車両用静電霧化装置
【課題】 使用者が車両に乗り込んで運転を行う際には脱臭やアレルゲンの不活化がなされている状態とする。
【解決手段】 放電電極１１に水分を供給する水分供給手段１３と、放電電極１１への高電圧印加で上記水分を静電霧化してミストを車室内に放出する放出口１７と、上記高電圧印加による静電霧化動作を制御する制御手段Ｃとを備えて車両用電源Ｖにイグニッションキースイッチを介することなく接続される。動作開始時刻入力用の動作時刻設定部５を備え、制御手段は設定された動作開始時刻に静電霧化動作を開始し且つ所定時間経過後に静電霧化動作を終了させるとともに、車両用電源の残容量を検出する検出手段で検出された残容量が閾値以下になれば上記所定時間の経過を待たずに静電霧化動作を終了させる。
【解決手段】 放電電極１１に水分を供給する水分供給手段１３と、放電電極１１への高電圧印加で上記水分を静電霧化してミストを車室内に放出する放出口１７と、上記高電圧印加による静電霧化動作を制御する制御手段Ｃとを備えて車両用電源Ｖにイグニッションキースイッチを介することなく接続される。動作開始時刻入力用の動作時刻設定部５を備え、制御手段は設定された動作開始時刻に静電霧化動作を開始し且つ所定時間経過後に静電霧化動作を終了させるとともに、車両用電源の残容量を検出する検出手段で検出された残容量が閾値以下になれば上記所定時間の経過を待たずに静電霧化動作を終了させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両用の静電霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
乗用車等の車両にあっては車室内が密閉空間となっているため車室内に煙草等の臭いがこもるという問題がある。このために濾過式の空気浄化装置が各種提供されているが、車室内の壁面等に付着した臭い成分を除去することはできない。
【０００３】
ここにおいて、水を霧化させてナノメータサイズの帯電微粒子水（ナノサイズミスト）を発生させる静電霧化装置が注目されている。この静電霧化装置が発生するナノサイズミストはスーパーオキサイドラジカルやヒドロキシラジカルといったラジカルが含まれていることから、脱臭効果に加えてウイルス・カビ菌の抑制効果、アレル物質不活化効果等も備えており、このために上記ナノサイズミストを車室内に送り出せば、車室内の空気中の臭い成分だけでなく、車室内の壁面やシート等に付着した臭い成分の脱臭も行うことができる上に、シートやフロアカーペット、クッション等に付着したダニの屍骸や、屋外でのドアの開閉に伴って車室内に入ったり人の衣服に付着して車室内に持ち込まれた花粉等のアレルゲンも抑制することができる。このために、特開２００６−１５１０４６号公報（特許文献１）には車両が備える空調装置が出力する風にナノサイズミストを乗せることで、車室内にナノサイズミストを放出する車両用静電霧化装置が提案されている。
【０００４】
上記のものでは、車両内に設けられる従来の空気浄化装置は、車両用の電源であるバッテリの消耗防止という点から、イグニッションキースイッチにキーを差し込んで上記スイッチ（におけるアクセサリスイッチを含む）をオンとすることによって電源が供給されるようになっており、実際上、エンジンを始動している時にだけ空気を浄化するものであった。
【０００５】
一方、使用者にしてみれば、車のドアを開けた時や、車両が搭載している空調装置を作動させた時に車内残留の臭いを最も強く感ずるものであり、また使用者が車室内に乗り込む際、車室内のアレルゲンは活性状態にある。しかし、上記空気浄化装置と同様にイグニッションキースイッチがオンとなっている時に動作可能となっている静電霧化装置では、この点に対処することができない。
【０００６】
また、シートに人が座っていると、ナノサイズミストＭはシートにしみ込んだ臭いやシート内に入り込んだアレルゲンに触れることができないために、これらに対する脱臭や不活化の機会がないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００６−１５１０４６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、使用者が車両に乗り込んで運転を行う際には脱臭やアレルゲンの不活化がなされている状態とすることができる車両用静電霧化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、高電圧が印加される放電電極と、上記放電電極に水分を供給する水分供給手段と、放電電極への高電圧印加による上記水分の静電霧化で生成されたミストを車室内に放出する放出口と、上記高電圧印加による静電霧化動作を制御する制御手段とを備えた車両用静電霧化装置であり、車両用電源にイグニッションキースイッチを介することなく接続されてイグニッションキースイッチのオフ時にも動作可能であるとともに、動作開始時刻入力用の動作時刻設定部を備えており、上記制御手段は上記動作時刻設定部で設定された動作開始時刻に上記静電霧化動作を開始し且つ所定時間経過後に静電霧化動作を終了させるものであるとともに、車両用電源の残容量を検出する検出手段で検出された残容量が閾値以下になれば上記所定時間の経過を待たずに静電霧化動作を終了させるものであることに特徴を有している。イグニッションキースイッチが切られていても、設定した動作開始時刻になれば静電霧化動作が開始され、設定した動作終了時刻になれば静電霧化動作が終了するために、利用者は車室内の汚れに応じて静電霧化動作を行う時間を設定することができるものである。
【００１０】
制御部は検出された残容量と静電霧化装置の消費電力とから静電霧化動作可能時間を算出してこれを表示する表示部を備えていると、利用者は車両用電源の残容量に鑑みた動作を行わせることができる。
【００１１】
また、制御部は検出された残容量と静電霧化装置の消費電力とから次の静電霧化動作に必要な残容量があるかどうかを判断し、ない場合にこれを警告する警告部を備えていると、車両用電源の残容量を低下させ過ぎてしまうことがない運用を行うことができる。
【００１２】
車両のエンジン動作中は動作時刻設定部の設定に関係なく静電霧化動作を行うものであってもよく、この場合、車両の空調動作に連動して静電霧化動作を行うものとしたり、臭いセンサーやアレルゲンセンサーの出力に応じて静電霧化動作を行うものとしたり、車両のエンジン動作中は常時静電霧化動作を行うものとしてもよい。
【００１３】
放電電極に対向するとともに放電電極との間に高電圧が印加される対向電極を備えているものであってもよい。
【発明の効果】
【００１４】
本発明においては、イグニッションキースイッチのオンオフに関係なく、設定された動作開始時刻に静電霧化動作が開始されるものであるために、誰も乗車していない時にも静電霧化動作を行わせておくことができるものであり、従って車両使用者が次に車に乗り込んで運転を開始する時には、臭いの除去やアレルゲンの不活化がなされた状態とすることができて、快適な空間での車両使用を行うことができる。しかも、静電霧化動作は所定時間の経過で終了する上に車両用電源の残容量が閾値以下になれば所定時間の経過を待たずに静電霧化動作を終了するために、車両用電源の消耗を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明の実施の形態の一例のブロック回路図である。
【図２】同上の静電霧化ユニット部分の断面図である。
【図３】同上の車載状態を示す概略図である。
【図４】同上の動作時刻設定部の一例の概略正面図である。
【図５】同上の参考例の動作を示すタイムチャートである。
【図６】本発明の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図２はナノメータサイズの帯電微粒子水（ナノサイズミスト）を発生させる静電霧化装置１の霧化ユニット部分を示しており、放電電極１１を囲む絶縁材からなる筒体１６の先端開口部に配設されて上記放電電極１１に対向するリング状の対向電極１２と、上記放電電極１１を冷却することで空気中の水分を放電電極１１上に結露させる冷却手段１３と、放電電極１１と対向電極１２との間に高電圧を印加する高圧電源部１５とからなるもので、ペルチェ素子で構成されているとともに冷却側に上記放電電極１１が熱的に接続されている上記冷却手段１３は、その放熱側に放熱フィン１４を備えている。
【００１７】
また、上記静電霧化装置１は、放熱フィン１４に冷却風を送るモータファン（図示せず）を備えているとともに、このモータファンから送られる風の一部は上記筒体１６の側面開口から筒体１６内に入り、筒体１６の先端開口である放出口１７から吐出される。
【００１８】
この静電霧化装置１では、冷却手段１３で放電電極１１を冷却することで空気中の水分を結露させて放電電極１１上に結露水を生成するものであり、従って冷却手段１３が放電電極に水分を供給する水分供給手段を構成している。そして、結露水が放電電極１１に付着している状態において、上記電極１１，１２間に高電圧を印加すれば、上記結露水は放電電極１１の先端に集まるとともに対向電極１２との間の放電によってレイリー分裂を繰り返してナノサイズミストＭとなり、上記のモータファンによる風に乗って前記放出口１７から外部に吐出される。なお、上記静電霧化装置１は、放電電圧検出回路と放電電流検出回路とを備えて検出された放電電圧及び放電電流を基に冷却手段１３の冷却度調整による結露水生成量の調整を行う制御部Ｃを備えており、放電電極１１上に適量の結露水を常に確保してナノサイズミストＭの発生を温度や湿度に影響されることなく確実に行うものとなっている。
【００１９】
このように構成された静電霧化装置１は、自動車である車両の車室の天井部分や、空調装置における吹き出し口近傍に設置されて放出口１７から放出するナノサイズミストＭを車室内に供給し、脱臭やアレルゲンの不活化等を行う。車室内全体にナノサイズミストＭを効率よく供給するという点では、放出口１７から放出したナノサイズミストＭを空調装置の吹き出し口から吐出される風に乗せることができるようにしたものが好ましい。図３はこの場合の一例を示しており、吸い込み口２１、ブロア２２、フィルター２３、エバポレータ２４、そして送風路２５を介して設けられた複数の吐出口２６で構成される空調装置における吐出口２６近辺に静電霧化装置１を設置して、放出口１７を送風路２５の吐出口２６付近に連通させている。なお、後述するように、空調装置が作動していない時にもナノサイズミストＭを発生させて室内に放出することから、上記放出口１７はこの点も考慮した位置に設けておく。
【００２０】
上記制御部Ｃには図１に示すように動作時刻設定部５が接続されている。この動作時刻設定部５は、静電霧化装置１を動作させる時刻の設定入力用のもので、たとえば図４に示すように、開始時刻入力部５１と終了時刻入力部５２を備えたものとして構成され、開始時刻入力部５１と終了時刻入力部５２とにおけるアップダウンキーによる時刻入力で動作開始時刻と終了時刻とが入力されれば、制御部Ｃはこれら設定時刻と内蔵時計の時刻とを比較し、動作開始時刻になれば静電霧化装置１を作動させてナノサイズミストＭを発生させ、終了時刻になれば静電霧化装置１を停止させる。なお、動作時刻設定部５は、複数の動作開始時刻及び動作終了時刻を設定することができるものが好ましい。動作終了時刻に代えて、動作させておく時間を入力するようにしたものであってもよい。
【００２１】
ここにおいて、上記静電霧化装置１はその制御部Ｃも含めて、図１に示すように車両電源であるバッテリーＶから電源供給を直接受けており、このためにイグニッションキースイッチがオフの時にも静電霧化動作が可能となっている。このために、エンジンが作動中であるかどうかに拘わらず、設定された動作時刻になれば静電霧化装置１は静電霧化動作、つまり冷却手段１３で放電電極１１を冷却することによる結露水の確保と、高圧を印加して放電させることによるナノサイズミストＭの生成を開始して、車室内にナノサイズミストＭを放出し、設定された終了時刻になれば静電霧化動作を停止する。
【００２２】
このために動作開始時刻を人が乗っていない時刻に設定すれば、静電霧化装置１は無人の車室内にナノサイズミストＭを放出するものであり、このために運転中であれば運転者によって常時覆われた状態にある運転席のシートなどもナノサイズミストＭに曝すことができ、これ故にナノサイズミストＭによる脱臭及びアレルゲンの不活化をより広範囲に行うことができる。
【００２３】
エンジンが始動されていない時の静電霧化動作は、バッテリＶの消耗を避けるために、バッテリーＶの容量（電圧）を検出する検出部を設けて、検出される電圧が閾値以下になれば、制御部Ｃは図５に示すように終了時刻を待たずに静電霧化動作を終了させるようにしておくことが望ましい。また、静電霧化装置の消費電力とバッテリーの残容量とから、設定された終了時刻でのバッテリー残容量を算出し、この値が前記閾値以下になってしまう時にはブザーや発光手段等の警告手段を用いて警告を出すようにしておいてもよい。また、図４に示すように、バッテリーＶの残容量と上記消費電力と上記閾値とから静電霧化霧化装置１の現在の残容量から推測できる動作可能時間を算出してこれを表示する動作可能時間表示部５３を設けておいてもよい。
【００２４】
上記動作時刻設定部５は開始時刻と終了時刻の両方を入力することができるものであったが、開始時刻のみを入力することができるものとしてもよい。この場合、制御部Ｃは図６に示すように予め定めた所定時間Ｔだけ静電霧化動作を行うものとする。ただし、バッテリーＶの残容量が閾値以下になる時には所定時間Ｔの経過を待たずに静電霧化動作を終了する。
【００２５】
なお、エンジン動作中については、動作時刻設定部５の設定に関係なく、空調動作に連動して静電霧化動作を行ったり、車室内に設置した臭いセンサーやアレルゲンセンサーの出力に応じて静電霧化動作を行ったり、あるいは静電霧化動作を常時行うものであってもよい。
【符号の説明】
【００２６】
１ 静電霧化装置
５ 動作時刻設定部
Ｖ バッテリ
Ｃ 制御部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両用の静電霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
乗用車等の車両にあっては車室内が密閉空間となっているため車室内に煙草等の臭いがこもるという問題がある。このために濾過式の空気浄化装置が各種提供されているが、車室内の壁面等に付着した臭い成分を除去することはできない。
【０００３】
ここにおいて、水を霧化させてナノメータサイズの帯電微粒子水（ナノサイズミスト）を発生させる静電霧化装置が注目されている。この静電霧化装置が発生するナノサイズミストはスーパーオキサイドラジカルやヒドロキシラジカルといったラジカルが含まれていることから、脱臭効果に加えてウイルス・カビ菌の抑制効果、アレル物質不活化効果等も備えており、このために上記ナノサイズミストを車室内に送り出せば、車室内の空気中の臭い成分だけでなく、車室内の壁面やシート等に付着した臭い成分の脱臭も行うことができる上に、シートやフロアカーペット、クッション等に付着したダニの屍骸や、屋外でのドアの開閉に伴って車室内に入ったり人の衣服に付着して車室内に持ち込まれた花粉等のアレルゲンも抑制することができる。このために、特開２００６−１５１０４６号公報（特許文献１）には車両が備える空調装置が出力する風にナノサイズミストを乗せることで、車室内にナノサイズミストを放出する車両用静電霧化装置が提案されている。
【０００４】
上記のものでは、車両内に設けられる従来の空気浄化装置は、車両用の電源であるバッテリの消耗防止という点から、イグニッションキースイッチにキーを差し込んで上記スイッチ（におけるアクセサリスイッチを含む）をオンとすることによって電源が供給されるようになっており、実際上、エンジンを始動している時にだけ空気を浄化するものであった。
【０００５】
一方、使用者にしてみれば、車のドアを開けた時や、車両が搭載している空調装置を作動させた時に車内残留の臭いを最も強く感ずるものであり、また使用者が車室内に乗り込む際、車室内のアレルゲンは活性状態にある。しかし、上記空気浄化装置と同様にイグニッションキースイッチがオンとなっている時に動作可能となっている静電霧化装置では、この点に対処することができない。
【０００６】
また、シートに人が座っていると、ナノサイズミストＭはシートにしみ込んだ臭いやシート内に入り込んだアレルゲンに触れることができないために、これらに対する脱臭や不活化の機会がないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００６−１５１０４６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、使用者が車両に乗り込んで運転を行う際には脱臭やアレルゲンの不活化がなされている状態とすることができる車両用静電霧化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、高電圧が印加される放電電極と、上記放電電極に水分を供給する水分供給手段と、放電電極への高電圧印加による上記水分の静電霧化で生成されたミストを車室内に放出する放出口と、上記高電圧印加による静電霧化動作を制御する制御手段とを備えた車両用静電霧化装置であり、車両用電源にイグニッションキースイッチを介することなく接続されてイグニッションキースイッチのオフ時にも動作可能であるとともに、動作開始時刻入力用の動作時刻設定部を備えており、上記制御手段は上記動作時刻設定部で設定された動作開始時刻に上記静電霧化動作を開始し且つ所定時間経過後に静電霧化動作を終了させるものであるとともに、車両用電源の残容量を検出する検出手段で検出された残容量が閾値以下になれば上記所定時間の経過を待たずに静電霧化動作を終了させるものであることに特徴を有している。イグニッションキースイッチが切られていても、設定した動作開始時刻になれば静電霧化動作が開始され、設定した動作終了時刻になれば静電霧化動作が終了するために、利用者は車室内の汚れに応じて静電霧化動作を行う時間を設定することができるものである。
【００１０】
制御部は検出された残容量と静電霧化装置の消費電力とから静電霧化動作可能時間を算出してこれを表示する表示部を備えていると、利用者は車両用電源の残容量に鑑みた動作を行わせることができる。
【００１１】
また、制御部は検出された残容量と静電霧化装置の消費電力とから次の静電霧化動作に必要な残容量があるかどうかを判断し、ない場合にこれを警告する警告部を備えていると、車両用電源の残容量を低下させ過ぎてしまうことがない運用を行うことができる。
【００１２】
車両のエンジン動作中は動作時刻設定部の設定に関係なく静電霧化動作を行うものであってもよく、この場合、車両の空調動作に連動して静電霧化動作を行うものとしたり、臭いセンサーやアレルゲンセンサーの出力に応じて静電霧化動作を行うものとしたり、車両のエンジン動作中は常時静電霧化動作を行うものとしてもよい。
【００１３】
放電電極に対向するとともに放電電極との間に高電圧が印加される対向電極を備えているものであってもよい。
【発明の効果】
【００１４】
本発明においては、イグニッションキースイッチのオンオフに関係なく、設定された動作開始時刻に静電霧化動作が開始されるものであるために、誰も乗車していない時にも静電霧化動作を行わせておくことができるものであり、従って車両使用者が次に車に乗り込んで運転を開始する時には、臭いの除去やアレルゲンの不活化がなされた状態とすることができて、快適な空間での車両使用を行うことができる。しかも、静電霧化動作は所定時間の経過で終了する上に車両用電源の残容量が閾値以下になれば所定時間の経過を待たずに静電霧化動作を終了するために、車両用電源の消耗を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明の実施の形態の一例のブロック回路図である。
【図２】同上の静電霧化ユニット部分の断面図である。
【図３】同上の車載状態を示す概略図である。
【図４】同上の動作時刻設定部の一例の概略正面図である。
【図５】同上の参考例の動作を示すタイムチャートである。
【図６】本発明の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図２はナノメータサイズの帯電微粒子水（ナノサイズミスト）を発生させる静電霧化装置１の霧化ユニット部分を示しており、放電電極１１を囲む絶縁材からなる筒体１６の先端開口部に配設されて上記放電電極１１に対向するリング状の対向電極１２と、上記放電電極１１を冷却することで空気中の水分を放電電極１１上に結露させる冷却手段１３と、放電電極１１と対向電極１２との間に高電圧を印加する高圧電源部１５とからなるもので、ペルチェ素子で構成されているとともに冷却側に上記放電電極１１が熱的に接続されている上記冷却手段１３は、その放熱側に放熱フィン１４を備えている。
【００１７】
また、上記静電霧化装置１は、放熱フィン１４に冷却風を送るモータファン（図示せず）を備えているとともに、このモータファンから送られる風の一部は上記筒体１６の側面開口から筒体１６内に入り、筒体１６の先端開口である放出口１７から吐出される。
【００１８】
この静電霧化装置１では、冷却手段１３で放電電極１１を冷却することで空気中の水分を結露させて放電電極１１上に結露水を生成するものであり、従って冷却手段１３が放電電極に水分を供給する水分供給手段を構成している。そして、結露水が放電電極１１に付着している状態において、上記電極１１，１２間に高電圧を印加すれば、上記結露水は放電電極１１の先端に集まるとともに対向電極１２との間の放電によってレイリー分裂を繰り返してナノサイズミストＭとなり、上記のモータファンによる風に乗って前記放出口１７から外部に吐出される。なお、上記静電霧化装置１は、放電電圧検出回路と放電電流検出回路とを備えて検出された放電電圧及び放電電流を基に冷却手段１３の冷却度調整による結露水生成量の調整を行う制御部Ｃを備えており、放電電極１１上に適量の結露水を常に確保してナノサイズミストＭの発生を温度や湿度に影響されることなく確実に行うものとなっている。
【００１９】
このように構成された静電霧化装置１は、自動車である車両の車室の天井部分や、空調装置における吹き出し口近傍に設置されて放出口１７から放出するナノサイズミストＭを車室内に供給し、脱臭やアレルゲンの不活化等を行う。車室内全体にナノサイズミストＭを効率よく供給するという点では、放出口１７から放出したナノサイズミストＭを空調装置の吹き出し口から吐出される風に乗せることができるようにしたものが好ましい。図３はこの場合の一例を示しており、吸い込み口２１、ブロア２２、フィルター２３、エバポレータ２４、そして送風路２５を介して設けられた複数の吐出口２６で構成される空調装置における吐出口２６近辺に静電霧化装置１を設置して、放出口１７を送風路２５の吐出口２６付近に連通させている。なお、後述するように、空調装置が作動していない時にもナノサイズミストＭを発生させて室内に放出することから、上記放出口１７はこの点も考慮した位置に設けておく。
【００２０】
上記制御部Ｃには図１に示すように動作時刻設定部５が接続されている。この動作時刻設定部５は、静電霧化装置１を動作させる時刻の設定入力用のもので、たとえば図４に示すように、開始時刻入力部５１と終了時刻入力部５２を備えたものとして構成され、開始時刻入力部５１と終了時刻入力部５２とにおけるアップダウンキーによる時刻入力で動作開始時刻と終了時刻とが入力されれば、制御部Ｃはこれら設定時刻と内蔵時計の時刻とを比較し、動作開始時刻になれば静電霧化装置１を作動させてナノサイズミストＭを発生させ、終了時刻になれば静電霧化装置１を停止させる。なお、動作時刻設定部５は、複数の動作開始時刻及び動作終了時刻を設定することができるものが好ましい。動作終了時刻に代えて、動作させておく時間を入力するようにしたものであってもよい。
【００２１】
ここにおいて、上記静電霧化装置１はその制御部Ｃも含めて、図１に示すように車両電源であるバッテリーＶから電源供給を直接受けており、このためにイグニッションキースイッチがオフの時にも静電霧化動作が可能となっている。このために、エンジンが作動中であるかどうかに拘わらず、設定された動作時刻になれば静電霧化装置１は静電霧化動作、つまり冷却手段１３で放電電極１１を冷却することによる結露水の確保と、高圧を印加して放電させることによるナノサイズミストＭの生成を開始して、車室内にナノサイズミストＭを放出し、設定された終了時刻になれば静電霧化動作を停止する。
【００２２】
このために動作開始時刻を人が乗っていない時刻に設定すれば、静電霧化装置１は無人の車室内にナノサイズミストＭを放出するものであり、このために運転中であれば運転者によって常時覆われた状態にある運転席のシートなどもナノサイズミストＭに曝すことができ、これ故にナノサイズミストＭによる脱臭及びアレルゲンの不活化をより広範囲に行うことができる。
【００２３】
エンジンが始動されていない時の静電霧化動作は、バッテリＶの消耗を避けるために、バッテリーＶの容量（電圧）を検出する検出部を設けて、検出される電圧が閾値以下になれば、制御部Ｃは図５に示すように終了時刻を待たずに静電霧化動作を終了させるようにしておくことが望ましい。また、静電霧化装置の消費電力とバッテリーの残容量とから、設定された終了時刻でのバッテリー残容量を算出し、この値が前記閾値以下になってしまう時にはブザーや発光手段等の警告手段を用いて警告を出すようにしておいてもよい。また、図４に示すように、バッテリーＶの残容量と上記消費電力と上記閾値とから静電霧化霧化装置１の現在の残容量から推測できる動作可能時間を算出してこれを表示する動作可能時間表示部５３を設けておいてもよい。
【００２４】
上記動作時刻設定部５は開始時刻と終了時刻の両方を入力することができるものであったが、開始時刻のみを入力することができるものとしてもよい。この場合、制御部Ｃは図６に示すように予め定めた所定時間Ｔだけ静電霧化動作を行うものとする。ただし、バッテリーＶの残容量が閾値以下になる時には所定時間Ｔの経過を待たずに静電霧化動作を終了する。
【００２５】
なお、エンジン動作中については、動作時刻設定部５の設定に関係なく、空調動作に連動して静電霧化動作を行ったり、車室内に設置した臭いセンサーやアレルゲンセンサーの出力に応じて静電霧化動作を行ったり、あるいは静電霧化動作を常時行うものであってもよい。
【符号の説明】
【００２６】
１ 静電霧化装置
５ 動作時刻設定部
Ｖ バッテリ
Ｃ 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
高電圧が印加される放電電極と、上記放電電極に水分を供給する水分供給手段と、放電電極への高電圧印加による上記水分の静電霧化で生成されたミストを車室内に放出する放出口と、上記高電圧印加による静電霧化動作を制御する制御手段とを備えた車両用静電霧化装置であり、車両用電源にイグニッションキースイッチを介することなく接続されてイグニッションキースイッチのオフ時にも動作可能であるとともに、動作開始時刻入力用の動作時刻設定部を備えており、上記制御手段は上記動作時刻設定部で設定された動作開始時刻に上記静電霧化動作を開始し且つ所定時間経過後に静電霧化動作を終了させるものであるとともに、車両用電源の残容量を検出する検出手段で検出された残容量が閾値以下になれば上記所定時間の経過を待たずに静電霧化動作を終了させるものであることを特徴とする車両用静電霧化装置。
【請求項２】
制御部は検出された残容量と静電霧化装置の消費電力とから静電霧化動作可能時間を算出してこれを表示する表示部を備えていることを特徴とする請求項１記載の車両用静電霧化装置。
【請求項３】
制御部は検出された残容量と静電霧化装置の消費電力とから次の静電霧化動作に必要な残容量があるかどうかを判断し、ない場合にこれを警告する警告部を備えていることを特徴とする請求項１または２記載の車両用静電霧化装置。
【請求項４】
車両のエンジン動作中は動作時刻設定部の設定に関係なく静電霧化動作を行うものであることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の車両用静電霧化装置。
【請求項５】
車両の空調動作に連動して静電霧化動作を行うものであることを特徴とする請求項４記載の車両用静電霧化装置。
【請求項６】
臭いセンサーやアレルゲンセンサーの出力に応じて静電霧化動作を行うものであることを特徴とする請求項４記載の車両用静電霧化装置。
【請求項７】
車両のエンジン動作中は常時静電霧化動作を行うものであることを特徴とする請求項４記載の車両用静電霧化装置。
【請求項８】
放電電極に対向するとともに放電電極との間に高電圧が印加される対向電極を備えていることを特徴とする請求項１記載の車両用静電霧化装置。
【請求項１】
高電圧が印加される放電電極と、上記放電電極に水分を供給する水分供給手段と、放電電極への高電圧印加による上記水分の静電霧化で生成されたミストを車室内に放出する放出口と、上記高電圧印加による静電霧化動作を制御する制御手段とを備えた車両用静電霧化装置であり、車両用電源にイグニッションキースイッチを介することなく接続されてイグニッションキースイッチのオフ時にも動作可能であるとともに、動作開始時刻入力用の動作時刻設定部を備えており、上記制御手段は上記動作時刻設定部で設定された動作開始時刻に上記静電霧化動作を開始し且つ所定時間経過後に静電霧化動作を終了させるものであるとともに、車両用電源の残容量を検出する検出手段で検出された残容量が閾値以下になれば上記所定時間の経過を待たずに静電霧化動作を終了させるものであることを特徴とする車両用静電霧化装置。
【請求項２】
制御部は検出された残容量と静電霧化装置の消費電力とから静電霧化動作可能時間を算出してこれを表示する表示部を備えていることを特徴とする請求項１記載の車両用静電霧化装置。
【請求項３】
制御部は検出された残容量と静電霧化装置の消費電力とから次の静電霧化動作に必要な残容量があるかどうかを判断し、ない場合にこれを警告する警告部を備えていることを特徴とする請求項１または２記載の車両用静電霧化装置。
【請求項４】
車両のエンジン動作中は動作時刻設定部の設定に関係なく静電霧化動作を行うものであることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の車両用静電霧化装置。
【請求項５】
車両の空調動作に連動して静電霧化動作を行うものであることを特徴とする請求項４記載の車両用静電霧化装置。
【請求項６】
臭いセンサーやアレルゲンセンサーの出力に応じて静電霧化動作を行うものであることを特徴とする請求項４記載の車両用静電霧化装置。
【請求項７】
車両のエンジン動作中は常時静電霧化動作を行うものであることを特徴とする請求項４記載の車両用静電霧化装置。
【請求項８】
放電電極に対向するとともに放電電極との間に高電圧が印加される対向電極を備えていることを特徴とする請求項１記載の車両用静電霧化装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１０−１１６１６１（Ｐ２０１０−１１６１６１Ａ）
【公開日】平成２２年５月２７日（２０１０．５．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−３６０３８（Ｐ２０１０−３６０３８）
【出願日】平成２２年２月２２日（２０１０．２．２２）
【分割の表示】特願２００６−２９１７８５（Ｐ２００６−２９１７８５）の分割
【原出願日】平成１８年１０月２６日（２００６．１０．２６）
【出願人】（０００００５８３２）パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年５月２７日（２０１０．５．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年２月２２日（２０１０．２．２２）
【分割の表示】特願２００６−２９１７８５（Ｐ２００６−２９１７８５）の分割
【原出願日】平成１８年１０月２６日（２００６．１０．２６）
【出願人】（０００００５８３２）パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
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