説明

車載ディスク再生装置

【課題】オーディオデータの再生出力の異常の発生を抑制しつつ、省電力化を図ることのできる「車載ディスク再生装置」を提供する。
【解決手段】読出制御部103は、ディスクドライバ102を介して、ディスクドライブ101に装着されたディスク2から読み出したデータをショックプルーフメモリ104に格納し、再生処理部106は、データバッファ105を介してショックプルーフメモリ104からデータを読み出して再生する。制御部110は、ディスクドライバ102を介して、自動車の走行中は、ディスクドライブ101のデータ回転速度の速度モードとして高速度モードを設定し、自動車の停車中はディスクドライブ101のデータ回転速度として1倍速以上の低速度モードを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク再生装置の省電力化の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク再生装置の省電力化の技術としては、CDに記録されたオーディオデータの再生ビットレートよりも高速な読出速度でCDから先読みしたオーディオデータを蓄積するショックプルーフメモリを備えると共に、当該ショックプルーフメモリから必要なオーディオデータを読出して再生出力を行うショックプルーフ機能を備えたポータブルディスク再生装置において、CDからの読出エラーの発生頻度が小さい場合には、ショックプルーフ機能を用いずにCDから読み出したオーディオデータを直接再生出力する通常再生を行い、振動によるCDからの読出エラーの発生頻度が大きい場合には、ショックプルーフ機能を用いるようすることにより、振動によるCDからの読出エラーの発生頻度が小さい期間中には、ショックプルーフ機能に要する電力消費を抑制する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-014309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したCDからの読出エラーの発生頻度の大小に応じて、ショックプルーフ機能の利用の有無の切り替えを行う技術によれば、ショックプルーフ機能を用いずに通常再生を行っている期間中に振動によるCDからの読出エラーが発生することがあり、この場合、オーディオデータの再生出力に障害が発生してしまうことが避けられない。
【0005】
そこで、本発明は、車載ディスク再生装置において、オーディオデータの再生出力の障害の発生を抑制しつつ、省電力化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載され、ディスクに記録されているデータを再生出力する車載ディスク再生装置に、装着されたディスクの回転速度のモードとして複数の異なる回転速度のモードを備えたディスクドライブと、現在の自動車の状態が所定の省電力動作条件が満たされているか否かを判定する省電力動作条件判定部と、ショックプルーフメモリと、前記ショックプルーフメモリに格納されたデータを取り出して再生出力するデータ再生部と、前記ショックプルーフメモリに前記データ再生部が再生するデータが所定量保持されるように、前記ディスクドライブを介して当該ディスクドライブに装着されたディスクからデータを読出して前記ショックプルーフメモリに格納する読出制御部と、前記省電力動作条件判定部が前記省電力動作条件が満たされていないと判定しているときに、前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして第1のモードを設定し、前記省電力動作条件判定部が前記省電力動作条件が満たされていると判定しているときに、前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして前記第1のモードよりも前記回転速度が低速な第2のモードを設定する回転速度モード制御部とを設けたものである。ここで、前記省電力動作条件判定部は、前記省電力動作条件として、前記自動車が停車しているときに満たされ、前記自動車が停車しているときに満たされない第1の条件、もしくは、前記自動車の車速が所定速度以下であるときに満たされ、前記自動車の車速が前記所定速度を超えるときに満たされない第2の条件、もしくは、前記自動車がアイドリングをストップしているときに満たされ、前記自動車がアイドリングをストップしていないときに満たされない第3の条件を用いる。なお、前記ディスクは、たとえば、前記データとしてオーディオデータを記録したCD-DAである。
【0007】
このような車載ディスク再生装置によれば、ディスクドライブの回転速度のモードは、省電力動作条件が満たされていないときには高速度モードに設定され、省電力動作条件が満たされているときには低速度モードに設定される。
ここで、高速度モードでは、低速度モードよりも高速にディスクからデータをショックプルーフメモリに読み込むことができるので、低速度モードよりも耐振性は強くなる。一方、低速度モードでは高速度モードよりも耐振性は弱くなるが、低速度モードは、省電力動作条件が満たされた場合、すなわち、自動車が停車中である場合や所定速度以下の低速走行中である場合にのみ設定され、当該停車中や低速走行中には、ディスクのデータ読出に障害を与えるような振動は生じないことが期待できる。よって、低速度モードの設定期間中においても、データの再生出力に障害が生じないことが期待できる。
【0008】
一方で、ディスクドライブの消費電力は、低速度モードで動作している場合の方が、高速度モードで動作している場合よりも、ディスクの回転速度や再生動作が遅くなる分小さくなる。よって、このように省電力動作条件が満たされている場合に、低速度モードを設定することにより、振動によるデータの再生出力の障害の発生を回避しつつ、車載ディスク再生装置の消費電力を省電力化することができる。
【0009】
ここで、このような車載ディスク装置は、前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして前記第2のモードが設定されているときには、前記データ再生部において、前記読出制御部が前記ディスクドライブに装着されたディスクから読み出したデータをショックプルーフメモリを介さずに前記読出制御部から取得して再生すると共に、前記ショックプルーフメモリへの電力供給は停止するようにしてもよい。
【0010】
このようにすることにより、さらに、省電力動作条件が満たされている期間中のショックプルーフメモリの電力消費を抑制することができる。なお、この場合において、前記ディスクとして、前記データとしてオーディオデータを記録したCD-DAを用いる場合には、前記第2のモードの回転速度は、前記ディスクドライブが、前記データ再生部の前記オーディオデータの再生レート相当のレートで前記ディスクに記録されているオーディオデータを読み出す回転速度としてよい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、車載ディスク再生装置において、オーディオデータの再生出力の障害の発生を抑制しつつ、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る省電力CD再生制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る省電力CD再生制御処理の動作例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る省電力CD再生制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るディスク再生装置の構成を示す。
図示するようにディスク再生装置1は、装着されたCDやDVDなどのディスク2に記録されているオーディオデータやビデオデータなどのAVデータを読み出すディスクドライブ101、ディスクドライブ101の動作を制御するディスクドライバ102、ディスクドライバ102を介してディスク2よりデータを読み出す読出制御部103、読出制御部103が読み出したデータが格納されるショックプルーフメモリ104、ショックプルーフメモリ104からデータが転送されるデータバッファ105、データバッファ105に格納されたデータを再生する再生処理部106、再生処理部106のデータ再生によって得られた画像、映像を表示する表示装置107、再生処理部106のデータ再生によって得られた音声を出力するスピーカ108、入力装置109、以上の各部を制御する制御部110とを備えている。
【0014】
ただし、ディスク再生装置1は、CPUやメモリや記憶装置その他の周辺装置を備えたコンピュータを用いて構成するようにしてもよく、この場合、ディスクドライバ102や読出制御部103や再生処理部106や制御部110は、CPUが記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものとして良い。また、ショックプルーフメモリ104は、メモリカードなどの外部記憶装置であってよい。
【0015】
また、このようなディスク再生装置1には、ディスク再生装置1が搭載された自動車の各種制御や状態管理を行うECU3や、当該自動車の移動方向/速度や地図データに基づく現在位置の算出を行うナビゲーション装置4が接続しており、ディスク装置の制御部110は、ECU3やナビゲーション装置4と通信を行って、各種情報をECU3やナビゲーション装置4から取得することができる。
【0016】
以下、このようなディスク装置の動作を、ディスクドライブ101にディスク2として装着されたCD-DAの再生を行う場合を例にとり説明する。
まず、ディスクドライブ101は、CD-DAの回転速度(線速度)のモードとして複数の速度モードを備えている。すなわち、ディスクドライブ101は、たとえば、CD-DAからのオーディオデータの読み出し/転送速度がCD-DAの規格上の速度である176.4KB/sとなる回転速度を1倍速とし、CD-DAからのオーディオデータの読み出し/転送速度が1倍速のN(≧2)倍となる回転速度をN倍速として、回転速度が1倍速となる1倍速モードと、回転速度がN倍速となるN倍速モードとを備えている。そして、ディスクドライブ101の速度モードは、ディスクドライバ102によって切り替え制御することができる。
【0017】
次に、読出制御部103は、CD-DAの再生時、ディスクドライバ102を介してディスクドライブ101に装着されたCD-DAからの再生開始位置以降のオーディオデータの読出と、ショックプルーフメモリ104への格納を行う。ここで、読出制御部103は、CD-DAからオーディオデータの読み出しにエラーが発生した場合、当該エラー発生部分のオーディオデータの再読出とショックプルーフメモリ104への再格納を行う。
【0018】
また、読出制御部103は、ショックプルーフメモリ104のオーディオデータの格納量が、所定再生時間分のオーディオデータ量となるまで、CD-DAからのオーディオデータの読出とショックプルーフメモリ104への格納を継続して行い、ショックプルーフメモリ104に、所定再生時間分のオーディオデータが格納されたならば、オーディオデータの読出、格納を一旦停止する。そして、以降は、ショックプルーフメモリ104のオーディオデータの格納量が、前記所定再生時間分のオーディオデータ量から所定量を減じた量となったならば、オーディオデータの読出、格納を再開し、ショックプルーフメモリ104のオーディオデータの格納量が、所定再生時間分のオーディオデータ量となるまで、CD-DAからのオーディオデータの読出とショックプルーフメモリ104への格納を行って、オーディオデータの読出、格納を一旦停止する動作を繰り返す。
【0019】
なお、このような読出制御部103によるCD-DAからオーディオデータの読み出しの速度は、当該時点でディスクドライブ101に設定されている速度モードに従った回転速度に応じた速度となる。
次に、再生処理部106は、CD-DAの再生時、ショックプルーフメモリ104からオーディオデータを順次取り出してデータバッファ105に一時格納すると共に、データバッファ105に格納したオーディオデータを順次取り出して再生しスピーカに出力する処理を行う。
【0020】
さて、次に、制御部110が行う省電力CD再生制御処理について説明する。
ここで、この省電力CD再生制御処理は、CD-DAの再生開始時に起動され実行が開始される。
図2に、省電力CD再生制御処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、現在、ディスク再生装置1が搭載されている自動車の状態が省電力動作条件を満たすかどうかを調べる(ステップ202)。
ここで、省電力動作条件としては、自動車が停車しているという条件、すなわち、自動車が停車しているときに満たされ、自動車が走行しているときに満たされないとする条件を用いる。ただし、省電力動作条件としては、自動車の車速が所定速度(たとえば、20Km/h)以下であるという条件、すなわち、自動車の車速が所定速度以下であるとき(車速0の停車中を含む)に満たされ、自動車が所定速度超で走行しているときに満たされないとする条件を用いるようにしてもよい。また、ディスク再生装置1が搭載されている自動車が、停車時のアイドリングストップ機能を備えた自動車である場合には、省電力動作条件としては、自動車がアイドリングストップしているという条件、すなわち、自動車がアイドリングストップしているときに満たされ、自動車がアイドリングストップしていないときに満たされないとする条件を用いるようにしてもよい。
【0021】
ここで、このような省電力動作条件の判定に必要な自動車の停車の有無の情報や、自動車の車速の情報や、自走車のアイドリングストップの有無の情報は、ECU3やナビゲーション装置4から取得する。
そして、省電力動作条件が満たされていれば(ステップ202)、ディスクドライバ102を介してディスクドライブ101に速度モードとして、ディスクドライブ101が対応している速度モードのうちの、1倍速以上の最も低速な回転速度で再生を行う速度モード(通常は、1倍速モード)である低速度モードを設定する(ステップ204)。
【0022】
一方、省電力動作条件が満たされていなければ(ステップ202)、ディスクドライバ102を介してディスクドライブ101に速度モードとして、ディスクドライブ101が対応している速度モードのうちの、予め定めたN(≧2)倍速以上の回転速度で再生を行う速度モードである高速度モードを設定する(ステップ208)。但し、高速度モードの回転速度は、低速度モードの回転速度よりも高速なもとする。
【0023】
そして、以降は、低速度モードを速度モードとして設定している期間中に、省電力動作条件が満たされなくなったならば(ステップ206)、ディスクドライバ102を介してディスクドライブ101に速度モードとして高速度モードを設定し(ステップ208)、高速度モードを速度モードとして設定している期間中に、省電力動作条件が満たされたならば(ステップ210)、ディスクドライバ102を介してディスクドライブ101に速度モードとして低速度モードを設定する(ステップ204)処理を繰り返す。
【0024】
以上、省電力CD再生制御処理について説明した。
このような省電力CD再生制御処理によれば、たとえば、省電力動作条件として、自動車が停車しているときに省電力動作条件が満たされ、自動車が走行しているときに省電力動作条件が満たされないとする条件を用いた場合、図3に示すように、ディスクドライブ101の速度モードは、自動車の走行中は高速度モードに設定され、自動車の停車中は低速度モードに設定される。
【0025】
ここで、高速度モードでは、低速度モードよりも高速にCD-DAからオーディオデータをショックプルーフメモリ104に読み込むことができるので、低速度モードよりも耐振性は強くなる。一方、低速度モードでは高速度モードよりも耐振性は弱くなるが、低速度モードは自動車が停車中にのみ設定され、当該停車中に大きな振動は生じないことが期待できる。よって、低速度モードの設定期間中においても、オーディオデータの再生出力に障害が生じないことが期待できる。
【0026】
ここで、ディスクドライブ101の消費電力は、低速度モードで動作している場合の方が、高速度モードで動作している場合よりも、ディスク2の回転速度や再生動作が遅くなる分小さくなる。よって、このように自動車の停車中に低速度モードを設定することにより、オーディオデータの再生出力に障害が生じないようにしつつ、ディスク再生装置1の消費電力を省電力化することができる。
【0027】
また、自動車の停車中は、自動車の走行による騒音が発生しないため、ディスクドライブ101のディスク2を回転駆動する音がユーザにとって、より耳障りになるが、ディスク2を回転駆動する音は、低速度モードで動作している場合の方が、高速度モードで動作している場合よりも小さくなる。よって、このように自動車の停車中に低速度モードを設定することにより、自動車の停車中の静音化を測ることができる。
【0028】
また、自動車の停車中は、ディスクドライブ101に装着するディスク2の交換を行うことが多いが、低速度モードで動作している場合の方が、高速度モードで動作している場合よりも、ディスクドライブ101がディスク2の停止、排出に要する時間が短縮できるので、このように自動車の停車中に低速度モードを設定することにより、速やかなディスク交換が可能となる。
【0029】
なお、省電力動作条件として、自動車がアイドリングストップしているときに省電力動作条件が満たされ、自動車がアイドリングストップしていないときに省電力動作条件が満たされないとする条件を用いる場合も、省電力動作条件として、自動車が停車しているときに省電力動作条件が満たされ、自動車が走行しているときに省電力動作条件が満たされないとする条件を用いる場合と同様である。
【0030】
また、省電力動作条件として、自動車が所定速度以下で走行しているときに省電力動作条件が満たされ、自動車が所定速度超で走行しているときに省電力動作条件が満たされないとする条件を用いる場合には、ディスクドライブ101の速度モードは、自動車の停車中や低速走行中は低速度モードに設定され、自動車の高速走行中は高速度モードに設定される。
【0031】
ここで、低速度モードでは高速度モードよりも耐振性は弱くなるが、低速度モードは自動車が停車中や低速走行中にのみ設定され、当該停車中に大きな振動は生じず、低速走行中にはディスクドライブ101の再生エラーを誘発する主要因である高周波の振動は生じないことが期待できる。よって、このようにした場合も、低速度モードの設定期間中においても、オーディオデータの再生出力に障害が生じないことが期待できる。よって、このようにしても、オーディオデータの再生出力に障害が生じないようにしつつ、ディスク再生装置1の消費電力を省電力化することができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態では、ディスクドライブ101の速度モードとして高速度モードを設定しているときも、低速度モードを設定しているときにも、読出制御部103がディスク2から読み出したデータをショックプルーフメモリ104に格納し、再生処理部106において、データバッファ105を介してショックプルーフメモリ104からデータを読み出して再生するようにしたが、これは低速度モードを設定しているときには、ショックプルーフメモリ104を用いずに、読出制御部103において、ディスク2から読み出したデータを直接データバッファ105に格納し、再生処理部106において、データバッファ105からデータを読み出して再生するように構成することもできる。
【0033】
すなわち、この場合には、図1に破線で示した経路で、読出制御部103がディスク2から読み出したデータを、直接、データバッファ105に格納できるようにディスク再生装置1を構成する。
そして、ディスク再生装置1に、ショックプルーフモードと無ショックプルーフモードとの二つの動作モードを設ける。そして、ショックプルーフモードが設定されている期間中は、上述のように、読出制御部103がディスク2から読み出したデータをショックプルーフメモリ104に格納し、再生処理部106において、データバッファ105を介してショックプルーフメモリ104からデータを読み出して再生するようにする。また、無ショックプルーフモードが設定されている期間中は、読出制御部103がディスク2から読み出したデータを、直接、データバッファ105に格納し、再生処理部106において、データバッファ105からデータを読み出して再生するようにする。また、無ショックプルーフモードが設定されている期間中は、ショックプルーフメモリ104への電力供給を停止し、さらなる省電力化を測る。
【0034】
ここで、このようにショックプルーフモードと無ショックプルーフモードとの二つの動作モードを設ける場合において、CD-DAの再生を行う場合には、制御部110は、上述した省電力CD再生制御処理を図4に示すように行う。
すなわち、この省電力CD再生制御処理において、制御部110は、現在、ディスク再生装置1が搭載されている自動車の状態が省電力動作条件を満たすかどうかを調べ(ステップ402)、省電力動作条件が満たされていないときにはステップ404に進む。
一方、省電力動作条件が満たされていれば(ステップ402)、ディスクドライバ102を介してディスクドライブ101に速度モードとして、低速度モードを設定する(ステップ412)。ただし、ここでは、低速度モードは1倍速の回転速度の速度モードとする。そして、ディスクドライブ101の低速度モードでの動作が安定し、データバッファ105への書き込みデータをシームレスに切り替え可能な状態となったならば(ステップ414)、無ショックプルーフモードを設定する(ステップ416)。ここで、データバッファ105への書き込みデータをシームレスに切り替え可能な状態とは、現在、ショックプルーフモードにおいて、ショックプルーフメモリ104からデータバッファ105へのオーディオデータの転送を行っている場合には、ショックプルーフメモリ104からデータバッファ105に転送されるオーディオデータの再生時間位置と、読出制御部103がCD-DAから読み出すオーディオデータの再生時間位置とが一致する状態を指す。また、現在が再生開始直後や再生トラックのスキップ発生の直後であって、ショックプルーフメモリ104からデータバッファ105へのオーディオデータの転送を行っていない場合には、無条件に、データバッファ105への書き込みデータをシームレスに切り替え可能な状態にあるとする。ここで、このように、データバッファ105への書き込みデータをシームレスに切り替え可能な状態となってから、動作モードを無ショックプルーフモードに切り替えることにより、ショックプルーフモードから無ショックプルーフモードへの切り替え時にも、再生処理部106において、シームレスにオーディオデータの再生を行えるようになる。
【0035】
そして、以降は、省電力動作条件が満たされなくなることを監視し(ステップ418)、省電力動作条件が満たされなくなった場合には、再生処理部106からスピーカへの音声出力を抑止する音声ミュートを設定し(ステップ420)、ステップ404に進む。
一方、このようにして、ステップ404またはステップ420からステップ404に進んだならば、ディスクドライバ102を介してディスクドライブ101に速度モードとして、高速度モードを設定し、ディスクドライブ101の高速度モードでの動作が安定したならばショックプルーフモードを設定し(ステップ406)、現在、音声ミュートが設定されている場合には、当該音声ミュートを解除する(ステップ408)。ここで、このように、ステップ420で音声ミュートを設定しステップ408で音声ミュートを解除するのは、無ショックプルーフモードにおいてデータバッファ105に最後に格納されたオーディオデータの再生時と、ショックプルーフモードにおいてショックプルーフメモリ104に最初に格納されるオーディオデータの再生時との間の、再生すべきオーディオデータが欠落する期間の発生によるノイズ音の出力を抑止するためである。
【0036】
そして、以降は、省電力動作条件が満たされることを監視し(ステップ410)、省電力動作条件が満たされたならばステップ412に進む。
このような省電力CD再生制御処理によれば、省電力動作条件が満たされていないときには、ディスクドライブ101の速度モードは高速度モードに設定されるが、省電力動作条件が満たされているときには、ディスクドライブ101の速度モードは低速度モードに設定されディスクドライブ101の省電力化が測られる。また、省電力動作条件が満たされていないときには、ショックプルーフモードが設定されショックプルーフメモリ104が使用されるが、省電力動作条件が満たされているときには、無ショックプルーフモードが設定され、ショックプルーフメモリ104への電力供給が停止され、ショックプルーフメモリ104の省電力化が測られることとなる。
【0037】
なお、以上では、CD-DAの再生を行う場合を中心に、ディスク再生装置1の動作について説明したが、以上のような省電力動作条件が満たされたときにディスクドライブ101に低速度モードを設定し、省電力動作条件が満たされないときに高速度モードを設定する動作は、CD-DAの再生を行う場合と同様に、CD-DA以外の種別のCDや、DVDに記録されているAVデータの再生を行う場合に同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…ディスク再生装置、2…ディスク、3…ECU、4…ナビゲーション装置、101…ディスクドライブ、102…ディスクドライバ、103…読出制御部、104…ショックプルーフメモリ、105…データバッファ、106…再生処理部、107…表示装置、108…スピーカ、109…入力装置、110…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載され、ディスクに記録されているデータを再生出力する車載ディスク再生装置であって、
装着されたディスクの回転速度のモードとして複数の異なる回転速度のモードを備えたディスクドライブと、
現在の自動車の状態が所定の省電力動作条件が満たされているか否かを判定する省電力動作条件判定部と、
ショックプルーフメモリと、
前記ショックプルーフメモリに格納されたデータを取り出して再生出力するデータ再生部と、
前記ショックプルーフメモリに前記データ再生部が再生するデータが所定量保持されるように、前記ディスクドライブを介して当該ディスクドライブに装着されたディスクからデータを読出して前記ショックプルーフメモリに格納する読出制御部と、
前記省電力動作条件判定部が前記省電力動作条件が満たされていないと判定しているときに、前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして第1のモードを設定し、前記省電力動作条件判定部が前記省電力動作条件が満たされていると判定しているときに、前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして前記第1のモードよりも前記回転速度が低速な第2のモードを設定する回転速度モード制御部とを有し、
前記省電力動作条件判定部は、前記省電力動作条件として、前記自動車が停車しているときに満たされ、前記自動車が停車しているときに満たされない第1の条件を用いることを特徴とする車載ディスク再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載ディスク再生装置であって、
前記省電力動作条件判定部は、前記省電力動作条件として、前記第1の条件に代えて、前記自動車の車速が所定速度以下であるときに満たされ、前記自動車の車速が前記所定速度を超えるときに満たされない第2の条件を用いることを特徴とする車載ディスク再生装置。
【請求項3】
請求項1記載の車載ディスク再生装置であって、
前記自動車は停車時のアイドリングストップ機能を備えた自動車であって、
前記省電力動作条件判定部は、前記省電力動作条件として、前記第1の条件に代えて、前記自動車がアイドリングをストップしているときに満たされ、前記自動車がアイドリングをストップしていないときに満たされない第3の条件を用いることを特徴とする車載ディスク再生装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の車載ディスク装置であって、
前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして前記第2のモードが設定されているときには、前記データ再生部は、前記読出制御部が前記ディスクドライブに装着されたディスクから読み出したデータをショックプルーフメモリを介さずに前記読出制御部から取得して再生し、前記ショックプルーフメモリへの電力供給は停止されることを特徴とする車載ディスク再生装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の車載ディスク再生装置であって、
前記ディスクは、前記データとしてオーディオデータを記録したCD-DAであることを特徴とする車載ディスク再生装置。
【請求項6】
請求項4記載の車載ディスク再生装置であって、
前記ディスクは、前記データとしてオーディオデータを記録したCD-DAであり、前記第2のモードの回転速度は、前記ディスクドライブが、前記データ再生部の前記オーディオデータの再生レート相当のレートで前記ディスクに記録されているオーディオデータを読み出す回転速度であることを特徴とする車載ディスク再生装置。
【請求項7】
自動車に搭載されたコンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータは、前記コンピュータを、ディスクに記録されているデータを再生出力する車載ディスク再生装置として機能させ、
当該車載ディスク再生装置は、
装着されたディスクの回転速度のモードとして複数の異なる回転速度のモードを備えたディスクドライブと、
現在の自動車の状態が所定の省電力動作条件が満たされているか否かを判定する省電力動作条件判定部と、
ショックプルーフメモリと、
前記ショックプルーフメモリに格納されたデータを取り出して再生出力するデータ再生部と、
前記ショックプルーフメモリに前記データ再生部が再生するデータが所定量保持されるように、前記ディスクドライブを介して当該ディスクドライブに装着されたディスクからデータを読出して前記ショックプルーフメモリに格納する読出制御部と、
前記省電力動作条件判定部が前記省電力動作条件が満たされていないと判定しているときに、前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして第1のモードを設定し、前記省電力動作条件判定部が前記省電力動作条件が満たされていると判定しているときに、前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして前記第1のモードよりも前記回転速度が低速な第2のモードを設定する回転速度モード制御部とを有し、
前記省電力動作条件判定部は、前記省電力動作条件として、前記自動車が停車しているときに満たされ、前記自動車が停車しているときに満たされない第1の条件を用いることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のコンピュータプログラムであって、
前記省電力動作条件判定部は、前記省電力動作条件として、前記第1の条件に代えて、前記自動車の車速が所定速度以下であるときに満たされ、前記自動車の車速が前記所定速度を超えるときに満たされない第2の条件を用いることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項7記載のコンピュータプログラムであって、
前記自動車は停車時のアイドリングストップ機能を備えた自動車であって、
前記省電力動作条件判定部は、前記省電力動作条件として、前記第1の条件に代えて、前記自動車がアイドリングをストップしているときに満たされ、前記自動車がアイドリングをストップしていないときに満たされない第3の条件を用いることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項7、8または9記載のコンピュータプログラムであって、
前記ディスクドライブの前記回転速度のモードとして前記第2のモードが設定されているときには、前記データ再生部は、前記読出制御部が前記ディスクドライブに装着されたディスクから読み出したデータをショックプルーフメモリを介さずに前記読出制御部から取得して再生し、前記ショックプルーフメモリへの電力供給は停止されることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−38404(P2012−38404A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180437(P2010−180437)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)