説明

車載情報機器

【課題】情報記録媒体の挿脱口の位置を認識しやすくした車載情報機器を提供する。
【解決手段】開閉式表示部8が開位置に移動して、情報機器本体2の前面に開口したディスク挿脱口、メディア挿脱口6およびボタン7が露出したときに、表示画面9が発する光を立壁部4内壁の反射面4aで反射させてディスク挿脱口などを照らす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示部をスライド移動して情報記録媒体の挿脱口を露出させる構成の車載情報機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムおよびオーディオシステムなどの車載情報機器は、夜間走行時に車室内が暗闇となることから、ユーザがDVD(Digital Versatile Disc)およびCD(Compact Disc)などの情報記録媒体の挿脱口の位置を視認しにくい。そこで従来はLED(Light Emitting Diode)などの光源、LEDの光を挿脱口に導光するプリズム、LEDを点灯制御する電子回路基板などを配置して、挿脱口を照らし位置を明示していた。このため、部品費および組立費などのコストが高くなるという問題があった。
【0003】
これに対し、特許文献1に係る車載装置は、前面部に情報記録媒体の挿脱口を有する読取装置と、通常は起きた状態にあって読取装置の前面部を隠し、情報記録媒体の出し入れ時には読取装置の前面で伏した状態になって挿脱口を露出させる表示装置とを具備し、挿脱口を露出させるべく表示装置が伏した状態になると、表示装置のバックライトを制御して輝度を高め、表示装置の画面から放射される光により挿脱口を直接照らすようにして、位置を明示する。この構成であれば、車載装置がもともと具備する表示装置の光を利用できるので、挿脱口照明用の光源を設置する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−212507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の車載装置は以上のように構成されているので、情報記録媒体の挿脱口を照らすための光源、プリズムなどを省略してその分のコストを抑制できるが、表示装置のバックライト輝度を制御する必要があるのでシステムが複雑になるという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、低コストかつ簡易に挿脱口を照らし、挿脱口の位置を認識しやすくした車載情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る車載情報機器は、情報機器本体の前面に開口した情報記録媒体の挿脱口と、発光する表示画面を有し、情報機器本体の前面側にあって挿脱口を覆う閉位置、および一端を前方にスライドさせ挿脱口を露出させる開位置に開閉自在な表示部と、情報機器本体の前面から前方へ突設され、閉位置にある表示部の側面の少なくとも一部を覆うように収容し、開位置にある表示部が発する光を挿脱口へ反射する立壁部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、閉位置にある表示部を収容する立壁部が、開位置にある表示部の発する光を挿脱口へ反射させるようにしたので、低コストかつ簡易に挿脱口を照らし、挿脱口の位置を認識しやすくした車載情報機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載情報機器の外観斜視図であり、開閉式表示部が開位置にある状態を示す。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車載情報機器の外観斜視図であり、開閉式表示部が閉位置にある状態を示す。
【図3】図1に示す状態の車載情報機器を前方の開閉式表示部側からみた正面図である。
【図4】図1に示す状態の車載情報機器のうち、開閉式表示部およびサブパネルを切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1および図2に示すように、本実施の形態1に係る車載情報機器1は、前面にサブパネル3が固定された情報機器本体2と、サブパネル3の前面に開口したディスク挿脱口5(図1および図2では隠れて見えない)およびメディア挿脱口6と、サブパネル3の前面に設けられたボタン7と、サブパネル3の前面側に配置されるメインパネルであり表示画面9を設けた開閉式表示部8とを備えるカーナビゲーション装置である。
【0011】
図3に、開閉式表示部8が開位置にある状態の車載情報機器1を正面から見た様子を示す。サブパネル3の前面には、CD、DVDなどディスク状の情報記録媒体(以下、ディスク)を挿し入れたり取り出したりするディスク挿脱口5と、SDメモリーカード、マルチメディアカードなどカード状の情報記録媒体(以下、メディア)を挿し入れたり取り出したりするメディア挿脱口6とが開口している。ボタン7は、ディスク挿脱口5からディスクを排出させるためのボタンである。また、サブパネル3の各辺には立壁部4が突設されている。
【0012】
開閉式表示部8は、バックライト光源を持つ液晶ディスプレイ、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどで構成される表示装置であり、その前面には光を発する表示画面9が設けられている。この表示画面9には地図、ナビゲーションのメニュー、再生音楽情報などが表示されることになる。
【0013】
往復駆動部10は、開閉式表示部8の下端側に回動自在に連結し、開閉式表示部8を図1に示す開位置と図2に示す閉位置に移動させ開閉させる。往復駆動部10を駆動して開閉式表示部8を開閉させる機構は、公知の機構を用いればよいのでここでは詳細な説明を省略する。
【0014】
図2に示す閉位置にある開閉式表示部8は、その側面を立壁部4に覆われるようにして収容されている。開閉式表示部8の前面に配置されたスイッチをユーザが押すなど所定の操作が行われると、往復駆動部10がサブパネル3の前方へ進み、開閉式表示部8の下端側を前方にスライドさせながら上端側を下方にずらすように回動させて、メディア挿脱口6などを露出させる開位置(図1)に移動させる。図1および図3に示すように開閉式表示部8が開位置に移動すると、サブパネル3の前面に設けられたディスク挿脱口5、メディア挿脱口6およびボタン7が露出し、ディスクおよびメディアの挿脱ができるようになる。
【0015】
自動車などの車室内は夜間走行時に暗闇となることから、ユーザは、特に夜間走行時にディスク挿脱口5、メディア挿脱口6およびボタン7の位置を認識しにくくなる。そこで、本実施の形態1では開位置にある開閉式表示部8の表示画面9が発する光を、表示画面9の上方にある立壁部4の内壁面(以下、反射面4aと称す)で反射させて、反射光によってディスク挿脱口5、メディア挿脱口6およびボタン7の付近を照らすことで、ユーザにそれらの位置を認識させる。
【0016】
図4に、サブパネル3と開位置の開閉式表示部8とを切断した断面図を示す。図4に示すように開位置にある開閉式表示部8の表示画面9が発する光を、立壁部4の内壁の反射面4aに反射させて、ディスク挿脱口5をはじめ不図示のメディア挿脱口6、ボタン7などを照らす。
【0017】
本実施の形態1の構成では表示画面9を光源として利用するので、ディスク挿脱口5およびメディア挿脱口6を照らすための光源およびプリズムなどは不要であり、部品費の削減、組立工数の削減、および低消費電力化を行うことが可能である。
また、開閉式表示部8が開位置にあるとき、通常、表示画面9にはディスクまたはメディアの挿入または排出を促すメッセージ画面などが表示されることになるので、表示画面9は発光している。従って、開閉式表示部8のバックライト光源の輝度制御など挿脱口照明用に特別な制御は不要であり、システムが複雑化することもない。また、ディスクおよびメディアの挿脱口だけでなく、ボタン7なども反射光に照らされるようになるので、ボタン7内に光源を組み込んで発光させるなどの機構も必要もない。
【0018】
さらに、反射面4aを鏡面仕上げにすれば、反射面4aで正反射する反射光をより明るくできる。それによって、ユーザはディスク挿脱口5などの位置がさらに認識しやすくなる。また、鏡面仕上げ以外の方法を用いて反射面4aの反射率を高めてもよく、例えば高光沢塗装(例えばピアノブラック調塗装)を施すことにより、反射面4aの反射率を上げ、視認性を向上させることも可能である。また、メッキまたは真空蒸着を反射面4aに施したり、高反射シート(白色など)を貼り付けたりすることでも同様の効果がある。
【0019】
また、反射面4aをぎざぎざ形状の粗面にして、表示画面9の光を拡散反射させて反射光を広げ、より広範囲を照明することで操作性を向上することも可能である。
また、反射面4aは、立壁部4のうちの上側の内壁面のみに限定されるものではなく、立壁部4の側方の内壁面も鏡面仕上げを施すなどして反射面として利用可能である。
さらに、サブパネル3を白色の樹脂で構成して、反射率を高めてもよい。
【0020】
図1および図3に示す開位置にある開閉式表示部8に対して所定の操作が行われると、往復駆動部10がサブパネル3の後方へ退き、開閉式表示部8の下端側を後方にスライドさせながら上端側を上方にずらして回動させ、ディスク挿脱口5などを覆う閉位置(図2)に移動させる。
【0021】
以上より、実施の形態1に係る車載情報機器1は、情報機器本体2の前面に取り付いたサブパネル3に開口したディスク挿脱口5およびメディア挿脱口6と、発光する表示画面9を有し、情報機器本体2の前面側にあってディスク挿脱口5およびメディア挿脱口6を覆う閉位置、および一端を前方にスライドさせディスク挿脱口5およびメディア挿脱口6を露出させる開位置に開閉自在な開閉式表示部8と、情情報機器本体2に取り付いたサブパネル3の前面から前方へ突設され、閉位置にある開閉式表示部8の側面を覆うように収容し、開位置にある開閉式表示部8が発する光をディスク挿脱口5およびメディア挿脱口6へ反射する立壁部4とを備えるように構成した。このため、開閉式表示部8を収容する立壁部4の内壁面を反射面4aにして表示画面9の光をディスク挿脱口5などへ反射させることができる。従って、低コストかつ簡易に挿脱口を照らし、挿脱口の位置を認識しやすくした車載情報機器を提供することができる。
【0022】
また、実施の形態1によれば、立壁部4の反射面4aを、鏡面仕上げ、高光沢塗装、メッキ、真空蒸着、反射シート貼付のいずれかが施された構成にしたので、反射率を上げて視認性を向上させることができる。
【0023】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。例えば、図示例では開閉式表示部8の上下左右の4側面を覆うように、立壁部4を4面で構成したが、少なくとも反射面4aになる面があれば足りる。またサブパネル3も、情報機器本体2の前面を覆う面を省略して、開閉式表示部8の側面の少なくとも一部を覆う立壁部4だけの形状にして情報機器本体2の前面に取り付けてもよい。
【0024】
また例えば、図示例では開閉式表示部8の下端側が前方にスライドして開位置へ移動し、車載情報機器1の下方にある表示画面9が発する光を立壁部4の天井側内壁の反射面4aで反射する構成にしたが、これに限定されるものではなく、開閉式表示部8の上端側を前方にスライド移動して開位置とし、車載情報機器1の上方に移動して下向きとなった表示画面9が発する光を立壁部4底面側の内壁面で反射する構成にしてもよい。あるいは、開閉式表示部8の一方の側端側を前方にスライド移動して開位置とし、車載情報機器1の一方の側方に移動して内向きとなった表示画面9が発する光を他方の側方にある立壁部4の内壁面で反射する構成にしてもよい。
【0025】
また例えば、開位置にある開閉式表示部8の傾斜姿勢も図示例に限定されるものではなく、図1に示す傾斜角度からさらにスライド移動させて、サブパネル3前面と表示画面9がなす角度が直角になる姿勢に開閉式表示部8を開いてもよい。この場合にも、表示画面9が発する光を反射面4aで反射させディスク挿脱口5などを照らすことができる。
【0026】
また、本願発明は、カーナビゲーション装置に限らず、開閉式の表示部を持ち、かつ、その表示部の背後にディスクおよびメディアなどの挿脱口ならびにボタンを配置したカーオーディオ装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 車載情報機器、2 情報機器本体、3 サブパネル、4 立壁部、4a 反射面、5 ディスク挿脱口、6 メディア挿脱口、7 ボタン、8 開閉式表示部、9 表示画面、10 往復駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報機器本体の前面に開口した情報記録媒体の挿脱口と、
発光する表示画面を有し、前記情報機器本体の前面側にあって前記挿脱口を覆う閉位置、および一端を前方にスライドさせ前記挿脱口を露出させる開位置に開閉自在な表示部と、
前記情報機器本体の前面から前方へ突設され、閉位置にある前記表示部の側面の少なくとも一部を覆うように収容し、開位置にある前記表示部が発する光を前記挿脱口へ反射する立壁部とを備える車載情報機器。
【請求項2】
前記立壁部の少なくとも一部は、鏡面仕上げ、高光沢塗装、メッキ、蒸着、反射シート貼付のいずれかが施されていることを特徴とする請求項1記載の車載情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−108033(P2012−108033A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257827(P2010−257827)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】