説明

車載用電子機器

【課題】車載用電子機器において、密閉性の高い筐体内であっても、筐体内に収容される基板や電子部品等を効率的に冷却し得る冷却構造をより小型構成で実現する。
【解決手段】第2基板20の一方面20a側において所定方向の一端側から他端側に続くように一方面20aに沿った循環流路Fが構成されている。そして、循環流路Fは、基板同士の間隔をあけて所定方向に並んで配置された第1基板10a、10b、10cを構成要素としており、ファン4によって一方面20a側に導かれた内部気体が各基板間を流れるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に半導体素子や抵抗素子などの電子部品は、動作時に発熱する特性を有し、このような発熱に起因して素子や回路の温度が上昇すると、素子寿命が低下したり性能が劣化することが懸念される。また、このような電子部品は、基板に実装された状態で筐体内に収容されて使用されることが多く、このような熱のこもりやすい環境では、収容された電子部品を如何にして冷却するかが問題となる。なお、このような電子機器の冷却に関連する技術としては、例えば、下記特許文献1〜特許文献3に示すものが知られている。
【0003】
特許文献1には、筐体(10)内に、電源ユニット(20)、CPUや外部機器の制御論理を搭載した第一のプリント基板(30)、第一のプリント基板(30)へ電源を供給する機能などを持つ第二のプリント基板(40)等を収容した情報処理装置の冷却構造が開示されている。そして、特許文献1では、冷却ファン(15)により筐体(10)外の比較的冷たい空気を筐体(10)内に送り込むとともに、冷却ファン(15)から送られた筐体(10)内の空気を筐体(10)に設けられる空気孔(17)から、筐体(10)外へ排出するようにしている。
【0004】
特許文献2には、複数の基板ユニット(108)を着脱可能に収納する基板収納部(106)と、基板収納部(106)に冷却用空気Wを流すファン(排気手段)と、基板収納部(106)に流す冷却用空気Wの上流側に設けられる吸気側ダクト112(上流側ダクト)と、吸気側ダクト112から基板収納部(106)を通過した冷却用空気Wを流す排気側ダクト116(下流側ダクト)を備えた電子装置の冷却構造が開示されている。そして、吸気側ダクト112は、第1の吸気部114を通して外気に開放されており、排気側ダクト116は、第1の排気部118を通して外気に開放されている。
【0005】
特許文献3には、プリント基板(11)を複数枚収納するプリント基板収納シェルフ(1)において、シェルフ(1)の上側に配置されている吊り下げ部(ガイドレール(8))によりプリント基板(11)を上側から吊り下げた状態で配置し、プリント基板(11)の下側に空間を設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−32148号公報
【特許文献2】特許第4012091号
【特許文献3】特開2005−252119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、車載機器の分野では、当該機器の小型化や高性能化に伴って、電子部品が実装された基板の発熱量が増大する傾向にあり、発熱量を抑制し得る構造が求められている。特に、現在では、車両の高機能化の要求に対応するため、車両内の各種制御を行う制御基板など基板数が増大する傾向にあり、搭載スペースを確保するために筺体内に複数の制御基板を配置するケースが多くなってきているため、発熱量の抑制がより重要となっている。
【0008】
一方、上記のように基板を筐体内に収容して車両に搭載する場合には、防塵性や防水性等を高めるために筐体の密閉性が求められることも多い。しかしながら、筐体の密閉性を高めようとすると、筐体外から筐体内へ外気が導入され難くなるため、筐体内を外気によって冷却することが著しく制限されてしまう。
【0009】
このように、現在では、筐体内の密閉性と冷却性を共に要求されるケースが多くなってきているが、従来技術では、このような課題を解消することが難しかった。例えば、上記特許文献1の構成では、筐体に形成された空気孔を介して外気を導入することができるため、筐体内の冷却性は高くなるが、筐体の密閉性が不十分であるため、防塵性や防水性を十分に確保することが難しかった。
【0010】
また、上記特許文献2の構成では、筐体(基板収容部)の周囲に大型のダクトが設けられ、このダクト内の通気や筐体からの排気のためにファンが多数設けられるため、冷却構造の大型化が避けられず、搭載スペースの限られた車両等に適用し難いという問題がある。
【0011】
一方、上記特許文献3の構成では、筐体内の気体を積極的に内気循環させる構造とはなっておらず、また筐体内の気体の流れを形成する送風手段等も設けられていないため、筐体内の気体を効率よく循環させることが難しかった。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、車載用電子機器において、密閉性の高い筐体内であっても、筐体内に収容される基板や電子部品等を効率的に冷却し得る冷却構造をより小型構成で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、電子部品を実装した複数の基板と、
複数の前記基板を保持する保持部材と、
前記保持部材に複数の前記基板が保持されてなる回路構成体を収容する筐体と、
を備え、
複数の前記基板が基板同士の間隔をあけて所定方向に並んで配置されると共に、各基板が前記所定方向と交差する構成で配置され且つ前記保持部材の一方面から立ち上がる構成で配置されてなる車載用電子機器であって、
前記保持部材の前記一方面側に設けられ、前記筐体内の内部気体が前記一方面に沿って流れるように構成された循環流路と、
前記筐体内の前記内部気体を前記保持部材の他方面側から前記一方面側に送ると共に、当該内部気体が前記循環流路内を移動するように送風する送風部と、
を備え、
前記循環流路は、前記保持部材の前記一方面に沿った所定方向の一端側から他端側に続くように流路が構成され、且つ前記送風部によって前記一方面側に導かれた前記内部気体が、並設された複数の前記基板の各基板間を流れるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、保持部材の一方面側において所定方向の一端側から他端側に続くように前記一方面に沿った循環流路が構成されている。そして、循環流路は、基板同士の間隔をあけて所定方向に並んで配置された複数の基板を構成要素としており、送風部によって一方面側に導かれた内部気体が各基板間を流れるように構成されている。
この構成によれば、各基板に実装される電子部品の発熱によって暖められた内部気体が一方面側(各基板の配置側)において局所的に溜まることが抑制され、内部気体の温度分布を均熱化することができる。また、保持部材の一端側に設けられた送風部により、他方面側から一方面側に内部気体が導入されるようになっているため、循環流路を通って他端側に達した内部気体が他方面側に移動し易く、他方面側に移動した内部気体が再び一方面側に導入されるように循環し易くなる。従って、外気が導入され難い密閉性の高い筐体内において内部気体の熱分布を全体的に均一化することができ、筐体内に収容される複数の基板や電子部品等を効率的に冷却することができる。また、この構成では、送風部を筐体内に多数設けたり、大型の専用ダクトを設けなくとも、筐体内の内部気体を効率よく循環させることができるため、高い密閉性を必要とする車載用電子機器の冷却をより小型構成で実現することができる。
【0015】
請求項2の発明では、前記保持部材が、複数の前記基板とは異なる第2基板からなり、前記第2基板の前記一端側には、貫通形状又は切欠形状からなる気体導入部が形成されており、前記送風部は、前記第2基板の前記他方面側の前記内部気体を前記気体導入部を介して前記一方面側に導入するとともに、当該気体導入部からの前記内部気体を前記循環流路に向けて送風している。
この構成によれば、多種類の基板を効率的に配置し易い接続方式を実現することができる。特にこの構成では、第2基板の一方面側に熱がより集中し易くなるため、循環流路によって内部気体を循環することで高い放熱効果が得られる。更に、送風部により気体導入部を介して他方面側の内部気体を一方面側に導入することができるため、相対的に低い温度の内部気体を複数の基板が配置されている側へ効率よく送り込むことができ、筐体内における内部気体の局所的な温度上昇をより一層抑制することができる。
【0016】
請求項3の発明では、前記第2基板の前記他端側において、貫通形状又は切欠形状からなる気体排出部が形成されており、前記循環流路内を流れて前記他端側に導かれた前記内部気体が、前記気体排出部を介して前記第2基板の前記他方面側に移動し、この移動した当該内部気体が、再び前記気体導入部を介して前記一方面側に導かれるように循環している。
この構成によれば、第2基板の一方面側では、一端側において内部気体の導入が促進され、他端側において内部気体の排出が促進されるため、構造的に内部気体が滞留しやすい各基板間においても強制的に内部気体を循環させやすくなる。また、第2基板の一方面側においても、他方面側においても当該第2基板の板面方向に沿って効率的に内部気体を移動させることができるため、筐体内全体として内部気体の循環効果が一層高まる。
【0017】
請求項4の発明では、前記筐体内における前記第2基板の前記他方面側において、当該第2基板と対向するように第3基板が設けられ、前記気体排出部を介して前記第2基板の前記他方面側に移動した前記内部気体が、前記第2基板と前記第3基板との間に導かれるようになっており、前記送風部は、前記第2基板と前記第3基板との間を通る前記内部気体を、前記気体導入部を介して前記一方面側に導いている。
この構成では、当該第2基板とこれに対向する第3基板の間の空間を流路として利用して内部気体を効率的に循環させることができる。特に、他方面側での循環の際には、第2基板及び第3基板に沿って内部気体が循環するため、第2基板や第3基板付近での局所的な熱の蓄積を抑制することができ、各基板だけでなく、第2基板や第3基板の放熱効果も高まる。
【0018】
請求項5の発明では、前記保持部材の前記一方面において、複数のコネクタ部が間隔をあけてそれぞれ設けられ、前記基板の少なくとも一端部には、前記コネクタ部と接続可能なカードエッジ部が形成されており、複数の前記基板は、各基板の前記カードエッジ部が前記コネクタ部にそれぞれ挿し込まれることで前記保持部材の前記一方面からそれぞれ立ち上がる構成で保持されていることを特徴としている。
上記のように基板に設けられたカードエッジ部を保持部材の一方面に設けられたコネクタ部に接続して当該基板を固定する構造を用いると、多種類の基板を効率的に接続、配置することができる。そして、このようにカードエッジ構造で並設された複数の基板の各基板間を流れるように流路が構成されているため、カードエッジ構造のメリットを享受しつつ効率的な放熱を実現することができる。
【0019】
請求項6の発明では、前記基板の幅方向片側寄りにおいて、当該基板の厚さ方向に連通する空間を構成するように、当該基板に形成された開口部又は切欠部、或いは前記基板の幅方向片側部と前記筐体の内壁部とで構成される隙間部からなる連通部が形成され、この連通部が、前記循環流路の一部として構成されている。そして、複数の前記基板は、前記所定方向に並んで配置されると共に、隣り合う基板同士の前記連通部の位置が幅方向一方側と他方側とで互い違いに配置されるように前記保持部材によって保持されている。
この構成によれば、循環流路を通る内部気体が各基板の幅方向全体に接触し易くなるため、各基板において全体的に放熱がなされ、循環流路での局所的な熱の蓄積を一層抑制することができる。
【0020】
請求項7の発明では、複数の前記基板にそれぞれ、電子部品が実装されており、少なくともいずれかの前記基板において、当該基板に実装される他の部品と比較して発熱量が相対的に大きい高発熱電子部品が、前記幅方向において前記連通部寄りに実装されている。
この構成では、内部気体が確実に通過し且つ流量が相対的に大きくなる連通部付近に高発熱電子部品が配置されるため、熱の滞留が懸念される高発熱電子部品の付近において放熱を促進することができ、より一層の熱分布の均一化を図ることができる。
【0021】
請求項8の発明では、前記保持部材は、前記一端側が下方側、前記他端側が上方側となるように配置されるものであり、前記基板は、前記連通部側が幅方向他方側よりも高い位置となるように前記上下方向に対して傾斜して配置されている。
一般的に、暖められて比重が小さくなった気体は自然対流の効果により上昇する性質を持ち、温度が高い気体ほど上昇する速度が大きくなる。上記構成では、この性質を利用し、相対的に高い位置に配置された連通部付近の流速を高めることができ、このような連通部付近に配置される高発熱電子部品の放熱をより一層促進することができる。
【0022】
請求項9の発明では、前記筐体が密閉されているため、筐体内の防塵性や防水性(水分腐食に対する耐性)を十分に確保することができる。一方、このような密閉構造の場合、筐体内における局所的な熱の蓄積がより深刻となるが、本発明では、特徴的な循環流路によってこのような問題を効果的に解消しており、密閉構造のメリットを享受しつつ、局所的な熱の蓄積を効果的に抑制し得る構成を実現することができる。
【0023】
請求項10の発明では、前記送風部が圧電ブロアによって構成されているので、送風部をファンなどで構成する場合と比べより小型構成とすることができ、筐体内の省スペース化を図ることができる。
【0024】
請求項11の発明は、前記筐体において、前記一方面又は前記他方面と対向する側の壁部には、当該筐体の外部側に露出する複数の冷却フィンが設けられている。
この構成では、一方面側或いは他方面側の循環経路において外部へ熱放散することができ、密閉性を維持しつつ循環過程において内部気体を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、第1実施形態に係る車載用電子機器の構成を概念的に例示する概念図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る回路構成体の構成概要を示す説明図である。
【図3】図3(A)は、第1実施形態に係る循環流路を説明する説明図であり、図3(B)は、第1実施形態に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。
【図4】図4(A)は、第1実施形態の第1変形例に係る循環流路を説明する説明図であり、図4(B)は、第1実施形態の第1変形例に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。
【図5】図5(A)は、第1実施形態の第2変形例に係る循環流路を説明する説明図であり、図5(B)は、第1実施形態の第2変形例に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。
【図6】図6(A)は、第2実施形態に係る循環流路を説明する説明図であり、図6(B)は、第2実施形態に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。
【図7】図7(A)は、第1、2実施形態の他の変形例に係る循環流路を説明する説明図であり、図7(B)は、第1実施形態の他の変形例に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明の車載用電子機器を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る車載用電子機器の構成を概念的に例示する概念図である。図2は、第1実施形態に係る回路構成体の構成概要を示す説明図である。図3(A)は、第1実施形態に係る循環流路を説明する説明図であり、図3(B)は、第1実施形態に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。
【0027】
本第1実施形態に係る車載用電子機器1は、図1に示すように、箱状形態をなし密閉された筐体2内に、各種電子部品(図示略)を実装した第1基板10a、10b、10cと、これら第1基板10a〜10cを保持する保持部材としての機能を有した第2基板20と、第2基板20と対向するように設けられる第3基板30と、筐体2内の内部気体を送風するファン4と、筐体2内の内部気体が流れるように構成された循環流路F(図3参照)を備えている。また、第1基板10a、10b、10c、第2基板20及び第3基板30はプリント基板からなり、これら各基板によって回路構成体が構成されている。さらに、第3基板30が設けられる側の筐体2の壁部には、当該筐体2の外部側に露出する複数の冷却フィン40が設けられている。
【0028】
第1基板10a〜10cは、実装された電子部品により構成される車両内の各種制御を行う制御回路を備えている。そして、第1基板10a〜10cは長手状に構成されており、これら第1基板10a〜10cの長手方向片側寄り(幅方向片側寄り)には、基板の厚さ方向に連通する空間を構成するように、矩形状の開口部12a、12b、12cからなる連通部がそれぞれ設けられている。これら開口部12a〜12cの形状は矩形状に限られず、例えば円形状であってもよい。また各開口部12a〜12cは同一の形状であってもよく、異なる形状であってもよい。さらに、開口部12a〜12cは、各基板において複数設けられていてもよく、各基板の大きさや強度との兼ね合い等から決めることができる。
【0029】
これら第1基板10a〜10cは、図1及び図2に示すように、各基板同士の間隔をあけて所定方向に並んで配置されている。また、第1基板10a〜10cは、各基板が所定方向と交差する構成で配置され且つ第2基板20の一方面20a側から立ち上がる構成で配置されている。そして、第1基板10a〜10cは、隣り合う基板同士の開口部の位置が幅方向一方側と他方側とで互い違いになるように(すなわち、隣り合う基板同士の開口部が対向しないように)配置されている。
【0030】
また、これら第1基板10a〜10cの短手方向の一端部には、カードエッジ部(図示略)がそれぞれ形成されており、第2基板20の一方面20a側に所定の間隔をあけて設けられるコネクタ部24a〜24cに電気的に接続されている。なお、図2は、第1基板10a〜10cの各カードエッジ部がコネクタ部24a〜24cに接続されている様子を示しており、各カードエッジ部はコネクタ部24a〜24c内に挿着されている。また、各カードエッジ部はコネクタ部24a〜24cから着脱可能な構成となっている。このように、第1基板10a〜10cは、各カードエッジ部がコネクタ部24a〜24cにそれぞれ挿し込まれることで第2基板20の一方面20a側からそれぞれ立ち上がる構成で保持されている。なお、図1及び図3〜図7では、コネクタ部24a〜24cを省略して示している。
【0031】
第2基板20の一方面20a側には、上述したようにコネクタ部24a〜24cが間隔をあけて設けられており、これらコネクタ部24a〜24cの両端を挟むように、第1基板10a〜10cの厚さと略等しい若しくは第1基板10a〜10cの厚さより若干大きい幅の溝が形成されたガイド部25が各コネクタ部24a〜24cに対して1対ずつ設けられている。そして、ガイド部25は、第1基板10a〜10cを第2基板20に装着する際、第1基板10a〜10cの長手方向両端部を保持しながら各カードエッジ部をコネクタ部24a〜24cへ案内すると共に、第1基板10a〜10cが第2基板20に装着された後は、コネクタ部24a〜24cと共に第1基板10a〜10cを保持するように構成されている。なお、図1及び図3(A)〜図7(A)では、ガイド部25を省略して示している。
【0032】
この第2基板20の所定方向(すなわち、第1基板10a〜10cの配列方向)の一端側には、当該第2基板20の厚さ方向に貫通する貫通形状からなる気体導入部22が設けられている。また、第2基板20の所定方向の他端側には、当該第2基板20の厚さ方向に貫通する貫通形状からなる気体排出部23が設けられている。なお、気体導入部22及び気体排出部23の形状は、矩形状に限られず、例えば円形状であってもよい。また、気体導入部22及び気体排出部23は、貫通形状に限定されず、第2基板20の端部を切り欠いた切欠形状から構成されていてもよい。さらに、気体導入部22及び気体排出部23の大きさは、筐体2及び第1基板10a〜10cの大きさとの兼ね合い等から決めることができる。
【0033】
第2基板20の他方面20b側には、第2基板20と略等しい大きさで構成される第3基板30が設けられている。この第3基板30は、車両のバッテリから供給される電圧を所定の電圧に変換し、車両内の各部(ECUの各部)へ電源を供給する電源部を備えている。そして、第3基板は、第2基板20と対向すると共に、この第2基板20との間に隙間を空けて第3基板30が設けられている。また、第3基板30は、図2に示すように、第2基板20の一端側において、フレキシブルコネクタ33により第2基板20と接続されている。第3基板30は、図1に示すように、筐体2内において内壁部2a寄りに配置されると共に、筐体2を間に挟んで筐体2外に設けられる冷却フィン40と対面するように配置されている。電源部が設けられる第3基板30は、第1基板10a〜10c及び第2基板20と比べて相対的に発熱量が大きくなりやすいため、第3基板30を冷却フィン40と対向させることで、電源部から発生した熱を筐体2外部へより放熱させやすくなる。なお、冷却フィン40からの放熱は、自然空冷、強制空冷または液冷等によって行うことができる。
【0034】
ファン4は、第2基板20の一端側に設けられる気体導入部22を覆うように、第2基板20の一方面20a側に取り付けられている。ファン4は、電動モータ(図示略)と、電動モータにより回転駆動される複数枚の羽根4aと、電動モータ及び複数枚の羽根4aを収容するケース4bとから構成される。そして、ファン4は、筐体内の内部気体を第2基板20の他方面20b側から気体導入部22を介して一方面20a側に送るように構成されている。より詳しくは、ファン4は、第2基板20と第3基板30との間を通る内部気体を気体導入部22から吸引し、その吸引した内部気体を一方面20a側へ吹き出すようになっている。なお、ファン4は、「送風部」の一例に相当する。
【0035】
循環流路Fは、図3に示すように、第2基板20の一方面20aに沿った所定方向の一端側から他端側に続くように流路が構成されている。また、循環流路Fは、ファン4によって一方面20a側に導かれた内部気体が、並設された第1基板10a〜10cの各基板間を流れるように構成されている。さらに、循環流路Fは、第1基板10a〜10cに設けられる開口部12a、12b、12cからなる連通部によって一部が構成されている。すなわち、循環流路Fは、隣り合う基板同士の開口部の位置が幅方向一方側と他方側とで互い違いになるように配置されている第1基板10a〜10cの開口部12a、12b、12cを順に結ぶように流路が構成されている。また、循環流路Fは、第2基板20と第3基板30との間に設けられる隙間によって、第2基板20の他方面20b側の流路が構成されている。
【0036】
次に、上述のように構成される車載用電子機器1における冷却構造について説明する。
まず、図3に示すように、第2基板20の他方面20b側の内部気体がファン4によって吸引される。ファン4によって吸引された内部気体は、気体導入部22を介して第2基板20の一方面20a側へ吹き出されると共に、循環流路F内を移動するように、第1基板10aに設けられる開口部12aへ向けて送風される。開口部12aに送風された内部気体は、第1基板10aに沿って流れ、第1基板10bに設けられる開口部12bへ導かれる。第1基板10bの開口部12bに導かれた内部気体は、第1基板10bに沿って流れ、第1基板10cに設けられる開口部12cへ導かれる。第1基板10cの開口部12cに導かれた内部気体は、第1基板10cに沿って流れ、第2基板20の他端側に設けられる気体排出部23へ導かれる。
【0037】
このように、第2基板20の一方面20a側に設けられる循環流路F内を流れ、気体排出部23へと送風された内部気体は、気体排出部23から第2基板20の他方面20b側であって第2基板20と第3基板30との間へ導かれる。そして、第2基板20と第3基板30との間へ導かれた内部気体は、ファン4の吸引によって、第2基板20の一端側の気体導入部22へ送風されると共に、気体導入部22を介して第2基板20の一方面20a側へ再び導かれて、筐体2内を循環する。このように、内部気体が第1基板10a〜10cの間を流れるように循環流路Fが構成されているため、基板に実装される電子部品の発熱によって暖められた内部気体が局所的に溜まることが抑制され、内部気体の温度分布を均熱化することができ、筐体内の各基板や電子部品等を効率的に冷却することができる。さらに、循環流路Fは、直列の流路で構成されているため、ファン4を複数設けなくとも、内部気体を効率的に送風することができる。
【0038】
そして、第3基板30が設けられる側の筐体2の側面には、冷却フィン40が設けられているので、第2基板20と第3基板30との間を流れた内部気体の熱を、第3基板30を介して冷却フィン40から筐体2外部へ放熱させることができる。
【0039】
以上説明したように、本第1実施形態に係る車載用電子機器1では、保持部材(第2基板20)の一方面20a側において所定方向の一端側から他端側に続くように一方面20aに沿った循環流路Fが構成されている。そして、循環流路Fは、基板同士の間隔をあけて所定方向に並んで配置された複数の基板(第1基板10a、10b、10c)を構成要素としており、ファン4によって一方面20a側に導かれた内部気体が各基板間を流れるように構成されている。
この構成によれば、第1基板10a〜10cに実装される電子部品の発熱によって暖められた内部気体が一方面20a側(各基板の配置側)において局所的に溜まることが抑制され、内部気体の温度分布を均熱化することができる。また、保持部材(第2基板20)の一端側に設けられたファン4により、他方面20b側から一方面20a側に内部気体が導入されるようになっているため、循環流路Fを通って他端側に達した内部気体が他方面20b側に移動し易く、他方面20b側に移動した内部気体が再び一方面20a側に導入されるように循環し易くなる。従って、外気が導入され難い密閉性の高い筐体2内において内部気体の熱分布を全体的に均一化することができ、筐体2内に収容される第1基板10a〜10cや電子部品等を効率的に冷却することができる。また、この構成では、ファン4を筐体2内に多数設けたり、大型の専用ダクトを設けなくとも、筐体2内の内部気体を効率よく循環させることができるため、高い密閉性を必要とする車載用電子機器1の冷却をより小型構成で実現することができる。
【0040】
また、保持部材が、第1基板10a〜10cとは異なる第2基板20からなり、第2基板20の一端側には、貫通形状又は切欠形状からなる気体導入部22が形成されており、ファン4は、第2基板20の他方面20b側の内部気体を、気体導入部22を介して一方面20a側に導入するとともに、当該気体導入部22からの内部気体を循環流路Fに向けて送風している。
この構成によれば、多種類の基板を効率的に配置し易い接続方式を実現することができる。特にこの構成では、第2基板20の一方面20a側に熱がより集中し易くなるため、循環流路Fによって内部気体を循環することで高い放熱効果が得られる。更に、ファン4により気体導入部22を介して他方面20b側の内部気体を一方面20a側に導入することができるため、相対的に低い温度の内部気体を複数の基板(第1基板10a、10b、10c)が配置されている側へ効率よく送り込むことができ、筐体2内における内部気体の局所的な温度上昇をより一層抑制することができる。
【0041】
さらに、第2基板20の他端側において、貫通形状又は切欠形状からなる気体排出部23が形成されており、循環流路F内を流れて他端側に導かれた内部気体が、気体排出部23を介して第2基板20の他方面20b側に移動し、この移動した当該内部気体が、再び気体導入部22を介して一方面20a側に導かれるように循環している。
この構成によれば、第2基板20の一方面20a側では、一端側において内部気体の導入が促進され、他端側において内部気体の排出が促進されるため、構造的に内部気体が滞留しやすい第1基板10a〜10cの各基板間においても強制的に内部気体を循環させやすくなる。また、第2基板20の一方面20a側においても、他方面20b側においても当該第2基板20の板面方向に沿って効率的に内部気体を移動させることができるため、筐体2内全体として内部気体の循環効果が一層高まる。
【0042】
さらに、筐体2内における第2基板20の他方面20b側において、当該第2基板20と対向するように第3基板30が設けられ、気体排出部23を介して第2基板20の他方面20b側に移動した内部気体が、第2基板20と第3基板30との間に導かれるようになっており、ファン4は、第2基板20と第3基板30との間を通る内部気体を、気体導入部22を介して一方面20a側に導いている。
この構成では、当該第2基板20とこれに対向する第3基板30の間の空間を流路として利用して内部気体を効率的に循環させることができる。特に、他方面20b側での循環の際には、第2基板20及び第3基板30に沿って内部気体が循環するため、第2基板20や第3基板30付近での局所的な熱の蓄積を抑制することができ、第1基板10a〜10cだけでなく、第2基板20や第3基板30の放熱効果も高まる。
【0043】
さらに、第2基板20の一方面20aにおいて、コネクタ部24a、24b、24cが間隔をあけてそれぞれ設けられ、第1基板10a〜10cの一端部には、コネクタ部24a、24b、24cと接続可能なカードエッジ部が形成されており、第1基板10a〜10cは、第1基板10a〜10cのカードエッジ部がコネクタ部24a、24b、24cにそれぞれ挿し込まれることで第2基板20の一方面20aからそれぞれ立ち上がる構成で保持されている。
上記のように第1基板10a〜10cに設けられたカードエッジ部を第2基板20の一方面20aに設けられたコネクタ部24a、24b、24cに接続して当該第1基板10a〜10cを固定する構造を用いると、多種類の基板を効率的に接続、配置することができる。そして、このようにカードエッジ構造で並設された複数の基板(第1基板10a〜10c)の各基板間を流れるように流路が構成されているため、カードエッジ構造のメリットを享受しつつ効率的な放熱を実現することができる。
【0044】
さらに、第1基板10a〜10cの幅方向片側寄りにおいて、当該第1基板10a〜10cの厚さ方向に連通する空間を構成するように、当該第1基板10a〜10cに形成された開口部12a、12b、12cからなる連通部が形成され、この連通部が、循環流路Fの一部として構成されている。そして、第1基板10a〜10cは、所定方向に並んで配置されると共に、隣り合う基板同士の連通部の位置が幅方向一方側と他方側とで互い違いに配置されるように第2基板20によって保持されている。
この構成によれば、循環流路Fを通る内部気体が第1基板10a〜10cの幅方向全体に接触し易くなるため、これら各基板において全体的に放熱がなされ、循環流路Fでの局所的な熱の蓄積を一層抑制することができる。
【0045】
さらに、筐体2が密閉されているため、筐体2内の防塵性や防水性(水分腐食に対する耐性)を十分に確保することができる。一方、このような密閉構造の場合、筐体2内における局所的な熱の蓄積がより深刻となるが、本発明では、特徴的な循環流路Fによってこのような問題を効果的に解消しており、密閉構造のメリットを享受しつつ、局所的な熱の蓄積を効果的に抑制し得る構成を実現することができる。
【0046】
さらに、筐体2において、一方面20a又は他方面20bと対向する側の壁部には、当該筐体2の外部側に露出する複数の冷却フィン40が設けられている。
この構成では、一方面20a側或いは他方面20b側の循環経路において外部へ熱放散することができ、密閉性を維持しつつ循環過程において内部気体を効率的に冷却することができる。
【0047】
[第1実施形態の第1変形例]
次に、本発明の第1実施形態における第1変形例に係る車載用電子機器1について、図4を参照して説明する。図4に示すように、第1実施形態における第1変形例では、連通部の形状が異なる以外は、上記第1実施形態と同様である。以下、これ以外の上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。なお、上記第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
図4(A)は、第1実施形態の第1変形例に係る循環流路を説明する説明図であり、図4(B)は、第1実施形態の第1変形例に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。本第1変形例では、上記第1実施形態で示した開口部12a〜12cの構成に代えて、第1基板10a〜10cの長手方向片側寄り(幅方向片側寄り)に、基板の厚さ方向に連通する空間を構成するように、切欠部13a、13b、13cが設けられている。そして、これら切欠部13a〜13cからなる連通部によって、循環流路Fの一部が構成されている。切欠部13a〜13cの形状は、特に限定されないが、製造上の面から、各切欠部が他の切欠部と符合する形状とするのが好ましい。このように、本第1変形例では、連通部が切欠部13a、13b、13cから構成されていても、上記第1実施形態と同様に、筐体2内の各基板や電子部品等を効率的に冷却することができる。
【0049】
[第1実施形態の第2変形例]
次に、本発明の第1実施形態における第2変形例に係る車載用電子機器1について、図5を参照して説明する。図5に示すように、第1実施形態における第2変形例では、連通部の形状が異なる以外は、上記第1実施形態と同様である。以下、これ以外の上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。なお、上記第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図5(A)は、第1実施形態の第2変形例に係る循環流路を説明する説明図であり、図5(B)は、第1実施形態の第2変形例に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。本第2変形例では、上記第1実施形態で示した開口部12a〜12cの構成に代えて、第1基板10a〜10cの長手方向片側寄り(幅方向片側寄り)に、第1基板10a〜10cの幅方向片側部11と筐体2の内壁部2aとで構成される隙間部14a、14b、14cが設けられている。そして、これら隙間部14a〜14cからなる連通部によって、循環流路Fの一部が構成されている。このように、本第2変形例では、連通部が隙間部14a、14b、14cから構成されていても、上記第1実施形態と同様に、筐体2内の各基板や電子部品等を効率的に冷却することができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る車載用電子機器1について、図6を参照して説明する。図6に示すように、本第2実施形態では、第1基板10a〜10c及び各電子部品の配置が異なる以外は、上記第1実施形態と同様である。以下、これ以外の上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。なお、上記第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
図6(A)は、第2実施形態に係る循環流路を説明する説明図であり、図6(B)は、第2実施形態に係る車載用電子機器を第2基板の一方面側から見た様子を概略的に説明する説明図である。
一般的に、暖められて比重が小さくなった気体は自然対流の効果により上昇する性質を持ち、温度が高い気体ほど上昇する速度が大きくなる。そこで本第2実施形態では、この性質を利用し、第1基板10a〜10c及び高発熱電子部品15の配置を工夫することで、暖められた内部気体をより効率的に流通させるようにしている。
【0053】
より具体的には、第2基板20は、一端側が下方側、他端側が上方側となるように配置されている。そして、第1基板10a〜10cは、図6に示すように、開口部12a、12b、12c側が幅方向他方側よりも高い位置となるように上下方向に対して傾斜して配置されている。そして、第1基板10a〜10cにはそれぞれ電子部品が実装されており、当該基板に実装される他の部品(低発熱電子部品16)と比較して発熱量が相対的に大きい高発熱電子部品15が、長手方向(幅方向)において開口部12a、12b、12cからなる連通部寄りにそれぞれ実装されている。
【0054】
このように本第2実施形態に係る車載用電子機器1では、第1基板10a〜10cにそれぞれ、電子部品が実装されており、これら各基板において、当該基板に実装される他の部品と比較して発熱量が相対的に大きい高発熱電子部品15が、幅方向において連通部寄りに実装されている。
この構成では、内部気体が確実に通過し且つ流量が相対的に大きくなる連通部付近に高発熱電子部品15が配置されるため、熱の滞留が懸念される高発熱電子部品15の付近において放熱を促進することができ、より一層の熱分布の均一化を図ることができる。
【0055】
さらに、第2基板20は、一端側が下方側、他端側が上方側となるように配置されるものであり、第1基板10a〜10cは、連通部側が幅方向他方側よりも高い位置となるように上下方向に対して傾斜して配置されている。
この構成により、相対的に高い位置に配置された連通部付近の流速を高めることができ、このような連通部付近に配置される高発熱電子部品15の放熱をより一層促進することができる。
【0056】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0057】
上記各実施形態では、送風部がファン4より構成される例を示したが、送風部の構成は特に限定されない。例えば、図7に示すように、送風部は、圧電ブロア5から構成されていてもよい。送風部を圧電ブロア5で構成することにより、送風部をファン4などで構成する場合と比べより小型構成とすることができ、筐体内の省スペース化を図ることができる。また、圧電ブロア5を予め基板に実装させておけば、当該電子機器1の組み付け作業が容易となる。
【0058】
上記各実施形態では、第1基板10a〜10cに設けられる各連通部は、開口部又は切欠部或いは隙間部のいずれか1つのみから構成される例を示したが、これらが混在して設けられる構成としてもよい。
【0059】
上記各実施形態では、筐体が密閉されている構成を例に挙げて説明したが、筐体が密閉されていない構成を採用してもよい。
【0060】
上記各実施形態では、筐体2の壁部に、熱交換部として冷却フィン40を配置した例を示したが、冷却フィン40の代わりに、ヒートパイプや、ペルチェ素子等を配置する構成としてもよい。
【0061】
上記各実施形態では、第2基板20の一方面20aに、3枚の基板(第1基板10a〜10c)を配置した構成を例に挙げて説明したが、これら第1基板の枚数は2枚であってもよく、また4枚以上配置する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…車載用電子機器
2…筐体
2a…内壁部
4…ファン(送風部)
4a…羽根
4b…ケース
5…圧電ブロア(送風部)
10a、10b、10c…第1基板(複数の基板)
11…幅方向片側部
12a、12b、12c…開口部(連通部)
13a、13b、13c…切欠部(連通部)
14a、14b、14c…隙間部(連通部)
15…高発熱電子部品(電子部品)
16…低発熱電子部品(電子部品)
20…第2基板(保持部材)
20a…一方面
20b…他方面
22…気体導入部
23…気体排出部
24a、24b、24c…コネクタ部
25…ガイド部
30…第3基板
33…フレキシブルコネクタ
40…冷却フィン
F…循環流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装した複数の基板と、
複数の前記基板を保持する保持部材と、
前記保持部材に複数の前記基板が保持されてなる回路構成体を収容する筐体と、
を備え、
複数の前記基板が基板同士の間隔をあけて所定方向に並んで配置されると共に、各基板が前記所定方向と交差する構成で配置され且つ前記保持部材の一方面から立ち上がる構成で配置されてなる車載用電子機器であって、
前記保持部材の前記一方面側に設けられ、前記筐体内の内部気体が前記一方面に沿って流れるように構成された循環流路と、
前記筐体内の前記内部気体を前記保持部材の他方面側から前記一方面側に送ると共に、当該内部気体が前記循環流路内を移動するように送風する送風部と、
を備え、
前記循環流路は、前記保持部材の前記一方面に沿った所定方向の一端側から他端側に続くように流路が構成され、且つ前記送風部によって前記一方面側に導かれた前記内部気体が、並設された複数の前記基板の各基板間を流れるように構成されていることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記保持部材は、複数の前記基板とは異なる第2基板からなり、
前記第2基板の前記一端側には、貫通形状又は切欠形状からなる気体導入部が形成されており、
前記送風部は、前記第2基板の前記他方面側の前記内部気体を前記気体導入部を介して前記一方面側に導入するとともに、当該気体導入部からの前記内部気体を前記循環流路に向けて送風することを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記第2基板の前記他端側には、貫通形状又は切欠形状からなる気体排出部が形成されており、
前記循環流路内を流れて前記他端側に導かれた前記内部気体が、前記気体排出部を介して前記第2基板の前記他方面側に移動し、この移動した当該内部気体が、再び前記気体導入部を介して前記一方面側に導かれるように循環することを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記筐体内における前記第2基板の前記他方面側には、当該第2基板と対向するように第3基板が設けられ、
前記気体排出部を介して前記第2基板の前記他方面側に移動した前記内部気体が、前記第2基板と前記第3基板との間に導かれるようになっており、
前記送風部は、前記第2基板と前記第3基板との間を通る前記内部気体を、前記気体導入部を介して前記一方面側に導くことを特徴とする請求項3に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記保持部材の前記一方面において、複数のコネクタ部が間隔をあけてそれぞれ設けられ、
前記基板の少なくとも一端部には、前記コネクタ部と接続可能なカードエッジ部が形成されており、
複数の前記基板は、各基板の前記カードエッジ部が前記コネクタ部にそれぞれ挿し込まれることで前記保持部材の前記一方面からそれぞれ立ち上がる構成で保持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記基板の幅方向片側寄りには、当該基板の厚さ方向に連通する空間を構成するように、当該基板に形成された開口部又は切欠部、或いは前記基板の幅方向片側部と前記筐体の内壁部とで構成される隙間部からなる連通部が形成されており、
前記連通部は、前記循環流路の一部として構成されており、
複数の前記基板は、前記所定方向に並んで配置されると共に、隣り合う基板同士の前記連通部の位置が幅方向一方側と他方側とで互い違いに配置されるように前記保持部材によって保持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
複数の前記基板にはそれぞれ、電子部品が実装されており、
少なくともいずれかの前記基板において、当該基板に実装される他の部品と比較して発熱量が相対的に大きい高発熱電子部品が、前記幅方向において前記連通部寄りに実装されていることを特徴とする請求項6に記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記保持部材は、前記一端側が下方側、前記他端側が上方側となるように配置されるものであり、
前記基板は、前記連通部側が幅方向他方側よりも高い位置となるように前記上下方向に対して傾斜して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の車載用電子機器。
【請求項9】
前記筐体は密閉されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の車載用電子機器。
【請求項10】
前記送風部は圧電ブロアから構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の車載用電子機器。
【請求項11】
前記筐体において、前記一方面又は前記他方面と対向する側の壁部には、当該筐体の外部側に露出する複数の冷却フィンが設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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