車輌の自動操舵制御装置
【目的】 ハンドルの回転を拘束して自動操舵している状態で危険な状況が生じた場合には、ハンドルの拘束を解除した方がよいが、急激に解除すると、運転者が感じる操舵感が急激に変化し、運転者に不安を抱かせたり運転操作の誤りを誘発するのでそれを防止する。
【構成】 拘束機構の拘束トルクを可変にし、自動操舵を解除する場合には、拘束力を徐々に減少させる。所定以上のハンドル操作,所定以上の前後方向加速度,ブレ−キ操作,センサ異常発生等を検出すると、ハンドルの拘束を解除して自動的に手動操舵に移行する。
【構成】 拘束機構の拘束トルクを可変にし、自動操舵を解除する場合には、拘束力を徐々に減少させる。所定以上のハンドル操作,所定以上の前後方向加速度,ブレ−キ操作,センサ異常発生等を検出すると、ハンドルの拘束を解除して自動的に手動操舵に移行する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輌のステアリング操作を自動的に実施する装置に関し、特に自動操舵開始及び自動操舵解除のための制御に関する。
【0002】
【従来の技術】運転者のハンドル操作なしに車輌のステアリング操作を自動的に実施する自動操舵装置に関する技術が提案されている。例えば、ステアリング機構に油圧もしくは電動の自動操舵用駆動装置を接続し、テレビカメラ等を用いてドライバの視野と同等の領域の映像を入力し、入力した映像を画像処理して車線,標識,他の車輌等の道路情報を検出すれば、その情報に基づいて所定の車線内を車輌が走行するように操舵量を調整したり、自動操舵により障害物を避けるように走行車線を変更したりできる。
【0003】ところで、通常のステアリング機構に油圧機構や電動機構を直接結合して自動的に操舵を行なおうとすると、自動操舵する時に、ドライバが何もしなくても、操舵量に応じてハンドル(ステアリングホイ−ル)が勝手に回転することになる。このような現象は、状況によっては好ましくなく、自動操舵の時でもドライバが操作しない限りハンドルは回転しない方が良い。
【0004】一般的なステアリング機構においては、ステアリングホイ−ルの回転に応じて回転するステアリングシャフトの先端にピニオンが設けられ、該ピニオンと係合する歯が形成されたラックが左右方向に直線運動可能に配置され、該ラックの両端に操舵軸であるタイロッドがそれぞれ結合され、各々のタイロッドが、左右の各タイヤの転回軸に結合されるように構成されている。
【0005】そこで本出願人は、ラックと似た形状の副軸を設け、ラックと各タイロッドとの間に前記副軸を介挿し、ラックと副軸との相対的な位置を調整する駆動機構を設け、該駆動機構によって自動操舵を行なうようにして、ステアリングホイ−ルが動かない状態でタイロッドを動かし自動操舵可能に構成したステアリング機構を既に提案している。また、このような構成の場合であっても、操舵時の路面からの反力が大きい時には、該反力が副軸及びラックを介してステアリングシャフトに伝わり、ステアリングホイ−ルが回転する場合があるので、電磁クラッチ等を用いて自動操舵中にはステアリングホイ−ルの動きを拘束することも提案している(特願平3−229926号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば運転の容易な自動車専用道路(高速道路)で自動操舵を実施できる車輌においても、一般の道路では手動操舵を行なわざるを得ず、自動操舵のためにステアリングホイ−ルの動きを拘束する装置においては、手動操舵を実施する時にはステアリングホイ−ルの動きを軽くするために、それの拘束を解除するのが望ましい。しかしながら、ステアリングホイ−ルの拘束力が一気に解除されると、運転者が感じる操舵感(ステアリングホイ−ルの重み)が急激に軽くなるので、運転者が不安を感じたり、ステアリングホイ−ルを回しすぎて運転操作を誤る可能性が生じる。しかし拘束を解除しなければ、ステアリングホイ−ルを回すのに大きな力が必要になるので、例えば力の弱い女性などがこのような自動車を運転するのは困難である。
【0007】従って本発明は、自動操舵時にステアリングホイ−ルの拘束を解除して運転を容易にするとともに、拘束の解除によって運転者に違和感を与えたり運転操作の誤りを誘発するような操舵感を与えるのを防止して、自動操舵の安全性を高めることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明においては、ドライバによって操作され車輌の進行方向の変更を指示するステアリング入力手段,該ステアリング入力手段と結合され該手段の操作量に応じた変位を生じる第1の操舵部材,各車輪の支持軸と結合されそれの移動によって車輌に対する各車輪の向きを変更する第2の操舵部材,前記第1の操舵部材と第2の操舵部材との相対的な位置関係を自動的に調整する自動駆動手段,及び前記ステアリング入力手段及び第1の操舵部材の少なくとも一方と係合しそれの動きを拘束する拘束手段、を備える車輌の自動操舵制御装置において、前記拘束手段の拘束力を変更する拘束力可変手段;及び自動操舵モ−ドにおいて所定の自動操舵解除条件が満たされると、前記拘束力可変手段を制御して前記拘束手段の拘束力を時間の経過とともに徐々に低減する拘束力制御手段;を設ける。
【0009】また第2番の発明においては、前記ステアリング入力手段もしくは前記第1の操舵部材の操舵量を検出する主操舵角検出手段を設け、前記拘束力制御手段を、所定以上の主操舵量を前記主操舵角検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除するように構成し、第3番の発明においては、前記ステアリング入力手段もしくは前記第1の操舵部材に印加されるトルクの大きさを検出する主操舵トルク検出手段を設け、拘束力制御手段を、所定以上の主操舵トルクを前記主操舵トルク検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除するように構成し、第4番の発明においては、車輌の前後方向の加速度を検出する加速度検出手段を設け、拘束力制御手段を、所定以上の前後方向加速度を前記加速度検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除するように構成し、第5番の発明においては、車輌に対する制動操作の有無を検出する制動検出手段を設け、拘束力制御手段を、制動操作が検出されると、自動操舵を自動的に解除するように構成し、第6番の発明においては、自動操舵に必要な情報を検出するセンサの故障の有無を検出するセンサ異常検出手段を設け、拘束力制御手段を、少なくとも1つのセンサの故障が検出されると、自動操舵を自動的に解除するように構成する。
【0010】
【作用】本発明によれば、拘束力可変手段を制御することによって、拘束手段の拘束力の大きさを調整することができる。拘束力制御手段は、自動操舵モ−ドにおいて所定の自動操舵解除条件が満たされると、前記拘束力可変手段を制御して前記拘束手段の拘束力を時間の経過とともに徐々に低減する。従って自動操舵が解除される場合には、運転者が感じるステアリングホイ−ルの重さは時間の経過とともに徐々に軽くなる。このため、ステアリングホイ−ルの拘束解除による操作感の変化によって運転者が不安を感じたり、ステアリングホイ−ルを回しすぎて運転操作を誤る可能性は極めて小さくなり、安全性が向上する。
【0011】ところで、自動操舵動作中に緊急に手動操舵が必要になると、運転者はステアリングホイ−ルを手動操作によって回したり、ブレ−キペダルを踏込む。また、自動操舵のために用いられる各種センサに異常が発生すると、手動操舵に切換える必要がある。そこで第2番の発明では所定以上の主操舵量を主操舵角検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第3番の発明では所定以上の主操舵トルクを主操舵トルク検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第4番の発明では所定以上の前後方向加速度を加速度検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第5番の発明ではブレ−キペダルの踏込みなどの制動操作が検出されると自動操舵を解除し、第6番の発明ではセンサの故障が検出されると自動操舵を解除し、いずれの場合もステアリングホイ−ルの拘束を解除する。
【0012】
【実施例】図1及び図5に自動車のステアリング機構の主要部分を示す。なお図1では一部分が簡略化又は省略して示されているが、図1の右端部分の詳細は図2に示され、左端部分の詳細は図3に示されている。図5はステアリングコラムの内部に配置される部分を示しており、メインシャフト51の上端側は図示しないステアリングホイ−ルと結合され、メインシャフト51の下端側は図示しない連結用の中間シャフトを介して図1に示す入力軸91に結合されている。ドライバがステアリングホイ−ルを回動することによって、メインシャフト51が回動し、図1の入力軸91に回動力が伝達される。なお図1に示すステアリング機構にはパワ−ステアリング機構が備わっているが、その機構の基本的な構成及び動作は従来より良く知られているので、それに関する説明はここでは省略する。
【0013】図1に示すステアリング機構は、基本的にはラック&ピニオン型式の構成になっており、入力軸91の先端部にピニオン92が設けられ、該ピニオン92の外周に歯が形成されている。このピニオン92と軸が交叉する形で、軸状のラック84が配置されている。ラック84外周面の一部分のピニオン92と対向する面には歯が形成されており、この歯によってラック84とピニオン92とが常時噛み合って両者が連結されている。
【0014】この実施例では、ラック84は中空に、つまり筒状に形成されており、その内側にラテラルパワ−シャフト82が配置されている。ラテラルパワ−シャフト82はラック84に対して軸方向、つまり左右方向に摺動自在に支持されている。ラテラルパワ−シャフト82の右端には、ボ−ルジョイント120Rを介してタイロッド122Rが結合されており、該タイロッド122Rが左右方向に動くことによって右前輪の向きが変わる。同様に、ラテラルパワ−シャフト82の左端には、ボ−ルジョイント120Lを介してタイロッド122Lが結合されており、該タイロッド122Lが左右方向に動くことによって左前輪の向きが変わる。ラテラルパワ−シャフト82とラック84とは軸方向に相対移動自在であるが、両者の間には油圧アクチュエ−タ130が結合されており、この油圧アクチュエ−タ130が両者の相対移動を規制したり積極的に相対移動させることにより自動的な操舵を可能にしている。即ち図3に示すように、ラック84の左端側に固着されたシリンダ132の内空間に、ラテラルパワ−シャフト82に形成したピストン134が配置されている。ピストン134によって分離されたシリンダ132の内空間133の各々と連通するポ−ト138及び140には、後述する油圧回路が結合されている。シリンダ132内に油を充填しポ−ト138及び140からの油の流入出を遮断すれば、シリンダ132内でピストン134の動きが規制されるので、ラテラルパワ−シャフト82とラック84との相対的な動きは実質上なくなり、ラック84の動きはそのままラテラルパワ−シャフト82に伝達されるので、一般のステアリング装置と同様に、ステアリングホイ−ルを操作すれば、メインシャフト51及び中間シャフトを介してピニオン92が回動し、ラック84が左右方向に移動し、その動きが油圧アクチュエ−タ130を介してラテラルパワ−シャフト82に伝達され、車輪の操舵が行なわれる。
【0015】また、ステアリングホイ−ルを操作しない場合であっても、油圧回路の操作によりシリンダ132内のピストン134の位置を動かすことによって、ラテラルパワ−シャフト82がラック84に対して相対的に移動し、車輪の向きが変わる。つまり、油圧アクチュエ−タ130を駆動することによって、ステアリングホイ−ルの操作に対して補償的な補助操舵を行なったり、あるいは完全な自動操舵を行なうことが可能である。
【0016】ところで、完全な自動操舵を行なう場合には、ドライバがステアリングホイ−ルから手を離すことになるので、操舵力に対する路面からの反力が大きい場合には、その力がラテラルパワ−シャフト82,油圧アクチュエ−タ130,ラック84,メインシャフト51等を介してステアリングホイ−ルに伝わり、ステアリングホイ−ルが勝手に回動し、その結果操舵量も目標値より少なくなる。このような不都合をなくするため、この実施例においては、自動操舵の場合にステアリングホイ−ルの動きを拘束する機構を設けてある。
【0017】その拘束機構について図5を参照して説明する。板状のスティ56は、ねじ63によってステアリングコラムの固定部材62に固着されており、ベアリング57を介してメインシャフト51を回動自在に支持している。円板状に形成されたロ−タ53は、スペ−サ55によってスティ56との間隔が所定量に保持され、またキ−52によってメインシャフト51に固着されている。ロ−タ53の小径部の外周に、環状の可動板58が配置されており、該可動板58は、板ばね60を介してロ−タ53に結合されている。板ばね60は、ロ−タ53と可動板58の各々にリベットのカシメにより固着されている。スティ56の下面側に固着されたフレ−ム64の内側に電気コイル61が装着されており、またフレ−ム64の可動板58と対向する面には環状に形成された摩擦材59が装着されている。54は電気コイル61から引き出されたリ−ド線である。
【0018】電気コイル61に通電しない状態では、可動板58は板ばね60の力によってロ−タ53の大径部(下側)に近づけられ、可動板58と摩擦材59とは離れている。従ってその状態では、メインシャフト51は自由に動くことができる。電気コイル61に通電すると、磁性体でなる可動板58は電気コイル61側に吸引される力を受け、上方に移動して摩擦材59の面に当接しその状態に保持される。従ってその状態では、固定された摩擦材59と可動板58との間の摩擦力によって、可動板58の回動方向の動きが拘束される。従って、ロ−タ53及びメインシャフト51の回動も拘束される。しかし、この拘束力は摩擦力によるものなので、それほど大きな力ではなく、路面からの反力に対してはメインシャフト51の動きを確実に止めることができるが、緊急時などに比較的大きな力でステアリングホイ−ルが操作される時には、電気コイル61が通電された状態であっても、可動板58は摩擦材59に対して相対移動でき、ドライバによる操舵は可能である。
【0019】油圧アクチュエ−タ130の故障等が生じた場合に、ラテラルパワ−シャフト82とラック84との相対位置を中立位置に自動的に戻すための機構が、ラテラルパワ−シャフト82の右端近傍に設けられている。即ち、図2に示すように、ラック82の右端に固着したハウジング部材171及び172の内側に、圧縮コイルスプリング175、及びその両端にそれぞれ当接する形でフランジが形成された円筒形状のストッパ173及び174が設けられている。ストッパ173及び174はラテラルパワ−シャフト82上を摺動可能であり、中立位置から、ラテラルパワ−シャフト82がラック84に対して矢印AR方向に移動する時には、ストッパ174の動きはハウジング部材172によって規制され、ストッパ173はラテラルパワ−シャフト82に押されてそれとともに矢印AR方向に移動し、スプリング175を圧縮する。従ってスプリング175は、ストッパ173を矢印AL方向に押圧し、ストッパ173と係合するラテラルパワ−シャフト82は中立位置に戻るように力を受ける。逆に中立位置からラテラルパワ−シャフト82がラック84に対して矢印AL方向に移動する時には、ストッパ173の動きはハウジング部材171によって規制され、ストッパ174はラテラルパワ−シャフト82に押されてそれとともに矢印AL方向に移動し、スプリング175を圧縮する。従ってスプリング175は、ストッパ174をAR方向に押圧し、ストッパ174と係合するラテラルパワ−シャフト82は中立位置に戻るように力を受ける。
【0020】ハウジング部材171の外側に、副操舵角センサ150が装着されている。該センサ150は、軸方向に摺動する摺動子を有するポテンショメ−タであり、その摺動子は、ボ−ルジョイント120Rに固着されたア−ム176と係合されている。ラック84に対してラテラルパワ−シャフト82が移動すると、ハウジング部材171に対してア−ム176が軸方向に移動し、副操舵角センサ150の摺動子が動く。従って、副操舵角センサ150は、ラック84に対するラテラルパワ−シャフト82の相対位置を検出する。
【0021】図2に示す180及び図3に示す191及び192は、機構内部に塵や埃が侵入するのを防ぐためのブ−ツである。図3に示すブ−ツ191及び192は一般的な構造になっているが、図2に示すブ−ツ180には特別な工夫をしてある。即ち一般的なブ−ツは、ブロウ成形によって形成される1つの部品で構成され、図3R>3に示すように、両端部に形成される各開口の中心位置は、ブ−ツの中心軸と一致する位置に限られる。しかし図2に示すようにこの例では、ハウジング部材171の上側に突出する形で副操舵角センサ150が配置され、ブ−ツ内包物がブ−ツ中心軸に対して軸対象に配置されていないので、タイロッド122Rの位置に形成される開口が中心軸上に配置されたブ−ツによってこの部分全体を覆うためには、大型のブ−ツが必要になり無駄なスペ−スを必要とする。また、1つの部品でブ−ツを構成すると、その両端部の開口が小さいので、組付けや取外しは、所定の順番で行なわざるを得ず、メカ部品の組付後にブ−ツを装着することができない。メカ部品の組付後にブ−ツを装着できるのが望ましい。
【0022】そこでこの実施例においては、図2及び図4R>4に示すように、複数の部品を組合せてブ−ツを構成するとともに、ブ−ツの開口を中心軸からずらした位置に形成してある。図4を参照すると、このブ−ツは蛇腹形状のブ−ツ本体181と、その両端に装着されたサイドカバ−182及び183と、リング状の金具184及び185によって構成されている。ブ−ツ本体181の両端部は比較的大きく開口しており、これらの開口を覆う形でサイドカバ−182及び183が装着されている。サイドカバ−182及び183には、ブ−ツを装着する機構部分の形状に合わせた比較的小さい開口部182a及び183aがそれぞれ形成されており、これらの開口部182a及び183aは、ブ−ツの中心軸からずらした位置に形成されている。
【0023】このブ−ツ180を図2のようにステアリング機構上に組付ける場合には、まずサイドカバ−183のみをステアリングギアハウジング90上に装着し、次にストッパ173及び174,圧縮コイルスプリング175,ハウジング部材171及び172,副操舵角センサ150等を組付け、それらを覆うようにブ−ツ本体181を装着し、ブ−ツ本体181にサイドカバ−183をはめ合わせる。ブ−ツ本体181の開口は大きいので、ブ−ツを装着する際に他のメカ部品とブ−ツとが干渉することがなく、組付けが容易である。
【0024】図8に、前述のステアリング機構を制御する電気回路及び油圧回路の構成を示す。図8を参照してまず油圧回路を説明する。11はポンプ、12はアキュ−ムレ−タ、13は3位置切換電磁弁、14はリザ−バである。3位置切換電磁弁13を第1の状態に設定すると、ポンプ11からの高圧の油がシリンダ132の右側の室内に供給され、同時にシリンダ132の左側室内の油がリザ−バ14に流れるので、ピストン134は左側に移動する。同様に3位置切換電磁弁13を第2の状態に設定すると、ポンプ11からの高圧の油がシリンダ132の左側の室内に供給され、同時にシリンダ132の右側室内の油がリザ−バ14に流れるので、ピストン134は右側に移動する。3位置切換電磁弁13を第3の状態に設定すると、シリンダ132の各ポ−トからの油の流入出が遮断され、各室内の油量変化がなくなるので、ピストン134の位置は固定される。ピストン134の位置に応じたラック84とラテラルパワ−シャフト82との相対位置関係は、副操舵角センサ150によって検出される。
【0025】次に電気回路を説明する。この実施例においては、高速道路などにおいて、ステアリングホイ−ルを操作することなく、所定の走行車線(レ−ン)内を自動的に走行できる、自動操舵モ−ドを備えている。この自動操舵モ−ドにおいては、テレビカメラ21によって、ほぼ運転者の視界に相当する自動車前方の映像を繰り返し入力する。入力された画像は、画像処理&車線検出ユニット22で処理され、現在の自動車と車線との位置関係及び前方の車線の向きが、操舵に必要な情報として検出される。なおこれは、例えばレ−ザレ−ダを用いて予め道路上に埋め込まれた車輌前方の数個のマ−カをセンスし、自車輌とセンスしたマ−カとの距離及び方位角を演算し、前方の道路状況(直線であるかカ−ブか)を検出する方法でもよい。電子制御ユニットECUは、画像処理&車線検出ユニット22が出力する情報、及び他の様々なセンサが出力する情報とに基づいて、操舵すべき方向及び操舵量を決定し、その操舵量に応じて油圧回路のリニア圧力制御弁15及び3位置切換電磁弁13を制御し、操舵系を自動制御する。また、自動操舵モ−ドではステアリングホイ−ルの回動を拘束するため、電磁クラッチ25(図5の拘束機構)を制御する。電磁クラッチ25は、ドライバ24を介して制御される。
【0026】この実施例では、自動操舵の制御のために必要な情報を検出するセンサとして、副操舵角センサ150,主操舵角センサ160,車速センサ71,前後Gセンサ72,操舵トルクセンサ73及びヨ−レ−トセンサ74が備わっている。またシステムの信頼性を高めるため、上記各センサが正常に機能しているか否かを検出する異常検出回路75が設けられている。SWは自動操舵モ−ドをオン/オフする切換スイッチであり、BKはブレ−キペダルの踏込みの有無に応じてオン/オフするブレ−キスイッチである。
【0027】主操舵角センサ160は、運転者のハンドル操作によって変化するステアリング入力軸の操舵角を検出するものであり、この実施例では図1に示すようにステアリングギアハウジング90内の入力軸先端部分に設置されている。具体的には、主操舵角センサ160はポテンショメ−タであり、ピニオン92の回転角度を検出する。前後Gセンサ72は、車体の前後方向に加わる加速度の大きさを検出する。操舵トルクセンサ73は、運転者のハンドル操作によって変化するステアリング入力軸に加わるトルクの大きさを検出する。ヨ−レ−トセンサ74は、車体の重心位置近傍に配置され、それを通る鉛直軸を中心とする回転方向の角度速、つまりヨ−イング角速度を検出する。
【0028】この実施例では電磁クラッチ25の通電を制御するドライバ24を図6に示すような構成にしている。図6を参照して説明する。目標値は、電圧として電磁制御ユニットECUから出力される。電圧−デュ−ティ変換器31は、周期が一定のパルス信号を生成し、このパルス信号のオン/オフのデュ−ティを入力信号電圧の大小に応じて変化させる。電圧−デュ−ティ変換器31の出力は、電流増幅器32を通り電磁クラッチの電気コイル61に印加される。従って電気コイル61に流れる電流の平均値は、電圧−デュ−ティ変換器31が出力するパルスのデュ−ティに比例して変化する。電気コイル61と直列に接続された抵抗器Rの端子間には、電気コイル61の電流値に比例する電圧が現われる。この電圧は増幅器33で増幅され、平滑回路34で平滑されて、電圧−デュ−ティ変換器31の入力にフィ−ドバックされる。
【0029】従って、電気コイル61に流れる電流の平均値が目標値より小さい時には、パルスデュ−ティが大きくなる方向に更新されて通電電流が増大し、電気コイル61に流れる電流の平均値が目標値より大きい時には、パルスデュ−ティが小さくなる方向に更新されて通電電流が減小し、通電電流は目標値に近づくように常時制御される。従って、電気コイル61が発熱してその抵抗値が変化しても拘束トルクは変化しない。なお後述するように、この実施例では拘束を解除する際には、拘束トルクを徐々に減小させるようにECUが目標値を変化させる。
【0030】電子制御ユニットECUの処理の概略を図9R>9に示す。図9を参照して説明する。ステップ1では、所定のモ−ド判定処理を実行し、次のステップ2では後述する自動操舵フラグの状態を参照し、自動操舵モ−ドか否かを識別する。自動操舵モ−ドの時にはステップ3に進み、そうでなければステップ13に進む。自動操舵モ−ドの場合、まずステップ3で電磁クラッチ25の電気コイル61に通電してステアリングホイ−ルの回動を拘束し、ステップ4で自動操舵に必要な各種センサから情報を入力し、ステップ5で画像処理&車線検出ユニット22から走行車線情報を入力し、次のステップ6で、位置センサ150が出力する信号を読取って実操舵位置を入力し、次のステップ7では目標操舵位置と実操舵位置とに基づいて、PID制御等により目標操舵量を計算する。
【0031】ステップ8で3位置切換電磁弁13を制御してピストン134の位置を調整し、操舵位置を調整する。また、調整を実施しても副操舵角が変化しないような調整不可能な状態を検出した場合には、ステップ21に進み、ステアリングホイ−ルの拘束を解除し、以後の自動操舵を禁止する。
【0032】自動操舵が解除されている時には、ステップ10で電磁クラッチ25の電気コイル61の通電を終了してステアリングホイ−ルを解放し、ステップ11で目標操舵位置を0(中央)に設定し、目標操舵位置になるまでステップ12,13,14,15の処理を繰り返し、操舵位置が中央に戻ったら、3位置切換電磁弁13を、リニア圧力制御弁15の制御圧とシリンダ132との流路を遮断する状態に設定し、ピストン134の位置を固定する。
【0033】ステップ1のモ−ド判定処理の内容を図10R>0に示す。図10を参照して説明する。最初のステップ31では、自動操舵フラグの状態を調べ、自動操舵モ−ド中か否かを判定して、自動操舵モ−ドならステップ32に進み、自動操舵解除中ならステップ39に進む。ステップ32では切換スイッチSWがオフか否かを判定し、ステップ33では主操舵角センサ160の検出した実主操舵角が所定範囲Aを外れるか否かを判定し、ステップ34では前後Gセンサ72の検出した実加速度が所定範囲Cを外れるか否かを判定し、ステップ35では操舵トルクセンサ73の検出した実操舵トルクが所定範囲Eを外れるか否かを判定し、ステップ36ではブレ−キスイッチの状態がブレ−キオン状態か否かを判定し、ステップ37では異常検出回路75がいずれかのセンサの異常を検出しているか否かを判定する。
【0034】また、ステップ39では切換スイッチSWがオンか否かを判定し、ステップ40では主操舵角センサ160の検出した実主操舵角が所定範囲B以内か否かを判定し、ステップ41では車速センサ71の検出した車速が所定範囲V以内か否かを判定し、ステップ42では異常検出回路75の出力を参照して全てのセンサが正常か否かを判定し、ステップ43では前後Gセンサ72の検出した実加速度が所定範囲D以内か否かを判定する。
【0035】上記判定条件の各範囲A,B,C,D,E及びVは、図13に示す状態に設定されている。即ち、主操舵角の範囲Bは運転者によって操作される入力軸が中立操舵位置の近傍に存在する状態を示し、範囲Aはそれよりも少し広い操舵範囲を示し、前後Gの範囲Dは前後方向の加速度が0に近く車輌が実質上定速走行しているとみなしうる範囲を示し、範囲Cはそれよりも少し広い加速度範囲を示し、操舵トルクの範囲Eはステアリング入力軸に大きな力が印加されていない範囲を示し、車速の範囲Vはある最低車速(例えば70Km/h)と最高車速(例えば100Km/h)の間の範囲を示している。
【0036】自動操舵モ−ドの場合、切換スイッチSWがオン(自動操舵オン指定)で、実主操舵角が所定範囲A以内にあり、前後の実加速度が所定範囲C以内にあり、実操舵トルクが所定範囲E以内の小さい値であり、ブレ−キスイッチBKがオフ(非制動状態)であり、全てのセンサが正常に動作している場合には、ステップ32,33,34,35,36及び37を通ってこの処理を終了し、そのまま自動操舵モ−ドを継続する。しかし、切換スイッチSWがオフ(自動操舵オフ指定)の場合,実主操舵角が所定範囲Aを外れる場合,前後の実加速度が所定範囲Cを外れる場合,実操舵トルクが所定範囲Eを外れる場合,ブレ−キスイッチBKがオン(制動状態)の場合,又はいずれかのセンサに何らかの異常が生じている場合には、ステップ38に進み、自動操舵フラグをクリア(自動操舵解除状態に)する。
【0037】また自動操舵解除中の場合には、切換スイッチSWがオフの場合,実主操舵角が所定範囲Bを外れている場合,車速が所定範囲Vを外れている場合,いずれかのセンサに異常が生じている場合,又は前後Gが範囲Dを外れている場合にはその時の状態を維持するが、切換スイッチSWがオンし、実主操舵角が範囲B以内にあり、実車速が範囲V以内にあり、全てのセンサが正常に機能し、前後Gが範囲D以内にあると、ステップ39,40,41,42及び43を通ってステップ44に進み、自動操舵フラグをセット(自動操舵オン状態に)する。
【0038】つまり、運転者が切換スイッチSWをオンにして自動操舵モ−ドにしようとしても、ステアリングホイ−ルを操作中であったり、車速が低すぎるか又は高すぎる場合や、センサに異常が生じている場合や、車輌が加速又は減速状態にある場合には、すぐには自動操舵モ−ドには入らず、ステップ40,41,42及び43の全ての条件が満たされた時に自動操舵モ−ドに入る。この時に図9のステップ3でステアリングホイ−ルが拘束されるので、自動操舵を開始する時には、主操舵角が必ず0に近い状態(中立状態)になり、自動操舵モ−ドで制御される副操舵角は、車輪の切れ角と実質上一致する。
【0039】また、自動操舵モ−ドで車輌が走行中に何らかの危険な状態が生じ、運転者がステアリングホイ−ルを操作して、主操舵角が範囲Aを外れるか又は操舵トルクが範囲Eを外れた場合、あるいはブレ−キペダルの踏込みが検出されるか急減速(又は急加速)が検出された場合には、自動操舵モ−ドが自動的に解除され、ステアリングホイ−ルの拘束も図9のステップ10で解除される。
【0040】なお図13に示すように、自動操舵モ−ドに入る時の条件である主操舵角範囲Bに比べて自動操舵を解除する時の条件である主操舵角範囲Aは充分に広く、また自動操舵モ−ドに入る時の条件である前後方向加速度範囲Dに比べて自動操舵を解除する時の条件である加速度範囲Cが充分に広いので、主操舵角及び前後加速度のわずかな変化に応答して自動操舵モ−ドのオン/オフを繰り返すようなハンチング現象が生じる恐れはない。
【0041】図9のステップ10の「ステアリングホィ−ル解放」処理の内容を図11に示す。図11を参照して説明する。ステップ51では、電磁クラッチ25の拘束トルクに対応する値を保持するレジスタLVの内容を微小値ΔLだけ減算する。そしてステップ53ではレジスタLVの値を図示しないD/A変換器に出力する。このD/A変換器は、LVの値に対応するアナログ電圧を、ドライバ24(図6参照)に目標値として印加する。ステップ54では、所定時間ΔTだけ時間待ちし、再びステップ51に進む。この動作をLVの値が正である間繰り返す。LVの値が負になると、ステップ52から53に進み、LVに0をストアし、LVの値をD/A変換器に出力する。
【0042】従って、図12に示すように、ステアリングホイ−ルの拘束を解除する場合には、所定時間ΔT毎にLVの値がΔLづつ減少し、ステアリングホイ−ルの拘束力は時間とともに徐々に減少する。このような制御を実施するのは、運転者に不安を抱かせたり、運転者の感覚を狂わせるのを防止するためである。即ち、この実施例では、例えば運転者がステアリングホイ−ルを操作することによって、自動操舵が解除され、それと同時にスアアリングホイ−ルの拘束も自動的に解除されるが、ステアリングホイ−ルの拘束を瞬時に解除すると、運転者が感じる操舵感(ステアリングホイ−ルの重み)が急激に軽くなるので、運転者が不要を感じたり、ステアリングホイ−ルを回しすぎて運転操作を誤る可能性がある。しかしこの実施例では、自動操舵を解除する時には、ステアリングホイ−ルの拘束力を徐々に減らすので、運転者が不安を抱いたり、運転操作を誤る可能性が小さく、時間がたつにつれて小さい力でもステアリングホイ−ルを操作可能になる。従って、例えば力の弱い女性などが自動車を運転する場合であっても、自動操舵中に危険な状態が生じれば、手動操作に切り換えて安全に運転を継続しうる。
【0043】なお上記実施例においては、自動操舵を開始する時には、瞬時にステアリングホイ−ルの拘束力を0から最大(L1)に切換えているが、拘束力を解除する場合と同様に、時間とともに徐々に拘束力が大きくなるように変更してもよい。また上記実施例では、主操舵角を操舵入力軸の先端(ピニオンの近傍)で検出しているが、ステアリングホイ−ルに近い位置で操舵入力軸の操舵角を検出してもよい。操舵入力軸には通常ト−ションバ−が設けられるので、入力軸の先端とステアリングホイ−ルの近傍とでは検出される操舵角が異なる。
【0044】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、拘束力可変手段(24)を制御することによって、拘束手段(25)の拘束力の大きさを調整することができ、拘束力制御手段(ECU)は、自動操舵モ−ドにおいて所定の自動操舵解除条件が満たされると、前記拘束力可変手段を制御して前記拘束手段の拘束力を時間の経過とともに徐々に低減するので、自動操舵が解除される場合には、運転者が感じるステアリングホイ−ルの重さは時間の経過とともに徐々に軽くなる。このため、ステアリングホイ−ルの拘束解除による操作感の変化によって運転者が不安を感じたり、ステアリングホイ−ルを回しすぎて運転操作を誤る可能性は極めて小さくなり、安全性が向上する。
【0045】また、第2番の発明では所定以上の主操舵量を主操舵角検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第3番の発明では所定以上の主操舵トルクを主操舵トルク検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第4番の発明では所定以上の前後方向加速度を加速度検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第5番の発明ではブレ−キペダルの踏込みなどの制動操作が検出されると自動操舵を解除し、第6番の発明ではセンサの故障が検出されると自動操舵を解除するので、いずれも自動操舵動作中に緊急に手動操舵が必要になると、自動的に手動操舵に移行することができ、更に安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の自動車のステアリング機構の主要部分を示す断面図である。
【図2】 図1の機構の右端部分を詳細に示す部分断面図である。
【図3】 図1の機構の左端部分を詳細に示す部分断面図である。
【図4】 図2のブ−ツ180を示す縦断面図である。
【図5】 図1の入力軸に接続されるメインシャフトとその拘束機構を示す縦断面図である。
【図6】 図8のドライバ24の構成を示すブロック図である。
【図7】 図5の拘束機構の拘束トルクと電流の関係を示すグラフである。
【図8】 実施例の自動操舵装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 図8のECUの処理の概略を示すフロ−チャ−トである。
【図10】 図9のステップ1の内容を示すフロ−チャ−トである。
【図11】 図9のステップ13の内容を示すフロ−チャ−トである。
【図12】 ステアリング拘束力の変化を示すタイムチャ−トである。
【図13】 各判定条件の範囲を示すマップである。
【符号の説明】
13:3位置切換電磁弁 21:テレビカメラ
22:画像処理&車線検出ユニット
24:ドライバ(拘束力可変手段)
25:電磁クラッチ 51:メインシャフト 52:キ−
53:ロ−タ 54:リ−ド線 55:スペ−サ
56:スティ 57:ベアリング 58:可動板
59:摩擦材 60:板ばね 61:電気コイル
62:固定部材 63:ねじ 64:フレ−ム
71:車速センサ 72:前後Gセンサ(加速度検出手段)
73:操舵トルクセンサ(主操舵トルク検出手段)
74:ヨ−レ−トセンサ 75:異常検出回路(センサ異常検出手段)
82:ラテラルパワ−シャフト 84:ラック
91:入力軸 92:ピニオン
120R,120L:ボ−ルジョイント
122R,122L:タイロッド
130:油圧アクチュエ−タ 132:シリンダ
134:ピストン 138,140:ポ−ト
150:副操舵角センサ
160:主操舵角センサ(主操舵角検出手段)
171,172:ハウジング部材 175:圧縮コイルスプリング
173,174:ストッパ 176:ア−ム
180,191,192:ブ−ツ 181:ブ−ツ本体
182,183:サイドカバ− 182a,183a:開口部
184,185:金具
ECU:電子制御ユニット(拘束力制御手段)
SW:切換スイッチ
BK:ブレ−キスイッチ(制動検出手段)
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輌のステアリング操作を自動的に実施する装置に関し、特に自動操舵開始及び自動操舵解除のための制御に関する。
【0002】
【従来の技術】運転者のハンドル操作なしに車輌のステアリング操作を自動的に実施する自動操舵装置に関する技術が提案されている。例えば、ステアリング機構に油圧もしくは電動の自動操舵用駆動装置を接続し、テレビカメラ等を用いてドライバの視野と同等の領域の映像を入力し、入力した映像を画像処理して車線,標識,他の車輌等の道路情報を検出すれば、その情報に基づいて所定の車線内を車輌が走行するように操舵量を調整したり、自動操舵により障害物を避けるように走行車線を変更したりできる。
【0003】ところで、通常のステアリング機構に油圧機構や電動機構を直接結合して自動的に操舵を行なおうとすると、自動操舵する時に、ドライバが何もしなくても、操舵量に応じてハンドル(ステアリングホイ−ル)が勝手に回転することになる。このような現象は、状況によっては好ましくなく、自動操舵の時でもドライバが操作しない限りハンドルは回転しない方が良い。
【0004】一般的なステアリング機構においては、ステアリングホイ−ルの回転に応じて回転するステアリングシャフトの先端にピニオンが設けられ、該ピニオンと係合する歯が形成されたラックが左右方向に直線運動可能に配置され、該ラックの両端に操舵軸であるタイロッドがそれぞれ結合され、各々のタイロッドが、左右の各タイヤの転回軸に結合されるように構成されている。
【0005】そこで本出願人は、ラックと似た形状の副軸を設け、ラックと各タイロッドとの間に前記副軸を介挿し、ラックと副軸との相対的な位置を調整する駆動機構を設け、該駆動機構によって自動操舵を行なうようにして、ステアリングホイ−ルが動かない状態でタイロッドを動かし自動操舵可能に構成したステアリング機構を既に提案している。また、このような構成の場合であっても、操舵時の路面からの反力が大きい時には、該反力が副軸及びラックを介してステアリングシャフトに伝わり、ステアリングホイ−ルが回転する場合があるので、電磁クラッチ等を用いて自動操舵中にはステアリングホイ−ルの動きを拘束することも提案している(特願平3−229926号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば運転の容易な自動車専用道路(高速道路)で自動操舵を実施できる車輌においても、一般の道路では手動操舵を行なわざるを得ず、自動操舵のためにステアリングホイ−ルの動きを拘束する装置においては、手動操舵を実施する時にはステアリングホイ−ルの動きを軽くするために、それの拘束を解除するのが望ましい。しかしながら、ステアリングホイ−ルの拘束力が一気に解除されると、運転者が感じる操舵感(ステアリングホイ−ルの重み)が急激に軽くなるので、運転者が不安を感じたり、ステアリングホイ−ルを回しすぎて運転操作を誤る可能性が生じる。しかし拘束を解除しなければ、ステアリングホイ−ルを回すのに大きな力が必要になるので、例えば力の弱い女性などがこのような自動車を運転するのは困難である。
【0007】従って本発明は、自動操舵時にステアリングホイ−ルの拘束を解除して運転を容易にするとともに、拘束の解除によって運転者に違和感を与えたり運転操作の誤りを誘発するような操舵感を与えるのを防止して、自動操舵の安全性を高めることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明においては、ドライバによって操作され車輌の進行方向の変更を指示するステアリング入力手段,該ステアリング入力手段と結合され該手段の操作量に応じた変位を生じる第1の操舵部材,各車輪の支持軸と結合されそれの移動によって車輌に対する各車輪の向きを変更する第2の操舵部材,前記第1の操舵部材と第2の操舵部材との相対的な位置関係を自動的に調整する自動駆動手段,及び前記ステアリング入力手段及び第1の操舵部材の少なくとも一方と係合しそれの動きを拘束する拘束手段、を備える車輌の自動操舵制御装置において、前記拘束手段の拘束力を変更する拘束力可変手段;及び自動操舵モ−ドにおいて所定の自動操舵解除条件が満たされると、前記拘束力可変手段を制御して前記拘束手段の拘束力を時間の経過とともに徐々に低減する拘束力制御手段;を設ける。
【0009】また第2番の発明においては、前記ステアリング入力手段もしくは前記第1の操舵部材の操舵量を検出する主操舵角検出手段を設け、前記拘束力制御手段を、所定以上の主操舵量を前記主操舵角検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除するように構成し、第3番の発明においては、前記ステアリング入力手段もしくは前記第1の操舵部材に印加されるトルクの大きさを検出する主操舵トルク検出手段を設け、拘束力制御手段を、所定以上の主操舵トルクを前記主操舵トルク検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除するように構成し、第4番の発明においては、車輌の前後方向の加速度を検出する加速度検出手段を設け、拘束力制御手段を、所定以上の前後方向加速度を前記加速度検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除するように構成し、第5番の発明においては、車輌に対する制動操作の有無を検出する制動検出手段を設け、拘束力制御手段を、制動操作が検出されると、自動操舵を自動的に解除するように構成し、第6番の発明においては、自動操舵に必要な情報を検出するセンサの故障の有無を検出するセンサ異常検出手段を設け、拘束力制御手段を、少なくとも1つのセンサの故障が検出されると、自動操舵を自動的に解除するように構成する。
【0010】
【作用】本発明によれば、拘束力可変手段を制御することによって、拘束手段の拘束力の大きさを調整することができる。拘束力制御手段は、自動操舵モ−ドにおいて所定の自動操舵解除条件が満たされると、前記拘束力可変手段を制御して前記拘束手段の拘束力を時間の経過とともに徐々に低減する。従って自動操舵が解除される場合には、運転者が感じるステアリングホイ−ルの重さは時間の経過とともに徐々に軽くなる。このため、ステアリングホイ−ルの拘束解除による操作感の変化によって運転者が不安を感じたり、ステアリングホイ−ルを回しすぎて運転操作を誤る可能性は極めて小さくなり、安全性が向上する。
【0011】ところで、自動操舵動作中に緊急に手動操舵が必要になると、運転者はステアリングホイ−ルを手動操作によって回したり、ブレ−キペダルを踏込む。また、自動操舵のために用いられる各種センサに異常が発生すると、手動操舵に切換える必要がある。そこで第2番の発明では所定以上の主操舵量を主操舵角検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第3番の発明では所定以上の主操舵トルクを主操舵トルク検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第4番の発明では所定以上の前後方向加速度を加速度検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第5番の発明ではブレ−キペダルの踏込みなどの制動操作が検出されると自動操舵を解除し、第6番の発明ではセンサの故障が検出されると自動操舵を解除し、いずれの場合もステアリングホイ−ルの拘束を解除する。
【0012】
【実施例】図1及び図5に自動車のステアリング機構の主要部分を示す。なお図1では一部分が簡略化又は省略して示されているが、図1の右端部分の詳細は図2に示され、左端部分の詳細は図3に示されている。図5はステアリングコラムの内部に配置される部分を示しており、メインシャフト51の上端側は図示しないステアリングホイ−ルと結合され、メインシャフト51の下端側は図示しない連結用の中間シャフトを介して図1に示す入力軸91に結合されている。ドライバがステアリングホイ−ルを回動することによって、メインシャフト51が回動し、図1の入力軸91に回動力が伝達される。なお図1に示すステアリング機構にはパワ−ステアリング機構が備わっているが、その機構の基本的な構成及び動作は従来より良く知られているので、それに関する説明はここでは省略する。
【0013】図1に示すステアリング機構は、基本的にはラック&ピニオン型式の構成になっており、入力軸91の先端部にピニオン92が設けられ、該ピニオン92の外周に歯が形成されている。このピニオン92と軸が交叉する形で、軸状のラック84が配置されている。ラック84外周面の一部分のピニオン92と対向する面には歯が形成されており、この歯によってラック84とピニオン92とが常時噛み合って両者が連結されている。
【0014】この実施例では、ラック84は中空に、つまり筒状に形成されており、その内側にラテラルパワ−シャフト82が配置されている。ラテラルパワ−シャフト82はラック84に対して軸方向、つまり左右方向に摺動自在に支持されている。ラテラルパワ−シャフト82の右端には、ボ−ルジョイント120Rを介してタイロッド122Rが結合されており、該タイロッド122Rが左右方向に動くことによって右前輪の向きが変わる。同様に、ラテラルパワ−シャフト82の左端には、ボ−ルジョイント120Lを介してタイロッド122Lが結合されており、該タイロッド122Lが左右方向に動くことによって左前輪の向きが変わる。ラテラルパワ−シャフト82とラック84とは軸方向に相対移動自在であるが、両者の間には油圧アクチュエ−タ130が結合されており、この油圧アクチュエ−タ130が両者の相対移動を規制したり積極的に相対移動させることにより自動的な操舵を可能にしている。即ち図3に示すように、ラック84の左端側に固着されたシリンダ132の内空間に、ラテラルパワ−シャフト82に形成したピストン134が配置されている。ピストン134によって分離されたシリンダ132の内空間133の各々と連通するポ−ト138及び140には、後述する油圧回路が結合されている。シリンダ132内に油を充填しポ−ト138及び140からの油の流入出を遮断すれば、シリンダ132内でピストン134の動きが規制されるので、ラテラルパワ−シャフト82とラック84との相対的な動きは実質上なくなり、ラック84の動きはそのままラテラルパワ−シャフト82に伝達されるので、一般のステアリング装置と同様に、ステアリングホイ−ルを操作すれば、メインシャフト51及び中間シャフトを介してピニオン92が回動し、ラック84が左右方向に移動し、その動きが油圧アクチュエ−タ130を介してラテラルパワ−シャフト82に伝達され、車輪の操舵が行なわれる。
【0015】また、ステアリングホイ−ルを操作しない場合であっても、油圧回路の操作によりシリンダ132内のピストン134の位置を動かすことによって、ラテラルパワ−シャフト82がラック84に対して相対的に移動し、車輪の向きが変わる。つまり、油圧アクチュエ−タ130を駆動することによって、ステアリングホイ−ルの操作に対して補償的な補助操舵を行なったり、あるいは完全な自動操舵を行なうことが可能である。
【0016】ところで、完全な自動操舵を行なう場合には、ドライバがステアリングホイ−ルから手を離すことになるので、操舵力に対する路面からの反力が大きい場合には、その力がラテラルパワ−シャフト82,油圧アクチュエ−タ130,ラック84,メインシャフト51等を介してステアリングホイ−ルに伝わり、ステアリングホイ−ルが勝手に回動し、その結果操舵量も目標値より少なくなる。このような不都合をなくするため、この実施例においては、自動操舵の場合にステアリングホイ−ルの動きを拘束する機構を設けてある。
【0017】その拘束機構について図5を参照して説明する。板状のスティ56は、ねじ63によってステアリングコラムの固定部材62に固着されており、ベアリング57を介してメインシャフト51を回動自在に支持している。円板状に形成されたロ−タ53は、スペ−サ55によってスティ56との間隔が所定量に保持され、またキ−52によってメインシャフト51に固着されている。ロ−タ53の小径部の外周に、環状の可動板58が配置されており、該可動板58は、板ばね60を介してロ−タ53に結合されている。板ばね60は、ロ−タ53と可動板58の各々にリベットのカシメにより固着されている。スティ56の下面側に固着されたフレ−ム64の内側に電気コイル61が装着されており、またフレ−ム64の可動板58と対向する面には環状に形成された摩擦材59が装着されている。54は電気コイル61から引き出されたリ−ド線である。
【0018】電気コイル61に通電しない状態では、可動板58は板ばね60の力によってロ−タ53の大径部(下側)に近づけられ、可動板58と摩擦材59とは離れている。従ってその状態では、メインシャフト51は自由に動くことができる。電気コイル61に通電すると、磁性体でなる可動板58は電気コイル61側に吸引される力を受け、上方に移動して摩擦材59の面に当接しその状態に保持される。従ってその状態では、固定された摩擦材59と可動板58との間の摩擦力によって、可動板58の回動方向の動きが拘束される。従って、ロ−タ53及びメインシャフト51の回動も拘束される。しかし、この拘束力は摩擦力によるものなので、それほど大きな力ではなく、路面からの反力に対してはメインシャフト51の動きを確実に止めることができるが、緊急時などに比較的大きな力でステアリングホイ−ルが操作される時には、電気コイル61が通電された状態であっても、可動板58は摩擦材59に対して相対移動でき、ドライバによる操舵は可能である。
【0019】油圧アクチュエ−タ130の故障等が生じた場合に、ラテラルパワ−シャフト82とラック84との相対位置を中立位置に自動的に戻すための機構が、ラテラルパワ−シャフト82の右端近傍に設けられている。即ち、図2に示すように、ラック82の右端に固着したハウジング部材171及び172の内側に、圧縮コイルスプリング175、及びその両端にそれぞれ当接する形でフランジが形成された円筒形状のストッパ173及び174が設けられている。ストッパ173及び174はラテラルパワ−シャフト82上を摺動可能であり、中立位置から、ラテラルパワ−シャフト82がラック84に対して矢印AR方向に移動する時には、ストッパ174の動きはハウジング部材172によって規制され、ストッパ173はラテラルパワ−シャフト82に押されてそれとともに矢印AR方向に移動し、スプリング175を圧縮する。従ってスプリング175は、ストッパ173を矢印AL方向に押圧し、ストッパ173と係合するラテラルパワ−シャフト82は中立位置に戻るように力を受ける。逆に中立位置からラテラルパワ−シャフト82がラック84に対して矢印AL方向に移動する時には、ストッパ173の動きはハウジング部材171によって規制され、ストッパ174はラテラルパワ−シャフト82に押されてそれとともに矢印AL方向に移動し、スプリング175を圧縮する。従ってスプリング175は、ストッパ174をAR方向に押圧し、ストッパ174と係合するラテラルパワ−シャフト82は中立位置に戻るように力を受ける。
【0020】ハウジング部材171の外側に、副操舵角センサ150が装着されている。該センサ150は、軸方向に摺動する摺動子を有するポテンショメ−タであり、その摺動子は、ボ−ルジョイント120Rに固着されたア−ム176と係合されている。ラック84に対してラテラルパワ−シャフト82が移動すると、ハウジング部材171に対してア−ム176が軸方向に移動し、副操舵角センサ150の摺動子が動く。従って、副操舵角センサ150は、ラック84に対するラテラルパワ−シャフト82の相対位置を検出する。
【0021】図2に示す180及び図3に示す191及び192は、機構内部に塵や埃が侵入するのを防ぐためのブ−ツである。図3に示すブ−ツ191及び192は一般的な構造になっているが、図2に示すブ−ツ180には特別な工夫をしてある。即ち一般的なブ−ツは、ブロウ成形によって形成される1つの部品で構成され、図3R>3に示すように、両端部に形成される各開口の中心位置は、ブ−ツの中心軸と一致する位置に限られる。しかし図2に示すようにこの例では、ハウジング部材171の上側に突出する形で副操舵角センサ150が配置され、ブ−ツ内包物がブ−ツ中心軸に対して軸対象に配置されていないので、タイロッド122Rの位置に形成される開口が中心軸上に配置されたブ−ツによってこの部分全体を覆うためには、大型のブ−ツが必要になり無駄なスペ−スを必要とする。また、1つの部品でブ−ツを構成すると、その両端部の開口が小さいので、組付けや取外しは、所定の順番で行なわざるを得ず、メカ部品の組付後にブ−ツを装着することができない。メカ部品の組付後にブ−ツを装着できるのが望ましい。
【0022】そこでこの実施例においては、図2及び図4R>4に示すように、複数の部品を組合せてブ−ツを構成するとともに、ブ−ツの開口を中心軸からずらした位置に形成してある。図4を参照すると、このブ−ツは蛇腹形状のブ−ツ本体181と、その両端に装着されたサイドカバ−182及び183と、リング状の金具184及び185によって構成されている。ブ−ツ本体181の両端部は比較的大きく開口しており、これらの開口を覆う形でサイドカバ−182及び183が装着されている。サイドカバ−182及び183には、ブ−ツを装着する機構部分の形状に合わせた比較的小さい開口部182a及び183aがそれぞれ形成されており、これらの開口部182a及び183aは、ブ−ツの中心軸からずらした位置に形成されている。
【0023】このブ−ツ180を図2のようにステアリング機構上に組付ける場合には、まずサイドカバ−183のみをステアリングギアハウジング90上に装着し、次にストッパ173及び174,圧縮コイルスプリング175,ハウジング部材171及び172,副操舵角センサ150等を組付け、それらを覆うようにブ−ツ本体181を装着し、ブ−ツ本体181にサイドカバ−183をはめ合わせる。ブ−ツ本体181の開口は大きいので、ブ−ツを装着する際に他のメカ部品とブ−ツとが干渉することがなく、組付けが容易である。
【0024】図8に、前述のステアリング機構を制御する電気回路及び油圧回路の構成を示す。図8を参照してまず油圧回路を説明する。11はポンプ、12はアキュ−ムレ−タ、13は3位置切換電磁弁、14はリザ−バである。3位置切換電磁弁13を第1の状態に設定すると、ポンプ11からの高圧の油がシリンダ132の右側の室内に供給され、同時にシリンダ132の左側室内の油がリザ−バ14に流れるので、ピストン134は左側に移動する。同様に3位置切換電磁弁13を第2の状態に設定すると、ポンプ11からの高圧の油がシリンダ132の左側の室内に供給され、同時にシリンダ132の右側室内の油がリザ−バ14に流れるので、ピストン134は右側に移動する。3位置切換電磁弁13を第3の状態に設定すると、シリンダ132の各ポ−トからの油の流入出が遮断され、各室内の油量変化がなくなるので、ピストン134の位置は固定される。ピストン134の位置に応じたラック84とラテラルパワ−シャフト82との相対位置関係は、副操舵角センサ150によって検出される。
【0025】次に電気回路を説明する。この実施例においては、高速道路などにおいて、ステアリングホイ−ルを操作することなく、所定の走行車線(レ−ン)内を自動的に走行できる、自動操舵モ−ドを備えている。この自動操舵モ−ドにおいては、テレビカメラ21によって、ほぼ運転者の視界に相当する自動車前方の映像を繰り返し入力する。入力された画像は、画像処理&車線検出ユニット22で処理され、現在の自動車と車線との位置関係及び前方の車線の向きが、操舵に必要な情報として検出される。なおこれは、例えばレ−ザレ−ダを用いて予め道路上に埋め込まれた車輌前方の数個のマ−カをセンスし、自車輌とセンスしたマ−カとの距離及び方位角を演算し、前方の道路状況(直線であるかカ−ブか)を検出する方法でもよい。電子制御ユニットECUは、画像処理&車線検出ユニット22が出力する情報、及び他の様々なセンサが出力する情報とに基づいて、操舵すべき方向及び操舵量を決定し、その操舵量に応じて油圧回路のリニア圧力制御弁15及び3位置切換電磁弁13を制御し、操舵系を自動制御する。また、自動操舵モ−ドではステアリングホイ−ルの回動を拘束するため、電磁クラッチ25(図5の拘束機構)を制御する。電磁クラッチ25は、ドライバ24を介して制御される。
【0026】この実施例では、自動操舵の制御のために必要な情報を検出するセンサとして、副操舵角センサ150,主操舵角センサ160,車速センサ71,前後Gセンサ72,操舵トルクセンサ73及びヨ−レ−トセンサ74が備わっている。またシステムの信頼性を高めるため、上記各センサが正常に機能しているか否かを検出する異常検出回路75が設けられている。SWは自動操舵モ−ドをオン/オフする切換スイッチであり、BKはブレ−キペダルの踏込みの有無に応じてオン/オフするブレ−キスイッチである。
【0027】主操舵角センサ160は、運転者のハンドル操作によって変化するステアリング入力軸の操舵角を検出するものであり、この実施例では図1に示すようにステアリングギアハウジング90内の入力軸先端部分に設置されている。具体的には、主操舵角センサ160はポテンショメ−タであり、ピニオン92の回転角度を検出する。前後Gセンサ72は、車体の前後方向に加わる加速度の大きさを検出する。操舵トルクセンサ73は、運転者のハンドル操作によって変化するステアリング入力軸に加わるトルクの大きさを検出する。ヨ−レ−トセンサ74は、車体の重心位置近傍に配置され、それを通る鉛直軸を中心とする回転方向の角度速、つまりヨ−イング角速度を検出する。
【0028】この実施例では電磁クラッチ25の通電を制御するドライバ24を図6に示すような構成にしている。図6を参照して説明する。目標値は、電圧として電磁制御ユニットECUから出力される。電圧−デュ−ティ変換器31は、周期が一定のパルス信号を生成し、このパルス信号のオン/オフのデュ−ティを入力信号電圧の大小に応じて変化させる。電圧−デュ−ティ変換器31の出力は、電流増幅器32を通り電磁クラッチの電気コイル61に印加される。従って電気コイル61に流れる電流の平均値は、電圧−デュ−ティ変換器31が出力するパルスのデュ−ティに比例して変化する。電気コイル61と直列に接続された抵抗器Rの端子間には、電気コイル61の電流値に比例する電圧が現われる。この電圧は増幅器33で増幅され、平滑回路34で平滑されて、電圧−デュ−ティ変換器31の入力にフィ−ドバックされる。
【0029】従って、電気コイル61に流れる電流の平均値が目標値より小さい時には、パルスデュ−ティが大きくなる方向に更新されて通電電流が増大し、電気コイル61に流れる電流の平均値が目標値より大きい時には、パルスデュ−ティが小さくなる方向に更新されて通電電流が減小し、通電電流は目標値に近づくように常時制御される。従って、電気コイル61が発熱してその抵抗値が変化しても拘束トルクは変化しない。なお後述するように、この実施例では拘束を解除する際には、拘束トルクを徐々に減小させるようにECUが目標値を変化させる。
【0030】電子制御ユニットECUの処理の概略を図9R>9に示す。図9を参照して説明する。ステップ1では、所定のモ−ド判定処理を実行し、次のステップ2では後述する自動操舵フラグの状態を参照し、自動操舵モ−ドか否かを識別する。自動操舵モ−ドの時にはステップ3に進み、そうでなければステップ13に進む。自動操舵モ−ドの場合、まずステップ3で電磁クラッチ25の電気コイル61に通電してステアリングホイ−ルの回動を拘束し、ステップ4で自動操舵に必要な各種センサから情報を入力し、ステップ5で画像処理&車線検出ユニット22から走行車線情報を入力し、次のステップ6で、位置センサ150が出力する信号を読取って実操舵位置を入力し、次のステップ7では目標操舵位置と実操舵位置とに基づいて、PID制御等により目標操舵量を計算する。
【0031】ステップ8で3位置切換電磁弁13を制御してピストン134の位置を調整し、操舵位置を調整する。また、調整を実施しても副操舵角が変化しないような調整不可能な状態を検出した場合には、ステップ21に進み、ステアリングホイ−ルの拘束を解除し、以後の自動操舵を禁止する。
【0032】自動操舵が解除されている時には、ステップ10で電磁クラッチ25の電気コイル61の通電を終了してステアリングホイ−ルを解放し、ステップ11で目標操舵位置を0(中央)に設定し、目標操舵位置になるまでステップ12,13,14,15の処理を繰り返し、操舵位置が中央に戻ったら、3位置切換電磁弁13を、リニア圧力制御弁15の制御圧とシリンダ132との流路を遮断する状態に設定し、ピストン134の位置を固定する。
【0033】ステップ1のモ−ド判定処理の内容を図10R>0に示す。図10を参照して説明する。最初のステップ31では、自動操舵フラグの状態を調べ、自動操舵モ−ド中か否かを判定して、自動操舵モ−ドならステップ32に進み、自動操舵解除中ならステップ39に進む。ステップ32では切換スイッチSWがオフか否かを判定し、ステップ33では主操舵角センサ160の検出した実主操舵角が所定範囲Aを外れるか否かを判定し、ステップ34では前後Gセンサ72の検出した実加速度が所定範囲Cを外れるか否かを判定し、ステップ35では操舵トルクセンサ73の検出した実操舵トルクが所定範囲Eを外れるか否かを判定し、ステップ36ではブレ−キスイッチの状態がブレ−キオン状態か否かを判定し、ステップ37では異常検出回路75がいずれかのセンサの異常を検出しているか否かを判定する。
【0034】また、ステップ39では切換スイッチSWがオンか否かを判定し、ステップ40では主操舵角センサ160の検出した実主操舵角が所定範囲B以内か否かを判定し、ステップ41では車速センサ71の検出した車速が所定範囲V以内か否かを判定し、ステップ42では異常検出回路75の出力を参照して全てのセンサが正常か否かを判定し、ステップ43では前後Gセンサ72の検出した実加速度が所定範囲D以内か否かを判定する。
【0035】上記判定条件の各範囲A,B,C,D,E及びVは、図13に示す状態に設定されている。即ち、主操舵角の範囲Bは運転者によって操作される入力軸が中立操舵位置の近傍に存在する状態を示し、範囲Aはそれよりも少し広い操舵範囲を示し、前後Gの範囲Dは前後方向の加速度が0に近く車輌が実質上定速走行しているとみなしうる範囲を示し、範囲Cはそれよりも少し広い加速度範囲を示し、操舵トルクの範囲Eはステアリング入力軸に大きな力が印加されていない範囲を示し、車速の範囲Vはある最低車速(例えば70Km/h)と最高車速(例えば100Km/h)の間の範囲を示している。
【0036】自動操舵モ−ドの場合、切換スイッチSWがオン(自動操舵オン指定)で、実主操舵角が所定範囲A以内にあり、前後の実加速度が所定範囲C以内にあり、実操舵トルクが所定範囲E以内の小さい値であり、ブレ−キスイッチBKがオフ(非制動状態)であり、全てのセンサが正常に動作している場合には、ステップ32,33,34,35,36及び37を通ってこの処理を終了し、そのまま自動操舵モ−ドを継続する。しかし、切換スイッチSWがオフ(自動操舵オフ指定)の場合,実主操舵角が所定範囲Aを外れる場合,前後の実加速度が所定範囲Cを外れる場合,実操舵トルクが所定範囲Eを外れる場合,ブレ−キスイッチBKがオン(制動状態)の場合,又はいずれかのセンサに何らかの異常が生じている場合には、ステップ38に進み、自動操舵フラグをクリア(自動操舵解除状態に)する。
【0037】また自動操舵解除中の場合には、切換スイッチSWがオフの場合,実主操舵角が所定範囲Bを外れている場合,車速が所定範囲Vを外れている場合,いずれかのセンサに異常が生じている場合,又は前後Gが範囲Dを外れている場合にはその時の状態を維持するが、切換スイッチSWがオンし、実主操舵角が範囲B以内にあり、実車速が範囲V以内にあり、全てのセンサが正常に機能し、前後Gが範囲D以内にあると、ステップ39,40,41,42及び43を通ってステップ44に進み、自動操舵フラグをセット(自動操舵オン状態に)する。
【0038】つまり、運転者が切換スイッチSWをオンにして自動操舵モ−ドにしようとしても、ステアリングホイ−ルを操作中であったり、車速が低すぎるか又は高すぎる場合や、センサに異常が生じている場合や、車輌が加速又は減速状態にある場合には、すぐには自動操舵モ−ドには入らず、ステップ40,41,42及び43の全ての条件が満たされた時に自動操舵モ−ドに入る。この時に図9のステップ3でステアリングホイ−ルが拘束されるので、自動操舵を開始する時には、主操舵角が必ず0に近い状態(中立状態)になり、自動操舵モ−ドで制御される副操舵角は、車輪の切れ角と実質上一致する。
【0039】また、自動操舵モ−ドで車輌が走行中に何らかの危険な状態が生じ、運転者がステアリングホイ−ルを操作して、主操舵角が範囲Aを外れるか又は操舵トルクが範囲Eを外れた場合、あるいはブレ−キペダルの踏込みが検出されるか急減速(又は急加速)が検出された場合には、自動操舵モ−ドが自動的に解除され、ステアリングホイ−ルの拘束も図9のステップ10で解除される。
【0040】なお図13に示すように、自動操舵モ−ドに入る時の条件である主操舵角範囲Bに比べて自動操舵を解除する時の条件である主操舵角範囲Aは充分に広く、また自動操舵モ−ドに入る時の条件である前後方向加速度範囲Dに比べて自動操舵を解除する時の条件である加速度範囲Cが充分に広いので、主操舵角及び前後加速度のわずかな変化に応答して自動操舵モ−ドのオン/オフを繰り返すようなハンチング現象が生じる恐れはない。
【0041】図9のステップ10の「ステアリングホィ−ル解放」処理の内容を図11に示す。図11を参照して説明する。ステップ51では、電磁クラッチ25の拘束トルクに対応する値を保持するレジスタLVの内容を微小値ΔLだけ減算する。そしてステップ53ではレジスタLVの値を図示しないD/A変換器に出力する。このD/A変換器は、LVの値に対応するアナログ電圧を、ドライバ24(図6参照)に目標値として印加する。ステップ54では、所定時間ΔTだけ時間待ちし、再びステップ51に進む。この動作をLVの値が正である間繰り返す。LVの値が負になると、ステップ52から53に進み、LVに0をストアし、LVの値をD/A変換器に出力する。
【0042】従って、図12に示すように、ステアリングホイ−ルの拘束を解除する場合には、所定時間ΔT毎にLVの値がΔLづつ減少し、ステアリングホイ−ルの拘束力は時間とともに徐々に減少する。このような制御を実施するのは、運転者に不安を抱かせたり、運転者の感覚を狂わせるのを防止するためである。即ち、この実施例では、例えば運転者がステアリングホイ−ルを操作することによって、自動操舵が解除され、それと同時にスアアリングホイ−ルの拘束も自動的に解除されるが、ステアリングホイ−ルの拘束を瞬時に解除すると、運転者が感じる操舵感(ステアリングホイ−ルの重み)が急激に軽くなるので、運転者が不要を感じたり、ステアリングホイ−ルを回しすぎて運転操作を誤る可能性がある。しかしこの実施例では、自動操舵を解除する時には、ステアリングホイ−ルの拘束力を徐々に減らすので、運転者が不安を抱いたり、運転操作を誤る可能性が小さく、時間がたつにつれて小さい力でもステアリングホイ−ルを操作可能になる。従って、例えば力の弱い女性などが自動車を運転する場合であっても、自動操舵中に危険な状態が生じれば、手動操作に切り換えて安全に運転を継続しうる。
【0043】なお上記実施例においては、自動操舵を開始する時には、瞬時にステアリングホイ−ルの拘束力を0から最大(L1)に切換えているが、拘束力を解除する場合と同様に、時間とともに徐々に拘束力が大きくなるように変更してもよい。また上記実施例では、主操舵角を操舵入力軸の先端(ピニオンの近傍)で検出しているが、ステアリングホイ−ルに近い位置で操舵入力軸の操舵角を検出してもよい。操舵入力軸には通常ト−ションバ−が設けられるので、入力軸の先端とステアリングホイ−ルの近傍とでは検出される操舵角が異なる。
【0044】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、拘束力可変手段(24)を制御することによって、拘束手段(25)の拘束力の大きさを調整することができ、拘束力制御手段(ECU)は、自動操舵モ−ドにおいて所定の自動操舵解除条件が満たされると、前記拘束力可変手段を制御して前記拘束手段の拘束力を時間の経過とともに徐々に低減するので、自動操舵が解除される場合には、運転者が感じるステアリングホイ−ルの重さは時間の経過とともに徐々に軽くなる。このため、ステアリングホイ−ルの拘束解除による操作感の変化によって運転者が不安を感じたり、ステアリングホイ−ルを回しすぎて運転操作を誤る可能性は極めて小さくなり、安全性が向上する。
【0045】また、第2番の発明では所定以上の主操舵量を主操舵角検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第3番の発明では所定以上の主操舵トルクを主操舵トルク検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第4番の発明では所定以上の前後方向加速度を加速度検出手段が検出すると自動操舵を解除し、第5番の発明ではブレ−キペダルの踏込みなどの制動操作が検出されると自動操舵を解除し、第6番の発明ではセンサの故障が検出されると自動操舵を解除するので、いずれも自動操舵動作中に緊急に手動操舵が必要になると、自動的に手動操舵に移行することができ、更に安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の自動車のステアリング機構の主要部分を示す断面図である。
【図2】 図1の機構の右端部分を詳細に示す部分断面図である。
【図3】 図1の機構の左端部分を詳細に示す部分断面図である。
【図4】 図2のブ−ツ180を示す縦断面図である。
【図5】 図1の入力軸に接続されるメインシャフトとその拘束機構を示す縦断面図である。
【図6】 図8のドライバ24の構成を示すブロック図である。
【図7】 図5の拘束機構の拘束トルクと電流の関係を示すグラフである。
【図8】 実施例の自動操舵装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 図8のECUの処理の概略を示すフロ−チャ−トである。
【図10】 図9のステップ1の内容を示すフロ−チャ−トである。
【図11】 図9のステップ13の内容を示すフロ−チャ−トである。
【図12】 ステアリング拘束力の変化を示すタイムチャ−トである。
【図13】 各判定条件の範囲を示すマップである。
【符号の説明】
13:3位置切換電磁弁 21:テレビカメラ
22:画像処理&車線検出ユニット
24:ドライバ(拘束力可変手段)
25:電磁クラッチ 51:メインシャフト 52:キ−
53:ロ−タ 54:リ−ド線 55:スペ−サ
56:スティ 57:ベアリング 58:可動板
59:摩擦材 60:板ばね 61:電気コイル
62:固定部材 63:ねじ 64:フレ−ム
71:車速センサ 72:前後Gセンサ(加速度検出手段)
73:操舵トルクセンサ(主操舵トルク検出手段)
74:ヨ−レ−トセンサ 75:異常検出回路(センサ異常検出手段)
82:ラテラルパワ−シャフト 84:ラック
91:入力軸 92:ピニオン
120R,120L:ボ−ルジョイント
122R,122L:タイロッド
130:油圧アクチュエ−タ 132:シリンダ
134:ピストン 138,140:ポ−ト
150:副操舵角センサ
160:主操舵角センサ(主操舵角検出手段)
171,172:ハウジング部材 175:圧縮コイルスプリング
173,174:ストッパ 176:ア−ム
180,191,192:ブ−ツ 181:ブ−ツ本体
182,183:サイドカバ− 182a,183a:開口部
184,185:金具
ECU:電子制御ユニット(拘束力制御手段)
SW:切換スイッチ
BK:ブレ−キスイッチ(制動検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ドライバによって操作され車輌の進行方向の変更を指示するステアリング入力手段,該ステアリング入力手段と結合され該手段の操作量に応じた変位を生じる第1の操舵部材,各車輪の支持軸と結合されそれの移動によって車輌に対する各車輪の向きを変更する第2の操舵部材,前記第1の操舵部材と第2の操舵部材との相対的な位置関係を自動的に調整する自動駆動手段,及び前記ステアリング入力手段及び第1の操舵部材の少なくとも一方と係合しそれの動きを拘束する拘束手段、を備える車輌の自動操舵制御装置において、前記拘束手段の拘束力を変更する拘束力可変手段;及び自動操舵モ−ドにおいて所定の自動操舵解除条件が満たされると、前記拘束力可変手段を制御して前記拘束手段の拘束力を時間の経過とともに徐々に低減する拘束力制御手段;を設けたことを特徴とする、車輌の自動操舵制御装置。
【請求項2】 前記ステアリング入力手段もしくは前記第1の操舵部材の操舵量を検出する主操舵角検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、所定以上の主操舵量を前記主操舵角検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項3】 前記ステアリング入力手段もしくは前記第1の操舵部材に印加されるトルクの大きさを検出する主操舵トルク検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、所定以上の主操舵トルクを前記主操舵トルク検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項4】 車輌の前後方向の加速度を検出する加速度検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、所定以上の前後方向加速度を前記加速度検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項5】 車輌に対する制動操作の有無を検出する制動検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、制動操作が検出されると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項6】 自動操舵に必要な情報を検出するセンサの故障の有無を検出するセンサ異常検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、少なくとも1つのセンサの故障が検出されると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項1】 ドライバによって操作され車輌の進行方向の変更を指示するステアリング入力手段,該ステアリング入力手段と結合され該手段の操作量に応じた変位を生じる第1の操舵部材,各車輪の支持軸と結合されそれの移動によって車輌に対する各車輪の向きを変更する第2の操舵部材,前記第1の操舵部材と第2の操舵部材との相対的な位置関係を自動的に調整する自動駆動手段,及び前記ステアリング入力手段及び第1の操舵部材の少なくとも一方と係合しそれの動きを拘束する拘束手段、を備える車輌の自動操舵制御装置において、前記拘束手段の拘束力を変更する拘束力可変手段;及び自動操舵モ−ドにおいて所定の自動操舵解除条件が満たされると、前記拘束力可変手段を制御して前記拘束手段の拘束力を時間の経過とともに徐々に低減する拘束力制御手段;を設けたことを特徴とする、車輌の自動操舵制御装置。
【請求項2】 前記ステアリング入力手段もしくは前記第1の操舵部材の操舵量を検出する主操舵角検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、所定以上の主操舵量を前記主操舵角検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項3】 前記ステアリング入力手段もしくは前記第1の操舵部材に印加されるトルクの大きさを検出する主操舵トルク検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、所定以上の主操舵トルクを前記主操舵トルク検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項4】 車輌の前後方向の加速度を検出する加速度検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、所定以上の前後方向加速度を前記加速度検出手段が検出すると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項5】 車輌に対する制動操作の有無を検出する制動検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、制動操作が検出されると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【請求項6】 自動操舵に必要な情報を検出するセンサの故障の有無を検出するセンサ異常検出手段を備え、前記拘束力制御手段は、少なくとも1つのセンサの故障が検出されると、自動操舵を自動的に解除する、前記請求項1記載の車輌の自動操舵制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【公開番号】特開平5−170118
【公開日】平成5年(1993)7月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−341648
【出願日】平成3年(1991)12月25日
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【公開日】平成5年(1993)7月9日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)12月25日
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
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