説明

車両用バイザ

【目的】 本発明は、バイザ本体に別売りなどの各種アンテナを取り付けるようにした車両用バイザを提供せんとするものである。
【構成】 本発明は、バイザ本体11の少なくとも片面に複数のアンテナ取付け部21を設け、当該アンテナ取付け部21間にアンテナ31及びアンテナリード線41を着脱自在に取り付けると共に、前記アンテナリード線41を車両室内に引き込むものであるため、バイザ本体11とは別体のアンテナ31を後付けなどとして着脱自在に取り付けることができる。したがって、種々のアンテナに広範に対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バイザ本体に別売りなどの各種アンテナを取り付けるようにした車両用バイザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、乗用車などの車両には、車載TV用のアンテナや、GPSシステム、携帯電話などの専用アンテナなどを取り付ける必要性が生じてきている。このため、従来は、これらのアンテナをトランクリッドの背面やリヤウインドのガラス内面側、さらにはルーフ外面やトランクリッド外面などに取り付けるケースが増えてきている。しかしながら、上記トランクリッドの背面は別として、リヤウインドのガラス内面側やルーフ外面などにあっては、当該アンテナの存在が、車両の外観や内面の美観などを損なう場合があるのみならず、機能的にも邪魔になるなどの問題があった。
【0003】このため、車両のより邪魔にならない箇所として、上記トランクリッドの背面の他に、車両用バイザの片面(車体側の内面)を利用する方法も、従来から提案されている。このバイザ利用の場合、配線が短くて済むことや、既にトランクリッドに別のアンテナが設置されている場合などにおいて、特に有用である。このようなバイザ利用のアンテナとしては、例えばバイザ本体にプリント印刷法などによって導電体を形成し、これをアンテナとしたアンテナ一体型の車両用バイザ(実開昭64−6112号)がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このようなアンテナ一体型の車両用バイザの場合、昨今の広範なアンテナの使用態様に対応し難いという問題があった。例えば、市販の車載TV用アンテナにあっては、アンテナのインピーダンスが受信性能に大きく影響するため、TV本体に合わせた専用のアンテナが別売りとして販売されている。また、車両の現在位置を特定する、ナビゲイションシステムであるGPSシステムにおいても、専用のGPS用アンテナが別売りとして販売されている。車載用の携帯電話にあっても、専用のアダプタやアンテナが別売りとして販売されている。このような各種の専用アンテナに対応するには、予めアンテナを一体化する形ではなく、後付けでも利用できるバイザ構造が必要とされる。
【0005】本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、別体のアンテナが後付けでも取り付けることができる、車両用バイザを提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の車両用バイザは、バイザ本体の少なくとも片面に複数のアンテナ取付け部を設け、当該アンテナ取付け部間にアンテナ及びアンテナリード線を着脱自在に取り付けると共に、前記アンテナリード線を車両室内に引き込むバイザにある。
【0007】本発明の請求項2記載の車両用バイザは、前記バイザ本体が樹脂製で、かつ、当該バイザ本体の樹脂成形時、前記アンテナ取付け部も同時に成形する請求項1記載のバイザにある。
【0008】本発明の請求項3記載の車両用バイザは、前記アンテナ取付け部が一対の挟着爪からなり、当該各挟着爪の突出方向が、バイザ本体の樹脂成形時における金型の抜き方向とほぼ平行である請求項2記載のバイザにある。
【0009】本発明の請求項4記載の車両用バイザは、アンテナ取付け部をバイザ本体とは別体として形成し、当該バイザ本体の少なくとも片面の複数箇所に固着して、当該アンテナ取付け部間にアンテナ及びアンテナリード線を着脱自在に取り付けると共に、前記アンテナリード線を車両室内に引き込むバイザにある。
【0010】
【作用】上記本発明の請求項1記載の車両用バイザによると、バイザ本体とは別体のアンテナを後付けなどで着脱自在に取り付けることができるため、種々のアンテナに広範に対応することができる。
【0011】上記本発明の請求項2記載の車両用バイザによると、アンテナ取付け部がバイザ本体と同様樹脂製で、かつ、当該バイザ本体と同時に成形されるため、アンテナ取付け部の形成が極めて簡単に行える。
【0012】上記本発明の請求項3記載の車両用バイザによると、アンテナ取付け部が一対の挟着爪からなり、当該各挟着爪の突出方向が、バイザ本体の樹脂成形時における金型の抜き方向とほぼ平行であるため、アンテナ及びアンテナリード線の取付け時、一対の挟着爪間に挟み込むのみでよく、着脱が極めて簡単に行える。また、バイザ本体及びアンテナ取付け部の製造にあたって、簡単な構造の金型で対応することができ、安価な提供が可能となる。
【0013】上記本発明の請求項4記載の車両用バイザによると、アンテナ取付け部をバイザ本体とは別体として形成し、当該バイザ本体の少なくとも片面の複数箇所に固着するものであるため、より広範な各種のバイザ本体及びアンテナに対応することができる。
【0014】
【実施例】図1〜図5は、本発明に係る車両用バイザの一実施例を示したものである。図1はバイザ本体11を示したもので、このバイザ本体11は、図2に示したように、車両Cのサイドウインドの一方の側(車両助手席側の左側)の上部から前部にかけて装着されるものである。なお、当該バイザ本体11は、その長さがフロントドア上部までのもので、リヤドア上部には別体のバイザ本体11aが装着されているが、本発明では、これらの各バイザ本体11,11aが一体化されたものや、リヤドア上部のバイザ本体11aにも勿論適用することができる。
【0015】上記バイザ本体11の片面側(車体側の内側)には、複数個のアンテナ取付け部21が配置してある。このアンテナ取付け部21の配置位置は、使用する線状体形状のアンテナ31やアンテナリード線41の形状に合わせて設定するものとする。本例では、アンテナ31部分が2本に分岐されているため、当該分岐部分31a,31bがほぼ直線状に延設されるようにすると共に、アンテナリード線41部分は、バイザ本体11の下端側にリードされるようにアンテナ取付け部21を配置する。
【0016】上記アンテナ取付け部21は、図3に示したように、一対の挟着爪21a,21bからなり、この各挟着爪21a,21b間の間隔が上記アンテナ31の分岐部分31a,31bやアンテナリード線41部分の外径より少々狭く作ってあり、当該分岐部分31a,31bやアンテナリード線41部分が圧入されることで、簡単に挟着されるようになっている。これらを取り外す場合には、少々強めに引っ張ればよい。つまり、簡単に着脱できるようになっている。
【0017】このようにして、バイザ本体11の片面側に取り付けられた線状体形状のアンテナ31やアンテナリード線41は、図4に示したように、車両室内のチューナ51に接続され、ディスプレー52部分に所望の画像を写し出すようになっている。
【0018】そして、また、このようにしてなる本発明のバイザ本体11及びアンテナ取付け部21にあっては、バイザ本体11が樹脂製で、かつ、当該バイザ本体11の樹脂成形時、アンテナ取付け部21も同時に成形するようになっている。したがって、アンテナ取付け部21の形成は、簡単かつ迅速に行える。特に、本実施例では、アンテナ取付け部21の各挟着爪21a,21bの突出方向を、図5に示したように、バイザ本体11の樹脂成形時において、例えば固定金型61に対する可動金型62の抜き方向とほぼ平行になるようにしてあるため、簡単な金型構造によって、製造することができる。つまり、バイザ本体11及びアンテナ取付け部21の製造が低コストででき、安価な提供が可能となる。
【0019】図6〜図7は、本発明に係る車両用バイザの他の実施例を示したものである。この実施例のバイザ本体12では、アンテナ31の分岐部分31a,31b及びアンテナリード線41が挟着されるアンテナ取付け部22を、バイザ本体12の長手方向の下端縁部分に延設した場合である。このアンテナ取付け部22は、溝状に延設されるものの、上記図1のアンテナ取付け部21と同様、一対の挟着爪22a,22bからなり、また、各挟着爪22a,22bの突出方向も、上述したように、金型の抜き方向とほぼ平行になるようにしてある。したがって、やはり着脱自在な挟着が可能であると同時に低コストでの製造が可能である。また、このような長い溝状のアンテナ取付け部22の場合、アンテナ31の分岐部分31a,31b及びアンテナリード線41は、長い範囲に渡って確実に挟着され、使用中、不用意に弛んだり、外れたりする恐れが殆どなくなる。一方、このアンテナ取付け部22は、バイザ本体12の下端外側の半円状の隆起部(玉縁部)12aと重なる裏側にあるため、半透明の樹脂体などからなるバイザ本体12において、外側より見た場合、バイザ本体12の内側に不自然な陰影が発生せず、良好な外観が得られると同時に、樹脂成形時のヒケ(窪みや変形)も発生し難く、良好な寸法形状のバイザが得られる。
【0020】図8〜図9は、本発明に係る車両用バイザのさらに別の実施例を示したものである。この実施例のバイザ本体13は、本質的には、上記図1のバイザ本体13と同様であるが、挟着するアンテナ32がGPSシステムの専用アンテナであって、小型のプレート体からなるため、アンテナリード線用のアンテナ取付け部21とは別に、当該プレート型アンテナ32を取り付けるためのアンテナ取付け部23が設けてある。このアンテナ取付け部23も、一対の挟着爪23a,23bからなり、上記アンテナ32は、この各挟着爪23a,23b間に圧入すればよい。なお、当該アンテナ32の取り付けにあたっては、当該各挟着爪23a,23bによる挟着と共に、両面接着テープなどによる接着を併用することもできる。さらに、アンテナ取付け部23を設けることなく、アンテナ32部分の取り付けを上記両面接着テープなどによる接着のみで行うようにすることもできる。或いは、図9に示したように、バイザ本体13とは別体のアンテナ取付け部品24を提供し、このアンテナ取付け部品24をバイザ本体13に上記両面接着テープなどによって接着し、その一対の挟着爪24a,24b間でプレート型アンテナ32を挟着するようにすることもできる。
【0021】このようにして、バイザ本体13の片面側に取り付けられたアンテナ32やアンテナリード線41は、図10に示したように、車両室内のGPSコントローラ53に接続され、ディスプレー52上の道路地図部分52aに自車両位置52bを写し出すようになっている。なお、54は地図情報を読み出して上記コントローラ53に入力させるCDデッキ、55は地図の縮尺を変えたりするためのリモコンである。
【0022】上記図8のバイザ本体13では、GPSシステムの専用アンテナ32を取り付ける場合であったが、図11に示した、携帯電話の専用アンテナ33にあっても、当該アンテナ33は、小型のプレート体からなるため、上記GPS用アンテナ32と同様にして対応することができる。勿論、アンテナリード線41は、アンテナ取付け部21によって挟着され、途中のコネクタ41a、コネクタ41bを通じて、車両室内に導かれ、コンソールボックス上などに取付けられた受話器のホルダー部56に接続される。なお、このホルダー部56には、車両のシガーライター加熱部に差し込まれるジャック57を通じて通電されるようになっている。
【0023】図12は、本発明に係る車両用バイザのさらにまた別の実施例を示したものである。この実施例のバイザ本体14では、アンテナ取付け部25を当該バイザ本体14とは別体として形成し、これをバイザ本体14の片面の複数箇所に固着してある。このアンテナ取付け部25も、一対の挟着爪25a,25bを有してなり、そのバイザ本体14への固着にあたっては、両面接着テープや接着剤によって行えばよい。このバイザ構造は、RV車両などの大型バイザにおいて特に有効である。RV車用の大型バイザの場合、上記図1などに示したような乗用車用のバイザとは異なり、樹脂成形がインジェクション成形ではなく、ヒートプレス成形によることがあり、このヒートプレス成形によって、アンテナ取付け部を同時に成形することが難しいからである。つまり、アンテナ取付け部25を別体の部品として提供することによって、同時成形が難しいRV車両などの大型バイザにも容易に対応することが可能となる。
【0024】なお、上記各実施例では、車両Cの左側(助手席側)のバイザ本体についての説明であったが、本発明は、勿論これに限定されず、右側(運転席側)のバイザ本体についても、同様に適用することができる。例えば、トランクリッドの背面の他に、左右のバイザ本体を利用すれば、車両Cのあまり邪魔にならない箇所に少なくとも3種類のアンテナを取付けることができる。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係る車両用バイザによると、次のような優れた効果が得られる。
【0026】(1)先ず、本発明の請求項1記載の車両用バイザでは、バイザ本体の少なくとも片面に複数のアンテナ取付け部を設け、当該アンテナ取付け部間にアンテナ及びアンテナリード線を着脱自在に取り付けると共に、前記アンテナリード線を車両室内に引き込むものであるため、バイザ本体とは別体のアンテナを後付けなどとして着脱自在に取り付けることができる。したがって、従来のアンテナを一体化して設けた車両用バイザに比較して、種々のアンテナに広範に対応することができる。また、この車両用バイザ部分は、車両の外観や内面の美観などを損なう場所ではなく、機能的にもアンテナの存在が邪魔にならないなどの優れた利点が得られる。例えば、車両ルーフ外面やトランクリッド外面に取り付けたアンテナにあっては、洗浄などの際邪魔になるなどの問題があった。
【0027】(2)本発明の請求項2記載の車両用バイザでは、前記バイザ本体が樹脂製で、かつ、当該バイザ本体の樹脂成形時、前記アンテナ取付け部も同時に成形する請求項1記載のバイザにあるため、アンテナ取付け部の形成が極めて簡単に行える。したがって、低コストでの車両用バイザの提供が可能となる。
【0028】(3)本発明の請求項3記載の車両用バイザでは、前記アンテナ取付け部が一対の挟着爪からなり、当該各挟着爪の突出方向が、バイザ本体の樹脂成形時における金型の抜き方向とほぼ平行である請求項2記載のバイザにあるため、アンテナ及びアンテナリード線の取付け時、一対の挟着爪間に挟み込むのみでよく、着脱が極めて簡単に行える。また、バイザ本体及びアンテナ取付け部の製造にあたって、簡単な構造の金型で対応することができるため、より安価な車両用バイザの提供が可能となる。。
【0029】(4)本発明の請求項4記載の車両用バイザでは、アンテナ取付け部をバイザ本体とは別体として形成し、当該バイザ本体の少なくとも片面の複数箇所に固着して、当該アンテナ取付け部間にアンテナ及びアンテナリード線を着脱自在に取り付けると共に、前記アンテナリード線を車両室内に引き込むバイザにあるため、より広範な各種のバイザ本体及びアンテナに対応することができる。例えば、樹脂成形がインジェクション成形ではなく、ヒートプレス成形によることがある、RV車両などの大型バイザにも容易に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用バイザの一実施例になるバイザ本体にアンテナを取り付けた状態を示した斜視図である。
【図2】図1の車両用バイザが装着された車両の一例を示した部分斜視図である。
【図3】図1の車両用バイザの縦断面図である。
【図4】図1の車両用バイザに取り付けられたアンテナとチューナやディスプレーとの接続関係を示したブロック図である。
【図5】図1の車両用バイザの金型成形時の状態を示した縦断面図である。
【図6】本発明に係る車両用バイザの他の実施例になるバイザ本体とアンテナを示した斜視図である。
【図7】図6のVII〜VII線におけるバイザ本体の縦断面図である。
【図8】本発明に係る車両用バイザのさらに別の実施例になるバイザ本体にアンテナを取り付けた状態を示した斜視図である。
【図9】図8の車両用バイザにおけるアンテナ取付け部品の一例を示した斜視図である。
【図10】図1の車両用バイザに取り付けられたアンテナとコントローラやディスプレーなどとの接続関係を示したブロック図である。
【図11】図8の車両用バイザのバイザ本体に取り付けられる他のアンテナを示した斜視図である。
【図12】本発明に係る車両用バイザのさらにまた別の実施例になるバイザ本体を示した斜視図である。
【符号の説明】
11,12,13,14 バイザ本体
21,22,23,25 アンテナ取付け部
21a,22a,23a,25a〜21b,22b,23b,25b 一対の挟着爪
24 アンテナ取付け部品
31,32,33 アンテナ
41 アンテナリード線
51 チューナ
52 ディスプレー
53 コントローラ
61,62 金型
C 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】 バイザ本体の少なくとも片面に複数のアンテナ取付け部を設け、当該アンテナ取付け部間にアンテナ及びアンテナリード線を着脱自在に取り付けると共に、前記アンテナリード線を車両室内に引き込むことを特徴とする車両用バイザ。
【請求項2】 前記バイザ本体が樹脂製で、かつ、当該バイザ本体の樹脂成形時、前記アンテナ取付け部も同時に成形することを特徴とする請求項1記載の車両用バイザ。
【請求項3】 前記アンテナ取付け部が一対の挟着爪からなり、当該各挟着爪の突出方向が、バイザ本体の樹脂成形時における金型の抜き方向とほぼ平行であることを特徴とする請求項2記載の車両用バイザ。
【請求項4】 アンテナ取付け部をバイザ本体とは別体として形成し、当該バイザ本体の少なくとも片面の複数箇所に固着して、当該アンテナ取付け部間にアンテナ及びアンテナリード線を着脱自在に取り付けると共に、前記アンテナリード線を車両室内に引き込むことを特徴とする車両用バイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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