置の車両左側から見た正面図である。
【図4】本発明に係る車両用ハンドルスイッチ装置の左斜め後上方から見た斜視図である。
【図5】本発明に係る車両用ハンドルスイッチ装置の左斜め後下方から見た斜視図である。
【図6】フラッシャースイッチの構成を示す側面図である。
【図7】ディマースイッチとホーンスイッチの操作部の支持構造を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用ハンドルスイッチ装置の一実施の形態を図1〜図7によって詳細に説明する。
図1に示すハンドルスイッチ装置1は、スクータ型自動二輪車の操向ハンドル2に設けられたものである。前記操向ハンドル2の両端部には、乗員(図示せず)が手3で把持するためのハンドルグリップ4が設けられている。なお、本明細書で想定している「手」は、一般的な成人男性の手である。図1〜図5は、操向ハンドル2の車両左側の端部を図示してあり、これらの図には、車両左側のハンドルグリップ4Lが図示されている。この操向ハンドル2の車両左側の端部であって、前記ハンドルグリップ4Lの近傍には、ブレーキレバー5が設けられている。また、操向ハンドル2は、外観部品となるカバー6を備えている。
【0015】
この実施の形態によるハンドルスイッチ装置1は、前記操向ハンドル2の車両左側の端部であって、前記ハンドルグリップ4Lの車両右側の端部と隣接する位置に設けられている。
このハンドルスイッチ装置1は、図1および図2に示すように、フラッシャースイッチ7と、ディマースイッチ8と、ホーンスイッチ9とを備えている。
【0016】
前記フラッシャースイッチ7は、方向指示器(図示せず)を動作させたり停止させたりするためのものである。このフラッシャースイッチ7は、前記手3の親指3aで操作されるフラッシャーレバー11と、このフラッシャーレバー11に接続された第1〜第3のスイッチ本体12〜14(図6参照)などによって構成されている。
フラッシャーレバー11は、操向ハンドル2に車両の左右方向へ回動(傾動)可能に支持されているとともに、ハンドルグリップ4Lの軸線と交差する面に沿って移動可能に支持されている。前記面に沿って移動する方向とは、この実施の形態においては車両の前後方向と上下方向である。
【0017】
このフラッシャーレバー11を操作するためには、図1中に二点鎖線で示すように、ハンドルグリップ4Lを把持した手3の親指3aを伸ばし、この親指3aの指先をフラッシャーレバー11に押し付けたり、フラッシャーレバー11に掛けて引いたりして行う。右方向へ操作する場合は、親指3aでフラッシャーレバー11を車両右側に押す。この操作を行うことにより、フラッシャーレバー11は車両右側に傾く。左方向へ操作する場合は、親指3aをフラッシャーレバー11の外縁部分に掛け、車両左側に引く。この操作を行うことにより、フラッシャーレバー11は車両左側に傾く。
【0018】
このフラッシャーレバー11は、車両右側または車両左側に親指3aで押された後に乗員が親指3aをフラッシャーレバー11から放すことによって、左右方向の中央に位置する中立位置に復帰するように構成されている。
フラッシャーレバー11を右または左に操作した後、方向指示器を停止させるためには、フラッシャーレバー11の外縁部分を車両前側または下側に向けて押すことによって行う。フラッシャーレバー11は、車両前側または下側に親指3aで押された後に乗員が親指3aをフラッシャーレバー11から放すことによって、操作前の初期位置に復帰するように構成されている。
【0019】
前記第1のスイッチ本体12は、フラッシャーレバー11が車両右側に傾斜したときに方向指示器の右用回路(図示せず)を閉じ、ON状態とする。第2のスイッチ本体13は、フラッシャーレバー11が車両左側に傾斜したときに方向指示器の左用回路(図示せず)を閉じ、ON状態とする。前記右用回路は、ON状態で車両右側のフラッシャーランプ(図示せず)が点滅するように構成されている。前記左用回路は、ON状態で車両左側のフラッシャーランプ(図示せず)が点滅するように構成されている。前記第3のスイッチ本体14は、フラッシャーレバー11が車両前側に押されたとき(フラッシャーレバー11が前記面に沿う方向に押されたとき)に前記右用回路と左用回路とをOFF状態とする。右用回路や左用回路がOFF状態になると、方向指示器が停止する。
【0020】
前記フラッシャーレバー11は、図3に示すように、前記ハンドルグリップ4Lの軸方向から見てハンドルグリップ4Lから径方向の外側に突出すると共にハンドルグリップ4の周方向に延びる操作部15を有している。操作部15は、ハンドルグリップ4Lから上方と後方とに向けて突出している。
この操作部15の上部は、ハンドルグリップ4Lの軸方向から見てハンドルグリップ4Lと同心円状に形成されている。操作部15の上部をこのような形状に形成した理由は、ハンドルグリップ4Lを把持した手の親指3aの上下方向(前後方向)の位置が変わったとしても、同じ条件で操作部15を操作できるようにするためである。
【0021】
この操作部15の車両前側の端部は、前記ハンドルグリップ4Lの上端4aより車両前側に位置している。この実施の形態による前記操作部15の前端は、車両の前後方向において、ハンドルグリップ4Lの前端4bに接近するような位置に位置付けられている。
一方、前記操作部15の下部は、ハンドルグリップ4Lより車両の後方で下方に延びるように形成されている。この操作部15の下端部は、前記ハンドルグリップ4Lの後端4cより下側に位置している。この実施の形態による前記操作部15の下端は、上下方向において、ハンドルグリップ4Lの下端4dと略同じ高さに位置付けられている。
【0022】
このように形成されたフラッシャーレバー11を車両の左右方向に回動可能かつ前記面に沿って移動可能に支持する支持構造は、例えば図6に示すように構成することができる。図6に示す支持構造を採る場合のフラッシャーレバー11は、前記操作部15を形成する操作部材16と、この操作部材16の上端部を支軸17によって支持するレバー本体18とによって構成されている。
【0023】
前記支軸17の軸線方向は、車両の左右方向である。すなわち、図6に示す支持構造を採る場合の前記操作部15は、上端部に位置する前記支軸17を中心にして車両の前後方向に揺動する。前記レバー本体18は、回動軸19を備えており、この回動軸19を介して操向ハンドル2のスイッチ用フレーム(図示せず)に車体の左右方向へ回動可能に支持されている。前記回動軸19は、上方に向かうにしたがって次第に車両前側に位置するように、前上がりに傾斜している。
【0024】
図6に示す回動軸19の軸線L(フラッシャーレバー11の回動軸線)は、図3に示すように、前記ハンドルグリップ4Lの上端4aより車両前側と、前記ハンドルグリップ4Lの後端4cより下側とを通るように前上がりに傾斜している。すなわち、図6に示す支持構造を採る場合のフラッシャーレバー11は、前記回動軸19を中心にして車両の左右方向に回動する。回動軸19の軸線Lが前上がりに傾斜している理由は、操作部15の上端部が左右方向に押された場合であっても、フラッシャーレバー11が左右方向に傾斜できるようにするためである。
【0025】
前記レバー本体18の下部であって、図6に示すように、ハンドルグリップ4Lの軸方向から見て前記軸線Lと重なる部位には、操作子20が設けられている。この操作子20は、前記軸線Lより車両右側に位置付けられている。この操作子20は、フラッシャーレバー11が車両の左右方向に回動するときに、前記軸線Lを中心にして前下方と後上方とへ移動するように回動する。
この実施の形態による前記第1、第2スイッチ本体12,13は、前記操作子20が回動したときに押し付けられるように、操作子20を挟んで互いに対向する状態で前記スイッチ用フレームに支持されている。第1のスイッチ本体12は、操作子20より前側に位置し、第2のスイッチ本体13は、操作子20より後側に位置している。すなわち、前記操作子20は、フラッシャーレバー11が車両右側に傾斜したときに第1のスイッチ本体12を押し、フラッシャーレバー11が車両左側に傾斜したときに第2のスイッチ本体13を押す。
第3のスイッチ本体14は、前記レバー本体18に支持されており、前記操作部材16にプッシュロッド21を介して接続されている。このプッシュロッド21は、レバー本体18に移動自在に支持されている。
【0026】
前記ホーンスイッチ9は、ホーン(図示せず)を動作させるためのものである。このホーンスイッチ9は、図2、図3および図5に示すように、前記カバー6の下端部から下方に突出するホーンボタン22と、このホーンボタン22によって押されるホーンスイッチ本体23(図7参照)とによって構成されている。
前記ホーンボタン22は、操向ハンドル2に車両の前後方向に移動できるように支持されている。このようにホーンボタン22を支持する支持構造は、たとえば図7に示すように構成することができる。
【0027】
ホーンボタン22の支持は、操向ハンドル2側の前記スイッチ用フレーム(図示せず)に設けられたスライドガイド24を用いて行われている。スライドガイド24には、詳細には図示してはいないが、車両の前後方向に延びるガイド部24aが設けられている。ホーンボタン22は、スライドガイド24を覆う形状に形成されており、前記ガイド部24間に車両の前後方向へ移動自在に支持されている。前記ホーンスイッチ本体23は、前記ホーンボタン22の内部に収容される状態でスライドガイド24に支持されており、ホーンボタン22が前側へ移動することによりホーンボタン22によって押される。このホーンスイッチ本体23は、ホーンに通電する回路を開閉するもので、ホーンボタン22によって押されたときに前記回路を閉じるように構成されている。
【0028】
この実施の形態によるホーンボタン22は、図2に示すように、前記フラッシャースイッチ7の下方に設けられた主操作部22aと、この主操作部22aから上方に延びる副操作部22bとによって構成されている。前記主操作部22aは、フラッシャースイッチ7の下方で車両左側に延びている。主操作部22aの車両左側の端部は、フラッシャースイッチ7より車両左側に位置している。前記副操作部22bは、主操作部22aの車両左側の端部から前記フラッシャースイッチ7の操作部15に沿って上方に延びている。この実施の形態による副操作部22bは、図2、図3に示すように、前記ハンドルグリップ4Lの後端4cより僅かに低い位置まで延びるように形成されている。ホーンスイッチ9は、この副操作部22bが親指3aで押された場合でもホーンが動作するように構成されている。
【0029】
前記ディマースイッチ8は、ヘッドライト(図示せず)のハイビームとロービームとの切換えを行うためのものである。このディマースイッチ8は、図1に示すように、フラッシャースイッチ7の前方に位置するスイッチレバー25と、このスイッチレバー25に図示していないリンク機構を介して接続されたディマースイッチ本体26(図1参照)とによって構成されている。この実施の形態においては、前記スイッチレバー25によって請求項4記載の発明でいう「ディマースイッチの操作部」が構成されている。
【0030】
前記スイッチレバー25は、上方から見て三角形状に形成されており、ハンドルグリップ4Lとブレーキレバー5との間の空間に向けて略水平にカバー6から突出している。また、このスイッチレバー25は、図示していない前記スイッチ用フレームに支軸27(図7参照)によって車両の左右方向に回動可能に支持されている。この実施の形態によるディマースイッチ8は、前記スイッチレバー25が車両後側へ引かれる毎にヘッドライトにおいてハイビームとロービームとの切換えが行われるように形成されている。すなわち、乗員がたとえば人差し指でスイッチレバー25を引くことによって、ハイビームとロービームとの切換えを行うことができる。
【0031】
上述したように構成された車両用ハンドルスイッチ装置1において、フラッシャー操作は、ハンドルグリップ4Lを把持した手3の親指3aでフラッシャーレバー11の操作部15を操作することによって行われる。例えば、フラッシャーレバー11が親指3aで押されて車両右側に傾くと、方向指示器が右を指示するように動作する。このフラッシャー操作後に乗員が親指3aを操作部15から放すと、フラッシャーレバー11が中立位置に戻る。方向指示器を停止させるためには、このように中立位置にあるフラッシャーレバー11を親指3aで車両前側に押して行う。
【0032】
前記操作部15の車両前側の端部は、前記ハンドルグリップ4Lの上端より車両前側に位置し、前記操作部15の車両後側の下端部は、前記ハンドルグリップ4Lの後端4cより下側に位置している。このため、フラッシャーレバー11を操作できる範囲が上下方向に拡がる。また、フラッシャーレバー11の回動軸線Lは、前記ハンドルグリップ4Lの上端4aより車両前側と、前記ハンドルグリップ4Lの後端4cより下側とを通るように前上がりに傾斜している。このため、フラッシャーレバー11を左右方向に回動させるにあたって、操作部15を押す位置は、フラッシャーレバー11の上端部から下端部に至る範囲内であれば、制約を受けることはない。
【0033】
したがって、この実施の形態によれば、親指3aがハンドルグリップ4Lの上端4aの近傍に位置している場合であっても、親指3aを車両の左右方向に伸ばすだけの簡単な動作によってフラッシャー操作を容易に行うことができる。このことは、乗員がシート(図示せず)の前部に座り、手首を手3の甲が前方を指向するように大きく曲げた場合であっても、フラッシャー操作を容易に行うことができることを意味する。
【0034】
この結果、この実施の形態によれば、親指3aの上下方向の位置(手首を曲げる角度)にかかわらず、フラッシャースイッチ7の操作部15を常に容易に操作することが可能な車両用ハンドルスイッチ装置を提供することができる。
【0035】
この実施の形態による前記フラッシャーレバー11は、前記ハンドルグリップ4Lの軸線と交差する面に沿って移動可能に支持されている。また、前記フラッシャースイッチ7は、前記操作部15が前記面に沿う方向に押されたときに方向指示器を停止させるものである。
このため、親指3aの上下方向の位置(手首を曲げる角度)にかかわらず、方向指示器を停止させる操作を容易に行うことができる。したがって、この実施の形態によれば、フラッシャー操作をより一層簡単に行うことが可能な車両用ハンドルスイッチ装置を提供することができる。特に、上述した実施の形態においては、フラッシャーレバー11の操作部15がハンドルグリップ4Lの軸方向から見てハンドルグリップ4Lと同心円状に形成されているから、より一層操作性が高くなる。
【0036】
この実施の形態に示す車両用ハンドルスイッチ装置1においては、前記フラッシャースイッチ7の下方にホーンスイッチ9の主操作部22aが設けられている。この主操作部22aには、前記フラッシャースイッチ7の操作部15に沿って上方に延びる副操作部22bが設けられている。
このため、この実施の形態によれば、親指3aが相対的に上側に位置している場合は、前記副操作部22bを親指3aで押してホーン操作を行うことができる。したがって、この実施の形態によれば、フラッシャー操作だけでなくホーン操作も容易に行うことが可能な車両用ハンドルスイッチ装置を提供することができる。
【0037】
この実施の形態に示す車両用ハンドルスイッチ装置においては、前記フラッシャースイッチ7の前方にディマースイッチ8のスイッチレバー25が設けられ、ディマースイッチ8がフラッシャースイッチ7の操作部15を避けた位置に設けられている。このため、この実施の形態においては、フラッシャースイッチ7の操作部15を車両の前後方向に大きく形成することができる。したがって、この実施の形態によれば、ディマースイッチ8を備えているにもかかわらず、フラッシャースイッチ7の操作性が高くなる車両用ハンドルスイッチ装置を提供することができる。
【0038】
上述した実施の形態によるフラッシャーレバー11の操作部15は、上端部に位置する支軸17を中心として車両の前後方向に揺動するものである。乗員がシートの中央部に座った場合、ハンドルグリップ4Lを把持した手3の親指3aは、ハンドルグリップ4Lの下側に位置するようになる。この親指3aで方向指示器を停止させるときの操作力は、前記操作部15の下部に加えられる。このため、操作部15の揺動幅が相対的に広くなる下部を操作することになるため、方向指示器を停止させる操作を軽く行うことができる。このため、この実施の形態によれば、方向指示器を頻繁に操作する場合であっても親指が疲労し難い車両用ハンドルスイッチ装置を提供することができる。なお、操作部15をハンドルグリップ4Lの軸方向と交差する面に沿って移動させるにあたっては、操作部15が下端部を中心にして揺動する構成や、操作部15が車両の前後方向に平行移動する構成を採ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1…車両用ハンドルスイッチ装置、4,4L…ハンドルグリップ4L、7…フラッシャースイッチ、8…ディマースイッチ、9…ホーンスイッチ、11…フラッシャーレバー、15…操作部、19…回動軸、22…ホーンボタン、22a…主操作部、22b…副操作部、25…スイッチレバー、L…回動軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右方向に回動可能なフラッシャーレバーが操作されることにより車両の方向指示器を動作させるフラッシャースイッチを備え、
前記フラッシャーレバーは、車両の左右方向の一方のハンドルグリップと隣り合う位置に設けられ、かつ前記ハンドルグリップの軸方向から見てハンドルグリップから径方向の外側に突出すると共にハンドルグリップの周方向に延びる操作部を有し、
前記操作部の車両前側の端部は、前記ハンドルグリップの上端より車両前側に位置し、
前記操作部の車両後側の下端部は、前記ハンドルグリップの後端より下側に位置し、
前記フラッシャーレバーの回動軸線は、前記ハンドルグリップの上端より車両前側と、前記ハンドルグリップの後端より下側とを通るように前上がりに傾斜していることを特徴とする車両用ハンドルスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用ハンドルスイッチ装置において、前記操作部は、前記ハンドルグリップの軸線と交差する面に沿って移動可能に形成され、
前記フラッシャースイッチは、前記操作部が前記面に沿う方向に押されたときに方向指示器を停止させるものであることを特徴とする車両用ハンドルスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の車両用ハンドルスイッチ装置において、前記フラッシャースイッチの下方には、ホーンスイッチの主操作部が設けられ、
前記主操作部には、前記フラッシャースイッチの操作部に沿って上方に延びる副操作部が設けられていることを特徴とする車両用ハンドルスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうち何れか一つに記載の車両用ハンドルスイッチ装置において、前記フラッシャースイッチの前方には、ヘッドライトのハイビーム、ロービームの切換えを行うためのディマースイッチの操作部が設けられていることを特徴とする車両用ハンドルスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−71594(P2013−71594A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212004(P2011−212004)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)