説明

車載機器制御装置

【課題】車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る車載機器制御装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノード(S)と、このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように機器を制御する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器制御装置に係り、特に、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員の携帯電話機の数または電話番号に基づいて車載機器の動作を自動調整する車載機器の自動調整装置が知られている(特許文献1)。
また、車室内温度センサによる空調制御する車両の空調システムが知られている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−312391号公報
【特許文献2】特開2004−291679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の機器制御装置は、車両内の全体の状況及び各部の相互関係を見ながら、車載の機器を制御することが出来なかった。
【0005】
例えば、空調装置では車両内の温度分布をも考慮した制御はなされておらず、ドライバー、助手席の乗員、他の乗員、或いは、子供といった区別なく、空調を効かせるものであった。
【0006】
また、例えば、ナビゲーション装置、パワーシート、パワーウィンドウなどの機器は、ドライバー、助手席の乗員、他の乗員、或いは、子供といった区別なく制御されてきており、車両内の乗員の状況を見ながら、それらの機器を制御することがなされていなかった。
【0007】
さらに、特許文献2のような従来の車室内温度センサにより空調制御するものは、車室内の各部の状態を検出し、全体の温度分布を考慮しながら各部の状態に応じた制御をすることが出来ない、という問題を有していた。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る車載機器制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明は、車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように機器を制御する制御手段と、を有することを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノードが車室内の異なる複数の位置に配置され且つネットワークを形成し、これらのネットワークの各センサーノードにより得られるデータに基づいて目標制御量を算出して機器を制御するものであるので、車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、さらに、状況検出センサー部による検出データを記憶する記憶手段を有し、目標制御量算出手段は、この記憶手段により記憶されたデータに基づいて目標制御量を算出する。
このように構成された本発明においては、記憶手段により記憶されたデータを使用して目標制御量を算出するので、より精度のよい目標制御量が得られる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、さらに、目標制御量算出部により算出された目標制御量を記憶する目標制御量記憶手段を有し、制御手段は、この目標制御量記憶手段により記憶されている目標制御量が得られるように上記機器を制御する。
このように構成された本発明においては、目標制御量記憶手段により記憶されたデータを使用して機器を制御するので、より精度のよい制御が可能となる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、目標制御量算出手段は、上記センサーノードのデータ処理部である。
このように構成された本発明においては、各々のセンサーノードを使用して目標制御量を算出することが出来る。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、さらに、所定のデータ処理部を含み複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、目標制御量算出手段は、ゲートウェイポイントのデータ処理部である。
このように構成された本発明においては、各センサーノードから得られる複数のデータを基にゲートウェイポイントで目標制御量を算出するので、各センサーノードのデータを総合的に考慮したより精度のよい機器制御が可能となる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、さらに、所定の機器制御部を含み複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、制御手段は、ゲートウェイポイントの機器制御部である。
このように構成された本発明においては、各センサーノードから得られる複数のデータを基にゲートウェイポイントで機器の制御を行うので、各センサーノードのデータを総合的に考慮したより精度のよい機器制御が可能となる。
【0016】
また、本発明において、好ましくは、さらに、所定のメモリ部を含み複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、記憶手段及び/又は目標制御量記憶手段はゲートウェイポイントのメモリ部である。
このように構成された本発明においては、ゲートウェイポイントのメモリ部を利用して、センサーノードのネットワークを有効に利用した機器制御が可能となる。
【0017】
また、本発明において、好ましくは、記憶手段及び/又は目標制御量記憶手段はセンサーノードのメモリ部である。
このように構成された本発明においては、センサーノードのメモリ部を利用して、センサーノードのネットワークを有効に利用した機器制御が可能となる。
【0018】
また、本発明において、好ましくは、ネットワーク形成手段は、アドホック機能及び/又はマルチホップ機能を有する。
このように構成された本発明においては、より精度の良いネットワークを構築することが出来る。
【0019】
また、本発明において、好ましくは、機器は複数の送風口を有する空調制御装置であり、複数のセンサーノードの状況検出センサー部はそれぞれ車室内の温度を検出する温度センサーを有し、制御手段は、これらの温度センサーのデータに基づいて車室内が所定の温度分布となるように空調制御装置を制御する。
このように構成された本発明においては、車室内の各部の状態として複数のセンサーノードによる複数箇所の温度を検出し、全体の温度分布を考慮しながら、例えば、複数の送風口から送風される空気の量や温度を制御することが出来る。
【0020】
また、本発明において、好ましくは、温度センサーは、高速型温度センサー及び低速型温度センサーを有し、記憶手段又は目標制御量記憶手段は、所定の温度分布の目標制御量として時系列温度特性データを記憶しており、目標制御量算出手段は、この時系列温度特性データを目標制御量として参照し、制御手段は、この時系列温度特性データの温度特性が得られるように空調制御装置を制御する。
このように構成された本発明においては、温度センサーは、高速型温度センサー及び低速型温度センサーを有し、所定の温度分布の目標制御量として時系列温度特性データが参照され、この時系列温度特性データの温度特性が得られるように空調制御装置が制御されるので、乗員にとって車室内をより快適な温度分布に制御可能である。
【0021】
また、本発明において、好ましくは、目標制御量算出手段は、複数のセンサーノード間の温度差のデータに基づいて車内が所定の温度分布となるように目標制御量を算出し、制御手段は、その目標制御量が得られるように空調制御装置の複数の送風口から送風される空気の温度を制御する。
このように構成された本発明においては、複数のセンサーノード間の温度差のデータに基づいて車内が所定の温度分布となるように目標制御量が算出され、その目標制御量が得られるように空調制御装置の複数の送風口から送風される空気の温度が制御されるので、乗員にとって車室内をより快適な温度分布に制御可能である。
【0022】
また、本発明において、好ましくは、複数のセンサーノードの状況検出センサー部はそれぞれ乗員のシートへの着座を検出する着座センサーを有し、目標制御量算出手段は、着座センサーにより得られる着座人数及び/又は着座位置に基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する。
このように構成された本発明においては、乗員の配置或いは人数をも考慮して機器を制御可能である。
【0023】
また、本発明において、好ましくは、機器は複数の送風口を有する空調制御装置であり、目標制御量算出手段は、着座センサーにより得られる着座人数及び/又は着座位置に基づいて車内の温度分布の目標制御量を算出する。
このように構成された本発明においては、乗員の配置或いは人数をも考慮して、車室内をより快適な温度分布に制御可能である。
【0024】
また、本発明において、好ましくは、センサーノードは、さらに、乗員を識別可能な識別IDを有する携帯端末を検出する携帯端末検出部を有し、車載機器制御装置は、さらに、乗員の識別ID毎に乗員に適した所定の状況のデータを記憶した記憶手段を有し、目標制御量算出手段は、所定の状況のデータに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出する。
このように構成された本発明においては、乗員の識別ID毎に乗員に適した所定の状況のデータに基づいて機器が制御されるので、その識別IDを有する乗員に適した機器の制御が可能である。
【0025】
また、本発明において、好ましくは、目標制御量算出手段は、所定の状況のデータに基づいて機器を制御するための目標制御量を算出すると共に、センサーノードのネットワークを通じて他の識別IDにおける目標制御量を得ると共に互いに比較して大きな差があるときには各識別ID間で目標制御量を調整する。
このように構成された本発明においては、各識別IDごとに目標制御量を算出するのであるが、センサーノードのネットワークを利用して各識別IDごとの目標制御量が大きく異なる場合などに各識別ID間で目標制御量を調整するので、例えば機器が空調装置の場合、車室内で調和のとれた空調制御が可能となる。
【0026】
また、本発明において、好ましくは、機器は複数の送風口を有する空調制御装置であり、車載機器制御装置は、さらに、乗員に適した所定の状況として複数の送風口からの送風量及び/又は送風温度のデータが記憶された記憶手段を有し、目標制御量算出手段は、このデータに基づいて上記目標制御量を算出する。
このように構成された本発明においては、識別IDを有する乗員にとって適した空調装置の制御が可能であり、乗員にとって快適な、送風口からの送風量及び/又は送風温度を得ることが出来る。
【0027】
また、本発明において、好ましくは、複数のセンサーノードの状況検出センサー部はそれぞれ乗員のシートへの着座を検出する着座センサーを有し、目標制御量算出手段は、空調制御装置の送風口からの送風量及び/又は送風温度のデータと共に、着座センサーにより得られる着座人数及び/又は着座位置に基づいて目標制御量を算出する。
このように構成された本発明においては、乗員の配置或いは人数をも考慮して、車室内をより快適な温度分布に制御可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の車載機器制御装置によれば、車両内の全体の状況を考慮して車載機器を制御することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
先ず、図1乃至図7により、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置の基本構成を説明する。図1は、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図であり、図2は、本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図であり、図3は、車載機器制御装置のセンサーノードを示すブロック図であり、図4は、ゲートウェイポイントを示すブロック図であり、図5は、携帯端末を示すブロック図であり、図6は、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図であり、図7は、携帯端末、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【0030】
先ず、図1及び図2に示すように、車両には、複数のセンサーノードSN及びゲートウェイポイントGが搭載されている。ゲートウェイポイントGは、本実施形態では、ナビゲーション装置に内蔵されたCPU、メモリ及び無線通信インターフェースで構成される。
図1に示すように、ゲートウェイポイントGには、機器D(本実施形態では、複数の送風口を有する空調機器)が接続され、ゲートウェイポイントGの後述する機器制御部により各送風口から送出される空気の温度及び量が制御される。
【0031】
センサーノードSNはコイン大の大きさで比較的薄いものであり、車室内の様々な部位に取り付けることが出来るものである。本実施形態では、図2に示すように、各座席のシート内や各座席に対応したルーフ部分などに複数設けられている。この図2に示すように、センサーノードSNは3次元的に配置することが出来る。これらのセンサーノードSNは、互いに無線でネットワーク(図1の符号N)(図6参照)を形成する。
【0032】
ゲートウェイポイントGは、各センサーノードSNからの無線通信による情報を受けて、車載機器、例えば、ナビゲーション装置のナビ機能とテレビ機能の操作の制限や、空調装置の各座席に応じた冷暖の調整などを行う(図6参照)。本実施形態では、ゲートウェイポイントGは、センサーノードSNと情報(信号)の送受信を行うほか、各座席の目標温度の算出や各座席に対応した空調装置の制御量の算出を行う。このゲートウェイポイントGも、上述した複数のセンサーノードSNと無線でネットワーク(図6参照)を形成する。
【0033】
図3に示すように、各センサーノードSNには、例えばボタン電池のような電源、CPUであるプロセッサー、及び、センサーノードSNに内蔵され或いはその外部に取り付けられる各種センサーを有する。センサーは、本実施形態では、温度センサー及び圧力センサーである。圧力センサーは、乗員の着座を検知する着座センサーとして機能する。また、センサーノードSNには、他のセンサーノードSN、携帯電話のような携帯端末M及び後述するゲートウェイポイントGと無線通信可能なインターフェースを有する。
【0034】
また、センサーノードSNには、メモリが搭載されており、このメモリには、圧力センサーの情報を処理したり他の携帯端末Mや他のセンサーノードSNとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。
【0035】
このセンサーノードSNのメモリは、そのセンサーノードSNのセンサーによる検出結果を記憶するようになっている。このセンサーノードSNのプロセッサー(データ処理部)は、センサーによる検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出する。この算出は、センサーによる検出結果をそのまま使用して行っても良いし、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶された検出結果を使用して行われる。また、センサーノードSNのプロセッサーは、所定のデータベースに記憶された検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出することも出来る。所定のデータベースは、センサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに備えられるものである。
【0036】
算出された目標制御量は、後述するように、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部で使用され、ゲートウェイポイントGの機器制御部がその目標制御量が得られるように機器Dを制御する。また、算出された目標制御量は、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶され、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部がその記憶された目標制御量を使用して、機器制御部によりその目標制御量が得られるように機器Dを制御するようにしても良い。
【0037】
このようなセンサーノードSNの通信方式として、例えば、「ZigBee」といわれるものがある。これは、規格が「IEEE802.15.4」、伝送速度(bps)が「250K」、利用周波数帯が「2.4GHz(全世界)、868MHz(欧州)、915MHz(米国)」、伝送距離が「最大10-75m」、消費電力(通信)が「<60mW」のものである。これ以外にも、方式として、「微弱無線」、「特定小電力無線」、「Bluetooth」、「UWB」などの他の方式もある。
【0038】
図4に示すように、ゲートウェイポイントGには、車両のバッテリーから引き出される電源、CPUであるプロセッサー、複数のセンサーノードSNと無線通信可能なインターフェース、メモリ、及び、機器制御部を有する。このメモリには、センサーノードSNや携帯端末Mとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。
【0039】
ゲートウェイポイントGは、各センサーノードSN及びそのネットワークから得られる情報を集中管理すると共に外部の機器、例えば、空調機器、ナビゲーション装置、電動シート装置、パワーウィンドウなどを制御する。また、ゲートウェイポイントGや携帯端末Mを通して車両の外部のサーバーに情報を蓄積することも可能である。
また、ゲートウェイポイントGには、例えば、携帯端末MのIDなどの情報を記憶させることも出来る。なお、そのような情報を各センサーノードSNに記憶させても良い。
【0040】
このゲートウェイポイントGのメモリは、そのセンサーノードSNのセンサーによる検出結果を記憶するようになっている。このゲートウェイポイントGのプロセッサー(データ処理部)は、センサーノードSNのセンサーによる検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出する。この算出は、センサーによる検出結果をそのまま使用して行っても良いし、上述したセンサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに記憶された検出結果を使用して行われる。また、ゲートウェイポイントGのプロセッサーは、上述した所定のデータベース、即ち、センサーノードSNのメモリ、或いは、ゲートウェイポイントのメモリに備えられたデータベースに記憶された検出結果に基づいて機器Dを制御するための目標制御量を算出することも出来る。
【0041】
算出された目標制御量は、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部で使用され、ゲートウェイポイントGの機器制御部がその目標制御量が得られるように機器Dを制御する。また、センサーノードSNのメモリ、或いは、後述するゲートウェイポイントのメモリに記憶された目標制御量を、ゲートウェイポイントGのプロセッサー及び機器制御部が使用して、機器制御部によりその目標制御量が得られるように機器Dを制御するようにしても良い。
【0042】
図5に示すように、携帯端末Mには、携帯電話基盤ミドルウェアと、CPUであるプロセッサー、複数のセンサーノードSNと無線通信可能なインターフェース、及び、メモリを有する。このメモリには、センサーノードSNとの信号の入出力を行うためのプログラムが内蔵されたソフトウェアが記憶されている。ソフトウェアは、オペレーティングソフトウェアと、アプリケーションソフトウェアとからなり、オペレーティングソフトウェアには、オペレーティングシステムが含まれ、アプリケーションソフトウェアにはプログラムモジュールが含まれる。また、メモリには、アプリケーションデータが記憶されている。この携帯端末Mも、上述した複数のセンサーノードSNと無線でネットワーク(図7参照)を形成する。
【0043】
次に、センサーネットワークの概念について説明する。
上述したように、センサーノードSNに、所定のセンシングを行うセンサーの他に、メモリ、アプリケーション、無線機能などが内蔵されている。このセンサーノードSNは、センサーにより得られた情報を保持出来るほか、無線により他のセンサーノードSNに伝送することが出来る。そのような機能により、或るセンサーノードSNは、他のセンサーノードSNの情報、即ち、他のセンサーノードSNが有するセンサーにより得られた情報や記憶されている情報を得ることも出来る。このようにして、複数のセンサーノードSNがネットワークでつながっており(図6参照)、仮に1つのセンサーノードSNが故障などしても、他のセンサーノードSNでネットワークを形成することが出来る。これにより、配線でつながっている車内LANとは異なり、配線の不要なネットワークを形成することが出来る。また、或る位置のセンサーノードSNの情報を他のセンサーノードSNの情報と共に多角的に得ることが出来る。
【0044】
このようなセンサーネットワークによれば、例えば、車内の空調機器を制御する際において、車内の片側から日が当たっている場合に、日が当たっている乗員の方の送風を日が当たっていない乗員の送風よりも温度を低くすることが出来る。また、ナビゲーション、電動シート、パワーウインドウも同様に、乗員の着座位置により制御の内容を変更するようにしても良い。
【0045】
また、例えば、空調機器では、人により体感温度が異なるため、後述するように各乗員が有する携帯端末Mを利用してその携帯端末MをセンサーノードSNで検知することにより誰がどこに着座したかを情報として把握して、その乗員毎に適切な温度が得られるようにすることなどが出来る。また、ナビゲーション、電動シート、パワーウインドウも同様に、携帯端末Mにより、各乗員に適した車載機器の制御を行うようにしても良い。
【0046】
次に、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する方法を説明する。
これは、携帯端末Mを有するユーザーが乗車した場合、ユーザーの着座した位置情報を正確に検出するものであり、或いは、例えばシートにセンサーノードSNが取り付けられている場合、シート自体が多様なアレンジで位置が変更される場合に、位置の変更されたセンサーノードSNの位置を正確に検出するものである。
【0047】
先ず、第1の方法である、「受信したビーコンノードの重心計算」によるものを説明する。
ここで、ビーコンノードとは、所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSN或いは携帯端末Mであり、ノードとは、位置の分かっていないセンサーノードSNや携帯端末Mであり、ランドマークとは、位置が分かっていて所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSNや携帯端末Mである。ビーコンとは、位置情報を含む電波信号である。
【0048】
この重心計算によるCentroid(重心)測定では、位置を予め分かっているランドマークが、定期的に自らの位置情報を含んだビーコンをブロードキャストで近隣のノードに送信する。ランドマークからのビーコンは、球状に送信されると仮定しており、受信電波強度を考慮しないものになっている。さらに、ランドマークが多く存在していることを想定している。位置が分かっていないノードは、ビーコンに含まれる位置情報から周りに存在するランドマークの位置を知ることが出来る。N台のランドマークの位置(Xi,Yi)が取得できた場合、下記の式(1)で重心(Xest,Yest)を計算する。

【0049】
この第1の方法を図8及び図9により説明する。
図8は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法を示すフローチャートであり、図9は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法の一例を示す図である。図8において、Sはステップを表す。
図8に示すように、先ず、第1の方法による位置検出処理では、S1において、他のセンサーノードSN或いは携帯端末Mの位置の信号を受信する。次に、S2において、上述した式(1)により重心を算出する。次に、S2で算出した重心を自位置と設定する。このようにして、例えば、図9に一例を示すように、重心(Xest,Yest)が求まる。
【0050】
次に、第2の方法である、「受信したビーコンノードのホップ数計算」によるものを説明する。
ここで、ノードとは、位置の分かっていないセンサーノードSNや携帯端末Mであり、ランドマークとは、位置が分かっていて所定の位置情報を送受信することが出来るセンサーノードSNや携帯端末Mである。
【0051】
このDV-Hop測定では、ランドマークからのホップ数と1ホップの平均距離の情報から、各ノードからランドマークまでの距離を見積もる。3台以上のランドマークからの距離を見積り、多角測定により自らの位置を算出する仕組みになっている。
【0052】
先ず、第1段階として、各ノードは、ネットワーク内のランドマークからのホップ数を知る(ホップカウンタを参照する)。ランドマークは自分の位置情報を含んだバケットをフラッディングする。また、このバケットには、中継する度にカウントされるホップカウンタが含まれている。
【0053】
次に、第2段階として、ランドマークは1ホップの平均距離を近隣ノードに知らせる。一度しか“1ホップの平均距離”バケットを中継しない制御フラッディングを利用する。ステップ1で得られたホップ数と1ホップの平均距離を掛け合わせることによりランドマークまでの距離を算出する。
【0054】
次に、第3段階として、3台以上のランドマークとの距離を算出して多角測定により位置測定する。1ホップの平均距離の算出方法を説明する。或るランドマークがフラッディングしたバケットは、他のランドマークにも到着している。ランドマークは、自分の座標と他のランドマークの座標から、2地点間の物理的な距離を計算することが出来る。さらに、そのランドマークまでのホップ数(h)が分かっているため、物理的な距離をホップ数で割った値が1ホップの平均距離のサンプルとして計算する。このサンプル取得処理を他の全てのランドマークに対して行うことにより、最終的にサンプルを平均化して1ホップの距離が計算出来る。これは、以下の式(2)により計算出来る。

【0055】
この第2の方法を図10及び図11により説明する。
図10は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法を示すフローチャートであり、図11は、センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法の一例を示す図である。図10において、Sはステップを表す。
【0056】
図10に示すように、先ず、第1の方法による位置検出処理では、S11において、他のセンサーノードSN或いは携帯端末Mの位置の信号を受信する。次に、S12において、1ホップの平均距離を受信する。次に、S13において、ホップ数と1ホップの平均距離の積算より、センサーノードSN或いは携帯端末Mまでの距離を算出する。次に、S14において、3台以上のセンサーノードSN或いは携帯端末Mとの距離を算出し、多角測量により位置を測定し、自位置と設定する。このようにして、例えば、図11に一例を示すように、ノードの位置が求まる。
【0057】
次に、図12乃至図15により、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容の一例を説明する。図12は、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートであり、図13は、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置のセンサーノードSNの計測データ、保持データ及び通信を可視化した模式図であり、図14は、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置のセンサーノードSNの計測データ、目標データ及び通信を可視化した模式図であり、図15は、本発明の第1実施形態による車載機器制御装置のセンサーノードに内蔵される温度センサーの特性を示す線図である。図12において、Sはステップを示す。
この図12に示す例は、各センサーノードSNのセンサとして温度センサーが用いられており、それらの温度センサーの検出結果に基づいて、車室内の空調機器を制御するものである。
【0058】
先ず、図12に示すように、S21では、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能によりセンサーネットワークを形成する。このS21では、各センサーノードSNが他のセンサーノードSNを認識して、自律的にネットワークを形成する。このネットワークにおいて、新たなセンサーノードSNが設置された場合、自律的にそのセンサーノードSNをネットワーク内に追加したり、また、或るセンサーノードSNがネットワークから無くなった場合、自律的にそのセンサーノードSNをネットワークから削除するというアドホック機能を有する。
【0059】
次に、S22において、他のセンサーノードSNの中継処理を行う。このS22では、各センサーノードSNは、他のセンサーノードSNへの通信経路(ルーティング)を自律的に確率し、他のセンサーノードSNからネットワークで送られてきたデータの他のセンサーノードSNに中継する。これは、マルチホップ機能という機能である。
【0060】
次に、S23において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、各センサーノードSNの位置検出処理を行う。なお、予め位置が分かっているような場合、例えば、位置が固定されているシートやルーフにセンサーノードSNが設置している場合には、その設置位置を予めセンサーノードSNのメモリ等に登録しておいても良い。また、位置検出処理を一度行った後に、メモリに位置を記憶させておき、再度位置検出処理を行うときには、そのメモリに記憶された位置を設定するようにしても良い。
【0061】
次に、S24において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの温度センサーにより検出されたそれぞれの温度データを複数のセンサーノード間で受信し且つそれらのデータを記憶する。送受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。このS24では、例えば、図13に示すように、例えばデータ1を計測したセンサーノード1は、他のセンサーノード2及びセンサーノード3のデータ2及びデータ3を保持(記憶)する。
【0062】
次に、S25において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの温度センサーにより検出されたそれぞれの温度データをゲートウェイポイントGに送信する。送信はインターフェースで行われる。例えば、図13に矢印で示すように、各センサーノードSNからゲートウェイポイントGにデータが送信される。
【0063】
次に、ゲートウェイポイントGでは、S31において、S25により各センサーノードSNから送信された各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの温度センサーにより検出されたそれぞれの温度データを受信し、それらを記憶する。受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0064】
次に、S32において、各センサーノードSNの位置の目標温度を算出する。この目標温度の算出は、プロセッサーにより行われ、プロセッサーは、メモリに記憶されている目標車室内温度分布データを参照して、各センサーノードSNの位置での目標温度を算出する。
【0065】
目標室内温度分布データとしては、例えば、目標温度分布が時系列データで与えられ、その時系列データの温度となるように、後述する温度制御処理(S26)にて、空調機器(D)の操作量を決定することが出来る。なお、このような目標温度分布は、各センサーノードSNに着座センサーとして圧力センサーを設け、乗員がいる位置や人数に応じて、異なる目標温度分布になるようにすることも出来る。
【0066】
次に、S33において、各センサーノードSNの位置での目標温度をゲートウェイポイントGのメモリに保存すると共に各センサーノードSNに送信する。送信はインターフェースにより行われる。
【0067】
次に、各センサーノードSNでは、この送信された目標温度のデータに基づいて温度制御処理を行う。先ず、この温度制御処理では、上述したS13で算出した各センサーノードSNの位置における温度が、目標室内温度分布データと同じになるように、空調機器の操作量を決定する。このとき、図14に示すように、各センサーノードSNが、それぞれの計測データ1〜3を有すると共に、上述した目標室内温度分布データに基づいた目標データt1、t2、t3をメモリに記憶する。この温度制御処理では、以下の4つの制御方式が可能である。
【0068】
先ず、第1の方式では、各センサーノードSN毎に目標温度t1、t2、t3が与えられ(図14参照)、その目標温度となるように、各センサーノードSNに設けられた低速型温度センサー或いは高速型温度センサーのいずれかで検出された温度T1により、フィードバック制御をする。この制御では、例えば、センサーノード1の位置での目標温度t1がメモリから読み出され、低速型温度センサー或いは高速型温度センサーのいずれかで検出されたセンサーノード1の位置の温度T1より、センサーノード1の位置の温度を制御する操作量U1を以下の式(3)により算出する。
U1=F(t1、T1) ・・・式(3)
ここで、Fは、例えば、PIDフィードバック式のように、(t1−T1)の比例、積分、微分項からなる関数である。この式(3)による操作量Uの算出を各センサーノードSN毎に行う。
【0069】
低速型温度センサー或いは高速型温度センサーとは、図15にそれらの特性を示すように、雰囲気の温度変化への反応をあえて遅らせて、徐々にその計測温度を上下させるのが低速型温度センサーであり、雰囲気の温度変化への反応を最大限高速にして、なるべく雰囲気温度に迅速に反応するように計測温度を上下させるので高速型温度センサーである。この低温型センサーと高温型センサーとで温度差がある場合には、温度が変化していることを示し、そのような各温度センサーの温度差や温度の上昇の勾配などを制御に利用することが出来る。例えば、車室内の温度をどれだけ急に或いは緩やかに変化させるか、ということも考慮した制御が可能である。
【0070】
次に、第2の方式では、各センサーノードSNに設けられた低速型温度センサー及び高速型温度センサーの両方を使用する。各センサーノードSNにより検出される温度T1を、低速型温度センサーによる検出温度T1A、高速型温度センサーによる検出温度T1Bにより、以下の式(4)により算出する。
T1=αT1A+βT1B ・・・式(4)
ここで、α、βは重付け係数である。この式(4)により、人体が感じる温度を精度良く検出出来る。これより、センサーノード1の位置の温度を制御する操作量U1を以下の式(5)により算出する。
U1=F(t1、T1、T1A、T1B) ・・・式(5)
ここで、t1はセンサーノード1の目標温度であり、Fは、例えば、PIDフィードバック式のように、(t1−T1)の比例、積分、微分項からなる関数である。この式(5)による操作量Uの算出を各センサーノードSN毎に行う。
【0071】
次に、第3の方式では、上述した第1の方式において、或るセンサーノード1の温度T1に対し、他のセンサーノード2、3・・・nの温度T2、T3・・・Tnを温度をインターフェースを介して受信し、それぞれの温度が所定の分布となるように制御量を算出するものである。或いは、それぞれの温度差が所定値以内になるようにして、車室内が均一温度になるようにすることも出来る。
この第3の方式では、センサーノード1の位置の温度を制御する操作量U1を以下の式(6)により算出する。
U1=F(T1、T2、・・・Tn) ・・・式(6)
ここで、Fは、例えば、各ノードセンサSの温度差(Tj−Ti)の積算が最小となるような関数である。
また、例えば、操作量U1を以下の式(7)で算出しても良い。
U1=K1(T1−T2)+K2(T1−T3)+・・・Knー1(T1−Tn))
・・・式(7)
K1、K2、・・・は、重み係数である。
【0072】
次に、第4の方式は、上述した第3の方式において、各センサーノードSNに設けられた低速型温度センサー及び高速型温度センサーの両方を使用する第2の方式を適用したものである。
例えば、センサーノード1の位置の温度を制御する操作量U1を以下の式(8)により算出する。
U1=K1(T1−T2)+K2(T1−T3)+・・・Knー1(T1−Tn))
・・・式(8)
T1は、第2の方式と同様に、以下の式(9)で算出される。
T1=αT1A+βT1B ・・・式(9)
【0073】
なお、上述したS26における第1乃至第4の方式による温度制御処理をゲートウェイポイントGのプロセッサーにて行っても良い。
【0074】
次に、S27において、S26において各センサーノードSNにて算出された操作量UをゲートウェイポイントGにインターフェースを介して送信する。ゲートウェイポイントGでは、S34において、それらの各センサーノードSNにて算出された操作量Uをインターフェースを介して受信し、メモリに保存する。
【0075】
次に、S35において、S34で受信及び記憶した各センサーノードSNにて算出された操作量から、最終的な空調機器Dの操作量を算出する。具体的には、各空調機器Dの各送風口から送風される空気の送風量及び送風の温度が所定の温度(例えば、上述した目標室内温度分布データ)となるように制御される。そして、S36において、実際に空調装置が、S35で算出された送風量及び温度となるように作動される。
【0076】
次に、図16及び図17により、本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容の一例を説明する。図16は、本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートであり、図17は、ゲートウェイポイントG或いはセンサーノードSNに予め記憶されているユーザー毎の空調の嗜好及び空調の調整の権限を決定するためのテーブルを示す図である。図16において、Sはステップを示す。
この図16に示す例は、各センサーノードSNのセンサとして温度センサーが用いられており、それらの温度センサーの検出結果に基づいて、車室内の空調機器を制御する点で、第1実施形態と同様であり、第2実施形態では、さらに、車両に乗り込むユーザー(ドライバー含む)の所持する携帯端末のIDに基づいて、空調機器の操作権限をユーザー毎に異なるようにしたものである。
【0077】
先ず、図16に示すように、S41では、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能によりセンサーネットワークを形成する。このS41では、各センサーノードSNが、上述したようなアドホック機能を有する。次に、S42において、他のセンサーノードSNの中継処理を行う。このS42では、各センサーノードSNは、上述したようなマルチホップ機能を有する。
【0078】
次に、S43において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、各センサーノードSNの位置検出処理を行う。なお、予め位置が分かっているような場合、例えば、位置が固定されているシートやルーフにセンサーノードSNが設置している場合には、その設置位置を予めセンサーノードSNのメモリ等に登録しておいても良い。
【0079】
次に、S44において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの温度センサーにより検出されたそれぞれの温度データを複数のセンサーノード間で受信し且つそれらのデータを記憶する。送受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。このS44では、例えば、上述した図13に示すように、例えばデータ1を計測したセンサーノード1は、他のセンサーノード2及びセンサーノード3のデータ2及びデータ3を保持(記憶)する。
【0080】
次に、S45において、各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの温度センサーにより検出されたそれぞれの温度データをゲートウェイポイントGに送信する。送信はインターフェースで行われる。例えば、上述した図13に矢印で示すように、各センサーノードSNからゲートウェイポイントGにデータが送信される。
【0081】
次に、ゲートウェイポイントGでは、S51において、S45により各センサーノードSNから送信された各センサーノードSNの位置データ、及び、各センサーノードSNの温度センサーにより検出されたそれぞれの温度データを受信し、それらを記憶する。受信はインターフェースで行われ、記憶はメモリに記憶される。
【0082】
次に、携帯端末側では、S61では、モバイル端末(携帯端末)Mを有するユーザーが車両に乗り込むと、車室内に設置された複数のセンサーノードSN(図1、図2参照)が、それらのセンサーノードSNの機能(上述したようなアドホック機能及びマルチホップ機能)により、そのモバイル端末Mを含めたセンサーネットワークを形成する。
【0083】
次に、S62において、上述した「受信したビーコンノードの重心計算」或いは「受信したビーコンノードのホップ数計算」により、そのユーザーのモバイル端末Mの位置検出処理を行う。
次に、S63において、各センサーノードSNのインターフェース及びモバイル端末Mのインターフェースを介してモバイル端末MのIDを検出する。即ち、どのユーザーが乗り込んだかを判別する。
【0084】
次に、S64において、モバイル端末Mのインターフェースを介して、S62で算出したモバイル端末Mの位置及びモバイル端末MのIDを送信する。各センサーノードSNは、それらのインターフェースを介してこの送信データを中継して(S46)ゲートウェイポイントGに送信する。
ゲートウェイポイントGでは、S52において、そのインターフェースを介してモバイル端末Mの位置及びモバイル端末MのIDを受信する。
【0085】
ここで、モバイル端末M側にて、そのユーザーが空調機器Dの設定温度を変更した場合には(S65)、S66において、再びモバイル端末Mのインターフェースを介して、S63で検出したモバイル端末MのIDを送信すると共に、変更後の設定温度のデータを各インターフェースを介してゲートウェイポイントGに送信する。この場合、センサーノードSNでは、S47においてこのデータを中継する。
【0086】
ゲートウェイポイントGでは、S53において、S52で受信したモバイル端末MのID、或いは、S66において送信されたモバイル端末MのIDを受信する。設定温度の変更があった場合(S65が実行された場合)には、S52で受信したIDに応じて、S65及びS66において変更及び送信された設定温度にデータを書き換える。データは、例えば、後述するような図17に示すようなものである。
【0087】
設定温度の変更がなかった場合(S65が実行されない場合)には、S52で受信したIDを基に、S53をスキップして、S54に進む。S54においては、データベース(ゲートウェイポイントGのメモリ(センサーノードのメモリでも良い))に記憶されている、IDごと(ユーザーごと)の目標空調温度データに基づいて目標温度分布を算出する。目標温度分布は、IDに応じたユーザーの空調の嗜好データと、S62で算出された(ほぼ各座席のいずれかに対応する)モバイル端末Mの位置とにより算出される。また、本実施形態では、センサーノードによるネットワークにより複数のモバイル端末Mごとに温度や風量を設定出来る。これを利用して、例えば、各乗員ごとに設定された温度や風量が各乗員ごと(モバイル端末Mごと)に大きな差がある場合など、各モバイル端末Mの間で温度や風量の調整をするようにしても良い。
【0088】
データベースに記憶されているIDごと(ユーザーごと)の目標空調温度データ(テーブル)は、例えば、図16に示すようなものであり、各ユーザIDごとに、空調の嗜好として、暑がりのユーザーには20℃が良いとか、寒がりのユーザーには25℃が良い、などというデータが設定されている。また、この目標空調温度データには、空調の操作の権限として、全ての空調設定を調整出来る権限であるAdministrator、空調設定に制限がある制限モード、ほぼ全ての空調設定が可能であるフルモードなどのデータも、IDごとに設定されている。なお、設定温度の変更があった場合(S65が実行された場合)には、S53において、モバイル端末MのIDに基づいて、上述したデータベースに記憶されている、IDごとの目標空調温度データ(テーブル)を書き換える。テーブルは、ゲートウェイポイントGのメモリ部、センサーノードSNのメモリ部或いはモバイル端末のメモリ部のいずれに記憶されていても良い。
【0089】
次に、S55において、各センサーノードSNの位置での目標温度をゲートウェイポイントGのメモリに保存すると共に各センサーノードSNに送信する。送信はインターフェースにより行われる。そして、センサーノードSNでは、S48において、目標温度のデータを受信する。
次に、各センサーノードSNでは、S49において、この受信した目標温度のデータに基づいて温度制御処理を行う。先ず、この温度制御処理は、第1実施形態と同様の処理であり、上述した第1乃至第4の制御方式のいずれかの処理となる。
【0090】
次に、S50において、S49において各センサーノードSNにて算出された操作量UをゲートウェイポイントGにインターフェースを介して送信する。ゲートウェイポイントGでは、S56において、それらの各センサーノードSNにて算出された操作量Uをインターフェースを介して受信し、メモリに保存する。
【0091】
次に、S57において、S56で受信及び記憶した各センサーノードSNにて算出された操作量から、最終的な空調機器Dの操作量を算出する。具体的には、各空調機器Dの各送風口から送風される空気の送風量及び送風の温度が所定の温度(例えば、上述した目標室内温度分布データ)となるように制御される。そして、S58において、実際に空調装置が、S34で算出された送風量及び温度となるように作動される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図である。
【図2】本発明の第1及び第2実施形態による車載機器制御装置が適用された車両の全体構成図である。
【図3】車載機器制御装置のセンサーノードを示すブロック図である。
【図4】ゲートウェイポイントを示すブロック図である。
【図5】携帯端末を示すブロック図である。
【図6】センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【図7】携帯端末、センサーノード及びゲートウェイ間のネットワーク情報を可視化すると共にゲートウェイポイントにより制御される機器を模式的に表した図である。
【図8】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法を示すフローチャートである。
【図9】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第1の方法の一例を示す図である。
【図10】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法を示すフローチャートである。
【図11】センサーノードSN或いは携帯端末Mの位置を検出する第2の方法の一例を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1実施形態による車載機器制御装置のセンサーノードSNの計測データ、保持データ及び通信を可視化した模式図である。
【図14】本発明の第1実施形態による車載機器制御装置のセンサーノードSNの計測データ、目標データ及び通信を可視化した模式図である。
【図15】本発明の第1実施形態による車載機器制御装置のセンサーノードに内蔵される温度センサーの特性を示す線図である。
【図16】本発明の第2実施形態による車載機器制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図17】ゲートウェイポイントG或いはセンサーノードSNに予め記憶されているユーザー毎の空調の嗜好及び空調の調整の権限を決定するためのテーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0093】
S センサーノード
G ゲートウェイポイント
D 機器(空調機器)
M モバイル端末M

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載された機器の作動を制御する車載機器制御装置であって、
所定の状況を検出する状況検出センサー部、この状況検出センサー部により得られるデータを演算処理するデータ処理部、所定のデータを記憶するメモリ部、及び、上記データを無線にて送受信する通信部を有する複数のセンサーノードと、
このセンサーノードは車室内の異なる複数の位置に配置され、これらの複数のセンサーノードで互いにネットワークを形成するネットワーク形成手段と、
上記ネットワークを形成する複数のセンサーノードによる複数のデータに基づいて上記機器を制御するための目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、
この目標制御量算出手段により算出された目標制御量が得られるように上記機器を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする車載機器制御装置。
【請求項2】
さらに、上記状況検出センサー部による検出データを記憶する記憶手段を有し、
上記目標制御量算出手段は、この記憶手段により記憶されたデータに基づいて上記目標制御量を算出する請求項1に記載の車載機器制御装置。
【請求項3】
さらに、上記目標制御量算出部により算出された目標制御量を記憶する目標制御量記憶手段を有し、
上記制御手段は、この目標制御量記憶手段により記憶されている目標制御量が得られるように上記機器を制御する請求項1又は請求項2に記載の車載機器制御装置。
【請求項4】
上記目標制御量算出手段は、上記センサーノードのデータ処理部である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項5】
さらに、所定のデータ処理部を含み上記複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、
上記目標制御量算出手段は、上記ゲートウェイポイントのデータ処理部である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項6】
さらに、所定の機器制御部を含み上記複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、
上記制御手段は、上記ゲートウェイポイントの機器制御部である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項7】
さらに、所定のメモリ部を含み上記複数のセンサーノードと共にネットワークを形成するゲートウェイポイントを有し、
上記記憶手段及び/又は上記目標制御量記憶手段は上記ゲートウェイポイントのメモリ部である請求項2又は請求項3に記載の車載機器制御装置。
【請求項8】
上記記憶手段及び/又は上記目標制御量記憶手段は上記センサーノードのメモリ部である請求項2又は請求項3に記載の車載機器制御装置。
【請求項9】
上記ネットワーク形成手段は、アドホック機能及び/又はマルチホップ機能を有する請求項1乃至8に記載の車載機器制御装置。
【請求項10】
上記機器は複数の送風口を有する空調制御装置であり、上記複数のセンサーノードの状況検出センサー部はそれぞれ車室内の温度を検出する温度センサーを有し、
上記制御手段は、これらの温度センサーのデータに基づいて車室内が所定の温度分布となるように上記空調制御装置を制御する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項11】
上記温度センサーは、高速型温度センサー及び低速型温度センサーを有し、
上記記憶手段又は上記目標制御量記憶手段は、上記所定の温度分布の目標制御量として時系列温度特性データを記憶しており、
上記目標制御量算出手段は、この時系列温度特性データを目標制御量として参照し、
上記制御手段は、この時系列温度特性データの温度特性が得られるように上記空調制御装置を制御する請求項10に記載の車載機器制御装置。
【請求項12】
上記目標制御量算出手段は、複数のセンサーノード間の温度差のデータに基づいて車内が所定の温度分布となるように目標制御量を算出し、
上記制御手段は、その目標制御量が得られるように上記空調制御装置の複数の送風口から送風される空気の温度を制御する請求項10又は請求項11のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項13】
上記複数のセンサーノードの状況検出センサー部はそれぞれ乗員のシートへの着座を検出する着座センサーを有し、
上記目標制御量算出手段は、上記着座センサーにより得られる着座人数及び/又は着座位置に基づいて上記機器を制御するための目標制御量を算出する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項14】
上記機器は複数の送風口を有する空調制御装置であり、
上記目標制御量算出手段は、上記着座センサーにより得られる着座人数及び/又は着座位置に基づいて車内の温度分布の目標制御量を算出する請求項13に記載の車載機器制御装置。
【請求項15】
上記センサーノードは、さらに、乗員を識別可能な識別IDを有する携帯端末を検出する携帯端末検出部を有し、
上記車載機器制御装置は、さらに、上記乗員の識別ID毎に上記乗員に適した上記所定の状況のデータを記憶した記憶手段を有し、
上記目標制御量算出手段は、上記所定の状況のデータに基づいて上記機器を制御するための目標制御量を算出する請求項1に記載の車載機器制御装置。
【請求項16】
上記目標制御量算出手段は、上記所定の状況のデータに基づいて上記機器を制御するための目標制御量を算出すると共に、上記センサーノードのネットワークを通じて他の識別IDにおける目標制御量を得ると共に互いに比較して大きな差があるときには各識別ID間で目標制御量を調整する請求項15に記載の車載機器制御装置。
【請求項17】
上記機器は複数の送風口を有する空調制御装置であり、
上記車載機器制御装置は、さらに、上記乗員に適した所定の状況として上記複数の送風口からの送風量及び/又は送風温度のデータが記憶された記憶手段を有し、
上記目標制御量算出手段は、このデータに基づいて上記目標制御量を算出する請求項15又は請求項16に記載の車載機器制御装置。
【請求項18】
上記複数のセンサーノードの状況検出センサー部はそれぞれ乗員のシートへの着座を検出する着座センサーを有し、
上記目標制御量算出手段は、上記空調制御装置の上記送風口からの送風量及び/又は送風温度のデータと共に、上記着座センサーにより得られる着座人数及び/又は着座位置に基づいて上記目標制御量を算出する請求項1乃至17のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−234465(P2009−234465A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84449(P2008−84449)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】