説明

車両用灯具

【課題】 アウターレンズの内面の外縁部分に入り込んだ雨水等による疑似水入り現象を防止し、外観の見栄えを向上させることが可能な車両用灯具を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る車両用灯具1は、開口4a〜4cが形成されたハウジング3と、開口4a〜4cを閉塞するアウターレンズ5とを備えている。アウターレンズ5は、開口4a〜4cを覆う本体面部6と、本体面部6に立設されて開口4a〜4cの周縁に形成される凹所8a〜8cに嵌着される取付脚部7とを有し、本体面部6の取付脚部7よりも外縁側の内面に、下方向に延設されたローレットプリズム9が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口が形成されたハウジングと該開口を閉塞するアウターレンズとを備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両用灯具には、レンズ及びリフレクタを収納するハウジングと、ハウジングの正面に形成される開口を閉塞しつつ開口を介してレンズの照明光をハウジングの正面に投光させるアウターレンズとを備えている。
【0003】
アウターレンズは、レンズ面を形成する本体面部と、本体面部より立設される取付脚部とを有している。取付脚部は、本体面部の内面側の周縁近傍に形成されており、ハウジングの開口周縁近傍に形成される凹所に取付脚部の先端を嵌着させることによって、アウターレンズがハウジングに固定される構造となっている。
【0004】
アウターレンズの本体面部の取付脚部よりも外縁側の部分は、アウターレンズがハウジングに取り付けられて車両に設置された場合に、車両の外装部とランプユニットとの境界を構成するダミーレンズ部分となる。このダミーレンズ部分のダミー幅は、外観の見栄えを考慮して決定される(通常5mm未満)。しかしながら、ダミー幅が長くなってしまう場合(5mm以上の場合)には、ダミーレンズ部分の内側に入り込んだ雨水等が表面張力によってダミーレンズ部分に張り付いて、ハウジング側に水が入り込んでしまったように外部から見える疑似水入り現象を起こすおそれがあった。
【0005】
この疑似水入り現象を防止するため、ダミーレンズ部分、つまり、アウターレンズの本体面部の内面側であって取付脚部よりも外縁側の面には、アウターレンズを縁取るようにしてローレットプリズムが水平方向に延設されている。ローレットプリズムとは、凸状又は凹状プリズムを連続して整列させたものである。
【0006】
ローレットプリズムを設けることによって、雨水等が隣接するプリズムとプリズムとの境界溝に入り込んでプリズムの延設方向に細長く延びて分散されるので、疑似水入り現象を防止することが可能となる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平3−121607号公報
【特許文献2】実開昭61−153919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今日では車高の高いワンボックス等の車両が多く販売されており、これらの車高の高い車両は、最後尾のピラー部分に縦長のリヤコンビネーションランプ(以下、「リヤコンビランプ」とする。)を備えるものが多く存在している。ワンボックス等のリヤコンビランプに用いられるアウターレンズは、セダン等のリヤコンビランプに用いられるアウターレンズに比べて縦方向(上下方向)に長いため、ダミーレンズ部分に雨水等が浸入すると、水平に形成されるローレットプリズムによって上方から侵入した雨水等が下方へ流れ落ちづらくなり、雨水等が各境界溝に溜まって疑似水入り現象を招いてしまうおそれがあるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、アウターレンズの内面の外縁部分に入り込んだ雨水等による疑似水入り現象を防止し、外観の見栄えを向上させることが可能な車両用灯具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用灯具は、開口が形成されたハウジングと、該開口を閉塞するアウターレンズとを備える車両用灯具であって、前記アウターレンズが、前記開口を覆う本体面部と、該本体面部に立設されて前記開口の周縁に形成される凹所に嵌着される取付脚部とを有し、前記本体面部の前記取付脚部よりも外縁側の内面に、下方向に延設されたローレットプリズムが形成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車両用灯具は、開口が形成されたハウジングと、該開口を閉塞するアウターレンズとを備える車両用灯具であって、前記アウターレンズが、前記開口を覆う本体面部と、該本体面部に立設されて前記開口の周縁に形成される凹所に嵌着される取付脚部とを有し、前記本体面部の前記取付脚部よりも外縁側の内面に、前記本体面部の端縁部に向かって斜め下方向に延設されたローレットプリズムが形成されることを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両用灯具によれば、アウターレンズの外縁側の内面に雨水等が浸入した場合、ローレットプリズムの延設方向に、雨水等が自重によって流れ落ちていくので、雨水等がアウターレンズに溜まりづらくなり、疑似水入り現象の発生を防止することができる。
【0012】
また、雨水等が完全に流れ落ちずにローレットプリズムに僅かに残っている場合であっても、隣合うローレットプリズムの境界溝に沿って雨水等が長く延びるので、雨水等がアウターレンズに表面張力によって張り付くことを抑制することができ、疑似水入り現象の発生を防止して外観見栄えの向上を図ることが可能となる。
【0013】
さらに、ローレットプリズムが、前記本体面部の前記取付脚部よりも外縁側の内面に、前記本体面部の端縁部に向かって斜め下方向に延設されることによって、本体面部の取付脚部近傍の雨水等が本体面部の端縁部から外側に排出されやすくなり、取付脚部近傍に雨水等が留まってしまうことを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用灯具としてのリヤコンビランプについて説明を行う。
本発明に係るリヤコンビランプは、図1に示すように、車両30の最後尾のピラーに設けられており、縦長の形状を呈している。
【0015】
リヤコンビランプ1は、図2に示すように、照明光源となるバルブ2a〜2cと、バルブ2a〜2cを収納するハウジング3と、ハウジング3の正面に形成される開口4a〜4cを閉塞しつつ開口4a〜4cを介してバルブ2a〜2cの照明光をハウジング3の正面方向に投光させるアウターレンズ5とを備えている。
【0016】
アウターレンズ5は、図3、図4に示すように、レンズ面を形成する本体面部6と、本体面部6より立設される取付脚部7とを有している。取付脚部7は、本体面部6の内面側の周縁近傍に形成されており、ハウジング3の開口4a〜4cの周縁近傍に形成される凹所8a〜8c(図2参照)に取付脚部7の先端を嵌着させることによって、アウターレンズ5がハウジング3に固定される構造となっている。
【0017】
アウターレンズ5の本体面部6の内面であって取付脚部7よりも外縁側の面には、アウターレンズ5を縁取るようにしてローレットプリズム9が設けられている。
【0018】
ローレットプリズム9は、図3、図4に示すように、アウターレンズ5の長手方向に延びるようにして、より具体的には、ハウジング3を介して車両に取り付けられたアウターレンズ5の上下方向(下方向)に延設されるようにしてアウターレンズ5の取付脚部7の外縁側の内面に形成される。
【0019】
このように、ローレットプリズム9が、上下方向に延設されるようにしてアウターレンズ5に設けられているので、アウターレンズ5の外縁側の内面に雨水等が浸入した場合、ローレットプリズム9の延設方向である下方向に、雨水等が自重によって流れ落ちていって、雨水等がアウターレンズ5に溜まりづらくなり、疑似水入り現象の発生を防止することができる。
【0020】
また、雨水等が完全に流れ落ちずにローレットプリズム9に僅かに残っている場合であっても、境界溝9aに沿って雨水等が長く延びるので、雨水等が表面張力によってアウターレンズ5に張り付くことを抑制することができ、疑似水入り現象の発生を防止して外観見栄えの向上を図ることが可能となる。
【0021】
図5、図6は、図3、図4に示したアウターレンズ5とは異なる他のアウターレンズ10を示した図である。アウターレンズ10では、ローレットプリズム11が、本体面部12の端縁部13に向かって斜め下方向に延設されている。
【0022】
このように端縁部13に向かって斜め下方向にローレットプリズム11が延設されることによって、アウターレンズ10の外縁側の内面に雨水等が浸入した場合、ローレットプリズム11の延設方向である斜め下方向に雨水等が流れ落ちていくので、雨水等がアウターレンズ10とハウジング3との間に溜まりづらくなり、疑似水入り現象の発生を防止することができる。
【0023】
特に、ローレットプリズム11が本体面部12の端縁部13に向かって斜め下方向に延設されているので、本体面部12の取付脚部14近傍の雨水等が本体面部12の端縁部13から外側に排出されやすくなり、取付脚部14近傍に雨水等が留まってしまうことを防止することが可能となる。
【0024】
また、雨水等が完全に流れ落ちずにローレットプリズム11に僅かに残っている場合であっても、境界溝に沿って雨水等が長く延びるので、雨水等が表面張力によってアウターレンズ10に張り付くことを抑制することができ、疑似水入り現象の発生を防止して外観見栄えの向上を図ることが可能となる。
【0025】
以上、本発明に係る車両用灯具を、図面を用いて説明したが、本発明に係る車両用灯具は上述したものに限定されるものではない。例えば、図3に示したアウターレンズ5では、上下方向に延設されたローレットプリズム9が本体面部6の外縁形状に沿って緩やかなカーブを描くようにして形成されているが、ローレットプリズム9を本体面部6の外縁形状に沿わせることなく下方向に向かって垂直に形成してもよい。ローレットプリズム9を下方向に向けて垂直に形成することによって、雨水等が自重によってより下方に流れ落ちやすくなるので、疑似水入り現象の発生をより効果的に防止することが可能となる。
【0026】
また、上述した実施例では、リヤコンビランプを用いて本発明に係る車両用灯具の説明を行ったが、本発明に係る車両用灯具はリヤコンビランプに限定されるものではない。例えば、フロントコンビランプ等のアウターレンズの外縁側の内面に、上述した方向に延設されたローレットプリズムを設けることによって、同様の効果を奏することが可能である。
【0027】
さらに、照明光源としてバルブだけでなくLED等の他の光源を用いてもよく、他の光源を用いた場合であっても本願発明と同じ効果を奏することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る車両用灯具を搭載した車両を示した斜視図である。
【図2】リヤコンビランプの概略構成を示した展開斜視図である。
【図3】アウターレンズを示した側面図である。
【図4】図2及び図3のA−A断面を矢印方向から見た断面図である。
【図5】図3に示したものとは異なる他のアウターレンズを示した側面図である。
【図6】図5のB−B断面を矢印方向から見た断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 リヤコンビランプ
2a〜2b バルブ
3 ハウジング
4a〜4c 開口
5、10 アウターレンズ
6、12 本体面部
7、14 取付脚部
8a〜8c 凹所
9、11 ローレットプリズム
9a 境界溝
13 端縁部
30 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されたハウジングと、該開口を閉塞するアウターレンズとを備える車両用灯具であって、
前記アウターレンズは、前記開口を覆う本体面部と、該本体面部に立設されて前記開口の周縁に形成される凹所に嵌着される取付脚部とを有し、
前記本体面部の前記取付脚部よりも外縁側の内面に、下方向に延設されたローレットプリズムが形成されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
開口が形成されたハウジングと、該開口を閉塞するアウターレンズとを備える車両用灯具であって、
前記アウターレンズは、前記開口を覆う本体面部と、該本体面部に立設されて前記開口の周縁に形成される凹所に嵌着される取付脚部とを有し、
前記本体面部の前記取付脚部よりも外縁側の内面に、前記本体面部の端縁部に向かって斜め下方向に延設されたローレットプリズムが形成されることを特徴とする車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−4812(P2006−4812A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181079(P2004−181079)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】