説明

車両用灯具

【課題】配光規格を満足し、且つ良好な視認性を得るための最適化された反射面を有するリフレクタを備えたフロントフォグランプを提供することにある。
【解決手段】光源バルブを包囲するように配置された配光制御用の反射面を複数の小反射面で構成すると共に、該反射面を光源バルブの中心軸を含む水平面と垂直面で4分割したときの前記垂直面を挟んだ少なくとも一方の側の光源バルブから最も遠い位置にあり且つエクステンションの近傍にある、水平面を挟んだ上側と下側に隣接して位置する2つの小反射面同士を、光源バルブ側に凹状に湾曲した凹状反射面とし、それ以外の小反射面を光源バルブ側に凸状に湾曲した凸状反射面とした。これにより、凹状反射面からなる小反射面による反射光の反射領域が狭められてエクステンションに遮られることなく配光形成を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関するものであり、詳しくは、配光規格を満足し、且つ良好な視認性を得るための最適化された反射面を有するリフレクタを備えたフロントフォグランプに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具の一種であるフロントフォグランプ100は、例えば図8(フロントフォグランプの立体分解図)及び図9(フロントフォグランプの横断面図)にあるように、ハウジング80、光源81、リフレクタ82、エクステンション83及びレンズ84で構成され、ハウジング80内に、光源81が装着されると共に該光源81のバルブ85を包囲するように反射面86が形成されたリフレクタ82が収容され、リフレクタ82の開口端部に沿って該開口端部近傍から前方に延びる環状のエクステンション83が配設されると共に、該エクステンション83の前面にレンズ84が配設された構造となっている。なお、図9においては、ハウジング80は記載されていない。
【0003】
エクステンション83は、該エクステンション83による反射光がグレア光とならないようにローレット加工やシボ加工等の光拡散手段が施されている。なお、場合によっては、光源のバルブからの直射光がグレア光とならないように、バルブの前面に遮光用のフードを設けることによりバルブからの出射光が直接前方に照射されるのを遮るようにすることもある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−33756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フロントフォグランプの配光規格(ECE Reg No.19-03 Class F3)においては、図10(フロントフォグランプの配光規格に基づく配光パターン)にあるように、水平方向の基準線Hの下方6.0°(6D)の位置において、垂直方向の基準線Vに対して内側(センターライン側)の5°(5R)の位置と外側(路肩側)の10°(10L)の位置を結ぶ線分(6D 10L−5R:LINE7)の領域における光度が、水平基準線Hの下方2.5°(2.5D)の位置において、垂直基準線Vに対して内側の5°(5R)の位置と外側の10°(10L)の位置を結ぶ線分(2.5D 10L−5R:LINE6)の領域における光度の最大値の50%未満であることが規定されている。
【0006】
そこで、上記従来例のフロントフォグランプにおいては、図11(光源及びリフレクタと配光パターンとの関係図)に示すように、リフレクタ82の反射面86は16面の小反射面で構成されており、反射面86をバルブ85の中心軸Xを含む水平面で切断したときの該水平面を挟んだ上側と下側に夫々8つの小反射面が設けられている。また、前記水平面を挟んで上側と下側に隣接して位置する2つの小反射面同士は該水平面上において反射面を共有する連続面となっており、そのため両反射面は水平方向に対して同一の配光幅を形成する。
【0007】
なお、上記水平面及び垂直面は、フロントフォグランプを車両に搭載した際に路面と略平行となる面を水平面とし、前記水平面に略垂直となる面を垂直面とする。また、図10はフロントフォグランプ100が照射するランプ前方に設けた仮想スクリーン上の配光パターンを示し、図11は、仮想スクリーンの背面側からフロントフォグランプ100を観察した状態を示している。
【0008】
リフレクタ82の反射面86を構成する各小反射面と、光源81のバルブ85から出射して各小反射面で反射された反射光が形成する配光との関係は、水平面の上側でバルブ85の中心軸Xを含む垂直面の側(バルブ85側)から順次内側(前方から反射面86を見たときの左側)に位置する4つの小反射面86a、86b、86c、86dについてみると、小反射面86a、86b、86c、86dの夫々は、反射面86の全ての小反射面による反射光で形成される配光パターンのうち水平基準線Hの最下方から順次水平基準線H側に位置する領域87a、87b、87c、87dの配光を形成する。
【0009】
つまり、フロントフォグランプの配光規格におけるLINE6及びLINE7の領域の配光は、夫々小反射面86d及び小反射面86cによる反射光で形成される。
【0010】
ところで、図9からわかるように、バルブ85から出射して小反射面86dで反射された反射光のうち一部の反射光Lはエクステンション83で遮られて配光形成に寄与しないものとなる。その結果、フロントフォグランプがECE Reg No.19-03 Class F3の配光規格を満足しなくなる可能性がある。それと同時に、バルブ85から出射した光の利用効率が低下することにもなる。
【0011】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、配光規格を満足し、且つ良好な視認性を得るための最適化された反射面を有するリフレクタを備えたフロントフォグランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、光源を包囲するように配置された配光制御用の反射面を有するリフレクタを備え、前記光源からの出射光が前記反射面に照射されてその反射光が配光パターンを形成する車両用灯具であって、前記反射面は、前記車両用灯具を車両に搭載した状態において、光源の中心軸を含む水平面と垂直面で4分割したときの各分割領域の夫々に複数の小反射面が形成されていると共に、前記水平面を挟んだ上側と下側に隣接して位置する2つの小反射面同士は連続面を形成しており、前記垂直面を挟んだ少なくとも一方の側の前記光源から最も遠い位置にある、前記水平面を挟んだ上側と下側に隣接して位置する2つの小反射面同士は、前記光源側に凹状に湾曲した凹状反射面からなり、それ以外の小反射面は前記光源側に凸状に湾曲した凸状反射面からなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、光源から最も遠い位置にある前記凹状反射面からなる小反射面とそれよりも光源側に隣接する前記凸状反射面からなる小反射面の2つの小反射面同士は連続面を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、光源バルブを包囲するように配置された配光制御用の反射面を複数の小反射面で構成すると共に、該反射面を光源バルブの中心軸を含む水平面と垂直面で4分割したときの前記垂直面を挟んだ少なくとも一方の側の光源バルブから最も遠い位置にあり且つエクステンションの近傍にある、水平面を挟んだ上側と下側に隣接して位置する2つの小反射面同士を、光源バルブ側に凹状に湾曲した凹状反射面とし、それ以外の小反射面を光源バルブ側に凸状に湾曲した凸状反射面とした。
【0015】
そのため、凹状反射面からなる小反射面による反射光の反射領域が狭められてエクステンションに遮られることなく配光形成が行われ、その結果、光利用効率が高まって車両用灯具に求められる配光規格を容易に満たすことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の車両用灯具の実施形態に係わる立体分解図である。
【図2】実施形態に係わる横断面図である。
【図3】実施形態のリフレクタに形成された反射面に係わる説明図である。
【図4】実施形態に係わる横部分断面図である。
【図5】実施形態において光源像と反射投影像に係わる説明図である。
【図6】同様に、実施形態において光源像と反射投影像に係わる説明図である。
【図7】実施形態の車両用灯具と配光パターンとの関係を示す説明図である。
【図8】従来例の車両用灯具の立体分解図である。
【図9】従来例の車両用灯具の横断面図である。
【図10】フォグランプの配光規格に基づく配光パターンの説明図である。
【図11】従来例の車両用灯具と配光パターンとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図7を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0018】
図1は本発明に係わる実施形態の車両用灯具(フロントフォグランプ)の立体分解図、図2は車両用灯具の横断面図、図3は車両用灯具を構成するリフレクタに形成された反射面の説明図、図4は車両用灯具の横部分断面図、図5及び図6は光源像と投影像の関係を示す説明図、図7は車両用灯具と配光パターンの関係を示す説明図である。
【0019】
図1及び図2より車両用灯具1は、ハウジング10、光源20、リフレクタ30、エクステンション40及びレンズ50で構成され、ハウジング10内に、光源20が装着されると共に該光源20のバルブ21を包囲するように反射面31が形成されたリフレクタ30が収容され、リフレクタ30の開口端部に沿って該開口端部近傍から前方に延びる環状のエクステンション40が配設されると共に、該エクステンション40の前面にレンズ50が配設された構造となっている。なお、図2においては、ハウジング10は記載されていない。
【0020】
光源20は、バルブ21内に収容された発光源をフィラメント22とし、該フィラメント22が、長手方向の中心軸がバルブ21の中心軸Xと略同一線上に位置するように配置されている。また、反射面31は、リフレクタ部材の上に順次形成されたアンダーコート層、アルミニウム蒸着層及びトップコート層からなり、エクステンション40は、該エクステンション40による反射光がグレア光とならないようにローレット加工やシボ加工等の光拡散手段が施されている。このような車両用灯具の構成及び構造は、上述した従来例の車両用灯具と同様である。
【0021】
そこで、本発明の車両用灯具が従来の車両用灯具と異なるところは、リフレクタ30に形成された反射面31の構成にある。
【0022】
本発明の車両用灯具のリフレクタ30に形成された反射面31は、図3に示すように、20面の小反射面で構成されており、反射面31を光源20のバルブ21の中心軸Xを含む水平面66で切断したときの該水平面66を挟んだ両側に夫々10面ずつの小反射面が設けられると共に、反射面31を光源20のバルブ21の中心軸Xを含む垂直面65で切断したときの該垂直面65を挟んだ両側にも夫々10面ずつの小反射面が設けられている。つまり、水平面66と垂直面65で4分割したときの各分割領域の夫々に、5面ずつの小反射面が設けられている。
【0023】
また、前記水平面66を挟んで両側に隣接して位置する2つの小反射面同士は該水平面66上において互いの反射面を共有する連続面となっている。そのため、両小反射面の境界には段差がなく、アンダーコート層、アルミニウム蒸着層及びトップコート層においても連続面が形成されている。その結果、光源のバルブから出射して両反射面で反射された反射光は水平方向に対して同一の配光幅を形成する。
【0024】
次に、反射面31を構成する20面の小反射面のうち、車両用灯具を車両に搭載した際の水平面66に対する上側で且つ垂直面65に対する内側(センターライン側:前方から反射面31を見たときの左側)の領域に位置する5面の小反射面31a〜31eと、その小反射面31a〜31eの夫々による反射光が形成する配光パターンについて、以下に詳細に説明する。
【0025】
小反射面31a〜31eは図4に示すように、垂直面65の側(バルブ21側)から順次内側に小反射面31a、31b、31c、31d、31eの順に位置されており、そのうち最もバルブ21側に位置する小反射面31aとそれに続く小反射面31b、31c、31dの合計4面はバルブ21側に凸状に湾曲した凸状反射面であり、最も内側(バルブ21から遠い側)に位置する小反射面31eはバルブ21側に凹状に湾曲した凹状反射面である。
【0026】
そこで、図5(a)に示すように、光源のバルブ21内に収容された発光源となるフィラメント22が発光すると、該フィラメント22を包囲するように配置された反射面31の各小反射面31a〜31eには、フィラメント22の長手方向の発光形状が、該フィラメント22の長手方向の中心軸を中心とした放射方向に投影されて該フィラメント22の発光像32a〜32eを結像する。小反射面31a〜31eの夫々に投影されるフィラメント22の長手方向の発光像32a〜32eは、反射面31の垂直面65の側(バルブ21側)に位置する小反射面に投影される発光像の方が内側に位置する小反射面に投影される発光像よりも水平面66に対する傾斜角が大きくなり、内側に位置する小反射面ほど投影される発光像が水平面の方向に傾くことになる。
【0027】
つまり、バルブ21に最も近い位置にある小反射面31aに結像したフィラメント22の長手方向の発光像32aが水平面66に対す傾斜角が最も大きく、小反射面31b、31c、31dに結像した発光像32b、32c、32dの順に水平面に対す傾斜角が大きく、バルブ21からに最も遠い位置にある小反射面31eに結像したフィラメント22の発光像32eが水平面に対す傾斜角が最も小さい。
【0028】
そこで、図5(b)に示すように、夫々の小反射面31a〜31e上に結像したフィラメント22の長手方向の各発光像32a〜32eは、該小反射面31a〜31eで反射されてその反射投影像33a〜33eが前方に向けて投影される。
【0029】
この場合、各反射投影像33a〜33eは、夫々の小反射面31a〜31e上に結像した各発光像32a〜32eと同様に、バルブ21に最も近い位置にある小反射面31aに結像した発光像32aを反射した反射投影像33aが水平面66に対す傾斜角αが最も大きく、小反射面31b、31c、31dに結像した発光像32b、32c、32dを反射した反射投影像33b、33c、33dの順に水平面66に対す傾斜角α、α、αが大きく、バルブ21に最も遠い位置にある小反射面31eに結像した発光像32eを反射した反射投影像33eの水平面66に対す傾斜角αが最も小さい。つまり、反射投影像33a、33b、33c、33d、33eの夫々の、水平面66に対す傾斜角α、α、α、α、αは、α>α>α>α>αの関係にある。
【0030】
換言すると、発光源のフィラメント22で発光された光は、リフレクタ30の反射面31のフィラメント22に近い位置にある小反射面で反射された反射投影像ほどフィラメント22の長さ方向の光源像を反映して縦方向に長い配光を形成し、反射面31のフィラメント22から遠い位置にある反射面で反射された反射投影像ほどフィラメント22の長さ方向の光源像を反映して縦方向に短い配光を形成する。
【0031】
そこで、配光パターン60における各反射投影像33a、33b、33c、33d、33eの配光領域を見ると図6のように、フロントフォグランプの配光規格におけるLINE6の領域を含む水平基準線Hに略平行な配光領域Aは反射投影像33d、33eの配光で形成され、フォグランプの配光規格におけるLINE7の領域を含む垂直基準線Vに略平行な配光領域Bは反射投影像33a、33b、33cの配光で形成される。なお、図6は、フロントフォグランプが照射するランプ前方に設けた仮想スクリーン上の配光パターンを示している。
【0032】
図7は、リフレクタ30の反射面31側の前方に仮想スクリーン70を置き、各小反射面31a〜31eの反射光による配光パターン34a〜34eを該スクリーン70上に投影してそれをスクリーン70の背面側から観察した状態を示している。
【0033】
図7より、バルブ21内に収容されたフィラメント22から出射されて反射面31のフィラメント22に最も遠い位置にある小反射面31eで反射された反射光で形成される配光パターン34eは、スクリーン70の水平基準線Hの下方の垂直基準線V付近に略前記水平基準線Hの方向に縦細り横太りの配光パターンとして形成され、フロントフォグランプの配光規格におけるLINE6のみに対応する領域に投影される。
【0034】
また、フィラメント22から出射されて反射面31のフィラメント22から二番目に遠い位置にある小反射面31dで反射された反射光で形成される配光パターン34dは、スクリーンの水平基準線Hの下方の垂直基準線V付近に前記水平基準線Hの方向に、配光パターン34eよりも多少広範囲の領域に縦細り横太りの配光パターンとして形成され、配光パターン34eと同様にフロントフォグランプの配光規格におけるLINE6のみに対応する領域に投影される。
【0035】
更に、フィラメント22から最も遠い位置にある凹状反射面からなる小反射面31eとそれよりもフィラメント22側に隣接する凸状反射面からなる小反射面31dの2つの小反射面同士は連続面を形成している。そのため、両小反射面の境界には段差がなく、アンダーコート層、アルミニウム蒸着層及びトップコート層においても連続面が形成されている。その結果、両者の形成する配光パターン34e、34dは、水平基準線Hの方向の一方の側への広がり幅が同一となる。
【0036】
ところで、図4で説明したように、バルブ21から最も遠い位置に位置する小反射面31eは、それよりもバルブ21側に位置する小反射面31a、31b、31c、31dがバルブ21側に凸状に湾曲した凸状反射面であるのに対し、バルブ21側に凹状に湾曲した凹状反射面となっている。
【0037】
これは、上述の従来例にあったように、フィラメント22から出射されてエクステンションに最も近い位置にある小反射面で反射された反射光が該エクステンションで光路を遮られて配光パターンの形成に寄与しないものとなるといった不具合を生じないように、図2にあるように、フィラメント22から出射されてエクステンション40に最も近い位置にある小反射面31eをバルブ21側に凹状に湾曲した凹状反射面とすることにより、反射光L1、L2の反射領域を狭めると共にその領域の光束密度を高めるようにしたものである。
【0038】
これにより、小反射面31eによる反射光がエクステンション40に遮られることなくそのまま配光パターン34eとして寄与するものとなり、光利用効率の高い車両用灯具が実現できる。
【0039】
それと同時に、小反射面31eによる反射光の光束密度を高めることにより小反射面31eによる反射光で形成される、配光パターン34eのLINE6の領域の光度を高めることができ、フロントフォグランプにおける配光規格を容易に達成することができる。
【0040】
ところで、反射面31における上記小反射面31a〜31e以外の小反射面は、以下のような配光形成を行うものである(図3参照)。
【0041】
まず、水平面66を挟んで上側に位置する小反射面31a〜31eと下側に位置する小反射面31ad〜31edとは、水平面66を挟んで隣接する小反射面(31a、31ad)、(31b、31bd)、(31c、31cd)、(31d、31dd)、(31e、31ed)同士は、配光パターンの同一領域を形成する。したがって、水平面66を挟んで隣接する小反射面同士が形成する配光領域は、夫々の小反射面が形成する配光の略2倍の光度を有するものとなる。
【0042】
そのため、垂直面65の側(バルブ21側)から順次内側に位置する小反射面31ad、31bd、31cd、31dd、31edのうち最もバルブ21側に位置する小反射面31adとそれに続く小反射面31bd、31cd、31ddの合計4面はバルブ21側に凸状に湾曲した凸状反射面であり、最も内側に位置する小反射面31edはバルブ21側に凹状に湾曲した凹状反射面である。
【0043】
この場合、フィラメント22から最も遠い位置にある凹状反射面からなる小反射面31edとそれよりもフィラメント22側に隣接する凸状反射面からなる小反射面31ddの2つの小反射面同士は連続面を形成している。そのため、両小反射面の境界には段差がなく、アンダーコート層、アルミニウム蒸着層及びトップコート層においても連続面が形成されている。その結果、両者の形成する配光パターン34e、34dは、水平基準線Hの方向の一方の側への広がり幅が同一となる。
【0044】
また、垂直面65を挟んで一方の側に位置する小反射面31a〜31e及び小反射面31ad〜31edによる10面の小反射面に対し、他方の側に位置する10面の小反射面においては、一方の側の10面の反射面が形成する配光パターンを、垂直面65を対称面とする略面対象位置に配置した形状の配光パターンを形成するものである。
【0045】
この場合、バルブ21側から最も遠い位置にあり、水平面66を挟んで両側に隣接して位置する2つの小反射面同士はバルブ21側に凸状に湾曲した凸状反射面であってもよいし、バルブ21側に凹状に湾曲した凹状反射面であってもよい。但し、それ以外の小反射面は、いずれもバルブ21側に凸状に湾曲した凸状反射面であることが必要である。
【0046】
これにより、発光源のフィラメント22で出射されてリフレクタ30の反射面で反射された反射光が形成する配光パターンは、スクリーンの水平基準線Hの下方において垂直基準線Vに対して対称となるように形成される。
【0047】
また、フロントフォグランプの配光規格にあるLINE6の配光領域は、バルブ21側から最も遠い位置にあり、水平面66を挟んで両側に隣接して位置する2つの小反射面31e、31ed同士をバルブ21側に凹状に湾曲した凹状反射面とすることにより、発光源のフィラメント22から出射されてリフレクタ30の反射面31e、31edで反射された反射光が近傍に位置するエクステンション40に遮られることなくそのまま照射される。
【0048】
それと同時に、LINE6の配光領域は、バルブ21側から二番目に遠い位置にある小反射面31d、31ddの反射光も照射される。その結果、光利用効率が高まってフォグランプの配光規格におけるLINE6の領域の光度が高められ、フォグランプに求められる配光規格を容易に満たすことができる。
【符号の説明】
【0049】
1… 車両用灯具
10… ハウジング
20… 光源
21… バルブ
22… フィラメント
30… リフレクタ
31… 反射面
31a〜31e… 小反射面
32a〜32e… 発光像
33a〜33e… 反射投影像
34a〜34e… 配光パターン
40… エクステンション
50… レンズ
60… 配光パターン
65… 垂直面
66… 水平面
70… スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を包囲するように配置された配光制御用の反射面を有するリフレクタを備え、前記光源からの出射光が前記反射面に照射されてその反射光が配光パターンを形成する車両用灯具であって、
前記反射面は、前記車両用灯具を車両に搭載した状態において、光源の中心軸を含む水平面と垂直面で4分割したときの各分割領域の夫々に複数の小反射面が形成されていると共に、前記水平面を挟んだ上側と下側に隣接して位置する2つの小反射面同士は連続面を形成しており、
前記垂直面を挟んだ少なくとも一方の側の前記光源から最も遠い位置にある、前記水平面を挟んだ上側と下側に隣接して位置する2つの小反射面同士は、前記光源側に凹状に湾曲した凹状反射面からなり、それ以外の小反射面は前記光源側に凸状に湾曲した凸状反射面からなることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
光源から最も遠い位置にある前記凹状反射面からなる小反射面とそれよりも光源側に隣接する前記凸状反射面からなる小反射面の2つの小反射面同士は連続面を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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