説明

車両用空調操作装置

【課題】誤操作を抑制する車両用空調操作装置を提供する。
【解決手段】車両のフロントウインドウの曇りを解消するフロントデフロスター機能と、リアウインドウの曇りを解消するリアデフォッガー機能とを有する空調装置の両機能のオンオフを切り替えるデフロスタースイッチ6を有する車両用空調操作装置において、デフロスタースイッチ6は、フロントデフロスター機能とリアデフォッガー機能との両方がオフとされているときには、フロントデフロスターのマークを表示し、これがオン操作されたときは、フロントデフロスター機能を発揮させるとともに、同フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとの両方を表示する表示部32を備える車両用空調操作装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車には、乗車中の環境を快適なものにするため、車室内の空気調節を行う車両用空調装置(カーエアコン)が設けられている。カーエアコンは、例えば、特許文献1に示される車両用空調操作装置の操作を通じて任意に設定された環境に車両の室内を空調する。
【0003】
この特許文献1に開示されている車両用空調操作装置には、カーエアコンのフロントデフロスター機能、すなわち、フロントウインドウに向けて送風し、同フロントウインドウの曇りを解消させる機能の作動の有無を切り替えるフロントデフロスタースイッチが設けられている。また、同じく車両用空調操作装置には、カーエアコンのリアデフォッガー機能、すなわち、リアウインドウにプリントされた電熱線へ電気を供給することによって同リアウインドウの曇りを解消させる機能の作動の有無を切り替えるリアデフォッガースイッチが設けられている。ユーザは、フロントデフロスタースイッチ及びリアデフォッガースイッチの操作を通じて、フロントウインドウ及びリアウインドウの曇りを解消させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−280669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、車両用空調操作装置のスイッチには、操作した際にカーエアコンが発揮する機能を示すマークや文字等が表示されている。ユーザは、その表示を確認することによってそのスイッチを操作した際に発揮されるカーエアコンの機能を認識することができる。
【0006】
図4に示されるように、特許文献1の車両用空調操作装置では、フロントデフロスタースイッチとリアデフォッガースイッチとをまとめて、1つのデフロスタースイッチ40とした。このデフロスタースイッチ40の表面には、フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとが並べて印字されており、それらの上側には、2つのインジケータ41,42が設けられている。このデフロスタースイッチでは、押し操作する毎に、カーエアコンに発揮させる機能を切り替える。そして、発揮される機能と対応する側のインジケータ41,42を点灯させて、どちらの機能が発揮されているかを報知する。
【0007】
ところが、フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとは、よく似ている。ちなみに、扇形の窓と3本の波形矢印とで表示されているのがフロントデフロスターのマーク、長方形の窓と3本の波形矢印とで表示されているのがリアデフォッガーのマークである。このため、デフロスタースイッチをユーザが間違えて操作するおそれがあり、そのため、所望する側の窓の曇りが解消されないおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、誤操作を抑制する車両用空調操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の空調装置における複数の空調機能の制御態様を制御手段に入力する制御スイッチを有する車両用空調操作装置において、前記複数の空調機能には、優先順位が設定されており、前記制御スイッチは、前記複数の空調機能がオフとされているときには、優先順位の高い空調機能を表す表示を行い、前記制御スイッチが操作されたときには、表示させている空調機能を発揮させるとともに、この表示に加えて次に優先順位の高い空調機能を表す表示を行う表示装置を備えることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、制御スイッチに係る空調機能がオフとされている状態で同制御スイッチを操作した場合は、表示されている優先順位の高い空調機能が発揮されることになる。すなわち、表示されていない優先順位の低い空調機能は発揮されない。これにより、優先順位の低い空調機能を誤って作動させることを抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用空調操作装置において、前記制御スイッチは、車両のフロントウインドウの曇りを解消するフロントデフロスター機能と、リアウインドウの曇りを解消するリアデフォッガー機能とを切り替えるデフロスタースイッチであって、フロントデフロスター機能の方がリアデフォッガー機能よりも優先順位が高く設定されることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、フロントデフロスター機能とリアデフォッガー機能との両方がオフとされているとき、デフロスタースイッチには、フロントデフロスターのマークが表示されている。このため、このデフロスタースイッチがフロントデフロスター機能の作動の有無を切り替えるスイッチであることを報知することができる。また。このデフロスタースイッチがオン操作されたときには、フロントデフロスター機能を発揮させるとともに、フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとを表示させる。このように、フロントデフロスター機能とリアデフォッガー機能との両方がオフのときは、デフロスタースイッチが操作されたときに発揮させる機能がフロントデフロスター機能に限定されているので、ユーザによるデフロスタースイッチの誤操作を抑制することができる。換言すれば、視界確保機能として重要度の低いリアデフォッガー機能をユーザが誤って作動させることを抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用空調操作装置において、前記表示装置は、フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとの両方を表示するとき、フロントデフロスターのマークを上側にリアデフォッガーのマークを下側に表示することを要旨とする。
【0014】
一般的に、人間は、上側と前側、下側と後側のように、表示位置と機能の発揮される方向とを対応させて考えることが多い。このため、同構成によれば、フロントデフロスターのマークを上側に表示することで、フロントデフロスター機能の作動が車両の前側にあるフロントウインドウの曇りを解消することをユーザに認識させやすい。同様に、リアデフォッガーのマークを下側に表示することで、リアデフォッガー機能の作動が車両の後側にあるリアウインドウの曇りを解消することをユーザに認識させやすい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、誤操作を抑制する車両用空調操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のカーエアコンの概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)は、デフロスタースイッチを示す正面図、(b)は(a)の断面指示線A−A線に対応する断面図。
【図3】(a)は、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両方がオフとされているとき、(b)は、フロントデフロスター機能が作動されているとき、(c)は、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両方がオンとされているとき、(d)は、リアデフォッガー機能が作動されているときのデフロスタースイッチの正面図。
【図4】従来のデフロスタースイッチを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の車両用空調操作装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示されるように、カーエアコン1は、図示しない車両に搭載される内気センサ2、外気センサ3、日射センサ4、温度設定ダイヤル5、及びデフロスタースイッチ6からの情報を基に制御手段としてのECU8によって制御される。内気センサ2は、車両室内の温度情報及び湿度情報を取得して、その情報をECU8に入力する。外気センサ3は、車両室外の温度情報及び湿度情報を取得して、その情報をECU8に入力する。日射センサ4は、車両室内に注がれる日射量の情報を取得して、その情報をECU8に入力する。温度設定ダイヤル5は、ユーザにより操作されて、ユーザの希望温度情報をECU8に入力する。デフロスタースイッチ6は、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の作動の有無を切り替える。このデフロスタースイッチ6には、表示装置7が設けられている。この表示装置7は、デフロスタースイッチ6によって切り替えられるフロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の作動の有無に応じて、その表示態様が変化する。ECU8には、空調制御部8aと表示制御部8bとが設けられている。空調制御部8aは、各センサ等を通じて入力される情報に基づき設定温度に空調するための最適な制御状態(風量等)を演算し、これに基づき空調制御を行う。表示制御部8bは、空調制御部8aにおける空調制御状態に対応した表示装置7の表示制御を行う。
【0018】
(デフロスタースイッチの構成)
図2(a)に示されるように、デフロスタースイッチ6は、車室内のダッシュボードに設けられる。このデフロスタースイッチ6は、図2(b)に示されるように、外部に露出する態様で設けられる円形のノブ20と内部に設けられる基板31とから構成されている。基板31は、ECU8と接続されている。
【0019】
基板31には、表示部32及びインジケータ33,34、固定接点35,36が設けられている。これら表示部32及びインジケータ33,34は、表示装置7を構成する。詳述すると、表示部32は、例えば液晶ディスプレイからなり、基板31のノブ20側の中央部に設けられている。表示部32の上側には、固定接点35が、その上側にはインジケータ33が基板31に固定されている。同じく、表示部32の下側には、固定接点36が、その下側にはインジケータ34が基板31に固定されている。
【0020】
ノブ20には、軸21、光を透過させることのできる透過部22,23,24、可動接点25,26が設けられている。詳述すると、軸21は、ノブ20の基板31側の中央部に左右方向(紙面方向)に延びる態様で設けられている。これにより、ノブ20は、軸21を中心に時計回り又は反時計回りに傾動可能とされている。なお、軸21回りには、図示しない渦巻きばねが配設されている。透過部22,23,24は、それぞれ表示部32、インジケータ33,34と対向する位置に設けられている。これにより、表示部32及びインジケータ33,34が発光した際には、その光は、透過部22,23,24を介して外部に漏洩する。また、可動接点25,26は、それぞれ基板31側の固定接点35,36と対向する位置に設けられている。これにより、ノブ20が操作されて、同ノブ20が時計回りに傾動した際には、可動接点25と固定接点35とが、ノブ20が半時計回りに傾動したときには、可動接点26と固定接点36とが接触する。なお、ノブ20への操作が解放されると、同ノブ20は、図示しない渦巻きばねの弾性力により、可動接点25と固定接点35、及び可動接点26と固定接点36が接触しない位置に弾性復帰する。
【0021】
(デフロスタースイッチの作用)
このように構成されたデフロスタースイッチ6は、可動接点25,26と固定接点35,36との接触の有無を切り替える。ECU8は、その接触の有無に応じて、フロントデフロスター機能、及びリアデフォッガー機能の作動の有無を切り替える。また、ECU8は、表示部32は、デフロスタースイッチ6が操作されて、カーエアコン1がフロントデフロスター機能又はリアデフォッガー機能を作動させるときは、その表示態様がECU8によって切り替えられる。インジケータ33,34は、カーエアコン1が発揮される機能に応じて、その点灯の有無がECU8によって切り替えられる。
【0022】
(表示部の表示態様、インジケータの点灯態様)
次に、表示部32の表示態様、及びインジケータ33,34点灯態様について説明する。なお、表示部32、及びインジケータ33,34は、ECU8へ車両の電源が投入されない限りオフ、すなわち、表示及び点灯しないとされている。
【0023】
ECU8へ車両の電源が投入されると、表示制御部8bは、表示部32の中央部に図3(a)に示される扇形の窓と3本の波形矢印、すなわち、フロントデフロスターのマークを表示させる。これにより、デフロスタースイッチ6には、フロントデフロスターのマークが表示されているので、このスイッチが、フロントデフロスター機能の発揮の有無を切り替えるスイッチであることを報知させることができる。なお、この状態では、インジケータ33,34は消灯した状態のままである。
【0024】
デフロスタースイッチ6が、押し操作されると、可動接点25と固定接点35、又は、可動接点26と固定接点36とが接触する。これにより、フロントデフロスター機能がオン操作された旨示す信号がECU8に入力される。ECU8の空調制御部8aは、デフロスタースイッチ6がオン操作された旨入力されると、カーエアコン1のフロントデフロスター機能を発揮させる。ECU8の表示制御部8bは、カーエアコン1のフロントデフロスター機能が発揮されたことを認識すると、表示部32の表示態様を変化させる。すなわち、図3(b)に示されるように、表示制御部8bは、表示部32におけるフロントデフロスターのマークのみ表示の表示を、フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとの2つのマークの表示態様に切り替える。これにより、デフロスタースイッチ6の操作を通じてリアデフォッガー機能の作動の有無を切り替えることができることを報知することができる。また、このとき、インジケータ33側には、フロントデフロスターのマークが、インジケータ34側には、リアデフォッガーのマークが表示される。また、このとき、表示制御部8bは、インジケータ33を点灯させる。つまり、フロントデフロスターのマークが表示されている側のインジケータ33が点灯する。これにより、カーエアコン1のフロントデフロスター機能が作動していることを報知することができる。
【0025】
この状態で、リアデフォッガー機能のオン操作、すなわち、リアデフォッガーのマークが表示されたデフロスタースイッチ6の下側が押し操作されると、可動接点26と固定接点36とが接触する。これにより、リアデフォッガー機能がオン操作された旨示す信号がECU8に入力される。ECU8の空調制御部8aは、リアデフォッガー機能がオン操作された旨入力されると、カーエアコン1のリアデフォッガー機能を発揮させる。ECU8の表示制御部8bは、カーエアコン1のリアデフォッガー機能が発揮されたことを認識すると、図3(c)に示されるように、インジケータ34を点灯させる。このように、リアデフォッガーのマーク側のインジケータ34を点灯することにより、カーエアコン1のリアデフォッガー機能が作動していることを報知することができる。
【0026】
発揮されているカーエアコン1のフロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能をオフに切り替える場合は、デフロスタースイッチ6のオフしたい機能を示すマーク側の部分を押し操作する。
【0027】
具体的には、図3(c)に示されるフロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両方が作動している状態から、フロントデフロスター機能をオフしたい場合には、デフロスタースイッチ6の上側、すなわち、フロントデフロスターのマーク側を押し操作する。これにより、可動接点25と固定接点35とが接触する。これにより、フロントデフロスター機能をオフ操作させる旨示す信号がECU8に入力される。ECU8の空調制御部8aは、フロントデフロスター機能をオフ操作させる旨示す信号が入力されると、カーエアコン1のフロントデフロスター機能を停止させる。ECU8の表示制御部8bは、カーエアコン1のフロントデフロスター機能が停止されたことを認識すると、図3(d)に示されるように、インジケータ33を消灯させる。このように、フロントデフロスターのマーク側のインジケータ33を消灯することにより、カーエアコン1のフロントデフロスター機能が停止していることを報知することができる。換言すれば、リアデフォッガーのマーク側のインジケータ34のみが点灯することにより、カーエアコン1のリアデフォッガー機能のみが作動していることを報知することができる。
【0028】
図3(c)に示されるフロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両方が作動している状態から、リアデフォッガー機能をオフしたい場合には、デフロスタースイッチ6の下側、すなわち、リアデフォッガーのマーク側を押し操作する。これにより、可動接点26と固定接点36とが接触する。これにより、リアデフォッガー機能をオフ操作させる旨示す信号がECU8に入力される。ECU8の空調制御部8aは、リアデフォッガー機能をオフ操作させる旨示す信号が入力されると、カーエアコン1のリアデフォッガー機能を停止させる。ECU8の表示制御部8bは、カーエアコン1のリアデフォッガー機能が停止されたことを認識すると、図3(b)に示されるように、インジケータ34を消灯させる。このように、リアデフォッガーのマーク側のインジケータ34を消灯することにより、カーエアコン1のリアデフォッガー機能が停止していることを報知することができる。換言すれば、フロントデフロスターのマーク側のインジケータ33のみが点灯することにより、カーエアコン1のフロントデフロスター機能のみが作動していることを報知することができる。
【0029】
なお、図3(b)に示されるフロントデフロスター機能のみが発揮されている状態から、デフロスタースイッチ6の上側が押し操作された場合、及び図3(d)に示されるリアデフォッガー機能のみが発揮されている状態から、デフロスタースイッチ6の下側が押し操作された場合は、空調制御部8aは、発揮している機能を停止させる。表示制御部8bは、カーエアコン1のフロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両方が発揮されていないことを認識すると、図3(a)に示されるように、点灯していたインジケータ33,34を消灯させるとともに、表示部32をフロントデフロスターのマークのみ表示させる。
【0030】
なお、フロントデフロスター機能やリアデフォッガー機能の作動は車両の消費電力が大きいとされている。そのため、省エネルギーの観点から、両機能の作動は、必要とされるべきときのみ作動させるのが望ましい。基本的に車両は、前進することが多い。すなわち、ドライバーにとって、車両前方の視界を確保することの方が、車両後方の視界を確保するよりも重要である。このことは、リアデフォッガー機能は、車両(自動車)への搭載が義務づけられていないのに対し、フロントデフロスター機能は、車両への搭載が義務づけられていることからも分かる。
【0031】
このことから、本例では、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両機能がオフとされているときは、表示部32にフロントデフロスターのマークのみ表示し、デフロスタースイッチ6が操作されたときには、フロントデフロスター機能のみ発揮されるようにした。これにより、車両前方への視界を確保することができる。また、最初は、フロントデフロスター機能のみを作動させることにより、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両機能を作動させる場合に比べて、消費電力を抑えることができる。なお、電気自動車においては、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能における電気消費量の大小が、その車両の走行可能距離(いわゆる電費)に大きく影響する。このため、電気自動車においては、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能に係る消費電力を抑えることにより、電費を改善する効果を得ることができる。
【0032】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両機能の作動の有無を切り替えられデフロスタースイッチ6に表示部32を設けた。表示部32は、両機能がオフとされているときはフロントデフロスターのマークのみを表示する。そして、この状態でデフロスタースイッチ6がオン操作されたときは、フロントデフロスター機能を発揮させるとともに、表示部32は、フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとの両方を表示させるようにした。このように、フロントデフロスター機能とリアデフォッガー機能との両方がオフのときは、デフロスタースイッチ6が操作されたときに発揮させる機能がフロントデフロスター機能に限定されているので、ユーザによるデフロスタースイッチの誤操作を抑制することができる。換言すれば、視界確保機能として重要度の低いリアデフォッガー機能をユーザが誤って作動させることを抑制することができる。
【0033】
(2)デフロスタースイッチ6にフロントデフロスター機能の作動の有無を切り替える可動接点25と固定接点35、及びリアデフォッガー機能の作動の有無を切り替える可動接点26と固定接点36の2カ所の操作接点を設けた。これにより、フロントデフロスター機能の作動の有無と、リアデフォッガー機能の作動の有無とを独立して切り替えることができるので、オンオフさせたい機能のみを操作することができる。
【0034】
(3)表示部32は、フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとを同時に表示する際、フロントデフロスターのマークを上側に、リアデフォッガーのマークを下側に表示させるようにした。一般的に、人間は、上側と前側、下側と後側のように、表示位置と機能の発揮される方向とを対応させて考えることが多い。このため、フロントデフロスターのマークを上側に表示することで、フロントデフロスター機能の作動が車両の前側にあるフロントウインドウの曇りを解消することをユーザに認識させやすい。同様に、リアデフォッガーのマークを下側に表示することで、リアデフォッガー機能の作動が車両の後側にあるリアウインドウの曇りを解消することをユーザに認識させやすい。
【0035】
(4)フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両機能がオフとされているときは、表示部32にフロントデフロスターのマークのみ表示し、デフロスタースイッチ6が操作されたときには、フロントデフロスター機能のみ発揮されるようにした。これにより、車両前方への視界を確保することができる。また、最初は、フロントデフロスター機能のみを作動させることにより、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両機能を作動させる場合に比べて、消費電力を抑えることができる。
【0036】
電気自動車においては、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能における電気消費量の大小が、その車両の走行可能距離(いわゆる電費)に大きく影響する。このため、電気自動車においては、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能に係る消費電力を抑えることにより、電費を改善する効果を得ることができる。
【0037】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、デフロスタースイッチ6としては、機械的なスイッチを採用したが、ナビゲーションシステムの表示部(例えば、タッチ入力式の液晶ディスプレイ)に設けられるスイッチであってもよい。このように構成した場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
・上記実施形態では、フロントデフロスター機能が発揮される場合、フロントデフロスターのマーク側のインジケータ33が、リアデフォッガー機能が発揮される場合、リアデフォッガーのマーク側のインジケータ34が点灯されるようにしたが、インジケータ33,34を省略してもよい。この場合、表示部32に表示されるフロントデフロスターのマークやリアデフォッガーのマークの周辺を点灯させる、マーク自体の色を変える等して、そのマークと対応する機能の作動の有無を報知するようにしてもよい。このように構成した場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
・上記実施形態では、表示部32には、フロントデフロスターのマーク及びリアデフォッガーのマークというマークのみを表示したが、このマークに追加して文字を表示してもよい。すなわち、フロントデフロスターのマークの近傍に「FRONT」、リアデフォッガーのマークの近傍に「REAR」と表示してもよい。このように構成すれば、フロントデフロスターのマークに対応するフロントデフロスター機能が車両前側のフロントウインドウの曇りを解消する機能であること、リアデフォッガーのマークに対応するリアデフォッガー機能が車両後側のリアウインドウの曇りを解消する機能であることをより確実に報知することができる。
【0040】
・上記実施形態では、フロントデフロスターのマーク及びリアデフォッガーのマークは上下に並ぶように表示されたが、表示位置は、これに限定されない。例えば、左右であってもよい。このように構成しても、フロントデフロスター機能とリアデフォッガー機能との両方がオフのときは、デフロスタースイッチが操作されたときに発揮させる機能がフロントデフロスター機能に限定されているので、ユーザによるデフロスタースイッチの誤操作を抑制することができる。換言すれば、視界確保機能として重要度の低いリアデフォッガー機能をユーザが誤って作動させることを抑制することができる。
【0041】
・上記実施形態では、デフロスタースイッチ6は、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の作動の有無を切り替えたが、この機能に加えて、サイドミラーにプリントされた電熱線への電流の供給を通じて、同サイドミラーの曇りを解消させるサイドミラーデフォッガー機能の作動の有無を切り替えてもよい。この場合、サイドミラーデフォッガー機能をリアデフォッガー機能と連動させてもよいし、他の機能と独立して作動するようにしてもよい。この場合、サイドミラーデフォッガー機能に対応した操作接点を設ける必要がある。また、デフロスタースイッチ6は、フロントデフロスター機能とサイドミラーデフォッガー機能とを、又は、リアデフォッガー機能とサイドミラーデフォッガー機能とを切り替えてもよい。このように構成した場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
・上記実施形態において、表示部32及びインジケータ33,34は、基板31に設けられたが、これらは、ノブ20に設けてもよい。このように構成した場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
・上記実施形態において、ノブ20に設けられる軸21は、固定軸とされたが、基板31側に押し操作が可能とされた可動軸であってもよい。このように構成すれば、フロントデフロスターのマークのみが表示部32に表示されている場合に、ユーザがフロントデフロスター機能をさせるべく、中央、すなわち可動軸の上側に設けられたデフロスターのマークを押し操作したとき、ノブ20全体を押し操作することができる。これにより、ユーザは、デフロスタースイッチ6を適切に操作した操作感覚を得ることができる。また、このように構成した場合であっても、表示部32にフロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとが表示されているときは、これらの機能を独立して切り替えることができる。なお、2カ所の接点が同時に閉じた場合については、フロントデフロスター機能及びリアデフォッガー機能の両機能の作動の有無を同時に切り替えてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、接点は2カ所に設けられたが、1カ所であってもよい。
・上記実施形態において、表示部32は、透過照明であってもよい。詳述すると、透過照明は、光源と1以上の遮光層とにより構成される。遮光層は、特定の波長の光だけ遮光する。これにより、光源から発せたれた光の一部は、遮光層によって遮光される。従って、遮光層を通過して外部に漏洩する光をフロントデフロスターマークやリアデフォッガーマークとすることにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項1〜3に記載の車両用空調操作装置において、前記デフロスタースイッチには、フロントデフロスター機能の作動の有無を切り替える操作接点と、リアデフォッガー機能の作動の有無を切り替える操作接点との2つの操作接点が設けられることを要旨とする。
【0046】
同構成によれば、フロントデフロスター機能の作動の有無と、リアデフォッガー機能の作動の有無とを独立して切り替えることができる。従って、オンオフさせたい機能のみを操作することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…カーエアコン、2…内気センサ、3…外気センサ、4…日射センサ、5…温度設定ダイヤル、6…デフロスタースイッチ、7…表示装置、8…ECU、8a…空調制御部、8b…表示制御部、20…ノブ、21…軸、22,23,24…透過部、25,26…可動接点、31…基板、32…表示部、33,34…インジケータ、35,36…固定接点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の空調装置における複数の空調機能の制御態様を制御手段に入力する制御スイッチを有する車両用空調操作装置において、
前記複数の空調機能には、優先順位が設定されており、前記制御スイッチは、前記複数の空調機能がオフとされているときには、優先順位の高い空調機能を表す表示を行い、前記制御スイッチが操作されたときには、表示させている空調機能を発揮させるとともに、この表示に加えて次に優先順位の高い空調機能を表す表示を行う表示装置を備える車両用空調操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調操作装置において、
前記制御スイッチは、車両のフロントウインドウの曇りを解消するフロントデフロスター機能と、リアウインドウの曇りを解消するリアデフォッガー機能とを切り替えるデフロスタースイッチであって、フロントデフロスター機能の方がリアデフォッガー機能よりも優先順位が高く設定される車両用空調操作装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用空調操作装置において、
前記表示装置は、フロントデフロスターのマークとリアデフォッガーのマークとの両方を表示するとき、フロントデフロスターのマークを上側にリアデフォッガーのマークを下側に表示する車両用空調操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−131454(P2012−131454A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287473(P2010−287473)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】