説明

車両用灯具

【課題】従来に比べ、部品点数や組立工数を減らしつつ、光源モジュールを固定するとともに雑光を遮光する。
【解決手段】車両用灯具1は、LED21を有する光源モジュール2と、光源モジュール2を保持するブラケット3と、光源モジュール2をブラケット3に固定する固定部材5とを備える。固定部材5は、光源モジュール2を上下方向に固定する第一腕部51,51と、光源モジュール2を前後方向に固定する立設部53と、LED21から出射される光のうち、配光形成に寄与しないものを遮光する遮光部54aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用ヘッドランプなどの車両用灯具として、例えば特許文献1に記載のように、LED(発光ダイオード)等の光源を有する光源モジュールが、スプリング部材等によってブラケットに固定されているものが知られている。
【0003】
具体的には、上記特許文献1に記載の車両用灯具では、図3に示すように、LED800を有する光源モジュール80が、略コ字状のホルダー81によって、当該光源モジュール80に給電するための給電モジュール82に前方から固定されており、この給電モジュール82が、バネ性を有するクリップ83によって上下方向に付勢されるようにしてブラケット84に固定されている。つまり、当該車両用灯具では、光源モジュール80が、ホルダー81によって前後方向に固定されつつ、クリップ83によって上下方向に固定されるようにして、給電モジュール82を介してブラケット84に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−55897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両用灯具では、光源モジュール80の前後方向の固定にホルダー81を用いるとともに、上下方向の固定にクリップ83を用いており、つまりは、各方向の固定に異なる部品が必要な構成となっているため、部品点数や組立工数を削減する点において改善の余地があった。
なお、ホルダー81やクリップ83での固定に代えて、光源モジュール80をねじでブラケット84に固定することも可能ではあるが、この場合にも、複数のねじが必要となるうえに当該ねじを個別に締結しなければならないため、部品点数や組立工数を好適に削減できるとは言い難い。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の車両用灯具において、光源(LED800)からの出射光のうち所望の配光形成に寄与しない光、いわゆる雑光を遮光しようとした場合には、上述の各部品とは別に遮光部品を設ける必要が生じるため、更に部品点数や組立工数が増加してしまう。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、従来に比べ、部品点数や組立工数を減らしつつ、光源モジュールを固定するとともに雑光を遮光することができる車両用灯具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
光源を有する光源モジュールと、
前記光源モジュールを保持する保持部材と、
前記光源モジュールを前記保持部材に固定する固定部材と、
を備える車両用灯具において、
前記固定部材は、
前記光源モジュールを上下方向に固定する第一固定部と、
前記光源モジュールを前後方向に固定する第二固定部と、
前記光源から出射される光のうち、配光形成に寄与しないものを遮光する遮光部と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源モジュールを保持部材(例えば、ブラケット)に固定する固定部材が、光源モジュールを上下方向に固定する第一固定部と、光源モジュールを前後方向に固定する第二固定部と、を有するので、光源モジュールの各方向の固定に異なる部品が必要であった従来と異なり、1つの固定部材のみによって光源モジュールを上下方向及び前後方向に固定することができる。したがって、従来に比べ、部品点数や組立工数を減らしつつ、光源モジュールを好適に固定することができる。
【0010】
また、固定部材は、光源から出射される光のうち配光形成に寄与しないもの、いわゆる雑光を遮光する遮光部を有するので、雑光を遮光するときに別体の遮光部品が必要であった従来と異なり、光源モジュールを固定する固定部材によって雑光を遮光することができる。したがって、従来に比べ、部品点数や組立工数を減らしつつ、雑光を遮光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態における車両用灯具の側断面図である。
【図2】実施形態における固定部材の斜視図である。
【図3】従来の車両用灯具の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における車両用灯具1の側断面図であり、図2は、車両用灯具1が備える後述の固定部材5の斜視図である。
なお、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、車両用灯具1から見た方向を意味するものとする。
【0013】
図1に示すように、車両用灯具1は、灯具前方に所定の配光パターンを形成するパラボラ型の灯具であり、光源としてのLED(発光ダイオード)21を有する光源モジュール2と、光源モジュール2を保持するブラケット3と、LED21からの光を反射させるリフレクタ4と、光源モジュール2をブラケット3に固定する固定部材5とを備えている。
【0014】
このうち、光源モジュール2は、LED21と、当該LED21が実装された基板22とを有しており、LED21の発光面が上方を向くように基板22を上下方向に略直交させた状態で、ブラケット3に保持されている。
【0015】
ブラケット3は、上面が平坦に形成された略平板状の光源保持部31を有しており、当該光源保持部31の上面に光源モジュール2の基板22が載置されている。光源保持部31の後部上方には、後述する固定部材5の平坦部51bが下面に当接する当接部32が形成されている。また、光源保持部31の前端部下方には、後述する固定部材5の折り返し部52aが後面に係止される係止部33が形成されている。また、光源保持部31の後方には、後述するように、基板22の後端面が押し当てられる押し当てリブ34が形成されている。
【0016】
リフレクタ4は、前方斜め下方に開口する湾曲板状に形成され、光源モジュール2の上方に配置されている。リフレクタ4の下面(前面)は、LED21と上下方向に対向しており、当該LED21から上方へ出射された光を前方へ反射させる反射面41となっている。この反射面41は、LED21の位置を焦点とした回転放物面を基調とする自由曲面となっている。
【0017】
図1及び図2に示すように、固定部材5は、弾性を有する金属板を成形してなるものであり、各部が一体的に構成されている。この固定部材5は、後方へ開口する側面視略コ字状に形成されており、光源モジュール2とブラケット3の光源保持部31とを上下方向に挟むようにして前方から組み込まれることにより、光源モジュール2をブラケット3に固定するように構成されている。
【0018】
具体的には、固定部材5は、前後方向と直交する連結部50と、連結部50上端の左右両端部から後方へ延在する第一腕部51,51と、連結部50下端の左右両端部から後方へ延在する第二腕部52,52と、連結部50下端のやや前方から上方へ立設された立設部53と、連結部50上端の左右中央部から後方へ延在する延在部54とを有している。
【0019】
このうち、第一腕部51は、前半部が上下方向と直交するように形成されており、当該前半部の後部下面に、下方へ突出した突起部51aを有している。また、第一腕部51は、後半部が、後方に向かって左右外方へ曲がりつつ斜め上方へ延在するように形成されており、その後端部は、上下方向に略直交するように形成された平坦部51bとなっている。この第一腕部51は、本発明に係る第一固定部であり、平坦部51bの上面がブラケット3の当接部32の下面と当接して、全体的に下方へ付勢された状態で、突起部51aが基板22の上面を下方へ押圧することにより、基板22を光源保持部31の上面に押さえ付けて、光源モジュール2を上下方向に固定する。
【0020】
第二腕部52は、上下方向と直交するように形成され、その上面が光源保持部31の下面と当接するようになっている。また、第二腕部52には、当該第二腕部52の前部を基端として切り起こし状に形成された折り返し部52aが形成されている。この折り返し部52aは、基端から前方斜め下方へ延在するように形成されており、第二腕部52が光源保持部31と係止部33との間に前方から挿入されたときに、その前端がブラケット3の係止部33の後面に係止されることで、固定部材5の前方への移動を規制するようになっている。
【0021】
立設部53は、前後方向と略直交するように立設されている。この立設部53は、本発明に係る第二固定部であり、先端部(上端部)の後面が基板22の前端面と当接して、当該基板22を後方へ押圧し、当該基板22の後端面をブラケット3の押し当てリブ34に押し当てることにより、光源モジュール2を前後方向に固定する。
【0022】
延在部54は、連結部50の上端を基端として、第一腕部51の前半部よりもやや上方から後方へ向かって斜め下方に延在するように屈曲されており、その後端部が、突起部51aと同程度の上下方向位置で上方へ屈曲されている。この後端部は、前後方向と直交してLED21の前方を覆うように立設されており、LED21から出射される光のうち、リフレクタ4の反射面41に入射せずに当該反射面41よりも前方へ向かうもの、つまり配光形成に寄与しない雑光を遮光する遮光部54aとなっている。
【0023】
なお、遮光部54aは、後面にアルミ蒸着を施すなどして、LED21から出射される光のうち反射面41よりも前方へ向かうもの、すなわち当該遮光部54aが遮光する雑光を、リフレクタ4の反射面41へ反射させるように構成してもよい。このようにすれば、図1に破線で示すように、遮光部54aに入射した光を反射面41で前方へ反射させて配光形成に利用することができ、光束利用率を向上させることができる。
【0024】
以上のように、車両用灯具1によれば、光源モジュール2をブラケット3に固定する固定部材5が、光源モジュール2を上下方向に固定する第一腕部51と、光源モジュール2を前後方向に固定する立設部53と、を有するので、光源モジュールの各方向の固定に異なる部品が必要であった従来と異なり、1つの固定部材5のみによって光源モジュール2を上下方向及び前後方向に固定することができる。したがって、従来に比べ、部品点数や組立工数を減らしつつ、光源モジュール2を好適に固定することができる。
【0025】
また、固定部材5は、LED21から出射される光のうち配光形成に寄与しないもの、いわゆる雑光を遮光する遮光部54aを有するので、雑光を遮光するときに別体の遮光部品が必要であった従来と異なり、光源モジュール2を固定する固定部材5によって雑光を遮光することができる。したがって、従来に比べ、部品点数や組立工数を減らしつつ、雑光を遮光することができる。
【0026】
また、遮光部54aが、LED21から出射される光のうち反射面41よりも前方へ向かうものを当該反射面41へ反射させるように構成した場合には、当該遮光部54aに入射した光を反射面41で前方へ反射させて配光形成に利用することができ、光束利用率を向上させることができる。
【0027】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0028】
例えば、上記実施形態では、ブラケット3が光源モジュール2を保持することとしたが、光源モジュール2を保持する保持部材としては、ブラケットに限定されず、例えばハウジングやヒートシンクなどであってもよい。
【0029】
また、LED21が上方へ光を出射し、当該LED21の上方に配置されたリフレクタ4がこの光を前方へ反射させることとしたが、これらの上下方向の配置を反転させて、LED21が下方へ出射した光を、当該LED21の下方に配置されたリフレクタ4によって前方へ反射させるように構成してもよい。この場合、車両用灯具1の他の構成部品についても、上下方向の配置を適宜反転させる必要があることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両用灯具
2 光源モジュール
21 LED(光源)
22 基板
3 ブラケット(保持部材)
31 光源保持部
32 当接部
33 係止部
34 押し当てリブ
4 リフレクタ
41 反射面
5 固定部材
50 連結部
51 第一腕部(第一固定部)
51a 突起部
51b 平坦部
52 第二腕部
52a 折り返し部
53 立設部(第二固定部)
54 延在部
54a 遮光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を有する光源モジュールと、
前記光源モジュールを保持する保持部材と、
前記光源モジュールを前記保持部材に固定する固定部材と、
を備える車両用灯具において、
前記固定部材は、
前記光源モジュールを上下方向に固定する第一固定部と、
前記光源モジュールを前後方向に固定する第二固定部と、
前記光源から出射される光のうち、配光形成に寄与しないものを遮光する遮光部と、
を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光源と上下方向に対向するとともに、当該光源から出射された光を前方へ反射させる反射面を備え、
前記遮光部は、前記光源の前方を覆うように立設され、当該光源から出射される光のうち、前記反射面よりも前方へ向かうものを遮光することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記遮光部は、前記光源から出射される光のうち、前記反射面よりも前方へ向かうものを、当該反射面へ反射させることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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