説明

車両用引出装置

【課題】 引出部材の引出方向の長さ寸法よりも小さい引出ストロークで引出部材を使用可能な引出端位置に配置することができる車両用引出装置を提供する。
【解決手段】
収納ケース体10には、収納空間11の一側壁と反対側の壁を構成する可動カバー体30が引出部材41の出し入れ方向と逆方向に移動可能に装着される。引出部材41と可動カバー体30との間には、引出部材41が引き出されたときに可動カバー体30を引出部材41の引出方向とは逆方向に移動させて可動カバー体30の先端高さを低くし、引出部材41が押し込まれたときに可動カバー体30を引出部材41の押込方向とは逆方向に移動させて可動カバー体30を元の高さに戻す連動機構100が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用引出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用引出装置としては、例えば、引出式の車両用テーブル装置、引出式の車両用カップホルダ装置、カーナビゲーション用の引出式の車両用表示装置(液晶パネル)等が知られている。
このような車両用引出装置においては、収納ケース体の収納空間の出入口から引出部材(テーブル板、カップ保持体、液晶パネル等)が所定の引出端位置まで引き出されることで使用可能となり、また、引出部材を使用しないときには収納空間内に収納されるようになっているのが一般的である。
また、引出式の車両用テーブル装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【特許文献1】特開平10−264704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記したような車両用引出装置において、収納ケース体の収納空間の出入口から引出部材を引き出して使用可能な引出端位置に配置すためには、引出部材の引出方向の長さ寸法に相当する分だけ引出部材を引き出さなければならない。
【0004】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、引出部材の引出方向の長さ寸法よりも小さい引出ストロークで引出部材を使用可能な引出端位置に配置することができる車両用引出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、この発明の請求項1に係る車両用引出装置は、収納ケース体の収納空間に引出部材が出し入れ可能に装着された車両用引出装置であって、
前記収納ケース体には、前記収納空間の一側壁と反対側の壁を構成する可動カバー体が前記引出部材の出し入れ方向と逆方向に移動可能に装着され、
前記引出部材と前記可動カバー体との間には、前記引出部材が引き出されたときに前記可動カバー体を前記引出部材の引出方向とは逆方向に移動させて前記可動カバー体の先端高さを低くし、前記引出部材が押し込まれたときに前記可動カバー体を前記引出部材の押込方向とは逆方向に移動させて前記可動カバー体を元の高さに戻す連動機構が設けられていることを特徴とする。
【0006】
前記構成において、引出部材が引き出されると、可動カバー体が連動機構によって引出部材の引出方向とは逆方向に移動され、可動カバー体が移動した分だけ同可動カバー体の先端高さが低くなる。
また、引出部材が元の収納位置に押し込まれると、可動カバー体が連動機構によって引出部材の押込方向とは逆方向に移動され、これによって可動カバー体が元の位置に戻されるため、引出部材が収納空間内に収納される。
前記したように、可動カバー体が引出部材の引出方向とは逆方向に移動され、可動カバー体の先端高さが低くなるため、引出部材の引出方向の長さ寸法よりも小さい引出ストロークで引出部材を使用可能な引出端位置に配置することができるという効果がある。
例えば、引出部材の引出長さと同程度において可動カバー体を逆方向に移動させることで、引出部材の引出方向の長さ寸法の半分程度の引出ストロークで引出部材を使用可能な引出端位置に配置することができる。
【0007】
請求項2に係る車両用引出装置は、請求項1に記載の車両用引出装置であって、
連動機構は、収納ケース体の収納空間の一側壁と対向して設けられかつ可動カバー体を移動可能にする支持壁に回転可能に設けられと共に、軸上にピニオンを有するピニオン軸と、
前記引出部材側に設けられて前記ピニオンに噛み合わされる作動ラックと、
前記可動カバー体側に設けられて前記ピニオンに噛み合わされる従動ラックと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
前記構成において、引出部材が引き出されると、引出部材と同方向に作動ラックが移動され、作動ラックに噛み合って所定方向に回転するピニオンによって従動ラックと共に可動カバー体が引出方向と逆方向に移動され、可動カバー体が移動した分だけ可動カバー体の先端高さが低くなる。
作動ラックと従動ラックとが共通のピニオンに噛み合っている場合、引出部材の引出長さと同じ距離だけ可動カバー体を逆方向に移動させることができるため、引出部材の引出方向の長さ寸法の半分の引出ストロークで引出部材を使用可能な引出端位置に配置することができる。
【0009】
請求項3に係る車両用引出装置は、請求項2に記載の車両用引出装置であって、
ピニオン軸の軸上には第1のピニオンと第2のピニオンとがそれぞれ設けられ、
作動ラックは前記第1のピニオンに噛み合わされる一方、従動ラックは前記第2のピニオンに噛み合わされていることを特徴とする。
【0010】
前記構成において、引出部材が引き出されると、引出部材と同方向に作動ラックが移動され、作動ラックに噛み合って第1のピニオンと共にピニオン軸が所定方向に回転する。すると、ピニオン軸の第2のピニオンに噛み合う従動ラックと共に可動カバー体が引出方向と逆方向に移動され、可動カバー体が移動した分だけ可動カバー体の先端高さが低くなる。
特に、第1のピニオンと第2のピニオンとの歯車比を適宜に設定することによって、引出部材の引出長さよりも大きく可動カバー体を逆方向に移動させることができる。例えば、第1のピニオンと第2のピニオンとの歯車比を1対2とした場合には、引出部材の引出長さよりも2倍大きく可動カバー体を逆方向に移動させることができる。
【0011】
請求項4に係る車両用引出装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用引出装置であって、
収納ケース体には引出部材を収納位置に係脱可能に保持する係止部材が設けられ、
前記収納ケース体の収納空間の一側壁と対向する支持壁には前記引出部材を所定位置まで押し出す押出機構が設けられ、
前記押出機構は、前記引出部材に接離可能に係合する押出体と、この押出体を押出方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記係止部材による前記引出部材の係合が外されたときには前記付勢手段の付勢力によって前記押出体と共に前記引出部材が所定の引出位置まで押し出される構成にしてあることを特徴とする。
【0012】
前記構成において、引出部材を引き出す場合、係止部材によって引出部材との係合を外すと、付勢手段の付勢力によって押出体と共に引出部材が所定の引出位置まで押し出される。
例えば、付勢手段の付勢力によって押出体と共に引出部材を収納位置と引出端位置との中間引出位置まで押し出すことができる。
この場合には、中間引出位置まで押し出された引出部材は、その後、使用可能な引出端位置まで容易に引き出して使用することができる。
また、付勢手段の付勢力によって押出体と共に引出部材を使用可能な引出端位置まで押し出すことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、この発明を実施するための最良の形態を実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0014】
図1はこの発明の実施例1の車両用引出装置としての車両用テーブル装置のテーブル板が収納された状態を示す斜視図である。図2は車両用テーブル装置の平断面図である。図3は図2のIII−III線に基づく車両用テーブル装置の側断面図である。図4は図2のIV−IV線に基づく車両用テーブル装置の側断面図である。図5は図2のV−V線に基づく車両用テーブル装置の側断面図である。図6は可動カバー体の連動機構を分解して示す斜視図である。図7はテーブル板が中間引出位置まで押し出された状態を示す斜視図である。図8はテーブル板が中間引出位置まで押し出された状態を示す側断面図である。図9はテーブル板が引出端位置まで引き出された状態を示す斜視図である。図10はテーブル板が引出端位置まで引き出された状態を示す側断面図である。図11はテーブル板が使用状態に配置された状態を示す斜視図である。図12はテーブル板が使用状態に配置された状態を示す側断面図である。
【0015】
図1〜図3に示すように、車両用引出装置としての車両用テーブル装置の本体部を構成する収納ケース体10は、例えば、車室内のフロア上面に設置され、引出部材としてのテーブル板41を出入可能に収納するための収納空間11が上方に開口して形成されている。この実施例において、収納ケース体10は、ケース本体12と支持壁20とを主体として構成され、収納空間11の一側壁をなすケース本体12の壁部13と対向する反対側に支持壁20が固定状態で設けられている。
また、図3に示すように、収納空間11の一側壁をなす壁部13の上端部の高さH1に対し、支持壁20の上端の高さH2は、約半分〜3分の1程度低く設定されている。そして、支持壁20の外側部には、収納空間11の一側壁をなす壁部13と反対側の壁を支持壁20と協働して構成する可動カバー体30がテーブル板41の出し入れ方向と逆方向に移動可能に装着されている。すなわち、可動カバー体30は、支持壁20の高さH2を補いかつ支持壁20の外側を覆うようにして設けられている。
【0016】
この実施例において、図2に示すように、支持壁20の両端部には、可動カバー体30に対応するカバー案内溝21が形成され、可動カバー体30の幅方向両端部には、カバー案内溝21に沿ってスライド可能に挿入されるたスライド体31が配設されている。
そして、カバー案内溝21とスライド体31によって、支持壁20に対し可動カバー体30が移動可能に装着されるようになっている。なお、支持壁20の外側方下部には、可動カバー体30の移動を許容する空間部を隔てて下カバー体35が必要に応じて固定されている。
【0017】
図2、図3及び図12に示すように、引出部材としてのテーブル板41は、可動支持脚50、テーブルベース43及びテーブルステー60を備えたテーブル支持機構42によって支持されかつ案内レール71と摺動体72とを備えた案内機構70によって収納空間11に出入可能に収納されている。
すなわち、この実施例において、案内機構70の案内レール71は、収納空間11の一側壁をなすケース本体12の壁部13の幅方向中央部に上下方向に延びて設けられる一方、案内レール71に沿って移動可能に組み付けられる摺動体72は可動支持脚50の下部に固定されている。
そして、可動支持脚50は、ケース本体12の壁部13に案内レール71と摺動体72によって移動可能に支持されている。この可動支持脚50の上端部には、連結軸51によってテーブルベース43がその一端部において回動可能に連結されている。
【0018】
図12に示すように、テーブルベース43の一側面(使用状態では上面)にはテーブル板41が取り付けられている。そして、テーブル板41は、そのテーブルベース43と共に、可動支持脚50の上端から同一線上に延びる状態から略水平状をなす使用位置まで連結軸51を支点として回動されるようになっている。
また、可動支持脚50とテーブルベース43との間には、一端部がテーブルベース43にピン61によって連結され、他端部がピン62と長孔63によって可動支持脚50に連結されたテーブルステー60が装着されている。そして、テーブル板41が略水平状をなす使用位置に配置されたときには、可動支持脚50とテーブルベース43との間でテーブルステー60が斜めの状態をなしてテーブル板41を略水平状をなす使用位置に支持するようになっている。
【0019】
また、この実施例において、図3に示すように、収納ケース体10のケース本体12の上端部に装着された物品組付体15には、テーブル板41を収納位置に係脱可能に保持するための係止部材25が進退可能に配置されている。
この実施例において、係止部材25は、テーブル板41のテーブルベース43の所定位置に設けられた係合部48に係脱可能に係合する係止部26と、この係止部26がテーブルベース43の係合部48から外れる後退方向に手動操作するための操作部27とを備えている。そして、係止部材25は、常にはばね28によって係止部26がテーブルベース43の係合部48に係合する前進方向に付勢されている。
なお、係止部材25の係止部26の先端部上面とテーブルベース43の係止部48の下面には、相互に接触して係止部材25をばね28の付勢力に抗して後退させる傾斜状の案内面26a、48aがそれぞれ形成されている。
【0020】
図3に示すように、収納ケース体10の支持壁20には、テーブル板41を可動支持脚50と共に所定の引出位置まで押し出す押出機構80が設けられている。
押出機構80は、可動支持脚50の下端部52を接離可能に受ける受け部82を下端部に有する四角板状の押出体81と、この押出体81を押出方向に付勢する付勢手段とを備えている。
【0021】
図2に示すように、支持壁20の両端部には、押出体81に対応する押出体案内溝22が形成され、押出体81の幅方向両端部には、押出体案内溝22に沿ってスライド可能に挿入されるスライド体83が配設されている。
そして、押出体案内溝22とスライド体83によって、支持壁20に対し押出体81が移動可能に装着されるようになっている。
また、付勢手段としては、回転トルクが一定のコンストンスプリング86が用いられている。すなわち、図3に示すように、支持壁20の上部に固定されたスプリングケース87内は帯板状のコンストンスプリング86が引出可能に巻回され、そのコンストンスプリング86の先端部に押出体81が連結されている。
そして、係止部材25がその操作部27によってばね28の付勢力に抗して後退され、係止部材25の係止部26がテーブルベース43の係合部48から外されることで、押出体81がコンストンスプリング86の付勢力によって上昇され、これによって、図7と図8に示すように、可動支持脚50と共にテーブル板41が収納位置と引出端位置との中間に位置する中間引出位置まで押し出されるようになっている。
【0022】
また、この実施例において、図3に示すように、テーブル板41、テーブルベース43及び可動支持脚50は、これらの荷重に対応する付勢力を持ち、かつ回転トルクが一定のコンストンスプリングによって構成されたテーブルバランス支持機構90によって支持されている。すなわち、この実施例において、テーブルバランス支持機構90はコンストンスプリングによって構成されている。このコンストンスプリングのスプリングケース91はケース本体12の下部内面に固定され、そのスプリングケース91から引出可能に巻回された連結ワイヤ93がケース本体12の壁部13の上部に配設されたローラ94に掛け渡され、その連結ワイヤ93の先端部が可動支持脚50の下部に連結されている。
そして、スプリングケース91内に巻回されて収納されたコンストンスプリング(図示しない)によって連結ワイヤ93が巻き取り方向に付勢されることで、テーブル板41、テーブルベース43及び可動支持脚50の荷重がバランスされて支えられるようになっている。
【0023】
図2〜図6に示すように、テーブル板41と可動カバー体30との間には、テーブル板41が引き出されたときに可動カバー体30をテーブル板41の引出方向とは逆方向に移動させて可動カバー体30の先端高さを低くし、テーブル板41が元の収納位置に押し込まれたときに可動カバー体30をテーブル板41の押込方向とは逆方向に移動させて可動カバー体30を元の高さに戻す連動機構100が設けられている。
この実施例において、連動機構100は、押出体81と、可動カバー体30との間に配設された作動ラック101、ピニオン軸103、第1のピニオン104、第2のピニオン105及び従動ラック106を備えて構成されている。
【0024】
すなわち、図2と図6に示すように、支持壁20の中間高さ位置には、水平方向のピニオン軸103が軸受け102によって回転可能に取り付けられており、このピニオン軸103の中央部には、第1のピニオン104がトルク伝達可能に設けられ、同ピニオン軸103の両端部には第2のピニオン105がトルク伝達可能に設けられている。そして、図4と図6に示すように、押出体81の一側面の上下方向には、第1のピニオン104に噛み合う作動ラック101が設けられる一方、可動カバー体30の内面の幅方向両側部には、第2のピニオン105に噛み合う従動ラック106が設けられている。
また、この実施例において、テーブル板41の引出量、すなわち、押出体81の押出量に対する可動カバー体30の逆方向の移動量が例えば2倍となるように、第1のピニオン104と第2のピニオン105との歯車比が1:2に設定されている。
【0025】
この実施例に係る車両用引出装置としての車両用テーブル装置は、上述したように構成される。
したがって、引出部材としてのテーブル板41を引き出す場合、係止部材25がその操作部27によってばね28の付勢力に抗して後退され、係止部材25の係止部26がテーブルベース43の係合部から外される。
すると、押出体81がコンストンスプリング86の付勢力によって上昇され、この押出体81の受け部82によって可動支持脚50の下端部が押し上げられる。これによって、図7と図8に示すように、可動支持脚50と共にテーブル板41が所定位置、すなわち中間引出位置まで押し出される。
【0026】
一方、押出体81と一体状をなして上昇する作動ラック101の上昇動作によって、作動ラック101に噛み合う第1のピニオン104と共にピニオン軸103が回転し、このピニオン軸103と一体に第2のピニオン105が回転する。すると、第2のピニオン105に噛み合う従動ラック106と一体状をなして可動カバー体30がテーブル板41の引出方向と逆方向の下方に移動される。そして、可動カバー体30が下方に移動した分だけ可動カバー体30の先端高さが低くなる。
【0027】
前記の状態において、図9と図10に示すように、テーブル板41がその一端縁に形成された取手部41において引出端位置まで引き出される。すると、図しないロック機構によってテーブル支持脚50が引出端位置に係脱可能にロックされる。
ここで、図11と図12に示すように、可動支持脚50に対しテーブルベース43と共にテーブル板41が連結軸51を支点として回動されテーブル板41が略水平状をなす使用位置に配置される。この際、可動支持脚50とテーブルベース43との間でテーブルステー60が斜めの状態をなし、これによってテーブル板41が略水平状をなす使用位置に配置保持される。
そして、使用位置に配置されたテーブル板41の上面には所望とする物品(例えば、カップ、食器等の容器や筆記具等)が安定良く載置される。
【0028】
前記とは逆の手順でテーブル板41が操作され、収納空間11に押し込まれて収納位置に配置されることで、係止部材25の係止部26がテーブルベース43の係合部48に係合し、これによってテーブル板41、テーブルベース43及び可動支持脚50が元の収納位置に配置保持される。
【0029】
テーブル板41が中間引出位置から元の収納位置まで押し込まれる際、可動支持脚50の下端部52に押出体81の受け部82に当接して押出体81がコンストンスプリング86の付勢力に抗して元の位置まで押し下げられる。そして、押出体81と一体状に下降する作動ラック101の下降動作によって、第1のピニオン104、ピニオン軸103、第2のピニオン105及び従動ラック106を介して可動カバー体30がテーブル板41の押込方向とは逆方向の上方に移動され、可動カバー体30が元の高さに戻される。このため、テーブル板41、テーブルベース43及び可動支持脚50が収納空間11内に収納される。
【0030】
前記したように、可動カバー体30が連動機構100によって引出部材としてのテーブル板41の引出方向とは逆方向に移動され、可動カバー体30の先端高さが低くなるため、テーブル板41の引出方向の長さ寸法よりも小さい引出ストロークでテーブル板41を使用可能な引出端位置に配置することができる。
すなわち、テーブル板41の下端縁が収納空間11の出入口の一側高さを越える引出端位置まで引き出すための引出ストロークを小さくすることができ、使い勝手に優れる効果がある。
【0031】
また、この実施例において、連動機構100を、作動ラック101、ピニオン軸103、第1のピニオン104、第2のピニオン105及び従動ラック106によって構成し、第1のピニオン104と第2のピニオン105との歯車比を1対2とすることで、テーブル板41の引出長さよりも2倍大きく可動カバー体30を逆方向に移動させることができる。
【0032】
なお、この発明は前記実施例に限定するものではない。
例えば、前記実施例においては、連動機構100を、作動ラック101、ピニオン軸103、第1のピニオン104、第2のピニオン105及び従動ラック106によって構成したが、作動ラックと従動ラックとを共通のピニオンに噛み合せて連動機構を構成してもこの発明を実施することができる。この場合、テーブル板41の引出量と同じ量だけ可動カバー体30を逆方向に移動させることができる。
また、前記実施例においては、引出部材がテーブル板41である場合を例示したが、引出部材がカップホルダ装置のホルダ部材であっても実施可能であり、また、引出部材がカーナビゲーション装置の表示器(例えば液晶パネル)であっても実施可能である。
また、引出部材が引出端位置に配置された状態が使用状態である場合においても実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施例1の車両用引出装置としての車両用テーブル装置のテーブル板が収納された状態を示す斜視図である。
【図2】同じく車両用テーブル装置の平断面図である。
【図3】同じく図2のIII−III線に基づく車両用テーブル装置の側断面図である。
【図4】同じく図2のIV−IV線に基づく車両用テーブル装置の側断面図である。
【図5】同じく図2のV−V線に基づく車両用テーブル装置の側断面図である。
【図6】同じく可動カバー体の連動機構を分解して示す斜視図である。
【図7】同じくテーブル板が中間引出位置まで押し出された状態を示す斜視図である。
【図8】同じくテーブル板が中間引出位置まで押し出された状態を示す側断面図である。
【図9】同じくテーブル板が引出端位置まで引き出された状態を示す斜視図である。
【図10】同じくテーブル板が引出端位置まで引き出された状態を示す側断面図である。
【図11】同じくテーブル板が使用状態に配置された状態を示す斜視図である。
【図12】同じくテーブル板が使用状態に配置された状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 収納ケース体
11 収納空間
30 可動カバー体
41 テーブル板(引出部材)
80 押出機構
81 押出体
86 コンストンスプリング(付勢手段)
100 連動機構
101 作動ラック
103 ピニオン軸
104 第1のピニオン
105 第2のピニオン
106 従動ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ケース体の収納空間に引出部材が出し入れ可能に装着された車両用引出装置であって、
前記収納ケース体には、前記収納空間の一側壁と反対側の壁を構成する可動カバー体が前記引出部材の出し入れ方向と逆方向に移動可能に装着され、
前記引出部材と前記可動カバー体との間には、前記引出部材が引き出されたときに前記可動カバー体を前記引出部材の引出方向とは逆方向に移動させて前記可動カバー体の先端高さを低くし、前記引出部材が押し込まれたときに前記可動カバー体を前記引出部材の押込方向とは逆方向に移動させて前記可動カバー体を元の高さに戻す連動機構が設けられていることを特徴とする車両用引出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用引出装置であって、
連動機構は、収納ケース体の収納空間の一側壁と対向して設けられかつ可動カバー体を移動可能にする支持壁に回転可能に設けられと共に、軸上にピニオンを有するピニオン軸と、
前記引出部材側に設けられて前記ピニオンに噛み合わされる作動ラックと、
前記可動カバー体側に設けられて前記ピニオンに噛み合わされる従動ラックと、を備えていることを特徴とする車両用引出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用引出装置であって、
ピニオン軸の軸上には第1のピニオンと第2のピニオンとがそれぞれ設けられ、
作動ラックは前記第1のピニオンに噛み合わされる一方、従動ラックは前記第2のピニオンに噛み合わされていることを特徴とする車両用引出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用引出装置であって、
収納ケース体には引出部材を収納位置に係脱可能に保持する係止部材が設けられ、
前記収納ケース体の収納空間の一側壁と対向する支持壁には前記引出部材を所定位置まで押し出す押出機構が設けられ、
前記押出機構は、前記引出部材に接離可能に係合する押出体と、この押出体を押出方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記係止部材による前記引出部材の係合が外されたときには前記付勢手段の付勢力によって前記押出体と共に前記引出部材が所定の引出位置まで押し出される構成にしてあることを特徴とする車両用引出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−168527(P2007−168527A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366308(P2005−366308)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】