説明

車両用防盗装置

【課題】 正規のキー以外のキーによるエンジンの繰り返し始動を防止する。
【解決手段】 車両のキーに設定されたIDを読み出すID読み出し手段2と、ID読み出し手段2により読み出されたIDと予め登録されたIDとを照合し、両者が一致した場合にエンジンの作動を許可する制御手段3,5と、車速を検出する車速検出手段54と、エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段55と、車両の走行距離を検出する走行距離検出手段54と、キーによるエンジンの始動操作が行なわれたことを検出する始動操作検出手段53とを備え、制御手段3,5によって、車速検出手段54、回転速度検出手段55および走行距離検出手段54の内のいずれかによりそれぞれの所定値以上の検出結果が得られ、且つ、始動操作検出手段53により予め設定した回数以上の始動操作が検出された場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イグニッションキーのIDの照合により車両の盗難を防止する車両防盗装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のイグニッションキーのヘッド部に埋め込まれたトランスポンダーに固有のIDを記憶し、エンジン始動のたびにキーのIDを読み込んで車両に登録されているIDと照合し、登録済みのキーであればエンジンコントロールユニットへエンジンの作動を許可する信号を送り、未登録キーであればエンジンの停止指令を送って車両の走行を阻止する車両用防盗装置が知られている(例えば、特開昭64−56253号公報参照)。この種の車両用防盗装置では、車両の正規の乗員が登録キーによりエンジンを始動するたびに、ID照合が終わるまでエンジンの始動が待たされることを防止するために、ID照合が終わるまではエンジンの始動を優先させ、ID照合が終わった時点で照合結果によりエンジンの継続作動の許可または停止の処置を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常、個々の車両にはトランスポンダーを埋め込んだメインキーとトランクを開閉するために用いるサブキーが付属している。このサブキーは、IDを記憶するトランスポンダーが埋め込まれていないこと以外はメインキーと機械的に同一の構造であるため、サブキーをメインキーと取り違えてイグニッションキーシリンダーへ差し込んで回すとエンジンが始動する。ところが、サブキーではIDの照合が行なえないので、ID照合後にエンジンの継続作動が不許可になってエンジンが停止する。しかしこの時、乗員はエンジンが不調であると勘違いしてサブキーを使用しているのに気が付かないと、何回もエンジンの始動を繰り返すことになり、バッテリーの電力を無駄に消費してしまうという問題がある。
【0004】本発明の目的は、正規のキー以外のキーによるエンジンの繰り返し始動を防止する車両防盗装置をを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の発明は、車両のキーに設定されたIDを読み出すID読み出し手段と、前記ID読み出し手段により読み出されたIDと予め登録されたIDとを照合し、両者が一致した場合にエンジンの作動を許可する制御手段とを備えた車両用防盗装置に適用され、車速を検出する車速検出手段と、エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段と、車両の走行距離を検出する走行距離検出手段と、キーによるエンジンの始動操作が行なわれたことを検出する始動操作検出手段とを備え、前記制御手段によって、前記車速検出手段、前記回転速度検出手段および前記走行距離検出手段の内のいずれかによりそれぞれの所定値以上の検出結果が得られ、且つ、前記始動操作検出手段により予め設定した回数以上の始動操作が検出された場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とする。車速、エンジン回転速度および走行距離の内のいずれかがそれぞれの所定値以上になり、且つ、エンジンの始動操作回数が設定回数以上になった場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とする。請求項2の車両用防盗装置は、前記制御手段によって、ID不一致の照合結果が予め設定した回数だけ連続して得られた場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とするようにしたものである。ID不一致の照合結果が設定回数だけ連続して得られた場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とする。請求項3の車両用防盗装置は、前記制御手段によって、いったんID一致の照合結果が得られたら、前記車速検出手段、前記回転速度検出手段、前記走行距離検出手段および前記始動操作検出手段による検出結果に拘わらず、エンジンの停止操作が行なわれるまではエンジンの作動を許可するようにしたものである。車速、エンジン回転速度、走行距離およびエンジン始動回数に拘わらず、いったんID一致の照合結果が得られたら、エンジンの停止操作が行なわれるまではエンジンの作動を許可する。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は一実施形態の構成を示す機能ブロック図、図2はキーの外観を示す図である。実施形態の車両用防盗装置は、トランスポンダー1、アンテナユニット2、イモビライザーユニット3およびエンジンコントロールユニット5から構成される。
【0007】トランスポンダー1は、キー4のヘッド部4aに埋め込まれており、キーごとに固有のIDが予め記憶されるEEPROMなどの不揮発性メモリ11と、アンテナユニット2との通信を制御する制御回路12と、アンテナ13を介してアンテナユニット2と通信を行うインタフェース14とを備えている。インタフェース14はコンデンサーを有しており、アンテナユニット2から送信される所定の周波数のパルス信号電波を受信して整流し、コンデンサーへ蓄電してID送信時の送信電力として利用する。制御回路12は、アンテナユニット2から所定の周波数のパルス信号電波を受信した時に、その送信電力を用いてメモリ11からIDを読み出し、インタフェース14を介して車両のアンテナユニット2へ送信する。
【0008】アンテナユニット2は車両の不図示のイグニッションキーシリンダー内に設置され、アンテナ21と、トランスポンダー1へ送信するための所定の周波数のパルス信号を発生する発振器22と、トランスポンダー1から受信した信号を増幅する増幅器23と、受信信号をIDに復調する復調器24と、送信時に発振器22をアンテナ21へ接続し、受信時に増幅器23をアンテナ21へ接続するスイッチ25と、イモビライザーユニット3からの指令にしたがってトランスポンダー1との通信を制御する制御回路26と、イモビライザーユニット3と通信を行うインタフェース27とを備えている。制御回路26は、イモビライザーユニット3からインタフェース27を介して電力送信指令を受信すると、スイッチ25をT側に切り換え、発振器22から発っせられた所定の周波数のパルス信号を所定時間、アンテナ21を介してトランスポンダー1へ送信する。この送信時間は、トランスポンダー1のインタフェース14に送信電力が蓄電される十分な時間とする。送信終了後、直ちにスイッチ25をR側に切り換えてトランスポンダー1から送信される信号電波を受信し、増幅器23により増幅して復調器24によりIDに復調する。
【0009】イモビライザーユニット3は、マイクロコンピューターと、メモリ31やインタフェース32、33などの周辺部品から構成され、エンジンコントロールユニット5からのID照合要求に応答してインタフェース33を介してアンテナユニット2と通信を行ない、アンテナユニット2を介してキーのIDを読み込み、不揮発性メモリ31に予め登録されているIDと照合する。イモビライザーユニット3はまた、インタフェース32を介してエンジンコントロールユニット5と通信を行ない、エンジンコントロールユニット5のID照合要求に対してIDの照合結果を送信する。
【0010】エンジンコントロールユニット5は、マイクロコンピューターとインタフェース51やスイッチ52などの周辺部品とから構成され、不図示のエンジンの始動、停止、速度調節などを行うとともに、イモビライザーユニット3とインタフェース51を介して通信を行い、IDの照合を要求し、その照合結果を受信する。イモビライザーユニット3からID不一致信号を受信した時は、エンジンへ燃料を供給する燃料噴射装置7の作動を停止する。また、エンジンコントロールユニット5は通常、スイッチ52を閉路してエンジンを始動するためのスターター駆動回路6の起動を可能にしているが、後述するように正常なエンジンの始動操作が行なわれていないと判断された時は、スイッチ52を開路してスターター駆動回路6の起動を阻止し、エンジンの始動を禁止する。
【0011】エンジンコントロールユニット5にはまた、スタートスイッチ53、車速センサ54、エンジン回転速度センサ55および燃料噴射装置7が接続される。スタートスイッチ53は、キー4がエンジンの始動位置STに設定されると閉路する。このスタートスイッチ53によりエンジンの始動操作を検出する。車速センサ54は車両の走行速度および走行距離を検出するためのセンサであり、例えばトランスミッションのスピードメーターピニオンに連結され、同ピニオン1回転当たり所定数のパルス信号を出力する。この車速センサ54から出力されるパルス信号をカウントして走行速度および走行距離を検出する。また、エンジン回転速度センサ55はエンジンの回転速度を検出するためのセンサであり、クランクシャフトに連結され、クランクシャフト1回転当たり所定数のパルス信号を出力する。このエンジン回転速度センサ55から出力されるパルス信号をカウントしてエンジン回転速度を検出する。
【0012】イモビライザーユニット3とエンジンコントロールユニット5との間のID照合に関する通信は、次の手順で行なわれる。
■ ID照合要求エンジンコントロールユニット5は、スイッチ53によってキー4によるエンジンの始動操作がなされたことを検出すると、スターターおよび燃料噴射装置7を起動してエンジンを始動するとともに、イモビライザーユニット3へID照合要求信号を送信する。
■ ID一致/ID不一致信号
イモビライザーユニット3は、エンジンコントロールユニット5からID照合要求信号を受信したら、アンテナユニット2によってキー4のトランスポンダー1からIDを読み出し、登録IDと照合する。そして、照合結果のID一致信号またはID不一致信号をエンジンコントロールユニット5へ送信する。イモビライザーユニット3からID不一致信号を受信したエンジンコントロールユニット5は、上述したように直ちに燃料噴射装置7を停止してエンジンを停止させる。一方、ID一致信号を受信した時は、直ちにエンジンの作動許可処理を行なわず、次の手順でイモビライザーユニット3自体が正規のものであるかどうかを確認する。
■ ローリングコード送信要求イモビライザーユニット3からID一致信号を受信したエンジンコントロールユニット5は、イモビライザーユニット3へローリングコードの送信を要求する。このローリングコードは、前回のエンジン停止操作時にエンジンコントロールユニット5で設定され、イモビライザーユニット3へ送られてメモリ31に記憶されたものである。
■ ローリングコード送信エンジンコントロールユニット5からローリングコードの送信要求を受信したイモビライザーユニット3は、前回のエンジン停止操作時にエンジンコントロールユニット5から受信してメモリ31に記憶しているローリングコードをエンジンコントロールユニット5へ送信する。イモビライザーユニット3からローリングコードを受信したエンジンコントロールユニット5は、このローリングコードを前回のエンジン停止操作時にイモビライザーユニット3へ送ったローリングコードと照合し、両者が一致していればイモビライザーユニット3自体が正規のものであると判断し、ここで初めてエンジンの作動許可処理を行なう。しかし、ローリングコードが一致しない時は、イモビライザーユニット3あるいはエンジンコントロールユニット5が盗難手口により交換されたものと判断して、直ちに上述したようなエンジン停止処理を行なうとともに、エンジン始動禁止処理を行なう。
【0013】なお、エンジンの作動許可とは、作動中のエンジンに対してそのまま継続して作動することを許可するものであり、停止中のエンジンに対してその始動を許可するものではない。また、ID不一致信号は、作動中のエンジンを停止させるための信号であるが、エンジンが停止中の場合はその始動を禁止するものではない。エンジンの作動停止方法としては、上述したエンジン燃料噴射装置の作動を停止する方法や、エンジン点火制御装置の作動を停止する方法に限定されない。さらに、エンジンの始動許可とは停止中のエンジンの始動を許可することであり、エンジンの始動禁止とは停止中のエンジンの始動を禁止することである。これらの始動許可および始動禁止は、すでに作動中のエンジンに対しては無効である。
【0014】スターター駆動回路6は、キー4がエンジンの始動位置STに設定されるとスターターモーター64を作動させてエンジンを始動するための回路である。通常、スイッチ52は閉路しており、エンジンの始動が許可状態にあるので、イグニッションスタートスイッチ62が閉路すると、バッテリーBATからヒューズ61を介してリレーコイル63cに電流が流れ、リレー63がオンする。これにより、リレー接点63aが閉路し、バッテリーBATからヒューズ61、イグニッションスタートスイッチ62およびリレー接点63aを介してスターターモーター64へ電力が供給され、スターターモーター64が起動する。上述したように、正常なエンジンの始動操作が行なわれていないと判断した時は、エンジンコントロールユニット5がスイッチ52を開路するので、リレー63がオフしてリレー接点63aが開路し、スターターモーター64の起動が阻止される。しがたって、エンジンは始動不能になる。
【0015】図3〜図5はエンジンコントロールユニット5の動作を示すフローチャートである。これらのフローチャートにより、実施形態の動作を説明する。エンジンコントロールユニット5のマイクロコンピューターは、キー4によるエンジンの始動操作がなされてスイッチ53が閉路すると、これらのフローチャートの一連の動作を開始する。ステップ1において、ID一致フラグがセットされているかどうかを確認する。このID一致フラグは、エンジンの始動操作時に行なわれるID照合の結果、使用キーのIDが登録IDと一致している場合にセットされ、エンジンの停止操作時にイモビライザーユニット3とエンジンコントロールユニット5との間のローリングコードの授受が終了するとリセットされる。ステップ2で、キースイッチ53が閉路した回数、すなわちキー4によるエンジンの始動操作回数Lをカウントするカウンターをインクリメントする。
【0016】ステップ3で、車速センサ54により検出された車速が所定値Vo(km/h)以上かどうかを確認する。また、ステップ4では、エンジン回転速度センサ55により検出された回転速度が所定値Ro(rpm)以上かどうかを確認する。さらに、ステップ5で、車速センサ54により検出された走行距離が所定値Ko(km)以上かどうかを確認する。車速、エンジン回転速度および走行距離のいずれかが予め設定した値以上の場合はステップ6へ進み、いずれも設定値未満の場合はステップ7へ進む。車速、エンジン回転速度および走行距離のいずれかがそれぞれの所定値以上の場合には、ステップ6で、エンジンの始動回数Lが予め設定した値Loに達したかどうかを確認する。始動回数Lが設定値Lo以上の場合はステップ41へ進み、そうでなければステップ7へ進む。
【0017】車速、エンジン回転速度および走行距離がいずれも所定値より小さい場合、または車速、エンジン回転速度および走行距離のいずれかが所定値以上であってもエンジンの始動回数Lが設定値Lo未満の場合には、ステップ7で、イモビライザーユニット3へID照合要求信号を送信する。続くステップ8で、イモビライザーユニット3からID一致信号を受信したかどうかを確認し、ID一致信号を受信したらステップ21へ進み、そうでなければステップ9へ進む。ID照合要求に対してイモビライザーユニット3からID不一致信号が送られた場合には、登録されていないIDのキー4によりエンジンの始動操作が行なわれたと判断し、ステップ9で、燃料噴射装置7によるエンジンへの燃料供給を停止してエンジンを停止する。その後、ステップ10でID不一致回数Nをカウントするカウンターをインクリメントし、ステップ11でID不一致回数Nが予め設定した値Noに達したかどうかを確認する。ID不一致回数Nが設定値No以上の場合にはステップ41へ進み、そうでなければ処理を終了する。
【0018】一方、イモビライザーユニット3からID一致信号を受信した場合には、ステップ21で、ID一致フラグをセットしてステップ22へ進む。ステップ22において、イモビライザーユニット3へローリングコードの送信を要求する。ステップ23で、イモビライザーユニット3からローリングコードを受信したかどうかを確認し、ローリングコードを受信したらステップ24へ進み、そうでなければステップ31へ進む。ステップ24で、イモビライザーユニット3から送られたローリングコードと、前回のエンジン停止操作時にイモビライザーユニット3へ送ったローリングコードとを照合し、両者が一致していればステップ25へ進み、そうでなければステップ31へ進む。ローリングコード一致の照合結果が得られたら、エンジンの始動操作が行なわれたキー4は登録キーであり、且つイモビライザーユニット3は正規のものであると判断し、ステップ25でカウント回数NおよびLを0にリセットしてステップ26へ進み、エンジンの作動を許可する。ステップ27において、エンジンの停止操作がなされたかどうかを確認し、エンジンの停止操作がなされたらステップ28へ進み、イモビライザーユニット3へ新しいローリングコードを送信してローリングコードを更新する。さらに、ステップ29でID一致フラグをリセットし、続くステップ30で燃料噴射装置7によるエンジンへの燃料供給を停止してエンジンを停止し、処理を終了する。なお、イモビライザーユニット3からローリングコードを受信しなかった場合、あるいはローリングコード不一致の照合結果が得られた場合には、ステップ31において、燃料噴射装置7によるエンジンへの燃料供給を停止してエンジンを停止する。
【0019】車速、エンジン回転速度および走行距離の内のいずれかが所定値(VoまたはNoまたはKo)以上で、且つエンジンの始動操作回数Lが設定値Loに達した場合、あるいは、IDの不一致回数NがNo回に達した場合は、正常なエンジンの始動操作が行なわれていないと判断し、ステップ41で、燃料噴射装置7によるエンジンへの燃料噴射を停止してエンジンを停止するとともに、スイッチ52を開路してスターターモーター64の起動を禁止する。なおこの時、同時に点火制御装置の作動を停止するようにしてもよい。さらに、ステップ42でイモビライザーユニット3によるID照合も禁止する。ステップ43において、エンジン停止およびID照合禁止の状態がT時間経過したか否かを判別し、T時間を経過したらステップ44へ進み、ID不一致回数Nとエンジン始動回数Lのカウンターをリセットして処理を終了する。これにより、エンジン停止とID照合禁止がT時間後に解除されて、ふたたびキー4によりエンジンの始動操作が可能になる。
【0020】このように、ID照合が終わるまではエンジンの始動を優先するようにした車両用防盗装置において、車速、エンジン回転速度および走行距離の内のいずれかがそれぞれの所定値以上になり、且つエンジンの始動操作回数が予め設定した回数に達した場合には、所定時間エンジンの作動を不許可にするとともに、ID照合を禁止するようにしたので、サブキーなどの正規のキー以外のキーにより誤ってエンジンの繰り返し始動が行なわれ、バッテリーの電力が無駄に消費されるのを防止できる上に、ID照合を所定時間禁止するので防盗性能を向上させることができる。なお、ID不一致の照合結果が予め設定した回数だけ連続して得られた場合には、所定時間エンジンの作動を不許可にすれば、さらに防盗性能を向上させることができる。また、いったんID一致の照合結果が出されると、エンジン停止操作時のローリングコードの更新が終了するまでは、車両がどのような状態にあってもエンジンの始動操作が何回行なわれても、改めてID照合を行なわず、エンジンの作動継続を優先するようにしたので、ノイズの混入などにより誤ってエンジン停止制御が行なわれるのを防止できる。
【0021】以上の一実施形態の構成において、アンテナユニット2がID読み出し手段を、イモビライザーユニット3およびエンジンコントロールユニット5が制御手段を、車速センサ54が車速検出手段および走行距離検出手段を、エンジン回転速度センサ55が回転速度検出手段を、スタートスイッチ53が始動操作検出手段をそれぞれ構成する。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車速、エンジン回転速度および走行距離の内のいずれかがそれぞれの所定値以上になり、且つ、エンジンの始動操作回数が設定回数以上になった場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とするようにしたので、サブキーなどの正規のキー以外のキーにより誤ってエンジンの繰り返し始動が行なわれ、バッテリーの電力が無駄に消費されるのを防止できる上に、防盗性能を向上させることができる。また、ID不一致の照合結果が設定回数だけ連続して得られた場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とするようにしたので、防盗性能を向上させることができる。さらに、車速、エンジン回転速度、走行距離およびエンジン始動回数に拘わらず、いったんID一致の照合結果が得られたら、エンジンの停止操作が行なわれるまではエンジンの作動を許可するようにしたので、ノイズの混入などによりエンジン停止制御が行なわれるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態の構成を示す図。
【図2】 キーの外観図。
【図3】 一実施形態の動作を示すフローチャート。
【図4】 図3に続く、一実施形態の動作を示すフローチャート。
【図5】 図4に続く、一実施形態の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 トランスポンダー
2 アンテナユニット
3 イモビライザーユニット
4 キー
4a ヘッド部
5 エンジンコントロールユニット
6 スターター駆動回路
7 燃料噴射装置
11,31 メモリ
12,26 制御回路
13,21 アンテナ
14,27,32,33,51 インタフェース
22 発振器
23 増幅器
24 復調器
52,62,53 スイッチ
54 車速センサ
55 エンジン回転速度センサ
61 ヒューズ
63 リレー
63c コイル
63a 接点
64 スターターモーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両のキーに設定されたIDを読み出すID読み出し手段と、前記ID読み出し手段により読み出されたIDと予め登録されたIDとを照合し、両者が一致した場合にエンジンの作動を許可する制御手段とを備えた車両用防盗装置において、車速を検出する車速検出手段と、エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段と、車両の走行距離を検出する走行距離検出手段と、キーによるエンジンの始動操作が行なわれたことを検出する始動操作検出手段とを備え、前記制御手段は、前記車速検出手段、前記回転速度検出手段および前記走行距離検出手段の内のいずれかによりそれぞれの所定値以上の検出結果が得られ、且つ、前記始動操作検出手段により予め設定した回数以上の始動操作が検出された場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とすることを特徴とする車両用防盗装置。
【請求項2】 請求項1に記載の車両用防盗装置において、前記制御手段は、ID不一致の照合結果が予め設定した回数だけ連続して得られた場合には、所定時間エンジンの作動を不許可とすることを特徴とする車両用防盗装置。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の車両用防盗装置において、前記制御手段は、いったんID一致の照合結果が得られたら、前記車速検出手段、前記回転速度検出手段、前記走行距離検出手段および前記始動操作検出手段による検出結果に拘わらず、エンジンの停止操作が行なわれるまではエンジンの作動を許可することを特徴とする車両用防盗装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開平9−136614
【公開日】平成9年(1997)5月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−295251
【出願日】平成7年(1995)11月14日
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)