車両用心電計測システム
【課題】ハンドルの把持状態によらず、乗員の心電を正確に計測できる車両用心電計測システムを提供すること。
【解決手段】ステアリングに設けられたGND電極9と、複数の容量式センサ11、13と、前記ステアリングの把持状態を検出する把持状態検出手段9と、前記把持状態検出手段9の検出結果に基づき、前記複数の容量式センサ11、13の一部の容量式センサを選択する選択手段25と、前記GND電極9、及び前記選択手段9により選択された容量式センサ11、13を用いて乗員の心電を計測する心電計測手段9、11、13、31と、を備えることを特徴とする車両用心電計測システム1。
【解決手段】ステアリングに設けられたGND電極9と、複数の容量式センサ11、13と、前記ステアリングの把持状態を検出する把持状態検出手段9と、前記把持状態検出手段9の検出結果に基づき、前記複数の容量式センサ11、13の一部の容量式センサを選択する選択手段25と、前記GND電極9、及び前記選択手段9により選択された容量式センサ11、13を用いて乗員の心電を計測する心電計測手段9、11、13、31と、を備えることを特徴とする車両用心電計測システム1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員の心電を計測できる車両用心電計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員の心電を計測するシステムとして、ステアリングに取り付けた電極と、シートに取り付けられた容量式センサとの間の電圧を測定することで心電を取得する手段(以下、第1の手段とする)と、ステアリングの左右にそれぞれ設けられた一対の電極間の電圧を計測することで心電を取得する手段(以下、第2の手段とする)とを備えるシステムが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、乗員の心電を計測する場合、図11(a)に示す、乗員P1の心臓P3における心電ベクトル(心電電位ベクトル)P5と、計測ベクトル(電極P7から、乗員P1の体内を通り、心臓P3を経て、他方の電極又は容量式センサP9に至る経路における、心臓付近でのベクトル)P11とが成す角度が小さい(心電ベクトルP5と計測ベクトルP11とが平行に近い)ほど、心電を正確に計測することができる。図11(b)に示すように、心電ベクトルP5と計測ベクトルP11とがほぼ直交する場合は、心電を正確に計測することができない。
【0004】
特許文献1記載のシステムは、前記第1の手段と前記第2の手段とでは、計測ベクトルの方向が異なり、少なくとも一方の計測ベクトルは心電ベクトルと非直交であることを利用して、前記第1の手段と前記第2の手段のうちのいずれかを用いて、心電を計測しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−24902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両の乗員は、片手のみでステアリングを把持することがある。この場合、特許文献1記載のシステムでは、ステアリングの左右にそれぞれ設けられた一対の電極のうち、一方には乗員の手が接触しないので、前記第2の手段では心電を計測することができない。よって、片手のみでステアリングを把持する場合、心電の計測に使用できる手段は前記第1の手段だけであるので、仮に、前記第1の手段における計測ベクトルと心電ベクトルとが直交する場合、心電を正確に計測することができなくなってしまう。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、ステアリングの把持状態によらず、乗員の心電を正確に計測できる車両用心電計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用心電計測システムは、把持状態検出手段により、ステアリングの把持状態を検出し、その検出結果に基づき、選択手段により、複数の容量式センサの一部の容量式センサを選択する。そして、心電計測手段により、GND電極、及び選択手段により選択された容量式センサを用いて乗員の心電を計測する。
【0009】
本発明の車両用心電計測システムは、複数の容量式センサを備え、ステアリングの把持状態に応じて、一部の容量式センサを選択するので、ステアリングの把持状態がいずれの場合でも、乗員の心電を正確に計測することができる。
【0010】
また、本発明の車両用心電計測システムは、ステアリングの把持状態により、使用する容量式センサを選択する。そのため、使用する容量式センサの選択において、複雑な演算が必要ない。その結果、計算コストを低減できるとともに、リアルタイムの心電計測が可能になる。
【0011】
前記把持状態とは、乗員が車両のステアリングを把持する状態を意味する。把持状態としては、例えば、左手のみでステアリングを把持する状態(左手把持)、左右両手でステアリングを把持する状態(両手把持)、右手のみでステアリングを把持する状態(右手把持)がある。前記把持状態検出手段は、上記3つの状態を区別して検出してもよいし、所定の基準(例えば、右手でステアリングを把持しているか否か)を満たす把持状態(右手把持、両手把持)と、満たさない把持状態(左手把持)を区別して検出するものであってもよい。
【0012】
前記選択手段が選択する容量式センサとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
・把持状態検出手段が検出したステアリングの把持状態の下で、選択した容量式センサについて、計測ベクトル(GND電極から、乗員の体内を通り、乗員の心臓を経て、選択した容量式センサに至る経路における、心臓付近でのベクトル)が存在するもの。
【0013】
・把持状態検出手段が検出したステアリングの把持状態の下で、選択した容量式センサの計測ベクトルと、心電ベクトルとの成す角度が、他の(選択されなかった)容量式センサの場合よりも小さいもの。
【0014】
前記選択手段が選択する容量式センサの数は、1であってもよいし、複数(例えば、2、3、4、5、・・・)であってもよい。複数の容量式センサを選択する場合は、それらの信号を加算して出力してもよいし、個々に出力してもよい。また、選択手段は、全ての容量式センサを選択してもよい。
【0015】
本発明において、選択手段による選択の意味は、例えば、以下のように定義できる。すなわち、車両用心電計測システムが外部に出力する信号に、ある容量式センサの出力信号が含まれていれば、その容量式センサは選択されたとする。
【0016】
前記複数の容量式センサは、互いに異なる場所に設けられることが望ましい。そうすることにより、いずれかの容量式センサにおいては、計測ベクトルと心電ベクトルとを非直交にすることができる。
【0017】
前記複数の容量式センサとしては、例えば、乗員の臀部に接する第1の容量式センサと、乗員の右肩に接する第2の容量式センサとを含むものが挙げられる。第1の容量式センサは、例えば、車両のシートの中に配置することができる。また、第2の容量式センサは、例えば、車両のシートの中、又はシートベルトに配置することができる。
【0018】
第1の容量式センサと第2の容量式センサとを含む場合、選択手段は、把持状態検出手段により検出された把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持している状態の場合、第1の容量式センサを選択し、把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持していない状態の場合、少なくとも第2の容量式センサ(例えば、第2の容量式センサのみ、又は、第2の容量式センサと第1の容量式センサの両方)を選択することができる。
【0019】
容量式センサの配置と、選択方法を上記のようにすることにより、ステアリングの把持状態がいずれの場合でも、乗員の心電を正確に計測することができる。
本発明の車両用心電計測システムは、例えば、GND電極にて乗員の人体電位を検出する人体電位検出手段を備えることができる。この場合、心電計測手段は、容量式センサの信号値から、人体電位を差し引いて、心電を計測することができる。こうすることにより、コモンモードノイズ(人体に由来するノイズ)を除去し、心電を一層正確に計測することができる。
【0020】
また、本発明の車両用心電計測システムは、例えば、GND電極にて乗員の右手及び左手の人体電位を検出する人体電位検出手段を備えることができる。この場合、心電計測手段は、把持状態検出手段により検出された把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持している状態の場合、選択手段により選択された容量式センサの信号値から、右手の人体電位を差し引いて、心電を計測するとともに、乗員の右手がステアリングを把持していない状態の場合、選択手段により選択された容量式センサの信号値から、左手の人体電位を差し引いて、心電を計測することができる。
【0021】
こうすることにより、ステアリングの把持状態に応じて、コモンモードノイズ(人体に由来するノイズ)を除去し、心電を一層正確に計測することができる。
前記把持状態検出手段としては、例えば、ステアリングにおいて乗員の右手で把持する部分、及び/又は、乗員の左手で把持する部分に設けられた、GNDに接地した電極A、及び所定の電位が与えられた電極Bを備え、前記電極Bの電位に基づき、把持状態を検出するものが挙げられる。この把持状態検出手段は、簡単な構成で把持状態を検出することができる。電極Bは、前記GND電極と同一のものであってもよいし、別の電極であってもよい。
【0022】
前記電極Aは、前記電極Bよりも、ステアリング上で、広い範囲にわたって設けられていることが好ましい。この場合、乗員の手がステアリングを把持したとき、電極Bのみを把持し、電極Aは把持しない、という事態が生じにくい。
【0023】
本発明の車両用心電計測システムは、例えば、把持状態検出手段により検出される把持状態が変化した場合、その変化後における心電の計測結果の振幅が、所定の値となるように、心電の計測における増幅率を設定する増幅率設定手段を備えることができる。こうすることにより、把持状態が変化しても、心電の計測結果における振幅を一定に保つことができる。
【0024】
本発明の車両用心電計測システムは、例えば、増幅率設定手段とともに、心電の計測結果を記憶する記憶手段を備えることができる。この場合、増幅率設定手段は、把持状態が変化した後における心電の計測結果の振幅が、記憶手段に記憶された、把持状態が変化する前における心電の計測結果の振幅となるように、増幅率を設定することができる。こうすることにより、増幅率の設定を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【図2】内側電極3、5、外側電極7、9の形状及び配置を表す説明図である。
【図3】シートセンサ11、13の配置を表す説明図である。
【図4】ステアリング把持データRの測定結果を表すグラフである。
【図5】ステアリングの把持状態と、計測ベクトル及び心電ベクトルとの関係を表す説明図であり、(a)は左手把持の状態を表し、(b)は両手把持の状態を表し、(c)は右手把持の状態を表す。
【図6】車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【図7】車両用心電計測システム1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図8】ステアリング把持状態の変化と心電信号とを表すグラフである。
【図9】車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【図10】ステアリングの把持状態と、計測ベクトル及び心電ベクトルとの関係を表す説明図であり、(a)は左手把持の状態を表し、(b)は両手把持の状態を表し、(c)は右手把持の状態を表す。
【図11】計測ベクトル及び心電ベクトルを表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
1.車両用心電計測システム1の構成
車両用心電計測システム1の構成を、図1〜図3に基づいて説明する。図1は、車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。図2は、後述する内側電極3、5、外側電極7、9の形状及び配置を表す説明図である。図3は、後述するシートセンサ11、13の配置を表す説明図である。
【0027】
車両用心電計測システム1は、車両に搭載され、乗員(運転者)の心電を計測するシステムである、図1に示すように、車両用心電計測システム1は、内側電極3、内側電極(電極A)5、外側電極(GND電極)7、外側電極(GND電極、電極B)9、シートセンサ(容量式センサ、第1の容量式センサ)11、シートセンサ(容量式センサ、第2の容量式センサ)13、ボルテージフォロワ15、17、19、フィルター21、23、スイッチ(SW)25、ゲイン演算回路27、29、加算回路31を備える。
【0028】
図2に示すように、内側電極3、5、外側電極7、9は、車両のステアリング33に設けられている。内側電極3と外側電極7は、乗員が左手でステアリング33を把持する位置にある。内側電極3と外側電極7は、それぞれ、ステアリング33の内側と外側に位置し、ステアリング33上では両者は離間しているが、図1に示すように、内側電極3と外側電極7はともにGNDに接地している。図2に示すように、内側電極3は、ステアリング33の円周上において、外側電極7よりも広い範囲にわたって設けられている。
【0029】
また、内側電極5と外側電極9は、乗員が右手でステアリング33を把持する位置にある。内側電極5と外側電極9は、それぞれ、ステアリング33の内側と外側に位置し、ステアリング33上で両者は離間している。図1に示すように、内側電極5はGNDに接地しており、外側電極9は2.5Vの電位を与えられている。乗員の右手がステアリング33を把持していないとき、外側電極9は内側電極5と接続していないので、外側電極9の電位は2.5V(Hi)である。一方、乗員の右手がステアリング33を把持したとき、内側電極5と外側電極9は、ともに乗員の右手に接し、両者は導通する。その結果、外側電極9の電位は、Lo(GNDに比べ、人体電位の分だけ高い電位であり、2.5Vよりも低い電位)となる。
【0030】
図2に示すように、内側電極5は、ステアリング33の円周上において、外側電極9よりも広い範囲にわたって設けられている。そのため、乗員の右手がステアリング33を把持したとき、乗員の右手が外側電極9のみに接し、内側電極5には接しない、という事態が生じにくい。
【0031】
シートセンサ11、13は、乗員の皮膚に接触せずに、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出できる電極を備えた、周知の容量式センサ(容量結合型電極)であり、例えば、特許文献1記載のものを用いることができる。図3に示すように、シートセンサ11は、車両の運転者用のシート35において、乗員の臀部に接する位置に設けられている。さらに詳しくは、シートセンサ11はシート35の中に取り付けられている。
【0032】
また、シートセンサ13は、シート35において、乗員の右肩に接する位置に設けられている。さらに詳しくは、シートセンサ13はシート35の中に取り付けられている。なお、シートセンサ13の位置は、図示しないシートベルト上であって、乗員の右肩に接する位置であってもよい。
【0033】
ボルテージフォロワ15、17、19は、それぞれ周知の構成を有するものであり、アンプ37から構成される。ボルテージフォロワ15は、シートセンサ11の出力信号を増幅する。また、ボルテージフォロワ17は、シートセンサ13の出力信号を増幅する。また、ボルテージフォロワ19は、外側電極9の電位を増幅する。ボルテージフォロワ15とシートセンサ11との間には、抵抗39が設けられている。また、ボルテージフォロワ17とシートセンサ13との間には、抵抗39が設けられている。
【0034】
フィルター21、23は、それぞれ 周知の構成を有するものであり、コンデンサ41、抵抗43から構成される。フィルター21は、シートセンサ11の出力信号のうち、不要な周波数成分をカットする。また、フィルター23は、シートセンサ13の出力信号のうち、不要な周波数成分をカットする。
【0035】
スイッチ25の2つの入力端子25a、25bにはそれぞれ、シートセンサ13の出力系、及びGNDが接続している。また、スイッチ25には、その他に、外側電極9が出力する、Lo又はHiである信号(以下では、ステアリング把持データRとする)も入力する。スイッチ25の出力端子25cは、ゲイン演算回路29を介して、加算回路31に接続している。
【0036】
スイッチ25は、ステアリング把持データRがLoである場合(乗員の右手がステアリング33を把持している場合)は、入力端子25bと出力端子25cを接続し、入力端子25aと出力端子25cとの間は絶縁する。この場合、スイッチ25は、ゲイン演算回路29、及び加算回路31に、GNDを出力する。
【0037】
一方、ステアリング把持データRがHiである場合(乗員の右手がステアリング33を把持していない場合)、スイッチ25は、入力端子25aと出力端子25cを接続し、入力端子25bと出力端子25cとの間は絶縁する。この場合、スイッチ25は、ゲイン演算回路29、及び加算回路31に、シートセンサ13の出力信号を出力する。
【0038】
ゲイン演算回路27、29は、周知の構成を有するゲイン演算回路であり、アンプ45、抵抗47、49から構成される。ゲイン演算回路27は、シートセンサ11の出力信号におけるゲインを増大させる。また、ゲイン演算回路29は、スイッチ25から出力された信号(シートセンサ13の出力信号又はGND)におけるゲインを増大させる。
【0039】
加算回路31は、周知の構成を有する加算回路であり、アンプ51、抵抗53、55、57から構成される。加算回路31は、シートセンサ11の出力信号と、スイッチ25から出力された信号(シートセンサ13の出力信号又はGND)とを加算し、その加算した信号を出力する。
【0040】
2.車両用心電計測システム1の動作
次に、車両用心電計測システム1の動作を説明する。シートセンサ11は、乗員の臀部に接し、その乗員の心電を計測する。シートセンサ11の出力信号は、ボルテージフォロワ15、フィルター21、及びゲイン演算回路27、を経て、加算回路31に送られる。
【0041】
シートセンサ13は、乗員の右肩部に接し、その乗員の心電を計測する。シートセンサ13の出力信号は、ボルテージフォロワ17、及びフィルター23を経て、スイッチ25に送られる。
【0042】
また、スイッチ25には、外側電極9から、ステアリング把持データRが送られる。そのステアリング把持データRは、乗員の右手がステアリング33を把持している場合はLoであり、乗員の右手がステアリング33を把持していない場合はHiである。図4に、ステアリング把持データRの例を示す。外側電極9は、ステアリング33の把持状態を検出する把持状態検出手段として機能する。
【0043】
スイッチ25は、上述したように、ステアリング把持データRがLoの場合は、GNDを出力し、Hiの場合は、シートセンサ13の出力信号を出力する。スイッチ25の出力信号は、ゲイン演算回路29を経て、加算回路31に送られる。
【0044】
加算回路31は、シートセンサ11の出力信号と、スイッチ25の出力信号とを加算した信号を出力する。その加算した信号は、ステアリング把持データRがLoの場合(乗員の右手がステアリング33を把持している場合)は、シートセンサ11の出力信号であり、ステアリング把持データRがHiの場合(乗員の右手がステアリング33を把持していな場合)は、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号である。
【0045】
よって、スイッチ25と加算回路31は、シートセンサ11、13の中から、心電の計測に使用するシートセンサを選択する選択手段として機能する。また、外側電極9、シートセンサ11、13、スイッチ25、及び加算回路31は、選択されたシートセンサを用いて乗員の心電を計測する心電計測手段として機能する。
【0046】
3.車両用心電計測システム1が奏する効果
(1)車両用心電計測システム1は、乗員がステアリング33を把持する状態がいずれの場合でも、乗員の心電を正確に計測することができる。このことを、図5に基づいて説明する。
【0047】
図5(a)は、乗員59が左手61のみでステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持していない状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、上述したように、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号を出力する。
【0048】
図5(a)の場合、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル67と、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ13に至る計測ベクトル69が存在する。従って、シートセンサ11を用いた心電の計測と、シートセンサ13を心電の計測は、それぞれ、心電の計測に適したものである。なお、図中の符号70は心臓65の心電ベクトルを示す。計測ベクトル67と計測ベクトル69とを対比すると、計測ベクトル69の方が、心電ベクトル70に対する角度が小さい(平行に近い)。そのため、シートセンサ11とシートセンサ13とを対比すると、シートセンサ13の方が、心電の計測に一層適している。
【0049】
車両用心電計測システム1は、図5(a)の場合、心電の計測に適したシートセンサ11及びシートセンサ13を使用するので、心電を正確に計測することができる。
図5(b)は、乗員59が左手61と右手63の両方でステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持している状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、上述したように、シートセンサ11の出力信号を出力する。
【0050】
図5(b)の場合、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル67と、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル71が存在する。なお、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ13に至る計測ベクトルは存在しない。従って、シートセンサ11を用いた心電の計測は、心電の計測に適したものであるが、シートセンサ13を用いた心電の計測は、ノイズが大きく、心電の計測に適さない。
【0051】
車両用心電計測システム1は、図5(b)の場合、心電の計測に適したシートセンサ11を使用し、心電の計測に適さないシートセンサ13は使用しないので、心電を正確に計測することができる。
【0052】
図5(c)は、乗員59が右手63のみでステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持している状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、上述したように、シートセンサ11の出力信号を出力する。
【0053】
図5(c)の場合、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル71が存在する。なお、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ13に至る計測ベクトルは存在しない。従って、シートセンサ11を用いた心電の計測は、心電の計測に適したものであるが、シートセンサ13を用いた心電の計測は、ノイズが大きく、心電の計測に適さない。
【0054】
車両用心電計測システム1は、図5(c)の場合、心電の計測に適したシートセンサ11を使用し、心電の計測に適さないシートセンサ13は使用しないので、心電を正確に計測することができる。
【0055】
以上のように、車両用心電計測システム1は、乗員がステアリング33を把持する状態が図5(a)〜(c)のいずれの場合においても、心電の計測に適したシートセンサを選択し、心電計測を行うことにより、乗員の心電を正確に計測することができる。
(2)車両用心電計測システム1は、乗員がステアリング33を把持する状態に対応して変化するステアリング把持データRにより、使用するシートセンサを選択する。そのため、使用するシートセンサの選択において、複雑な演算が必要ない。その結果、計算コストを低減できるとともに、リアルタイムの心電計測が可能になる。
<第2の実施形態>
1.車両用心電計測システム1の構成
本実施形態における車両用心電計測システム1の構成を図6に基づいて説明する。図6は、車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【0056】
車両用心電計測システム1の構成は、基本的には、前記第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、フィルター21、23、スイッチ25、ゲイン演算回路27、29、及び加算回路31の代わりに、それらと同じ機能を有するデジタル回路(増幅率設定手段を含む)73を備えている。
【0057】
デジタル回路73には、シートセンサ11の出力信号、シートセンサ13の出力信号、及びステアリング把持データR(外側電極9の電位)が入力する。また、デジタル回路73は、出力端子73aを有する。
【0058】
また、デジタル回路73は、図示しないメモリ(記憶手段)を備えており、そのメモリに、出力端子73aから出力する信号の振幅を常時記憶する。
2.車両用心電計測システム1の動作
本実施形態の車両用心電計測システム1は、前記第1の実施形態と同様に動作する。すなわち、ステアリング把持データRがLoの場合(乗員の右手がステアリング33を把持している場合)、車両用心電計測システム1は、デジタル回路73の出力端子73aから、シートセンサ11の出力信号を出力し、ステアリング把持データRがHiの場合(乗員の右手がステアリング33を把持していない場合)は、デジタル回路73の出力端子73aから、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号を出力する。
【0059】
また、本実施形態の車両用心電計測システム1は、ステアリング33の把持状態が変化したとき、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号のゲイン(増幅率)を、適切に再設定することができる。このことを図7のフローチャートに基づいて説明する。図7は、車両用心電計測システム1が実行する処理を表すフローチャートである。
【0060】
ステップ10では、所定の初期設定を行う。
ステップ20では、本ステップ20の処理を前回実行したときに比べて、ステアリング33の把持状態が変化したか否かを判断する。具体的には、ステアリング把持データRの変化(HiからLoへの変化、又はLoからHiへの変化)があったか否かを判断する。把持状態が変化した場合はステップ30に進み、把持状態が変化していない場合はステップ40に進む。
【0061】
ステップ30では、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号のゲインを、次のようにして設定する。まず、デジタル回路73のメモリから、把持状態が変化する直前の所定期間における心電(デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号)の平均振幅値M1と、把持状態が変化した直後の所定期間における心電の平均振幅値M2とを取得する。次に、平均振幅値M2が、平均振幅値M1と同じになるように、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号のゲインを設定する。
【0062】
ステップ40では、把持状態が、乗員の右手でステアリング33を把持している状態(両手で把持する状態を含む)であるか否かを、ステアリング把持データRに基づき判断する。乗員の右手でステアリング33を把持している状態の場合はステップ50に進み、乗員の右手でステアリング33を把持していない状態の場合はステップ60に進む。
【0063】
ステップ50では、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号を、シートセンサ11の出力信号とする。ステップ60では、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号を、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号とする。
【0064】
ステップ70では、出力端子73aから出力する信号の振幅を、デジタル回路73のメモリに記憶する。なお、この記憶した振幅は、前記ステップ30の処理で使用する。
3.車両用心電計測システム1が奏する効果
本実施形態の車両用心電計測システム1は、前記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の車両用心電計測システム1は、ステアリング33の把持状態が変化したとき、心電信号のゲインを再設定するので、図8に示すように、把持状態が変化(すわなち、ステアリング把持データRが変化)する前後において、心電信号の振幅を一定に保つことができる。
<第3の実施形態>
1.車両用心電計測システム1の構成
本実施形態における車両用心電計測システム1の構成を図9に基づいて説明する。図9は、車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【0065】
車両用心電計測システム1の構成は、基本的には、前記第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、外側電極7は2.5Vの電位を与えられている。乗員の左手がステアリング33を把持していないとき、外側電極7は内側電極3と接続せず、その電位は2.5V(Hi)である。一方、乗員の左手がステアリング33を把持したとき、内側電極3と外側電極7は、ともに乗員の左手に接し、両者は導通する。その結果、外側電極7の電位は、Lo(GNDに比べ、人体電位の分だけ高い電位であり、2.5Vよりも低い電位)となる。
【0066】
また、本実施形態では、ボルテージフォロワ19の代わりに判別回路75を備えている。さらに、ボルテージフォロワ15とフィルター21との間に、差分取得用のアンプ77を備え、ボルテージフォロワ17とフィルター23との間に、差分取得用のアンプ79を備えている。
【0067】
判別回路75は、アンプ81、83、スイッチ85、抵抗87、89から構成される。スイッチ85の2つの入力端子85a、85bには、それぞれ、外側電極9が出力する、Lo又はHiである信号(ステアリング把持データR)と、外側電極7が出力する、Lo又はHiである信号(以下では、ステアリング把持データLとする)が入力する。よって、判別回路75は、乗員の右手及び左手の人体電位(ステアリング把持データR、L)を検出する人体電位検出手段として機能する。
【0068】
また、スイッチ85の出力端子85cは、アンプ77に接続している。また、ステアリング把持データLは、スイッチ85の他に、アンプ79にも入力している。
スイッチ85は、以下のように動作する。ステアリング把持データRがHiの場合、入力端子85bと出力端子85cを接続し、アンプ77に対し、ステアリング把持データLを出力する。一方、ステアリング把持データRがLoの場合、入力端子85aと出力端子85cを接続し、アンプ77に対し、ステアリング把持データRを出力する。
【0069】
また、判別回路75は、ステアリング把持データRをスイッチ25に出力し、スイッチ25は前記第1の実施形態と同様に動作する。
2.車両用心電計測システム1の動作
本実施形態の車両用心電計測システム1は、前記第1の実施形態と基本的には同様に動作する。すなわち、スイッチ25に入力するステアリング把持データRがLoの場合(乗員の右手がステアリング33を把持している場合)、車両用心電計測システム1は、加算回路31から、シートセンサ11の出力信号を出力し、スイッチ25に入力するステアリング把持データRがHiの場合(乗員の右手がステアリング33を把持していな場合)は、加算回路31から、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号を出力する。
【0070】
ただし、本実施形態では、加算回路31に入力するシートセンサ11の出力信号は、シートセンサ11の出力そのままではなく、アンプ77において作成された、シートセンサ11の出力と、スイッチ85から送られる信号との差分の信号である。ここで、スイッチ85からアンプ77に送られる信号は、ステアリング把持データRがHiの場合は、ステアリング把持データLであり、ステアリング把持データRがLoの場合は、ステアリング把持データRである。
【0071】
また、加算回路31に入力するシートセンサ13の出力信号は、シートセンサ13の出力そのままではなく、アンプ77において作成された、シートセンサ13の出力と、ステアリング把持データLとの差分の信号である。
【0072】
本実施形態の車両用心電計測システム1において、ステアリング33の把持状態が各状態の場合に、ステアリング把持データR、ステアリング把持データL、スイッチ85の出力、シートセンサ11の基準(アンプ77において差分の作成に用いる信号)、シートセンサ13の基準(アンプ79において差分の作成に用いる信号)、使用センサ(心電の計測に使用するシートセンサ)がそれぞれどのようになるかを、表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
3.車両用心電計測システム1が奏する効果
(1)本実施形態の車両用心電計測システム1は、前記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
(2)また、本実施形態では、シートセンサ11、13の出力をそのまま用いるのではなく、シートセンサ11、13の出力と人体電位との差分の信号を用いているので、コモンモードノイズ(人体に由来するノイズ)を除去し、心電を一層正確に計測することができる。
(3)さらに、本実施形態では、ステアリング33の把持状態に応じて、差分の作成に用いる人体電位を、適切に選択することができる。このことを図10に基づいて説明する。
【0075】
図10(a)は、乗員59が左手61のみでステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持していない状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、シートセンサ11とシートセンサ13を選択する。
【0076】
図10(a)の場合、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル67と、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ13に至る計測ベクトル69は、ともに、左手61を通るものである。そのため、図10(a)の場合、心電の計測に影響する人体電位は、左手の人体電位(ステアリング把持データL)である。
【0077】
車両用心電計測システム1は、図10(a)の場合、シートセンサ11、13の両方について、差分の作成にステアリング把持データLを用いるので(表1参照)、人体電位の影響を除去し、心電を正確に計測することができる。
【0078】
図10(b)は、乗員59が左手61と右手63の両方でステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持している状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、シートセンサ11のみを選択する。
【0079】
図10(b)の場合、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル67と、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル71が存在するが、計測ベクトル71の方が、心電ベクトル70との間に成す角度が小さい(平行に近い)ため、心電の計測において、より重要である。よって、図10(b)の場合、心電の計測に影響する人体電位は、右手の人体電位(ステアリング把持データR)である。
【0080】
車両用心電計測システム1は、図10(b)の場合、選択するシートセンサ11の信号と人体電位との差分の作成にステアリング把持データRを用いるので(表1参照)、人体電位の影響を除去し、心電を正確に計測することができる。
【0081】
図10(c)は、乗員59が右手63のみでステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持している状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、シートセンサ11のみを選択する。
【0082】
図10(c)の場合、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル71が存在する。そのため、図10(c)の場合、心電の計測に影響する人体電位は、右手の人体電位(ステアリング把持データR)である。
【0083】
車両用心電計測システム1は、図10(c)の場合、選択するシートセンサ11の信号と人体電位との差分の作成にステアリング把持データRを用いるので(表1参照)、人体電位の影響を除去し、心電を正確に計測することができる。
【0084】
以上のように、車両用心電計測システム1は、ステアリング33の把持状態がいずれであっても、差分の作成に用いる人体電位を適切に選択し、心電の計測を一層正確に行うことができる。
【0085】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記第1〜第3の実施形態において、左手のみでステアリング33を把持している場合は、シートセンサ13のみの出力を、車両用心電計測システム1で検出してもよい。
【0086】
また、前記第2の実施形態において、ステアリング33の把持状態が変化したとき、デジタル回路73は、R波処理用の係数を変えるようにしてもよい。R波処理用の係数としては、例えば、心電検出の閾値、心電→状態推定の判定閾値等が挙げられる。
【0087】
また、前記第2の実施形態において、ステアリング33の把持状態が変化した直後(例えば、把持状態の変化から0.5秒間)の計測結果は、使用しないようにしてもよい。こうすることにより、信頼性の低いチャタリングデータを除去することができる。
【0088】
また、前記第1〜第3の実施形態において、ステアリング33の把持状態の検出は、他の方法であってもよい。例えば、右手による把持の有無と、左手による把持の有無とを、それぞれ検出してもよい。また、ステアリング33の把持は、電極を用いる方法以外の方法(例えば、ステアリング33に設けられた押圧センサや温度センサにより検出する方法、ステアリング33付近を撮影した画像により検出する方法等)で検出してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1・・・車両用心電計測システム、3、5・・・内側電極、
7、9・・・外側電極、11、13・・・シートセンサ、
15、17、19・・・ボルテージフォロワ、
21、23・・・フィルター、25・・・スイッチ、
25a、25b・・・入力端子、25c・・・出力端子、
27、29・・・ゲイン演算回路、31・・・加算回路、
33・・・ステアリング、35・・・シート、
37、45、51、77、79、81・・・アンプ、
39、43、47、53、55、87・・・抵抗、
41・・・コンデンサ、59・・・乗員、61・・・左手、
63・・・右手、65・・・心臓、
67、69、71・・・計測ベクトル、70・・・心電ベクトル、
73・・・デジタル回路、73a・・・出力端子、
75・・・判別回路、85・・・スイッチ、
85a、85b・・・入力端子、85c・・・出力端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員の心電を計測できる車両用心電計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員の心電を計測するシステムとして、ステアリングに取り付けた電極と、シートに取り付けられた容量式センサとの間の電圧を測定することで心電を取得する手段(以下、第1の手段とする)と、ステアリングの左右にそれぞれ設けられた一対の電極間の電圧を計測することで心電を取得する手段(以下、第2の手段とする)とを備えるシステムが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、乗員の心電を計測する場合、図11(a)に示す、乗員P1の心臓P3における心電ベクトル(心電電位ベクトル)P5と、計測ベクトル(電極P7から、乗員P1の体内を通り、心臓P3を経て、他方の電極又は容量式センサP9に至る経路における、心臓付近でのベクトル)P11とが成す角度が小さい(心電ベクトルP5と計測ベクトルP11とが平行に近い)ほど、心電を正確に計測することができる。図11(b)に示すように、心電ベクトルP5と計測ベクトルP11とがほぼ直交する場合は、心電を正確に計測することができない。
【0004】
特許文献1記載のシステムは、前記第1の手段と前記第2の手段とでは、計測ベクトルの方向が異なり、少なくとも一方の計測ベクトルは心電ベクトルと非直交であることを利用して、前記第1の手段と前記第2の手段のうちのいずれかを用いて、心電を計測しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−24902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両の乗員は、片手のみでステアリングを把持することがある。この場合、特許文献1記載のシステムでは、ステアリングの左右にそれぞれ設けられた一対の電極のうち、一方には乗員の手が接触しないので、前記第2の手段では心電を計測することができない。よって、片手のみでステアリングを把持する場合、心電の計測に使用できる手段は前記第1の手段だけであるので、仮に、前記第1の手段における計測ベクトルと心電ベクトルとが直交する場合、心電を正確に計測することができなくなってしまう。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、ステアリングの把持状態によらず、乗員の心電を正確に計測できる車両用心電計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用心電計測システムは、把持状態検出手段により、ステアリングの把持状態を検出し、その検出結果に基づき、選択手段により、複数の容量式センサの一部の容量式センサを選択する。そして、心電計測手段により、GND電極、及び選択手段により選択された容量式センサを用いて乗員の心電を計測する。
【0009】
本発明の車両用心電計測システムは、複数の容量式センサを備え、ステアリングの把持状態に応じて、一部の容量式センサを選択するので、ステアリングの把持状態がいずれの場合でも、乗員の心電を正確に計測することができる。
【0010】
また、本発明の車両用心電計測システムは、ステアリングの把持状態により、使用する容量式センサを選択する。そのため、使用する容量式センサの選択において、複雑な演算が必要ない。その結果、計算コストを低減できるとともに、リアルタイムの心電計測が可能になる。
【0011】
前記把持状態とは、乗員が車両のステアリングを把持する状態を意味する。把持状態としては、例えば、左手のみでステアリングを把持する状態(左手把持)、左右両手でステアリングを把持する状態(両手把持)、右手のみでステアリングを把持する状態(右手把持)がある。前記把持状態検出手段は、上記3つの状態を区別して検出してもよいし、所定の基準(例えば、右手でステアリングを把持しているか否か)を満たす把持状態(右手把持、両手把持)と、満たさない把持状態(左手把持)を区別して検出するものであってもよい。
【0012】
前記選択手段が選択する容量式センサとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
・把持状態検出手段が検出したステアリングの把持状態の下で、選択した容量式センサについて、計測ベクトル(GND電極から、乗員の体内を通り、乗員の心臓を経て、選択した容量式センサに至る経路における、心臓付近でのベクトル)が存在するもの。
【0013】
・把持状態検出手段が検出したステアリングの把持状態の下で、選択した容量式センサの計測ベクトルと、心電ベクトルとの成す角度が、他の(選択されなかった)容量式センサの場合よりも小さいもの。
【0014】
前記選択手段が選択する容量式センサの数は、1であってもよいし、複数(例えば、2、3、4、5、・・・)であってもよい。複数の容量式センサを選択する場合は、それらの信号を加算して出力してもよいし、個々に出力してもよい。また、選択手段は、全ての容量式センサを選択してもよい。
【0015】
本発明において、選択手段による選択の意味は、例えば、以下のように定義できる。すなわち、車両用心電計測システムが外部に出力する信号に、ある容量式センサの出力信号が含まれていれば、その容量式センサは選択されたとする。
【0016】
前記複数の容量式センサは、互いに異なる場所に設けられることが望ましい。そうすることにより、いずれかの容量式センサにおいては、計測ベクトルと心電ベクトルとを非直交にすることができる。
【0017】
前記複数の容量式センサとしては、例えば、乗員の臀部に接する第1の容量式センサと、乗員の右肩に接する第2の容量式センサとを含むものが挙げられる。第1の容量式センサは、例えば、車両のシートの中に配置することができる。また、第2の容量式センサは、例えば、車両のシートの中、又はシートベルトに配置することができる。
【0018】
第1の容量式センサと第2の容量式センサとを含む場合、選択手段は、把持状態検出手段により検出された把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持している状態の場合、第1の容量式センサを選択し、把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持していない状態の場合、少なくとも第2の容量式センサ(例えば、第2の容量式センサのみ、又は、第2の容量式センサと第1の容量式センサの両方)を選択することができる。
【0019】
容量式センサの配置と、選択方法を上記のようにすることにより、ステアリングの把持状態がいずれの場合でも、乗員の心電を正確に計測することができる。
本発明の車両用心電計測システムは、例えば、GND電極にて乗員の人体電位を検出する人体電位検出手段を備えることができる。この場合、心電計測手段は、容量式センサの信号値から、人体電位を差し引いて、心電を計測することができる。こうすることにより、コモンモードノイズ(人体に由来するノイズ)を除去し、心電を一層正確に計測することができる。
【0020】
また、本発明の車両用心電計測システムは、例えば、GND電極にて乗員の右手及び左手の人体電位を検出する人体電位検出手段を備えることができる。この場合、心電計測手段は、把持状態検出手段により検出された把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持している状態の場合、選択手段により選択された容量式センサの信号値から、右手の人体電位を差し引いて、心電を計測するとともに、乗員の右手がステアリングを把持していない状態の場合、選択手段により選択された容量式センサの信号値から、左手の人体電位を差し引いて、心電を計測することができる。
【0021】
こうすることにより、ステアリングの把持状態に応じて、コモンモードノイズ(人体に由来するノイズ)を除去し、心電を一層正確に計測することができる。
前記把持状態検出手段としては、例えば、ステアリングにおいて乗員の右手で把持する部分、及び/又は、乗員の左手で把持する部分に設けられた、GNDに接地した電極A、及び所定の電位が与えられた電極Bを備え、前記電極Bの電位に基づき、把持状態を検出するものが挙げられる。この把持状態検出手段は、簡単な構成で把持状態を検出することができる。電極Bは、前記GND電極と同一のものであってもよいし、別の電極であってもよい。
【0022】
前記電極Aは、前記電極Bよりも、ステアリング上で、広い範囲にわたって設けられていることが好ましい。この場合、乗員の手がステアリングを把持したとき、電極Bのみを把持し、電極Aは把持しない、という事態が生じにくい。
【0023】
本発明の車両用心電計測システムは、例えば、把持状態検出手段により検出される把持状態が変化した場合、その変化後における心電の計測結果の振幅が、所定の値となるように、心電の計測における増幅率を設定する増幅率設定手段を備えることができる。こうすることにより、把持状態が変化しても、心電の計測結果における振幅を一定に保つことができる。
【0024】
本発明の車両用心電計測システムは、例えば、増幅率設定手段とともに、心電の計測結果を記憶する記憶手段を備えることができる。この場合、増幅率設定手段は、把持状態が変化した後における心電の計測結果の振幅が、記憶手段に記憶された、把持状態が変化する前における心電の計測結果の振幅となるように、増幅率を設定することができる。こうすることにより、増幅率の設定を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【図2】内側電極3、5、外側電極7、9の形状及び配置を表す説明図である。
【図3】シートセンサ11、13の配置を表す説明図である。
【図4】ステアリング把持データRの測定結果を表すグラフである。
【図5】ステアリングの把持状態と、計測ベクトル及び心電ベクトルとの関係を表す説明図であり、(a)は左手把持の状態を表し、(b)は両手把持の状態を表し、(c)は右手把持の状態を表す。
【図6】車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【図7】車両用心電計測システム1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図8】ステアリング把持状態の変化と心電信号とを表すグラフである。
【図9】車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【図10】ステアリングの把持状態と、計測ベクトル及び心電ベクトルとの関係を表す説明図であり、(a)は左手把持の状態を表し、(b)は両手把持の状態を表し、(c)は右手把持の状態を表す。
【図11】計測ベクトル及び心電ベクトルを表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
1.車両用心電計測システム1の構成
車両用心電計測システム1の構成を、図1〜図3に基づいて説明する。図1は、車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。図2は、後述する内側電極3、5、外側電極7、9の形状及び配置を表す説明図である。図3は、後述するシートセンサ11、13の配置を表す説明図である。
【0027】
車両用心電計測システム1は、車両に搭載され、乗員(運転者)の心電を計測するシステムである、図1に示すように、車両用心電計測システム1は、内側電極3、内側電極(電極A)5、外側電極(GND電極)7、外側電極(GND電極、電極B)9、シートセンサ(容量式センサ、第1の容量式センサ)11、シートセンサ(容量式センサ、第2の容量式センサ)13、ボルテージフォロワ15、17、19、フィルター21、23、スイッチ(SW)25、ゲイン演算回路27、29、加算回路31を備える。
【0028】
図2に示すように、内側電極3、5、外側電極7、9は、車両のステアリング33に設けられている。内側電極3と外側電極7は、乗員が左手でステアリング33を把持する位置にある。内側電極3と外側電極7は、それぞれ、ステアリング33の内側と外側に位置し、ステアリング33上では両者は離間しているが、図1に示すように、内側電極3と外側電極7はともにGNDに接地している。図2に示すように、内側電極3は、ステアリング33の円周上において、外側電極7よりも広い範囲にわたって設けられている。
【0029】
また、内側電極5と外側電極9は、乗員が右手でステアリング33を把持する位置にある。内側電極5と外側電極9は、それぞれ、ステアリング33の内側と外側に位置し、ステアリング33上で両者は離間している。図1に示すように、内側電極5はGNDに接地しており、外側電極9は2.5Vの電位を与えられている。乗員の右手がステアリング33を把持していないとき、外側電極9は内側電極5と接続していないので、外側電極9の電位は2.5V(Hi)である。一方、乗員の右手がステアリング33を把持したとき、内側電極5と外側電極9は、ともに乗員の右手に接し、両者は導通する。その結果、外側電極9の電位は、Lo(GNDに比べ、人体電位の分だけ高い電位であり、2.5Vよりも低い電位)となる。
【0030】
図2に示すように、内側電極5は、ステアリング33の円周上において、外側電極9よりも広い範囲にわたって設けられている。そのため、乗員の右手がステアリング33を把持したとき、乗員の右手が外側電極9のみに接し、内側電極5には接しない、という事態が生じにくい。
【0031】
シートセンサ11、13は、乗員の皮膚に接触せずに、静電容量結合によって乗員の身体電位を検出できる電極を備えた、周知の容量式センサ(容量結合型電極)であり、例えば、特許文献1記載のものを用いることができる。図3に示すように、シートセンサ11は、車両の運転者用のシート35において、乗員の臀部に接する位置に設けられている。さらに詳しくは、シートセンサ11はシート35の中に取り付けられている。
【0032】
また、シートセンサ13は、シート35において、乗員の右肩に接する位置に設けられている。さらに詳しくは、シートセンサ13はシート35の中に取り付けられている。なお、シートセンサ13の位置は、図示しないシートベルト上であって、乗員の右肩に接する位置であってもよい。
【0033】
ボルテージフォロワ15、17、19は、それぞれ周知の構成を有するものであり、アンプ37から構成される。ボルテージフォロワ15は、シートセンサ11の出力信号を増幅する。また、ボルテージフォロワ17は、シートセンサ13の出力信号を増幅する。また、ボルテージフォロワ19は、外側電極9の電位を増幅する。ボルテージフォロワ15とシートセンサ11との間には、抵抗39が設けられている。また、ボルテージフォロワ17とシートセンサ13との間には、抵抗39が設けられている。
【0034】
フィルター21、23は、それぞれ 周知の構成を有するものであり、コンデンサ41、抵抗43から構成される。フィルター21は、シートセンサ11の出力信号のうち、不要な周波数成分をカットする。また、フィルター23は、シートセンサ13の出力信号のうち、不要な周波数成分をカットする。
【0035】
スイッチ25の2つの入力端子25a、25bにはそれぞれ、シートセンサ13の出力系、及びGNDが接続している。また、スイッチ25には、その他に、外側電極9が出力する、Lo又はHiである信号(以下では、ステアリング把持データRとする)も入力する。スイッチ25の出力端子25cは、ゲイン演算回路29を介して、加算回路31に接続している。
【0036】
スイッチ25は、ステアリング把持データRがLoである場合(乗員の右手がステアリング33を把持している場合)は、入力端子25bと出力端子25cを接続し、入力端子25aと出力端子25cとの間は絶縁する。この場合、スイッチ25は、ゲイン演算回路29、及び加算回路31に、GNDを出力する。
【0037】
一方、ステアリング把持データRがHiである場合(乗員の右手がステアリング33を把持していない場合)、スイッチ25は、入力端子25aと出力端子25cを接続し、入力端子25bと出力端子25cとの間は絶縁する。この場合、スイッチ25は、ゲイン演算回路29、及び加算回路31に、シートセンサ13の出力信号を出力する。
【0038】
ゲイン演算回路27、29は、周知の構成を有するゲイン演算回路であり、アンプ45、抵抗47、49から構成される。ゲイン演算回路27は、シートセンサ11の出力信号におけるゲインを増大させる。また、ゲイン演算回路29は、スイッチ25から出力された信号(シートセンサ13の出力信号又はGND)におけるゲインを増大させる。
【0039】
加算回路31は、周知の構成を有する加算回路であり、アンプ51、抵抗53、55、57から構成される。加算回路31は、シートセンサ11の出力信号と、スイッチ25から出力された信号(シートセンサ13の出力信号又はGND)とを加算し、その加算した信号を出力する。
【0040】
2.車両用心電計測システム1の動作
次に、車両用心電計測システム1の動作を説明する。シートセンサ11は、乗員の臀部に接し、その乗員の心電を計測する。シートセンサ11の出力信号は、ボルテージフォロワ15、フィルター21、及びゲイン演算回路27、を経て、加算回路31に送られる。
【0041】
シートセンサ13は、乗員の右肩部に接し、その乗員の心電を計測する。シートセンサ13の出力信号は、ボルテージフォロワ17、及びフィルター23を経て、スイッチ25に送られる。
【0042】
また、スイッチ25には、外側電極9から、ステアリング把持データRが送られる。そのステアリング把持データRは、乗員の右手がステアリング33を把持している場合はLoであり、乗員の右手がステアリング33を把持していない場合はHiである。図4に、ステアリング把持データRの例を示す。外側電極9は、ステアリング33の把持状態を検出する把持状態検出手段として機能する。
【0043】
スイッチ25は、上述したように、ステアリング把持データRがLoの場合は、GNDを出力し、Hiの場合は、シートセンサ13の出力信号を出力する。スイッチ25の出力信号は、ゲイン演算回路29を経て、加算回路31に送られる。
【0044】
加算回路31は、シートセンサ11の出力信号と、スイッチ25の出力信号とを加算した信号を出力する。その加算した信号は、ステアリング把持データRがLoの場合(乗員の右手がステアリング33を把持している場合)は、シートセンサ11の出力信号であり、ステアリング把持データRがHiの場合(乗員の右手がステアリング33を把持していな場合)は、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号である。
【0045】
よって、スイッチ25と加算回路31は、シートセンサ11、13の中から、心電の計測に使用するシートセンサを選択する選択手段として機能する。また、外側電極9、シートセンサ11、13、スイッチ25、及び加算回路31は、選択されたシートセンサを用いて乗員の心電を計測する心電計測手段として機能する。
【0046】
3.車両用心電計測システム1が奏する効果
(1)車両用心電計測システム1は、乗員がステアリング33を把持する状態がいずれの場合でも、乗員の心電を正確に計測することができる。このことを、図5に基づいて説明する。
【0047】
図5(a)は、乗員59が左手61のみでステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持していない状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、上述したように、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号を出力する。
【0048】
図5(a)の場合、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル67と、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ13に至る計測ベクトル69が存在する。従って、シートセンサ11を用いた心電の計測と、シートセンサ13を心電の計測は、それぞれ、心電の計測に適したものである。なお、図中の符号70は心臓65の心電ベクトルを示す。計測ベクトル67と計測ベクトル69とを対比すると、計測ベクトル69の方が、心電ベクトル70に対する角度が小さい(平行に近い)。そのため、シートセンサ11とシートセンサ13とを対比すると、シートセンサ13の方が、心電の計測に一層適している。
【0049】
車両用心電計測システム1は、図5(a)の場合、心電の計測に適したシートセンサ11及びシートセンサ13を使用するので、心電を正確に計測することができる。
図5(b)は、乗員59が左手61と右手63の両方でステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持している状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、上述したように、シートセンサ11の出力信号を出力する。
【0050】
図5(b)の場合、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル67と、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル71が存在する。なお、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ13に至る計測ベクトルは存在しない。従って、シートセンサ11を用いた心電の計測は、心電の計測に適したものであるが、シートセンサ13を用いた心電の計測は、ノイズが大きく、心電の計測に適さない。
【0051】
車両用心電計測システム1は、図5(b)の場合、心電の計測に適したシートセンサ11を使用し、心電の計測に適さないシートセンサ13は使用しないので、心電を正確に計測することができる。
【0052】
図5(c)は、乗員59が右手63のみでステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持している状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、上述したように、シートセンサ11の出力信号を出力する。
【0053】
図5(c)の場合、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル71が存在する。なお、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ13に至る計測ベクトルは存在しない。従って、シートセンサ11を用いた心電の計測は、心電の計測に適したものであるが、シートセンサ13を用いた心電の計測は、ノイズが大きく、心電の計測に適さない。
【0054】
車両用心電計測システム1は、図5(c)の場合、心電の計測に適したシートセンサ11を使用し、心電の計測に適さないシートセンサ13は使用しないので、心電を正確に計測することができる。
【0055】
以上のように、車両用心電計測システム1は、乗員がステアリング33を把持する状態が図5(a)〜(c)のいずれの場合においても、心電の計測に適したシートセンサを選択し、心電計測を行うことにより、乗員の心電を正確に計測することができる。
(2)車両用心電計測システム1は、乗員がステアリング33を把持する状態に対応して変化するステアリング把持データRにより、使用するシートセンサを選択する。そのため、使用するシートセンサの選択において、複雑な演算が必要ない。その結果、計算コストを低減できるとともに、リアルタイムの心電計測が可能になる。
<第2の実施形態>
1.車両用心電計測システム1の構成
本実施形態における車両用心電計測システム1の構成を図6に基づいて説明する。図6は、車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【0056】
車両用心電計測システム1の構成は、基本的には、前記第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、フィルター21、23、スイッチ25、ゲイン演算回路27、29、及び加算回路31の代わりに、それらと同じ機能を有するデジタル回路(増幅率設定手段を含む)73を備えている。
【0057】
デジタル回路73には、シートセンサ11の出力信号、シートセンサ13の出力信号、及びステアリング把持データR(外側電極9の電位)が入力する。また、デジタル回路73は、出力端子73aを有する。
【0058】
また、デジタル回路73は、図示しないメモリ(記憶手段)を備えており、そのメモリに、出力端子73aから出力する信号の振幅を常時記憶する。
2.車両用心電計測システム1の動作
本実施形態の車両用心電計測システム1は、前記第1の実施形態と同様に動作する。すなわち、ステアリング把持データRがLoの場合(乗員の右手がステアリング33を把持している場合)、車両用心電計測システム1は、デジタル回路73の出力端子73aから、シートセンサ11の出力信号を出力し、ステアリング把持データRがHiの場合(乗員の右手がステアリング33を把持していない場合)は、デジタル回路73の出力端子73aから、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号を出力する。
【0059】
また、本実施形態の車両用心電計測システム1は、ステアリング33の把持状態が変化したとき、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号のゲイン(増幅率)を、適切に再設定することができる。このことを図7のフローチャートに基づいて説明する。図7は、車両用心電計測システム1が実行する処理を表すフローチャートである。
【0060】
ステップ10では、所定の初期設定を行う。
ステップ20では、本ステップ20の処理を前回実行したときに比べて、ステアリング33の把持状態が変化したか否かを判断する。具体的には、ステアリング把持データRの変化(HiからLoへの変化、又はLoからHiへの変化)があったか否かを判断する。把持状態が変化した場合はステップ30に進み、把持状態が変化していない場合はステップ40に進む。
【0061】
ステップ30では、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号のゲインを、次のようにして設定する。まず、デジタル回路73のメモリから、把持状態が変化する直前の所定期間における心電(デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号)の平均振幅値M1と、把持状態が変化した直後の所定期間における心電の平均振幅値M2とを取得する。次に、平均振幅値M2が、平均振幅値M1と同じになるように、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号のゲインを設定する。
【0062】
ステップ40では、把持状態が、乗員の右手でステアリング33を把持している状態(両手で把持する状態を含む)であるか否かを、ステアリング把持データRに基づき判断する。乗員の右手でステアリング33を把持している状態の場合はステップ50に進み、乗員の右手でステアリング33を把持していない状態の場合はステップ60に進む。
【0063】
ステップ50では、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号を、シートセンサ11の出力信号とする。ステップ60では、デジタル回路73の出力端子73aから出力する信号を、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号とする。
【0064】
ステップ70では、出力端子73aから出力する信号の振幅を、デジタル回路73のメモリに記憶する。なお、この記憶した振幅は、前記ステップ30の処理で使用する。
3.車両用心電計測システム1が奏する効果
本実施形態の車両用心電計測システム1は、前記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の車両用心電計測システム1は、ステアリング33の把持状態が変化したとき、心電信号のゲインを再設定するので、図8に示すように、把持状態が変化(すわなち、ステアリング把持データRが変化)する前後において、心電信号の振幅を一定に保つことができる。
<第3の実施形態>
1.車両用心電計測システム1の構成
本実施形態における車両用心電計測システム1の構成を図9に基づいて説明する。図9は、車両用心電計測システム1の全体構成を表すブロック図である。
【0065】
車両用心電計測システム1の構成は、基本的には、前記第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、外側電極7は2.5Vの電位を与えられている。乗員の左手がステアリング33を把持していないとき、外側電極7は内側電極3と接続せず、その電位は2.5V(Hi)である。一方、乗員の左手がステアリング33を把持したとき、内側電極3と外側電極7は、ともに乗員の左手に接し、両者は導通する。その結果、外側電極7の電位は、Lo(GNDに比べ、人体電位の分だけ高い電位であり、2.5Vよりも低い電位)となる。
【0066】
また、本実施形態では、ボルテージフォロワ19の代わりに判別回路75を備えている。さらに、ボルテージフォロワ15とフィルター21との間に、差分取得用のアンプ77を備え、ボルテージフォロワ17とフィルター23との間に、差分取得用のアンプ79を備えている。
【0067】
判別回路75は、アンプ81、83、スイッチ85、抵抗87、89から構成される。スイッチ85の2つの入力端子85a、85bには、それぞれ、外側電極9が出力する、Lo又はHiである信号(ステアリング把持データR)と、外側電極7が出力する、Lo又はHiである信号(以下では、ステアリング把持データLとする)が入力する。よって、判別回路75は、乗員の右手及び左手の人体電位(ステアリング把持データR、L)を検出する人体電位検出手段として機能する。
【0068】
また、スイッチ85の出力端子85cは、アンプ77に接続している。また、ステアリング把持データLは、スイッチ85の他に、アンプ79にも入力している。
スイッチ85は、以下のように動作する。ステアリング把持データRがHiの場合、入力端子85bと出力端子85cを接続し、アンプ77に対し、ステアリング把持データLを出力する。一方、ステアリング把持データRがLoの場合、入力端子85aと出力端子85cを接続し、アンプ77に対し、ステアリング把持データRを出力する。
【0069】
また、判別回路75は、ステアリング把持データRをスイッチ25に出力し、スイッチ25は前記第1の実施形態と同様に動作する。
2.車両用心電計測システム1の動作
本実施形態の車両用心電計測システム1は、前記第1の実施形態と基本的には同様に動作する。すなわち、スイッチ25に入力するステアリング把持データRがLoの場合(乗員の右手がステアリング33を把持している場合)、車両用心電計測システム1は、加算回路31から、シートセンサ11の出力信号を出力し、スイッチ25に入力するステアリング把持データRがHiの場合(乗員の右手がステアリング33を把持していな場合)は、加算回路31から、シートセンサ11の出力信号とシートセンサ13の出力信号とを加算した信号を出力する。
【0070】
ただし、本実施形態では、加算回路31に入力するシートセンサ11の出力信号は、シートセンサ11の出力そのままではなく、アンプ77において作成された、シートセンサ11の出力と、スイッチ85から送られる信号との差分の信号である。ここで、スイッチ85からアンプ77に送られる信号は、ステアリング把持データRがHiの場合は、ステアリング把持データLであり、ステアリング把持データRがLoの場合は、ステアリング把持データRである。
【0071】
また、加算回路31に入力するシートセンサ13の出力信号は、シートセンサ13の出力そのままではなく、アンプ77において作成された、シートセンサ13の出力と、ステアリング把持データLとの差分の信号である。
【0072】
本実施形態の車両用心電計測システム1において、ステアリング33の把持状態が各状態の場合に、ステアリング把持データR、ステアリング把持データL、スイッチ85の出力、シートセンサ11の基準(アンプ77において差分の作成に用いる信号)、シートセンサ13の基準(アンプ79において差分の作成に用いる信号)、使用センサ(心電の計測に使用するシートセンサ)がそれぞれどのようになるかを、表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
3.車両用心電計測システム1が奏する効果
(1)本実施形態の車両用心電計測システム1は、前記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
(2)また、本実施形態では、シートセンサ11、13の出力をそのまま用いるのではなく、シートセンサ11、13の出力と人体電位との差分の信号を用いているので、コモンモードノイズ(人体に由来するノイズ)を除去し、心電を一層正確に計測することができる。
(3)さらに、本実施形態では、ステアリング33の把持状態に応じて、差分の作成に用いる人体電位を、適切に選択することができる。このことを図10に基づいて説明する。
【0075】
図10(a)は、乗員59が左手61のみでステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持していない状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、シートセンサ11とシートセンサ13を選択する。
【0076】
図10(a)の場合、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル67と、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ13に至る計測ベクトル69は、ともに、左手61を通るものである。そのため、図10(a)の場合、心電の計測に影響する人体電位は、左手の人体電位(ステアリング把持データL)である。
【0077】
車両用心電計測システム1は、図10(a)の場合、シートセンサ11、13の両方について、差分の作成にステアリング把持データLを用いるので(表1参照)、人体電位の影響を除去し、心電を正確に計測することができる。
【0078】
図10(b)は、乗員59が左手61と右手63の両方でステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持している状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、シートセンサ11のみを選択する。
【0079】
図10(b)の場合、左手61から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル67と、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル71が存在するが、計測ベクトル71の方が、心電ベクトル70との間に成す角度が小さい(平行に近い)ため、心電の計測において、より重要である。よって、図10(b)の場合、心電の計測に影響する人体電位は、右手の人体電位(ステアリング把持データR)である。
【0080】
車両用心電計測システム1は、図10(b)の場合、選択するシートセンサ11の信号と人体電位との差分の作成にステアリング把持データRを用いるので(表1参照)、人体電位の影響を除去し、心電を正確に計測することができる。
【0081】
図10(c)は、乗員59が右手63のみでステアリング33を把持している状態(右手63がステアリング33を把持している状態)を表す。この場合、車両用心電計測システム1は、シートセンサ11のみを選択する。
【0082】
図10(c)の場合、右手63から、心臓65を通り、シートセンサ11に至る計測ベクトル71が存在する。そのため、図10(c)の場合、心電の計測に影響する人体電位は、右手の人体電位(ステアリング把持データR)である。
【0083】
車両用心電計測システム1は、図10(c)の場合、選択するシートセンサ11の信号と人体電位との差分の作成にステアリング把持データRを用いるので(表1参照)、人体電位の影響を除去し、心電を正確に計測することができる。
【0084】
以上のように、車両用心電計測システム1は、ステアリング33の把持状態がいずれであっても、差分の作成に用いる人体電位を適切に選択し、心電の計測を一層正確に行うことができる。
【0085】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記第1〜第3の実施形態において、左手のみでステアリング33を把持している場合は、シートセンサ13のみの出力を、車両用心電計測システム1で検出してもよい。
【0086】
また、前記第2の実施形態において、ステアリング33の把持状態が変化したとき、デジタル回路73は、R波処理用の係数を変えるようにしてもよい。R波処理用の係数としては、例えば、心電検出の閾値、心電→状態推定の判定閾値等が挙げられる。
【0087】
また、前記第2の実施形態において、ステアリング33の把持状態が変化した直後(例えば、把持状態の変化から0.5秒間)の計測結果は、使用しないようにしてもよい。こうすることにより、信頼性の低いチャタリングデータを除去することができる。
【0088】
また、前記第1〜第3の実施形態において、ステアリング33の把持状態の検出は、他の方法であってもよい。例えば、右手による把持の有無と、左手による把持の有無とを、それぞれ検出してもよい。また、ステアリング33の把持は、電極を用いる方法以外の方法(例えば、ステアリング33に設けられた押圧センサや温度センサにより検出する方法、ステアリング33付近を撮影した画像により検出する方法等)で検出してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1・・・車両用心電計測システム、3、5・・・内側電極、
7、9・・・外側電極、11、13・・・シートセンサ、
15、17、19・・・ボルテージフォロワ、
21、23・・・フィルター、25・・・スイッチ、
25a、25b・・・入力端子、25c・・・出力端子、
27、29・・・ゲイン演算回路、31・・・加算回路、
33・・・ステアリング、35・・・シート、
37、45、51、77、79、81・・・アンプ、
39、43、47、53、55、87・・・抵抗、
41・・・コンデンサ、59・・・乗員、61・・・左手、
63・・・右手、65・・・心臓、
67、69、71・・・計測ベクトル、70・・・心電ベクトル、
73・・・デジタル回路、73a・・・出力端子、
75・・・判別回路、85・・・スイッチ、
85a、85b・・・入力端子、85c・・・出力端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングに設けられたGND電極と、
複数の容量式センサと、
前記ステアリングの把持状態を検出する把持状態検出手段と、
前記把持状態検出手段の検出結果に基づき、前記複数の容量式センサの一部の容量式センサを選択する選択手段と、
前記GND電極、及び前記選択手段により選択された容量式センサを用いて乗員の心電を計測する心電計測手段と、
を備えることを特徴とする車両用心電計測システム。
【請求項2】
前記複数の容量式センサは、乗員の臀部に接する第1の容量式センサと、乗員の右肩に接する第2の容量式センサとを含み、
前記選択手段は、前記把持状態検出手段により検出された前記把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持している状態の場合、前記第1の容量式センサを選択し、前記把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持していない状態の場合、少なくとも前記第2の容量式センサを選択することを特徴とする請求項1記載の車両用心電計測システム。
【請求項3】
前記GND電極にて乗員の右手及び左手の人体電位を検出する人体電位検出手段を備え、
前記心電計測手段は、前記把持状態検出手段により検出された前記把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持している状態の場合、前記選択手段により選択された前記容量式センサの信号値から、前記右手の人体電位を差し引いて、前記心電を計測するとともに、乗員の右手がステアリングを把持していない状態の場合、前記選択手段により選択された前記容量式センサの信号値から、前記左手の人体電位を差し引いて、前記心電を計測することを特徴とする請求項2記載の車両用心電計測システム。
【請求項4】
前記第1の容量式センサは、車両のシートの中に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用心電計測システム。
【請求項5】
前記第2の容量式センサは、車両のシートの中、又はシートベルトに配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の車両用心電計測システム。
【請求項6】
前記GND電極にて乗員の人体電位を検出する人体電位検出手段を備え、
前記心電計測手段は、前記容量式センサの信号値から、前記人体電位を差し引いて、前記心電を計測することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用心電計測システム。
【請求項7】
前記把持状態検出手段は、
前記ステアリングにおいて乗員の右手で把持する部分、及び/又は、乗員の左手で把持する部分に設けられた、GNDに接地した電極A、及び所定の電位が与えられた電極Bを備え、
前記電極Bの電位に基づき、前記把持状態を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用心電計測システム。
【請求項8】
前記ステアリングにおいて、前記電極Aは、前記電極Bよりも、広い範囲にわたって設けられていることを特徴とする請求項7記載の車両用心電計測システム。
【請求項9】
前記把持状態検出手段により検出される前記把持状態が変化した場合、その変化後における前記心電の計測結果の振幅が、所定の値となるように、前記心電の計測における増幅率を設定する増幅率設定手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用心電計測システム。
【請求項10】
前記心電の計測結果を記憶する記憶手段を備え、
前記増幅率設定手段は、前記把持状態が変化した後における前記心電の計測結果の振幅が、前記記憶手段に記憶された、前記把持状態が変化する前における前記心電の計測結果の振幅となるように、前記増幅率を設定することを特徴とする請求項9記載の車両用心電計測システム。
【請求項1】
ステアリングに設けられたGND電極と、
複数の容量式センサと、
前記ステアリングの把持状態を検出する把持状態検出手段と、
前記把持状態検出手段の検出結果に基づき、前記複数の容量式センサの一部の容量式センサを選択する選択手段と、
前記GND電極、及び前記選択手段により選択された容量式センサを用いて乗員の心電を計測する心電計測手段と、
を備えることを特徴とする車両用心電計測システム。
【請求項2】
前記複数の容量式センサは、乗員の臀部に接する第1の容量式センサと、乗員の右肩に接する第2の容量式センサとを含み、
前記選択手段は、前記把持状態検出手段により検出された前記把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持している状態の場合、前記第1の容量式センサを選択し、前記把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持していない状態の場合、少なくとも前記第2の容量式センサを選択することを特徴とする請求項1記載の車両用心電計測システム。
【請求項3】
前記GND電極にて乗員の右手及び左手の人体電位を検出する人体電位検出手段を備え、
前記心電計測手段は、前記把持状態検出手段により検出された前記把持状態が、乗員の右手がステアリングを把持している状態の場合、前記選択手段により選択された前記容量式センサの信号値から、前記右手の人体電位を差し引いて、前記心電を計測するとともに、乗員の右手がステアリングを把持していない状態の場合、前記選択手段により選択された前記容量式センサの信号値から、前記左手の人体電位を差し引いて、前記心電を計測することを特徴とする請求項2記載の車両用心電計測システム。
【請求項4】
前記第1の容量式センサは、車両のシートの中に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用心電計測システム。
【請求項5】
前記第2の容量式センサは、車両のシートの中、又はシートベルトに配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の車両用心電計測システム。
【請求項6】
前記GND電極にて乗員の人体電位を検出する人体電位検出手段を備え、
前記心電計測手段は、前記容量式センサの信号値から、前記人体電位を差し引いて、前記心電を計測することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用心電計測システム。
【請求項7】
前記把持状態検出手段は、
前記ステアリングにおいて乗員の右手で把持する部分、及び/又は、乗員の左手で把持する部分に設けられた、GNDに接地した電極A、及び所定の電位が与えられた電極Bを備え、
前記電極Bの電位に基づき、前記把持状態を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用心電計測システム。
【請求項8】
前記ステアリングにおいて、前記電極Aは、前記電極Bよりも、広い範囲にわたって設けられていることを特徴とする請求項7記載の車両用心電計測システム。
【請求項9】
前記把持状態検出手段により検出される前記把持状態が変化した場合、その変化後における前記心電の計測結果の振幅が、所定の値となるように、前記心電の計測における増幅率を設定する増幅率設定手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用心電計測システム。
【請求項10】
前記心電の計測結果を記憶する記憶手段を備え、
前記増幅率設定手段は、前記把持状態が変化した後における前記心電の計測結果の振幅が、前記記憶手段に記憶された、前記把持状態が変化する前における前記心電の計測結果の振幅となるように、前記増幅率を設定することを特徴とする請求項9記載の車両用心電計測システム。
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−27414(P2013−27414A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163417(P2011−163417)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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