説明

車両用空調装置

【課題】運転手用のシート以外のシートについて高価な追加部品を必要とすることなく、運転手が他のシートにおけるシート空調ユニットの作動状況を容易に把握し、適切な作動状況とする操作を行うことを可能とする。
【解決手段】空調設備1の他にも運転手用のシート2とそれ以外のシート4にシート空調ユニット3,5が備えられ、シート空調ユニット3,5は個別に制御可能である場合に、運転手用シート3に対し車両進行方向前方に空調用パネル部32が配置され、空調用パネル部32には、空調設備1の作動状況を表示し、空調設備1を操作するための空調設備用表示・操作部が配されると共に、シート空調ユニット3,5についてシート2,4ごとにその作動状況を表示し、この作動状況を操作するためのシート空調ユニット用表示・操作部が配されたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のシートにシート空調ユニットを配置し、これらのシートごとに配置したシート用空調ユニットについて個別に操作することができる車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の進行方向の前方に搭載された車室内空調ユニットで空調された空気について、ダクト等を介して運転席、助手席等のシート側まで導き、さらにこのシート内を通して、シートに設けられた吹き出し口からシートに着座している者に吹き出させる車両用シート空調装置は、例えば特許文献1から特許文献3に示されるように既に公知となっている。
【0003】
そして、特許文献2に示されるように、車両の乗員各人の好みに合わせて個別に各シートでの温度調節をすることができると共に、後部座席用にその温度調節用としてシート空調操作パネルが配置されたシート用加熱冷却装置も既に公知となっている。
【0004】
また、特許文献3では、その明細書の段落番号「0071」、「0077」から「0078」及び図18に示されるように、車両前方のセンタコンソール部に設けられた空調調整操作手段について、モードコントロールダイヤル及び温度コントロールダイヤルを、運転席用操作モードと助手席用操作モードとに切り換える座席モード切り換え操作部を備えたものが公知となっている。
【特許文献1】特開2008−179264号公報
【特許文献2】特開2006−76399号公報
【特許文献3】特開2005−96538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各シートでの温度調節をすることができるシート空調装置を採用した場合には、乗員が着座していないのにも拘らずシート空調装置が作動している状況は、シート空調装置が車両前方側空調ユニットと連動しているで、車内全体における空調状態に大きな影響を与えるので回避する必要がある。
【0006】
この場合、赤外線センサ等で乗員の座席への着座の有無を確認する手法が考えられるところ、相対的に高価な部品の増加を招くので、車両用空調装置全体の製造コストが上昇するという不都合を生ずる。
【0007】
また、特許文献3に示す座席モード切り換え操作部の採用では、例えば運転席のシート空調装置と助手席等の他の座席側のシート空調装置との空調の切り換えが可能であるが、運転席側のシート空調装置の作動状況を維持したまま、助手席等の他の座席側のシート空調装置の空調を操作することには適さないものである。
【0008】
そして、後部座席等の運転席以外の座席に着座する者が幼少の者や高齢の者である場合には、自分で着座する座席に設けられたシート空調装置の空調操作をすることが困難な事態が考えられる。この場合に、特許文献2に示されるように、後部シートの近傍にシート空調操作パネルを有する配置としたのでは、運転席に着座する者が代わって運転席以外の座席のシート空調装置の作動状況を確認し、空調操作をすることが困難となる。
【0009】
そこで、この発明は、運転手用のシート以外のシートについて着座の有無を検出するための機器を追加することなく、運転手用のシートに着座する者が他のシートにおけるシート空調ユニットの作動状況を容易に把握し、適切な作動状況とする操作を行うことが可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る車両用空調装置は、運転手用のシートとそれ以外のシートとが横列及び/又は縦列に配置された車両に用いられ、この車両の車内又は車外から空気を導入する空気導入手段、この導入された空気を空調する空調手段及びこの空調された空気を前記車内に適宜供給する空気供給手段を備えた空調設備と、前記運転手用のシートとそれ以外用のシートとは、このシートに着座した者側に空気を吹き出す吹出し孔が形成された空気通路を内蔵することで少なくとも構成されるシート空調ユニットとを有する車両用空調装置において、前記運転手用のシートに対し車両進行方向の前方側に空調用パネル部が配置され、この空調用パネル部には、前記空調設備の作動状況を表示し、この空調設備を操作するための空調設備用表示・操作部が配されていると共に、前記シート空調ユニットについて前記シートごとにその作動状況を表示し、この作動状況を制御するためのシート空調ユニット用表示・操作部が配されていることを特徴としている(請求項1)。この車両用空調装置は、前記シート空調ユニットと前記空調設備との間に配置されて前記空気通路に当該空調設備で空調された空気が送られる連通路を有するものとなっている(請求項2)。
【0011】
空調設備は、車両のフロント側空調用のものと車両のリア用空調用のものとに限定されない。また、空調設備は、オート制御式かマニュアル制御式かに限定されない。更に、シート空調ユニット用表示・操作部で表示され、操作が可能なシートは、運転手用シート及び助手用シートたるフロントシート、このフロントシートの車両進行方向の後方に位置するセカンドシート、更にこのセカンドの車両進行方向の後方に位置するサードシートがシート空調ユニットを有する場合には、これらのシート空調ユニットのいずれかの作動状況が表示され、且つかかるシート空調ユニットの空調操作を可能とするものである。
【0012】
これにより、運転手用のシートに着座する者は、運転手以外用のシートにおけるシート空調ユニットの作動状況を、空調用パネル部のシート空調ユニット用表示・操作部によって容易に把握することができ、しかも、運転手用のシートに着座する者がこのシート空調ユニット用表示・操作部によってシート空調ユニットの作動をON/OFFしたり、冷房・暖房の切り換えを行ったりすることができる。
【0013】
前記シート空調ユニットは、前記空気通路内に前記空調設備から当該空気通路に空調空気を導入するための送風機が収納されている(請求項3)。これにより、送風機の稼働をON/OFFすることでシート空調ユニットの作動状況に対する操作が可能である。
【0014】
前記シート空調ユニットは、前記空気通路内に加熱器が収納されていても良い(請求項4)。この場合には、空調設備のうち冷却用熱交換器と加熱用熱交換器との間から連通路を介してシート空調ユニットに冷風を送ることが可能となる。また、前記空調設備は、前記シート空調ユニットの連通路がこの空調設備の空調手段のうち最下流側と接続して空調された空気を前記シート空調ユニットの空気通路に送る構成となっている場合に、前記空調手段が左右独立に空調可能としても良い(請求項5)。これにより、空調設備のうちエアミックスチャンバ領域から連通路を介してシート空調ユニットに空気を送る場合でも、シート空調ユニットに対しシートごとに異なった温度、風量の空調空気を供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、運転手用のシートに着座する者は、運転手以外用のシートにおけるシート空調ユニットの作動状況を、空調用パネル部のシート空調ユニット用表示・操作部によって容易に把握することができ、しかも、運転手用シートに着座する者がこのシート空調ユニット用表示・操作部によってシート空調ユニットの作動をON/OFFし、冷房・暖房の切り換えを行うことが可能である。このため、センサ等の高価な部品点数の増加を図らなくても、運転手によるシート空調ユニットに対する作動状況の視認と操作とで乗員が着座していないのにも関わらずシート空調ユニットが作動している状況を回避することができる。これに伴い、車両用空調装置全体としての製造コストの増加を防止することが可能である。
【0016】
また、この発明によれば、運転手用のシート以外に着座する者が幼少の者や高齢の者であるために、自分の着座するシートが有するシート空調ユニットの自らによる操作が困難であっても、運転手用シートに着座する者が代わって操作することが可能であるので、運転手用シート以外のシートに着座する幼少の者や高齢者に対して、快適な空調環境を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施例について図面により説明する。
【実施例1】
【0018】
図1及び図2において、本発明に係る車両用空調装置の実施例1が示されており、この車両用空調装置は、この実施例1では車両進行方向の前方側に搭載された空調設備(HVAC)1と、運転手用のシート2が有するシート空調ユニット3と、運転手以外の者用のシート4が有するシート空調ユニット5とから少なくとも構成されている。尚、シート4は、運転手用のシート2と車両幅方向に沿って並設された助手用のシートであっても、運転手用のシート2に対し車両進行方向に沿って当該運転手用のシート2を第1列とした場合に第2列又は第3列側に位置する後部乗員用のシートであっても良い。
【0019】
この空調設備1は、車室内の温度を調節するための公知のものであり、図示しないが、車外に開口した外気導入口、車室内に開口した内気導入口、同じく図示しないがこれらの内外気導入口を切り換えるためのインテークドア、及びモータ7で稼働する送風機8から成る空気導入手段と、エバポレータ等の冷却用熱交換器9、ヒータコア等の加熱用熱交換器10、冷却用熱交換器9及び加熱用熱交換器10の間に配置されて加熱用熱交換器10を通過する空気量と加熱用熱交換器10をバイパスする空気量との割合を調整するエアミックスドア11及び、加熱用熱交換器10で加熱された空気と加熱用熱交換器10をバイパスした空気とが混合されるエアミックスチャンバ12から成る空調手段と、デフ用通路13、ベント用通路14、及びこのデフ用通路13とベント用通路14との風下側開口を開閉するモードドア15、フット用通路16及びフット用通路16の風上側開口を開閉するモードドア17とから成る空気供給手段とを有して構成されている。
【0020】
尚、インテークドア、エアミックスドア11、モードドア15、17は、図示しない制御部から送られる下記の出力信号に基づいて図示しないアクチュエータにより開閉動作が行われる。また、送風機8のモータ7は図示しない制御部から送られる下記の出力信号によりON/OFFされ、又その送風能力(回転数)が調整される。インテークドア、モードドア15、17の位置は図示しないセンサにより検出されて図示しない制御部に対し入力信号として送られると共に送風機8の回転数は図示しないセンサにより検出されて図示しない制御部に対し入力信号として送られる。
【0021】
シート空調ユニット3、5は、シート2、4の内部において、座部20から背もたれ部21まで連通した吹出し用通路22と、座部20の下方に位置するもので、一方が連通路23を介して空調設備1と接続され、他方が吹き出し用通路22と連通する導入用通路24とから成る空気通路25を有して構成されている。そして、各シート空調ユニット3、5の導入用通路24には、この実施例ではモータ26で稼働する送風機27、PTCヒータ等の加熱器28が収納されている。また、複数の吹出し孔29が、吹出し用通路22に連通すると共に座部20、背もたれ部21のうち人が着座する側の表面に開口するように形成されている。連通路23の一方側は、空調設備1の冷却用熱交換器9と加熱用熱交換器10との間にて当該空調設備1と接続されており、空調設備1からは常に冷風が供給されると共に、必要に応じて加熱器28でこの冷風を加熱して温風化させている。
【0022】
各シート空調ユニット3、5の送風機27のモータ26は、図示しない制御部から送られる下記の出力信号により個別にON/OFFが可能である。また、各シート空調ユニット3、5の加熱器28も、図示しない制御部から送られる下記の出力信号により個別にON/OFFが可能である。また、送風機27の回転数は図示しないセンサにより検出されて図示しない制御部に対し入力信号として送られ、加熱器28の稼働状態がONかOFFかも検出されて図示しない制御部に対し入力信号として送られる。
【0023】
これにより、運転手用シート2が有するシート空調ユニット3とそれ以外のシート4が有するシート空調ユニット5とは、吹出し孔29から吹き出される空気の吹き出し風量の調整、吹き出し温度を個別に調整することが可能となっている。
【0024】
次に、図2では、本発明に係る車両用空調装置のうち主要な部分となる空調用パネル部32が示されている。この空調用パネル部32は、運転手用のシート2に対し車両用進行方向の前方側において、シート2の真正面側若しくは車両幅方向の中央側に寄った位置に配置されており、この図2で示される空調用パネル部32は、オートエアコン対応となっている。
【0025】
すなわち、この空調用パネル部32は、空調設備用表示・操作部のうち空調設備1の作動状況を表示するための表示部として、センサから送られてきた送風機の回転数に係る入力信号に基づき、送風機8の送風能力(回転数)を表示部の高低で表示する表示部33、下記のACスイッチ41により得られた入力信号に基づきエアコンがONの場合に点灯することで、エアコンがON状態かOFF状態かを表示する表示部30、センサから送られてきたインテークドアの位置等に係る入力信号に基づき吸気モードが内気導入モード(REC)の場合に点灯することで、内気導入モード(REC)か外気導入モード(FRESH)かを表示する表示部34、センサから送られてきたモードドアの位置等に係る入力信号に基づき吹き出しモードが各種モードのいずれであるかを表示する表示部35、及び、吹き出し空気の目標温度を表示する表示部36を備えたものとなっている。
【0026】
また、空調用パネル部32は、空調設備用表示・操作部のうち空調設備1を操作するための操作部として、図示しないインテークドア、エアミックスドア11、モードドア15,17、冷凍サイクルを構成する図示しないコンプレッサ、送風機8等の各空調機器を自動制御する信号を出力するAUTOスイッチ37、各空調機器をOFFモードに設定するOFFスイッチ38、吸気モードを内気循環モード(REC)又は外気導入モード(FRESH)にマニュアル設定するRECスイッチ39、送風機8の送風能力を切り換えるFANスイッチ40、マニュアル時にエアコンをON/OFFするためのACスイッチ41、及び、吹出しモードをマニュアル設定するMODEスイッチ42を備えている。そして、これらスイッチ37乃至42からの信号が図示しない制御部に入力されて、制御部はこれらの入力信号をROM又はRAMに与えられた所定のプログラムに従って処理し、空調設備1について送風能力の切り換え、吸気モードの切り換え、吹き出しモードの切り換え、エアミックスドア11の開度、モードドア15、17の開度を制御するようになっている。
【0027】
その一方で、空調用パネル部32は、この実施例にあっては、空調設備用表示・操作部である上記表示部30及び33乃至36の両側において、シート空調ユニット用表示・操作部のうち運転手側のシート空調ユニット3の作動状況を表示するための表示部44とシート空調ユニット用表示・操作部のうち助手側のシート空調ユニット5の作動状況を表示するための表示部45とが配されている。表示部44、45は、加熱器28の稼働状態がONかOFFかの入力信号に基づき、シート空調ユニット3、5が暖房モードか、冷房モードかを表示し、送風機27の回転数に係る入力信号に基づき、シート空調ユニット3、5の作動状況がOFFかどうかを表示する。
【0028】
また、空調用パネル部32は、シート空調ユニット用表示・操作部のうち運転手側のシート空調ユニット3を操作する操作部として、所定の押す動作により、加熱器28をOFFにして冷房モードとし、別の押す動作により、送風機27をOFFにしてシート空調ユニット3の作動もOFFにし、更なる別の押す動作により加熱器28をONにして暖房モードとする操作スイッチ46を備えると共に シート空調ユニット用表示・操作部のうち助手側のシート空調ユニット5を操作する操作部として、所定の押す動作により、加熱器28をOFFにして冷房モードとし、別の押す動作により、送風機27をOFFにしてシート空調ユニット3の作動もOFFにし、更なる別の押す動作により加熱器28をONにして暖房モードとする操作スイッチ47を備えたものとなっている。
【0029】
これにより、運転手のシート2に座る者は、助手のシート等の他のシート4が有するシート空調ユニット5の作動状況についてONになっているか、OFFになっているか、或いは冷房モードか暖房モードかについて空調用パネル部32の表示部45を視認するだけで簡易に知ることができ、これに伴い、運転手が、操作スイッチ47により、シート4が無人であればシート空調ユニット5の作動状況をOFFにし、又は例えば必要なモードは冷房モードなのに誤って暖房モードになっている場合にも操作スイッチ47により冷房モードとすることができる。
【実施例2】
【0030】
図3に示される実施例は、本発明に係る車両用空調装置のうち主要な部分となる空調用パネル部32の変形例が示されているところ、この図3で示される空調用パネル部32は、マニュアルエアコン対応となっているもので、以下、かかるマニュアルエアコン対応の空調用パネル部32について説明する。但し、実施例1で説明した空調用パネル部32と同様の構成については、基本的には同一の符号を付してその説明を省略した。また、空調設備1、シート空調ユニット3、5及び連通路23の構成は図1に示される構成と同様であるので特に図示せず省略した。
【0031】
この空調用パネル部32は、空調設備用表示・操作部のうち空調設備1の作動状況を表示するための表示部として、送風機8の送風能力(回転数)を表示体の高低で表示する表示部33、ACスイッチ41により得られた入力信号に基づき、エアコンがONの場合に点灯することで、エアコンがON状態かOFF状態かを表示する表示部30、吸気モードが内気導入モード(REC)の場合に点灯することで内気導入モード(REC)か外気導入モード(FRESH)かを表示する表示部34、及び吹き出しモードが各種モードのいずれであるかを表示する表示部35を備えたものとなっている。
【0032】
また、空調用パネル部32は、空調設備用表示・操作部のうち空調設備1を操作するための操作部として、吸気モードを内気循環モード(REC)又は外気導入モード(FRESH)にマニュアル設定するRECスイッチ39、送風機8の送風能力を切り換えるFANスイッチ40、エアコンをON/OFFするためのACスイッチ41、吹出しモードを各モードに切り換えるためのMODEスイッチ42、及び、図3の矢印方向に示すように左右に回転させることで吹き出し空気の目標温度を調整する(冷暖房を切り換える)回転スイッチ50を有している。
【0033】
そして、これらスイッチ30及び39乃至42及び回転スイッチ50からの信号が図示しない制御部に入力されて、制御部はこれらの入力信号をROM又はRAMに与えられた所定のプログラムに従って処理し、空調設備1について送風能力の切り換え、吸気モードの切り換え、吹き出しモードの切り換え、エアミックスドア11の開度、モードドア15、17の開度を制御するようになっている。
【0034】
これに対し、空調用パネル部32は、シート空調ユニット用表示・操作部のうち各シート空調ユニット3、5の作動状況を表示する表示部として、図3に示されるように、表示部44、45を有するところ、これらの表示部44、45は、空調用パネル部32における配置及びシート空調ユニット3、5が暖房モードか冷房モードかを表示し、シート空調ユニット3、4の作動状況がOFFかどうかを表示する点については先の説明と同様である。よって、これらの表示部44、45の説明は省略した。
【0035】
その一方で、空調用パネル部32は、シート空調ユニット用表示・操作部のうちシート空調ユニット3、5を操作する操作部として、上側部位を適宜に押し続ける動作等により表示部44、45のうち上端に表示位置がくるように調整することで、加熱器28をOFFにして冷房モードとし、下側部位を適宜に押し続ける動作等により表示部44、45のうち下端に表示位置がくるように調整することで、加熱器28をONにして暖房モードとすると共に、上側部位又は下側部位を押して表示部44、45のうち中位寄りに表示位置がくるように調整することで、送風機27の稼働状態をOFFしてシート空調ユニット3、5自体を停止させるアップダウンスイッチ51、52を備えたものとなっている。
【0036】
これにより、空調設備1がマニュアルエアコン式であっても、このような空調用パネル部32を有することにより、運転手のシート2に座る者は、先述と同様に、助手のシート等の他のシート4が有するシート空調ユニット5の作動状況についてONになっているか又はOFFになっているか、或いは冷房モードか暖房モードかについて空調用パネル部32の表示部45により簡易に知ることができるので、運転手が、操作スイッチ52により、シート4が無人であればシート空調ユニット5の作動状況をOFFにし、又は例えば必要なモードは冷房モードなのに誤って暖房モードになっている場合にも操作スイッチ52により冷房モードとすることができる。
【実施例3】
【0037】
図4において、図1及び図2に示される実施例1と図3に示される実施例2とに対し、空調設備1、この空調設備1に接続される連通路23の位置及び数、並びに、シート空調ユニット3、4の構成において異なった構成が示されている。
【0038】
すなわち、この実施例3では、連通路23は、空調設備1のうちエアミックスチャンバ12の領域か、かかるエアミックスチャンバ12よりも風下側の領域で、当該空調設備1と接続されているもので、これによりエアミックスドア11の開度の調整で適宜に空調された空気をシート空調ユニット3、5に送ることができるようになっている。これに伴い、実施例3に係るシート空調ユニット3、5では、PTCヒータ等の加熱器を不要としている。
【0039】
その一方で、空調設備1は、シート空調ユニット3とシート空調ユニット5とで個別に空調することが可能なように、車両の進行方向に沿って延びる仕切り壁により少なくとも冷却用熱交換器9よりも風下側で2つに分割されており、この分割された領域のそれぞれにシート空調ユニット3からの連通路23とシート空調ユニット5からの連通路23とが接続されている。
【0040】
尚、実施例3のうち先の実施例1及び2と同様の構成は同一の符号を付してその説明を省略した。
【0041】
このような空調設備1、連通路23の接続位置と数、シート空調ユニット3,5の構成であっても、図2又は図3に示される空調用パネル部32を用いることが可能であるので、運転手のシート2に座る者は、実施例1及び実施例2と同様に、助手席のシート等の他のシート4が有するシート空調ユニット5の作動状況についてONになっているか又はOFFになっているか、或いは冷房モードか暖房モードかについて空調用パネル部32の表示部45で簡易に知ることができるため、運転手が、操作スイッチ47により、シート4が無人であればシート空調ユニット5の作動状況をOFFにし、又は例えば必要なモードは冷房モードなのに誤って暖房モードになっている場合にも操作スイッチ47により冷房モードとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、実施例1及び実施例2に共通の空調設備及び各シート空調ユニットの構成を示した説明図である。
【図2】図2は、実施例1に係る空調用パネル部の構成を示した説明図である。
【図3】図3は、実施例2に係る空調用パネル部の構成を示した説明図である。
【図4】図4は、図1の空調設備及び各シート空調ユニットの変形例として示される実施例3に係る空調設備及び各シート空調ユニットの構成を示した説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 空調設備
2 運転手用のシート
3 運転手用のシート空調ユニット
4 運転手以外用のシート
5 運転手以外用のシート空調ユニット
8 送風機
9 冷却用熱交換器
10 加熱用熱交換器
11 エアミックスドア
12 エアミックスチャンバ
13 デフ用通路
14 ベント用通路
15 モードドア
16 フット用通路
17 モードドア
25 空気通路
27 送風機
29 吹出し孔
32 空調用パネル部
33から36 空調設備用の各表示部
37から42及び50 空調設備用の各スイッチ
44、45 シート空調ユニット用の各表示部
46、47 シート空調ユニット用の各スイッチ
51,52 シート空調ユニット用の各スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転手用のシートとそれ以外のシートとが横列及び/又は縦列に配置された車両に用いられ、この車両の車内又は車外から空気を導入する空気導入手段、この導入された空気を空調する空調手段及びこの空調された空気を前記車内に適宜供給する空気供給手段を備えた空調設備と、
前記運転手用のシートとそれ以外用のシートとは、このシートに着座した者側に空気を吹き出す吹出し孔が形成された空気通路を内蔵することで少なくとも構成されるシート空調ユニットとを有する車両用空調装置において、
前記運転手用のシートに対し車両進行方向の前方側に空調用パネル部が配置され、この空調用パネル部には、前記空調設備の作動状況を表示し、この空調設備を操作するための空調設備用表示・操作部が配されていると共に、前記シート空調ユニットについて前記シートごとにその作動状況を表示し、この作動状況を制御するためのシート空調ユニット用表示・操作部が配されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記シート空調ユニットと前記空調設備との間に配置されて前記空気通路に当該空調設備で空調された空気が送られる連通路を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記シート空調ユニットは、前記空気通路内に前記空調設備から当該空気通路に空調空気を導入するための送風機が収納されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記シート空調ユニットは、前記空気通路内に加熱器が収納されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記空調設備は、前記シート空調ユニットの連通路がこの空調設備の空調手段のうち最下流側と接続して空調された空気を前記シート空調ユニットの空気通路に送る構成となっている場合に、前記空調手段が左右独立に空調可能であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車両用空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−76549(P2010−76549A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246145(P2008−246145)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(500309126)株式会社ヴァレオサーマルシステムズ (282)
【Fターム(参考)】