説明

車両用灯具

【課題】部品点数や組付工数を削減してコストダウンを図ることができる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】ハウジング2とその開口部を覆うレンズ3によって画成される灯室4内に、バルブ(光源)7と、該バルブ7から出射される光を車両外側方に向けて反射させるリフレクタと、該リフレクタの周囲に配されるエクステンション10を収容して成る車両用灯具1において、前記エクステンション10に前記リフレクタを兼ねるリフレクタ部10Cをスライド型によって一体に形成する。又、エクステンション10の前記リフレクタ部10Cに遮光リブ10a,10bを一体に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前照灯とサイドマーカー(方向指示器)等を一体化して成るコンビネーションヘッドランプ等の車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前照灯とサイドマーカー(側方灯)等を一体化して成るコンビネーションヘッドランプ等の車両用灯具においては、図4の部分平断面図に示すように、ハウジング102とその前面開口部を覆うレンズ103によって画成される灯室104内の側部にサイドマーカー用のバルブ107がハウジング102によって支持されて収容されており、該バルブ107に周囲にはバルブ107から出射される光を車両外側方に向けて反射させる凹曲面状のリフレクタ110が配されている。そして、灯室104内にはリフレクタ110の開口部周縁を覆うエクステンション109が配されており、該エクステンション109のリフレクタ110の開口部に対向する箇所に形成された開口部には、内面に配光用のレンズカットが施されたインナレンズ112が嵌め込まれている。
【0003】
ところで、サイドマーカーと前照灯とを組み合わせて成るコンビネーションヘッドランプに関しては、レンズの曇りやエクステンションとレンズの擦れ合いによる振動音や接触粉の発生を防ぐための提案等が特許文献1,2等においてなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−315408公報
【特許文献2】特開平11−053907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図4に示した従来の車両用灯具101におけるリフレクタ110やエクステンション109は樹脂の射出成形によって製作されるが、開口部が車両外側方を向くリフレクタ110を成形する金型の抜き方向は、エクステンション109を成形する金型の車両前後方向の抜き方向に揃えることができないため、リフレクタ110をエクステンション109とは別部品として独立に成形し、これをハウジング102に形成されたボス102aにネジ113によって取り付ける構成が採用されていた。
【0006】
しかしながら、上述のようにリフレクタ110をエクステンション109とは別に成形し、これをネジ113によってハウジング102のボス102aに取り付ける構成を採用すると、部品点数や組付工数が増えてコストアップを招くという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、部品点数や組付工数を削減してコストダウンを図ることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うレンズによって画成される灯室内に、光源と、該光源から出射される光を車両外側方に向けて反射させるリフレクタと、該リフレクタの周囲に配されるエクステンションを収容して成る車両用灯具において、前記エクステンションに前記リフレクタを兼ねるリフレクタ部をスライド型によって一体に形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リフレクタ部に遮光リブを一体に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、エクステンションにリフレクタを兼ねるリフレクタ部をスライド型によって一体に形成したため、従来は別部品として成形されていたリフレクタを省略することができるとともに、別部品であるリフレクタをネジによって取り付ける必要がなくなるため、部品点数と組付工数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、エクステンションに一体に形成されたリフレクタ部に遮光リブを一体に形成したため、光源からの光の漏れが遮光リブによって確実に防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図2】本発明に係る車両用灯具のエクステンションの斜視図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】従来の車両用灯具の部分平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係る車両用灯具の正面図、図2は同車両用灯具のエクステンションの斜視図、図3は図1のA−A線断面図である。
【0015】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、前照灯とサイドマーカーを組み合わせたコンビネーションヘッドランプであって、車両の前部左右にそれぞれ取り付けられる。尚、左右の車両用灯具1の基本構成は同じであるため、以下、一方についてのみ図示及び説明する。
【0016】
コンビネーションヘッドランプとしての車両用灯具1は、左右2つの前照灯と最外側部に配置されたサイドマーカーを備えるものであって、車両の車体に取り付けられる樹脂製のハウジング2とその前面開口部を覆うレンズ3によって画成される灯室4内に、光源として走行ビームを出射するバルブ5と、すれ違いビームを出射するバルブ6及びサイドマーカー用の点滅光を出射するバルブ7(図3参照)を収容している。
【0017】
而して、本発明は、車両用灯具1の最外側に配されるサイドマーカー周りの構成に特徴を有しており、以下に本発明の要旨を図2及び図3に基づいて説明する。
【0018】
図3に示すように、ハウジング2の背面の最外側にはサイドマーカー用の前記バルブ7がソケット8の差し込みによって取り付け保持されており、ハウジング2のバルブ7が取り付けられて周囲には灯室4内に向かって車両前方に延びる高低の遮光リブ2a,2bが一体に突設されている。
【0019】
又、灯室4内のバルブ7の周囲には樹脂製のエクステンション9,10がそれぞれ配設されている。尚、図3において、11は前照灯用のリフレクタである。
【0020】
上記一方のエクステンション9には車両の斜め前方に向かって開口する開口部が形成されており、この開口部には、内面に配光用のレンズカットが施されたインナレンズ12が嵌め込まれている。尚、エクステンション9は、バルブ7から出射される光を車両外側方に向けて反射させるリフレクタの機能も備えており、その内面にはアルミ蒸着等の反射処理が施されている。
【0021】
又、他方のエクステンション10には、図2に示すように、前記バルブ5,6の前方周囲をそれぞれ覆う矩形ボックス状部10Aと円筒部10Bが一体に形成されており、円筒部10Bの外側部からは車両後方に向かってバルブ7の側部まで延びるリフレクタ部10Cが一体に形成されている。リフレクタ部10Cの後端部は図3に示すようにハウジング2に突設された前記遮光リブ2aとバルブ7との間に差し込まれており、その外面はバルブ7から出射される光の一部を車両外側方に向けて反射させる反射面を構成している。
【0022】
そして、図3に示すように、エクステンション10のリフレクタ部10Cには、他方のエクステンション9との間の隙間を覆う高低の遮光リブ10a,10bが一体に突設されており、これらの遮光リブ10a,10bはバルブ7から出射される光の車両前方への漏れを防ぐ機能を果たす。
【0023】
而して、ハウジング2やエクステンション9,10は樹脂の射出成形によってそれぞれ一体に製作されるが、エクステンション10のリフレクタ部10Cは車両外側方(図2及び図3の矢印方向)に抜かれる不図示のスライド型によって成形され、リフレクタ部10C以外の部分は車両前方(図2の矢印方向)に抜かれる不図示の金型によって成形される。このようにリフレクタ部10Cを車両外側方に抜かれるスライド型によって成形することによって、リフレクタ部10Cを含むエクステンション10の全体を一体成形することができる。
【0024】
以上のように、本発明に係る車両用灯具1においては、エクステンション10にリフレクタを兼ねるリフレクタ部10Cを車両外側方に抜かれるスライド型によって一体に形成したため、従来は別部品として成形されていたリフレクタを省略することができるとともに、別部品であるリフレクタをネジによって取り付ける必要がなくなるため、部品点数と組付工数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0025】
又、スライド型によってエクステンション10に一体に形成されたリフレクタ部10Cに遮光リブ10a,10bを一体に形成したため、バルブ7からの光の漏れが遮光リブ10a,10bによって確実に防がれるという効果も得られる。
【0026】
尚、以上は本発明をコンビネーションヘッドランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、バルブから出射される光をリフレクタによって車両外側方に反射させるよう構成された他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 車両用灯具
2 ハウジング
2a,2b ハウジングの遮光リブ
3 レンズ
4 灯室
5〜7 バルブ
8 ソケット
9,10 エクステンション
10A エクステンションの矩形ボックス状部
10B エクステンションの円筒部
10C エクステンションのリフレクタ部
10a,10b エクステンションの遮光リブ
11 リフレクタ
12 インナレンズ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うレンズによって画成される灯室内に、光源と、該光源から出射される光を車両外側方に向けて反射させるリフレクタと、該リフレクタの周囲に配されるエクステンションを収容して成る車両用灯具において、
前記エクステンションに前記リフレクタを兼ねるリフレクタ部をスライド型によって一体に形成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記リフレクタ部に遮光リブを一体に形成したことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−198714(P2011−198714A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67218(P2010−67218)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】