説明

車庫用建物ユニット

【課題】駐車スペースの無駄を少なくする車庫用建物ユニットの提供。
【解決手段】4箇所の角部が接合された複数本の上梁3A,3B、4箇所の角部接合部分のうち並んで配置される第一と第二の角部にそれぞれ設けられた柱4A、第三の角部に設けられた短寸柱4B、第四の角部に設けられた柱4A、第一の角部と第三の角部との間並びに第二の角部と第四の角部との間に設けられた中間柱4C、及び、柱と中間柱の下端間を連結する下梁5C、短寸柱の下端と短寸柱に隣合う柱と中間柱の中間位置にそれぞれ連結される中間梁6A,6Bを備え、2本の柱、2本の中間柱、下梁及び上梁の一部の空間から居室部13が形成され、天井梁の一部、中間柱の上部、柱の上部及び短寸柱から居室の上部からオーバーハングし標準的建物ユニットより低い収納庫12が形成され、収納庫の下方の空間から、2側面が開口される車庫スペース11が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車庫スペースが形成された車庫用建物ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の建物ユニットを組み合わせて建てるユニット式建物が知られている。このユニット式建物には、建物ユニットの一部に車庫用のスペースが設けられたものがある。
従来の車庫付き建物ユニットには、1つの建物ユニットをそのまま車庫用建物ユニットとし、互いに交差する2側面を開口させたものがある(特許文献1)。
また、1階の建物ユニットの上に2階の建物ユニットを配置し、この2階の建物ユニットを1階の建物ユニットの側面から突出させたオーバーハング形状とし、このオーバーハングの下部を車庫スペースとするとともにオーバーハングした2階の建物ユニットの下部に庇を設けたもの(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願平4−82078(実開平6−44804号公報)のCD−ROM
【特許文献2】特開2002−47734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2で示される従来例では、建物ユニットの高さにほぼ対応する高さの車庫が構成されることになる。
建物ユニットは、居室等に合わせて高い高さ寸法を有するので、収納される車の高さに比べて車庫の高さが必要以上に高くなり、無駄なスペースを生じるという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、駐車するために使用されるスペースの無駄を少なくすることができる車庫用建物ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車庫用建物ユニットは、4箇所の角部が接合され平面矩形状に配置された複数本の上梁と、これらの上梁の4箇所の角部接合部分のうち並んで配置される第一の角部と第二の角部にそれぞれ設けられた柱と、前記角部接合部分のうち第三の角部に設けられた短寸柱と、前記角部接合部分のうち第四の角部に設けられた短寸柱又は柱と、前記第一の角部と前記第三の角部との間並びに前記第二の角部と前記第四の角部との間にそれぞれ設けられた中間柱と、前記柱と前記中間柱の下端間を連結する下梁と、前記短寸柱の下端とこの短寸柱に隣合う柱と中間柱の中間位置にそれぞれ連結される中間梁とを備え、前記2本の柱、前記2本の中間柱、前記下梁及び前記上梁の一部の空間から居室部が形成され、前記天井梁の一部、前記中間柱の上部、前記柱の上部及び短寸柱から前記居室の上部からオーバーハングし標準的な建物ユニットの高さより低い収納庫が形成され、前記収納庫の下方の空間から、少なくとも隣り合う2側面が開口される車庫スペースが形成されたことを特徴とする車庫用建物ユニット。
ここで、本発明では、前記収納庫にかかる荷重を支持する補強部材を備え、この補強部材は前記第一の角部と前記第三の角部との間を結ぶ線分を含む鉛直面内と、前記第二の角部と前記第四の角部との間を結ぶ線分を含む鉛直面内とにそれぞれ設けられている構成でもよい。
さらに、前記補強部材は、前記収納庫の室外側上端部と居室部側下端部との間に両端が係合される斜材を備えた構成でもよい。
また、前記補強部材は、前記収納庫の室外側上端部と前記中間梁の途中位置とを接合する第1斜材と、この第1斜材の長手方向に延びて配置され前記中間梁の途中位置と前記中間柱の途中位置とを接合する第2斜材とを備えている構成でもよい。
前記角部接合部分のうち第四の角部には柱が設けられ、この柱と、この柱の途中に接続される中間梁と、前記柱の下端に接続される下梁とを備えて袖壁が構成され、前記開口は、前記袖壁が設けられた面とは反対側の面とこの面と交差する面との2側面に形成されているものでもよい。
【0007】
本発明に関連する車庫用建物ユニットは、添付した図面を参照して説明すると、少なくとも隣り合う2側面が開口される車庫スペース11,21と、この車庫スペース11,21の上部に設けられ標準的な建物ユニット2の高さより低い収納庫12,22と、前記車庫スペース12,22に隣接した居室部13,23,33と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この車庫用建物ユニットによれば、従来無駄であった車の上部空間を収納として用い、かつ、車の左右空間を居室として用いることで、車庫用建物ユニットのスペースの有効利用を図ることができる。
【0009】
ここで、前記開口は2側面に形成され、これらの2側面に形成された開口のうち1つの開口と対向する側面に袖壁15が設けられた構成が好ましい。
この構成の車庫用建物ユニットでは、車庫用建物ユニットに2つの開口が形成されても、1つの開口に対向する位置に袖壁があるので、車庫用建物ユニットの強度低下を抑えることができる。
【0010】
車庫用建物ユニットは、前記収納庫の下部に庇16,46を設けた構成が好ましい。
この構成の車庫用建物ユニットでは、庇の下部スペースも車庫として利用できるので、大型の車を収納することができる。
【0011】
前記袖壁の上部には前記庇が連結されている構成が好ましい。
この構成の車庫用建物ユニットでは、庇と袖壁とが連結されることで、車庫用建物ユニットの側面から突出する庇を袖壁で支持することができる。
【0012】
前記開口は3側面に形成されている構成が好ましい。
この構成の車庫用建物ユニットでは、3側面に開口が形成された車庫用建物ユニットを複数、あるいは、この車庫用建物ユニットと2側面に開口が形成された車庫用建物ユニットとを並べて配置することで、大きな車庫スペースを形成することができる。
【0013】
車庫用建物ユニットは前記収納庫にかかる荷重を支持する補強部材7を備えた構成が好ましい。
この構成の車庫用建物ユニットでは、いわばオーバーハングされた形状となっている収納庫を補強部材で補強するので、車庫用建物ユニットの強度を大きなものにできる。
【0014】
前記補強部材7は、前記収納庫の室外側上端部と居室部側下端部との間に両端が係合される斜材72,73,74を備えた構成が好ましい。
この構成の車庫用建物ユニットでは、補強部材が斜材で構成されることから、収納庫の室外側上端部の荷重を居室部側下端部に効率よく伝達することができる。しかも、斜材であるので、補強部材の構造を簡単にすることができる。
【0015】
本発明に関連するユニット式建物は、前述の構成の車庫用建物ユニットと、この車庫用建物ユニットの骨組みと同じ高さ寸法並びに上面左右寸法の直方体状の骨組みを有する建物ユニットとを備えたことを特徴とする。
この構成では、前述の効果を奏することができるユニット式建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建物を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態にかかる車庫用建物ユニットの斜視図。
【図3】第1実施形態にかかる車庫用建物ユニットの骨組みを示す斜視図。
【図4】第1実施形態にかかる車庫用建物ユニットの骨組みを示す斜視図。
【図5】本発明の第2実施形態にかかるユニット式建物の全体を示す斜視図。
【図6】第2実施形態にかかる車庫用建物ユニットの斜視図。
【図7】車庫用建物ユニットの骨組みを示す斜視図。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる車庫用建物ユニットの斜視図。
【図9】車庫用建物ユニットの骨組みを示す斜視図。
【図10】本発明の第4実施形態にかかるユニット式建物の斜視図。
【図11】第4実施形態の要部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下の説明にあたって、同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1ないし図4には、本発明の第1実施形態に係るユニット式建物1が示されている。図1は、ユニット式建物1の全体を示す斜視図であり、図2は、第1実施形態にかかる車庫用建物ユニット10の斜視図であり、図3及び図4は、それぞれ車庫用建物ユニット10の骨組みを示す斜視図である。
【0019】
図1において、ユニット式建物1は、基礎1Aの上に配置された1個の車庫用建物ユニット10と、複数個の標準的な建物ユニット2とを組み合わせて建てられた2階建て建物である。
ユニット式建物1の1階部分は、その隅部に配置された車庫用建物ユニット10と、この車庫用建物ユニット10の左右両隣に配置された複数(図1では5個)の標準的な建物ユニット2とから構成されている。車庫用建物ユニット10と標準的な建物ユニット2とは、それぞれ平面が同じ大きさの矩形状とされている。
2階部分は、これらの車庫用建物ユニット10と標準的な建物ユニット2の上にそれぞれ配置された複数庫(図1では6個)の標準的な建物ユニット2とから構成されている。2階部分の上には図示しない屋根が施工されている。
標準的な建物ユニット2は、柱、上梁及び下梁から略直方体状に形成された骨組みを備え、その骨組みに外壁や内壁等が取り付けられた構造である。建物ユニット2の内部には必要に応じてキッチン、洗面台、トイレ、バス等が設けられている。
【0020】
図2に示される通り、車庫用建物ユニット10は、2側面が開口される平面矩形状の車庫スペース11の上部に略直方体状の収納庫12が設けられ、車庫スペース11に略直方体状の居室部13が隣接配置され、車庫スペース11の1つの開口と対向する位置に壁部14が設けられた構造である。
車庫スペース11の2つの開口から自動車Pが出入り自在とされる。居室部13には必要に応じて車庫スペース11と外部空間とを遮蔽するドアを設けてもよい。
図1に示される通り、壁部14と連続して袖壁15が設けられている。袖壁15はパネルで構成されており、その端部が壁部14とボルト等の適宜な締結手段で締結されている。
収納庫12の下部には庇16が設けられている。この庇16は2側面の開口に沿ってそれぞれ設けられており、収納庫12の下面に取り付けられた下地材(図示せず)と、この下地材の上面に設けられた屋根部16Aとを備えている。この屋根部16Aは建物の妻側と桁側とにそれぞれ下り傾斜している。
庇16の一端部は袖壁15の上部にボルト締め等の適宜な手段で連結されている。
【0021】
図3において、車庫用建物ユニット10は、それぞれ互いに対向する2本の上梁3A及び2本の上梁3Bと、これらの上梁3A,3Bの連結箇所にそれぞれ設けられた3本の柱4A及び1本の短寸柱4Bと、互いに隣り合う柱4Aの下端部同士を連結する下梁5A,5Bと、上梁3Aの中間部分にそれぞれ上端部が連結される2本の中間柱4Cと、これらの中間柱4Cの上下端部同士を連結する上部連結梁3D及び下部連結梁5Dと、1本の中間柱4Cの下端部と柱4Aの下端部との間を連結する下梁5Cと、短寸柱4Bの下端部に一端部が連結され他端部が1本の中間柱4Cの中間部に連結された中間梁6Aと、短寸柱4Bの下端部に一端部が連結され他端部が1本の柱4Aの中間部に連結された中間梁6Bと、中間梁6A,6Bと略同じ高さに配置され隣り合う柱3Aと中間柱4Cとの間を連結する補強梁6Cと、を備えて骨組みが構成されている。この骨組みに図示しない外壁材、内壁材が取り付けられている。
上梁3Aは上梁3Bより長く形成されている。これらの上梁3A,4Bで平面矩形状の領域が形成されるが、この平面矩形状は標準的な建物ユニット22の下梁で形成される平面矩形状や上梁で形成される平面矩形状と同じである。
柱4A及び中間柱4Cは建物ユニット2の柱と同じ高さである。
上梁3A,3B及び柱4Aには車庫用建物ユニット10と隣り合う標準的な建物ユニット2や上部に配置される標準的な建物ユニット2と連結するための連結部材(図示せず)が設けられている。この連結部材は標準的な建物ユニット2同士を連結する連結部材と同じ構造である。
【0022】
建物奥側に配置された2本の柱4A、2本の中間柱4C、2本の上梁3Aの一部、建物奥側の上梁3B、上部連結梁3D、下梁5Aの一部、下梁5B,5C及び下部連結梁5Dで区画された空間から略直方体状の居室部13が構成されている。なお、本実施形態では、上部連結梁3Dと下部連結梁5Dとの中間位置をそれぞれ中間柱4Cで連結し、上部連結梁3Dと上梁3Bとの間を補強梁6Cで連結し、下部連結梁5Dと下梁5Bとの間を補強梁6Cで連結する構成である。
居室部13は隣接する標準的な建物ユニット2の内部空間と連続した居室を形成するものでもよく、あるいは、隣接する標準的な建物ユニット2の内部空間とは図示しない内壁を設けて独立した居室空間を形成するものでもよい。
【0023】
柱4Aの上部、中間柱4Cの上部、短寸柱4B、上梁3Aの一部、上梁3B、中間梁6B、上部連結梁3D及び下部連結梁5Dで区画された空間から略直方体状の収納庫12が構成されている。この収納庫12の高さは標準的な建物ユニット2の高さより低い。なお、本実施形態では、3本の中間柱4Cのうち中央に配置された中間柱4Cの中間位置と中間梁6Bの中間位置との間に補強梁6Cが設けられ、中間端6Bの中間位置と上梁3Bの中間位置との間に短寸柱4Bが設けられている。
収納庫12と居室部13とは図示しない内壁で区画されており、この内壁には図示しない収納用開口部が形成され、この開口部には必要に応じてドア等が設けられている。
収納庫12の下部が車庫スペース11である。収納庫12の車庫スペース11側の床部分には必要に応じて収納庫12と車庫スペース11とを連通する開口部が設けられ、この開口部は蓋等で開閉自在とされる。そして、収納庫12の天井部分は上に配置される標準的な建物ユニット2と連通する開口部が必要に応じて設けられ、この開口部は蓋等で開閉自在とされる。
車庫スペース11の一端部には壁部14が配置されており、この壁部14のパネルは柱4Aの下部、補強梁6C、中間柱4Cの下部及び下梁5Aの一部から骨組みが形成されている。
【0024】
収納庫12は居室部13からオーバーハングされているので、オーバーハングされた部分にかかる荷重を支持する補強部材7が収納庫12に設けられている。
補強部材7は、収納庫12の両側部と、中間部との3箇所に配置されている。
これらの補強部材7のうち、図3中、右側の補強部材7は、上梁3Aと短寸柱4Bとの連結部分と中間柱4Cと中間梁6Aとの連結部分とにそれぞれに配置された連結具71と、これらの連結具71の間にボルトで固定された斜材72とを備えている。この斜材72、短寸柱4B及び中間梁6Aからトラス構造が構成される。本実施形態において、斜材72とは線状に形成された部材をいい、棒状に形成されたものや、細長い板状に形成されたもの等を例示できる。
図3中、中央の補強部材7は、上梁3Bの中央部分と、中間柱4Cと補強梁6Cとの連結部分とにそれぞれに配置された連結具71と、これらの連結具71の間にボルトで固定された斜材72とを備えている。この斜材72、短寸柱4B及び補強梁6Cからトラス構造が構成される。
図3中、左側の補強部材7は、上梁3Aと柱4Aとの連結部分と中間柱4Cと補強梁6Cとの連結部分とにそれぞれに配置された連結具71と、これらの連結具71の間にボルトで固定された斜材72とを備えている。この斜材72、柱4A及び補強梁6Cからトラス構造が構成される。
これらの補強部材7では、収納庫12のオーバーハングされた先端側に荷重がかかると、斜材72を介して中間柱4Cに伝達される。
【0025】
本実施形態の補強部材7の構成は図3に示されるものに限定されるものではなく、例えば、図4に示されるものも含まれる。
図4において、補強部材7は、収納庫12の両側部と、中間部との3箇所に配置されている。
これらの補強部材7のうち、図4中、右側の補強部材7は、上梁3A及び短寸柱4Bの連結部分と中間梁6Aの中間位置とにそれぞれ配置された連結具71と、これらの連結具71の間にボルトで固定された第1斜材73と、この第1斜材73の長手方向に延びて配置された第2斜材74と、この第2斜材74の両端部をボルトで固定し中間梁6Aと中間柱4Cとにそれぞれ配置された連結具71とを備えている。この第1斜材73、短寸柱4B及び中間梁6A、並びに、第2斜材74,中間柱4C及び中間梁6Aから、それぞれトラス構造が構成される。
【0026】
図4中、中央の補強部材7は、上梁3Bの中央部分と補強梁6Cの中間位置とにそれぞれ配置された連結具71と、これらの連結具71の間にボルトで固定された第1斜材73と、この第1斜材73の長手方向に延びて配置された第2斜材74と、この第2斜材74の両端部をボルトで固定し補強梁6Cと中間柱4Cとにそれぞれ配置された連結具71とを備えている。この第1斜材73、短寸柱4B及び補強梁6C、並びに、第2斜材74,中間柱4C及び補強梁6Cから、それぞれトラス構造が構成される。
図4中、左側の補強部材7は、上梁3A及び柱4Aの連結部分と補強梁6Cの中間位置とにそれぞれ配置された連結具71と、これらの連結具71の間にボルトで固定された第1斜材73と、この第1斜材73の長手方向に延びて配置された第2斜材74と、この第2斜材74の両端部をボルトで固定し補強梁6Cと中間柱4Cとにそれぞれ配置された連結具71とを備えている。この第1斜材73、柱4A及び補強梁6C、並びに、第2斜材74,中間柱4C及び補強梁6Cから、それぞれトラス構造が構成される。
【0027】
従って、第1実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)車庫用建物ユニット10は、隣り合う2側面が開口される車庫スペース11と、この車庫スペース11の上部に設けられ標準的な建物ユニット2の高さより低い収納庫12と、車庫スペース11に隣接した居室部13とを備えた。そのため、従来無駄であった車の上部空間を収納として用い、かつ、車の左右空間を居室として用いることで、車庫用建物ユニットのスペースの有効利用を図ることができる。
【0028】
(2)2側面に形成された開口のうち1つの開口と対向する側面に壁部14及び袖壁15が形成されるから、ユニットの2側面に開口が形成されても、車庫用建物ユニット10の強度低下を抑えることができる。
【0029】
(3)車庫用建物ユニット10は、収納庫12の下部に庇16を設けたから、庇16の下部スペースも車庫として利用できるので、大型の車Pを収納することができる。しかも、庇16は2つの開口に沿って平面L字形に形成されているから、より大きな車の収納スペースを確保することができる。
【0030】
(4)袖壁15の上部と庇16とが連結されているから、車庫用建物ユニット10の側面から突出する庇16を袖壁15で支持することができる。そのため、庇16が収納庫12から脱落することを防止することができる。
【0031】
(5)車庫用建物ユニット10は収納庫12にかかる荷重を支持する補強部材7を備えたから、居室部13からオーバーハングされた収納庫12を補強部材7で補強することになり、車庫用建物ユニット10自体の強度を大きなものにできる。そのため、車庫用建物ユニット10の上に他の建物ユニット2を配置することで収納庫12に大きな荷重がかかっても、車庫用建物ユニット10の変形を防止することができる。
【0032】
(6)補強部材7は、収納庫12の室外側上端部と居室部側下端部との間に両端が係合される斜材72,73を備えたから、収納庫12の室外側上端部にかかる荷重を居室部側下端部に効率よく伝達することで、車庫用建物ユニット10の変形を防止することができる。しかも、斜材72,73は線状に形成された部材であるので、補強部材の構造を簡単にすることができる。
【0033】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図5から図7に基づいて説明する。第2実施形態は3方向に開口が形成された車庫用建物ユニット20を用いる点が第1実施形態とは異なり、他の構成は第1実施形態と同じである。
図5は、第2実施形態にかかるユニット式建物1の全体を示す斜視図であり、図6は、第2実施形態にかかる車庫用建物ユニット20の斜視図であり、図7は、車庫用建物ユニット20の骨組みを示す斜視図である。
【0034】
図5において、ユニット式建物1は、基礎1Aの上に配置された2個の車庫用建物ユニット20,20Aと、複数個の標準的な建物ユニット2とを組み合わせて建てられた2階建て建物である。
ユニット式建物1の1階部分は、その隅部に並べて配置された車庫用建物ユニット20,20Aと、この車庫用建物ユニット20,20Aの左右両隣に配置された複数(図5では4個)の標準的な建物ユニット2とから構成されている。車庫用建物ユニット20,20Aと標準的な建物ユニット2とは、それぞれ平面が同じ大きさの矩形状とされている。
【0035】
図6に示される通り、建物の角部に配置される車庫用建物ユニット20は3側面が開口される車庫スペース21の上部に収納庫22が設けられ、車庫スペース21に居室部23が隣接配置されている構造であり、車庫用建物ユニット20Aは2側面が開口される車庫スペース21の上部に収納庫22が設けられ、車庫スペース21に居室部23が隣接配置され、車庫スペース21の1つの開口と対向する位置に壁部24が設けられた構造である。車庫スペース21としては、2方向が開口されている。
これらの車庫用建物ユニット20,20Aは、収納庫22同士並びに居室部23同士がそれぞれ並んで配置されており、これらの空間は、それぞれ必要に応じて連通されて大きな空間とされる。
【0036】
図5に示される通り、車庫用建物ユニット20Aの壁部24と連続して袖壁25が設けられている。袖壁25は袖壁15と同様の構造である。
収納庫22の下部には庇26が設けられている。この庇26は車庫スペース21の2側面の開口に沿ってそれぞれ設けられており、その具体的な構造は庇16と略同じである。
【0037】
図7において、車庫用建物ユニット20は、それぞれ互いに対向する2本の上梁3A及び2本の上梁3Bと、これらの上梁3A,3Bの連結箇所とそれぞれ上端部が連結された2本の柱4A及び2本の短寸柱4Bと、上梁3Bの中間部分にそれぞれ上端部が連結された中間柱4Cと、柱4A及び中間柱4Cの下端部同士を連結する下梁5A,5Eと、短寸柱4Bの下端部同士を連結する中間梁6Dと、短寸柱4Bの下端部と中間柱4Cの中間部とを連結する補強梁6Eと、補強梁6Eと略同一線上に配置され柱4Aと中間柱4Cとの間を連結する補強梁6Fと、を備えて骨組みが構成されている。この骨組みに図示しない外壁材、内壁材が取り付けられている。なお、本実施形態では互いに対向する上梁3Bの中間柱4Cの接合部分近傍を補強梁6Gで連結されている。この補強梁6Gは上梁3Aと同じ長さである。
【0038】
柱4A、中間柱4C、上梁3A、補強梁6G、上梁3Bの一部及び下梁5A,5Eで区画された略直方体状の空間から居室部23が構成されている。
中間柱4Cの上部、短寸柱4B、上梁3Bの一部、上梁3A、中間梁6D及び補強梁6Eで区画された空間から略直方体状の収納庫22が構成されている。この収納庫22の高さは標準的な建物ユニット2の高さより低い。
車庫用建物ユニット20Aは、車庫用建物ユニット20の骨組みに加えて壁部24を構成する骨組みを備える。つまり、図7の想像線に示される通り、2本の短寸柱4Bのうち一方に連結柱4Dが連結され、この連結柱4Dの下端部に連結梁5Fが下梁5Eと略直線上となるように連結されている。中間柱4Cの下部、連結梁5F、連結柱4D及び補強梁6Eから壁部24を構成するパネルの骨組みが形成されている。
【0039】
第2実施形態における補強部材7は第1実施形態の図4で示される補強部材7と構造が同じである。つまり、補強部材7は、上梁3Bと短寸柱4Bとの連結部分と補強梁6Eの中間位置とにそれぞれ配置された連結具71と、これらの連結具71の間にボルトで固定された第1斜材73と、この第1斜材73の長手方向に延びて配置された第2斜材74と、この第2斜材74の両端部をボルトで固定し補強梁6Eと中間柱4Cとにそれぞれ配置された連結具71とを備えている。この第1斜材73、短寸柱4B及び補強梁4E、並びに、第2斜材74,中間柱4C及び補強梁4Cから、それぞれトラス構造が構成される。
【0040】
従って、第2実施形態によれば、前述の(1)〜(6)の効果に加えて、次のような効果が得られる。
(7)車庫用建物ユニット20,20Aを並べて配置し、このうち車庫用建物ユニット20の開口が3側面に形成されているから、大きな車庫スペースを形成することができる。
【0041】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を図8から図9に基づいて説明する。
第3実施形態は車庫用建物ユニット30に平面L字形の居室部を形成する点が第1実施形態とは異なり、他の構成は第1実施形態と同じである。
図8は、第3実施形態にかかる車庫用建物ユニット30の斜視図であり、図9は、車庫用建物ユニット30の骨組みを示す斜視図である。
図8において、車庫用建物ユニット30は、2側面が開口される平面矩形状の車庫スペース11の上部に収納庫12が設けられ、車庫スペース11に隣接して居室部33が配置された構造である。
居室部33は車庫スペース11の長手方向に並んで配置された居室部13と、車庫スペース11の長手方向と直交する方向に並んで配置された居室部33Aとを備えて平面L字形とされる。居室部13と居室部33Aとは連続して空間とされてもよく、あるいは、壁を隔てて区切られた空間とされてもよい。壁を隔てて区切られた空間とされた場合には必要に応じてドア等を設けるものでもよい。
なお、本実施形態では、収納庫12の下部には庇16に相当する庇を必要に応じて設けてもよい。
【0042】
図9において、車庫用建物ユニット30は、図4に示される骨組みに居室部33Aを構成する骨組みを設けた構成である。つまり、第1実施形態の2本の柱4Aにそれぞれ対向して2本の柱4Aが配置され、これらの柱4Aの上端部同士が上梁3Aと上梁4Fとで互いに連結され、柱4Aの下端部同士が下梁5Aと下梁5Gとで互いに連結されている。
居室部33Aは、4本の柱4A、上梁3A,3F及び下梁5A,5Gとで区画された略直方体の空間から形成されている。
【0043】
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態の同じ効果に加えて、次のような効果が得られる。
(8)車庫用建物ユニット30は車庫スペース11を囲んだ平面L字形の居室部33を備えているから、車庫用建物ユニット30の隣り合う2辺に標準的な建物ユニット2を配置することで、これらの建物ユニット2と居室部33とで連続した広い居室空間を形成することができる。
【0044】
次に、本発明の第4実施形態を図10及び図11に基づいて説明する。
第4実施形態は車庫用建物ユニット40の庇46の形状が第1実施形態と異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
図10は、第4実施形態にかかるユニット式建物1の斜視図であり、図11は第4実施形態の要部を示す断面図である。
図10において、車庫用建物ユニット40は第1実施形態と同様に2階建て建物の1階角部に配置されている。
車庫用建物ユニット40は、車庫スペース11の2方向の開口に沿って庇46が設けられており、この庇46は、外側から建物内側に向かって下り傾斜する屋根部46Aを備え、この屋根部46Aは収納庫12の内側に延びて形成されている。この屋根部46Aの収納庫12の外壁面に近接する部分には樋47が設けられ、この樋47は居室部13の外壁面に沿って設けられた縦樋48に接続されている。
【0045】
従って、第4実施形態によれば、第1実施形態の同じ効果に加えて、次のような効果が得られる。
(9)車庫用建物ユニット40は建物内側に向かって下り傾斜する屋根部46Aを備えて庇46を構成し、この屋根部46Aから流下した雨水を外に排出する樋47及び縦樋48を設けたから、庇46の外縁から雨水が流下しない。そのため、車庫スペース11の回りが水浸しになることがない。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前述の各実施形態では、2階建ての建物について説明したが、3階建て以上、あるいは1階建ての建物に本発明を適用することができる。
さらに、補強部材7は前述の実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、収納庫12,221の外縁部を支持する柱としてもよい。
また、第2実施形態や第3実施形態の補強部材7の構成は図3に示されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、住宅等に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…ユニット式建物、2…標準的な建物ユニット、7…補強部材、10,20,20A,30,40…車庫用建物ユニット、11,21…車庫スペース、12,22…収納庫、13,23,33…居室部、71,73,74…斜材、16,46…庇

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4箇所の角部が接合され平面矩形状に配置された複数本の上梁と、
これらの上梁の4箇所の角部接合部分のうち並んで配置される第一の角部と第二の角部にそれぞれ設けられた柱と、
前記角部接合部分のうち第三の角部に設けられた短寸柱と、
前記角部接合部分のうち第四の角部に設けられた短寸柱又は柱と、
前記第一の角部と前記第三の角部との間並びに前記第二の角部と前記第四の角部との間にそれぞれ設けられた中間柱と、
前記柱と前記中間柱の下端間を連結する下梁と、
前記短寸柱の下端とこの短寸柱に隣合う柱と中間柱の中間位置にそれぞれ連結される中間梁とを備え、
前記2本の柱、前記2本の中間柱、前記下梁及び前記上梁の一部の空間から居室部が形成され、
前記天井梁の一部、前記中間柱の上部、前記柱の上部及び短寸柱から前記居室の上部からオーバーハングし標準的な建物ユニットの高さより低い収納庫が形成され、
前記収納庫の下方の空間から、少なくとも隣り合う2側面が開口される車庫スペースが形成されたことを特徴とする車庫用建物ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載された車庫用建物ユニットにおいて、
前記収納庫にかかる荷重を支持する補強部材を備え、
この補強部材は前記第一の角部と前記第三の角部との間を結ぶ線分を含む鉛直面内と、前記第二の角部と前記第四の角部との間を結ぶ線分を含む鉛直面内とにそれぞれ設けられていることを特徴とする車庫用建物ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載された車庫用建物ユニットにおいて、
前記補強部材は、前記収納庫の室外側上端部と居室部側下端部との間に両端が係合される斜材を備えたことを特徴とする車庫用建物ユニット。
【請求項4】
請求項2に記載された車庫用建物ユニットおいて、
前記補強部材は、前記収納庫の室外側上端部と前記中間梁の途中位置とを接合する第1斜材と、この第1斜材の長手方向に延びて配置され前記中間梁の途中位置と前記中間柱の途中位置とを接合する第2斜材とを備えていることを特徴とする車庫用建物ユニット。
【請求項5】
請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載された車庫用建物ユニットにおいて、
前記角部接合部分のうち第四の角部には柱が設けられ、この柱と、この柱の途中に接続される中間梁と、前記柱の下端に接続される下梁とを備えて袖壁が構成され、
前記開口は、前記袖壁が設けられた面とは反対側の面とこの面と交差する面との2側面に形成されていることを特徴とする車庫用建物ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−193611(P2012−193611A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154999(P2012−154999)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【分割の表示】特願2007−150280(P2007−150280)の分割
【原出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)