説明

車載通信システム及び車載通信方法

【課題】複数の群のECUに対してデータベースを有する車載通信装置を更に群毎に接続し、各車載通信装置がデータベースからデータを各ECUへ送信する構成とした場合に夫々が有するデータベースを同一の内容に同期させ、更に、同一の内容に同期されたデータと最新のデータとをECUが夫々使用することができる車載通信システム及び車載通信方法を提供する。
【解決手段】車載通信装置1a,1b,1c,1dがデータベース11a,11b,11c,11dのデータを通信線2を介して相互に交換することによりデータベース11a,11b,11c,11dの内容が同期される。一方、車載通信装置1aはECU4a,4aから送信されるデータをデータベース11aに対するバッファ12aに一次的に記録しておき、ECU4a,4aへはデータベース11a又はバッファ12aのいずれかからデータを読み出して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ECU(Electronic Control Unit)を複数の群に分け、群毎に車内通信回線に接続してある車載通信システムに関し、特に、各ECUから送信されるデータを記録し、また各ECUへデータを送信するためのデータベースを有する複数の車載通信装置を群毎に備え、群毎の車載通信装置を幹線で接続する構成とした場合に、各ECUが群毎に車載通信装置から取得するデータの内容に、他の群との間で一貫性を持たせることができると共に、内容のリアルタイム性が重要なデータを使用するECUは、データが最新の内容に更新されている記録領域から読み出されたデータを使用することができる車載通信システム及び車載通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に搭載される機器の増加及び運転補助機能の増加に従い、搭載機器又は運転補助機能を電気的に制御するECUの数及び種類が増大する傾向にある。
【0003】
従って、ECUの数の増大に伴いECUが接続される車内通信回線で送受信されるデータの量も増大する。車内通信回線で送受信されるデータ量の増大はコリジョン(衝突)によるデータの遅延又は欠落を招く。データの著しい遅延又は欠落は、ECUによるブレーキ制御等の運転補助機能に対して致命的な場合がある。
【0004】
そこで、ECUを複数の群に分け、異なる車内通信回線にECUを群毎に接続する構成が一般的である。また、ECUの増大に対して効率的に車内通信回線を利用するために、ECUの群を送受信するデータの種類で分別し、群毎に通信速度の異なる車内通信回線に接続する構成もある。これらの構成では、異なる車内通信回線間はデータの送受信を制御するゲートウェイ装置により接続される。
【0005】
特許文献1には、ECUを複数の群に分けて群毎に通信回線に接続し、車内通信回線を更にゲートウェイ装置で接続する構成とし、送受信されるデータに優先順位を識別するための優先度情報を付加し、ゲートウェイ装置が異なる車内通信回線間でデータを送受信する場合に受信したデータの優先度情報から優先度を判別して優先度が高いデータを優先的に送信し、車内通信回線の通信負荷が増加した場合でも優先度が高いデータの送信が大きく遅れないようにする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−159568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ECUを複数の群に分けて、各ECU間をゲートウェイ装置を介して接続する場合、一の群の中のECUが更新するデータの内容は、更新された後にゲートウェイ装置を介して他の群のECUへ送信されるまでの間、一の群と他の群とではデータの内容が一致しない時間帯がある。さらに、複数の群のECUがゲートウェイ装置に直列的に接続される場合は、一の群と他の群とでデータの内容に段階的に時間差が生じる虞がある。
【0007】
即ち、本来は同一の内容のデータが各ECUで使用できるはずであったにも拘わらず、通信負荷を抑えるために各ECUを複数の群に分けることによって、異なる群の間でデータの一貫性が失われることになる。したがって、ECU間の物理的な距離が長いにも拘わらず、一の属性のデータに対して同一の内容であることが必要な場合は同一の群に接続しなければならず、余分な通信線が必要となる。また、複数の制御対象間の物理的距離が長いにも拘わらず夫々の制御対象は同一の内容のデータが必要である場合、一のECUに集中して制御させなければならず、一のECUに接続するための余分な長い距離の通信線が必要となる。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の群に分けられたECU等の各車載装置から送信されるデータを記録するためのデータベースを有する車載通信装置を群毎に備え、更に各車載通信装置でデータベースを同期させる構成とする一方で、全ての車載装置で同一の内容であるデータが必要とは限らないので、最新の内容に更新されたデータについては、各車載通信装置に設けてあるバッファに記録する構成とする。これにより、各車載通信装置が夫々有するデータベースを同一の内容に同期させ、各車載装置が群毎に車載通信装置から取得するデータの内容に他の群で取得されるデータとの間で一貫性を持たせることができると共に、内容のリアルタイム性が重要なデータを使用する車載装置は、最新の内容に更新されているバッファから読み出されたデータを使用することができる車載通信システム及び車載通信方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、車載通信装置はデータベースを同期させるために他の車載通信装置へデータベースを送信する際に、車載通信装置はデータベースに対して設けてあるバッファに記録されている各車載装置から送信されたデータ、即ち更新されたデータのみ他の群に接続している他の車載通信装置へ送信する構成とすることにより、各車載通信装置が備えるデータベースを最新のデータを用いて同一の内容に同期させることができると共に、一部の車載装置は、最新の内容に更新されているバッファから読み出されたデータを使用することができる車載通信システム及び車載通信方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、車載通信装置から送信されるデータを使用する車載装置は、車載通信装置へ、データベース又はバッファのいずれかの記録領域から読み出されたデータを送信するように指定する構成とすることにより、他の群と同一の内容であるデータベースから読み出されたデータと、他の群と同一の内容でない可能性があるが更新されたリアルタイム性の高いデータが記録されているバッファから読み出されたデータとで任意のデータを選択して使用することができる車載通信システム及び車載通信方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、車載通信装置が、車載装置毎に送信するデータを読み出す記録領域をデータベース又はバッファのいずれにするかを記憶しておく構成とすることにより、他の群と同一の内容であるデータベースから読み出されたデータと、他の群と同一の内容でない可能性があるが更新されたリアルタイム性の高いデータが記録されているバッファから読み出されたデータとで区別して各車載装置に使用させることができる車載通信システム及び車載通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る車載通信システムは、データを送受信する複数の車載装置と、複数の群に分けられた前記車載装置を夫々群毎に接続する車内通信回線とを含む車載通信システムにおいて、群毎の前記車内通信回線に接続されており、各車載装置と前記車内通信回線を介して送受信されるデータを記録するデータベース及び該データベースに対するバッファを有する車載通信装置を群毎に備え、各車載通信装置は、前記車内通信回線とは別の通信線を介して接続されており、前記データベース及び前記バッファに記録されているデータの内の所定のデータを他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信する手段と、前記他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータを前記データベースに記録する手段と、前記車内通信回線を介して接続している車載装置から送信されたデータを前記バッファに記録する手段と、前記車内通信回線を介して接続している車載装置へ前記データベース又は前記バッファから読み出されたデータを送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る車載通信システムは、前記車載通信装置は夫々、前記バッファに記録されているデータのみを前記所定のデータとして送信するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
第3発明に係る車載通信システムは、前記車載装置は、前記データベース又は前記バッファのいずれかの記録領域を指定する指定情報を記憶する手段と、前記指定情報を前記車載通信装置へ送信する手段とを備え、前記車載通信装置は、前記車載装置から送信された指定情報を受信する手段と、受信した指定情報により指定される記録領域から読み出されたデータを前記車載装置へ前記車内通信回線を介して送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第4発明に係る車載通信システムは、前記車載通信装置は、車載装置毎に、送信するデータを読み出す記録領域として前記データベース又は前記記録領域のいずれかを記憶するようにしてあり、車載装置毎に、記憶してある前記記録領域から読み出されたデータを送信するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
第5発明に係る車載通信方法は、データを送受信する複数の車載装置と、複数の群に分けられた各車載装置を群毎に接続する複数の車内通信回線とで構成される車載通信システムに対し、一の群に含まれる車載装置から送信されるデータを他の群に含まれる車載装置へ送信する車載通信方法において、前記車載通信システムに、群毎の前記車内通信回線に接続され、各車載装置と前記車内通信回線を介して送受信されるデータを記録するデータベース及び該データベースに対するバッファを有する車載通信装置を群毎に備えて用い、各車載通信装置は、前記車内通信回線とは別の通信線を介して接続されており、前記データベース及び前記バッファに記録されているデータの内の所定のデータを前記通信線を介して接続している他の車載通信装置へ送信し、前記他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータを前記データベースに記録し、前記バッファに記録されているデータを前記データベースに記録して前記他の車載通信装置とデータベースを同期させ、前記車内通信回線を介して接続している車載装置から送信されたデータの一部又は全部を前記バッファに記録し、前記車内通信回線を介して接続している車載装置へ、前記データベース又は前記バッファから読み出されたデータを送信することを特徴とする。
【0017】
第6発明に係る車載通信方法は、前記各車載通信装置は夫々、前記バッファに記録されているデータのみを前記所定のデータとして送信することを特徴とする。
【0018】
第7発明に係る車載通信方法は、前記車載装置は、前記データベース又は前記バッファのいずれかの記録領域を指定する指定情報を前記車載通信装置へ送信し、前記車載通信装置は、受信した指定情報により指定される記録領域から読み出されたデータを前記車載装置へ送信することを特徴とする。
【0019】
第8発明に係る車載通信方法は、前記各車載通信装置は、車載装置毎に、送信するデータを読み出す記録領域として前記データベース又は前記記録領域のいずれかを記憶し、車載装置毎に、記憶した前記記録領域から読み出されたデータを送信することを特徴とする。
【0020】
第1発明及び第5発明では、データを送受信する車載装置が複数の群に分けられて、群毎に車内通信回線に接続される構成の車載通信システムに対し、群毎の車内通信回線に接続して各車載装置から送信されるデータを記録するデータベース及びデータベースに対するバッファを有する車載通信装置が更に含まれる。各車載通信装置は、車載装置間及び車載装置と車載通信装置とを接続する車内通信回線とは別の通信線を介して接続されている。各車載通信装置からはデータベースの内容を同期させるために、データベース及びバッファに記録されたデータの内の所定のデータが他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信され、各車載通信装置のデータベースには他の車載通信装置から送信されたデータが記録される。これにより、各車載通信装置が記録しているデータが交換され、車載通信装置のデータベースの内容が同一の内容に同期される。一方で、車載通信装置に設けられているバッファには、同期のための処理中であっても車内通信回線を介して接続している車載装置から送信されたデータの一部又は全部が記録される。また、車内通信回線を介して接続されている各車載装置へは、データベース又はバッファのいずれかから読み出されたデータが送信される。
【0021】
第2発明及び第6発明では、車載通信装置から他の車載通信装置へデータベースの内容を同期させるためのデータが通信線を介して送信される際、車載装置から送信されてバッファに記録されたデータのみが他の車載通信装置へ送信される。バッファは、他の群に接続している車載通信装置から送信されたデータを記録する同一の内容を担保するためのデータベースとは別に、当該車載通信装置に車内通信回線を介して接続している車載装置から送信されたデータが記録されている。即ち、車載装置から送信されたデータが記録されているバッファは、データベースの同期が完了するまでに、更新による差分が記録される同期待ちバッファとして使用される。
【0022】
第3発明及び第7発明では、データベース及びバッファの両者にデータを記録している車載通信装置へ、データベース又はバッファのいずれの記録領域からデータを読み出して送信されるべきかが車載装置から指定情報が送信されることにより指定され、指定されたデータベース又はバッファからデータが読み出され、その車載装置へ送信される。
【0023】
第4発明及び第8発明では、データベース及びバッファの両者にデータを記録している車載通信装置には、車内通信回線を介して接続されている車載装置毎に送信するデータをデータベース又はバッファのいずれの記録領域から読み出すかが記憶されており、車載装置毎に記憶された記録領域から読み出されたデータが送信される。
【発明の効果】
【0024】
第1発明及び第5発明による場合、通信線を介して接続している各車載通信装置のデータベースには、異なる群で同一の内容に同期されるデータが記録されている。これにより、各車載通信装置が夫々有するデータベースを同一の内容に同期させ、各車載装置が群毎に車載通信装置から取得するデータの内容に、他の群で取得されるデータとの間で一貫性を持たせることができる。一方、各車載通信装置のバッファにはその車載通信装置が車内通信回線を介して接続している車載装置から送信されたデータが記録されている。車載装置から送信されたデータがその車載装置で更新された最新の内容のデータであれば、バッファにはリアルタイム性の高いデータが記録されていることになる。これにより、各車載通信装置に車内通信回線を介して接続されている各車載装置は、データベースに記録されているデータ又はバッファに記録されているデータを必要に応じて使用することができる。
【0025】
したがって、本発明に係る車載通信システムでは、車載装置を複数の群に分けて構成する場合、他の群に接続している他の車載装置が使用するデータと内容が一致していることが重要なデータを使用する車載装置、及びリアルタイム性が重要なデータを使用する車載装置を同じ車内通信回線に接続して同じ群に同居させることができる。
【0026】
第2発明及び第6発明による場合は、車載通信装置から他の車載通信装置へデータベースの内容を同期させるために通信線を介して送信されるデータは、バッファから読み出されたデータのみであり、データベースが同期されてから新たにその車載通信装置に車内通信回線を介して接続されている各車載装置から送信されたデータである。したがって、同期されたデータベースからの更新による差分が送信されるので、各車載通信装置が備えるデータベースを、最新のデータを使用して同一の内容に同期させることができると共に、一部の車載装置は、最新の内容に更新されているバッファから読み出されたデータを使用することができる。さらに、各車載通信装置によって通信線に送信されるデータ量がバッファに記録された更新されたデータのみで済むので、車載通信装置間を接続する通信線に対する通信負荷を低減させることができる。
【0027】
第3発明及び第7発明による場合は、データベース又はバッファの内の、車載装置から送信された指定情報により指定される記録領域からデータが読み出されてその車載装置へ送信される。したがって、各車載装置は、他の群と同一の内容に同期されているデータベースから読み出されたデータと、他の群と同一の内容でない可能性があるが更新されたリアルタイム性の高いデータが記録されているバッファから読み出されたデータとで任意のデータを指定して使用することができる。
【0028】
第4発明及び第8発明による場合は、車載通信装置に車載装置毎に記憶されている記録領域から読み出されたデータが夫々車載装置に送信される。したがって、他の群と同一の内容であるデータベースから読み出されたデータと、他の群と同一の内容でない可能性があるが更新されたリアルタイム性の高いデータが記録されているバッファから読み出されたデータとを区別して各車載装置に夫々使用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る車載通信システムの構成を示す構成図である。車載通信システムは、複数の群に分けられた車載装置であるECU(Electronic Control Unit)4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…と、群毎に各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…を接続している車内通信回線3a,3b,3c,3dと、各車内通信回線3a,3b,3c,3dに夫々接続している車載通信装置1a,1b,1c,1dと、各車載通信装置1a,1b,1c,1dを接続している通信線2とを含み、幹線となる通信線2に接続された各車載通信装置1a,1b,1c,1dを介して複数の群に分けられたECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…間を接続する幹線型の車載ネットワークを構成している。
【0031】
各車載通信装置1a,1b,1c,1dは夫々通信線2に接続されている。その接続形態(トポロジー)バス型、スター型、ディジーチェーン型等、いずれの形態でもよい。各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…、及び車載通信装置1a,1b,1c,1dは夫々の車内通信回線3a,3b,3c,3dに接続しているが、その接続形態はバス型、スター型、ディジーチェーン型等、いずれの形態でもよい。
【0032】
各車載通信装置1a,1b,1c,1dは夫々、データベース11a,11b,11c,11dとして使用する記憶領域を備えた通信装置である。車載通信装置1aは基本的に、車内通信回線3aに接続しているECU4a,4a…から送信されたデータをデータベース11aに記録し、データベース11aから読み出されたデータをECU4a,4a…へ送信する。
【0033】
通信線2は、車載通信装置1a,1b,1c,1dを接続する同軸ケーブル等のケーブルであり、その接続形態に適したケーブルが使用される。車内通信回線3a,3b,3c,3dは各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…、及び車載通信装置1a,1b,1c,1dを接続するためのケーブルであり、その接続形態に適したケーブルが使用される。
【0034】
ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…は、測定値、計算値、制御値等の各種物理量の数値情報を含むデータの送信又はエンジン、ブレーキ等のマイクロコンピュータによる制御が可能な装置である。例えば一のECU4aはABS(Antilock Brake System)として機能し、車輪の回転速度(車輪速)を検知する図示しないセンサと接続されている。一のECU4aは、車両の制動時にセンサを介して検知した車輪速に基づいてブレーキを制御すると共に、車輪速の測定値を含むデータを車載通信装置1aへ送信する。
【0035】
ここで、ECU4aから送信された車輪速のデータを他の車内通信回線3b,3c,3dに接続している各ECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…でも使用する場合、車載通信装置1aは車輪速のデータを他の車載通信装置1b,1c,1dのデータベース11b,11c,11dにも記録させ、各車載通信装置1b,1c,1dが各ECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…へ送信させることが必要になる。そのため、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されるデータを他の車載通信装置1a,1b,1c,1dへ送信し、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが受信して、夫々が有するデータベース11a,11b,11c,11dに記録するようにして実現することができる。
【0036】
ところで、データベース11a,11b,11c,11dに記録されるデータの内の、異なる車内通信回線3a,3b,3c,3dに接続されている各ECU4a,4b,4c,4dが同時に受信するデータが同一の内容であることが望ましい場合がある。夫々のデータベース11a,11b,11c,11dの内容が同一の内容に同期されていないことが問題になる。例えば、データベース11aに記録されている車輪速のデータに含まれる速度の数値が、データベース11bに記録されている車輪速のデータに含まれる速度の数値と異なることが問題になる場合がある。
【0037】
そこで、本発明に係る車載通信システムを構成する各車載通信装置1a,1b,1c,1dは、データベース11a,11b,11c,11dを同一の内容に同期させるため、夫々に記録されているデータを交換するように送受信して記録する処理を実行する。図1中の白矢印は、各車載通信装置1a,1b,1c,1dによってデータが相互に交換される流れを表わしている。
【0038】
各車載通信装置1a,1b,1c,1dが、データベース11a,11b,11c,11dに記録されているデータを相互に交換して同期させる処理を実行している間、各々に接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信された新しいデータを同期中のデータベース11a,11b,11c,11dに記録した場合、同期されようとするデータベース11a,11b,11c,11dの内容が夫々変化してしまう。したがって、各データベース11a,11b,11c,11dの内容を同期させること、即ち同時にデータベース11a,11b,11c,11dから読み出した任意のデータの内容が一致する時間が一定時間あることを担保することは難しい。
【0039】
したがって、本発明に係る車載通信システムを構成する各車載通信装置1a,1b,1c,1dは、データベース11a,11b,11c,11dに対するバッファ12a,12b,12c,12dを設けて、同期中は各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されたデータを夫々のバッファ12a,12b,12c,12dに一次的に記録する。図1中の実線の矢印は、ECU4a,4aから送信されたデータが車載通信装置1aのバッファ12aに一次的に記録される場合のデータの流れを表わしている。
【0040】
これにより、同期のための処理が完了した時点で、各車載通信装置1a,1b,1c,1dのデータベース11a,11b,11c,11dの内容は同一の内容に同期される。各車載通信装置1a,1b,1c,1dは、同期のための処理が完了した後、バッファ12a,12b,12c,12dに記録されたデータをデータベース11a,11b,11c,11dに夫々反映させて再度同期のための処理を実行し、これを一定周期で繰り返す。
【0041】
また、各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…がデータを使用する場合、そのデータが各車内通信回線3a,3b,3c,3dに別々に接続されているECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…で同一の内容である必要があるときは、各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…へ各車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々有するデータベース11a,11b,11c,11dから読み出されたデータが送信されるようにする。また、各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…がデータを使用する場合、そのデータが更新された最新のデータである必要があるときは、各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…へ各車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々有するバッファ12a,12b,12c,12dから読み出されたデータが送信されるようにする。図1中の破線の矢印は、車載通信装置1aのデータベース11aから読み出されたデータ及びバッファ12aから読み出されたデータが夫々ECU4a,4aへ送信される場合のデータの流れを表わしている。
【0042】
以下に夫々の処理について詳細を説明する。
【0043】
図2は、本発明に係る車載通信システムを構成する車載通信装置1a,1b,1c,1d及びECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…の内部構成を示すブロック図である。
【0044】
車載通信装置1aは、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部10aと、各構成部に電力を供給する電源回路13aと、メモリからなる記憶部14aと、車内通信回線3aに接続されている第1通信制御部15aと、通信線2に接続されている第2通信制御部16aとを備える。他の車載通信装置1b,1c,1dも車載通信装置1aと同様の内部構成であるので詳細な説明を省略する。
【0045】
制御部10aは、図示しない車輌のオルタネータ、バッテリー等から電源回路13aを介して電力の供給を受け、記憶部14aに記憶されている制御プログラムを読み出して実行し、各構成部を制御する。
【0046】
記憶部14aには、制御部10aがECU4a,4a,…から受信したデータを記録するデータベース11aのための記憶領域が設けられている。制御部10aは、受信したデータから「車輪速」等の属性毎に、対応する具体的な測定値、計算値、制御値を読み出してデータベース11aに記録する。以下に説明する実施の形態では、データベース11a,11b,11c,11dの構造が定められている構成とする。即ち、データ毎にデータベース11a,11b,11c,11dの内の領域(アドレス)が設定されており、例えばデータベース11aの内のアドレス1番地に記録されているデータは「車輪速」であり、他のアドレス3番地に記録されているデータは「オイル温度」であると特定することができるようにされている。
【0047】
なお、これに限らずデータベース11aは、属性名等、データの属性の識別情報と識別情報に対応付けられた具体的な値とが組にして記録される構成でもよい。
【0048】
また、記憶部14aには、車内通信回線3aを介して接続されているECU4a,4a,…から送信されたデータを一次的に記録するバッファ12aが設けられている。バッファ12aは、記憶部14aにデータベース11aのために設けられた記録領域とは別に設けられた記録領域でもよいし、データベース11aのために設けられた記録領域の一部をバッファ12aとして使用するようにしてもよい。さらに、データベース11aとバッファ12aとは物理的に異なるメモリ等の記憶領域に確保される構成でもよい。
【0049】
第1通信制御部15aは、車内通信回線3aを介して接続されている各ECU4a,4a,…とのデータの送受信を実現する。制御部10aは、第1通信制御部15aにより各ECU4a,4a,…からデータを受信し、データを送信する。
【0050】
また、第2通信制御部16aは、通信線2を介して接続されている他の車載通信装置1b,1c,1dとのデータの送受信を実現する。制御部10aは、第2通信制御部16aにより、データベース11a又はバッファ12aから読み出したデータを送信して他の車載通信装置1b,1c,1dから送信されたデータを受信する。
【0051】
ECU4aは、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部40と、各構成部へ電力を供給する電源回路41と、メモリからなる記憶部42と、車内通信回線3aに接続されている通信制御部43と、図示しないセンサからの信号を入力する入力部44と、図示しない制御対象装置へ制御信号を出力する出力部45とを備える。他のECU4b,4c,4dは、ECU4aと同様の構成であることから詳細な説明を省略する。なお、ECUによっては入力部44及び出力部45はいずれか一方のみ備える構成でもよい。
【0052】
ECU4aの制御部40は、図示しない車輌のオルタネータ、バッテリー等から電源回路41を介して電力の供給を受け、入力部44を介してECU4aに接続されている図示しないセンサからの測定値を表す信号を検知し、出力部45を介してECU4aに接続されている制御対象の装置へ制御信号を送信する。
【0053】
記憶部42には、制御部40は処理の過程で発生する各種情報又は例えばセンサから入力された信号が表す測定値を一時的に記憶する。また、記憶部42には、処理に使用するデータを車内通信回線3aを介して接続している車載通信装置1aから受信する場合、データベース11aから読み出されたデータを使用するのか、バッファ12aから読み出されたデータを使用するのかを指定する指定情報が記憶されている。制御部40は、記憶部42に記憶されている指定情報を読み出して通信制御部43及び車内通信回線3aを介して車載通信装置1aへ読み出した指定情報を送信する。
【0054】
なお、ECU4aは、ディップスイッチなどによってデータベース11aから読み出されたデータを使用するのか、バッファ12aから読み出されたデータを使用するのかを外部から切り替えられるようにしてあり、制御部40がディップスイッチのオン/オフを検知して、対応する指定情報を通信制御部43を介して車載通信装置1aへ送信する構成でもよい。
【0055】
通信制御部43は、ネットワークコントローラチップを有して車内通信回線3aとの通信を実現する。ECU4aの制御部40は、例えば1ミリ秒の一定時間毎に図示しないセンサからの信号を検知し、検知した信号が示す物理量の数値を含むデータを通信制御部43を介して送信する。また、ECU4aの制御部40は、通信制御部43を介して車載通信装置1aから送信されるデータを受信する。
【0056】
上述のように構成される本発明の車載通信システムにおいて、車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々有するデータベース11a,11b,11c,11dを同一の内容に同期させる処理について以下に説明する。
【0057】
図3は、実施の形態1における車載通信装置1aの制御部10aが他の車載通信装置1b,1c,1dからデータを受信してデータベース11aを他のデータベース11b,11c,11dと同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dの処理手順も車載通信装置1aの制御部10aの処理手順と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0058】
車載通信装置1aの制御部10aは、所定の周期が到来したか否かによって同期のための処理を開始するか否かを判断する(ステップS11)。所定の周期は、車載通信装置1aの記憶部14aに設定記憶されており、車載通信装置1aの制御部10aがタイマとして機能して所定の周期が到来したか否かを判断することにより、処理を開始するか否かを判断する。
【0059】
車載通信装置1aの制御部10aは、同期のための処理を開始しないと判断した場合(S11:NO)、処理をステップS11へ戻して同期のための処理を開始すると判断するまで待機する。
【0060】
車載通信装置1aの制御部10aは、同期のための処理を開始すると判断した場合(S11:YES)、バッファ12aに記録されているデータを読み出し(ステップS12)、読み出されたデータをデータベース11aの該当領域に記録する(ステップS13)。ステップS12で読み出されたデータがデータベース11aに記録されることにより、車内通信回線3aを介して接続されているECU4a,4a,…から送信されてバッファ12aに一次的に記録されていた更新されたデータがデータベース11aに反映される。
【0061】
次に車載通信装置1aの制御部10aは、自身がバッファ12aのデータが反映されたデータベース11aからデータを他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信する番であるか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14における送信する番であるか否かの判断は、各車載通信装置1a,1b,1c,1dに優先度を設定しておき、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが送信を試みた場合に優先度によって送信が成功するか/失敗するかを判断し、成功したときは自身の送信の番であると判断するようにしてもよい。また、各車載通信装置1a,1b,1c,1dに送信順序を設定して記憶部14a,14b,14c,14dに記憶しておき、各車載通信装置1aの制御部10aが、同期の処理を開始すると判断してから他の車載通信装置1b,1c,1dから送信がされたか否か、及び記憶部14aから読み出した送信順序に基づいて、自身の送信の番であるかを判断するようにしてもよい。
【0062】
車載通信装置1aの制御部10aは、送信する番でないと判断した場合(S14:NO)、他の車載通信装置1b,1c,1dから通信線2を介して送信されたデータを第2通信制御部16aにより受信したか否かを判断する(ステップS15)。車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1dから通信線2を介して送信されたデータを受信していないと判断した場合(S15:NO)、処理をステップS15へ戻して他の車載通信装置1b,1c,1dから通信線2を介して送信されたデータを受信したと判断するまで待機する。
【0063】
車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1dから通信線2を介して送信されたデータを受信したと判断した場合(S15:YES)、受信したデータをデータベース11aに記録して反映し(ステップS16)、後述のステップS18へ進む。
【0064】
一方、ステップS14において、車載通信装置1aの制御部10aは、送信する番であると判断した場合(S14:YES)、ステップS13でバッファ12aから読み出されたデータが反映されたデータベース11aの内の所定のデータを通信線2を介して接続されている他の車載通信装置1b,1c,1dへ第2通信制御部16aにより送信する(ステップS17)。
【0065】
次に車載通信装置1aの制御部10aは、データベース11aの内の所定のデータを送信する処理及び他の車載通信装置1b,1c,1d全てから送信されたデータのデータベース11aへの記録の処理が実行されて同期の処理が完了したか否かを判断する(ステップS18)。車載通信装置1aの制御部10aは、同期の処理が完了していないと判断した場合(S18:NO)、ステップS14からステップS17までの処理を継続する。
【0066】
車載通信装置1aの制御部10aは、同期の処理が完了したと判断した場合(S18:YES)、処理を終了する。
【0067】
なお、ステップS17において車載通信装置1aの制御部10aが他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信するデータは、データベース11aの内の所定のデータとした。これは、各車載通信装置1a,1b,1c,1dのデータベース11a,11b,11c,11dに対し、車内通信回線3a,3b,3c,3dを介して接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…の種類等によって、更新されるデータが夫々重複しないように決定されている場合が一般的である。したがって、車載通信装置1aの制御部10aは、所定のデータとしてデータベース11a全体の内の車載通信装置1aに接続されているECU4a,4a,…によって更新されるデータとして決定されているデータを読み出して送信する。この場合、他の車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dは、車載通信装置1aから送信されたデータを車載通信装置1aに決定されているデータとしてデータベース11b,11c,11dに記録する。
【0068】
なお、車載通信装置1aの制御部10aは、データベース11a全体を所定のデータとして送信し、他の車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dが車載通信装置1aから送信されたデータから車載通信装置1aに決定されているデータを読み出して、夫々のデータベース11b,11c,11dに記録するようにしてもよい。
【0069】
図3のフローチャートに示した車載通信装置1aの制御部10aの処理及び各車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dの処理により、夫々のデータベース11a,11b,11c,11dのデータが送受信されて交換され、同一の内容に同期される。
【0070】
ところで、上述のように各車載通信装置1a,1b,1c,1dで同期の処理が開始されてから終了するまでには一定の時間を要する。各車載通信装置1a,1b,1c,1dの制御部10a,10b,10c,10dにより同期の処理が実行されている間に、各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から新たに送信される。これらのデータがデータベース11a,11b,11c,11dに直ぐに記録されて反映される場合、同期の処理の実行中に新しいデータが記録されることになる。したがって、同時にデータベース11a,11b,11c,11dから読み出した任意のデータの内容が一致する時間があることを担保することはできない。
【0071】
そこで、本発明の車載通信装置1a,1b,1c,1dの制御部10a,10b,10c,10dは、各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されるデータをバッファ12a,12b,12c,12dに一次的に記録する。
【0072】
図4は、実施の形態1における車載通信装置1aの制御部10aが、車内通信回線3aを介して接続されているECU4a,4a,…から送信されたデータを受信して記録する処理手順の例を示すフローチャートである。車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dの処理手順も車載通信装置1aの制御部10aの処理手順と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0073】
車載通信装置1aの制御部10aは、車内通信回線3aを介して接続されているECU4a,4a,…から送信されたデータを受信したか否か判断する(ステップS21)。車載通信装置1aの制御部10aは、ECU4a,4a,…から送信されたデータを受信していないと判断した場合(S21:NO)、処理をステップS21へ戻してECU4a,4a,…から送信されたデータを受信したと判断するまで待機する。
【0074】
車載通信装置1aの制御部10aは、ECU4a,4a,…から送信されたデータを受信したと判断した場合(S21:YES)、受信したデータをバッファ12aに記録し(ステップS22)、処理を終了する。
【0075】
なお、バッファ12a,12b,12c,12dに記録されたデータは、図3のフローチャートに示したように制御部10aによる同期の処理中にデータベース11aに記録されて適宜反映される。
【0076】
図3及び図4のフローチャートに示したように、車載通信装置1a,1b,1c,1dの制御部10a,10b,10c,10dの処理によってデータベース11a,11b,11c,11dの内容が同一の内容に同期され、また、同一の内容に同期されているデータベース11a,11b,11c,11dに対し、バッファ12a,12b,12c,12dには更新されたデータ、即ちデータベース11a,11b,11c,11dに対し前回の同期から次の同期への差分に相当するデータが記録されている。
【0077】
したがって、各車載通信装置1a,1b,1c,1dに車内通信回線3a,3b,3c,3dを介して接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…は、他の群と同一の内容に同期されているデータベース11a,11b,11c,11dから読み出されたデータを使用するのか、又は他の群と同一の内容に同期されていない可能性があるが最新のデータであるバッファ12a,12b,12c,12dから読み出されたデータを使用するのかを記憶部42に記憶されている指定情報によって選択することができる。
【0078】
図5は、実施の形態1における車内通信回線3aに接続しているECU4a,4a,…と、車内通信回線3aを介して接続されている車載通信装置1aとの間でデータを送受信する処理手順の例を示すフローチャートである。
【0079】
ECU4aの制御部40は、使用するデータの要求及び使用するデータについて記憶部42から読み出された指定情報を車内通信回線3aを介して接続されている車載通信装置1aへ通信制御部43により送信する(ステップS31)。
【0080】
車載通信装置1aの制御部10aは、車内通信回線3aを介して接続されているECU4a,4a,…の内の一から送信されたデータの要求及び指定情報を第1通信制御部15aにより受信し(ステップS32)、ステップS32で受信された指定情報がデータベース11aから読み出されたデータを使用することを指定しているか否かを判断する(ステップS33)。
【0081】
車載通信装置1aの制御部10aは、ステップS32で受信された指定情報がデータベース11aから読み出されたデータを使用することを指定していると判断した場合(S33:YES)、ステップS32で受信されたデータの要求に基づいてデータベース11aからデータを読み出す(ステップS34)。一方、車載通信装置1aの制御部10aは、ステップS32で受信された指定情報がデータベース11aから読み出されたデータを使用することを指定していないと判断した場合(S33:NO)、ステップS32で受信されたデータの要求に基づいてバッファ12aからデータを読み出す(ステップS35)。
【0082】
車載通信装置1aの制御部10aは、ステップS34又はステップS35で読み出されたデータを車内通信回線3aを介して第1通信制御部15aによりECU4aへ送信する(ステップS36)。
【0083】
ECU4aの制御部40は、車載通信装置1aから送信されたデータを通信制御部43により受信し(ステップS37)、処理を終了する。
【0084】
図5のフローチャートに示した処理によって、ECU4aは、他の群に接続されている各ECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…が取得するデータと同一の内容であるデータベース11aから読み出されたデータ、又は他の群に接続されている各ECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…が取得するデータと同一の内容でない可能性があるが更新されたリアルタイム性の高いデータが記録されているバッファ12aから読み出されたデータのいずれか任意のデータを指定して使用することができる。
【0085】
(実施の形態2)
実施の形態1では、車載通信装置1aは夫々が有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期させるために、他の車載通信装置1b,1c,1dへ、データベース11aにバッファ12aに記録されたデータを記録して反映し、データベース11aから所定のデータを読み出して送信する構成とした。これに対し、以下に説明する実施の形態2では、車載通信装置1aは夫々が有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期させるために、データベース11aから所定のデータを読み出すのではなく、バッファ12aに記録されたデータを送信する。
【0086】
また、実施の形態1では、ECU4a,4a,…が記憶部42に記憶されている指定情報をデータの要求と共に送信し、車載通信装置1aは受信した指定情報が指定するデータベース11a又はバッファ12aのいずれかの記録領域から要求のデータを読み出して送信する構成とした。これに対し、以下に説明する実施の形態2では、ECU4aはデータの要求のみ送信し、車載通信装置1aが記憶部14aに各ECU4a,4a,…毎に記憶されている指定情報に基づいてデータベース11a又はバッファ12aからデータを読み出して送信する。
【0087】
実施の形態2における車載通信システムの構成は、実施の形態1における車載通信システムと同様であるので詳細な説明を省略する。実施の形態2では、車載通信装置1a,1b,1c,1dが通信線2を介して接続している他の車載通信装置1a,1b,1c,1dへ送信するデータの内容、及び、各車載通信装置1a,1b,1c,1dがECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…へ送信するデータをデータベース11a,11b,11c,11dとバッファ12a,12b,12c,12dとでいずれから読み出すのかを判断する処理が異なるので、以下に各車載通信装置1a,1b,1c,1d及び各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…の夫々の処理について実施の形態1と同一の符号を用いて説明する。
【0088】
なお、実施の形態2におけるECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…の記憶部42には、処理に使用するデータを車内通信回線3aを介して接続している車載通信装置1aから受信する場合、データベース11a又はバッファ12aを指定する指定情報は記憶されていない。一方、実施の形態2における車載通信装置1a,1b,1c,1dの記憶部14a,14b,14c,14dには、夫々に接続されているECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…毎に送信するデータを読み出す記録領域として、データベース11a,11b,11c,11d、又はバッファ12a,12b,12c,12dのいずれかを指定する指定情報が記憶されている。
【0089】
図6は、実施の形態2における車載通信装置1aの制御部10aが他の車載通信装置1b,1c,1dからデータを受信してデータベース11aを他のデータベース11b,11c,11dと同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dの処理手順も車載通信装置1aの制御部10aの処理手順と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0090】
また、図6のフローチャートに示した処理手順は、ステップS47の他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信する処理以外のステップS41〜ステップS46及びステップS48の処理手順は、実施の形態1において図3のフローチャートに示したステップS11〜ステップS16及びステップS18の処理手順と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0091】
車載通信装置1aの制御部10aは、ステップS44において送信する番であると判断した場合(S44:YES)、ステップS43でバッファ12aから読み出されたデータを通信線2を介して接続されている他の車載通信装置1b,1c、1dへ第2通信制御部16aにより送信し(ステップS47)、同期する処理が完了したか否かを判断して処理が完了したと判断した場合に(S48:YES)、処理を終了する。
【0092】
これにより、データベース11aが他のデータベース11b,11c,11dと同期された後にECU4a,4a,…から送信されたデータ、即ち前回の同期からの差分のデータのみが記録されているバッファ12aからデータを送信するので、通信線2を送受信されるデータ量を低減させ、通信負荷を低減させて各車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々有するデータベース11a,11b,11c,11dを同期させる処理を実行することができる。
【0093】
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、車載通信装置1a,1b,1c,1dの制御部10a,10b,10c,10dの処理によってデータベース11a,11b,11c,11dの内容が同一の内容に同期され、また、同一の内容に同期されているデータベース11a,11b,11c,11dに対し、バッファ12a,12b,12c,12dには、更新されたデータが記録されている。
【0094】
したがって、各車載通信装置1a,1b,1c,1dの記憶部14aに記憶されている指定情報によって、車内通信回線3a,3b,3c,3dを介して接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…に対し、他の群と同一の内容に同期されているデータベース11a,11b,11c,11dから読み出されたデータを使用させるのか、又は他の群と同一の内容に同期されていない可能性があるが最新のデータであるバッファ12a,12b,12c,12dから読み出されたデータを使用させるのかが選択される。
【0095】
次に、実施の形態2における車載通信装置1aからECU4aへのデータの送信処理について説明する。図7は、実施の形態2における車内通信回線3aに接続しているECU4a,4a,…と、車内通信回線3aを介して接続されている車載通信装置1aとの間でデータを送受信する処理手順の例を示すフローチャートである。
【0096】
ECU4aの制御部40は、使用するデータの要求を車内通信回線3aを介して接続されている車載通信装置1aへ通信制御部43により送信する(ステップS51)。
【0097】
車載通信装置1aの制御部10aは、車内通信回線3aを介して接続されているECU4a,4a,…の内の一から送信されたデータの要求を第1通信制御部15aにより受信し(ステップS52)、データの要求を送信してきたECU4aに対して記憶されている指定情報を読み出して、記憶されている指定情報がデータベース11aから読み出されたデータを使用することを指定しているか否かを判断する(ステップS53)。
【0098】
車載通信装置1aの制御部10aは、記憶されている指定情報がデータベース11aから読み出されたデータを使用することを指定していると判断した場合(S53:YES)、ステップS52で受信されたデータの要求に基づいてデータベース11aからデータを読み出す(ステップS54)。一方、車載通信装置1aの制御部10aは、記憶されている指定情報がデータベース11aから読み出されたデータを使用することを指定していないと判断した場合(S53:NO)、ステップS52で受信されたデータの要求に基づいてバッファ12aからデータを読み出す(ステップS55)。
【0099】
車載通信装置1aの制御部10aは、ステップS54又はステップS55で読み出されたデータを車内通信回線3aを介して第1通信制御部15aによりECU4aへ送信する(ステップS56)。
【0100】
ECU4aの制御部40は、車載通信装置1aから送信されたデータを通信制御部43により受信し(ステップS57)、処理を終了する。
【0101】
図7のフローチャートに示した処理によって、車載通信装置1aの制御部10aは、ECU4aに使用させるデータを、他の群に接続されている各ECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…が取得するデータと同一の内容であるデータベース11aから読み出されたデータ、又は他の群に接続されている各ECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…が取得するデータと同一の内容でない可能性があるが更新されたリアルタイム性の高いデータが記録されているバッファ12aから読み出されたデータのいずれか任意のデータを指定することができる。
【0102】
実施の形態1及び2に示したように、各車載通信装置1a,1b,1c,1dの記憶部14a,14b,14c,14dのデータベース11a,11b,11c,11d及びバッファ12a,12b,12c,12dに対する制御部10a,10b,10c,10dの処理によって、他の群に接続している他のECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…が使用するデータと内容が一致していることが重要なデータを使用するECU4a、及びリアルタイム性が重要なデータを使用するECU4aを同じ車内通信回線3aに接続させて同居させることができる。
【0103】
実施の形態1及び2では、各車載通信装置1a,1b,1c,1dの記憶部14a,14b,14c,14dのデータベース11a,11b,11c,11dは、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々データベース11a,11b,11c,11dのデータ又はバッファ12a,12b,12c,12dに記録されたデータを相互に送信し合い、送信されたデータから設定されている所定のデータを読み出して記録する、又は送信されたデータ全体を所定のデータとして記録することによって同期させる構成とした。しかしながら、本発明の車載通信システムにおいて各車載通信装置1a,1b,1c,1dのデータベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期させる方法は、上述に示した方法に限られない。例えば、通信線2に対して各車載通信装置1a,1b,1c,1dが順にリング型に接続されている場合、車載通信装置1aをスタートとして夫々所定のデータを隣の車載通信装置1b,1c,1dへ送信し、最後の車載通信装置1dが全ての車載通信装置1a,1b,1c,1dが有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容を集約する。車載通信装置1dによって集約されたデータベースが隣の車載通信装置1cへ送信され、更に1b,1aへ順に送信されて車載通信装置1aが受信して更新した時点で同期の処理が終了するような構成でもよい。
【0104】
なお、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々データベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期する際、実施の形態1では各車載通信装置1a,1b,1c,1dは、データベース11a,11b,11c,11d全体から所定のデータを読み出して送信し、実施の形態2ではバッファ12a,12b,12c,12dに記録されているデータを送信する構成とした。また、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…へデータを送信する際、実施の形態1では各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信される指定情報に基づいてデータベース11a,11b,11c,11d又はバッファ12a,12b,12c,12dから読み出して送信する構成とし、実施の形態2では、各車載通信装置1a,1b,1c,1dに夫々ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…毎に記憶されている指定情報に基づいてデータベース11a,11b,11c,11d又はバッファ12a,12b,12c,12dからデータを読み出して送信する構成とした。しかしながら、本発明は、データベースを同一の内容に同期する際に送信するデータ及び指定情報を記憶する主体については、実施の形態1及び2における組み合わせに限らないのは勿論である。
【0105】
つまり、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々データベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期する際、実施の形態1では各車載通信装置1a,1b,1c,1dは、データベース11a,11b,11c,11d全体から所定のデータを読み出して送信し、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…へデータを送信する際、各車載通信装置1a,1b,1c,1dに夫々ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…毎に記憶されている指定情報に基づいてデータベース11a,11b,11c,11d又はバッファ12a,12b,12c,12dからデータを読み出して送信する構成でもよい。
【0106】
また、実施の形態1及び2では、各車載通信装置1a,1b,1c,1dは、同期処理中にECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されたデータを全てバッファ12a,12b,12c,12dに記録する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限らず、ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されたデータによっては、データベース11a,11b,11c,11dに記録する構成でもよい。例えば、送信されたデータの内容(数値情報の値等)の変化を検知する手段を更に備えて、内容が変わっていない場合はデータベースに記録し、内容が変わっている場合はバッファ12a,12b,12c,12dに記録する構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る車載通信システムの構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る車載通信システムを構成する車載通信装置及びECUの内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における車載通信装置の制御部が他の車載通信装置からデータを受信してデータベースを他のデータベースと同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における車載通信装置の制御部が、車内通信回線を介して接続されているECUから送信されたデータを受信して記録する処理手順の例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における車内通信回線に接続しているECUと、車内通信回線を介して接続されている車載通信装置との間でデータを送受信する処理手順の例を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2における車載通信装置の制御部が他の車載通信装置からデータを受信してデータベースを他のデータベースと同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2における車内通信回線に接続しているECUと、車内通信回線を介して接続されている車載通信装置との間でデータを送受信する処理手順の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0108】
1a,1b,1c,1d 車載通信装置
10a,10b,10c,10d 制御部
11a,11b,11c,11d データベース
12a,12b,12c,12d バッファ
14a,14b,14c,14d 記憶部
2 通信線
3a,3b,3c,3d 車内通信回線
4a,4b,4c,4d ECU
40 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送受信する複数の車載装置と、複数の群に分けられた前記車載装置を夫々群毎に接続する車内通信回線とを含む車載通信システムにおいて、
群毎の前記車内通信回線に接続されており、各車載装置と前記車内通信回線を介して送受信されるデータを記録するデータベース及び該データベースに対するバッファを有する車載通信装置を群毎に備え、
各車載通信装置は、
前記車内通信回線とは別の通信線を介して接続されており、
前記データベース及び前記バッファに記録されているデータの内の所定のデータを他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信する手段と、
前記他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータを前記データベースに記録する手段と、
前記車内通信回線を介して接続している車載装置から送信されたデータを前記バッファに記録する手段と、
前記車内通信回線を介して接続している車載装置へ前記データベース又は前記バッファから読み出されたデータを送信する手段と
を備えることを特徴とする車載通信システム。
【請求項2】
前記車載通信装置は夫々、前記バッファに記録されているデータのみを前記所定のデータとして送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
【請求項3】
前記車載装置は、
前記データベース又は前記バッファのいずれかの記録領域を指定する指定情報を記憶する手段と、
前記指定情報を前記車載通信装置へ送信する手段と
を備え、
前記車載通信装置は、
前記車載装置から送信された指定情報を受信する手段と、
受信した指定情報により指定される記録領域から読み出されたデータを前記車載装置へ前記車内通信回線を介して送信する手段と
を備えること
を特徴とする請求項1又は2に記載の車載通信システム。
【請求項4】
前記車載通信装置は、
車載装置毎に、送信するデータを読み出す記録領域として前記データベース又は前記記録領域のいずれかを記憶するようにしてあり、
車載装置毎に、記憶してある前記記録領域から読み出されたデータを送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項5】
データを送受信する複数の車載装置と、複数の群に分けられた各車載装置を群毎に接続する複数の車内通信回線とで構成される車載通信システムに対し、一の群に含まれる車載装置から送信されるデータを他の群に含まれる車載装置へ送信する車載通信方法において、
前記車載通信システムに、群毎の前記車内通信回線に接続され、各車載装置と前記車内通信回線を介して送受信されるデータを記録するデータベース及び該データベースに対するバッファを有する車載通信装置を群毎に備えて用い、
各車載通信装置は、
前記車内通信回線とは別の通信線を介して接続されており、
前記データベース及び前記バッファに記録されているデータの内の所定のデータを前記通信線を介して接続している他の車載通信装置へ送信し、
前記他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータを前記データベースに記録し、
前記バッファに記録されているデータを前記データベースに記録して前記他の車載通信装置とデータベースを同期させ、
前記車内通信回線を介して接続している車載装置から送信されたデータの一部又は全部を前記バッファに記録し、
前記車内通信回線を介して接続している車載装置へ、前記データベース又は前記バッファから読み出されたデータを送信すること
を特徴とする車載通信方法。
【請求項6】
前記各車載通信装置は夫々、前記バッファに記録されているデータのみを前記所定のデータとして送信すること
を特徴とする請求項5に記載の車載通信方法。
【請求項7】
前記車載装置は、
前記データベース又は前記バッファのいずれかの記録領域を指定する指定情報を前記車載通信装置へ送信し、
前記車載通信装置は、
受信した指定情報により指定される記録領域から読み出されたデータを前記車載装置へ送信すること
を特徴とする請求項5又は6に記載の車載通信方法。
【請求項8】
前記各車載通信装置は、
車載装置毎に、送信するデータを読み出す記録領域として前記データベース又は前記記録領域のいずれかを記憶し、
車載装置毎に、記憶した前記記録領域から読み出されたデータを送信すること
を特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の車載通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−210050(P2008−210050A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44482(P2007−44482)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】