説明

車両用前照灯ユニット

【課題】適正なすれ違いビームを形成する。
【解決手段】車両用前照灯ユニット1が備える左側ヘッドランプ20及び右側ヘッドランプ30は、バルブ22,32と、バルブ22,32から出射された光を前方へ反射させる反射面231,331とを備える。反射面231,331は、左側ヘッドランプ20のものと右側ヘッドランプ30のものとで対応する領域へ光を反射させる複数の反射領域を有する。複数の反射領域は、バルブ22,32に近接した中央反射領域231a,331aと、その左側の左側反射領域231b,331bと、右側の右側反射領域231c,331cと、左側反射領域331b又は右側反射領域231cに連なるとともに最も車両中央側の内側反射領域231d,331dとを含み、左側反射領域231b,331bと右側反射領域231c,331cとが、左右方向に沿った幅又は表面積を互いに等しくしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用ヘッドランプなどの車両用前照灯として、バルブから出射された光をリフレクタで反射させて車両前方に所定の配光パターンを形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4(a),(b)に示すように、この種の車両用前照灯60では、前方をアウターレンズ70で覆われた灯室内に、バルブ80と、前方へ開口した湾曲板状のリフレクタ90とが収容されている。バルブ80は、例えば2つのフィラメント81,82を有しており、これら2つのフィラメント81,82が、リフレクタ90の前面に形成された反射面91の焦点近傍に位置するように配置されている。リフレクタ90の反射面91は、その上半部において左右方向に沿って並設された3つの反射領域91a,91b,91cと、下半部の反射領域91dとから構成されている。
【0004】
そして、2つのフィラメント81,82のうち、主線のフィラメント81が点灯したときには、その光が反射面91の全ての反射領域91a〜91dで反射されて、車両前方に走行ビームが形成される。一方、2つのフィラメント81,82のうち、副線のフィラメント82が点灯したときには、その光が反射面91の上半部の反射領域91a〜91cで反射されて、略水平線よりも下方のみに光が照射されたすれ違いビームが形成される。
【0005】
このとき、発光体であるフィラメント81,82が前後方向に長尺であるため、図5に示すように、バルブ80の上方に位置する反射面91中央の反射領域91aでは、上下方向に長尺な光像が多く形成され、バルブ80の側方に位置する反射領域91b,91cでは、左右方向に長尺な光像が多く形成される。具体的には、すれ違いビームPが形成されるときには、反射面91中央の反射領域91aで反射された光が、図6(a)に示すように、左右方向に広く配光されて配光領域P1を形成し、反射面91左側部の反射領域91bで反射された光が、図6(b)に示すように、中央付近のうち鉛直線Vから右側に掛けて配光されて配光領域P2を形成し、反射面91右側部の反射領域91cで反射された光が、図6(c)に示すように、中央付近のうち鉛直線Vのやや右側から左側に亘って配光されて配光領域P3を形成する。そして、同様に構成された左右両側の2つの車両用前照灯60,60(左側前照灯60L及び右側前照灯60R)それぞれによって配光領域P1〜P3が形成されることにより、図7に示すように、これら配光領域P1〜P3からなるすれ違いビームPが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−260114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年の車両用前照灯においては、図8に示すように、車体デザイン上の要請により、車両中央側から車両側方側に向かって後方へ傾斜した形状に形成されることがある。このような車両用前照灯では、一般に、リフレクタ90の形状を傾斜したアウターレンズ70に対応したものとするため、反射面91のうち、バルブ80よりも車両中央側に位置する部分の方が車両側方側に位置する部分よりも広くなる。その結果、左側前照灯60Lと右側前照灯60Rとで、反射領域91b及び反射領域91cの形状が互いに異なってしまい、ひいては配光が異なってしまうため、適正なすれ違いビームPを形成することができず、運転者に違和感を与えてしまう。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、車両中央側から車両側方側に向かって後方へ傾斜した左側前照灯及び右側前照灯を備えるものであって、適正なすれ違いビームを形成することができる車両用灯具ユニットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
車両前部の左右両側に搭載され、車両中央側から車両側方側に向かって後方へ傾斜した左側前照灯及び右側前照灯を備え、車両前方にすれ違いビームを形成する車両用前照灯ユニットにおいて、
前記左側前照灯及び前記右側前照灯は、
バルブと、
前方へ開口する形状に形成されるとともに、その焦点近傍に前記バルブが位置するように配置され、前記バルブから出射された光を前方へ反射させる反射面と、
をそれぞれ備え、
前記反射面は、前記左側前照灯のものと前記右側前照灯のものとで前記すれ違いビーム内の対応する領域へ向けて光を反射させる複数の反射領域を有し、
前記複数の反射領域は、
前記バルブに近接した位置に形成された中央反射領域と、
前記中央反射領域の左側に形成された左側反射領域と、
前記中央反射領域の右側に形成された右側反射領域と、
前記左側反射領域又は前記右側反射領域に連なるとともに前記反射面のうち最も車両中央側に形成された内側反射領域と、
を含み、
前記左側反射領域と前記右側反射領域とが、左右方向に沿った幅又は表面積を互いに等しくしていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用前照灯ユニットにおいて、
前記反射面は、その焦点が当該反射面の左右方向の中央よりも車両側方側に位置していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用前照灯ユニットにおいて、
前記すれ違いビームは、上端のカットオフラインが水平であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用前照灯ユニットにおいて、
前記内側反射領域は、前記すれ違いビームのうち、左右方向の中央付近の高光度領域を含む領域へ向けて光を反射させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バルブから出射された光を前方へ反射させる反射面が、左側前照灯のものと右側前照灯のものとですれ違いビーム内の対応する領域へ向けて光を反射させる複数の反射領域を有しており、この複数の反射領域が、バルブに近接した位置に形成された中央反射領域と、中央反射領域の左側に形成された左側反射領域と、中央反射領域の右側に形成された右側反射領域と、左側反射領域又は右側反射領域に連なるとともに当該反射面のうち最も車両中央側に形成された内側反射領域とを含み、このうちの左側反射領域と右側反射領域とが、左右方向に沿った幅又は表面積を互いに等しくしている。
つまり、左側前照灯及び右側前照灯の各反射面には、左側反射領域と右側反射領域との左右方向に沿った幅又は表面積が互いに等しくなるように、内側反射領域が設けられており、これらの反射領域が左側前照灯のものと右側前照灯のものとで対応する領域へ光を反射させるので、左側前照灯と右側前照灯とで同一の配光を形成することができる。したがって、車両中央側から車両側方側に向かって後方へ傾斜した左側前照灯及び右側前照灯を備えるものであっても、適正なすれ違いビームを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態における車両用前照灯ユニットの要部の正面図である。
【図2】図1のII−II線での断面図である。
【図3】実施形態における車両用前照灯ユニットによって形成されるすれ違いビームを示す図である。
【図4】従来の車両用前照灯を示す図である。
【図5】リフレクタの反射面によって投影されるフィラメントの光像を説明するための図である。
【図6】リフレクタの反射面の各反射領域によって形成される配光領域を示す図である。
【図7】従来の車両用前照灯ユニットによって形成されるすれ違いビームを示す図である。
【図8】車両中央側から車両側方側に向かって後方へ傾斜した従来の車両用前照灯ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における車両用前照灯ユニット1の要部の正面図であり、図2は、図1のII−II線での断面図である。
なお、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、車両用前照灯ユニット1が搭載される図示しない車両から見た各方向を意味するものとする。
【0016】
図1及び図2に示すように、車両用前照灯ユニット1は、車両前方に所定の配光パターンを形成するものであり、車両前部の左側に搭載される左側ヘッドランプ20と、車両前部の右側に搭載される右側ヘッドランプ30とを備えている。
【0017】
このうち、左側ヘッドランプ20は、前面が開口した図示しないハウジングと、当該ハウジングの前面開口を覆うアウターレンズ21とを備えている。このうち、アウターレンズ21は、車両中央側から車両側方側に向かって後方へ傾斜している。ハウジング及びアウターレンズ21で形成される灯室内には、バルブ22及びリフレクタ23が収容されている。
【0018】
バルブ22は、左側ヘッドランプ20の光源であり、発光体(発光中心)である主線のフィラメント221及び副線のフィラメント222を有している。このうち、副線のフィラメント222の下方近傍には、図示しない遮光カップが設けられている。
【0019】
リフレクタ23は、前方へ開口する略湾曲板状に形成されており、その開口内の底面(前面)が、バルブ22から出射された光を前方へ反射させる反射面231となっている。
反射面231は、回転放物面を基調とする自由曲面であり、その焦点近傍にバルブ22のフィラメント221,222が位置するように配置されている。この反射面231は、その焦点が当該反射面231の左右方向の中央よりも車両側方側(外側)に位置している。つまり、反射面231は、アウターレンズ21の傾斜に対応するように、その焦点から車両中央側の方が車両側方側よりも長尺に形成されている。
【0020】
また、反射面231は、互いに異なる領域へ光を反射させる複数の反射領域から構成されている。具体的には、反射面231は、その略上半部が、バルブ22に最も近接した位置に形成された中央反射領域231aと、中央反射領域231aの左側に形成された左側反射領域231bと、中央反射領域231aの右側に形成された右側反射領域231cと、右側反射領域231cに連なるとともに当該反射面231のうち最も車両中央側に形成された内側反射領域231dとから構成され、略下半部が下部反射領域231eから構成されている。
【0021】
このうち、反射面231の略上半部に形成された反射領域231a〜231dは、正面視で上下方向に略沿った分割線で分割され、左右方向に並設されている。また、このうちの左側反射領域231bと右側反射領域231cとは、左右方向に沿った幅又は表面積が互いに略等しくなるように形成されており、本実施形態においては、バルブ22(フィラメント221,222)を含んで左右方向と直交する面について互いに面対称となるように形成されている。言い換えれば、反射面231には、左側反射領域231bと右側反射領域231cとの幅又は表面積が等しくなるように、内側反射領域231dが設けられている。
内側反射領域231dは、正面視で上下方向に略沿った分割線で更に3つに分割されており、具体的には、車両側方側から車両中央側に向かって、第一内側反射領域231x,第二内側反射領域231y及び第三内側反射領域231zの3つに分割されている。
【0022】
右側ヘッドランプ30は、車両中央で左右方向と直交する面について左側ヘッドランプ20と面対称に形成されている。具体的には、右側ヘッドランプ30は、図示しないハウジングとアウターレンズ31で形成される灯室内に、バルブ32及びリフレクタ33を有している。
このうち、バルブ32は、左側ヘッドランプ20のバルブ22と同様に構成され、発光体(発光中心)である主線のフィラメント321及び副線のフィラメント322を有している。
【0023】
リフレクタ33は、左側ヘッドランプ20のリフレクタ23と同様に、前方へ開口する略湾曲板状に形成され、その開口内の底面(前面)が反射面331となっている。
反射面331は、回転放物面を基調とする自由曲面であり、その焦点近傍にバルブ32のフィラメント321,322が位置するように配置されている。この反射面331は、その焦点が当該反射面331の左右方向の中央よりも車両側方側に位置している。
【0024】
また、反射面331は、互いに異なる領域へ光を反射させる複数の反射領域から構成されおり、具体的には、その略上半部が、バルブ32に最も近接した位置に形成された中央反射領域331aと、中央反射領域331aの左側に形成された左側反射領域331bと、中央反射領域331aの右側に形成された右側反射領域331cと、左側反射領域331bに連なるとともに当該反射面331のうち最も車両中央側に形成された内側反射領域331dとから構成され、略下半部が下部反射領域331eから構成されている。
したがって、反射面331のうち、左側反射領域331b及び右側反射領域331cのみが、左側ヘッドランプ20の左側反射領域231b及び右側反射領域231cと左右方向の位置関係が一致しており、つまり、当該左側反射領域231b及び当該右側反射領域231cと面対称の位置関係にない。
【0025】
反射面331のうち、その略上半部に形成された反射領域331a〜331dは、正面視で上下方向に略沿った分割線で分割され、左右方向に並設されている。また、このうちの左側反射領域331bと右側反射領域331cとは、左右方向に沿った幅又は表面積が互いに略等しくなるように形成されており、本実施形態においては、バルブ32(フィラメント321,322)を含んで左右方向と直交する面について互いに面対称となるように形成されている。
内側反射領域331dは、正面視で上下方向に略沿った分割線で更に3つに分割されており、具体的には、車両側方側から車両中央側に向かって、第一内側反射領域331x,第二内側反射領域331y及び第三内側反射領域331zの3つに分割されている。
【0026】
これらの反射領域331a〜331c,331e,331x〜331zは、左側ヘッドランプ20のもの(対応する反射領域231a〜231c,231e,231x〜231z)と、左右方向に沿った幅又は表面積がそれぞれ略等しくなるように形成されており、後述するように、配光パターン内の対応する領域(同一の領域)へ向けてそれぞれ光を反射させるように構成されている。
【0027】
続いて、車両用前照灯ユニット1における配光パターンの形成態様について説明する。
図3は、車両用前照灯ユニット1によって車両前方の仮想スクリーン上に形成される配光パターンのうち、すれ違いビームLBを示す図である。
【0028】
まず、車両用前照灯ユニット1におけるすれ違いビームLBの形成態様について説明する。
左側ヘッドランプ20及び右側ヘッドランプ30において、バルブ22,32の副線のフィラメント222,322がそれぞれ点灯すると、その光が、リフレクタ23,33の反射面231,331のうち、下部反射領域231e,331eを除く反射領域、つまり、中央反射領域231a,331aと、左側反射領域231b,331bと、右側反射領域231c,331cと、内側反射領域231d,331dとによって、前方へ反射される。
【0029】
これらの光は、図3に示すように、左側ヘッドランプ20の各反射領域によるものと、右側ヘッドランプ30の各反射領域によるものとで、車両前方の対応する領域(同一の領域)へ反射されて、すれ違いビームLBを形成する。
具体的には、中央反射領域231a,331aで反射された光が、左右方向に広く配光されて配光領域Paを形成し、左側反射領域231b,331bで反射された光が、中央付近のうち鉛直線Vから右側に掛けて配光されて配光領域Pbを形成し、右側反射領域231c,331cで反射された光が、中央付近のうち鉛直線Vのやや右側から左側に亘って配光されて配光領域Pcを形成する。また、内側反射領域231d,331dで反射された光は、左右方向の中央付近の高光度領域Phを含む領域(例えば、鉛直線V〜3.0R)に配光されて配光領域Pdを形成する。より詳しくは、内側反射領域231d,331dを構成する、第一内側反射領域231x,331xと、第二内側反射領域231y,331yと、第三内側反射領域231z,331zとが、それぞれ配光領域Pdを形成する。そして、これらの配光領域Pa〜Pdからなる、すれ違いビームLBが形成される。このすれ違いビームLBは、上端の明暗境界線であるカットオフラインCLが、水平線Hと略一致しつつ全域に亘って水平になるように形成される。
【0030】
ここで、左側反射領域231b,331b及び右側反射領域231c,331cによって形成される配光領域Pb及び配光領域Pcは、すれ違いビームLBのうち、左右方向の中央付近の高光度領域Phを含む領域となっている。この高光度領域Phは、各国の法規で規定された光度要件において、特に高光度が必要とされる領域(例えば、米国の法規(FMVSS:Federal Motor Vehicle Safety Standards and Regulations)における仮想スクリーン上の[0.6D−1.3R]と[1.5D−2.0R]の2つのポイントを含む領域)である。そのため、反射面231,331のサイズが制限されて左側反射領域231b,331b又は右側反射領域231c,331cの面積を十分に確保できない場合には、この高光度領域Phの光度が不足してしまう恐れがある。特に、この高光度領域Phは配光領域Pcの上端近傍に位置しているのに対して配光領域Pbのより中央に位置しているため、当該高光度領域Phの形成には、配光領域Pbを形成する左側反射領域231b,331bの影響が相対的に強い。したがって、反射面231,331のサイズが制限されたときには、左側反射領域231bの面積がより小さくなりやすい左側ヘッドランプ20から高光度領域Phへの光量が不足しがちである。しかしながら、本実施形態における車両用前照灯ユニット1では、内側反射領域231d,331dによって、高光度領域Phを含む配光領域Pdへ光が照射されるので、反射面231,331のサイズが制限された場合であっても当該高光度領域Phの光度要件を満足させることができる。
【0031】
一方、左側ヘッドランプ20及び右側ヘッドランプ30において、バルブ22,32の主線のフィラメント221,321がそれぞれ点灯したときには、その光が、リフレクタ23,33の反射面231,331の全ての反射領域で反射されて、車両前方に走行ビーム(図示せず)が形成される。つまり、中央反射領域231a,331aと、左側反射領域231b,331bと、右側反射領域231c,331cと、内側反射領域231d,331dと、下部反射領域231e,331eとを含む反射面231,331全体からの反射光によって、走行ビームが形成される。
【0032】
以上のように、車両用前照灯ユニット1によれば、左側ヘッドランプ20及び右側ヘッドランプ30の各反射面231,331に、左側反射領域231b,331bと右側反射領域231c,331cとの左右方向に沿った幅又は表面積が互いに等しくなるように、内側反射領域231d,331dが設けられており、これらの反射領域が左側ヘッドランプ20のものと右側ヘッドランプ30のものとで対応する領域(同一の領域)へ光を反射させるので、左側ヘッドランプ20と右側ヘッドランプ30とで同一の配光を形成することができる。したがって、車両中央側から車両側方側に向かって後方へ傾斜した左側ヘッドランプ20及び右側ヘッドランプ30を備えるものであっても、運転者に違和感を与えることのない適正なすれ違いビームLBを形成することができる。
【0033】
また、内側反射領域231d,331dによって、すれ違いビームLBのうち、高光度領域Phを含む配光領域Pdへ光が照射されるので、反射面231,331のサイズが制限された場合、特に左側ヘッドランプ20において左側反射領域231bの面積を十分に確保できない場合であっても、高光度領域Phの光度要件を満足させることができる。したがって、車両中央側から車両側方側に向かう後方への傾斜が急峻であったり、灯具サイズが制限されたりした場合であっても、高光度領域Phの光度要件を満足させることができる。
【0034】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態では、バルブ22(32)が2つのフィラメント221,222(321,322)を有するものとしたが、すれ違いビームLBを形成するための1つのフィラメントだけを有するものとしてもよい。
【0036】
また、内側反射領域231d(331d)を構成する、第一内側反射領域231x(331x)と、第二内側反射領域231y(331y)と、第三内側反射領域231z(331z)とが、それぞれ配光領域Pdを形成することとしたが、これらの反射領域は、左側ヘッドランプ20のものと右側ヘッドランプ30のものとでそれぞれ組になってすれ違いビームLB内の対応する領域(同一の領域)へ向けて光を反射させるように構成されていれば、第一内側反射領域231x(331x)と、第二内側反射領域231y(331y)と、第三内側反射領域231z(331z)とで、互いに異なる領域へ光を反射させることとしてもよい。
【0037】
また、内側反射領域231d(331d)が、第一内側反射領域231x(331x)と、第二内側反射領域231y(331y)と、第三内側反射領域231z(331z)とに3分割されることとしたが、この分割数は特に限定されるものではなく、分割されていなくともよい。
【符号の説明】
【0038】
1 車両用前照灯ユニット
20 左側ヘッドランプ(左側前照灯)
22 バルブ
221 フィラメント
222 フィラメント
23 リフレクタ
231 反射面
231a 中央反射領域
231b 左側反射領域
231c 右側反射領域
231d 内側反射領域
231x 第一内側反射領域
231y 第二内側反射領域
231z 第三内側反射領域
231e 下部反射領域
30 右側ヘッドランプ(右側前照灯)
32 バルブ
321 フィラメント
322 フィラメント
33 リフレクタ
331 反射面
331a 中央反射領域
331b 左側反射領域
331c 右側反射領域
331d 内側反射領域
331x 第一内側反射領域
331y 第二内側反射領域
331z 第三内側反射領域
331e 下部反射領域
LB すれ違いビーム
Pa 配光領域
Pb 配光領域
Pc 配光領域
Pd 配光領域
Ph 高光度領域
CL カットオフライン
H 水平線
V 鉛直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部の左右両側に搭載され、車両中央側から車両側方側に向かって後方へ傾斜した左側前照灯及び右側前照灯を備え、車両前方にすれ違いビームを形成する車両用前照灯ユニットにおいて、
前記左側前照灯及び前記右側前照灯は、
バルブと、
前方へ開口する形状に形成されるとともに、その焦点近傍に前記バルブが位置するように配置され、前記バルブから出射された光を前方へ反射させる反射面と、
をそれぞれ備え、
前記反射面は、前記左側前照灯のものと前記右側前照灯のものとで前記すれ違いビーム内の対応する領域へ向けて光を反射させる複数の反射領域を有し、
前記複数の反射領域は、
前記バルブに近接した位置に形成された中央反射領域と、
前記中央反射領域の左側に形成された左側反射領域と、
前記中央反射領域の右側に形成された右側反射領域と、
前記左側反射領域又は前記右側反射領域に連なるとともに前記反射面のうち最も車両中央側に形成された内側反射領域と、
を含み、
前記左側反射領域と前記右側反射領域とが、左右方向に沿った幅又は表面積を互いに等しくしていることを特徴とする車両用前照灯ユニット。
【請求項2】
前記反射面は、その焦点が当該反射面の左右方向の中央よりも車両側方側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯ユニット。
【請求項3】
前記すれ違いビームは、上端のカットオフラインが水平であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用前照灯ユニット。
【請求項4】
前記内側反射領域は、前記すれ違いビームのうち、左右方向の中央付近の高光度領域を含む領域へ向けて光を反射させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用前照灯ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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