説明

車両用部品の製造方法

【課題】仮溶接に替わる別の仮止め措置を採用することにより、車両用部品の製造時間及び製造コストを従来よりも低減可能な車両用部品の製造方法を提供する。
【解決手段】係合突部12を有する第1部材10を形成する。加熱した金属板材から、第1部材の係合突部12を係合可能な係合穴を有すると共に横断面が開放断面形状をした第2部材20を熱間プレス加工によって形成する。熱間プレス加工直後の第2部材の係合穴に第1部材の係合突部12を係合させた後、当該第2部材20を強制冷却して寸法収縮させる。これにより、第1部材の係合突部12を第2部材の係合穴から離脱不能として第1及び第2部材10,20を相互に仮止めする。仮止めされた第1及び第2部材の相互接触部位16に対し溶接を施すことにより、横断面が閉断面形状をした車両用部品を完成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの部材を接合して横断面が閉断面形状の車両用部品を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体は多数のボディ部品で構成されているが、燃費の向上や衝突安全性能の向上の観点から個々の部品は軽量化を図りながらも高強度化することが要請されている。そのような流れの中で、材料として高張力鋼板を用いたボディ部品が増えつつある。但し、個々のボディ部品の強度が高まると、溶接作業時に一つの部品とその相手側部品との間で接触面間の合い(相互接触の度合い)が悪くなる傾向にある。接触面間の合いが悪いまま(例えば多少でも隙間を残したまま)当該部位に溶接を施しても、十分な溶接強度を確保することができない。このことは、例えば自動車のバンパーリインフォースメント(バンパー補強部材)において問題になる。
【0003】
図1(a)に示すように、バンパーリインフォースメント1とは、車体のサイドメンバー2の前端部に位置するクラッシュボックス3に固定される部品であって衝突時の衝撃を吸収・緩和するためのボディ部品である。典型的なバンパーリインフォースメントは、図1(b)に示すように、横断面ハット型(横断面が後方に開口した開放断面形状)の本体部材4の開口側に板状の補強用部材5をあてがうと共に、本体部材4の側部フランジ4aと補強用部材5との接触部位6に溶接を施して両部材4,5を一体化することにより構成されている。このようなバンパー構造は、例えば特許文献1の図1及び図2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−290582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1(b)に示す本体部材の側部フランジ4aと補強用部材5との接触部位6に直接、本溶接を施そうとしても、溶接時の熱で部材に変形や反りを生じて両部材の接触面間の間隔が広がってしまい、適切な溶接を実現できないという問題がある。このような問題を回避するために、両部材4,5の接触面間に部分的に(具体的には、点付け的に)仮溶接を予め施しておき、本溶接時の接触面間の広がりを未然防止することが通例的に行われている。しかしながら、このような事前の仮溶接は、製品(バンパーリインフォースメント)の製造時間及び製造コストを増大させるだけでなく、仮溶接時の熱による部材の部分的な溶け落ち、欠落、あるいは局所的軟化を招き易く、製品品質を低下させる原因となる。
【0006】
本発明の目的は、仮溶接に替わる別の仮止め措置を採用することにより、二つの部材の接触部位に本溶接を施す際の溶接熱による接触面間の広がりを防止すると共に、仮溶接に見られるような部材の部分的な溶け落ち、欠落、あるいは局所的軟化を回避することができ、その結果、製品の製造時間及び製造コストを従来よりも低減することができる車両用部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、二つの部材を接合して横断面が閉断面形状の車両用部品を製造する方法であって、
係合突部を有する第1部材を形成する第1準備工程と、
加熱した金属板材から、前記第1部材の係合突部を係合可能な係合穴を有すると共に横断面が開放断面形状をした第2部材を、成型および焼入れを同時達成する熱間プレス加工によって形成する第2準備工程と、
熱間プレス加工直後の前記第2部材の係合穴に前記第1部材の係合突部を係合させた後、当該第2部材を強制冷却または自然冷却して寸法収縮させることにより、前記第1部材の係合突部を前記第2部材の係合穴から離脱不能として第1及び第2部材を相互に仮止めする仮止め工程と、
仮止めされた前記第1及び第2部材の相互接触部位に対し溶接を施すことにより、横断面が閉断面形状をした車両用部品を完成させる溶接工程と、
を備えることを特徴とする車両用部品の製造方法。
【0008】
この方法によれば、第1準備工程では、係合突部を有する第1部材が形成される。第2準備工程では、第1部材の係合突部を係合可能な係合穴を有すると共に横断面が開放断面形状をした第2部材が、加熱した金属板材から、成型および焼入れを同時達成する熱間プレス加工によって形成される。仮止め工程では、熱間プレス加工直後の第2部材の係合穴に第1部材の係合突部を係合させた後、当該第2部材を強制冷却または自然冷却して寸法収縮させることで、第1部材の係合突部が第2部材の係合穴から離脱不能となり、第1及び第2部材の相互仮止めが達成される。その後、溶接工程では、仮止めされた第1及び第2部材の相互接触部位に対し溶接を施すことで、横断面が閉断面形状をした車両用部品が完成する。このように本発明の方法によれば、第1及び第2部材を相互に仮止めする仮止め工程が、仮溶接によるものではなく、第1部材の係合突部と第2部材の係合穴との間の冷却収縮に基づく離脱不能な係合関係によるものであることから、仮溶接に見られたような部材の部分的な溶け落ち、欠落あるいは局所的軟化を生ずることなく、第1及び第2部材の相互接触部位に本溶接を施す際の溶接熱による接触面間の広がりを効果的に防止することができ、高品質の閉断面部品を得ることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両用部品の製造方法において、前記第2準備工程において前記加熱した金属板材は850℃以上の高温状態にあり、前記仮止め工程において前記第2部材の係合穴に前記第1部材の係合突部を係合させるときの熱間プレス加工直後の第2部材は100〜300℃の中温状態にあり、前記仮止め工程において強制冷却または自然冷却後の第2部材は50℃以下の低温状態にあることを特徴とする。
【0010】
第2部材の材料となる加熱した金属板材が850℃以上の高温状態にあり、熱間プレス加工直後の第2部材が100〜300℃の中温状態にあることで、熱間プレス加工による第2部材の成型および焼入れが確実に同時達成される。また、第2部材の係合穴に第1部材の係合突部を係合させるときの第2部材が100〜300℃の中温状態にあり、強制冷却または自然冷却後の第2部材が50℃以下の低温状態にあることで、第2部材の冷却収縮の度合いが十分に確保され、第2部材係合穴に対する第1部材係合突部の係合が確実に離脱不能なものとなる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の車両用部品の製造方法において、前記第1部材は長手方向に長尺な部材であり、その第1部材の長手方向の両端部には、前記係合突部がそれぞれ形成されており、前記第2部材は長手方向に長尺な部材であり、その第2部材の長手方向の両端部近傍には、前記係合穴がそれぞれ形成されており、これら二つの係合穴間の離間長(L1)が1000mm以上であることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第2部材の長手方向の両端部近傍に形成された二つの係合穴間の距離が1000mm以上確保されていることで、仮止め工程での強制冷却又は自然冷却による第2部材の収縮の度合い(より具体的には、二つの係合穴の冷却による接近度合い)が十分に大きくなり、第2部材係合穴に対する第1部材係合突部の係合がより確実なものとなる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用部品の製造方法において、前記第1部材の係合突部は、当該第1部材の本体部の厚み方向に延びる支持部と、その支持部の先端から当該第1部材の長手方向に延びる爪部とを有しており、前記第2部材の係合穴は、前記第1部材の係合突部の爪部が通過可能な形状および大きさを有していることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、仮止め工程において第2部材の冷却収縮の度合いが比較的小さかったとしても、冷却収縮後において、第2部材係合穴からの第1部材係合突部の抜け難さ(離脱不能性)を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用部品の製造方法によれば、従来の仮溶接に替わる仮止め措置として、熱間プレス加工直後の第2部材の冷却収縮に基づく第1部材の係合突部と第2部材の係合穴との離脱不能な係合による仮止めを採用したことにより、第1及び第2部材の相互接触部位に本溶接を施す際の溶接熱による接触面間の広がりを防止できると共に、仮溶接に見られたような部材の部分的な溶け落ち、欠落あるいは局所的軟化を回避することができる。従って、車両用部品の製造時間及び製造コストを従来よりも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)車体へのバンパーリインフォースメントの取り付け態様を示す概略平面図、(b)従来のバンパーリインフォースメントの横断面図。
【図2】(a)第1部材の正面図、(b)X−X線断面の拡大断面図。
【図3】(a)第2部材の出発材料となる金属板材の平面図、(b)熱間プレス加工で得られた第2部材の正面図。
【図4】一実施形態に従うバンパーリインフォースメントの横断面図。
【図5】(a)係合直後の第1部材係合突部と第2部材係合穴との関係を示す部分拡大断面図、(b)冷却後の第1部材係合突部と第2部材係合穴との関係を示す部分拡大断面図。
【図6】(a)及び(b)は、バンパーリインフォースメントの車体への取り付け例を示す断面図。
【図7】バンパーリインフォースメントの変更例の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をバンパーリインフォースメントの製造に適用した一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。バンパーリインフォースメントの製造方法は、大別して以下の4つの工程からなる。
【0018】
[第1準備工程]
最初に、第1部材としての補強用部材10を準備する。図2(a)及び(b)に示すように補強用部材10は、長手方向に延びる板状の長尺な部材であり、その板厚は約1〜3mmである。この補強用部材10の長手方向の両端部(図2では左右端部)には、その四隅において係合突部12が設けられている。これらの係合突部12は各々がクランク形状をなしている。即ち、各係合突部12は、補強用部材の本体部11の端縁から長手方向外向きに張り出した突出部12aと、その突出部12aの先端位置において補強用部材の本体部11の厚み方向に延びる支持部12bと、その支持部12bの先端(図2(b)では上端)から補強用部材10の長手方向外向きに延びる爪部12cとを有しており、これら突出部12a、支持部12bおよび爪部12cの側面視形状がクランク状をなしている。かかる形状の補強用部材10は、一般的な冷間プレス加工、または後記本体部材20で採用されているような熱間プレス加工のいずれによっても加工可能である。なお、プレス加工による場合には、図2(b)に示すように、各係合突部の支持部12bは部分的に湾曲した形で提供される。
【0019】
[第2準備工程]
次に、第2部材としての横断面ハット型の本体部材20を準備する(図3(b)及び図4参照)。この本体部材20は、金属板材Mを出発材料とする熱間プレス加工によって形成される。図3(a)に示すように、金属板材Mは、板厚が1.6〜1.8mmのステンレス鋼製の高張力鋼板であり、その四隅には4つの係合穴25が貫通形成されている。これら4つの係合穴25は、補強用部材10の四隅に設けられた4つの係合突部12にそれぞれ対応するものであり、各係合穴25は、対応する係合突部の爪部12cを差し込んで通過させることを許容する形状(本例では円形状)および大きさ(本例では内径=8mm)を有している。また、金属板材Mの左端側の係合穴25と右端側の係合穴25との間隔(離間長)L1は、1000mm以上(本例では1200mm)に設定されている。なお、図3(a)中に示した仮想線(二点鎖線)は、後述する熱間プレス加工での折り曲げ予定線である。
【0020】
この金属板材Mを加熱装置(図示略)で、焼入れ可能な温度である850℃〜1050℃の高温度に加熱する。この高温状態にある金属板材Mを加熱装置からプレス加工装置(図示略)に高速搬送し、プレス加工装置の固定金型及び可動金型で加熱した金属板材Mをプレス成形する。そして、両金型による型締め状態を所定時間(例えば3〜7秒)だけ維持することにより、金属板材Mの成形と焼入れとを同時達成する。こうして、前記補強用部材10と同様に長尺な本体部材20を得る。図3(b)及び図4に示すように、この本体部材20は、中央天板部21と、その上下両側に位置する一対の側壁22と、各側壁22から更に外方向に張り出した一対の側部フランジ23とを有する横断面がハット型の開放断面形状をした部材である。この本体部材20では、前記4つの係合穴25は二つの側部フランジ23の長手方向両端部付近に位置する。なお、プレス加工装置の両金型から取り外した直後の本体部材20は、約100〜300℃の中温状態にある。この本体部材20は、相対的に低温の金型が接することによる焼入れ効果により、引張強さで1300〜1500MPaに高強度化されている。
【0021】
[仮止め工程]
前記第2準備工程で熱間プレス加工を施した直後の本体部材20が未だ約100〜300℃の中温状態を維持している間に、図4及び図5(a)に示すように、本体部材20の4つの係合穴25に補強用部材10の4つの係合突部12を通しつつ、本体部材20の後方側(開口側)に補強用部材10をあてがう。その際、本体部材20の両側部フランジ23の後面が、補強用部材10の本体部11の前面(上端寄り位置および下端寄り位置の各部位)に接することで、中温状態の本体部材20から常温(20〜30℃)の補強用部材10に熱が逃げて本体部材20が徐々に冷やされるのであるが、本実施形態では本体部材20の冷却時間を短縮すべく、組み付けられた本体部材20及び補強用部材10の表面に冷却水を散布した。こうして、本体部材20を短時間のうちに50℃以下の低温状態にまで強制冷却した。
【0022】
上記強制冷却によって本体部材20の寸法が収縮する。前述のように本体部材20は長尺な部材であるため、冷却収縮による寸法変化は本体部材20の長手方向において最も顕著となる。更に、本体部材20の寸法収縮方向は本体部材の重心に向かう方向となることから、各係合穴25が設けられている本体部材20の端部付近において、収縮が見掛け上最も大きい。このため、図5(b)に示すように、強制冷却に起因する本体部材20の収縮に伴い、係合穴25の周囲を区画している本体部材20の端部全体が本体部材20の中心に向かって(図5では右に向かって)変位する。その結果、本体部材20の最外端を構成している肉部24が、係合突部12の外向きに張り出した爪部12cの下側に潜り込んで、係合突部12が係合穴25から離脱不能となる。このように離脱不能な係合関係が本体部材20および補強用部材10の四隅で成立することで、両部材10,20間の仮止め(つまり仮溶接によらない仮止め)が完了する。
【0023】
ちなみに、金属材料の熱変形量は、その金属の線膨張係数、長さ、実態温度によって決まることが知られている。より具体的には、金属材料の熱変形量をΔL(単位:mm)、長さをL(単位:mm)、温度差(温度変化量)をΔT(単位:℃)とした場合、鉄系材料の熱変形量ΔL(Fe)は、ΔL(Fe)=12.0×10−6×L×ΔT
で表される。
【0024】
仮に、左右の係合穴25間の離間長L1=1200(mm)を本体部材20の全長Lに見立てると共に、中温状態(仮に250℃とする)から低温状態(仮に50℃とする)への温度変化量ΔTを250−50=200(℃)とすると、上記ΔL(Fe)に基づいて計算される、強制冷却による本体部材20の長手方向収縮量は、
12.0×10−6×1200×200=2.88(mm)
となる。つまり、本体部材20の片側端部だけでも約1.44mmの収縮変位が期待できることになる。この収縮変位の量を可能な限り大きく確保するためには、温度差ΔTもさることながら、左右の係合穴25間の離間長L1をできるだけ大きくすること、より具体的には、当該離間長L1を1000mm以上とすることが極めて効果的と言える。
【0025】
[溶接工程]
最後に、図4に示すように、仮止めによって互いに接触することになった本体部材20の側部フランジ23と補強用部材10の本体部11との相互接触部位16に対し溶接を施す。溶接手法としては、スポット溶接、アーク溶接、レーザー溶接等を例示することができる。溶接の際、本体部材20と補強用部材10とは上述のように部材の四隅で堅固に仮止めされているので、上記相互接触部位16の溶接時に熱が発生・蓄積したとしても、これら仮結合された部材(10,20)において反りその他の不本意な変形を抑制することができる。従って、相互接触部位16での溶接の品質を十分に保つことができる。
【0026】
上記4つの工程を経て製造されたバンパーリインフォースメントは、例えば図6(a)及び(b)のようにして車体のサイドメンバー先端のクラッシュボックス3に取り付けられる。図6(a)は、補強用部材10を貫通する取付けボルト31と、そのボルト31に螺合するナット32とによってバンパーリインフォースメントがクラッシュボックス3に取り付けられる様子を示す。なお、この場合、本体部材20には、取付けボルト31用の通し孔26が形成される。図6(b)は、クラッシュボックス3の前面に対し補強用部材10の後面(背面)を溶接33によって固定する様子を示す。
【0027】
以上説明したように本実施形態によれば、第2準備工程での熱間プレス加工による本体部材20の熱膨張と、仮止め工程での強制冷却による本体部材20の収縮とを利用して、本体部材20と補強用部材10との仮止めを可能としたので(即ち、従来の仮溶接を廃止したので)、従来の仮溶接に見られたような部材の部分的な溶け落ち、欠落あるいは局所的軟化を回避することができ、バンパーリインフォースメントの製造時間及び製造コストを従来よりも低減することができる。
【0028】
[変更例]上記実施形態の第2準備工程では、出発材料となる金属板材Mの四隅に予め係合穴25を設けておいたが、これらの係合穴25は必ずしも事前に設けておく必要はなく、熱間プレス加工と同期した穴あけ加工によって事後的に形成してもよい。
【0029】
[変更例]上記実施形態の仮止め工程では、時間短縮のため冷却水の散布による強制冷却を行ったが、これに代えて、単に放置することによる自然冷却(放冷)を採用してもよい。
【0030】
[変更例]図7に示すように、横断面がラクダの二つ瘤のような閉断面形状をしたバンパーリインフォースメントの製造に本発明を適用してもよい。また、バンパーリインフォースメント以外の車両用部品、例えばドアインパクトビームの製造に適用してもよい。
【符号の説明】
【0031】
10…補強用部材(第1部材)
11…補強用部材の本体部
12…補強用部材の係合突部、12a…突出部、12b…支持部、12c…爪部
16…相互接触部位
20…本体部材(第2部材)
23…本体部材の側部フランジ
25…本体部材の係合穴
M …金属板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの部材を接合して横断面が閉断面形状の車両用部品を製造する方法であって、
係合突部を有する第1部材を形成する第1準備工程と、
加熱した金属板材から、前記第1部材の係合突部を係合可能な係合穴を有すると共に横断面が開放断面形状をした第2部材を、成型および焼入れを同時達成する熱間プレス加工によって形成する第2準備工程と、
熱間プレス加工直後の前記第2部材の係合穴に前記第1部材の係合突部を係合させた後、当該第2部材を強制冷却または自然冷却して寸法収縮させることにより、前記第1部材の係合突部を前記第2部材の係合穴から離脱不能として第1及び第2部材を相互に仮止めする仮止め工程と、
仮止めされた前記第1及び第2部材の相互接触部位に対し溶接を施すことにより、横断面が閉断面形状をした車両用部品を完成させる溶接工程と、
を備えることを特徴とする車両用部品の製造方法。
【請求項2】
前記第2準備工程において前記加熱した金属板材は850℃以上の高温状態にあり、
前記仮止め工程において前記第2部材の係合穴に前記第1部材の係合突部を係合させるときの熱間プレス加工直後の第2部材は100〜300℃の中温状態にあり、
前記仮止め工程において強制冷却または自然冷却後の第2部材は50℃以下の低温状態にある、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用部品の製造方法。
【請求項3】
前記第1部材は長手方向に長尺な部材であり、その第1部材の長手方向の両端部には、前記係合突部がそれぞれ形成されており、
前記第2部材は長手方向に長尺な部材であり、その第2部材の長手方向の両端部近傍には、前記係合穴がそれぞれ形成されており、これら二つの係合穴間の離間長(L1)が1000mm以上である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用部品の製造方法。
【請求項4】
前記第1部材の係合突部は、当該第1部材の本体部の厚み方向に延びる支持部と、その支持部の先端から当該第1部材の長手方向に延びる爪部とを有しており、
前記第2部材の係合穴は、前記第1部材の係合突部の爪部が通過可能な形状および大きさを有している、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−195125(P2011−195125A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67283(P2010−67283)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)