説明

車両用空調装置

【課題】本発明は、インテークボックスに回転数制御装置を備えたHVACにおいて、どのような内気・外気の混合比率が選択されても、回転数制御装置が空気流によって確実に冷却される、インテークボックスの通風構造を備えた車両用空調装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る車両用空調装置は、フルセンタータイプの車両用空調装置において、回転数制御装置6がインテークボックス2内の車室側壁面に取り付けられており、かつ、ブロア8の吸い込み口7の開口方向と交差する方向から導入された空気の一部を回転数制御装置6に配風する配風ガイド22がインテークボックス2内に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用空調装置のインテークボックスの構造に関し、より詳しくは、インテークボックス内に設けたブロアの回転数を制御する回転制御装置(レジスタ、パワートランジスタ)への通風構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置のHVACは、ブロアの回転数を制御し、送風量を調整する回転数制御装置を備えている。回転数制御装置を利用してブロアの回転数を制御すると、回転数制御装置が発熱するため、回転数制御装置の放熱部(以下、本発明では放熱部を含めて単に回転数制御装置と表記する。)を空調装置のケースの空気流路内に設置して、送風空気により冷却している。通常のHVACの構成は、ブロアと、熱交換器を備えたユニットとが別体となっており、これらの間に設けられたダクトに回転数制御装置が設置されていた(例えば、特許文献1の図1を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の別体タイプのHVACのほか、小型化要求への対応としてフルセンタータイプと呼ばれる構成のHVACが有る。フルセンタータイプのHVACは、構成するインテークボックス、ブロア、冷房用熱交換器、暖房用熱交換器、温調ドア、配風用ドアなどの構成部品を車両中央付近に集約することで、車両の前後左右方向の占有体積を小さくできる(例えば、特許文献2の図1を参照。但し、具体的設置場所の記載はない。)。
【0004】
フルセンタータイプのHVACでは、ブロアと熱交換器を備えたユニットとを結ぶダクトがないか或いは有ったとしても小さく、またユニット自体が、占有面積を小さくすることを求められているために、内部に配置される各種部品の密集度が高く、回転数制御装置の設置場所の確保が困難である。そこで、フルセンタータイプの空調装置において、インテークボックス内に回転数制御装置を設置した例がある(例えば、特許文献2の図7、図8を参照。)。
【特許文献1】特開平10‐217747号公報
【特許文献2】特開2002‐362130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インテークボックスは、ブロアへ供給する空気の車室内外気の混合比率を適切に制御する機能を備えている。インテークボックスのケースには外気導入口と内気導入口が備えられるとともに、ケース内部には内外気切換手段が設けられ、内外気切換手段を適宜移動させることにより混合比率を適切に制御している。このため、回転数制御装置をインテークボックスに設置する場合は、どのような混合比率が選択されても、確実に回転数制御装置が冷却されるように空気流路を構成する必要がある。
【0006】
ところで回転数制御装置は、車両電気配線の取付けや故障時の取替作業などが行えるよう、空調装置の車室内に面する部分に設置される。回転数制御装置がインテークボックスに設置される場合も、車両前方側ではなく、車室側壁面に設置されることとなる。
【0007】
一方、フルセンタータイプの空調装置において、ブロアの吸込み方向は、車両の左右方向となる。このようにすれば、ブロアの吹出風が車両の上下あるいは前後方向となり、車両左右方向の占有面積を小さくすることができる。
【0008】
インテークボックスに導入される空気のうち少なくとも外気は車両前方から導かれ、ブロアの吸込み方向に沿うよう空気流が曲げられて、吸込み口に到達する。内外気切換手段が外気導入モードを選択したとき、インテークボックス内における車両前方側経路(外気導入口に近い経路)が車室側経路(外気導入口から遠い経路)よりも通気抵抗が小さいため、車室側経路は充分な空気流が確保されないこととなる。しかし回転数制御装置は、前述の理由から車室側経路に設置される。このように、車両前方から導入された空気流が、ブロアの吸込み方向に沿うよう曲げられる空調装置の構成において、回転数制御装置の冷却が充分なされないという問題があった。
【0009】
さらには、車両のレイアウト上の理由から、外気に加えて内気でさえ、車両前方から導かれる構成もある(例えば、特許文献2の構成)。この場合、内外気切換手段が外気導入モードと内気循環モードのいずれを選択しても、回転数制御装置の冷却が充分なされないという問題もあった。
【0010】
そこで本発明の目的は、インテークボックスに回転数制御装置を備えたHVACにおいて、どのような内外気の混合比率が選択されても、回転数制御装置が空気流によって確実に冷却される、インテークボックスの通風構造を備えた車両用空調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らはインテークボックス内の車室側壁面に回転数制御装置を取付け、かつ、空気流の一部を回転数制御装置に配風する配風ガイドを設けることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る車両用空調装置は、外気導入口、内気導入口及び内外気の混合比率を制御する内外気切換手段を有するインテークボックスと、該インテークボックスの下流に配置され、ケース内に空気流れを形成するブロアと、該ブロアの回転数を制御する回転数制御装置とを少なくとも備え、前記ブロアの吸い込み口の開口方向が車両左右方向に向けられており、前記外気導入口の開口方向が前記ブロアの吸い込み口の開口方向に対して交差する方向に向けられた車両用空調装置において、前記回転数制御装置が前記インテークボックス内の車室側壁面に取り付けられており、かつ、前記ブロアの吸い込み口の開口方向と交差する方向から導入された空気の一部を前記回転数制御装置に配風する配風ガイドが前記インテークボックス内に設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
本発明に係る車両用空調装置では、さらに、前記内気導入口が前記ブロアの吸い込み口の開口方向の延長上に設けられ、前記配風ガイドが前記内外気切換手段に設けられ、かつ、前記内外気切換手段によって内気循環モードが選択されたときに前記配風ガイドは前記インテークボックスに導入される空気流に沿った形状に形成した(請求項2)。内気導入口をブロアの吸込み口の開口方向の延長上に設けたので、内気循環モードにおいてインテークボックス内の車両側経路は充分な量の空気が通過できる。また配風ガイドを内外気切換手段に設けたので、外気導入モードにおいてインテークボックスに導入される外気の一部を回転数制御装置に配風できる。よって、内気導入口をブロアの吸い込み口の開口方向の延長上に設けた構成において、内外気切換手段によってどのような内外気の混合比率が選択されても、回転数制御装置が確実に冷却される。また、内気循環モードが選択されたときに配風ガイドはインテークボックスに導入される空気流に沿った形状に形成したので、内気循環モードにおいて配風ガイドは内気の空気流を乱さないため、直線的に流れる内気の空気流が効率よく回転数制御装置を冷却する。また、内気循環におけるブロアの送風効率を悪化させることがない。
【0013】
本発明に係る車両用空調装置では、さらに、前記内外気切換手段によって内気循環モードが選択されたときに、前記配風ガイドは、前記インテークボックス内を流れる空気流と接触しない箇所に位置される(請求項3)。内気循環モードが選択された際に、配風ガイドが、インテークボックス内の空気流の系外に位置するため、配風ガイドが全く通気抵抗とならない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、インテークボックスに回転数制御装置を備えたHVACにおいて、どのような内外気の混合比率が選択されても、回転数制御装置が空気流によって確実に冷却される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものでない。なお、同一部材・同一部位には同一符号を付した。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0016】
図1〜図6を参照して、第一形態の車両用空調装置について説明する。図1は、車両用空調装置の第一形態のインテークボックスの内部構造を説明するための平面図であり、(a)は内気循環モード、(b)は外気導入モードである。図2は、車両用空調装置の第一形態のインテークボックスの構造を説明するための、空調装置と車両の一部を記載した概略断面図である。図3は、第一形態の車両用空調装置における、配風ガイドが設けられた内外気切換手段の構造を説明するための斜視図である。図4は、配風ガイドを設けていない比較形態例について、インテークボックス内の内部構造を説明するための平面図であり、(a)は内外気共にブロアの吸い込み口の開口方向と交差する方向から導入される形態例、(b)は内外気切換手段が片持ちドアで、外気がブロアの吸い込み口の開口方向と交差する方向から導入される形態例である。図5は、車両用空調装置の第一形態について隔壁をさらに設けた変形例であり、インテークボックス内の内部構造を説明するための平面図であり、(a)は外気導入モード、(b)は内気循環モードである。図6は、車両用空調装置の第一形態について、ロータリードアに設ける配風ガイドを内外気切換手段の回転軸から離した変形例であり、(a)は外気導入モード、(b)は内気循環モードである。
【0017】
図1〜3に示すように、第一形態に係る車両用空調装置100は、外気導入口3、内気導入口4及び内外気の混合比率を制御する内外気切換手段5を有するインテークボックス2と、インテークボックス2の下流に配置され、ケース1内に空気流れを形成するブロア8と、ブロア8の回転数を制御する回転数制御装置6とを少なくとも備え、ブロア8の吸い込み口7の開口方向が車両左右方向に向けられており、外気導入口3の開口方向がブロア8の吸い込み口7の開口方向に対して交差する方向に向けられたフルセンタータイプの空調装置である。そして回転数制御装置6がインテークボックス2内の車室側壁面に取り付けられており、図1(b)に示すように、ブロア8の吸い込み口7の開口方向と交差する方向から導入された空気の一部10bを回転数制御装置6に配風する配風ガイド22がインテークボックス2内に設けられている。
【0018】
外気導入口3は車両前方側に向けられており、図2に示すようにファイヤーボード21に設けられた外気導入用通路26に連通している。
【0019】
内気導入口4は、インテークボックス2のいずれかの箇所に設けられる。図1(a)に示すように、内気導入口4がブロア8の吸い込み口7の開口方向の延長上に設けられた形態が好ましい。内気循環モードの際に、インテークボックス2内の空気流が直線的に流れ、通気抵抗が低下しない。なお、図4(a)に示すように、インテークボックス2の開口部30の外側に外気導入口、内気導入口及び内外気切換手段を設けた場合(いずれも不図示)、内気と外気のいずれの空気流も、ブロア8の吸い込み口の開口方向と交差する方向から導入されることとなるが、このように内気の空気流がブロア8の吸い込み口の開口方向と交差する方向の形態についても本発明の形態に包含される。
【0020】
ブロア8は、遠心式のシロッコファンを示したが、ターボファンであっても良く、さらに貫流式送風機であっても良い。
【0021】
ブロア8の回転数を制御する回転数制御装置6は、例えば図1(a)で示すように、インテークボックス2内の車室側壁面(図中、「後」の方向)に取り付けられている。インテークボックス2内の車両前方側壁面へ取り付ける場合は、図2のファイヤーボード21が有るため、配線の取り出しや故障した場合の交換作業が困難で、スペースの余裕がないという問題がある。また、車両の上方側壁面又は下方側壁面に取り付ける場合には、内外気切換手段5と接触し、設置スペースに余裕がない。回転数制御装置6を車室側壁面に取り付ける場合は、設置スペースに余裕があり、配線の取り出しやメンテナンスがしやすいという利点がある。
【0022】
ブロア8の吸い込み口7の開口方向は、フルセンタータイプの空調装置の場合、車両左右方向に向けられることとなる。こうすることで、ブロアの吹出風が車両の上下あるいは前後方向となり、空調装置の車両左右方向の占有面積を小さくすることが出来る。なお、ブロアの吹出風は、図2のように車両上下方向とすることが好ましい。こうすれば、空調装置の車両前後方向の占有面積を小さくすることができる。これに伴い、図2のファイヤーボード21を通る外気導入用通路26に対するように外気導入口3が向けられるため、図1に示すように、外気導入口3の開口方向がブロア8の吸い込み口7の開口方向に対して交差する方向に向けられることとなる。
【0023】
内外気切換手段5は、ロータリードア、バタフライドア又は片持ちドアの3タイプあるいはこれらの変形タイプがあり、本発明ではいずれのタイプであっても良い。ロータリードアとは、回動軸と開閉するシート面とが離れているドアである。バタフライドアとは、回動軸に、開閉するシート面が複数備えられたドアである。片持ちドアとは、回動軸に開閉するシート面が一つ備えられたドアである。また、内外気切換手段5には、一つの部材からなり、内気導入口と外気導入口との開口面積比を任意に変更するもの(例えば、1枚もののドア)の他、複数の部材の組み合わせからなり、内気導入口と外気導入口との開口面積比をそれぞれに変更するもの(例えば、内気導入口開閉専用ドアと外気導入口開閉専用ドア)も含まれる。
【0024】
第一形態に係る車両用空調装置100では、ロータリードアを採用している。図3に示すように、回動軸5aを中心としてX軸で回動し、図1(a)で示した内気循環モード又は図1(b)で示した外気導入モード或いはこれらの中間状態をとることが可能である、すなわち、回動軸5aを中心とした回動状態を制御することによって、内外気の混合比率を変更できる。なお、モーターとその制御手段(いずれも不図示)によってロータリードアを回動させる。
【0025】
配風ガイドは、インテークボックス2の内部の空気流の方向を整える役割をし、インテークボックス2の内部に設けられていればその場所は問わないが、例えば、図3に示すように、内外気切換手段5に設けられていることが、スペースの確保の点及び独自の作動手段と制御手段を必要としない点で好ましい。図3に示すように、ロータリードアの回動軸5aに羽形状の配風ガイド22が固定されている。そしてロータリードアの回動軸5aのX軸回動に伴って、配風ガイド22の向きを変えることができる。なお、内外気切換手段に配風ガイドを設ける場合の形態としては、内外気切換手段と配風ガイドとがプラスチック樹脂で一体成形によって形成されている形態、或いは、内外気切換手段に配風ガイドが接着、嵌合等の固定手段で接合状態とされている形態のいずれであっても良い。
【0026】
図1を用いて、具体的に空気流について説明する。まず、内気導入口4がブロア8の吸い込み口7の開口方向の延長上に設けられている。図1(a)は、内気循環モードであり、ロータリードア5によって、外気導入口3が塞がれ、内気導入口4が開放されている。内外気切換手段(ロータリードア)5に固定された配風ガイド22は、インテークボックス2に導入される内気の空気流9a、9bに沿った形状、すなわち、空気流9a、9bの方向と羽形状の配風ガイド22の長手方向とが一致する形状をしている。羽形状とは、たとえば平板状である。このとき、内気の空気流9a,9bを配風ガイド22が乱さず、かつ、通気抵抗とならないため、直線的に流れる内気の空気流9bが効率よく回転数制御装置6を冷却する。次に、図1(b)は、外気導入モードであり、ロータリードア5によって、内気導入口4が塞がれ、外気導入口3が開放されている。内外気切換手段5に固定された配風ガイド22は、インテークボックス2に導入される外気の空気流10a、10bに沿った形状、すなわち、空気流10a、10bの方向と羽形状の配風ガイド22の長手方向とが一致する形状をしている。このとき、インテークボックスに導入される外気の一部10bを配風ガイド22によって効率よく回転数制御装置6に配風し、冷却できる。
【0027】
図4に示す車両用空調装置200,210のように、配風ガイドを設けなかった場合、インテークボックス2内における車両前方側経路(外気導入口に近い経路)32が車室側経路(外気導入口から遠い経路)33よりも通気抵抗が小さいため、車室側経路33は充分な空気流が確保されない。すなわち、空気流31bは空気流31aよりも弱い流れとなる。このとき、車室側経路33に設置した回転数制御装置6の冷却が空気流31bによって充分なされない。車両用空調装置200,210では、回転数制御装置6に空気流が届くように隔壁34を設け、ブロア8に吸込まれる空気流を整えているが、それでも不十分となる。一方、第一形態に係る車両用空調装置100では、配風ガイド22を設けたため、空気流10bが充分に確保される。なお、図4(a)の車両用空調装置200では、内気循環モードと外気導入モードのいずれのモードにおいても、回転数制御装置6の冷却が不充分となる。図4(b)の車両用空調装置210では、内気循環モードでは回転数制御装置6の冷却が充分であるが、外気導入モードのモードにおいて回転数制御装置6の冷却が不充分となる。
【0028】
図5に示す車両用空調装置110は、第一形態に係る車両用空調装置の変形例であり、インテークボックス内に流れる空気流を整えるために隔壁34が設けられている。そして、外気導入モード(図5(a))の場合には、配風ガイド22と隔壁34とはほぼエルボー型の流路を形成するように交差する方向を向き合う。これによって、空気流10aと10bとが略二分された空気流となり、回転数制御装置6に空気流10bが確実に吹付けられることとなる。また内気循環モード(図5(b))の場合には、配風ガイド22と隔壁34とはほぼ同一平面上に縦列しあう。これによって、空気流9aと9bとが略二分された空気流となり、回転数制御装置6に空気流9bが確実に吹付けられることとなる。このとき、配風ガイド22と隔壁34とは空気流9aと9bにとって流れを整える役割を果たすが、組み合わさっても平板状を形成するため、通気抵抗となることはない。
【0029】
図6に示す車両用空調装置120は、第一形態に係る車両用空調装置の変形例であり、配風ガイド22が内外気切換手段5の回転軸5aから離れている。外気導入モード(図6(a))の場合には、配風ガイド22は、インテークボックス2に導入される外気の空気流12a、12bに沿った形状をしている。このとき、インテークボックスに導入される外気の一部12bを配風ガイド22によって効率よく回転数制御装置6に配風し、冷却できる。また内気循環モード(図6(b))の場合には、配風ガイド22は空気流11aと11bに沿った位置にあるため、通気抵抗となることはない。
【0030】
図7を参照して、第二形態の車両用空調装置について説明する。図7は、車両用空調装置の第二形態のインテークボックスの内部構造を説明するための平面図であり、(a)は内気循環モード、(b)は外気導入モードである。そして、内外気切換手段として、V字バタフライドア51を採用している。
【0031】
V字バタフライドア51は、回動軸を中心としてシートがV字をなすように2枚設けられている。ブロア8に近いほうのシートのV字外側の面に配風ガイド52が固定されている。配風ガイド52は、ガイド面52bと、ガイド面とV字バタフライドア51のシートとの距離を保持するためのガイド側面部52aとから構成されている。ガイド側面部52aは、図7では面状としたが、ガイド面52bをV字バタフライドア51のシートに固定することができれば柱状等の他の形状でも良い。
【0032】
図7を用いて、具体的に空気流について説明する。まず、内気導入口55がブロア8の吸い込み口の開口方向の延長上に設けられている。図7(a)は、内気循環モードであり、V字バタフライドア51によって、外気導入口54が塞がれ、内気導入口55が開放されている。V字バタフライドア51に固定された配風ガイド52は、インテークボックス2に導入される内気の空気流50a、50bから外れた場所に位置している。すなわち、図7(a)の図面を基準として、配風ガイド52はV字バタフライドア51の回動軸よりも上方に位置しており、空気流れ50aは回動軸手前でV字バタフライドア51のシートによって、斜め下方に流れが変更させられるため、配風ガイド52は空気流れ50aにほとんど影響を与えない。V字バタフライドア51のシートによって方向が変えられた空気流れ50aの一部は回転数制御装置6を冷却することとなる。一方、直線的に流れる内気の空気流50bが効率よく回転数制御装置6を冷却する。次に、図7(b)は、外気導入モードであり、V字バタフライドア51によって、内気導入口55が塞がれ、外気導入口54が開放されている。配風ガイド52は、インテークボックス2に導入される外気の空気流53a、53bのうち、一部(空気流53bに相当)を回転数制御装置6に向けるように流れを整える。このとき、インテークボックスに導入される外気の一部53bを配風ガイド52によって効率よく回転数制御装置6に配風し、冷却できる。
【0033】
図8を参照して、第三形態の車両用空調装置について説明する。図8は、車両用空調装置の第三形態のインテークボックスの内部構造を説明するための平面図であり、(a)は外気導入モード、(b)は内気循環モードである。そして、内外気切換手段として、180°バタフライドア61を採用している。
【0034】
180°バタフライドア61は、回動軸を中心としてシートが180°をなすように2枚設けられている。2枚のシートにまたがって配風ガイド62が固定されている。配風ガイド62は、ガイド面62bと、ガイド面と180°バタフライドア61のシートとの距離を保持するためのガイド側面部62aとから構成されている。ガイド側面部62aは、図8では面状としたが、ガイド面62bを180°バタフライドア61のシートに固定することができれば柱状等の他の形状でも良い。なお、ガイド面は、180°バタフライドアと平行としてもよいが、図8に示すように、ガイド面62bを、空気流れの上流側が配風ガイドの取り込み口が大きくなるように、傾斜させることが好ましい。
【0035】
図8を用いて、具体的に空気流について説明する。第三形態は、内気導入口55がブロア8の吸い込み口の開口方向の延長上に設けられておらず、内気の空気流がブロア8の吸い込み口の開口方向と交差する方向の形態の具体例となる。図8(a)は、外気導入モードであり、180°バタフライドア61によって、内気導入口65が塞がれ、外気導入口64が開放されている。配風ガイド62は、インテークボックス2に導入される外気の空気流60a,60bのうち、一部(空気流60bに相当)を回転数制御装置6に向けるように流れを整える。このとき、インテークボックス2に導入される外気の一部60bを配風ガイド62によって効率よく回転数制御装置6に配風し、冷却できる。一方、図8(b)は、内気循環モードであり、180°バタフライドア61によって、外気導入口64が塞がれ、内気導入口65が開放されている。内気導入口65は車室側に開口しており、ブロア8へ流れる空気流は、車室側を流れる63bの方が車両前方側を流れる空気流63aよりも流れやすい。このため、インテークボックス2の車室側に取り付けられた回転数制御装置6には十分な空気が流れ、冷却することかできる。
【0036】
図9を参照して、第四形態の車両用空調装置について説明する。図9は、車両用空調装置の第四形態のインテークボックスの内部構造を説明するための平面図であり、(a)は外気導入モード、(b)は内気循環モードである。そして、内外気切換手段として、片持ちドア41を採用している。
【0037】
片持ちドア41は、回動軸にシートが1枚設けられている。ブロア8に近いほうのシートの面に配風ガイド42が固定されている。配風ガイド42は、ガイド面42bと、ガイド面と片持ちドア41のシートとの距離を保持するためのガイド側面部42aとから構成されている。ガイド側面部42aは、図9では面状としたが、ガイド面42bを片持ちドア41のシートに固定することができれば柱状等の他の形状でも良い。
【0038】
図9を用いて、具体的に空気流について説明する。第四形態は、内気導入口45がブロア8の吸い込み口の開口方向の延長上に設けられている。図9(a)は、外気導入モードであり、片持ちドア41によって、内気導入口45が塞がれ、外気導入口44が開放されている。図4で説明したように空気流40bは40aよりも弱い流れとなりやすく、空気流40bは回転数制御装置6に充分に配風されない。そこで、配風ガイド42は、インテークボックス2に導入される外気の空気流40a、40bのうち、一部(空気流40bに相当)を回転数制御装置6に配風されるように流れを整える。このとき、インテークボックス2に導入される外気の一部40bを配風ガイド42によって効率よく回転数制御装置6に配風し、冷却できる。一方、図9(b)は、内気循環モードであり、片持ちドア41によって、外気導入口44が塞がれ、内気導入口45が開放されている。片持ちドア41に固定された配風ガイド42は、内気循環モードが選択されたときに、インテークボックス2内を流れる空気流43と接触しない箇所に位置することとなる。このように配風ガイド42がインテークボックス2内の空気流43の系外に位置するため、配風ガイド42が全く通気抵抗とならない。
【0039】
第一形態〜第四形態のいずれの形態においても、ブロア8で吸い込まれた空気流は、図2で示すように、フィルタ11、冷房用熱交換器12、暖房用熱交換器13を通過する。必要に応じてエアミックスドア14で温度が制御される。そして、フット吹出しに続く通路の通気抵抗を制御するフットドア15、ベント吹出しに続く通路の通気抵抗を制御するベントドア16、デフ吹出しに続く通路の通気抵抗を制御するデフドア17をそれぞれ切り換えることによって、ベント、デフ、フットの各吹出し口から、車室内に空気流が送られる。また、図2に示していないが、さらにサイドベント、リアベント、リアフットなどへ続く通路や通気抵抗を制御するドアが設けられる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】車両用空調装置の第一形態のインテークボックスの内部構造を説明するための平面図であり、(a)は内気循環モード、(b)は外気導入モードである。
【図2】車両用空調装置の第一形態のインテークボックスの構造を説明するための、空調装置と車両の一部を記載した概略断面図である。
【図3】第一形態の車両用空調装置における、配風ガイドが設けられた内外気切換手段の構造を説明するための斜視図である。
【図4】配風ガイドを設けていない比較形態例について、インテークボックス内の内部構造を説明するための平面図であり、(a)は内外気共にブロアの吸い込み口の開口方向と交差する方向から導入される形態例、(b)は内外気切換手段が片持ちドアで、外気がブロアの吸い込み口の開口方向と交差する方向から導入される形態例である。
【図5】車両用空調装置の第一形態について隔壁をさらに設けた変形例を説明する、インテークボックス内の内部構造を説明するための平面図であり、(a)は外気導入モード、(b)は内気循環モードである。
【図6】車両用空調装置の第一形態について配風ガイドを内外気切換手段の回転軸から離した変形例を説明する、インテークボックス内の内部構造を説明するための平面図であり、(a)は外気導入モード、(b)は内気循環モードである。
【図7】車両用空調装置の第二形態のインテークボックスの内部構造を説明するための平面図であり、(a)は内気循環モード、(b)は外気導入モードである。
【図8】車両用空調装置の第三形態のインテークボックスの内部構造を説明するための平面図であり、(a)は外気導入モード、(b)は内気循環モードである。
【図9】車両用空調装置の第四形態のインテークボックスの内部構造を説明するための平面図であり、(a)は外気導入モード、(b)は内気循環モードである。
【符号の説明】
【0041】
1ケース
2インテークボックス
3,44,54,64外気導入口
4,45,55,65内気導入口
5内外気切換手段
5a回動軸
6回転数制御装置
7吸い込み口
8ブロア
9a、9b,10a,10b,11a、11b、12a、12b、31a,31b,35a、35b、40a,40b,50a、50b,53a、53b,60a、60b,63a、63b空気流
11フィルタ
12冷房用熱交換器
13暖房用熱交換器
14エアミックスドア
15フットドア
16ベントドア
17デフドア
18デフ
19ベント
21ファイヤーボード
22,42,52,62配風ガイド
24シール材
25ファイヤーボード上断熱材
26外気導入用通路
30インテークボックスの開口部
32車両前方側経路
33車室側経路
34隔壁
42a,52a,62aガイド側面部
42b,52b,62bガイド面
41片持ちドア
51V字バタフライドア
61 180°バタフライドア
100,110,200,210,300,400,500車両用空調装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気導入口、内気導入口及び内外気の混合比率を制御する内外気切換手段を有するインテークボックスと、該インテークボックスの下流に配置され、ケース内に空気流れを形成するブロアと、該ブロアの回転数を制御する回転数制御装置とを少なくとも備え、前記ブロアの吸い込み口の開口方向が車両左右方向に向けられており、前記外気導入口の開口方向が前記ブロアの吸い込み口の開口方向に対して交差する方向に向けられた車両用空調装置において、
前記回転数制御装置が前記インテークボックス内の車室側壁面に取り付けられており、かつ、前記ブロアの吸い込み口の開口方向と交差する方向から導入された空気の一部を前記回転数制御装置に配風する配風ガイドが前記インテークボックス内に設けられていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記内気導入口が前記ブロアの吸い込み口の開口方向の延長上に設けられ、前記配風ガイドが前記内外気切換手段に設けられ、かつ、前記内外気切換手段によって内気循環モードが選択されたときに前記配風ガイドは前記インテークボックスに導入される空気流に沿った形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記内外気切換手段によって内気循環モードが選択されたときに、前記配風ガイドは、前記インテークボックス内を流れる空気流と接触しない箇所に位置されることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−58617(P2010−58617A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225302(P2008−225302)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(500309126)株式会社ヴァレオサーマルシステムズ (282)
【Fターム(参考)】