説明

車両用灯火器

【課題】車両に組付ける際の組付け工数の低減を図ることができる車両用灯火器を提供することを課題とする。
【解決手段】支持腕74の側壁61側端部に、弾性部材84が設けられている。弾性部材84の側壁61側端部の外周縁部85に、側壁61の穴73に嵌合する溝86が設けられると共に、支持腕74に平行な溝87、88が設けられている。
【効果】弾性部材84の溝86が穴73に嵌合され、且つ突条部101と溝87が係合すると共に突条部102と溝88が係合して、灯火器70はリヤフェンダ41に取付けられる。すなわち、弾性部材84を穴73に取付けた後、キャップ75を弾性部材84に係合させるだけで灯火器の取付けが完了する。そのため、リヤフェンダ41の側壁61に灯火器を取付ける際の組付け工数の低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部を収納する発光部収納体と、車両側の取付穴に支持される円筒状の支持腕と、この支持腕が取付穴から脱落することを防止する固定キャップとを有する車両用灯火器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の方向指示を他の車両へ知らせる装置として車両用灯火器が各種提案されている(例えば、特許文献1(図4)参照。)。
【0003】
特許文献1の図4に示されるように、車両用灯火器としての車両用フラッシャ装置(20)(括弧付き符号は特許文献1に記載されている符号を示す。以下同じ)は、フラッシャ本体(30)と、抜止部材(52)と、保持部材(60)と、固定ボルト(70)とからなり、車両側の泥除け(5)に取付けられる。
【0004】
取付手順としては、先ずフラッシャ本体(30)の支持腕(40)を、泥除け(5)に形成された支持腕取付穴(2A)内に挿入する。
この状態で、支持腕(40)の各弾性端部(41)に形成された被係合穴(41A)内に、抜止部材(52)の各係合片(52B)を嵌入させる。
【0005】
次に、各弾性端部(41)の弾性変形を保持部材(60)により規制させながら、この保持部材(60)を、固定ボルト(70)を用いて抜止部材(52)に取付ける。
すなわち、取付後に、弾性端部(41)が弾性変形することを保持部材(60)で防止することを構造的な特徴とする。
【0006】
保持部材(60)が必須部材であるため、保持部材(60)を固定ボルト(70)を用いて抜止部材(52)に取付けるという工数が必要となり、車両に灯火器を組付ける際の組付け工数が増加する。
【0007】
車両の組付け工数を低減することが求められる中、車両に灯火器を組付ける際の組付け工数の低減が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−080987公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、車両に組付ける際の組付け工数の低減を図ることができる車両用灯火器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、発光部を収納する発光部収納体と、この発光部収納体から延びて車両側に設けられている取付穴に支持される円筒状の支持腕と、この支持腕に車両中心側から係合され前記支持腕が前記取付穴から脱落することを防止する固定キャップと、を有する車両用灯火器において、前記固定キャップに、前記支持腕の長手方向に延びる突条部が設けられており、前記支持腕の車両側端部に、弾性変形可能な円筒状の弾性部材が設けられ、この弾性部材の外周縁部に、前記取付穴に嵌合する環状溝が設けられると共に前記突条部に係合する長手溝が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、弾性部材の車両中心側端部に、前記車両中心側へ延びる係合片が設けられ、固定キャップに、前記係合片に係合可能な係合穴が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明では、固定キャップに、係合片を係合穴の外縁側へ押付ける押し部が設けられ、前記係合片に、前記係合穴の外縁に引っ掛かる鍔部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明では、係合片は、弾性変形可能な板状であると共に、側面視で車両中心側へ向けて末広がり、若しくは一定幅に形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明では、車両側に設けられている取付穴の周縁部に、固定キャップに設けられている突条部が係合する切欠きを設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明では、弾性部材は、外周縁部の車両中心側端部に、取付穴の半径よりも大径になるように径外方へ突出している円弧状突起を有し、この円弧状突起は、前記取付穴が設けられた車両側側壁の車両中心側壁面に接触すると共に、長手溝を挟むように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、固定キャップに、支持腕の長手方向に延びる突条部が設けられ、支持腕の車両側端部に、弾性変形可能な円筒状の弾性部材が設けられ、この弾性部材の外周縁部に、車両側の取付穴に嵌合する環状溝が設けられると共に突条部に係合する長手溝が設けられている。弾性部材の環状溝が車両側の取付穴に嵌合され、且つ固定キャップの突条部と弾性部材の長手溝が係合して、車両用灯火器は車両に取付けられる。すなわち、弾性部材を車両側の取付穴に取付けた後、固定キャップを弾性部材に係合させるだけで灯火器の取付けが完了する。そのため、車両に灯火器を組付ける際の組付け工数の低減を図ることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、弾性部材の車両中心側端部に、車両中心側へ延びる係合片が設けられ、固定キャップに、係合片に係合可能な係合穴が設けられているので、固定キャップの突条部が弾性部材の長手溝に係合するだけでなく、固定キャップの係合穴に弾性部材の係合片が係合する。したがって、固定キャップを弾性部材に取付けた後に固定キャップがより外れ難くなる。
【0018】
請求項3に係る発明では、固定キャップに、係合片を係合穴の外縁側へ押付ける押し部が設けられ、係合片に、係合穴の外縁に引っ掛かる鍔部が設けられている。弾性部材の係合片は、押付け部により固定キャップの係合穴の外縁側へ押付けられ、且つ係合片の鍔部は、係合穴の外縁に引っ掛かるため、固定キャップの係合穴を弾性部材の係合片に取付けた後に、固定キャップがより外れ難くなる。
【0019】
請求項4に係る発明では、係合片は、弾性変形可能な板状であると共に、側面視で車両中心側へ向けて末広がり、若しくは一定幅に形成される。係合片が側面視で車両中心側へ向けて末広がりになっているため、固定キャップの係合穴を弾性部材の係合片に取付けた後に、固定キャップがなお一層外れ難くなる。加えて、係合片を一定幅にすると、固定キャップと弾性部材の組付け性が向上する。
【0020】
請求項5に係る発明では、車両側に設けられている取付穴の周縁部に、固定キャップに設けられている突条部が係合する切欠きを設けた。円筒状の支持腕を有するような車両用灯火器でも、弾性部材の長手溝と取付穴の切欠きに、固定キャップの突条部が係合することによって、固定キャップとは別の部材を用意せずに、簡単に回り止め構造を実現できる車両用灯火器を提供することができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、弾性部材の円弧状突起は、取付穴の半径よりも大径になるように径外方へ突出していると共に取付穴が設けられた車両側側壁の車両中心側壁面に接触する。すなわち、円弧状突起の外半径から取付穴の半径を引いた距離だけ、円弧状突起が車両側側壁の車両中心側壁面に接触することになる。したがって、弾性部材の環状溝を車両側の取付穴に嵌合させた後に、支持腕がより抜け難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】自動二輪車後部の斜視図である。
【図3】リヤフェンダと左右の車両用灯火器の分解斜視図である。
【図4】右の車両用灯火器の分解斜視図である。
【図5】右の車両用灯火器の組付状態での断面図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】右側弾性部材をリヤフェンダの右側取付穴に取付けるまでの手順を説明する図である。
【図9】右側固定キャップを右側弾性部材に取付けるまでの手順を説明する図である。
【図10】末広がり状の右側係合片の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、車両は自動二輪車を適用して説明する。以下の説明で用いる前後、左右は乗員シートに座った乗員を基準に定める。
【実施例】
【0024】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、自動二輪車10は、車体フレーム11と、この車体フレーム11に懸架されているエンジン12と、車体フレーム11の前端部に操舵自在に設けられ前輪13が取付けられている前輪懸架装置14と、車体フレーム11から後方へ延ばされ後端部に後輪15が取付けられている後輪懸架装置16と、を備えている。
【0025】
車体フレーム11は、前輪13を操舵するフロントフォーク17が操舵自在に取付けられているヘッドパイプ18と、このヘッドパイプ18の上部から車両後方へ延ばされて更に後方の斜め下へ延ばされている1本のメインフレーム19と、ヘッドパイプ18の下部から車両後方の斜め下へ延ばされているダウンフレーム21と、メインフレーム19の後端部で車幅方向水平に延ばされているクロスフレーム22と、このクロスフレーム22から下方へ延ばされているピボットフレーム23と、メインフレーム19の中間部から車両後方へ延ばされているシートレール24と、ピボットフレーム23とシートレール24の間に渡されているサポートフレーム25と、からなる。ピボットフレーム23及びサポートフレーム25から後方へ延びているピリオンステップステー26に、同乗者用ステップ27が取付けられている。
【0026】
ダウンフレーム21の下端部に、エンジンハンガ28が取付けられ、このエンジンハンガ28にエンジン12の前部が懸架されている。また、ピボットフレーム23の上部及び下部に、エンジン12の後部が懸架されている。
【0027】
前輪懸架装置14に、ヘッドパイプ18に操舵自在に取付けられているフロントフォーク17と、このフロントフォーク17に連結され操舵するためのステアリングハンドル29と、が設けられている。
【0028】
後輪懸架装置16に、ピボットフレーム23に取付けられているピボット軸31と、このピボット軸31から車両後方へ延ばされているリヤスイングアーム32と、シートレール24とリヤスイングアーム32の間に渡されているリヤクッションユニット33と、が設けられている。
【0029】
フロントフォーク17に、前輪13の上方を覆うフロントフェンダ34が取付けられ、ヘッドパイプ18に、フロントカウル35が取付けられ、メインフレーム19に、燃料タンク36が取付けられ、シートレール24の上方及び燃料タンク36の後方に、車両後方へ延びている乗員シート37が配置されている。次に乗員シート37よりも後方の自動二輪車10の後部構造を図2で説明する。
【0030】
図2に示されるように、乗員シート37に連続して車両後方へリヤカウル38が延ばされ、このリヤカウル38にテールライト39が取付けられている。また、シートレール24の後部に、後輪15の上方を覆うリヤフェンダ41が取付けられている。
【0031】
リヤフェンダ41の左側壁42に、左の車両用灯火器50(詳細後述)が取付けられ、リヤフェンダ41の右側壁61に、右の車両用灯火器70(詳細後述)が取付けられている。次に左の車両用灯火器50及び右の車両用灯火器70の構成を図3で説明する。
【0032】
図3に示されるように、左の車両用灯火器50は、左側発光部としての左側ランプ51を収納する左側発光部収納体52と、この左側発光部収納体52から延びてリヤフェンダ41の左側壁42に設けられている左側取付穴53に支持される円筒状の左側支持腕54と、この左側支持腕54にリヤフェンダ41の内側から係合され左側支持腕54が左側取付穴53から脱落することを防止する左側固定キャップ55と、を有する。
【0033】
また、右の車両用灯火器70は、右側ランプ71を収納する右側発光部収納体72(詳細後述)と、この右側発光部収納体72から延びてリヤフェンダ41の右側壁61の右側取付穴73(詳細後述)に支持される右側支持腕74(詳細後述)と、この右側支持腕74にリヤフェンダ41の内側から係合され右側支持腕74が右側取付穴73から脱落することを防止する右側固定キャップ75(詳細後述)と、を有する。なお、左の車両用灯火器50と右の車両用灯火器70は、リヤフェンダ41への取付位置が異なるが、構造は同一である。
【0034】
リヤフェンダ41の左側壁42に、反射板取付座76が設けられている。また、リヤフェンダ41の左側壁42、後壁77、右側壁61の各々に、ナンバープレート取付座78、79、81が設けられている。次に右の車両用灯火器70の詳細構造を図4で説明する。
【0035】
図4に示されるように、右の車両用灯火器70の右側発光部収納体72は、右側ランプ71が取付けられ車幅方向に延びる右側ベース部材82と、この右側ベース部材82の後部に取付けられ右側ランプ71の発光方向に位置する右側レンズ83とで構成される。
【0036】
右側支持腕74のリヤフェンダ41側端部に、弾性変形可能な円筒状の右側弾性部材84が設けられている。この右側弾性部材84のリヤフェンダ41側端部の右側外周縁部85に、右側壁61の右側取付穴73に嵌合する右側環状溝86(詳細後述)が設けられると共に、車幅方向に平行で且つ前側に形成される右側前長手溝87(詳細後述)が設けられ、車幅方向に平行で且つ後側に形成される右側後長手溝88(詳細後述)が設けられている。なお、右側弾性部材84の材質は、軟質樹脂が好適であるが、ゴムを適用してもよい。
【0037】
右側弾性部材84のリヤフェンダ41側端部の上側に、車両中心側へ延びる右側上係合片89(詳細後述)が設けられ、右側弾性部材84のリヤフェンダ41側端部の下側に、車両中心側へ延びる右側下係合片91(詳細後述)が設けられている。
【0038】
なお、右側チューブ92が右側弾性部材84から車両中心側へ延ばされ、右側チューブ92の中に電源コード93とアースコード94が挿入されている。電源コード93及びアースコード94に、各々接続端子95、96が取付けられている。
【0039】
加えて、右側固定キャップ75は、円板状の右側キャップ本体97と、この右側キャップ本体97から右側発光部収納体72側へ延ばして形成され電源コード93及びアースコード94を通す右側コード通過穴98を有する右側中空部材99と、からなる。
【0040】
右側中空部材99の前側及び右側キャップ本体97に、右側支持腕74の長手方向に延びる右側前突条部101が設けられ、この右側前突条部101に、右側弾性部材84の右側前長手溝87が係合する。また、右側中空部材99の後側及び右側キャップ本体97に、右側支持腕74の長手方向に延びる右側後突条部102が設けられ、この右側後突条部102に、右側弾性部材84の右側後長手溝88が係合する。
【0041】
右側キャップ本体97に、右側弾性部材84の右側上係合片89に係合可能な右側上係合穴103が設けられ、右側弾性部材84の右側下係合片91に係合可能な右側下係合穴104が設けられている。右側前突条部101が右側前長手溝87に係合し、右側後突条部102が右側後長手溝88に係合するだけでなく、右側上係合穴103に右側上係合片89が係合し、右側下係合穴104に右側下係合片91が係合する。したがって、右側固定キャップ75を右側弾性部材84に取付けた後に右側固定キャップ75が外れ難くなる。
【0042】
さらに、右側取付穴73の右側周縁部105前側に、右側固定キャップ75の右側前突条部101が係合する右側前切欠き106を設け、右側取付穴73の右側周縁部105後側に、右側固定キャップ75の右側後突条部102が係合する右側後切欠き107を設けた。次に右の車両用灯火器70の組付状態を図5で説明する。
【0043】
図5に示されるように、右側弾性部材84の右側環状溝86が右側壁61の右側取付穴(図4の符号73)に嵌合し、右側弾性部材84に右側固定キャップ75が取付けられている。
【0044】
加えて、右側中空部材99の車両中心側上部に、右側上係合片89を右側上係合穴(図4の符号103)の右側上外縁108側へ押付ける右側上押し部109が設けられ、右側中空部材99の車両中心側下部に、右側下係合片91を右側下係合穴(図4の符号104)の右側下外縁111側へ押付ける右側下押し部112が設けられている。
【0045】
また、右側上係合片89の右側壁61側に、右側上係合穴(図4の符号103)の右側上外縁108に引っ掛かる右側上鍔部113が設けられ、右側下係合片91の右側壁61側に、右側下係合穴(図4の符号104)の右側下外縁111に引っ掛かる右側下鍔部114が設けられている。
【0046】
さらに、右側弾性部材84は、右側外周縁部(図4の符号85)の車両中心側端部に、右側取付穴(図4の符号73)の半径R1よりも大径になるように上側の径外方へ突出している右側上円弧状突起115を有すると共に、右側取付穴の半径R1よりも大径になるように下側の径外方へ突出している右側下円弧状突起116を有する。
【0047】
また、右側上円弧状突起115及び右側下円弧状突起116は、右側壁61の右車両中心側壁面117に接触している。なお、R2は右側上円弧状突起115及び右側下円弧状突起116の外半径である。次に右の車両用灯火器70の組付け時の、右側前突条部(図4の符号101)と右側前切欠き(図4の符号106)の係合状態及び右側後突条部(図4の符号102)と右側後切欠き(図4の符号107)の係合状態を図6で説明する。
【0048】
図6に示されるように、右側固定キャップ75の右側前突条部101が、右側取付穴(図4の符号73)の右側前切欠き106に係合し、右側固定キャップ75の右側後突条部102が、右側取付穴(図4の符号73)の右側後切欠き107に係合している。次に右の車両用灯火器70の組付け時の、右側前突条部101と右側前長手溝(図4の符号87)の係合状態及び右側後突条部102と右側後長手溝88の係合状態を図7で説明する。
【0049】
図7に示されるように、右側固定キャップ75の右側前突条部101が、右側弾性部材84の右側前長手溝87に係合し、右側固定キャップ75の右側後突条部102が、右側弾性部材84の右側後長手溝88に係合している。
【0050】
右側弾性部材84の右側環状溝(図5の符号86)が右側壁(図5の符号61)の右側取付穴(図4の符号73)に嵌合され、且つ右側前突条部101と右側前長手溝87が係合すると共に右側後突条部102と右側後長手溝88が係合して、右の車両用灯火器(図4の符号70)はリヤフェンダ(図3の符号41)に取付けられる。すなわち、右側弾性部材84を右側取付穴に取付けた後、右側固定キャップ75を右側弾性部材84に係合させるだけで車両用灯火器の取付けが完了する。そのため、リヤフェンダに車両用灯火器を組付ける際の組付け工数の低減を図ることができる。
【0051】
加えて、円筒状の右側支持腕(図4の符号74)を有するような右の車両用灯火器でも、右側前長手溝87及び右側取付穴(図4の符号73)の右側前切欠き106に右側前突条部101が係合すると共に、右側後長手溝88及び右側取付穴(図4の符号73)の右側後切欠き107に右側後突条部102が係合することによって、右側固定キャップ75とは別の部材を用意せずに、簡単に回り止め構造を実現できる車両用灯火器を提供することができる。
【0052】
右側上円弧状突起115及び右側下円弧状突起116は、右側前長手溝87及び右側後長手溝88を挟むように配置されている。なお、右側上円弧状突起115及び右側下円弧状突起116は、長手溝が1つである場合、一体化させてもよい。
【0053】
以上に述べた右の車両用灯火器70の作用を次に述べる。
図8(a)に示されるように、リヤフェンダ41の右側壁61に臨ませた右側発光部収納体72及び右側支持腕74を、右側壁61の右側取付穴73へ矢印(1)のように向かわせる。
【0054】
図8(b)に示されるように、右側弾性部材84の右側環状溝86が、右側壁61の右側取付穴73に嵌合しているので、リヤフェンダ41に対する右側弾性部材84の取付けが完了する。次に右側固定キャップ75をリヤフェンダ41の内側から右側弾性部材84の右側上係合片89に臨ませる。
【0055】
なお、右側上係合片89、右側下係合片(図4の符号91)は、側面視で一定幅に形成したので、右側固定キャップ75と右側弾性部材84の組付け性が向上する。次に右側固定キャップ75を右側弾性部材84に取付けるまでの手順を図9で説明する。
【0056】
図9(a)は図8(b)の9a−9a線断面図に相当し、右側固定キャップ75を矢印(2)のように、右側弾性部材84の右側上係合片89及び右側下係合片91に向かわせる。
【0057】
図9(b)に示されるように、右側固定キャップ75が右側弾性部材84に取付けられ
ている。このとき、右側上係合片89は右側上押し部109により右側上係合穴103の右側上外縁108側へ押付けられ、右側下係合片91は右側下押し部112により右側下係合穴104の右側下外縁111側へ押付けられている。また、右側上係合片89の右側
上鍔部113は右側上係合穴103の右側上外縁108に引っ掛かり、右側下係合片91の右側下鍔部114は右側下係合穴104の右側下外縁111に引っ掛かっている。
【0058】
したがって、右側上係合穴103を右側上係合片89に取付け、右側下係合穴104を右側下係合片91に取付けた後に、右側固定キャップ75が外れ難くなる。なお、右側固定キャップ75の外れ防止は、右側上係合片89及び右側下係合片91の弾性作用を利用して強化される。
【0059】
加えて、右側上円弧状突起115の外半径R2から右側取付穴(図4の符号73)の半径R1を引いた距離L1だけ、右側上円弧状突起115が右車両中心側壁面117に接触する。また、右側下円弧状突起116の外半径R2から右側取付穴の半径R1を引いた距離L1だけ、右側下円弧状突起116がが右車両中心側壁面117に接触する。したがって、右側弾性部材84の右側環状溝86を右側取付穴(図4の符号73)に嵌合させたとき、右側支持腕(図4の符号74)がより抜け難くなる。
【0060】
これまでに説明した右側上係合片89及び右側下係合片91は、側面視で一定幅に形成した(図8参照)。ところで、右側固定キャップ75を右側弾性部材84に組付けた後、右側固定キャップ75の脱落防止が強化できれば更に好ましい。次に右側固定キャップ75の脱落防止を強化できる例を図10で説明する。
【0061】
図10(a)に示されるように、右側上係合片89Bは、弾性変形可能な板状であると共に、側面視で車両中心側へ向けて末広がりに形成されている。右側上係合片89Bに、右側固定キャップ75を矢印(3)のように向かわせる。
【0062】
図10(b)に示されるように、右側固定キャップ75が右側弾性部材84に取付けられている。右側上係合片89Bが側面視で車両中心側へ向けて末広がりになっているため、右側固定キャップ75の右側上係合穴103を右側上係合片89に取付けた後に、右側固定キャップ75が一層外れ難くなる。
【0063】
尚、本発明の車両用灯火器は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
また、本発明の固定キャップの突条部は、実施の形態では弾性部材の長手溝と車両側の取付穴の切欠きに係合させたが、弾性部材の長手溝のみに係合させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の車両用灯火器は、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0065】
10…車両(自動二輪車)、61…側壁(右側壁)、70…車両用灯火器(右の車両用灯火器)、71…発光部(右側ランプ)、72…発光部収納体(右側発光部収納体)、73…取付穴(右側取付穴)、74…支持腕(右側支持腕)、75…固定キャップ(右側固定キャップ)、84…弾性部材(右側弾性部材)、85…外周縁部(右側外周縁部)、86…環状溝(右側環状溝)、87…長手溝(右側前長手溝)、88…長手溝(右側後長手溝)、89、89B…係合片(右側上係合片)、91…係合片(右側下係合片)、101…突条部(右側前突条部)、102…突条部(右側後突条部)、103…係合穴(右側上係合穴)、104…係合穴(右側下係合穴)、105…周縁部(右側周縁部)、106…切欠き(右側前切欠き)、107…切欠き(右側後切欠き)、108…外縁(右側上外縁)、109…押し部(右側上押し部)、111…外縁(右側下外縁)、112…押し部(右側下押し部)、113…鍔部(右側上鍔部)、114…鍔部(右側下鍔部)、115…円弧状突起(右側上円弧状突起)、116…円弧状突起(右側下円弧状突起)、117…側壁面(右車両中心側壁面)、R1…半径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部(71)を収納する発光部収納体(72)と、この発光部収納体(72)から延びて車両(10)側に設けられている取付穴(73)に支持される円筒状の支持腕(74)と、この支持腕(74)に車両(10)中心側から係合され前記支持腕(74)が前記取付穴(73)から脱落することを防止する固定キャップ(75)と、を有する車両用灯火器(70)において、
前記固定キャップ(75)に、前記支持腕(74)の長手方向に延びる突条部(101、102)が設けられており、
前記支持腕(74)の車両(10)側端部に、弾性変形可能な円筒状の弾性部材(84)が設けられ、この弾性部材(84)の外周縁部(85)に、前記取付穴(73)に嵌合する環状溝(86)が設けられると共に前記突条部(101、102)に係合する長手溝(87、88)が設けられていることを特徴とする車両用灯火器。
【請求項2】
前記弾性部材(84)の車両(10)中心側端部に、前記車両(10)中心側へ延びる係合片(89、91)が設けられ、前記固定キャップ(75)に、前記係合片(89、91)に係合可能な係合穴(103、104)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両用灯火器。
【請求項3】
前記固定キャップ(75)に、前記係合片(89、91)を前記係合穴(103、104)の外縁(108、111)側へ押付ける押し部(109、112)が設けられ、前記係合片(89、91)に、前記係合穴(103、104)の外縁(108、111)に引っ掛かる鍔部(113、114)が設けられていることを特徴とする請求項2記載の車両用灯火器。
【請求項4】
前記係合片(89、89B)は、弾性変形可能な板状であると共に、側面視で前記車両(10)中心側へ向けて末広がり、若しくは一定幅に形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両用灯火器。
【請求項5】
前記車両(10)側に設けられている取付穴(73)の周縁部(105)に、前記固定キャップ(75)に設けられている突条部(101、102)が係合する切欠き(106、107)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用灯火器。
【請求項6】
前記弾性部材(84)は、前記外周縁部(85)の車両(10)中心側端部に、前記取付穴(73)の半径(R1)よりも大径になるように径外方へ突出している円弧状突起(115、116)を有し、この円弧状突起(115、116)は、前記取付穴(73)が設けられた車両(10)側側壁(61)の車両(10)中心側壁面(117)に接触すると共に、前記長手溝(87、88)を挟むように配置されることを特徴とする請求項1記載の車両用灯火器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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