説明

車両用防眩装置

【課題】不要なときには格納位置へ退避させることで、邪魔にならないようにでき、また、液晶パネルが破損し難く、万一破損した場合でも液晶パネルに使用されているガラスや液が飛散することを防止できる安全な車両用防眩装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル5を、サンバイザ用フレーム3の内周部に接着することにより取り付け、液晶パネル5をサンバイザ用フレーム3ごと、袋状をなす透明フィルム27により外側から覆う構成とした。液晶パネル5及びサンバイザ用フレーム3は、軸部材16の横辺部16bの軸周りに、フロントウインド2の内面に沿う使用位置と天井部17側の格納位置との間で上下方向に回動可能であり、不要なときには格納位置へ退避させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルを備えた車両用防眩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、自動車(車両)のフロントウインドの内面側に液晶フィルム(液晶パネル)を装着し、太陽光の入射方向及び受光強度を検出する光センサをルームミラーに取り付け、光センサの検出信号に基づき、制御装置が前記液晶フィルムの各部の光透過率を自動的に制御することにより、運転者の視界を確保しながら、眩しさを防止する構成としたものが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、複数のシャッタ領域を有する液晶バイザ素子を取り付けたアーム部を、車室内の天井部に回動可能に取り付け、太陽光の入射方向を検出する入射方向センサを車室内に取り付け、入射方向センサの検出信号に基づき、制御部が前記液晶バイザ素子の必要なシャッタ領域を不透明状態にするように制御することにより、運転者の視界を確保しながら、眩しさを防止する構成としたものが開示されている。
【特許文献1】特許第3688637号公報
【特許文献2】特開2002−202486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のものでは、次のような欠点がある。
特許文献1のものでは、液晶フィルムをフロントウインドの内面に貼り付けているため、防眩の必要がない場合であっても、その液晶フィルムを退避位置へ移動させることができず、邪魔になる。液晶を用いたものの場合、液晶の特性から、非通電時と通電時の画像濃度が関連し、通電時の画像を必要濃度に設定すると、非通電時の透明度が悪くなり、視界の確保が難しくなる。さらに、液晶フィルム(液晶パネル)が破損した場合、液晶フィルムに用いられているガラスや液が散乱し、危険である。
【0005】
一方、特許文献2のものでは、液晶バイザ素子を、可動するアーム部に取り付けているとされているが、その保持構造が不明である。また、液晶バイザ素子が破損した場合には、特許文献1のものと同様に、液晶バイザ素子に使用されているガラスや液が散乱し、危険である。
【0006】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不要なときには格納位置へ退避させることで、邪魔にならないようにでき、また、液晶パネルが破損し難く、万一破損した場合でも液晶パネルに使用されているガラスや液が飛散することを防止できる安全な車両用防眩装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の車両用防眩装置は、車両におけるフロントウインドの室内側の上部に、前記フロントウインドに沿うように配置される使用位置と前記フロントウインドから退避した格納位置との間で移動可能に設けられる枠状をなすサンバイザ用フレームと、外周部を前記サンバイザ用フレームの内周部に接合することにより前記サンバイザ用フレーム内に固定状態に取り付けられ、前記サンバイザ用フレームと共に前記使用位置と格納位置との間で移動可能な液晶パネルと、この液晶パネルを前記サンバイザ用フレームごと外側から覆うように設けられた透明フィルムと、前記液晶パネルが前記使用位置に位置された状態で、太陽の位置に応じて前記液晶パネルに所定の大きさの遮光パターンを形成するように前記液晶パネルを駆動制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶パネルが使用位置に位置された状態で、制御手段が、太陽の位置に応じて液晶パネルを駆動制御して、液晶パネルに所定の大きさの遮光パターンを形成する。その遮光パターンが、太陽と使用者(運転者)の目とを結ぶ直線が液晶パネルと交差する部分に形成されることで、使用者に対する太陽光の眩しさを防ぐことができる。
【0009】
液晶パネルは、これの外周部を、枠状をなすサンバイザ用フレームの内周部に接合することによりサンバイザ用フレーム内に固定状態に取り付けられている。液晶パネルは、サンバイザ用フレームと共に使用位置と格納位置との間で移動可能であるから、防眩が必要な場合には使用位置へ移動させて使用し、不要な場合には格納位置へ移動させることで、邪魔にならないようにできる。液晶パネルをサンバイザ用フレームごと透明フィルムにより外側から覆った構成としているので、液晶パネルを破損し難くできる。また、万一液晶パネルが破損したとしても、その液晶パネルに使用されているガラスや液が飛散することを防止でき、安全性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。まず、図7において、本発明の車両用防眩装置の防眩装置本体1は、自動車(車両)において、フロントウインド2の室内側における運転席側の上部に設置される。この防眩装置本体1について、図1〜図6を参照して説明する。
図1において、防眩装置本体1におけるサンバイザ用フレーム3は、例えば金属棒を折曲して横長な枠状に形成したものである。このサンバイザ用フレーム3の一端部3aと他端部3bは、図1の右上部において、一端部3aが他端部3bよりもやや上となる状態で向かいあっている。サンバイザ用フレーム3において、一端部3aの近くの上辺部3cの左側には、円筒状をなすパイプ4が嵌合されている(図2参照)。サンバイザ用フレーム3の内部には、液晶パネル5が配置されている。この液晶パネル5は、その外周部をサンバイザ用フレーム3の内周部に接着剤による接着により接合することによってサンバイザ用フレーム3に固定状態に取り付けられている。
【0011】
液晶パネル5は、図6に示すように、対向する透明電極6,7間に液晶8が収容され、透明電極6,7の外側に、それぞれガラス9,10と偏光板11,12が配置された構成となっている。このような構成の液晶パネル5は、後述する制御装置13(図9参照)により透明電極6,7に加える電圧を制御することに伴い、液晶の光屈折角度が変更され、一対の偏光板11,12の偏光の合成により光の透過度が変化し、画像が形成されるようになっている。
【0012】
サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5は、図1の右上部が、フレーム支持金具15を介して軸部材16に支持されている。軸部材16は、中空な円筒状をなすパイプをL字状に屈曲させた形状をなしていて、上下方向に指向する縦辺部16aと、横方向に延びる横辺部16bを一体に有している。この軸部材16の縦辺部16aが、自動車の天井部17に取り付けられた軸支点部材18の貫通孔18aに回動可能に挿入されている。縦辺部16aの上端部には、カム板19がスピードナット20により抜け止め状態に取り付けられている。カム板19は、縦辺部16aと一体に当該縦辺部16aの軸周りに回動できるように取り付けられている。縦辺部16aの外周部には、カム板19と軸支点部材18との間に位置させて圧縮コイルばね21が配置されていて、軸部材16がその圧縮コイルばね21を介して軸支点部材18に支持されている。
【0013】
サンバイザ用フレーム3の一端部3a及び他端部3bは、上記フレーム支持金具15に固定状態に支持され、フレーム支持金具15は、軸部材16の横辺部16bの外周部にその軸周り方向に回動可能な状態で嵌合されている。横辺部16bの先端部の外周部には、節度用の板ばね22が、横辺部16bの軸周りに回動可能に取り付けられている。板ばね22には、図3に示すように、横辺部16b側へ突出する節度用突部23が対向する2箇所に設けられている。横辺部16b側には、節度用穴部24が対向する2箇所に形成されている。これら節度用突部23と節度用穴部24により節度手段を構成している。板ばね22の下端部は、フレーム支持金具15に固定されている。液晶パネル5の外周部の一部は、フレーム支持金具15にも接着により接合されている。
【0014】
液晶パネル5において透明電極6,7に接続されたリード線25が、フレーム支持金具15の内側を通り、軸部材16の横辺部16bに形成された開口部16cから横辺部16b内に挿入され、さらに縦辺部16a内を通して天井部17側に導出されている。リード線25の先端部には、コネクタ26が設けられている。そして、液晶パネル5、サンバイザ用フレーム3及びフレーム支持金具15は、樹脂製の透明フィルム27により外側から覆われている(図1においては、透明フィルム27は二点鎖線にて示している)。この透明フィルム27は、図4及び図5に示すように、組み付け前の状態では上部が開口した袋状をなしていて、前記液晶パネル5、サンバイザ用フレーム3及びフレーム支持金具15を当該透明フィルム27内に収容した後、上部の開口部を例えば高周波溶着により溶着することによって閉鎖するようにしている。図4において、高周波による溶着線28を二点鎖線にて示す。
【0015】
天井部17において、サンバイザ用フレーム3の前記パイプ4に対応する部分には、図2に示すように、下部が開口したクリップ29が固定状態に取り付けられている。サンバイザ用フレーム3のパイプ4部分をクリップ29に下方から嵌合させることにより、サンバイザ用フレーム3の左側の自由端部がクリップ29に着脱可能に支持されている。
【0016】
ここで、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5は、パイプ4部分をクリップ29に支持させた状態で、フレーム支持金具15を介して軸部材16における横辺部16bの軸周りに回動させることにより、フロントウインド2の内面に沿うように配置される使用位置(図1の実線で示す位置)と、天井部17側に配置される図示しない格納位置との間で上下方向(図1の矢印A1参照)に回動可能となっている。また、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5は、パイプ4部分をクリップ29から外した状態で、軸部材16の縦辺部16aを支点にして当該縦辺部16aの軸周り方向に回動させることにより、図1及び図7に実線で示すフロントウインド2側と、運転席右側のサイドウインド30(図7参照)との間で水平方向(図1及び図7の矢印A2参照)に回動可能となっている。
【0017】
この場合、サンバイザ用フレーム3、液晶パネル5、フレーム支持金具、板ばね22、及び軸部材16により、防眩装置本体1を構成している。
前記軸支点部材18部分には、本発明の位置検出手段を構成するマイクロスイッチからなる位置検出スイッチ31(図1参照)が設けられている。この位置検出スイッチ31は、上方へ突出する方向に付勢された操作子32と、この操作子32を操作するレバー33とを備えていて、そのレバー33が、前記カム板19により操作されるようになっている。
【0018】
ここで、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5が、図1に示すようにフロントウインド2側へ回動された状態では、レバー33がカム板19により下方へ押圧され、操作子32が当該レバー33により下方へ押圧されていて、位置検出スイッチ31はオン状態を呈している。そして、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5が、サイドウインド30側へ回動されると、カム板19が軸部材16と共に同方向へ回動されて、レバー33に対するカム板19による押圧が解除され、これに伴い操作子32に対するレバー33による押圧が解除され、位置検出スイッチ31はオフ状態を呈するようになる。従って、位置検出スイッチ31がオン状態であるか、オフ状態であるかにより、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5がフロントウインド2側に回動されているのか、サイドウインド30側に回動されているのかがわかる。
【0019】
図8(a),(b)には、日射センサ35の一例が示されている。この日射センサ35は、車室内におけるインナミラー36(図7参照)の前方側(自動車の前方側)において、フロントウインド2の内面上部に設置されている。日射センサ35は次のような構成となっている。
日射センサ35のセンサケース37は、全体として矩形状をなしていて、前部(図8(a)の上部)のほぼ中央部に、前面が開口した受光路38を備えている。受光路38は、周囲が入光制限壁39により囲まれた空間部により形成されている。入光制限壁39の前部の外周部には、側方へ張り出す張出し部40が一体に設けられている。受光路38の終端側(図8(a)の下側)は、中央部分に開口面積が小さな受光窓41が形成された底面部42となっている。
【0020】
センサケース37の背面側(図8(a)の下面側)には、プリント基板43がねじ44により取り付けられていて、このプリント基板43の上面に、受光素子45が実装されている。受光素子45の受光面46が、前記底面部42の下側(図8(a)の下側)から前記受光窓41に臨んでいる。プリント基板43には、複数本のターミナル47が側方へ突出するように設けられていて、これらターミナル47は、センサケース37の側方に突出している。
【0021】
前記受光路38にあって前記受光面46より入口側(図8(a)において上側)には、紫外線カットフィルタ(光学フィルタ)48が取り付けられている。この紫外線カットフィルタ48は、例えば、樹脂やガラス等を基材として紫外線の透過を阻止するように形成されており、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe等の群からなる1種以上の金属元素を極少量有した酸化亜鉛の薄膜を、基材に蒸着もしくはスパッタすることで構成されている。紫外線カットフィルタ48の周囲には、これを取り囲むように凸部49が枠状に設けられている。受光窓41と紫外線カットフィルタ48との間の受光路38の側面は、受光窓41側へ傾斜した斜面50となっている。
【0022】
受光面46は、図8(b)の中心線に合わせてその受光領域が4分割されており、分割された各領域における受光強度がそれぞれ独立に検出可能となっている。従って、それら4つの領域間における受光強度の差を検出することにより、受光路38に入射する太陽光の入射方向を検出できるようになっている。
上記のように構成された日射センサ35は、受光面46を車両の進行方向である前方に向けた状態で、センサケース37の前面に塗布した接着剤51(図8(a)参照)により、フロントウインド2の内面に直接取り付けている。
【0023】
上記構成の日射センサ35において、受光路38に入射する太陽光は、入光制限壁39及び受光窓41の寸法に応じて入射角が制限される。受光素子45の中心から、図8(a)に二点鎖線で示すように、受光路38の入口側端部(入光制限壁39の前端部)と受光窓41とを結ぶ領域内の入射角(入光範囲角θ参照)を有する光だけが、受光窓41を介して受光素子45の受光面46に到達する。そして、受光路38に入射する際に、太陽光に含まれている紫外線は、紫外線カットフィルタ48によってカットされるため、その他の赤外線や可視光成分の一部が透過して受光素子45に受光される。そして、受光素子45により検出される受光領域毎の受光強度の検出データは、前記制御装置13に出力されて各領域の受光強度の大小が比較され、その比較結果に基づいて、日射センサ35の受光面46が向いている方向を基準とする太陽光の入射方向(太陽の位置)が検出される。
【0024】
図9は、本発明の車両用防眩装置の電気的構成の概略構成をブロック図で示している。この図9において、制御手段を構成する制御装置13は、マイクロコンピュータを含む構成のもので、自動車(車両)側に設けられている。この制御装置13には、前記位置検出スイッチ31と日射センサ35が接続されている。そして、制御装置13は、これら位置検出スイッチ31及び日射センサ35の信号と、予め備えたプログラムに基づき、前記液晶パネル5を駆動制御する機能を備えている。
【0025】
次に上記構成の作用を説明する。
図1及び図7の実線で示すように、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5を使用位置に位置させた状態では、板ばね22の節度用突部23が対応する節度用穴部24に嵌まり込むことにより、その使用位置に保持されている。このとき、位置検出スイッチ31は、操作子32がレバー33により押圧されてオン状態を呈していて、その信号が制御装置13に入力されている。そして、日射センサ35は、受光面46に入射する太陽光を検出し、その検出信号を制御装置13に出力する。
【0026】
制御装置13は、位置検出スイッチ31のオン信号により、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5がフロントウインド2側に回動されていると判断する。また、制御装置13は、日射センサ35の検出信号に基づき太陽の位置を演算し、太陽の位置に応じて液晶パネル5に遮光パターン55(図1参照)を形成するように液晶パネル5を駆動制御する。液晶パネル5にあって、遮光パターン55が形成された部分は光の透過率が低下し、遮光パターン55以外の部分は透明状態が維持される。これにより、液晶パネル5にあって、太陽と使用者(運転者)の目とを結ぶ直線が液晶パネル5と交差する部分に遮光パターン55が形成されるようになり、使用者に対する太陽光の眩しさを防ぐことができる。なお、液晶パネル5にあって、右下の部分には、現在の日時が文字56により表示されている。この場合、制御装置13は、液晶パネル5を駆動制御するために、画像処理機能、ガンマ補正機能、交流化処理機能を備えている。
【0027】
ここで、遮光パターン55は、縦L1が60mm、横L2が140mmの横長な小判形状に設定されている。遮光パターン55をこのような大きさに設定したのは次のような理由による。すなわち、自動車から見える太陽の大きさは直径が約20mm、人の左右の両目間の標準の間隔は約80mmであり、遮光パターンとしては、少なくとも縦L1が20mmで、かつ横L2が100mmの横長な形状である必要がある。実用的には、縦L1及び横L2に余裕を見て、上記した大きさに設定した。従って、遮光パターン55としては、縦L1が20mm以上で、かつ横L2が100mm以上の横長な形状であることが好ましい。
【0028】
フロントウインド2に対する太陽光の入射方向が変わると、日射センサ35によりこれを検出し、制御装置13は、その日射センサ35の検出信号に基づき太陽の位置を演算し、それに基づき遮光パターン55の位置を変化させる。
【0029】
一方、太陽光が、運転席の右側のサイドウインド30側から入るような場合には、使用者は、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5を、軸部材16の縦辺部16aを支点にしてサイドウインド30側へ回動させる(図7の二点鎖線参照)。すると、位置検出スイッチ31がオン状態からオフ状態に切り替わり、この信号が制御装置13に入力する。すると、制御装置13は、日射センサ35の検出信号に関係なく、液晶パネル5の全面を遮光状態となるように切り替える。これにより、使用者に対する、サイドウインド30側からの太陽光の眩しさを防ぐことができる。
【0030】
一方、遮光の必要がなく防眩装置本体1を使用しない場合には、図1の使用位置から、サンバイザ用フレーム3及び液晶パネル5を、軸部材16の横辺部16bを支点にして上方の格納位置へ回動させる。これにより、防眩装置本体1は、フロントウインド2から退避した位置に位置され、使用者(運転者)の視界の邪魔にならないようにできる。
【0031】
上記した構成のものによれば、次のような作用効果を得ることができる。
まず、液晶パネル5は、サンバイザ用フレーム3と共に使用位置と格納位置との間で移動可能であるから、防眩が必要な場合には使用位置へ移動させて使用し、不要な場合には格納位置へ移動させることで、邪魔にならないようにできる。
液晶パネル5をサンバイザ用フレーム3ごと透明フィルム27により外側から覆った構成としているので、液晶パネル5を破損し難くできると共に、液晶パネル5とサンバイザ用フレーム3との取付強度を向上させることができる。また、万一液晶パネル5が破損したとしても、その液晶パネル5に使用されているガラス9,10や液晶8の液が飛散することを防止でき、安全性を向上できる。
【0032】
液晶パネル5を軸部材16を支点にしてフロントウインド2側へ回動した状態とサイドウインド30側へ回動した状態とを検出する位置検出スイッチ31を備え、制御装置13は、前記位置検出スイッチ31により液晶パネル5がフロントウインド2側に回動されていることを検出した状態では、太陽の位置に応じて液晶パネル5に所定の大きさの遮光パターン55を形成し、位置検出スイッチ31により液晶パネル5がサイドウインド30側に回動されていることを検出した状態では、液晶パネル5の全面を遮光状態とする構成とした。これにより、使用者(運転者)に対して、前方からの光だけではなく、側方からの光に対しても良好に防眩効果を得ることができる。
【0033】
液晶パネル5に形成される遮光パターン55は、縦が20mm以上で、かつ横が100mm以上の横長な形状、具体的には、縦L1が60mmで、かつ横L2が140mmの横長な形状に設定した。これにより、遮光パターン55を必要以上に大きくしなくとも防眩効果を良好に得ることができ、また、視界を良好に確保することが可能になる。
【0034】
液晶パネル5は、サンバイザ用フレーム3に接着剤により接合することによって取り付ける構成とした。これにより、液晶パネル5をサンバイザ用フレーム3に容易に取り付けることができる。
液晶パネル5及びサンバイザ用フレーム3を支持する軸部材16は中空な筒状をなしていて、液晶パネル5のリード線25を前記軸部材16の内部に挿通する構成とした。これにより、リード線25が外部に露出せず、見た目を良くできる。
【0035】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
太陽の位置を検出するのに日射センサ35を用いるようにしたが、カーナビゲーション装置に利用されるGPS(global positioning system)を利用するようにしても良い。この場合、制御装置13は現在の日時のプログラムと太陽の軌道プログラムとを有する構成とし、GPSによる自車位置と、現在日時と、太陽の軌道とから、自車に対する太陽の位置を演算により求め、その結果に基づき液晶パネル5に遮光パターン55を形成する構成とする。また、日射センサ35とGPSの両方を用いるようにしても良い。
【0036】
日射センサは、フロントウインド2の内面に限られず、ダッシュボードやインナミラー、或いは防眩装置本体1のサンバイザ用フレーム3または液晶パネル5に取り付けるようにしても良い。
サンバイザ用フレーム3は、例えば透明な合成樹脂により形成しても良い。このようにした場合には、サンバイザ用フレーム3が使用者の視界を妨げることを一層少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態を一部破断して示す防眩装置本体の正面図
【図2】図1中X1−X1線に沿う縦断側面図
【図3】図1中X2−X2線に沿う縦断側面図
【図4】透明フィルム単体の正面図
【図5】図4中X3−X3線に沿う縦断側面図
【図6】液晶パネルの断面図
【図7】車室内からフロントウインド側を見た状態の車室内の斜視図
【図8】日射センサを示すもので、(a)はフロントウインドに取り付けた状態での横断面図、(b)は日射センサの背面図
【図9】電気的構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1は防眩装置本体、2はフロントウインド、3はサンバイザ用フレーム、5は液晶パネル、6,7は透明電極、8は液晶、9,10はガラス、13は制御装置(制御手段)、15はフレーム支持金具、16は軸部材、17は天井部、19はカム板、22は板ばね、25はリード線、27は透明フィルム、29はクリップ、30はサイドウインド、31は位置検出スイッチ(位置検出手段)、35は日射センサ、45は受光素子、55は遮光パターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるフロントウインドの室内側の上部に、前記フロントウインドに沿うように配置される使用位置と前記フロントウインドから退避した格納位置との間で移動可能に設けられる枠状をなすサンバイザ用フレームと、
外周部を前記サンバイザ用フレームの内周部に接合することにより前記サンバイザ用フレーム内に固定状態に取り付けられ、前記サンバイザ用フレームと共に前記使用位置と格納位置との間で移動可能な液晶パネルと、
この液晶パネルを前記サンバイザ用フレームごと外側から覆うように設けられた透明フィルムと、
前記液晶パネルが前記使用位置に位置された状態で、太陽の位置に応じて前記液晶パネルに所定の大きさの遮光パターンを形成するように前記液晶パネルを駆動制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車両用防眩装置。
【請求項2】
前記サンバイザ用フレームは、軸部材を支点にしてフロントウインド側とサイドウインド側との間で回動可能に設けられ、
前記液晶パネルを前記軸部材を支点にして前記フロントウインド側へ回動した状態と前記サイドウインド側へ回動した状態とを検出する位置検出手段を備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段により前記液晶パネルが前記フロントウインド側に回動されていることを検出した状態では、太陽の位置に応じて前記液晶パネルに前記遮光パターンを形成し、前記位置検出手段により前記液晶パネルが前記サイドウインド側に回動されていることを検出した状態では、前記液晶パネルの全面を遮光状態とすることを特徴とする請求項1記載の車両用防眩装置。
【請求項3】
前記液晶パネルに形成される遮光パターンは、縦が20mm以上で、かつ横が100mm以上の横長な形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用防眩装置。
【請求項4】
前記液晶パネルは、前記サンバイザ用フレームに接着剤により接合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用防眩装置。
【請求項5】
前記軸部材は中空な筒状をなしていて、前記液晶パネルのリード線を前記軸部材の内部に挿通する構成としたことを特徴とする請求項2記載の車両用防眩装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−29245(P2009−29245A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194674(P2007−194674)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(501278423)野場電工株式会社 (18)