説明

車両用灯具

【課題】従来の車両用灯具では、リフレクタ所定部分の反射面に指や物などが接触したりごみが付着したりする場合があり、また、バルブ交換の作業性が煩雑である。
【解決手段】この発明は、ランプハウジング2には開口部12が設けられている。ランプハウジング2の開口部12の縁にはカバー9が着脱可能に取り付けられている。リフレクタが、光源バルブ7が取り付けられている部分の回転部4と、その他の部分の固定部5とに分割されている。回転部4が、固定部5に第1位置と第2位置との間に回転可能に取り付けられている。この結果、この発明は、リフレクタの回転部4の反射面17に指や物などが接触したりごみが付着したりする場合が無い。また、光源バルブ7の交換の作業性が簡便である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、ヘッドランプ、フォグランプ、フロントコンビネーションランプ、リヤコンビネーションランプなどの車両用灯具であって、光源バルブが交換可能に取り付けられている車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、ランプハウジング内に、リフレクタおよびそのリフレクタの所定位置に取り付けられたバルブが収容されていて、ランプハウジングの上面部に開口が形成されるとともにその開口を閉塞する蓋部材が設けられ、リフレクタの、少なくともバルブの取付け部を含む所定部分が、リフレクタの他の部分と分割形成されて蓋部材に支持されているものである。従来の車両用灯具は、ランプハウジングから蓋部材を取り外せば、その蓋部材に支持されたリフレクタ所定部分も同時に外部に取り出すことができるので、このリフレクタ所定部分のバルブ取付け部に対してバルブの着脱を行うことにより、バルブ交換をランプ上方から行うことができるものである。前記の従来の車両用灯具は、ランプの後方においてバルブの交換スペースがなく、ランプの上方においてバルブの交換スペースがある場合において、最適である。
【0003】
ところが、従来の車両用灯具は、バルブ交換時において、リフレクタ所定部分を蓋部材とともに外部(ランプハウジングの外)に取り出すものであるから、下記の課題がある。すなわち、外部に取り出したリフレクタ所定部分の反射面に指や物などが接触したりまたごみが付着したりする場合がある。また、バルブ交換の間、作業者が外部に取り出したリフレクタ所定部分を持ちながらバルブ交換の作業を行う必要があるので、バルブ交換の作業が煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−251602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、リフレクタ所定部分の反射面に指や物などが接触したりごみが付着したりする場合があり、また、バルブ交換の作業性が煩雑であるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、ランプハウジングには開口部が設けられていて、ランプハウジングの開口部の縁にはカバーが着脱可能に取り付けられていて、リフレクタが、光源バルブが取り付けられている部分の回転部と、その他の部分の固定部とに分割されていて、回転部が、固定部に第1位置と第2位置との間に回転可能に取り付けられていて、第1位置が、光源バルブからの光がリフレクタで所定の配光パターンで所定の方向に反射される位置であり、第2位置が、開口部を通して光源バルブを交換する位置である、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、回転部と固定部とには、回転部の第1位置と第2位置とに位置決めする第1位置決め部と第2位置決め部とがそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、開口部がランプハウジングの上部に設けられていて、固定部には光軸調整機構を取り付ける取付部が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、ランプハウジングの開口部からカバーを着脱可能に取り外し、開口部を通して灯室内において、第1位置に位置するリフレクタの回転部をリフレクタの固定部に対して第2位置まで回転させ、かつ、第2位置に位置する回転部において光源バルブの交換を行うことができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、ランプハウジングの外でバルブの交換を行う従来の車両用灯具のように、リフレクタの回転部の反射面に指や物などが接触したりごみが付着したりする場合が無い。
【0010】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、リフレクタの回転部がリフレクタの固定部に回転可能に取り付けられているので、光源バルブの交換の間、作業者が回転部を持つ必要が無ない。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、バルブの交換の間、作業者がバルブを持つ必要がある従来の車両用灯具と比較して、光源バルブの交換作業が簡便である。
【0011】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、第1位置決め部により、回転部の第1位置が決められるので、リフレクタの回転部と固定部とが相互に固定され、車両の振動でリフレクタの回転部と固定部との相対位置がずれることが無い。
【0012】
しかも、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、第2位置決め部により、回転部の第2位置が決められるので、リフレクタの回転部と固定部とが相互に固定され、光源バルブ交換をさらに簡便に行うことができる。
【0013】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、開口部がランプハウジングの上部に設けられているので、灯具の後方において光源バルブの交換スペースがなく、灯具の上方において光源バルブの交換スペースがある場合において、最適である。
【0014】
しかも、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、リフレクタの固定部に光軸調整機構が取り付けられるので、リフレクタの光軸を調整することができ、その上、光源バルブ交換時に光軸調整機構を回転させる必要が無いので、光源バルブ交換作業がさらに簡便となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例を示し、回転部が第1位置に位置するときの状態の縦断面図(垂直断面図)である。
【図2】同じく、回転部が第2位置に位置するときの状態を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図3】同じく、回転部が第2位置に位置していて光源バルブの交換作業状態を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図4】同じく、リフレクタの回転部と固定部とを示す斜視図である。
【図5】同じく、リフレクタの回転部と固定部と回転取付部とを示す分解斜視図である。
【図6】同じく、リフレクタの回転部と固定部と回転取付部とを示す斜視図である。
【図7】同じく、リフレクタの回転部と固定部と回転取付部とを示す一部縦断面図(垂直断面図)である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、右、左」は、車両用灯具を車両に装備された際の「上、下、前、後、右、左」である。
【実施例】
【0017】
以下、この実施例における車両用灯具の構成について説明する。図1において、符号1は、この実施例における車両用灯具であって、この例ではヘッドランプである。前記車両用灯具1は、ランプハウジング2と、ランプレンズ3と、リフレクタ(回転リフレクタ4および固定リフレクタ5)と、インナーパネル(インナーハウジング)6と、光源バルブ7と、ソケット8と、カバー9と、を備えるものである。ヘッドランプとしての前記車両用灯具1は、車両の前部の左右両側部の所定の位置に装備されている。
【0018】
前記ランプハウジング2は、前記車両の車体パネル10に取り付けられている。前記ランプハウジング2は、この例では、光不透過性の樹脂部材から構成されている。前記ランプハウジング2は、光照射方向の一方向側(この例では、前側)が開口し、かつ、その他の5方向側(後側、上側、下側、右側、左側)が閉塞した中空形状をなす。前記ランプハウジング2の前側開口部の全周縁には、シール凹部11が設けられている。
【0019】
前記ランプハウジング2の上側閉塞部には、前記光源バルブ7交換のための開口部12が設けられている。前記開口部12の全周縁には、取付凹部13が設けられている。前記取付凹部13には、前記カバー9がOリング(もしくはシール部材)14を介して着脱可能に、たとえば、スクリュー(図示せず)により着脱可能に取り付けられている。
【0020】
一方、前記ランプレンズ3は、この例では、光透過性の樹脂部材から構成されている。前記ランプレンズ3は、この例では、素通しのアウターカバーからなる。前記ランプレンズ3は、光照射方向と反対側の一方向側(この例では、後側)が開口し、かつ、その他の5方向側(前側、上側、下側、右側、左側)が閉塞した形状をなす。前記ランプレンズ3の後側開口部の全周縁には、シール脚部15が一体に設けられている。
【0021】
前記ランプハウジング2の前記シール凹部11に前記ランプレンズ3の前記シール脚部15がシールされている。前記ランプハウジング2および前記ランプレンズ3により、灯室16が区画されている。前記灯室16内には、前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)が光軸調整可能に収納されている。すなわち、前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)は、前記ランプハウジング2に光軸調整機構(図示せず)を介して水平軸回りに上下方向におよび垂直軸回りに左右方向に傾動(回動、回転)可能に取り付けられている。また、前記灯室内16内には、前記インナーパネル6および前記光源バルブ7および前記ソケット8および前記カバー9が収納されている。
【0022】
前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)は、光照射方向の一方向側(この例では、前側)が開口し、かつ、その他の5方向側(後側、上側、下側、右側、左側)が閉塞した中空形状をなす。前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)の閉塞部の内面には、前記光源バルブ7からの光を所定の配光パターンで所定の方向に反射させる反射面17が設けられている。前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)の閉塞部の外面の3箇所(右上、左上、左下)には、前記光軸調整機構を取り付ける取付部18が一体に設けられている。前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)の後側閉塞部の中央には、前記光源バルブ7を前記反射面17側に挿入するための挿入孔19が設けられている。
【0023】
前記リフレクタは、前記光源バルブ7が取り付けられていてかつ前記挿入孔19が設けられている部分の回転部4と、その他の部分であって前記取付部18が設けられている部分の固定部5と、に2分割されている。
【0024】
前記回転部4は、回転取付部20を介して前記固定部5に第1位置(図1および図6に示す位置)と第2位置(図2および図3に示す位置)との間に回転可能に取り付けられている。前記第1位置は、前記光源バルブ7からの光が前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)の反射面17で所定の配光パターンで所定の方向に反射される位置である。前記第2位置は、前記開口部12を通して前記光源バルブ7を交換する位置である。
【0025】
前記回転取付部20は、前記回転部4に一体に設けた2個の取付部21と、前記固定部5に一体に設けた2個の取付部22と、前記回転部4の前記2個の取付部21と前記固定部5の前記2個の取付部22とに軸支した2本の取付ピン23と、からなる。
【0026】
前記回転部4の前記2個の取付部21は、前記回転部4の前記挿入孔19の左右両側であって前記回転部4の左右両側縁に設けられている。前記回転部4の前記2個の取付部21には、小径のピン孔が設けられている。
【0027】
一方、前記固定部5の前記2個の取付部22は、前記固定部5のうち前記回転部4を分割した後の開口部の左右両側縁に前記回転部4の前記2個の取付部21に対応して設けられている。前記固定部5の前記2個の取付部22には、大径と小径との2段のピン孔が設けられている。
【0028】
前記取付ピン23は、大径と小径との2段ピンをなす。前記取付ピン23は、前記回転部4の前記2個の取付部21のピン孔および前記固定部5の前記2個の取付部22のピン孔に軸支される。すなわち、前記取付ピン23と前記回転部4の前記2個の取付部21のピン孔とを固定し、一方、前記取付ピン23と前記固定部5の前記2個の取付部22のピン孔とを回転可能とする。あるいは、前記取付ピン23と前記回転部4の前記2個の取付部21のピン孔とを回転可能とし、一方、前記取付ピン23と前記固定部5の前記2個の取付部22のピン孔とを固定する。
【0029】
この結果、前記回転部4は、前記固定部5に、前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)の光軸Z−Zに対して直交(ほぼ直交も含む)し、かつ、前記光源バルブ7の中心(ほぼ中心も含む)を通る回転軸O−O回りに回転可能に取り付けられることとなる。
【0030】
前記回転部4と前記固定部5とには、前記回転部4の前記第1位置と前記第2位置とに位置決めする第1位置決め部と第2位置決め部とがそれぞれ設けられている。すなわち、前記回転部4の一側縁(左側縁)には、位置決め部24が前記固定部5の前記1個(左側)の取付部22に対向するように一体に突設されている。前記回転部4の前記位置決め部24には、位置決め凸部25が一体に設けられている。
【0031】
一方、前記固定部5のうち前記回転部4を分割した後の開口部の一側縁(左側縁)および前記1個(左側)の取付部23には、前記回転部4の前記位置決め部24が当接する第1位置決め部26および第2位置決め部27と、前記回転部4の前記位置決め凸部25が嵌合する第1位置決め凹部28および第2位置決め凹部29と、がそれぞれ設けられている。
【0032】
図8中の実線に示すように、前記回転部4の前記位置決め部24が前記固定部5の前記第1位置決め部26に当接し、かつ、前記回転部4の前記位置決め凸部25が前記固定部5の前記第1位置決め凹部28に嵌合することにより、前記回転部4の第1位置が決められる。また、図8中の二点鎖線に示すように、前記回転部4の前記位置決め部24が前記固定部5の前記第2位置決め部27に当接し、かつ、前記回転部4の前記位置決め凸部25が前記固定部5の前記第2位置決め凹部29に嵌合することにより、前記回転部4の第2位置が決められる。
【0033】
前記インナーパネル6は、前記灯室16内の前記前記ランプハウジング2および前記ランプレンズ3と、前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)との間に配置されていて、前記ランプハウジングに取り付けられている。前記インナーパネル6は、前記灯室16内の前記前記ランプハウジング2および前記ランプレンズ3と、前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)との間から、前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)の裏側が見えないように目隠しするものである。
【0034】
前記光源バルブ7は、前記ソケット8に着脱可能に取り付けられている。前記ソケット8は、前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)の前記挿入孔19の縁に着脱可能に取り付けられている。この結果、前記光源バルブ7は、前記リフレクタ(前記回転リフレクタ4および前記固定リフレクタ5)に交換可能に取り付けられることとなる。
【0035】
前記ソケット8には、ハーネス30が電気的に接続されている。前記ハーネス30は、前記カバー9に前記灯室16内から外部に引き出されている。外部に引き出されている前記ハーネス30には、コネクタ31が電気的に接続されている。前記コネクタ31に電源側のコネクタ(図示せず)を電気的にかつ着脱可能に接続することにより、前記光源バルブ7に給電可能となる。
【0036】
回転側の前記回転部4および前記光源バルブ7および前記ソケット8と、固定側の前記固定部5および前記ランプハウジング2との間には、回転側が固定側に対して前記回転軸O−O回りに第1位置と第2位置との間を回転する際において、回転側と固定側とが相互に接触しない程度の隙間が、設けられている。前記隙間は、この例では、約2〜4mmである。
【0037】
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0038】
まず、光源バルブ7を点灯させる。すると、光源バルブ7から光が放射される。この光は、リフレクタの回転部4の反射面17およびリフレクタの固定部5の反射面17で反射されて、所定の配光パターンで所定の方向にランプレンズ3を透過して外部に照射される。このとき、図1および図6および図8中の実線に示すように、回転部4の位置決め部24が固定部5の第1位置決め部26に当接し、かつ、回転部4の位置決め凸部25が固定部5の第1位置決め凹部28に嵌合していて、回転部4が第1位置に位置決めされている。この結果、リフレクタの回転部4と固定部5とは、相互に固定されていて、車両の振動により、リフレクタの固定部4と回転部5との相対位置がずれるようなことは無い。
【0039】
光軸調整機構を調整すると、リフレクタの回転部4および固定部5が水平軸回りに上下方向におよび垂直軸回りに左右方向に傾動して、リフレクタの回転部4の反射面17およびリフレクタの固定部5の反射面17の光軸Z−Zが調整される。
【0040】
そして、光源バルブ7の交換は、まず、ランプハウジング2からカバー9を取り外す(図2参照)。つぎに、カバー9を取り外した後のランプハウジング2の開口部12を通して、リフレクタの回転部4を光源バルブ7およびソケット8と共にリフレクタの固定部5に対して、回転軸O−O回りに実線矢印方向に第1位置から第2位置に位置させる(図2参照)。つづいて、リフレクタの回転部4の挿入孔19から光源バルブ7およびソケット8を取り外して、この光源バルブ7およびソケット8をランプハウジング2の開口部12から灯室16外に取り出す(図3参照)。それから、灯室16外において古い光源バルブ7をソケット8から取り外す(図3参照)。
【0041】
つぎに、灯室16外において新しい光源バルブ7をソケット8に取り付ける。つづいて、新しい光源バルブ7およびソケット8をランプハウジング2の開口部12から灯室16内に収容させると共に、第2位置に位置するリフレクタの回転部4の挿入孔に取り付ける。それから、リフレクタの回転部4を光源バルブ7およびソケット8と共にリフレクタの固定部5に対して、回転軸O−O回りに二点鎖線矢印方向に第2位置から第1位置に位置させる。そして、ランプハウジング2にカバー9を取り付けて、ランプハウジング2の開口部12をカバーする。これにより、光源バルブ7の交換が完了する。
【0042】
光源バルブ7の交換時においては、図2および図3および図8中の二点鎖線に示すように、回転部4の位置決め部24が固定部5の第2位置決め部27に当接し、かつ、回転部4の位置決め凸部25が固定部5の第2位置決め凹部29に嵌合していて、回転部4が第2位置に位置決めされている。この結果、リフレクタの回転部4と固定部5とは、相互に固定されていて、光源バルブ7およびソケット8の回転部4からの取外作業や回転部4への取付作業が簡便となる。
【0043】
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0044】
この実施例における車両用灯具1は、ランプハウジング2の開口部12からカバー9を着脱可能に取り外し、開口部12を通して灯室16内において、第1位置に位置するリフレクタの回転部4をリフレクタの固定部5に対して第2位置まで回転させ、かつ、第2位置に位置する回転部4において光源バルブ7の交換を行うことができる。この結果、この実施例における車両用灯具1は、ランプハウジングの外でバルブの交換を行う従来の車両用灯具のように、リフレクタの回転部4の反射面17に指や物などが接触したりごみが付着したりする場合が無い。
【0045】
しかも、この実施例における車両用灯具1は、リフレクタの回転部4がリフレクタの固定部5に回転可能に取り付けられているので、光源バルブ7の交換の間、作業者が回転部4を持つ必要が無ない。この結果、この実施例における車両用灯具1は、バルブの交換の間、作業者がバルブを持つ必要がある従来の車両用灯具と比較して、光源バルブ7の交換作業が簡便である。
【0046】
また、この実施例における車両用灯具1は、第1位置決め部(回転部4の位置決め部24および位置決め凸部25と、固定部5の第1位置決め部26および第1位置決め凹部28)により、回転部4の第1位置が決められるので、リフレクタの回転部4と固定部5とが相互に固定され、車両の振動でリフレクタの回転部4と固定部5との相対位置がずれることが無い。
【0047】
しかも、この実施例における車両用灯具1は、第2位置決め部(回転部4の位置決め部24および位置決め凸部25と、固定部5の第2位置決め部27および第2位置決め凹部29)により、回転部の第2位置が決められるので、リフレクタの回転部4と固定部5とが相互に固定され、光源バルブ交換をさらに簡便に行うことができる。
【0048】
さらに、この実施例における車両用灯具1は、開口部12がランプハウジング2の上部に設けられているので、灯具の後方において光源バルブ7の交換スペースがなく、灯具の上方において光源バルブ7の交換スペースがある場合において、最適である。
【0049】
しかも、この実施例における車両用灯具1は、リフレクタの固定部5に光軸調整機構が取り付けられるので、リフレクタの光軸Z−Zを調整することができ、その上、光源バルブ7の交換時に光軸調整機構を回転させる必要が無いので、光源バルブ7の交換作業がさらに簡便となる。
【0050】
なお、前記の実施例においては、車両用灯具としてヘッドランプについて説明する。ところが、この発明においては、ヘッドランプ以外の車両用灯具、たとえば、フォグランプ、フロントコンビネーションランプ、リヤコンビネーションランプなどの車両用灯具にも適用することができる。
【0051】
また、前記の実施例においては、開口部12をランプハウジング2の上部に設けたものである。ところが、この発明においては、開口部をランプハウジングの上部以外の部分に設けても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用灯具
2 ランプハウジング
3 ランプレンズ
4 リフレクタの回転部(回転リフレクタ)
5 リフレクタの固定部(固定リフレクタ)
6 インナーパネル
7 光源バルブ
8 ソケット
9 カバー
10 車体パネル
11 シール凹部
12 開口部
13 取付凹部
14 Oリング
15 シール脚部
16 灯室
17 反射面
18 取付部
19 挿入孔
20 回転取付部
21 取付部
22 取付部
23 取付ピン
24 位置決め部
25 位置決め凸部
26 第1位置決め部
27 第2位置決め部
28 第1位置決め凹部
29 第2位置決め凹部
30 ハーネス
31 コネクタ
Z−Z 光軸
O−O 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源バルブが交換可能に取り付けられている車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されているリフレクタと、
前記リフレクタに交換可能に取り付けられている光源バルブと、
を備え、
前記ランプハウジングには、開口部が設けられていて、
前記ランプハウジングの前記開口部の縁には、カバーが着脱可能に取り付けられていて、
前記リフレクタは、前記光源バルブが取り付けられている部分の回転部と、その他の部分の固定部とに分割されていて、
前記回転部は、前記固定部に第1位置と第2位置との間に回転可能に取り付けられていて、
前記第1位置は、前記光源バルブからの光が前記リフレクタで所定の配光パターンで所定の方向に反射される位置であり、
前記第2位置は、前記開口部を通して前記光源バルブを交換する位置である、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記回転部と前記固定部とには、前記回転部の前記第1位置と前記第2位置とに位置決めする第1位置決め部と第2位置決め部とがそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記開口部は、前記ランプハウジングの上部に設けられていて、
前記固定部には、光軸調整機構を取り付ける取付部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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