説明

車両用飲料容器ホルダ

【課題】飲料容器に蓋をする際の密閉性を高めることで、車両の走行中の振動等により飲料容器内の飲料をこぼさないようにする。
【解決手段】飲料容器ホルダ10は、飲料容器7を載置する容器載置部11と、飲料容器7に蓋をする蓋ユニット20と、これら容器載置部11及び蓋ユニット20を互いに独立して付勢する第1の付勢手段12及び第2の付勢手段23と、を備え、蓋ユニット20は、第2の付勢手段23の付勢力を利用して、乗員の押下操作で蓋ユニット20を最も高い位置に位置付ける第1の高さ位置、及び第1の高さ位置よりも下方に位置付ける第2の高さ位置の間で昇降可能となるよう構成され、第2の高さ位置で蓋ユニット20を維持するロック機構30を有し、容器載置部11は、第1の付勢手段12の付勢力を利用して、少なくとも蓋板22がロック機構30により第2の高さ位置に位置する際、蓋板22に向かって付勢されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内で飲料容器を保持することが可能な車両用飲料容器ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用飲料容器ホルダは、車室内で飲料容器を保持するために、センターコンソール、インストルメントパネル及びアームレスト等に断面視凹状の凹部を設け、この凹部内に飲料容器を載置して保持するものが一般的に知られている。
【0003】
このような場合、車両用飲料容器ホルダは、上述したように、単に、凹部に飲料容器を載置しているだけであるため、車両の走行中の振動等により飲料容器内の飲料を外部に放出、すなわち、飲料がこぼれてしまう可能性がある。
【0004】
近年、車両用飲料容器ホルダは、飲料がこぼれないように、凹部に載置した飲料容器の開口部を塞ぐための蓋を設けたものが知られている。しかしながら、飲料容器には、様々な高さのものがある。
【0005】
このため、例えば、飲料容器自体の寸法を大きくすることで、飲料容器内の飲料をこぼさないようにすることが可能になるが、上述したような車両用飲料容器ホルダは、単に、蓋を設けただけであるため、全ての飲料容器に蓋をすることができない可能性がある。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1には、全ての飲料容器に蓋をすることが可能となるように、スプリングの付勢力により蓋を飲料容器の高さに合わせて、位置決めすることが可能な車両用カップホルダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−228181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1では、蓋を飲料容器の高さに合わせて、位置決めすることが可能であるが、蓋の高さ位置を手動で合わせる必要がある。このため、上記特許文献1では、飲料容器の開口部の密閉性を向上させる点については改良の余地がある。
【0009】
また、上記特許文献1では、手動で蓋の高さ位置を合わせているため、蓋の位置決めを手動で行っている。このため、上記特許文献1では、走行中に乗員が蓋に視線を向けるため、安全性について改良の余地がある。
【0010】
また、上記特許文献1では、例えば、飲料容器の高さが高い場合、飲料容器がセンターコンソール、インストルメントパネル及びアームレスト等の面上から上方に突出しているため、乗員の手にぶつかってしまい、運転操作を妨げてしまうという技術的課題がある。
【0011】
本発明の目的は、上記従来の実状に鑑みて、飲料容器に蓋をする際の密閉性を高めることで、車両の走行中の振動等により飲料容器内の飲料をこぼさないようにすることが可能な車両用飲料容器ホルダを提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、上記従来の実状に鑑みて、飲料容器に蓋をする際、飲料容器の高さに合わせて自動で位置決めすることで、乗員の利便性を向上させることが可能になり、走行中の安全性を高めることが可能な車両用飲料容器ホルダを提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、上記従来の実状に鑑みて、飲料容器の寸法が長い場合であっても、乗員の手にぶつからないように保持することで、乗員の運転操作を妨げないようにすることが可能な車両用飲料容器ホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を解決するために、本発明に係る車両用飲料容器ホルダは、車室内で飲料容器を保持するものであって、上記飲料容器を載置する容器載置部と、上記飲料容器に蓋をする蓋ユニットと、上記容器載置部及び上記蓋ユニットの下方に配置され、上記容器載置部及び上記蓋ユニットを上方に付勢する付勢手段と、を備え、上記蓋ユニットは、上記付勢手段の付勢力を利用して上記蓋ユニットを最も高い位置に位置付ける第1の高さ位置、及び乗員の押下操作により上記付勢手段の付勢力に対抗して上記第1の高さ位置よりも下方に位置付ける第2の高さ位置の間で昇降可能となるよう構成され、上記第2の高さ位置で上記蓋ユニットを維持する第1のロック機構を有し、上記容器載置部は、上記付勢手段の付勢力を利用して、上記蓋ユニットが上記第1のロック機構により上記第2の高さ位置に位置する際、上記第1の高さ位置に向かって付勢されている。
【0015】
また、本発明に係る車両用飲料容器ホルダの上記蓋ユニットは、上記飲料容器に蓋をする蓋板と、上記飲料容器の開口部を上記蓋板により開閉可能となるよう当該蓋板を回動可能に支持するユニット本体部と、上記飲料容器の開口部に蓋をした状態で上記蓋板をロックする第2のロック機構と、を備えて構成されている。
【0016】
また、本発明に係る車両用飲料容器ホルダは、上記付勢手段の付勢力を利用して上昇する上記容器載置部の最も高い位置を、上記第2の高さ位置に位置する上記蓋ユニットの最も高い位置よりも下方に位置するように構成されている。
【0017】
また、本発明に係る車両用飲料容器ホルダは、上記付勢手段に当該付勢手段の付勢力を調整可能なダンパを備えて構成されている。
【0018】
また、本発明に係る車両用飲料容器ホルダの上記容器載置部は、上記蓋ユニットが上記第2の高さ位置に位置した後に、上記付勢手段の付勢力により付勢されるように構成されている。
【0019】
また、本発明に係る車両用飲料容器ホルダの上記蓋ユニットの蓋板は、着脱可能に取り付けられている。
【0020】
また、本発明に係る車両用飲料容器ホルダの上記付勢手段は、上記容器載置部及び上記蓋ユニットの夫々に配置され、上記容器載置部及び上記蓋ユニットを互いに独立して付勢する第1及び第2の付勢手段を有し、上記蓋ユニットは、上記第1及び第2の付勢手段のうち、上記第2の付勢手段の付勢力を利用して、上記蓋ユニットを最も高い位置に位置付ける第1の高さ位置、及び乗員の押下操作により上記付勢手段に対抗して上記第1の高さ位置よりも下方に位置付ける第2の高さ位置の間で昇降可能となるよう構成され、上記第2の高さ位置で上記蓋ユニットを維持する上記第1のロック機構を有し、
上記容器載置部は、上記第1及び第2の付勢手段のうち、上記第1の付勢手段の付勢力を利用して、上記蓋ユニットが上記ロック機構により上記第2の高さ位置に位置する際、上記第1の高さ位置に向かって付勢されている。
【0021】
また、本発明に係る車両用飲料容器ホルダは、上記蓋ユニットに当接する他部材の当接面及び上記他部材に当接する上記蓋ユニットの当接面の少なくとも何れか一つの当接面が、摩擦係数を高めた粗目状をなして形成され、上記蓋ユニットは、上記付勢手段の付勢力及び上記摩擦係数を利用して、上記蓋ユニットを最も高い位置に位置付ける第1の高さ位置、及び乗員の押下操作により上記付勢手段の付勢力に対抗して上記第1の高さ位置よりも下方に位置付ける第2の高さ位置の間で昇降可能となるよう構成され、上記第2の高さ位置で上記蓋ユニットを維持する上記第1のロック機構を有し、上記容器載置部は、上記付勢手段の付勢力を利用して、上記蓋ユニットが上記第1のロック機構により上記第2の高さ位置に位置する際、上記第1の高さ位置に向かって付勢されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、飲料容器に蓋をする際の密閉性を高めることで、車両の走行中の振動等により飲料容器内の飲料をこぼさないようにすることが可能な車両用飲料容器ホルダを提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、飲料容器に蓋をする際、飲料容器の高さに合わせて自動で位置決めすることで、乗員の利便性を向上させることが可能になり、走行中の安全性を高めることが可能な車両用飲料容器ホルダを提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、飲料容器の寸法が長い場合であっても、乗員の手にぶつからないように保持することで、乗員の運転操作を妨げないようにすることが可能な車両用飲料容器ホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態である飲料容器ホルダの構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダの第1の状態を示した断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である飲料容器ホルダの構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダの第2の状態を示した断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態である飲料容器ホルダの構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダの第3の状態を示した断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダの構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダの第1の状態を示した断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダの構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダの第2の状態を示した断面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダの構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダの第3の状態を示した断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダの構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダの第4の状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、本発明の一実施の形態である車両用飲料容器ホルダ(以下、単に、飲料容器ホルダ10という。)の構成について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態である飲料容器ホルダ10の構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダ10の第1の状態を示した断面図であり、図2は、本発明の一実施の形態である飲料容器ホルダ10の構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダ10の第2の状態を示した断面図であり、図3は、本発明の一実施の形態である飲料容器ホルダ10の構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダ10の第3の状態を示した断面図である。
【0028】
図1乃至図3に例示されるように、本実施の形態の飲料容器ホルダ10は、車室内で飲料容器7を保持するものであり、例えば、車両のセンターコンソール、インストルメントパネル及びアームレスト等の面状部(以下、総称して面パネル8という。)に断面視凹状の凹部9を形成し、この凹部9内に設けられている。
【0029】
この凹部9は、この凹部9を側方から断面視すると凹状をなして形成されている。また、凹部9は、この凹部9を上方から平面視すると円形をなして形成されている。すなわち、凹部9は、円形状の底部9aと、この底部9aの周縁に配置され、底部9aから起立した側部9bとを有して構成されている。
【0030】
そして、本実施の形態の飲料容器ホルダ10は、上述したように、凹部9内に配置され、飲料容器7を面パネル8の面上から上方に突出した位置と、凹部9内に埋設された位置との間で昇降可能となるよう保持して構成されている。
【0031】
具体的には、この飲料容器ホルダ10は、飲料容器7を載置する容器載置部11及び飲料容器7の開口部7aに蓋をする蓋ユニット20と、これら容器載置部11及び蓋ユニット20の夫々に配置され、容器載置部11及び蓋ユニット20を互いに独立して付勢する第1の付勢手段12及び第2の付勢手段23と、を備えて構成されている。
【0032】
容器載置部11は、上述したように、飲料容器7を載置する役目を果たしている。そして、容器載置部11は、この容器載置部11に飲料容器7を載置しながら、第1の付勢手段12により凹部9内を摺動するものである。
【0033】
このため、容器載置部11は、凹部9内で摺動し易いように、凹部9と同様に、この容器載置部11の上方から平面視すると円形をなして形成されることが好ましい。また、容器載置部11は、飲料容器7を載置して、保持する役目を果たしているため、側方から断面視すると凹状をなして形成されることが好ましい。すなわち、容器載置部11は、凹部9と同様に、円形状の底部11aと、この底部11aの周縁に配置され、底部11aから起立した側部11bとを有して構成されている。
【0034】
この容器載置部11の底部11aの下面側には、第1の付勢手段12が設けられている。この第1の付勢手段12は、一端側を容器載置部11の底部11aの下面に固定し、他端側を凹部9の底部9aに固定している。
【0035】
そして、この第1の付勢手段12は、例えば、バネ等により構成されている。すなわち、第1の付勢手段12は、上述したように、凹部9と容器載置部11との間に配置されているため、凹部9内で摺動可能な容器載置部11を上方に向かって付勢している。また、第1の付勢手段12は、容器載置部11に飲料容器7が載置された場合、容器載置部11とともに、容器載置部11に載置された飲料容器7を上方に付勢している。
【0036】
なお、本実施の形態において、第1の付勢手段12は、上述したように、バネにより構成されているが、容器載置部11を上方に付勢するものであれば、特に限定されず、例えば、モータ、電動ソレノイド等を用いても良い。
【0037】
本実施の形態において、飲料容器ホルダ10は、上述したように、飲料容器7を載置して保持する容器載置部11の他に、飲料容器7の開口部7aに蓋をする蓋ユニット20を備えて構成されている。
【0038】
この蓋ユニット20は、飲料容器7の開口部7aに蓋をする蓋板22と、飲料容器7の開口部7aを蓋板22により開閉可能となるよう蓋板22を回動可能に支持するユニット本体部21と、を備えて構成されている。
【0039】
ユニット本体部21は、円筒状をなして形成されている。すなわち、ユニット本体部21は、このユニット本体部21を上方から平面視すると、凹部9と同様に円形をなして形成されている。
【0040】
そして、ユニット本体部21の一端側には、このユニット本体部21の一端側の開口部を開閉可能な蓋板22が回動可能に取り付けられている。この蓋板22は、上述したように、ユニット本体部21の一端側の開口部を開閉可能となるように配設されている。すなわち、蓋板22は、ユニット本体部21の開口部とほぼ同じ形状である円形状をなして形成されている。
【0041】
そして、蓋板22は、ユニット本体部21に着脱可能となるように取り付けられている。このため、蓋板22をユニット本体部21から取り外して、洗浄したり、取り換えたりすることが可能になる。
【0042】
また、蓋板22には、この蓋板22でユニット本体部21の開口部に蓋をした際、ロックする図示しないロック機構(第2のロック機構)が設けられている。このロック機構は、例えば、ワンプッシュロック機構の一例であるラチェットカム方式を用いて構成されている。
【0043】
一方、ユニット本体部21の他端側には、第2の付勢手段23が設けられている。この第2の付勢手段23は、一端側をユニット本体部21に固定し、他端側を凹部9の底部9aに固定している。
【0044】
そして、この第2の付勢手段23は、第1の付勢手段12と同様に、例えば、バネ等により構成されている。すなわち、第2の付勢手段23は、上述したように、凹部9とユニット本体部21との間に配置されているため、ユニット本体部21を上方に向かって付勢している。
【0045】
なお、本実施の形態において、第2の付勢手段23は、上述したように、バネにより構成されているが、ユニット本体部21を上方に付勢するものであれば、特に限定されず、例えば、モータ、電動ソレノイド等を用いても良い。
【0046】
このように、蓋ユニット20は、第2の付勢手段23の付勢力を利用してユニット本体部21を最も高い位置に位置付ける第1の高さ位置と、蓋板22への乗員の押下操作に起因して第1の高さ位置よりも下方に位置付ける第2の高さ位置との間を昇降可能となるように構成されている。
【0047】
なお、本実施の形態において、容器載置部11及び蓋ユニット20には、上述したように、互いに独立して付勢する第1の付勢手段12及び第2の付勢手段23が設けられているが、第1の付勢手段12のみで容器載置部11及び蓋ユニット20を付勢しても良い。
【0048】
この場合、容器載置部11の外周面又は蓋ユニット20の内周面21b、すなわち容器載置部11と蓋ユニット20とが当接する当接面の何れか一方を粗目状に形成することで摩擦係数を高め、第1の付勢手段12により付勢された蓋ユニット20が第1の高さ位置から下降しないようにしている。
【0049】
また、凹部9の側面9b又は蓋ユニット20の外周面、すなわち、凹部9と蓋ユニット20とが当接する当接面の何れか一方を粗目状に形成することで摩擦係数を高め、第1の付勢手段12により付勢された蓋ユニット20が第1の高さ位置から下降しないようにしても良い。
【0050】
また、本実施の形態の飲料容器ホルダ10は、蓋ユニット20を第2の高さ位置で維持する第1のロック機構30を備えて構成されている。この第1のロック機構30は、ワンプッシュロック機構の一例である、いわゆるハート状カム方式を用いて構成されている。
【0051】
なお、本実施の形態において、第1のロック機構30は、上述したように、ワンプッシュロック機構の一例である、ハート状カム方式を用いているが、ワンプッシュロック機構であれば、特に限定されず、他例として、回転カム方式、ラチェットカム方式等を用いても良い。
【0052】
また、第1のロック機構30を構成するワンプッシュロック機構は、上述したように、ハート式カム方式、回転カム方式、ラチェットカム方式等により構成されるものであるが、これらハート式カム方式、回転カム方式、ラチェットカム方式は、周知の技術であるので、具体的な説明を省略する。
【0053】
このように、本実施の形態の飲料容器ホルダ10は、蓋板22をワンプッシュするだけで、第2の付勢手段23の付勢力を利用して蓋ユニット20を昇降させている。
【0054】
そして、飲料容器ホルダ10は、飲料容器7の収容時には、飲料容器7を凹部9内に収容して保持している。これにより、飲料容器ホルダ10は、飲料容器7の収容時には、飲料容器7を面パネル8から突出させていない。
【0055】
したがって、飲料容器ホルダ10は、飲料容器7を面パネル8から突出させていないため、収容時には乗員の手がぶつからないように保持している。よって、飲料容器ホルダ10は、乗員の手にぶつからないように保持しているため、運転操作の妨げにならないように保持することができる。
【0056】
一方、飲料容器ホルダ10は、飲料容器7を取り出す際には、面パネル8上よりも飲料容器7を突出させている。これにより、飲料容器ホルダ10は、上述したように、運転操作の妨げにならないように収容することができるとともに、取り出し時の取り易さを維持して収容することができる。
【0057】
以上のように、本実施の形態の飲料容器ホルダ10によれば、蓋板22をワンプッシュするだけで、運転操作の妨げにならずに保持することが可能になるとともに、取り出し易さを維持して保持しているため、利便性を向上させることができる。
【0058】
ここで、飲料容器ホルダ10の容器載置部11は、第1の付勢手段12の付勢力を利用して蓋板22に向かって付勢されている。すなわち、飲料容器ホルダ10は、飲料容器7の収容時に、容器載置部11及び蓋板22により飲料容器7を挟持している。
【0059】
このように、飲料容器ホルダ10は、飲料容器7の収容時に、飲料容器7を容器載置部11及び蓋板22により挟持することで、飲料容器7の開口部7aの密封性を高めて収容することが可能になる。
【0060】
また、飲料容器ホルダ10は、飲料容器7の収容時に、飲料容器7容器載置部11及び蓋板22により挟持することで、容器載置部11に載置された飲料容器7を載置した場所で保持することが可能になる。
【0061】
これにより、本実施の形態の飲料容器ホルダ10は、飲料容器7の開口部7aの密封性を高めているとともに、容器載置部11に載置された場所で飲料容器7を保持しているため、走行中の振動等による飲料容器7内の飲料の外部への放出、すなわち、飲料のこぼれを抑止することができる。
【0062】
また、本実施の形態の飲料容器ホルダ10によれば、飲料容器に蓋をする際、第1の付勢手段12に付勢力により飲料容器7の高さに合わせて自動で位置決めすることで、乗員の利便性を向上させることが可能になり、走行中の安全性を高めることができる。
【0063】
次に、本実施の形態の飲料容器ホルダ10の動作について、図1乃至図3を用いて説明する。なお、飲料容器ホルダ10の動作について、容器載置部11に飲料容器7を収容し、容器載置部11に収容した飲料容器7を取り出す順で説明するが、例えば、容器載置部11に収容した飲料容器7を取り出し、容器載置部11に取り出した飲料容器7を収容する場合も同様である。
【0064】
まず、図1に例示されるように、容器載置部11に飲料容器7を設置する。そして、図2に例示されるように、ユニット本体部21に蓋板22で蓋をする。
【0065】
図3に例示されるように、乗員が蓋板22を押すことで、蓋ユニット20が下方に移動する。このとき、蓋板22の下面が飲料容器7の開口部7aに当接しながら蓋ユニット20とともに容器載置部11も下方に移動する。
【0066】
これら蓋板22、飲料容器7及び容器載置部11が面パネル8よりも下方に位置する状態、すなわち、凹部9内に埋設された状態で第1のロック機構30によりロックされる。また、第1のロック機構30によりロックされた状態で、乗員が蓋板22を押すことで、第1の付勢手段12及び第2の付勢手段23の付勢力が開放され、容器載置部11及び蓋ユニット20が上方に付勢される。
【0067】
これにより、本実施の形態の飲料容器ホルダ10は、飲料容器を取り出す際は、飲料容器を面から突出させることが可能になり、飲料容器を収容している際は、面から突出させずに収容している。
【0068】
このように、飲料容器ホルダ10は、飲料容器を収容する際、面パネル8の面上から上方に突出させていないため、運転操作の際、乗員の手があたらないように収容することが可能になる。これにより、飲料容器ホルダ10は、運転操作を妨げない位置に飲料容器を収容することができ、走行中の安全性の向上を促進している。
【0069】
ここで、飲料容器ホルダ10は、容器載置部11に第1の付勢手段12による上方への付勢力が作用している。このため、飲料容器ホルダ10は、上述したように、蓋ユニット20を下方に移動させる際、飲料容器7の開口部7aを蓋板22に密接させながら移動させることが可能になる。
【0070】
そして、飲料容器ホルダ10は、蓋ユニット20が第2の高さ位置に位置する際、第1の付勢手段12により容器載置部11を蓋板22に向かって付勢しているため、容器載置部11と蓋板22とで飲料容器7を挟持することが可能になる。
【0071】
このように、本実施の形態の飲料容器ホルダ10は、飲料容器7の開口部7aを密閉して収容しているため、走行中の振動等による飲料容器7内の飲料の外部への放出、すなわち、飲料のこぼれを抑止することができる。
【0072】
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダ40について、図4乃至7を用いて説明する。図4は、本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダ40の構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダ40の第1の状態を示した断面図であり、図5は、本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダ40の構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダ40の第2の状態を示した断面図である。
【0073】
また、図6は、本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダ40の構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダ40の第3の状態を示した断面図であり、図7は、本発明の他の実施の形態である飲料容器ホルダ40の構成を側方から模式的に示し、この飲料容器ホルダ40の第4の状態を示した断面図である。
【0074】
なお、本実施の形態の飲料容器ホルダ40は、上述の実施の形態1に対し、凹部9内に蓋ユニット20を収容させた後に、容器載置部11を蓋板22に向かって付勢させるという動作の点で異なり、構成については、ダンパ41を設けた点で異なり、他の構成は同様である。したがって、実施の形態1と同一又は相当する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図4乃至図7に例示されるように、本実施の形態の飲料容器ホルダ40は、容器載置部11の底部11aの下面側に第1の付勢手段12及びダンパ41を備えて構成されている。そして、容器載置部11の下方には、蓋ユニット20が配設されている。すなわち、第1の付勢手段12及びダンパ41は、容器載置部11と蓋ユニット20との間に配置され、容器載置部11を上方に付勢する役目を果たしている。
【0076】
次に、本実施の形態の飲料容器ホルダ40の動作について、図4乃至図7を用いて説明する。なお、飲料容器ホルダ40の動作について、飲料容器7を容器載置部11に収容し、容器載置部11に収容した飲料容器7を取り出す順で説明するが、例えば、容器載置部11に収容した飲料容器7を取り出し、取り出した飲料容器7を容器載置部11に収容する場合も同様である。
【0077】
まず、図4に例示されるように、容器載置部11に飲料容器7を設置する。このとき、容器載置部11は、第1のロック機構30により第1の付勢手段12による付勢力が規制されているため、蓋ユニット20の下方側に位置している。すなわち、容器載置部11に載置された飲料容器7は、蓋ユニット20内に収容されている。
【0078】
図5に例示されるように、ユニット本体部21に蓋板22で蓋をする。このとき、容器載置部11は、第1のロック機構30により第1の付勢手段12による付勢力が規制されているため、蓋ユニット20の下方側に位置している。すなわち、容器載置部11に載置された飲料容器7は、蓋ユニット20内に収容されている。
【0079】
図6に例示されるように、乗員が蓋板22を押すと、蓋ユニット20が下方に移動する。ここで、飲料容器7及び容器載置部11は、上述したように、第1のロック機構30により第1の付勢手段12の付勢力が規制され、蓋ユニット20内に収容されているため、蓋ユニット20とともに下方に移動する。
【0080】
そして、蓋ユニット20の蓋板22が面パネル8と同じ高さに位置する状態、すなわち、飲料容器7、容器載置部11及び蓋ユニット20が凹部9内に埋設された状態で第1のロック機構30によりロックされる。
【0081】
これにより、本実施の形態の飲料容器ホルダ40は、飲料容器7を取り出す際は、飲料容器を面パネル8の面上から突出させることが可能になり、飲料容器7を収容している際は、面パネル8の面上から突出させずに収容している。
【0082】
このように、飲料容器ホルダ40は、飲料容器7を収容する際、面パネル8の面上から上方に突出させていないため、運転操作の際、乗員の手があたらないように収容することが可能になる。これにより、飲料容器ホルダ40は、運転操作を妨げない位置に飲料容器7を収容して保持することができ、走行中の安全性の向上を促進している。
【0083】
図7に例示されるように、第1のロック機構30により第1の付勢手段12の付勢力が開放され、容器載置部11が上方に付勢される。このとき、容器載置部11には、ダンパ41が設けられているため、第1の付勢手段12の付勢力を調整している。
【0084】
このように、第1の付勢手段12の付勢力が開放されることで、容器載置部11が上方に付勢され、この容器載置部11に載置された飲料容器7の開口部7aを蓋板22に密接させることが可能になる。
【0085】
また、本実施の形態の飲料容器ホルダ40は、容器載置部11と蓋板22とにより飲料容器7を挟持しているため、容器載置部11に載置された飲料容器7を、その場所でずれないように載置することが可能になる。
【0086】
このように、本実施の形態の飲料容器ホルダ40は、飲料容器7の開口部7aを密閉するとともに、容器載置部11に載置された飲料容器7を、その場所でずれないようにしているため、走行中の振動等による飲料容器7内の飲料の外部への放出、すなわち、飲料のこぼれを抑止することができる。
【0087】
以上のように、本実施の形態の飲料容器ホルダ40は、上述の実施の形態1のように、飲料容器7を蓋ユニット20により押圧しながら第2の高さ位置に移動させているものに対し、蓋ユニット20が第2の高さ位置に移動した後に、容器載置部11が蓋板22に向かって付勢されているため、例えば、飲料容器7が紙等で構成されている場合に、飲料容器7の折れ曲がりを抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0088】
7 飲料容器
8 面パネル
9 凹部
10 飲料容器ホルダ
11 容器載置部
12 第1の付勢手段
20 蓋ユニット
21 ユニット本体部
22 蓋板
23 第2の付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内で飲料容器を保持する車両用飲料容器ホルダであって、
前記飲料容器を載置する容器載置部と、
前記飲料容器に蓋をする蓋ユニットと、
前記容器載置部及び前記蓋ユニットの下方に配置され、前記容器載置部及び前記蓋ユニットを上方に付勢する付勢手段と、を備え、
前記蓋ユニットは、前記付勢手段の付勢力を利用して前記蓋ユニットを最も高い位置に位置付ける第1の高さ位置、及び乗員の押下操作により前記付勢手段の付勢力に対抗して前記第1の高さ位置よりも下方に位置付ける第2の高さ位置の間で昇降可能となるよう構成され、前記第2の高さ位置で前記蓋ユニットを維持する第1のロック機構を有し、
前記容器載置部は、前記付勢手段の付勢力を利用して、前記蓋ユニットが前記第1のロック機構により前記第2の高さ位置に位置する際、前記第1の高さ位置に向かって付勢されること、
を特徴とする車両用飲料容器ホルダ。
【請求項2】
前記蓋ユニットは、前記飲料容器に蓋をする蓋板と、
前記飲料容器の開口部を前記蓋板により開閉可能となるよう当該蓋板を回動可能に支持するユニット本体部と、
前記飲料容器の開口部に蓋をした状態で前記蓋板をロックする第2のロック機構と、を備えたこと、
を特徴とする請求項1記載の車両用飲料容器ホルダ。
【請求項3】
前記付勢手段の付勢力を利用して上昇する前記容器載置部の最も高い位置は、前記第2の高さ位置に位置する前記蓋ユニットの最も高い位置よりも下方に位置すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の車両用飲料容器ホルダ。
【請求項4】
前記付勢手段は、当該付勢手段の付勢力を調整可能なダンパを具備すること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両用飲料容器ホルダ。
【請求項5】
前記容器載置部は、前記蓋ユニットが前記第2の高さ位置に位置した後に、前記付勢手段の付勢力により付勢されること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両用飲料容器ホルダ。
【請求項6】
前記蓋ユニットの蓋板は、着脱可能であること、
を特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の車両用飲料容器ホルダ。
【請求項7】
前記付勢手段は、前記容器載置部及び前記蓋ユニットの夫々に配置され、前記容器載置部及び前記蓋ユニットを互いに独立して付勢する第1及び第2の付勢手段を有し、
前記蓋ユニットは、前記第1及び第2の付勢手段のうち、前記第2の付勢手段の付勢力を利用して、前記蓋ユニットを最も高い位置に位置付ける第1の高さ位置、及び乗員の押下操作により前記付勢手段に対抗して前記第1の高さ位置よりも下方に位置付ける第2の高さ位置の間で昇降可能となるよう構成され、前記第2の高さ位置で前記蓋ユニットを維持する前記第1のロック機構を有し、
前記容器載置部は、前記第1及び第2の付勢手段のうち、前記第1の付勢手段の付勢力を利用して、前記蓋ユニットが前記ロック機構により前記第2の高さ位置に位置する際、前記第1の高さ位置に向かって付勢されること、
を特徴とする請求項1記載の車両用飲料容器ホルダ。
【請求項8】
前記蓋ユニットに当接する他部材の当接面及び前記他部材に当接する前記蓋ユニットの当接面の少なくとも何れか一つの当接面は、摩擦係数を高めた粗目状をなして形成され、
前記蓋ユニットは、前記付勢手段の付勢力及び前記摩擦係数を利用して、前記蓋ユニットを最も高い位置に位置付ける第1の高さ位置、及び乗員の押下操作により前記付勢手段の付勢力に対抗して前記第1の高さ位置よりも下方に位置付ける第2の高さ位置の間で昇降可能となるよう構成され、前記第2の高さ位置で前記蓋ユニットを維持する前記第1のロック機構を有し、
前記容器載置部は、前記付勢手段の付勢力を利用して、前記蓋ユニットが前記第1のロック機構により前記第2の高さ位置に位置する際、前記第1の高さ位置に向かって付勢されること、
を特徴とする請求項1記載の車両用飲料容器ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−201257(P2012−201257A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68548(P2011−68548)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】