説明

車内販売サービスシステム

【課題】自律移動の運搬ロボットを用いて、販売員が居なくても容易に商品注文を行うことができ、その場での決済も容易に行える車内販売サービスシステムを提供する。
【解決手段】車内販売サービスシステムは、座席ごとに設置され、操作入力部22と通信部26と中央処理部24とメモリ25を備え、購入商品の指定操作があった時に注文情報を送信する商品注文端末12と、客車に設置され、商品保存容器32と商品受渡装置34と通信部36と中央処理部37とメモリ38を備え、注文情報を受信すると、商品保存容器から注文商品を用意する商品格納庫31と、自律移動可能に配置され、移動機構42と商品受取配送機構43と通信部44と中央処理部47と決済装置45を備え、注文情報を受信し、注文商品を受取り、その後、商品注文端末の所までの移動して注文商品を顧客に渡し、決済装置で決済を行う運搬ロボット41と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車内販売サービスシステムに関し、特に、列車内に車内売り子として機能する
運搬ロボットを配備した車内販売サービスシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として特許文献1〜4に記載されるロボット等を挙げる。
特許文献1は移動体搭載用のロボットを開示している。このロボットは、旅客列車等に
搭載され、自律性を有し、自己が置かれている状況に対応し、自己で判断する機能を有し
ている。当該ロボットは乗員から受ける諸条件を認識する認識手段を有し、乗員に関して
必要は行動を取る自発行動モードを含む自律制御が実行される。乗員の命令には物品運搬
が含まれる。
特許文献2は列車内の販売商品の提供システムを開示している。列車での車内販売を行
う販売員は販売車で商品を用意する。販売車で販売商品が不足したり、販売されていない
商品の注文がある場合には対応できない。そこで特許文献2の提供システムでは、列車に
データ処理および通信処理を行うサーバを設け、列車の外部には商品提供部を設ける。商
品部の商品管理センタは、列車のサーバと通信を行い、必要な商品の最寄りの停車駅への
搬入の手配を行い、その旨をサーバに知らせるようにしている。
特許文献3は情報管理システムを開示している。この情報管理システムによれば、列車
の座席ごとに利用客に対応して利用客用端末装置を設けている。利用客は、端末装置を利
用して商品の注文等を行うことができる。列車内の接客員は、利用客用端末装置からの利
用客の要求をレセプション端末装置で容易に把握して接客する。これにより、利用客にき
めの細かな接待と情報提供を行える。
特許文献4は列車内販売サービスシステムを開示している。列車内において、乗客が巡
回販売員から商品を購入する場合において、乗客は自身が所有する携帯無線端末で注文デ
ータを送信すると、外部のホスト装置が注文データをさらに車内売店に送信し、車内販売
の端末装置で受信する。巡回販売員は、受信した注文データに基づき、注文した乗客に注
文商品を届ける。乗客は、自分の席から商品を注文し、かつ自分の席まで届けてもらうこ
とができ、座ったままで商品を入手することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−297892号公報
【特許文献2】特開2004−64493号公報
【特許文献3】特開平5−143626号公報
【特許文献4】特開2002−215914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では次のような問題がある。
特許文献1のロボットは、移動体等に搭載されかつ自律性を有し、乗員の命令に応じて
物品を運搬するが、販売員ロボットとして旅客が注文する商品を旅客の座席まで運ぶとい
う機能については記載されていない。
特許文献2による列車内の販売商品の提供システムを開示している。列車の販売車で販
売商品が不足したり、販売されていない商品の注文がある場合に対応ができるにように、
列車にサーバを設け、かつ列車の外部には商品提供部を設け、両者の通信を介して必要な
商品の最寄りの停車駅への搬入の手配を行うもので、販売員は人間であってロボットが旅
客の座席が運ぶという構成は記載されていない。
特許文献3の情報管理システムは、利用客用端末装置を利用して商品の注文等を行うこ
とができ、きめの細かな接待と情報提供を行えるが、販売員(接客員)は人間であり、自
律性を有するロボットではない。
特許文献4の列車内販売サービスシステムは、乗客は自分の携帯無線端末で商品を注文
をできるが、座席商品を届ける巡回販売員であり、自律性を有するロボットではない。
【0005】
現在、鉄道等の移動者内における商品の販売サービスでは、販売員または乗務員等の人
により提供されている。このようなシステムでは、旅客が商品注文の必要が生じた際に近
くに販売員がいないことが多い。このようなときには旅客は所望の商品を入手できないと
いう問題が提起される。他方、商品販売の事業者側としては、商品を要望する旅客に対し
てきめ細かい販売サービスを提供できず、商品販売の機会を損失することになる。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、鉄道交通機関の列車等において車内売り子として
機能する自律移動の運搬ロボットを配置し、商品販売員が居なくても容易に商品注文を行
うことができ、当該運搬ロボットが迅速に注文商品を搬送し、かつその場で決済も容易に
行うことができ、さらに販売員の負担を増加させることなく、きめ細かいサービスを行え
る車内販売サービスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車内販売サービスシステムは、上記の目的を達成するため、次のように構
成される。
【0008】
第1の車内販売サービスシステム(請求項1に対応)は、
座席ごとに設置され、商品注文入力部と第1通信部と第1処理手段と座席特定情報を記
憶した第1メモリとを備え、商品注文入力部で購入商品の指定操作があった時には第1処
理手段は第1通信部を介して外部の関連機器に注文情報を送信する商品注文端末と、
客車に設置され、商品保存容器と商品受渡装置と第2通信部と第2処理手段と第2メモ
リを備え、上記の第1通信部からの注文情報を第2通信部で受信し、第2処理手段が商品
受渡装置を駆動して商品保存容器から注文商品を用意する商品格納庫と、
自律移動可能に配置され、移動機構と商品受取配送機構と第3通信部と第3処理手段と
決済手段とを備え、第1通信部からの注文情報を第3通信部で受信し、第3処理手段は、
商品受取配送機構によって注文商品を受取り、その後、移動機構を駆動して商品注文端末
の所までの移動すると共に商品受取配送機構により注文商品を運んで顧客に渡し、決済手
段で決済を行う運搬ロボットと、
を備えるように構成される。
【0009】
上記の車内販売サービスシステムでは、列車の任意の客車を利用して移動する旅客が、
自分が座っている座席に備え付けられた商品注文端末で自分の欲しい商品を選択して注文
を出すと、運搬ロボットが迅速に注文詳報を座席まで配送してくれる。決済は旅客の所持
するICカード(お財布機能を有するICカードまたこれに類似した他のカード等)で行
うことができ、支払いを座席で行うことができる。この車内販売サービスシステムでは、
列車の客車内に人間による販売員がいなくても、旅客の要望があったときに迅速に対応す
ることができる。
【0010】
第2の車内販売サービスシステム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好まし
くは、商品注文端末はICカードリーダライタを備え、商品注文時に顧客の所持するIC
カードのIDを読み取り第1メモリに保存することを特徴とする。
【0011】
第3の車内販売サービスシステム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好まし
くは、注文情報は、商品情報と、商品注文端末に対応する座席の座席特定情報と、顧客の
ICカードのID情報を含むことを特徴とする。
【0012】
第4の車内販売サービスシステム(請求項4に対応)は、上記の構成において、好まし
くは、商品格納庫から運搬ロボットに注文商品を受け渡すとき、運搬ロボットの認証を行
うことを特徴とする。
【0013】
第5の車内販売サービスシステム(請求項5に対応)は、上記の構成において、好まし
くは、運搬ロボットから顧客に注文商品を渡すとき、注文情報に含まれるICカードのI
D情報に基づき本人確認を行い、かつ決済手段による記決済ではICカードを用いて当該
決済を行うことを特徴とする。
【0014】
第6の車内販売サービスシステム(請求項6に対応)は、上記の構成において、好まし
くは、商品格納庫で、第2処理手段は、さらに商品保存容器に保存される商品の在庫状態
を監視する在庫商品監視手段を備え、在庫商品監視手段で得られた在庫商品の情報は第2
通信部を経由して商品注文端末に送信され、商品注文端末で、商品注文入力部は表示部を
備え、表示部には在庫商品の情報に基づいて販売商品が表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る車内販売システムによれば、各客車内において、座席ごとの商品注文端末
、商品格納庫、商品格納庫から注文商品を受け取り座席に居る旅客まで当該注文商品を配
送する保存商品販売員の機能を有した自律制御型の運搬ロボットを配備するようにしたた
め、旅客は自分の座席に座ったままで所望の商品を迅速かつ正確に入手することができ、
人間の販売員の負担を増すことなくきめの細かい販売サービスを提供することができる、
という効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る車内販売サービスシステムの全体的構成を示す概念図である。
【図2】各座席に装備される商品注文端末の構成を示すブロック図である。
【図3】客車に設置される商品格納庫の構成を示すブロック図である。
【図4】運搬ロボットの構成を示すブロック図である。
【図5】商品注文端末と商品格納庫と運搬ロボットの間の相互の情報(指令)の送受の関係および各々の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図5を参照して本発明に係る車内販売サービスシステムの代表的な構成に基づく
実施形態を説明する。
【0019】
図1において、11は列車10を構成する1両の客車を概念的に示している。客車11
の内部には、実際には、所定数の座席が中央通路を隔てて左右に設置されているが、図1
では説明の便宜上座席の図示は省略されている。座席は、左右のそれぞれにおいて、窓側
(A,D)と通路側(B,C)の2席である。各座席には座席を特定するための座席ID
が割り振られている。座席IDは、例えば、「客車番号」と、「列番号」と、「A〜Dの
いずれか」によって構成されている。1両の客車11のすべての座席の各々には、個別に
対応する商品注文端末12が装備されている。但し、図1では、説明の便宜上、1人の旅
客13が座る座席の商品注文端末12のみが示されている。
【0020】
図2に示すように、商品注文端末12は、外側に設けられた機能要素として、注文可能
な複数の商品を表示する表示部21と、表示部21に表示された複数の商品からいずれか
を選択する操作入力部22と、ICカードリーダライタ23とを備えている。また商品注
文端末12は、内部の要素として、中央処理部24とメモリ25と通信部26を備えてい
る。中央処理部24は、表示部21の画面に販売可能な商品を表示するように表示部21
の表示動作を制御すると共に、操作入力部22を介して行われる旅客13の商品注文の入
力を受け付け、当該商品注文情報をメモリ25に記憶しかつ通信部26を介して外部に送
信する制御を行う。またその際に、中央処理部24は、旅客13が所持するICカード2
7のタッチ操作を強要し、当該ICカード27のカードIDをICカードリーダライタ2
3を経由して取り込み、そのメモリ25に保存する。当該ICカード27のカードIDは
、商品注文者を特定する情報として、上記の商品注文情報と共に、同時に、通信部26を
介して外部へ送信される。また商品注文端末12は、そのメモリ25に、対応する座席を
特定するための座席ID28が記憶されている。当該座席ID28も、商品注文情報と共
に、通信部26を介して外部へ送信される。
【0021】
旅客13が所持する上記のICカード27は、好ましくはいわゆるお財布機能を有して
いるものとし、金銭に相当するポイントがチャージされているものとする。なお、ICカ
ード27の代わりに同等の機能を有する携帯電話等を用いることもできる。
【0022】
客車11には、上記の中央通路に通じた例えば前部箇所、後部箇所、または上部箇所等
の特定位置に商品格納庫31が固定された状態で設置されている。商品格納庫31は、客
車11内で販売される各種の商品が用意される。図3に示すように、商品格納庫31は、
構成上、販売商品が格納された商品保存容器32と、後述の運搬ロボット41と連結され
得る連結部33と、商品保存容器32から注文を受けた商品を選択して取り出し、当該商
品を連結部33に移動させ、運搬ロボット41に受け渡す商品受渡装置34とを備える。
さらに商品格納庫31は制御部35と通信部36を備えている。制御部35は、商品保存
容器32内の商品の在庫状態の監視および商品管理の機構の動作、連結部33の連結動作
、および商品受渡装置34の商品選択および商品搬送・受渡の動作を制御する。制御部3
5は、中央処理部37とメモリ38を有している。メモリ38には上記の各動作を制御す
るプログラムが記憶されている。図3では、一例として「商品の在庫状態の監視」に係る
プログラム38aが示されている。中央処理部37はメモリ38内の各プログラムを読み
出して実行し、必要な制御を行う。通信部36は、上記の商品注文端末12の通信部26
、および、後述する運搬ロボット41の通信部44の間で必要な情報の送受を行う。
【0023】
運搬ロボット41は、自律性の制御の下で客車11内の中央通路を自在に移動すること
が可能であり、かつ商品の注文が生じたときに商品格納庫31と注文が生じた座席との間
を移動する。運搬ロボット41は、通常、商品の注文がないときには商品格納庫31の連
結部33に連結された状態で待機している。運搬ロボット41は、自律制御で移動等の動
作を行い、図4に示すように、客車11内で中央通路を移動する移動機構42と、商品受
取配送機構43と、通信部44と、決済装置45を備えている。また運搬ロボット41は
、移動機構42の移動動作、商品受取配送機構43の動作、決済装置45等の動作および
データ処理を制御する制御部46を備える。制御部46は中央処理部47とメモリ48を
有している。メモリ48には、各動作の制御およびデータ処理を行うプログラムと、ロボ
ットID49が記憶されている。中央処理部47は、メモリ48内の各プログラムを読み
出して実行し、必要な制御とデータ処理を行う。メモリ48に記憶されるロボットID4
9は、商品格納庫31が運搬ロボット41に対して商品受渡を行うときにロボット認証す
るために使用される。また通信部44は商品注文端末12の通信部26、および商品格納
庫31の通信部36の間で必要な情報の送受を行う。
【0024】
上記の通り、本実施形態に係る車内販売サービスシステムは、各客車11に適用され、
座席毎に設けられた商品注文端末12と、商品格納庫31と、運搬ロボット41とから構
成される。運搬ロボット41が商品販売員として機能する。次に、図5に示したフローチ
ャートに基づいて、旅客13が商品注文端末12を利用して特定の商品を注文する行為を
行ったときの商品注文端末12と商品格納庫31と運搬ロボット41の各処理内容と、そ
れらの間の情報のやり取りと、商品販売に係る動作とについて説明する。
【0025】
先ず、商品注文端末12は、起動される前の段階で、商品格納庫31から、通信部36
および通信部26を経由して無線E1により、商品格納庫31の商品保存容器32に保存
された商品(販売可能な在庫商品)に係る情報を提供されている(ステップS100)。
このため、商品格納庫31では、ステップS200において、上記の「商品の在庫状態の
監視」に係るプログラム38aが実行され、商品保存容器32における販売可能な在庫商
品に係る情報を取得し、当該情報を商品注文端末12に対して無線E1で送信する。
【0026】
任意の座席に座った旅客13は、例えば缶コーヒーを飲みたくなったとき、当該座席に
備えられた商品注文端末12を起動し(ステップS101)、表示部21の画面に注文可
能な複数の商品を表示させる(ステップS102)。この時点の表示部21の表示では、
ステップS100にて提供された上記の在庫商品に係る情報に基づき販売可能な商品のみ
の表示が行われ、この中に缶コーヒーが含まれているものとする。旅客13は、表示部2
1で、表示された画面から、または画面を変更しながら、自分が注文したい缶コーヒー商
品を探し出し、操作入力部22における選択ボタンをクリックして商品を選択し注文する
(ステップS103)。商品注文端末12は、商品の選択信号を受けると、旅客13の所
持するICカード27をICカードリーダライタ23にタッチする行為を要求するメッセ
ージを表示部21の画面に表示する(ステップS104)。当該メッセージを見て、旅客
13はICカード27を取り出してICカードリーダライタ23にタッチする(ステップ
S105)。商品注文端末12は、ICカード27のタッチ行為を確認すると、当該IC
カード27のカードIDをメモリ25に保存し(ステップS106)、さらに、上記の注
文商品、ICカード27のカードID、および旅客13が座る座席の座席ID28の各デ
ータ(注文情報)を、通信部26を介して例えば無線E2により商品格納庫31と運搬ロ
ボット41に送信する(ステップS107)。その後、旅客13は、注文した商品(缶コ
ーヒー)が座席まで配達されるのを待つことになり、商品注文端末12での注文処理は終
了する。
【0027】
商品格納庫31は、上記のステップS200の後、各座席の商品注文端末から注文がな
い間は待機状態にある(ステップS201)。商品注文端末12から商品(缶コーヒー)
の注文に係るデータ(注文情報)が送信されてくると、当該データを通信部36で受信し
(ステップS202)、制御部35の中央処理部37に送る(ステップS203)。中央
処理部37は、動作指令信号に基づき商品保存容器32と商品受渡装置34を起動させ(
ステップS204)、商品注文に係る情報から注文された商品(缶コーヒー)を商品保存
容器32から取り出して連結部33の箇所まで動かす(ステップS205)。連結部33
に運搬ロボット41が連結された状態にあるとき、取り出された商品は、商品受渡装置3
4によって運搬ロボット41の商品受取配送機構43に渡される(ステップS206)。
その際に、商品格納庫31は、商品を受け渡す前に運搬ロボット41のロボットID49
を受信し、運搬ロボット41が当該客車11において予め用意されたものであるかを確認
し、ロボット認証手続きが行われる(ステップS206)。このロボット認証手続きは、
特に、運搬ロボット41が他の場所から移動してきて当該商品格納庫31の連結部33に
連結された時に、当該商品格納庫31に対応する運搬ロボット41であるか否かを確認し
、その後の商品配達において誤りが生じないようにするための重要な手続である。
【0028】
上記のロボット認証手続きの他の方法として、商品格納庫31と運搬ロボット41の間
で、商品注文端末12から受け取った商品注文情報の内容を相互に確認することに基づき
行う方法がある。
【0029】
運搬ロボット41は、通常の初期状態では待機状態にある(ステップS301)。商品
注文端末12から上記のごとく注文情報の送信(ステップS107)があると、当該注文
情報を受信する(ステップS302)。その後、前述したステップS206において商品
格納庫311との関係で注文商品の受渡があると、運搬ロボット41は、その商品受取配
送機構43によって、商品格納庫31の連結部33において商品受渡装置34から注文商
品を受け取る(ステップS303)。注文商品を受け取った運搬ロボット41は、先に受
信した座席ID28のデータに基づいて移動機構42の動作を制御し、商品格納庫42か
ら離れ、旅客13が座る座席へ向かって移動する(ステップS304)。その移動の際に
おいて、運搬ロボット41の商品受取配送機構43は、商品受渡装置34から受け取った
注文商品を把持した状態に保持される。運搬ロボット41の移動機構42の動作を制御す
るプログラムによれば、例えば、提供された座席ID28に基づき、客車11における当
該座席ID28に対応する座席の位置データを取得し、この位置データによって運搬ロボ
ット41を旅客13の座席まで移動させる。また、運搬ロボット41の通信部44と商品
注文端末12の通信部26との間で相互に通信を行い、当該相互通信に基づいて運搬ロボ
ット41の移動機構42の自律的な制御を行うように構成することもできる。
【0030】
運搬ロボット41は、旅客13の座席に到着すると、商品受取配送機構43が注文商品
を旅客13に渡す(ステップS305)。この際に、例えば音声発生器(図示せず)を備
えることにより、音声メッセージ等を旅客13に与えるように構成することもできる。運
搬ロボット41の商品受取配送機構43が旅客13に注文商品を渡す時、旅客13の本人
確認を行う。本人確認は、ICカード27によって行われる。すなわち、図4に示すよう
に、運搬ロボット41の決済装置45においてお財布機能を有するICカード27を用い
てタッチ行為により決済を行う(ステップS306)と共に、同時に、ICカード27の
カードIDに基づいて、先に送信された注文情報に含まれるカードIDと比較することに
より本人確認が行われる(ステップS306)。
【0031】
旅客13への注文商品の配送が完了した運搬ロボット41は、例えば前述の音声発生器
によってお礼のメッセージを発生し、その後、商品格納庫31の場所まで戻る(ステップ
S307)。
【0032】
なお商品注文端末12と商品格納庫31の間の情報の送受は無線の代わりに有線通信で
行うことも可能である。商品注文端末12と運搬ロボット41の間の無線による通信は必
ずしも必要ではない。また商品格納庫31と運搬ロボット41の間の情報の送受は無線で
も有線でも行うことができる。
【0033】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が
理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された
実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸
脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る車内販売サービスシステムは、鉄道列車等の客車内に商品格納庫を設けか
つ自律的に移動する運搬ロボットを配備すると共に、客車の各座席に商品注文端末を配備
し、座席に座る旅客が任意の時に商品注文端末で欲しい商品を注文すると、商品注文端末
と商品格納庫および運搬ロボットとの間で注文情報のやり取りを行うことにより、人の販
売員が居なくても自動的に運搬ロボットによって商品を注文した旅客に配送するのに利用
される。
【符号の説明】
【0035】
11 客車
12 商品注文端末
13 旅客
21 表示部
22 操作入力部
23 ICカードリーダライタ
24 中央処理部
25 メモリ
26 通信部
27 ICカード
31 商品格納庫
32 商品保存容器
33 連結部
34 商品受渡部
35 制御部
36 通信部
37 中央処理部
38 メモリ
41 運搬ロボット
42 移動機構
43 商品受取配送機構
44 通信部
45 決済装置
46 制御部
47 中央処理部
48 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
客車の座席ごとに設置され、商品注文入力部と第1通信部と第1処理手段と座席特定情
報を記憶した第1メモリとを備え、前記商品注文入力部で購入商品の指定操作があった時
には前記第1処理手段は第1通信部を介して外部の関連機器に注文情報を送信する商品注
文端末と、
前記客車に設置され、商品保存容器と商品受渡装置と第2通信部と第2処理手段と第2
メモリを備え、前記第1通信部からの前記注文情報を前記第2通信部で受信し、前記第2
処理手段が前記商品受渡装置を駆動して前記商品保存容器から注文商品を用意する商品格
納庫と、
自律移動可能に配置され、移動機構と商品受取配送機構と第3通信部と第3処理手段と
決済手段とを備え、前記第1通信部からの前記注文情報を前記第3通信部で受信し、前記
第3処理手段は、前記商品受取配送機構によって注文商品を受取り、その後、前記移動機
構を駆動して前記商品注文端末の所までの移動すると共に前記商品受取配送機構により前
記注文商品を運んで顧客に渡し、前記決済手段で決済を行う運搬ロボットと、
を備えることを特徴とする車内販売サービスシステム。
【請求項2】
前記商品注文端末はICカードリーダライタを備え、商品注文時に前記顧客の所持する
ICカードのIDを読み取り前記第1メモリに保存することを特徴とする請求項1記載の
車内販売サービスシステム。
【請求項3】
前記注文情報は、商品情報と、前記商品注文端末に対応する座席の前記座席特定情報と
、前記顧客の前記ICカードのID情報を含むことを特徴とする請求項1または2記載の
車内販売サービスシステム。
【請求項4】
前記商品格納庫から前記運搬ロボットに前記注文商品を受け渡すとき、前記運搬ロボッ
トの認証を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車内販売サービス
システム。
【請求項5】
前記運搬ロボットから前記顧客に前記注文商品を渡すとき、前記注文情報に含まれる前
記ICカードの前記ID情報に基づき本人確認を行い、かつ前記決済手段による前記決済
では前記ICカードを用いて当該決済を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
項に記載の車内販売サービスシステム。
【請求項6】
前記商品格納庫で、前記第2処理手段は、さらに前記商品保存容器に保存される商品の
在庫状態を監視する在庫商品監視手段を備え、前記在庫商品監視手段で得られた在庫商品
の情報は前記第2通信部を経由して前記商品注文端末に送信され、
前記商品注文端末で、前記商品注文入力部は表示部を備え、前記表示部には前記在庫商
品の情報に基づいて販売商品が表示されることを特徴とする請求項1記載の車内販売サー
ビスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−53659(P2012−53659A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195657(P2010−195657)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】