説明

車両用収納物保持装置

【課題】 収納物が収納部内で傾くことを防止でき、確実に収納物をサポートできる車両用収納物保持装置の提供。
【解決手段】 (1)(a)収納部21を備える本体20と、(b)本体20に回動可能に取付けられ収納部21に収納される収納物Cの側面を支持する第1のサポート31と、第1のサポート31に回動可能に取付けられ収納部21に収納される収納物Cの側面を第1のサポート31とは上下方向の異なる位置で支持する第2のサポート32と、を備えるサポートアッセンブリ30と、を有する。(2)サポートアッセンブリ30を本体20に対して回動付勢する第1のスプリング40と、第1のサポート31と第2のサポート32を、第1のサポート31の収納部21に面する面31eと第2のサポート32の収納部21に面する面32cとのなす角Aを小にする方向に回動付勢する第2のスプリング50と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップホルダ等の車両用収納物保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用収納物保持装置が車両用カップホルダ装置である場合、代表的なものとして、以下の装置がある。
(i)収納物を保持するために設けられた1部材からなるサポートが、カップホルダ本体の側壁面に収納される収納位置から収納部内に張出す張出位置側に回動付勢された装置(たとえば、特許文献1)。
(ii)カップの自重で押し込むことによりサポートが突出する装置(たとえば、特許文献2)。
【0003】
しかし、上記(i)、(ii)の車両用収納物保持装置にはつぎの問題点がある。
上記(i)の装置
サポートは収納部のできるだけ上部で支持するように設計される。そのため、車両の軽い横揺れであれば問題ないが、強い横揺れが発生するとカップ下部が支持されていないため、図12に示すように、カップCが傾きカップCの中身がこぼれてしまうおそれがある。
上記(ii)の装置
カップの中身が空または少ないと、サポートが作動せず、カップを支持できないおそれがある。
【特許文献1】特開2002−104050号公報
【特許文献2】特開平10−86734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする第1の問題点は、車両の横揺れ時にカップが傾くことである。
本発明が解決しようとする第2の問題点は、カップの中身の量によってはカップを支持できないおそれがあることである。
本発明の第1の目的は、収納物が収納部内で傾くことを防止できる車両用収納物保持装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、収納物の重さに関係なく収納物を支持できる車両用収納物保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) (a)収納部を備える本体と、
(b)前記本体に回動可能に取付けられ前記収納部に収納される収納物の側面を支持する第1のサポートと、該第1のサポートに回動可能に取付けられ前記収納部に収納される収納物の側面を前記第1のサポートとは上下方向の異なる位置で支持する第2のサポートと、を備えるサポートアッセンブリと、
を有する車両用収納物保持装置。
(2) 前記サポートアッセンブリを前記本体に対して回動付勢する第1のスプリングと、
前記第1のサポートと前記第2のサポートを、前記第1のサポートの前記収納部に面する面と前記第2のサポートの前記収納部に面する面とのなす角を小にする方向に回動付勢する第2のスプリングと、
を有する(1)記載の車両用収納物保持装置。
(3) 前記第1のサポートと前記第2のサポートのうち、前記収納部に収納される収納物の側面を支持する位置が上側にあるサポートに、前記本体に引っ掛かり可能な爪部が設けられている、(1)記載の車両用収納物保持装置。
(4) 前記本体に上下方向と直交する方向に長手軸が延びる長穴が設けられ、前記第1のサポートに前記長穴に摺動可能に挿入されるピンが設けられ、該ピンが前記長穴内を該長穴の長手軸方向に移動することで前記サポートアッセンブリは前記本体に対し前記収納部の中心に接近する前進位置と該前進位置よりも前記収納部の中心から離れた後退位置とに可動とされており、
前記爪部は、前記サポートアッセンブリが前記後退位置に位置するときに前記本体に引っ掛かり可能とされており、前記サポートアッセンブリが前記前進位置に位置するとき前記本体に引っ掛かり不能とされている、(3)記載の車両用収納物保持装置。
(5) 前記サポートアッセンブリに、前記収納部に収納された収納物を該収納部から取出すときに前記本体と接触して前記サポートアッセンブリを前記後退位置から前記前進位置に移動させる第1のカム部が設けられている、(4)記載の車両用収納物保持装置。
(6) 前記サポートアッセンブリに、前記収納部に収納物を収納するときに前記本体と接触して前記サポートアッセンブリを前記後退位置から前記前進位置に移動させる第2のカム部が設けられている、(4)記載の車両用収納物保持装置。
(7) 前記第1のサポートの回動軸芯と前記第2のサポートの回動軸芯とは軸芯と直交方向に位置ずれしている(1)記載の車両用収納物保持装置。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)の車両用収納物保持装置では、収納物の側面を支持する第1のサポートと、収納物の側面を第1のサポートとは上下方向の異なる位置で支持する第2のサポートを有するので、従来に比べて、車両が横揺れしても収納物が収納部内で傾くことを防止できる。
また、第1、第2のサポートが収納物の側面を支持するため、収納物の重さに無関係に収納物を支持できる。
上記(2)の車両用収納物保持装置では、第2のスプリングを有するので、第1のサポートと第2のサポートの一方が収納物によって押されて回動したときに、第1のサポートと第2のサポートの他方を、第1のサポートと第2のサポートの一方とともに本体に対して回動させることができる。
上記(3)の車両用収納物保持装置では、収納物が重量物であり車両が強く横揺れしたときでも、爪部が設けられているサポートは爪部が本体に引っ掛かるまでしか収納物によって押し込まれない。そのため、爪部が設けられていない場合に比べて、収納物が傾くことを防止できる。
上記(4)の車両用収納物保持装置では、サポートアッセンブリが後退位置に位置するとき爪部は本体に引っ掛かり可能とされサポートアッセンブリが前進位置に位置するとき爪部は本体に引っ掛かり不能とされているので、収納物が収納部に収納されていないときにサポートアッセンブリを前進位置に位置させることにより、収納物が収納部に収納されていないときに爪部が設けられているサポートが収納部内に突出することを防止できる。その結果、収納物を爪部が設けられているサポートに当ることなく円滑に収納部内に挿入することができる。
上記(5)の車両用収納物保持装置では、サポートアッセンブリに第1のカム部が設けられているので、収納物が収納部に収納されていないときにサポートアッセンブリを前進位置に位置させることができる。
上記(6)の車両用収納物保持装置では、サポートアッセンブリに第2のカム部が設けられているので、大径の収納物を収納部に収納するときに、第2のカム部が本体と接触してサポートアッセンブリを前進位置に移動させ、爪部が本体から外れて爪部が設けられたサポートが回動可能となり、爪部が本体に引っ掛かり爪部が設けられたサポートが収納部内に突出し続けることを防止できる。その結果、大径収納物を収納部に収納するときにサポートで収納物の側壁を凹ますことはない。
上記(7)の車両用収納物保持装置では、第1のサポートの回動軸芯と第2のサポートの回動軸芯とが位置ずれしているので、第1、第2のサポートは収納物を収納物の外形によって適宜選定された最適な位置で支持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明実施例の車両用収納物保持装置は、たとえば、車両用カップホルダ装置、車両用傘ホルダ装置、車両用携帯電話保持装置、車両用小物入れなどである(図示例では、本発明実施例の車両用収納物保持装置が車両用カップホルダ装置である場合を示している)。
本発明実施例の車両用収納物保持装置10は、図2に示すように、本体20と、サポートアッセンブリ30と、第1のスプリング40と、第2のスプリング50と、を有する。
【0008】
本体20は、たとえば樹脂製である。本体20は、車両の内装部材に取付けられる。本体20は、車両の内装部材に一体に形成されていてもよく、車両の内装部材と別体に形成されて車両の内装部材に固定して取付けられていてもよい。
本体20は、収納部21を備える。収納部21の側壁21aには、上下方向(収納物出入れ方向)に延びる穴22が設けられている。穴22は、側壁21aに複数設けられていてもよい(図示例では、1つの側壁21aに3個設けられている場合を示している)。穴22が複数設けられている場合、1つ1つの穴22は、収納部21の底面から同じ距離隔てた位置にある。
本体20は、ケース23を有する。ケース23は、側壁21aに配置される。ケース23は、穴22と同数設けられている。ケース23は、上下方向と直交またはほぼ直交する方向に長手軸が延びる長穴23aと、図6に示すように、サポートアッセンブリ30の爪部32bが引っ掛かり可能な引っ掛かり部23bを備える。
長穴23aは、図10に示すように、長さL1の平行部23cと、平行部23cの両端の半径rの半円部23dからなる。長穴23aには、サポートアッセンブリ30のピン31cが入り込む。
【0009】
サポートアッセンブリ30は、図2に示すように、本体20に回動可能に取付けられ収納部21に収納される収納物Cの側面を支持する第1のサポート31と、第1のサポート31に回動可能に取付けられ収納部21に収納される収納物Cの側面を第1のサポート31より上方位置で支持する第2のサポート32と、を備える。ただし、第2のサポート32は、収納部21に収納される収納物Cの側面を第1のサポート31より下方位置で支持してもよい。以下、本発明実施例では、第2のサポート32が収納部21に収納される収納物Cの側面を第1のサポート31より上方位置で支持する場合を例にとって説明する。
【0010】
第1のサポート31は、たとえば樹脂製である。第1のサポート31は、本体20の穴22と同数設けられている。第1のサポート31は、本体20に対し、上下方向に回動可能である。第1のサポート31は、本体20に対し、収納部21内に張出す張出し位置31a(図3に示す位置)と、張出し位置31aから押し下げられた押し下げ位置31b(図8に示す位置)とに回動可能である。第1のサポート31は、図3に示すように、張出し位置31aにあるとき、上下方向と直交またはほぼ直交する方向に延びている。第1のサポート31はピン31cを備える。
ピン31cは、第1のサポート31の一端部に設けられる。ピン31cは、長穴23a内で、回動可能であり長穴23aの長手軸方向に移動可能である。サポートアッセンブリ30は、本体20に対して、ピン31cが長穴23a内で収納部21の中心O側の端部に位置する前進位置30aと、ピン30cが長穴23a内で収納部21の中心Oと反対側の端部に位置する後退位置30bとに、移動可能である。
【0011】
第2のサポート32は、たとえば樹脂製である。第2のサポート32は、第1のサポート31と同数設けられている。第2のサポート32は、第1のサポート31に対し、上下方向に回動可能である。第2のサポート32は、図11に示すように、回動軸部32aと爪部32bを有する。
回動軸部32aは、第2のサポート32の一端部に設けられる。回動軸部32aは、図2に示すように、第1のサポート31に設けられる凹部31dに挿入される。凹部31dの断面形状は円形であり、回動軸部32aは凹部31d内で回動のみ可能である。第2のサポート32の回動軸芯P2と第1のサポート31の回動軸芯P1は、一致していてもよく、軸芯P1、P2と直交方向に位置ずれしていてもよい。
爪部32bは、図11に示すように、回動軸部32aが設けられている端部に設けられる。爪部32bは、第2のサポート32と一体に形成されていてもよく、第2のサポート32と別体に形成されて第2のサポート32に固定して取付けられていてもよい。爪部32bは、サポートアッセンブリ30が後退位置30bに位置するときに引っ掛かり部23bに引っ掛かり可能とされており、サポートアッセンブリ30が前進位置30aに位置するとき引っ掛かり部23bに引っ掛かり不能とされている。サポートアッセンブリ30が後退位置30bに位置するとき、爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かる引っ掛かり長さは、長穴23aの平行部23cの長さL1より小である。爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かることで、第2のサポート32がそれ以上収納部21から出る方向に回動すること(側壁21a内に入り込むこと)を防止できる。
【0012】
サポートアッセンブリ30は、図9に示すように、収納部21に収納された収納物Cを収納部21から取出すときに本体20と接触してサポートアッセンブリ30を後退位置30bから前進位置30aに移動させる第1のカム部33と、収納部21に大径の収納物C1を収納するときに本体20と接触してサポートアッセンブリ30を後退位置30bから前進位置30aに移動させる第2のカム部34と、を有する。
【0013】
第1のカム部33は、第1のサポート31に設けられる。第1のカム部33は、第1のサポート31に一体に形成されていてもよく、第1のサポート31と別体に形成されて第1のサポート31に固定して取付けられていてもよい。第1のカム部33は、ピン31cが設けられている端部に設けられる。第1のカム部33は、第1のサポート31が押し下げ位置31bから張出し位置31aに回動するときに、本体20に当りサポートアッセンブリ30を長穴23aに沿って後退位置30bから前進位置30aに移動させる。第1のカム部33はカム面33aを備える。カム面33aの軸芯P1からの距離L2は、カム面33aの先端Sに近づくにつれて徐々に増大している。軸芯P1とカム面33aの先端Sとの間の距離L3は、サポートアッセンブリ30が前進位置30aにあるとき、軸芯P1と側壁21aとの間の距離L4と、ほぼ等しい。
【0014】
第2のカム部34は、第1のサポート31に設けられる。第2のカム部34は、第1のサポート31に一体に形成されていてもよく、第1のサポート31と別体に形成されて第1のサポート31に固定して取付けられていてもよい。第2のカム部34は、第1のサポート31が張出し位置31aに位置するとき、第1のサポート31の下面に設けられる。第2のカム部34は、収納部21に収納される大径の収納物C1により第1のサポート31が所定角以上押し下げられるときに、図8に示すように、本体20に当りサポートアッセンブリ30を後退位置30bから前進位置30aに移動させる。図10に示すように、第2のカム部34の高さHは、長穴23aの平行部23cの長さL1に等しいか、L1より若干小である。
【0015】
第1のスプリング40は、図2に示すように、トーションスプリングからなる。第1のスプリング40の一端は本体20に当てられており、第1のスプリング40の他端は第1のサポート31または第2のサポート32に当てられている。第1のスプリング40の一端が本体20に当てられており、第1のスプリング40の他端が第2のサポート32に当てられているとき、第1のスプリング40のバネ力は第2のスプリング50のバネ力より小とされている。第1のスプリング40は、第1のサポート31が押し下げ位置31bから張出し位置31aに回動する方向に、サポートアッセンブリ30を本体20に対して回動付勢する。
【0016】
第2のスプリング50は、トーションスプリングからなる。第2のスプリング50の一端は第1のサポート31に当てられており、第2のスプリング50の他端は第2のサポート32に当てられている。第2のスプリング50は、第1のサポート31と第2のサポート32を、第1のサポート31の収納部21に面する面31eと第2のサポート32の収納部21に面する面32cとのなす角Aを小にする方向に回動付勢する。角Aは、第2のサポート32の一部と第1のサポート31の一部が当り合うことにより所定角度よりも小になることはない。ここで所定角度は、たとえば、90°またはほぼ90°(90°±20°以内)である。
【0017】
つぎに、本発明実施例の作動・作用を説明する。
(a)収納部21に収納物Cが収納されていないとき
サポートアッセンブリ30は、前進位置30aに位置する。第1のサポート31は、図3に示すように、張出し位置31aに位置する。第2のサポート32は、上方に立ち上がった姿勢をとっている。第2のサポート32は、収納部21の側壁21a内に収納されていることが望ましい。爪部32bは、引っ掛かり部23bに引っ掛かり不能である。第1のカム部33は、本体20に接触している。
【0018】
(b)収納部21に収納物Cが収納されるとき
収納部21に収納物Cを収納するとき、図4に示すように、張出し位置31aにある第1のサポート31が収納物Cによって押し下げられる。第2のサポート32は、第2のスプリング50の付勢力により角Aを一定に保ちながら第1のサポート31とともに本体20に対し回動する。
第2のサポート32が収納物Cの側面に当るまで収納部21に収納物Cを収納した後、さらに収納物Cを収納していくと、第1のサポート31が第2のサポート32に対し角Aを大にする方向に回動する。このとき、第1、第2のサポート31、32は、第2のスプリング50の付勢力で角Aを小にする方向に回動しようとするが、収納物Cにより妨げられる。そのため、図5に示すように、第2のスプリング50の反力で、ピン31cが、長穴23a内を、サポートアッセンブリ30が前進位置30aから後退位置30bに移動する方向に移動する。
【0019】
(c)収納部21に収納物Cを収納したとき
サポートアッセンブリ30は、図6に示すように、後退位置30bに位置する。第1のサポート31は、収納物Cの側面の下端部を支持する。第2のサポート32は、収納物Cの側面のうち第1のサポート31が支持する位置よりも上方位置を支持する。爪部32bは、本体20の引っ掛かり部23bに引っ掛かり可能である。爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かり可能であるので、車両が横揺れし収納物Cが収納部21内で倒れそうになっても、爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かるまでしか収納物Cは倒れることができない。第1のカム部33は、本体20から離れている。
【0020】
(d)収納部21から収納物Cを取り除くとき
図7に示すように、収納物Cが収納部21から抜けるにつれて第1のサポート31が張出し位置31aに向って回動する。第1のサポート31が張出し位置31aに向って回動するので、第1のカム部33が本体20に当りサポートアッセンブリ30が後退位置30bから前進位置30aに向って移動する。
サポートアッセンブリ30が前進位置30aに向って移動するので、爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かり不能になる。そのため、サポートアッセンブリ30は、収納部21に収納物Cを収納していない状態(上記(a)の状態)に戻ることができる。
【0021】
(e)収納部21の側壁21aで直接収納物Cの側面を支持できる程度の、大径の収納物C1を収納部21に収納するとき
収納部21に大径収納物C1を収納するとき、張出し位置31aにある第1のサポート31が大径収納物C1によって押し下げられる。第2のサポート32は、第2のスプリング50の付勢力により角Aを一定に保ちながら第1のサポート31とともに本体20に対し回動する。
第2のサポート32が大径収納物C1の側面に当るまで収納部21に大径収納物C1を収納した後、さらに大径収納物C1を収納していくと、第2のスプリング50の反力で、サポートアッセンブリ30が前進位置30aから後退位置30bに移動する。サポートアッセンブリ30が後退位置30bに移動するため、爪部32bは、本体20の引っ掛かり部23bに引っ掛かり可能になる。
さらに収納部21に大径収納物C1を収納していくと、図8に示すように、第1のサポート31が大径収納物C1によりさらに押し下げられ、第2のカム部50が本体20に当る。第2のカム部50が本体20に当るとサポートアッセンブリ30が後退位置30bから前進位置30aに向って移動する。
サポートアッセンブリ30が前進位置30aに向って移動するので、爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かり不能になる。したがって、大径収納物C1を収納するときには、爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かることなく大径収納物C1を収納部21に収納できる。
なお、大径収納物C1は大径であるため、大径収納物C1の側面は収納部21の側壁21aで隙間なくまたは無視できる程度の隙間をもって支持される。そのため、爪部32bの引っ掛かり部23bへの引っ掛かりを外しても収納部21内で大径収納物C1が倒れることはない。
【0022】
本発明実施例では、サポートアッセンブリ30が第1のサポート31と第2のサポート32を有するので、従来に比べて、車両が横揺れしても収納物Cが収納部21内で傾くことを防止できる。また、第1、第2のサポート31、32が収納物Cの側面を支持するため、収納物Cの重さに無関係に収納物を支持できる。
第2のスプリング50を有するので、第1のサポート31が収納物Cによって押されて回動したときに、第2のサポート32を、第1のサポート31とともに本体20に対して回動させることができる。
【0023】
爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かり可能であるので、車両が横揺れし収納物Cが収納部21内で倒れそうになっても、爪部32bが引っ掛かり部23bに引っ掛かるまでしか収納物Cは倒れることができない。そのため、爪部32bが設けられていない場合に比べて、収納物Cが傾くことを防止できる。
爪部32bは、サポートアッセンブリ30が後退位置30bに位置するとき本体20に引っ掛かり可能であり、サポートアッセンブリ30が前進位置30aに位置するとき本体20に引っ掛かり不能であるので、収納物Cが収納部21に収納されていないときにサポートアッセンブリ30を前進位置30aに位置させることにより、収納物Cが収納部21に収納されていないときに第2のサポート32が収納部21内に突出することを防止できる。そのため、収納物Cを収納部21に収納するときに第2のサポート32が邪魔になることを防止できる。
第1のカム部33が設けられているので、収納物Cが収納部21に収納されていないときにサポートアッセンブリ30を前進位置30aに位置させることができる。
第2のカム部34が設けられているので、大径収納物C1を収納部21に収納するときに、爪部32bが本体20に引っ掛かり第2のサポート32が収納部21内に突出し続けることを防止できる。そのため、大径収納物C1を収納部21に収納するときに第2のサポート32で大径収納物C1の側壁を凹ますことはない。
【0024】
第1のサポート31の回動軸芯P1が第2のサポート32の回動軸芯P2より上方に位置している場合、第1のサポート31の回動軸芯P1が第2のサポート32の回動軸芯P2と上下方向で同じ位置にある場合に比べて、第1のサポート31で収納物Cを支持する点を上方にもってくることができる。
【0025】
第1、第2のスプリング40、50を有するので、収納物Cを収納部21に収納していないとき第1のサポート31を張出し位置30aに位置させることができる。そのため、収納物Cを収納するとき、確実に収納物Cで第1のサポート31を押し下げることができる。
第1、第2のスプリング40、50が設けられているので、手でサポートを収納物側面まで引き出さなくても、収納部21に収納物Cを挿入するだけで第1、第2のサポート31、32で収納物Cを2点支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明実施例の車両用収納物保持装置の斜視図である。
【図2】本発明実施例の車両用収納物保持装置の分解斜視図である。図中車両用収納物保持装置Bは6個あり各Bが収納部の側壁の各穴に配置される。
【図3】本発明実施例の車両用収納物保持装置の、収納物を収納部に入れるときの断面図である。
【図4】図3の状態からさらに収納物を挿入したときの断面図である。
【図5】図4の状態からさらに収納物を挿入したときの断面図である。
【図6】図5の状態からさらに収納物を挿入し収納物を収納部に収納し終えた状態を示す断面図である。
【図7】図6の状態から収納物を取り出すときを示す断面図である。
【図8】本発明実施例の車両用収納物保持装置の、大径収納物を収納部に入れたときの断面図である。
【図9】本発明実施例の車両用収納物保持装置の、第1のサポートの拡大側面図である。
【図10】本発明実施例の車両用収納物保持装置の、第2のカム部が本体に当っているときの、第1のサポートの拡大側面図である。
【図11】本発明実施例の車両用収納物保持装置の、第2のサポートの拡大側面図である。
【図12】従来の車両用収納物保持装置の、横揺れに対する収納物の動きを示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 車両用収納物保持装置
20 本体
21 収納部
21a 収納部の側壁
22 側壁の穴
23 ケース
23a 長穴
23b 引っ掛かり部
30 サポートアッセンブリ
30a 前進位置
30b 後退位置
31 第1のサポート
31a 張出し位置
31b 押し下げ位置
31c ピン
31e 第1のサポートの収納部に接触する面
32 第2のサポート
32a 回動軸部
32b 爪部
32c 第2のサポートの収納部に接触する面
33 第1のカム部
34 第2のカム部
40 第1のスプリング
50 第2のスプリング
A 第1のサポートと第2のサポートとのなす角
C、C1 収納物
O 収納部の中心


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)収納部を備える本体と、
(b)前記本体に回動可能に取付けられ前記収納部に収納される収納物の側面を支持する第1のサポートと、該第1のサポートに回動可能に取付けられ前記収納部に収納される収納物の側面を前記第1のサポートとは上下方向の異なる位置で支持する第2のサポートと、を備えるサポートアッセンブリと、
を有する車両用収納物保持装置。
【請求項2】
前記サポートアッセンブリを前記本体に対して回動付勢する第1のスプリングと、
前記第1のサポートと前記第2のサポートを、前記第1のサポートの前記収納部に面する面と前記第2のサポートの前記収納部に面する面とのなす角を小にする方向に回動付勢する第2のスプリングと、
を有する請求項1記載の車両用収納物保持装置。
【請求項3】
前記第1のサポートと前記第2のサポートのうち、前記収納部に収納される収納物の側面を支持する位置が上側にあるサポートに、前記本体に引っ掛かり可能な爪部が設けられている、請求項1記載の車両用収納物保持装置。
【請求項4】
前記本体に上下方向と直交する方向に長手軸が延びる長穴が設けられ、前記第1のサポートに前記長穴に摺動可能に挿入されるピンが設けられ、該ピンが前記長穴内を該長穴の長手軸方向に移動することで前記サポートアッセンブリは前記本体に対し前記収納部の中心に接近する前進位置と該前進位置よりも前記収納部の中心から離れた後退位置とに可動とされており、
前記爪部は、前記サポートアッセンブリが前記後退位置に位置するときに前記本体に引っ掛かり可能とされており、前記サポートアッセンブリが前記前進位置に位置するとき前記本体に引っ掛かり不能とされている、請求項3記載の車両用収納物保持装置。
【請求項5】
前記サポートアッセンブリに、前記収納部に収納された収納物を該収納部から取出すときに前記本体と接触して前記サポートアッセンブリを前記後退位置から前記前進位置に移動させる第1のカム部が設けられている、請求項4記載の車両用収納物保持装置。
【請求項6】
前記サポートアッセンブリに、前記収納部に収納物を収納するときに前記本体と接触して前記サポートアッセンブリを前記後退位置から前記前進位置に移動させる第2のカム部が設けられている、請求項4記載の車両用収納物保持装置。
【請求項7】
前記第1のサポートの回動軸芯と前記第2のサポートの回動軸芯とは軸芯と直交方向に位置ずれしている請求項1記載の車両用収納物保持装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−21751(P2006−21751A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140885(P2005−140885)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】