説明

車両用収容物保持装置

【課題】 従来に比べてホルダによる収容物支持力を増加させることができる車両用収容物保持装置の提供。
【解決手段】収容部21を備える本体20と、本体20に回動可能に取付けられ収容部21に収容される収容物Cの側面を支持するホルダ30と、ホルダ30を本体20に対してホルダ30が収容部21内に突出する量が大となる方向に回動付勢する付勢部材40と、を有し、収容部21に収容物Cを収容していないとき、ホルダ30の、収容部21に突出している部分の収容部開口21b側の面が、該開口21b側に凸となる湾曲面32となっている、車両用収容物保持装置。湾曲面32は、収容部21に収容される収容物Cの径が大きくなるに従ってホルダ30による収容物C支持位置が収容部開口21b側に近づくような面となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カップホルダ等の車両用収容物保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−237451号公報は、収容部に収容される飲料物容器の側面を支持するホルダを備える車両用カップホルダ装置を開示している。収容部に容器を収容していないときにホルダの収容部に突出している部分の上面は、平面となっている。
【0003】
しかし、従来の装置にはつぎの問題点がある。以下、問題点を図4を参照して説明する。
ホルダ3の上面3aが平面となっているため、ホルダ3の本体2に対する回動量が大になるに従い(容器Cの径が大きくなる(サイズが大になる)に従い)、ホルダ3によって容器Cを支持する高さが低くなり、ホルダ3による支持力が低下する。
【特許文献1】特開2003−237451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来に比べてホルダによる収容物支持力を増加させることができる車両用収容物保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 収容部を備える本体と、
前記本体に回動可能に取付けられ前記収容部に収容される収容物の側面を支持するホルダと、
前記ホルダを前記本体に対して前記ホルダが前記収容部内に突出する量が大となる方向に回動付勢する付勢部材と、
を有し、
前記収容部に収容物を収容していないとき、前記ホルダの、前記収容部に突出している部分の収容部開口側の面が、該開口側に凸となる湾曲面となっている、車両用収容物保持装置。
(2) 前記湾曲面は、前記収容部に収容される収容物の径が大きくなるに従って前記ホルダによる収容物支持位置が収容部開口側に近づくような面となっている、(1)記載の車両用収容物保持装置。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)または(2)の車両用収容物保持装置によれば、収容部に収容物を収容していないとき、ホルダの、収容部に突出している部分の収容部開口側の面が、該開口側に凸となる湾曲面となっているため、ホルダが収容物によって押されて回動したとき、ホルダの収容部開口側面が平面となっている場合(従来)に比べて、収容部開口側で収容物を支持できる。そのため、従来に比べてホルダによる収容物支持力を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、図1〜図3を参照して、本発明実施例の車両用収容物支持装置を説明する。
本発明実施例の車両用収容物支持装置は、たとえば、車両用カップホルダ装置、車両用傘ホルダ装置、車両用携帯電話保持装置、車両用小物入れ装置などである。以下、本発明実施例及び図示例では、本発明実施例の車両用収容物支持装置が車両用カップホルダである場合を説明する。
本発明実施例の車両用収容物支持装置10は、図1に示すように、本体20と、ホルダ30と、付勢部材40と、を有する。
【0008】
本体20は、たとえば樹脂製である。本体20は、車両の内装部材に取付けられる。本体20は、車両の内装部材に一体に形成されていてもよく、車両の内装部材と別体に形成されて車両の内装部材に固定して取付けられていてもよい。本体20は、ベース20aと、ケース23を備える。
【0009】
ベース20aは、収容部21を備える。収容部21の側壁21aには、上下方向(収容物出し入れ方向)に延びる穴22が設けられている。穴22は、側壁21aに1個のみ設けられていてもよく、支持力を高めるために周方向に複数設けられていてもよい(図示例では、1個のみ設けられる場合を示している)。穴22の上端は、本体20(ベース20a)の上端部またはその近傍にある。穴22の下端は、本体20(ベース20a)の下端部またはその近傍にある。
【0010】
ケース23は、ベース20aと別体に形成されてベース20aに固定して取付けられる(組付けられる)。ケース23は、側壁21aに固定して配置される。ケース23は、穴22と同数設けられる。ケース23は、側壁21aの裏側から穴22を塞ぐようにして配置される。ケース23は、ホルダ30、スプリング40が全て組付けられた状態で、一つのユニット(収容物(飲料物容器)Cのホールド装置)として、穴22を塞ぐようにしてベース20aに組付けられる。そのため、ベース20aにユニットを組付けるための形状があれば、ユニットを追加するだけでホールド機能を持たせることができる。
【0011】
ホルダ30は、たとえば樹脂製である。ホルダ30は、穴22と同数設けられる。ホルダ30は、収容部21に収容される収容物Cの側面を側方から支持する。ホルダ30は、ケース23に回動(揺動)可能に取付けられる。ホルダ30は、後述のストッパ33が効く位置から、ケース23内に完全に収容される位置までの範囲で回動可能である。ホルダ30のケース23への取付けは、ホルダ30とケース23の一方に軸部(ピン)31を設け、ホルダ30とケース23の他方に軸部31を回動可能に支持する軸受け(穴)24を設けることで行われる。
【0012】
ホルダ30は、図3に示すように、ホルダ30の上端部(収容部21の開口21b側の端部)またはその近傍でケース23の上端部またはその近傍に取付けられている。ホルダ30が、ホルダ30の上端部でケース23に取付けられているため、ホルダの上下方向中間部でケースに取付けられる場合に比べて、ホルダ30の収容部21内への突出量を大にすることができ種々の径の収容物Cに対応できる。また、ホルダ30がケース23の上端部またはその近傍に取付けられているため、ホルダがケースの下端部またはその近傍に取付けられる場合に比べて、上方位置で収容物Cの側面を支持できる。
【0013】
ホルダ30は、収容部21に収容物Cを収容していないとき、ホルダ30の、収容部21に突出している部分の開口21b側の面(収容物Cを支持する面、収容物Cに対向する面)が、開口21b側に(上方に、収容物C側に)凸となる湾曲面32となっている。湾曲面32は、収容部21に収容物Cを収容していないときに、最も収容部21の内側に位置する部位32aと、該部位32aより上方で収容部21からケース23内に入り込む部位32bとの間の面である。湾曲面32の一部は平面となっていてもよいが、湾曲面32に急激な角度変化ができ湾曲面32が収容物Cの側面の凹凸形状等に引っ掛かることを防止するために、湾曲面32は滑らかな曲面のみで構成されていることが望ましい。湾曲面32は、収容部21に収容物Cを収容していないとき、上方にいくにつれて曲率が大(曲率半径が小)となる面であり、収容部21に収容される収容物Cの径が大きくなるに従ってホルダ30による収容物C支持位置が開口21b側に近づくような面となっている。湾曲面32は、収容部21に収容物Cを収容していないとき、上方にいくにつれて収容部21の中心からの距離が大となる面である。湾曲面32は、収容部21に収容物Cを収容していないとき、上端が本体20の上端部またはその近傍にあり、下端が本体20の上下方向中間部にある。
【0014】
ホルダ30の下端部には、ケース23に当たってホルダ30の収容部21内への突出量を定める(それ以上収容部21内に突出することを防止するための)ストッパ33が設けられている。
【0015】
付勢部材40は、例えばトーションスプリングからなる。ただし、コイルスプリング等からなっていてもよい。付勢部材40の一端は、ケース23に当てられており、付勢部材40の他端は、ホルダ30に当てられている。付勢部材40は、ホルダ30をケース23に対してホルダ30が収容部21内に突出する量が大となる方向(上方)に回動付勢する。
【0016】
つぎに、本発明実施例の作用を説明する。
径の比較的小さい収容物Cを収容部21に収容した場合のホルダ30による支持高さをH1とし、径の比較的大きい収容物Cを収容部21に収容した場合のホルダ30による支持高さをH2とすると、収容物Cの外径によりホルダ30の支持ポイントが変化し、収容物Cの外径が大きくなるに従い、ホルダ30の湾曲面32形状により(図3に示す断面形状により)、支持高さが高くなり(H1<H2)、従来に比べて収容物保持性を向上できる。
【0017】
本発明実施例では、収容部21に収容物Cを収容していないとき、ホルダ30の、収容部21に突出している部分の収容部開口側の面が、該開口21b側に凸となる湾曲面32となっているため、ホルダ30が収容物Cによって押されて回動したとき、ホルダの収容部開口側面が平面となっている場合(従来)に比べて、開口21b側(上方)で収容物Cを支持できる。そのため、従来に比べてホルダ30による収容物C支持力を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明実施例の車両用収容物支持装置の分解斜視図である。
【図2】本発明実施例の車両用収容物支持装置の斜視図である。
【図3】本発明実施例の車両用収容物支持装置の断面図である。
【図4】従来の車両用収容物支持装置の断面図である。
【符号の説明】
【0019】
10 車両用収容物支持装置
20 本体
20a ベース
21 収容部
21a 側壁
21b 開口
22 穴
23 ケース
24 軸受け
30 ホルダ
31 軸部
32 湾曲面
33 ストッパ
40 付勢部材
C 収容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を備える本体と、
前記本体に回動可能に取付けられ前記収容部に収容される収容物の側面を支持するホルダと、
前記ホルダを前記本体に対して前記ホルダが前記収容部内に突出する量が大となる方向に回動付勢する付勢部材と、
を有し、
前記収容部に収容物を収容していないとき、前記ホルダの、前記収容部に突出している部分の収容部開口側の面が、該開口側に凸となる湾曲面となっている、車両用収容物保持装置。
【請求項2】
前記湾曲面は、前記収容部に収容される収容物の径が大きくなるに従って前記ホルダによる収容物支持位置が収容部開口側に近づくような面となっている、請求項1記載の車両用収容物保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−195127(P2008−195127A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30249(P2007−30249)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(597035023)明和工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】