説明

車両用距離検出装置

【課題】加速度センサから出力された加速度信号を用いて距離信号を求める車両用距離検出装置であっても、累積誤差の発生を低減して、より正確に走行距離を求める
【解決手段】加速度センサ11から出力された加速度信号aをデジタル化した加速度信号daは、積算処理部16にて、積分されて速度信号bが求められ、更に、速度信号bを積分して走行距離を示す距離信号cが求められる。演算部13では、FFT演算をして振動強度が最も大きい振動周波数を求める。そして振動強度が最も大きい振動周波数が、アイドリング周波数記憶部14に記憶されているアイドリング周波数になっている場合には、判定部15から、速度リセット信号Rが出力される。速度リセット信号Rが出力されると、積算処理部16では、積分する速度信号bの値を強制的に零にすることにより、速度信号cの累積誤差の増大を防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用距離検出装置に関し、加速度センサを用いて走行距離を検出する場合において、走行距離の累積誤差を低減することができるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
有料道路における自動料金収受システムとして、無線式料金収受システムがある。この無線式料金収受システムでは、有料道路の料金所に設置した基地局と、車両(自動車)に搭載した車載器との間で通信をすることにより、車両の認識・認証や決済を行なうものである。なお、基地局と車載器との間の通信は、DSRC(Dedicated Short-Range Communications)通信が一般的に使用されている。
このような無線式料金収受システムを使用すれば、料金所をノンストップ、キャッシュレスで通過することができる。
【0003】
更に、無線式料金収受システムの次期システムとして、GPS(Global Positioning System)を利用し、車両位置や、走行経路や、走行距離や、走行時間を検出して課金をするGPS料金課金システムが検討されている。
【0004】
このGPS料金課金システムでは、GPS衛星から送信された電波を、車載器に備えたGPS受信機にて受信している。GPS受信機は受信電波を基に車両の走行位置を検出しており、車両が課金エリア(例えば特定の都市エリア)に入ったら課金を開始し、車両が課金エリアから出ていったら課金を終了する。このとき、課金エリアにおいて車両が走行している際には、車両位置や走行経路や走行距離や走行時間を検出している。
車載器は、車両が課金エリアに入った時点で、走行経路の記録を開始し、課金エリアから出た時点で、走行経路から走行距離を求めて課金を行い、課金情報を課金センターに情報送信する。
【0005】
かかるGPS料金課金システムでは、従来の無線式料金収受システムにおいて必要であった料金所(ゲート設備)を廃することができる。
【0006】
なお、GPS料金課金システムにおいては、車両が、GPS衛星から送信された電波を受信できずGPS測位ができないとき、例えば車両がトンネル内を走行しているときには、自立型のセンサを用いて走行距離を検出し、自立型のセンサにより検出した走行距離により、GPS受信機にて検出した位置情報を補正している。
【0007】
自立型のセンサとしては、従来では、車輪(または車輪に回転駆動力を伝達するドライブシャフト等)の回転速度を検出することにより車速を求める車速センサを用いているものがある。つまり、このようなタイプの車速センサから出力される車速信号を積分することにより走行距離を求め、このようにして求めた走行距離により、位置情報の補正をしている。
【0008】
車速センサは、車両(自動車)には必ず備えられているものであり、この車速センサの信号が車速メータに送られて、車速メータに車速が表示されるようになっている。
【0009】
更に、車速センサと、ハンドルの下側の位置に備えたコンセントや助手席の下の位置(床面)等に備えたコンセントとを、信号ラインを介して接続し、このように外部に露出したコンセントから車速信号を取り出せるようにしている車種もある。
【0010】
しかし、車種によって上述したコンセントの設置位置が異なるため、車載器とコンセントとを接続する作業は、車種に応じた個別作業となり、煩雑な作業であった。
また車種によっては、上述したコンセントを備えていないものもあり、このような車種では、外部に車速信号を取り出すことができず、その結果、車速信号から走行距離を求めることはできなかった。
なお、二輪車では、車速パルスを外部に取り出すことは想定しておらず、車速パルスを外部に取り出すためのコンセントは備えていない。
【0011】
そこで、車速センサにまつわる煩雑作業等を回避するため、車速センサの信号を用いる代わりに、車載器に加速度センサを備え、この加速度センサにより検出した加速度信号から、速度や走行距離を算出することが行なわれている。
【0012】
図10は、加速度センサ1を用いて、車速や走行距離を算出する従来の手法を示している。図10に示すように、車載器に搭載した加速度センサ1から出力された加速度信号aを、第1の積分器2により積分して、車速を示す速度信号bを得ている。この速度信号bを第2の積分器3により積分して、走行距離を示す距離信号cを得ている。つまり、加速度信号aを2回積分することにより距離信号cを得ている。
【0013】
【特許文献1】特開平9−196691
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、図10に示すような、加速度センサ1を用いて車速や走行距離を算出する従来手法では、加速度信号aに乗った小さなノイズ等の誤差を原因として、走行速度信号bの誤差が生じ、加速度信号cの累積誤差が時間の経過と共に大きくなってくる。
【0015】
このことを、図11(a)〜図11(c)を参照して説明する。なお、図11において、点線は測定値または計算値、実線は真値を示している。
車両が停止している時に、加速度センサ1に何らかの原因により振動(加速度)が作用すると、あるいは熱雑音等により実際には発生していない振動(加速度)を誤検出すると、図11(a)に示すように、加速度センサ1は振動を測定して、加速度信号aを出力してしまう。このとき、真値つまり走行による加速度は零である。
結局、車両が停止して走行による加速度(真値)は零であるにかかわらず、ノイズとしての加速度信号aが出力されてしまう。
【0016】
このようにして、ノイズとしての加速度信号aが出力されてしまうと、図11(b)に示すように、車両は停止しているにもかかわらず、速度信号(計算値)bが増加する。
更に、速度信号(計算値)bが増加すると、図11(c)に示すように、車両は停止しているにもかかわらず、距離信号(計算値)cは時間の経過と共に累積的に増加していく。
つまり、加速度センサ1から出力される加速度信号aを2回積分することにより、距離信号cを求める従来手法では、加速度信号aにノイズが乗ってしまうと、距離信号(計算値)cの累積誤差が時間の経過と共に増加していくという問題があった。
【0017】
本発明は、上記従来技術に鑑み、加速度センサを用いて走行距離を検出する車両用距離検出装置において、車両が停止しているにもかかわらず、ノイズを原因として時間の経過と共に距離信号が増加していくことを防止して、走行距離の累積誤差を低減する車両用距離検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決する本発明の構成は、車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記加速度信号を基に車両が停止しているか否かを判定する停止判定手段と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記停止判定手段により車両が停止していることが判定されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記停止判定手段により車両が停止していることが判定されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする。
【0019】
また本発明の構成は、車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記加速度信号の中に各周波数成分がどれだけ含まれているかを求める演算部と、
当該車両用距離検出装置が搭載される車両に応じて予め決まっているアイドリング周波数が記憶されたアイドリング周波数記憶部と、
前記演算部にて演算した各周波数成分のうちで最も振動強度が大きい周波数成分が、前記アイドリング周波数記憶部に記憶されているアイドリング周波数となっている場合には、速度リセット信号を出力する判定部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする。
【0020】
また本発明の構成は、車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記加速度信号の強度を求める演算部と、
当該車両用距離検出装置が搭載される車両に応じて予め決めた値となっているスレッショルドが記憶されたスレッショルド記憶部と、
前記演算部にて求めた加速度信号の強度が、前記スレッショルド記憶部に記憶されているスレッショルド以下となっている場合には、速度リセット信号を出力する比較部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記比較部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記比較部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする。
【0021】
また本発明の構成は、車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
タコメータ信号を基にエンジン回転数を求める演算部と、
前記エンジン回転数が予め設定しているアイドリング回転数となっている場合には、速度リセット信号を出力する判定部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする。
【0022】
また本発明の構成は、車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
サイドブレーキが掛けられている場合には、速度リセット信号を出力する判定部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする。
【0023】
また本発明の構成は、車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記加速度信号の中に各周波数成分がどれだけ含まれているかを求めると共に、前記加速度信号の強度を求める演算部と、
当該車両用距離検出装置が搭載される車両に応じて予め決まっているアイドリング周波数が記憶されたアイドリング周波数記憶部と、
当該車両用距離検出装置が搭載される車両に応じて予め決めた値となっているスレッショルドが記憶されたスレッショルド記憶部と、
前記演算部にて演算した各周波数成分のうちで最も振動強度が大きい周波数成分が、前記アイドリング周波数記憶部に記憶されているアイドリング周波数となっており、且つ、前記演算部にて求めた加速度信号の強度が、前記スレッショルド記憶部に記憶されているスレッショルド以下となっている場合には、速度リセット信号を出力する停止判定部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記停止判定部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記停止判定部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、加速度信号を積分した速度信号を更に積分することより、走行距離を示す距離信号を求める場合に、車両が停止しているか否かを判定し、車両が停止していると判定した場合には、速度信号の値を強制的に零にして、この零にした速度信号を積分して走行距離を求めるようにしている。
このため、停止時にノイズとしての加速度信号が出力されたとしても、この場合には、速度信号は強制的に零になるため、距離信号が時間の経過と共に増加していくという不具合、つまり、累積誤差が増加していくことを防止することができる。
この結果、加速度信号から出力された加速度信号を用いて距離信号を求める車両用距離検出装置であっても、累積誤差の発生を低減して、より正確に走行距離を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の実施例1に係る車両用距離検出装置10を示すものであり、この車両用距離検出装置10は、例えば、GPS受信機を備えた車載器に備えられるものである。
【0027】
この車両用距離検出装置10は、加速度センサ11と、A/D変換器12と、演算部13と、アイドリング周波数記憶部14と、判定部15と、積算処理部16を有している。
【0028】
加速度センサ11は、加速度が作用すると、作用した加速度に応じたアナログ信号である加速度信号aを出力する。A/D変換器12は、アナログ信号である加速度信号aを、デジタル信号である加速度信号daに変換する。
【0029】
演算部12は、加速度信号daを、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)演算処理をする。FFT演算処理をすることにより、加速度信号daの中に、どの周波数成分がどれだけ含まれているかを判定することができる。
【0030】
図2(a)は、車両が停止してエンジンがアイドリング運転状態となり、エンジン回転数がアイドリング周波数になった時におけるFFT演算結果を示し、図2(b)は車両の走行時におけるFFT演算結果を示す。
アイドリング運転状態の時には、図2(a)に示すように、車両に応じて予め決まっているアイドリング周波数(例えば10Hz)の周波数成分の振動強度が最も大きく、走行時には、図2(b)に示すように、車両に応じて予め決まっている走行周波数(例えば42Hz)の周波数成分の振動強度が最も大きい。
【0031】
図1に戻り説明を続けると、積算処理部16は、加速度信号daを積分することにより、車速を示す車速信号bを求めて出力すると共に、車速信号bを積分することにより、走行距離を示す距離信号cを求めて出力している。
このようにして求めた距離信号cにより、GPS受信機にて検出した位置情報の補正処理が行なわれる。
なお、詳細は後述するが、距離信号cは、累積誤差が増加しないように修正処理がされる。
【0032】
アイドリング周波数記憶部14には、この車両用距離検出器10が搭載される車両に応じて予め決まっているアイドリング周波数(例えば10Hz)が記憶されている。
【0033】
判定部15は、アイドリング周波数記憶部14に記憶されているアイドリング周波数と、演算部13にて演算したFFT演算結果を取り込み、FFT演算処理をした各周波数のうちで、最も信号成分量(振動強度)が大きい周波数、つまり振動強度がピークとなる周波数を判定する。
更に、判定部15は、振動強度がピークとなる周波数が、前記アイドリング周波数となっている場合には、速度リセット信号Rを積算処理部16に送る。
【0034】
積算処理部16は、前述したように、加速度信号daを基に、車速信号bと距離信号cを求めるものであるが、速度リセット信号Rが入力されると、速度リセット信号Rが入力される直前の速度信号bがどのような値になっていても、速度信号bの値を強制的に零とする(速度信号bをリセットする)。
したがって、車両が停止してエンジンがアイドリング運転状態となると、速度リセット信号Rが継続して出力され、アイドリング運転時(車両停止時)には積算処理部16にて求める速度信号bの値は、継続して零となる。
【0035】
更に、積算処理部16は、速度リセット信号Rが入力されていないときには、加速度センサ11により検出された加速度信号a(da)を積分することにより求めた車速信号bを、積分することにより距離信号cを求める。
また、積算処理部16は、速度リセット信号Rが入力されているときには、強制的に値が零となった車速信号bを積分することにより距離信号cを求める。
【0036】
図3(a)は、車速信号bの状態を示しており、点線は計算値、実線は真値を示している。時間Tにおいて速度リセット信号Rが積算処理部16に入力されると、車速信号bの値が零になり、この零の値が継続する。
【0037】
図3(b)は、距離信号cの状態を示しており、点線は計算値、実線は真値を示している。時間Tにおいて速度リセット信号Rが積算処理部16に入力されると、時間T以降では速度信号bの値が強制的に零となるため、距離信号cの値は時間Tのときの値をそのまま継続する。
つまり、時間T以降では、車両が停止しているにもかかわらず距離信号cが時間と共に増加していくという累積誤差の発生を防止することができる。
【0038】
このように、FFT演算処理をした各周波数のうちで、最も信号成分量(振動強度)が大きい周波数(振動強度がピークとなる周波数)が、アイドリング周波数となっている場合には、車両が停止していると判断し、車速信号bを強制的に零にすることにより、距離信号cに累積誤差が時間の経過と共に重畳していくことを防止することができる。
この結果、走行距離を示す距離信号cの値が、より正確になる。
【実施例2】
【0039】
次に本発明の実施例2に係る車両用距離検出装置20を、図4を参照して説明する。この車両用距離検出装置20は、例えば、GPS受信機を備えた車載器に備えられるものである。
【0040】
この車両用距離検出装置20は、加速度センサ21と、A/D変換器22と、演算部23と、スレッショルド記憶部24と、比較部25と、積算処理部26を有している。
【0041】
加速度センサ21は、加速度が作用すると、作用した加速度に応じたアナログ信号である加速度信号aを出力する。A/D変換器22は、アナログ信号である加速度信号aを、デジタル信号である加速度信号daに変換する。なお加速度信号a(da)としては、X軸方向(車両進行方向)の加速度、Y軸方向(車両左右方向)の加速度、Z軸方向(上下方向)の加速度が出力されているが、図4ではこれらをまとめて、概括的に加速度信号a,daとして示している。
【0042】
演算部23は、加速度信号daの強度値を求める。具体的には、X,Y,Z軸の各方向の加速度を合計したり、加速度信号daの平均値を求めたり、加速度信号daの実効値を求めたりする。
【0043】
図5(a)は、車両が停止してエンジンがアイドリング運転状態となった時における加速度daの実効値(rms)、図5(b)は車両の走行時における加速度daの実効値(rms)を示す。
アイドリング運転状態の時には、図5(a)に示すように、振動強度を示す加速度daの強度値(例えば実効値(rms))は小さく、走行時には、エンジン振動や路面振動等が大きいため、図2(b)に示すように、振動強度を示す加速度daの強度値(例えば実効値(rms))は大きい。
【0044】
図4に戻り説明を続けると、積算処理部26は、加速度信号daを積分することにより、車速を示す車速信号bを求めて出力すると共に、車速信号bを積分することにより、走行距離を示す距離信号cを求めて出力している。
このようにして求めた距離信号cにより、GPS受信機にて検出した位置情報の補正処理が行なわれる。
なお、詳細は後述するが、距離信号cは、累積誤差が増加しないように修正処理がされる。
【0045】
スレッショルド記憶部24には、スレッショルドshが記憶されている。このスレッショルドshの値は、この車両用距離検出器20が搭載される車両がアイドリング状態となっている時における加速度daの強度値と、この車両用距離検出器20が搭載される車両が走行状態となっている時における加速度daの強度値との間の値となるように設定されている。
【0046】
比較部25は、スレッショルド記憶部24に記憶されているスレッショルドshと、演算部23にて演算した加速度信号daの強度値とを比較する。
更に、比較部25は、加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも小さくなっている場合には、速度リセット信号Rを積算処理部26に送る。
【0047】
積算処理部26は、前述したように、加速度信号daを基に、車速信号bと距離信号cを求めるものであるが、速度リセット信号Rが入力されると、速度リセット信号Rが入力される直前の速度信号bがどのような値になっていても、速度信号bの値を強制的に零とする(速度信号bをリセットする)。
したがって、車両が停止してエンジンがアイドリング運転状態となると、速度リセット信号Rが継続して出力され、アイドリング運転時(車両停止時)には積算処理部26にて求める速度信号bの値は、継続して零となる。
【0048】
更に、積算処理部26は、速度リセット信号Rが入力されていないときには、加速度センサ21により検出された加速度信号a(da)を積分することにより求めた車速信号bを、積分することにより距離信号cを求める。
また、積算処理部26は、速度リセット信号Rが入力されているときには、強制的に値が零となった車速信号bを積分することにより距離信号cを求める。
【0049】
このように、加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも小さくなっている場合には、車両が停止していると判断し、車速信号bを強制的に零にすることにより、距離信号cに累積誤差が時間の経過と共に重畳していくことを防止することができる。
この結果、走行距離を示す距離信号cの値が、より正確になる。
【実施例3】
【0050】
次に本発明の実施例3に係る車両用距離検出装置30を、図6を参照して説明する。この車両用距離検出装置30は、例えば、GPS受信機を備えた車載器に備えられるものである。
【0051】
この車両用距離検出装置30は、加速度センサ31と、A/D変換器32と、演算部33と、判定部35と、積算処理部36を有している。
【0052】
加速度センサ31は、加速度が作用すると、作用した加速度に応じたアナログ信号である加速度信号aを出力する。A/D変換器32は、アナログ信号である加速度信号aを、デジタル信号である加速度信号daに変換する。
【0053】
演算部33には、車両に備えられているタコメータ(図示省略)からタコメータ信号taが送られてくる。
演算部33は、タコメータ信号taを、FFT演算をしたり、タコメータ信号taのパルス間隔を抽出したりすることにより、エンジン回転数Neを求める。
更に説明すると、FFT演算をすることにより、振動強度が最も大きい周波数成分を求め、この振動強度が最も大きい周波数成分の周波数に応じたエンジン回転数Neを演算する。つまり、振動強度が最も大きい周波数成分の周波数が高いほど、エンジン回転数Neが高いとして演算をするのである。
また、タコメータ信号taのパルス間隔が短くなるほど、エンジン回転数Neが高いとして演算をするのである。
【0054】
積算処理部36は、加速度信号daを積分することにより、車速を示す車速信号bを求めて出力すると共に、車速信号bを積分することにより、走行距離を示す距離信号cを求めて出力している。
このようにして求めた距離信号cにより、GPS受信機にて検出した位置情報の補正処理が行なわれる。
なお、詳細は後述するが、距離信号cは、累積誤差が増加しないように修正処理がされる。
【0055】
判定部35は、演算部33から送られてくるエンジン回転数Neが、予め設定しているアイドリング回転数になったか否かを判定する。そして、エンジン回転数Neが、アイドリング回転数になっている場合には、速度リセット信号Rを積算処理部36に送る。
【0056】
積算処理部36は、前述したように、加速度信号daを基に、車速信号bと距離信号cを求めるものであるが、速度リセット信号Rが入力されると、速度リセット信号Rが入力される直前の速度信号bがどのような値になっていても、速度信号bの値を強制的に零とする(速度信号bをリセットする)。
したがって、車両が停止してエンジンがアイドリング運転状態となると、速度リセット信号Rが継続して出力され、アイドリング運転時(車両停止時)には積算処理部36にて求める速度信号bの値は、継続して零となる。
【0057】
更に、積算処理部36は、速度リセット信号Rが入力されていないときには、加速度センサ31により検出された加速度信号a(da)を積分することにより求めた車速信号bを、積分することにより距離信号cを求める。
また、積算処理部36は、速度リセット信号Rが入力されているときには、強制的に値が零となった車速信号bを積分することにより距離信号cを求める。
【0058】
このように、エンジン回転数Neがアイドリング回転数になっている場合には、車両が停止していると判断し、車速信号bを強制的に零にすることにより、距離信号cに累積誤差が時間の経過と共に重畳していくことを防止することができる。
この結果、走行距離を示す距離信号cの値が、より正確になる。
【実施例4】
【0059】
次に本発明の実施例4に係る車両用距離検出装置40を、図7を参照して説明する。この車両用距離検出装置40は、例えば、GPS受信機を備えた車載器に備えられるものである。
【0060】
この車両用距離検出装置40は、加速度センサ41と、A/D変換器42と、判定部45と、積算処理部46を有している。
【0061】
加速度センサ41は、加速度が作用すると、作用した加速度に応じたアナログ信号である加速度信号aを出力する。A/D変換器42は、アナログ信号である加速度信号aを、デジタル信号である加速度信号daに変換する。
【0062】
積算処理部46は、加速度信号daを積分することにより、車速を示す車速信号bを求めて出力すると共に、車速信号bを積分することにより、走行距離を示す距離信号cを求めて出力している。
このようにして求めた距離信号cにより、GPS受信機にて検出した位置情報の補正処理が行なわれる。
なお、詳細は後述するが、距離信号cは、累積誤差が増加しないように修正処理がされる。
【0063】
判定部45は、サイドブレーキ検出センサ(図示省略)に接続されており、サイドブレーキによりブレーキが掛かっているときには、サイドブレーキ検出センサからサイドブレーキ信号sbが入力されてくる。
そして、判定部45は、サイドブレーキ信号sbが入力されると、速度リセット信号Rを積算処理部36に送る。
なお、車両が停止時にはサイドブレーキによるブレーキが掛けられるので、サイドブレーキ信号sbが入力されることにより、車両が停止していると判断することができる。
【0064】
積算処理部46は、前述したように、加速度信号daを基に、車速信号bと距離信号cを求めるものであるが、速度リセット信号Rが入力されると、速度リセット信号Rが入力される直前の速度信号bがどのような値になっていても、速度信号bの値を強制的に零とする(速度信号bをリセットする)。
したがって、車両が停止してエンジンがアイドリング運転状態となると、速度リセット信号Rが継続して出力され、アイドリング運転時(車両停止時)には積算処理部46にて求める速度信号bの値は、継続して零となる。
【0065】
更に、積算処理部46は、速度リセット信号Rが入力されていないときには、加速度センサ41により検出された加速度信号a(da)を積分することにより求めた車速信号bを、積分することにより距離信号cを求める。
また、積算処理部46は、速度リセット信号Rが入力されているときには、強制的に値が零となった車速信号bを積分することにより距離信号cを求める。
【0066】
このように、サイドブレーキが掛かっているときには、車両が停止していると判断し、車速信号bを強制的に零にすることにより、距離信号cに累積誤差が時間の経過と共に重畳していくことを防止することができる。
この結果、走行距離を示す距離信号cの値が、より正確になる。
【実施例5】
【0067】
次に本発明の実施例5に係る車両用距離検出装置50を、図8を参照して説明する。この車両用距離検出装置50は、例えば、GPS受信機を備えた車載器に備えられるものである。
【0068】
この車両用距離検出装置50は、マニュアルトランスミッションを備え、ギアシフトを運転者が行なうマニュアル車に搭載して好適なものである。
【0069】
マニュアル車では、クラッチを切断したときであっても、または、ギアをニュートラル状態にしたときであっても、空走状態で走行することができるが、エンジンはアイドリング状態となる。このとき、エンジンがアイドリング状態となったから、これをもって直ちに停止状態と判断すると、停止状態でもないのに停止であると誤判定してしまう。
【0070】
また、マニュアル車では、停止時にエンジンを空ふかししてエンジン回転数を上げることもできる。このとき、エンジン回転数が高いときの振動数は、アイドリング状態の振動数よりも高くなるが、これをもって、直ちに走行状態であると判断すると、走行状態でもないのに走行していると誤判定してしまう。
【0071】
そこで、本実施例では、マニュアル車における上述した誤判定を防止するために、開発したものである。
【0072】
図8に示すように、車両用距離検出装置50は、加速度センサ51と、A/D変換器52と、演算部53と、アイドリング周波数記憶部54aと、スレッショルド記憶部54bと、停止判定部55と、積算処理部56を有している。
【0073】
加速度センサ51は、加速度が作用すると、作用した加速度に応じたアナログ信号である加速度信号aを出力する。A/D変換器52は、アナログ信号である加速度信号aを、デジタル信号である加速度信号daに変換する。なお加速度信号a(da)としては、X軸方向(車両進行方向)の加速度、Y軸方向(車両左右方向)の加速度、Z軸方向(上下方向)の加速度が出力されているが、図8ではこれらをまとめて、概括的に加速度信号a,daとして示している。
【0074】
演算部52は、二種類の演算処理をする。
【0075】
第1の演算処理では、演算部52は、加速度信号daを、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)演算処理をする。FFT演算処理をすることにより、加速度信号daの中に、どの周波数成分がどれだけ含まれているかを判定することができる。この判定結果は、アイドリング周波数記憶部54aと停止判定部55に送られる。
ちなみに、アイドリング運転状態の時には、車両に応じて予め決まっているアイドリング周波数(例えば10Hz)の周波数成分の振動強度が最も大きく、走行時には、車両に応じて予め決まっている走行周波数(例えば42Hz)の周波数成分の振動強度が最も大きい。
【0076】
第2の演算処理では、演算部52は、加速度信号daの強度値を求める。具体的には、X,Y,Z軸の各方向の加速度を合計したり、加速度信号daの平均値を求めたり、加速度信号daの実効値を求めたりする。加速度信号daの強度値は、スレッショルド記憶部54bと停止判定部55に送られる。
ちなみに、アイドリング運転状態の時には、振動強度を示す加速度daの強度値(例えば実効値(rms))は小さく、走行時には、エンジン振動や路面振動等が大きいため、振動強度を示す加速度daの強度値(例えば実効値(rms))は大きい。
【0077】
積算処理部56は、加速度信号daを積分することにより、車速を示す車速信号bを求めて出力すると共に、車速信号bを積分することにより、走行距離を示す距離信号cを求めて出力している。
このようにして求めた距離信号cにより、GPS受信機にて検出した位置情報の補正処理が行なわれる。
なお、詳細は後述するが、距離信号cは、累積誤差が増加しないように修正処理がされる。
【0078】
アイドリング周波数記憶部54aには、この車両用距離検出器50が搭載される車両に応じて予め決まっているアイドリング周波数(例えば10Hz)が記憶されている。
【0079】
スレッショルド記憶部54bには、スレッショルドshが記憶されている。このスレッショルドshの値は、この車両用距離検出器50が搭載される車両がアイドリング状態となっている時における加速度daの強度値と、この車両用距離検出器50が搭載される車両が走行状態となっている時における加速度daの強度値との間の値となるように設定されている。
【0080】
停止判定部55は、アイドリング周波数記憶部54aに記憶されているアイドリング周波数と、演算部53にて演算したFFT演算結果を取り込み、FFT演算処理をした各周波数のうちで、最も信号成分量(振動強度)が大きい周波数、つまり振動強度がピークとなる周波数を判定する。
更に、停止判定部55は、振動強度がピークとなる周波数が、前記アイドリング周波数となっているか否かを判定する。
【0081】
また停止判定部55は、スレッショルド記憶部54bに記憶されているスレッショルドshと、演算部53にて演算した加速度信号daの強度値とを比較する。
更に、停止判定部55は、加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも小さくなっているか否かを判定する。
【0082】
そして停止判定部55は、図9に示すような停止判定を行なう。
即ち、
(イ)「振動強度がピークとなる周波数が、アイドリング周波数となっており」、しかも、「加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも大きくなっている」場合には、クラッチ切またはニュートラルでの走行であると判定する。
(ロ)「振動強度がピークとなる周波数が、アイドリング周波数となっており」、しかも、「加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも小さくなっている」場合には、車両が停止していると判定する。
(ハ)「振動強度がピークとなる周波数が、アイドリング周波数よりも高くなっており」、しかも、「加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも大きくなっている」場合には、車両が走行していると判定する。
(ニ)「振動強度がピークとなる周波数が、アイドリング周波数よりも高くなっており」、しかも、「加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも小さくなっている」場合には、車両が停止状態でエンジンを空ふかしていると判定する。
【0083】
そして停止判定部55は、上記の、
(ロ)「振動強度がピークとなる周波数が、アイドリング周波数となっており」、しかも、「加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも小さくなっている」ため車両が停止していると判定したとき、及び、
(ニ)「振動強度がピークとなる周波数が、アイドリング周波数よりも高くなっており」、しかも、「加速度信号daの強度値が、スレッショルドshよりも小さくなっている」ため車両が停止状態でエンジンを空ふかしていると判定したとき、
には、速度リセット信号Rを積算処理部56に送る。
【0084】
積算処理部56は、前述したように、加速度信号daを基に、車速信号bと距離信号cを求めるものであるが、速度リセット信号Rが入力されると、速度リセット信号Rが入力される直前の速度信号bがどのような値になっていても、速度信号bの値を強制的に零とする(速度信号bをリセットする)。
したがって、上記(ロ)及び(二)の判定により車両が停止していると判定した時には、速度リセット信号Rが継続して出力され、車両停止時には積算処理部56にて求める速度信号bの値は、継続して零となる。
【0085】
更に、積算処理部56は、速度リセット信号Rが入力されていないときには、加速度センサ51により検出された加速度信号a(da)を積分することにより求めた車速信号bを、積分することにより距離信号cを求める。
また、積算処理部56は、速度リセット信号Rが入力されているときには、強制的に値が零となった車速信号bを積分することにより距離信号cを求める。
【0086】
このように、上記(ロ)及び(ニ)の判定により車両が停止していると判定した時には、車速信号bを強制的に零にすることにより、距離信号cに累積誤差が時間の経過と共に重畳していくことを防止することができる。
この結果、走行距離を示す距離信号cの値が、より正確になる。
しかも、上記(ロ)及び(ニ)の判定をすることにより、エンジン回転数がアイドリング周波数であり、かつ、走行による振動が小さいときに、車両が停止していると判断するため、マニュアル車であっても、車両停止状態を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施例1に係る車両用距離検出装置を示す構成図である。
【図2】FFT演算結果を示す特性図であり、図2(a)は車両が停止してエンジンがアイドリング運転状態となりエンジン回転数がアイドリング周波数になった時におけるFFT演算結果を示し、図2(b)は車両の走行時におけるFFT演算結果を示す。
【図3】加速度から求める信号を示す特性図であり、図3(a)は、車速信号の状態を示し、図3(b)は、距離信号の状態を示す。
【図4】本発明の実施例2に係る車両用距離検出装置を示す構成図である。
【図5】加速度の実効値を示す特性図であり、図5(a)は車両が停止してエンジンがアイドリング運転状態となった時における加速度daの実効値(rms)を示し、図5(b)は車両の走行時における加速度daの実効値(rms)を示す。
【図6】本発明の実施例3に係る車両用距離検出装置を示す構成図である。
【図7】本発明の実施例4に係る車両用距離検出装置を示す構成図である。
【図8】本発明の実施例5に係る車両用距離検出装置を示す構成図である。
【図9】実施例5における停止判定部の判定手法を示す判定特性図である。
【図10】加速度センサを用いて車速や走行距離を算出する従来技術を示す構成図である。
【図11】加速度及び加速度から求める信号を示す特性図であり、図11(a)は加速度を示し、図11(b)は車速信号の状態を示し、図11(c)は距離信号の状態を示す。
【符号の説明】
【0088】
10,20,30,40,50 車両用距離検出装置
11,21,31,41,51 加速度センサ
12,22,32,42,52 A/D変換器
13,23,33,53 演算部
14,54a アイドリング周波数記憶部
24,54b スレッショルド記憶部
15,35,45 判定部
25,35 判定部
55 停止判定部
16,26,36,46,56 積算処理部
a,da 加速度信号
b 車速信号
c 距離信号
Ne エンジン回転数
ta タコメータ信号
sb サイドブレーキ信号
R 速度リセット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記加速度信号を基に車両が停止しているか否かを判定する停止判定手段と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記停止判定手段により車両が停止していることが判定されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記停止判定手段により車両が停止していることが判定されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする車両用距離検出装置。
【請求項2】
車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記加速度信号の中に各周波数成分がどれだけ含まれているかを求める演算部と、
当該車両用距離検出装置が搭載される車両に応じて予め決まっているアイドリング周波数が記憶されたアイドリング周波数記憶部と、
前記演算部にて演算した各周波数成分のうちで最も振動強度が大きい周波数成分が、前記アイドリング周波数記憶部に記憶されているアイドリング周波数となっている場合には、速度リセット信号を出力する判定部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする車両用距離検出装置。
【請求項3】
車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記加速度信号の強度を求める演算部と、
当該車両用距離検出装置が搭載される車両に応じて予め決めた値となっているスレッショルドが記憶されたスレッショルド記憶部と、
前記演算部にて求めた加速度信号の強度が、前記スレッショルド記憶部に記憶されているスレッショルド以下となっている場合には、速度リセット信号を出力する比較部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記比較部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記比較部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする車両用距離検出装置。
【請求項4】
車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
タコメータ信号を基にエンジン回転数を求める演算部と、
前記エンジン回転数が予め設定しているアイドリング回転数となっている場合には、速度リセット信号を出力する判定部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする車両用距離検出装置。
【請求項5】
車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
サイドブレーキが掛けられている場合には、速度リセット信号を出力する判定部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記判定部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする車両用距離検出装置。
【請求項6】
車両に搭載される車両用距離検出装置であって、
加速度に応じた加速度信号を出力する加速度センサと、
前記加速度信号の中に各周波数成分がどれだけ含まれているかを求めると共に、前記加速度信号の強度を求める演算部と、
当該車両用距離検出装置が搭載される車両に応じて予め決まっているアイドリング周波数が記憶されたアイドリング周波数記憶部と、
当該車両用距離検出装置が搭載される車両に応じて予め決めた値となっているスレッショルドが記憶されたスレッショルド記憶部と、
前記演算部にて演算した各周波数成分のうちで最も振動強度が大きい周波数成分が、前記アイドリング周波数記憶部に記憶されているアイドリング周波数となっており、且つ、前記演算部にて求めた加速度信号の強度が、前記スレッショルド記憶部に記憶されているスレッショルド以下となっている場合には、速度リセット信号を出力する停止判定部と、
前記加速度信号を積分することにより速度信号を求め、この速度信号を積分することにより走行距離を示す距離信号を求めて出力する機能を有しており、前記停止判定部から前記速度リセット信号が出力されていないときには、前記加速度信号を積分することにより求めた速度信号を積分することにより距離信号を求め、前記停止判定部から前記速度リセット信号が出力されているときには、速度信号の値を強制的に零にしてこの値が零となった速度信号を積分することにより距離信号を求める積算処理部と、
を有することを特徴とする車両用距離検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−109264(P2009−109264A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280053(P2007−280053)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】