説明

車両用空気調和装置の温度制御用ダイヤル

【課題】車両用空気調和装置の温度制御用ダイヤルの部品点数を削減し、また簡易な構成とする。
【解決手段】温度制御用ダイヤル10の、高温側目盛16、低温側目盛18、ダイヤルノブの指針24を照明する光源として、青色発光ダイオードとこれを覆うキャップを組み合わせたものを使用する。キャップは、青色発光ダイオードからの光が透過すると緑色の光に見えるフィルタとして機能し、また青色の光を受けると少なくとも赤色を含む他の色の光を発する蛍光剤を含んでいる。高温側目盛16には赤色のフィルタを配して赤色に発光させ、低温側目盛18には青色のフィルタを配して青色に発光させる。指針24は、白色の透光性部材を用いて、緑色の光で照明することにより緑色に発光させる。高温側目盛と指針、また低温側目盛と指針を共通の光源で照明するようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空気調和装置の目標温度の制御を行うダイヤルに関し、特にその照明に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空気調和装置には、制御目標となる温度を設定するため、または調和装置の能力の調整を行うためのダイヤルが設けられている。以降、このダイヤルを温度制御用ダイヤルと記す。この温度制御用ダイヤルは、意匠パネルと、これの上に設けられたダイヤルノブを有する。意匠パネルには赤色で表示される高温側目盛と、青色で表示される低温側目盛が設けられている。ダイヤルノブには、高温側または低温側目盛の一カ所を指し示す指針が設けられている。ダイヤルノブを操作することにより、高温の空気と低温の空気の混合比率が変化して、所望の温度の空気が送り出されるようになる。すなわち、ダイヤルノブの指針を高温側目盛へ移動させると、高温の空気の比率が増加して暖房運転となり、また指針を低温側目盛へ移動させると低温の空気の比率が増加して送風または冷房運転となる。
【0003】
夜間など、周囲が暗い時には、温度制御用ダイヤルは、意匠面の背面側に設けられた光源により照明される。つまり、高温側、低温側目盛及びダイヤルノブの指針が透光性の部材で構成され、光源からの光を透過させることにより、車室側からは、この部分が発光して見える。
【0004】
【特許文献1】特開2003−54245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高温側目盛の照明のための赤色、低温側目盛のための青色、さらにダイヤルノブの指針のための緑色の光源を各々備えると、部品点数が増加する。また各色の間で色が混ざらないように仕切り板を配置する必要がある。また、白色の光源を用い、フィルタにて色を表そうとすると、指針が昼間、すなわち外部からの光により視認されている場合でも、緑色に見えてしまう。指針は、昼間においては白としたいという要望がある。
【0006】
本発明は、温度制御用ダイヤルの構造を簡易なものとし、また部品点数の削減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用空気調和装置の温度制御用ダイヤルは、光源として青色発光ダイオードとこれを覆うキャップを組み合わせたものを使用する。キャップは、青色発光ダイオードからの光が透過すると緑色の光に見えるフィルタとして機能し、また青色の光を受けると少なくとも赤色を含む他の色の光を発する蛍光剤を含んでいる。高温側目盛には赤色のフィルタを配して赤色に発光させ、低温側目盛には青色のフィルタを配して青色に発光させる。指針は、白色の透光性部材を用いて、緑色の光で照明することにより緑色に発光させる。指針については、昼間等において、外光により照らされているときには、白色に見える。
【0008】
高温側目盛と指針、また低温側目盛と指針を共通の光源で照明するようにできる。
【発明の効果】
【0009】
各色の照明を行うのに、同一仕様の光源とすることができ、部品点数を削減できる。混色を防止するための仕切り板を設ける必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の車両用空気調和装置の温度制御用ダイヤル10の正面図、図2は、図1中のA−A線による断面図である。
【0011】
意匠パネル12上にダイヤルノブ14が配置されている。意匠パネル12には、ダイヤルノブ14を囲むように高温側目盛16と低温側目盛18が設けられている。高温側目盛16は、その端に記されたHマーク20を含む。また、低温側目盛18は、その端に記されたCマーク22を含む。これら部分は透光性を有し、周囲の部分がマスクされているために、裏面側から照明を行うと、高温側および低温側目盛16,18、HおよびCマーク20,22が発光して見える。また、高温側目盛16と、Hマーク20には、印刷または塗装により赤色が付され、赤色のフィルタが形成され、裏面からの照明により赤色に発光する。一方、低温側目盛18とCマーク22は青色が付されて青色のフィルタが形成され、裏面からの照明により青色に発光する。
【0012】
ダイヤルノブ14の周上の一カ所に指針24が設けられている。指針24は白色の透光性の部材から構成され、裏面からの照明により、その照明の色に発光する。また昼間のように外光により照明される場合は、材料本来の色である白色に見える。ダイヤルノブ14の奥には、ダイヤルスイッチ26が配置され、これによりダイヤルノブ14の角度位置が検出される。
【0013】
ダイヤルノブ14の角度位置により、高温の空気と低温の空気の混合の比率が制御される。高温の空気は、一般的には、車両のエンジンの冷却水により加熱された空気である。また低温の空気は、導入された外気または冷凍機のエバポレータを通過した空気である。ダイヤルノブ14を回して、指針24が高温側目盛16に対向する位置とすると、高温の空気の比率が増え、暖房運転となる。指針24がHマーク20に近づくほどより高温の空気が供給される。逆に、指針24が低温側目盛18の側に回されると、低温の空気の比率が増え、送風または冷房運転となる。冷凍機が運転していないときは、導入された外気または室内空気が低温空気として供給され、冷凍機運転中は、外気または室内空気が冷凍機により更に冷却され、より低温な空気が供給される。指針24がCマーク22に近づくほど、より低温の空気が供給されることとなる。
【0014】
意匠パネル12の裏側、好適には、ダイヤルスイッチ26と共通の回路基板28上に光源30が配置されている。光源30は、高温側および低温側目盛16,18に沿って複数個配置することができる。複数の光源は同一仕様のものとすることができる。また、一つの光源30からの光は、高温側または低温側の目盛16,18と共にダイヤルノブの指針24を照らすことができる。
【0015】
光源30は、青色LED(発光ダイオード)にキャップを被せた構造を有するものとすることができる。キャップは、透光性を有する略黄色により着色され、青色LEDから放射された光が通過すると、緑色に光って見える。また、キャップには、青色の光を受けて、他の色の光を発する蛍光剤が含有されている。これにより、光源30は、緑色に見えるが、他の色の波長も含んだ光を放射するものとなっている。青色LEDは日亜化学工業株式会社製を用いることができ、蛍光剤は株式会社朝日ラバー製、ASA COLOR LED(商品名)を用いることができる。
【0016】
前述のように、高温側目盛16には赤色のフィルタが形成されており、光源30により照射されることにより赤色に発光する。また、昼間においては、外部からの光により印刷等により付された赤色が視認される。低温側目盛18には青色のフィルタが形成されており、光源30により照射されることにより青色に発光する。昼間においては、外部からの光により印刷等により付された青色が視認される。指針24は、白色の透光性部材により構成されているので、光源30の緑色の光により、緑色に発光する。一方、昼間においては、指針24は本来白色なので、白色として視認される。
【0017】
光源30は共通の仕様であるので、光源の色の違いによる混色は起こらず、仕切り板を設ける必要がない。また、色の異なる光源を使用しないので、部品点数が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の温度制御用ダイヤルの正面図である。
【図2】図1のA−A線による断面図である。
【符号の説明】
【0019】
10 温度制御用ダイヤル、12 意匠パネル、14 ダイヤルノブ、16 高温側目盛、18 低温側目盛、24 指針、30 光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用空気調和装置の温度制御用ダイヤルであって、
高温側目盛と低温側目盛が表示される意匠パネルと、
意匠パネル上に設けられ、前記目盛の1カ所を示す指針を有するダイヤルノブと、
意匠パネルの背面側に設けられ、前記高温側目盛、前記低温側目盛および前記指針を照明する同一仕様の光源と、
を有し、
前記光源は、
青色発光ダイオードと、
この青色発光ダイオードを覆い、透過する光が緑色に見えるフィルタとして機能し、さらに青色の光を受けて少なくとも赤色の光を発光する蛍光剤を含んだキャップと、
を含み、
前記高温側目盛には赤色のフィルタが設けられて赤色に発光し、
前記低温側目盛には青色のフィルタが設けられて青色に発光し、
前記指針は白色の透光性部材を含み、この透光性部材が前記光源からの光と透過して緑色に発光する、
温度制御用ダイヤル。
【請求項2】
請求項1に記載の温度制御用ダイヤルであって、高温側目盛と指針を照明する光源が共用され、低温側目盛と指針を照明する光源が共用される、温度制御用ダイヤル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−107490(P2009−107490A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282123(P2007−282123)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】