説明

車輌用の故障診断装置

【課題】イモビライザシステムを備える農業機械や建設機械などのように小規模の故障診断システムを有する車輌に適する故障診断装置を提供する。
【解決手段】電子キー41である駆動用キー41A、登録用キー41B、診断用キー41Cは、それぞれキー毎に固有のIDコードと、キーの種類を識別する識別コードとを含むコード信号の出力可能な電子キーであり、車体側には、駆動用キー41Aの使用でエンジン始動モードに、登録用キー41Bの使用で登録コードに、診断用キー41Cの使用で故障診断モードに各々移行させるCPU33及び故障検出情報を書き込み又は読み出すEEPROM35を有するイモビライザECU26を備え、さらに、EEPROM35から読み出した故障検出情報にしたがって発音動作させるホーン32を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、イモビライザシステムを備えた車輌において、駆動用キーとしての電子キーの他に、故障診断専用キーを電子キーとして設けたことを特徴とする故障診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御システムが取り入れられている今日の自動車等の車輌は、車輌の正常、異常を自己が診断する故障診断装置を備えたものが多い。
図10は、車輌ボデーに備えられた従来の故障診断装置の一例を示す概略図である。
図示するように、オーディオ、エアコン、ナビゲータなど各種ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)11a〜11eが通信バスライン12に接続され、各種のECUの状態診断データが多重通信方式で通信バスライン12に送られるようになっている。
【0003】
そして、通信バスライン12がインパネ(インストルメントパネル)部13のインパネECU14に接続されており、このインパネECU14が通信バスライン12から送られる各種ECUの診断データにしたがってディスプレイユニット15を表示させる。
すなわち、ECUが故障若しくは各種スイッチ、センサー、ランプバルブ、車輌制御系コントローラなどの異常を診断し、異常診断データがインパネECUに送られることにより、ディスプレイユニット15が表示動作して警告を発生する。
【0004】
ディスプレイユニット15の表示によって車輌の異常が判明したときは、テスター16を用いて故障箇所、故障状態などが解析される。
また、テスター16は、車輌毎の車輌情報を設定するため、ICカードやROMを交換して使用するようになっている。
なお、イモビライザシステムを有する車輌の場合、テスター16は、故障診断を行う他、キー登録を行うための登録開始/終了を車輌に伝える機能を有している。
【0005】
さらに、イモビライザシステムを備える車輌では、トランスポンダを有する電子キーに故障診断情報を記憶保持させる故障診断装置がある。
この故障診断装置は、車輌の故障が判明したときは、故障診断情報を記憶保持させた電子キーをデーラーに貸し渡し異常の詳細な検査をうける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3350808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来の故障診断装置は、車輌専用のテスターを使用して行っていたために、故障診断箇所の少ない故障診断システムと故障診断箇所の多い故障診断システムとに係わらず同じ通信機能を持たせたネットワークを構成し、故障情報をテスターに伝達する必要があった。
例えば、農作機械や建設機械などには、故障診断箇所の少ない故障診断システムを備えているが、テスターと連結する通信機能のネットワーク構成は、故障診断箇所の多い一般の自動車と同じ通信機能を持たせたネットワーク構成とする必要があった。
【0008】
この結果、小規模な簡易な故障診断システムを備える車輌であっても大規模の故障診断システムと同等の通信機能を備えなければならないと言う問題があった。
そこで、本発明では、イモビライザシステムを備える車輌において、故障診断システムの規模に関係なく簡単に装備することができる故障診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明では、第1の発明として、電子キーから送信されるIDコードと記憶しているIDコードとを比較し、所定の比較結果であるとき被制御部材の動作を許可する制御部を有するイモビライザシステムを備えた車輌において、前記電子キーとして、前記被制御部材を動作させるための駆動用キーと、前記制御部に備えた車輌の故障診断手段を動作させるための診断用キーとの少なくとも2つの電子キーを設けたことを特徴とする故障診断装置を提案する。
【0010】
第2の発明としては、上記した第1の発明の故障診断装置において、前記駆動用キーと前記診断用キーは、それぞれキー毎に固有のIDコードと、キーの種類を識別する識別コードとを含むコード信号の出力可能な電子キーであり、前記制御部は、前記電子キーのコード信号と同じコード信号を記憶する記憶手段と、電子キーから受信したコード信号に含まれたIDコードと前記記憶手段に記憶されたコード信号に含まれたIDコードとを比較する比較手段と、電子キーから受信したコード信号に含まれた識別コードから電子キーの種別を識別する識別手段と、車輌の故障診断を行う故障診断手段とを備えたことを特徴とする故障診断装置を提案する。
【0011】
第3の発明としては、上記した第2の発明の故障診断装置において、前記制御部は、前記識別手段が駆動用キーであると識別したときは、受信したコード信号に含まれるIDコードと前記記憶手段に記憶されたIDコードとを比較し、所定の比較結果に応じて被制御部材を動作させ、前記識別手段が診断用キーであると識別したときは、前記故障診断手段を動作させることを特徴とする故障診断装置を提案する。
【0012】
第4の発明としては、上記した第1〜第3の発明のいずれかの故障診断装置において、前記制御部には、故障箇所に対応させ予め定めた複数の故障データを記憶させた記憶手段を設け、前記制御部が故障診断手段の診断結果に応じて前記記憶手段から故障データを読み出し、その故障データ信号によって報知手段を動作させることを特徴とする故障診断装置を提案する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、駆動用キーとは別に診断用キーを設けたので、この診断用キーを使って制御部の故障診断手段を動作させ、故障診断することができるので、外部接続するテスターなどを必要としない。
したがって、農作業機や建設機械などのように、診断箇所の少ない故障診断システムを備える車輌については、システムの簡素化が可能になる。
【0014】
第2の発明によれば、駆動用キーと診断用キーが、IDコードと、キーの種類を識別する識別コードとを含むコード信号を出力する電子キーとなっており、電子キーから送られるコード信号から、駆動用キーか診断用キーかを識別手段によって識別する。
そして、第3の発明のように、駆動用キーが識別されると、IDコードが比較され、所定の比較結果に応じて被制御部材を動作させ、また、診断用キーが識別されると、故障診断手段が動作される。
【0015】
また、電子キーとして診断用キーが識別されると、IDコードの認証が行われないので、複数の車輌について同じ診断用キーを利用することができる。
したがって、例えば、建設機械などの車輌では、個人所有よりもレンタル会社が複数の車輌を所有していることが多いので、このような複数の車輌を管理する場合には、複数の車輌に共用できる診断用キーが便利となる。
【0016】
第4の発明によれば、故障箇所や故障状態を報知手段の報知によって知ることができる。
すなわち、イモビライザシステムに異常があるときはエンジンを始動することができないため、車輌をデーラーに持ち込むことができないが、診断用キーを用いて故障診断手段を動作すれば、報知手段の報知から故障箇所や故障状態を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の故障診断装置を実施したイモビライザシステムを備えた建設機械である車輌の構成図である。
【図2】上記イモビライザシステムに備えた電子キーの電気回路を示すブロック図である。
【図3】上記した故障診断装置に備えるイモビECUの動作を示したフローチャートである。
【図4】駆動用キーを使用したときの上記故障診断装置の動作モードを示すフローチャートである。
【図5】駆動用キーを使用したときの故障検出動作を示すフローチャートである。
【図6】診断用キーを使用して故障診断したときの上記故障診断装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】故障診断情報の種類に応じて予め定めたホーン駆動信号を示したタイムチャートである。
【図8】故障診断情報の種類に応じて動作するホーンの発音状態を示したタイムチャートである。
【図9】ホーンの盗難警報音を示したタイムチャートである。
【図10】従来例として示した車輌の故障診断装置を示した簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態について図面に沿って説明する。
図1は、故障診断装置を実施したイモビライザシステムを備えた建設機械である車輌の構成図である。
図示するように、車体側のイモビライザシステムは、OFF−ON−START位置のあるキーシリンダ21、送受信アンテナ22を有する送受信器23、イグニションスイツチ(IG−SW)24を設けたステアリングロックボデー25の他に、イモビライザECU26、エンジン始動装置27、エンジン28、バッテリ29を備え、さらに、故障検出センサー30、故障検出スイッチ31、故障を知らせるホーン32等を備えている。
【0019】
また、上記イモビライザECU26は、信号処理するCPU33とRAM34の他に、照合コード(IDコード)や故障診断コードなどの各種コード信号を書き込み又読み出すEEPROM(記憶手段)35、電源回路36から構成してある。
【0020】
さらに、固有のコード(鍵山)を形成したキーブレート42を有する電子キー41が設けてある。
また、この電子キー41は、イモビライザシステムの電子キーとしてあり、図2に示したように、送受信アンテナ43を備えた送受信回路44、コンデンサの蓄電回路を含む電力回路45、信号処理するCPU46、各種のコード信号を書き込み又は読み出すEEPROM(記憶手段)47などからなるトランスポンダ48がキーヘッド49内に設けてある。
【0021】
一方、本実施形態では、上記構成の電子キー41として、図示省略の駆動用キー41A、登録用キー41B、診断用キー41Cの3本のキーが用意してある。
駆動用キー41Aは、エンジンを始動するキーで、ボンネット、燃料タンク、キャブの開閉も行うことができる。
登録用キー41Bは、駆動用キー41Aを車輌に登録するキーで、駆動用キー41Aを紛失した場合や駆動キー41Aを増やす場合に使用する。
なお、この登録用キー41Bでは、エンジンを始動させることができない。
診断用キー41Cは、故障診断を行うキーで、車輌に異常が生じたときに、このキーを使って自己診断し、診断情報をホーンで知らせる。
なお、この診断キー41Cでは、エンジンを始動させることができない。
【0022】
上記のように構成したイモビライザシステムは、電子キー41(駆動用キー41A、登録用キー41B、診断用キー41C)のキーブレード42をキー挿入孔21aに挿入してキーシリンダ21をキー挿入位置であるOFF位置からON位置に回転操作することによって、イグニションスイツチ24がONするから、このON動作にしたがって電源回路36を動作させ、CPU33と送受信器23とに電力を供給する。
したがって、CPU33は送受信器23を起動し、送受信アンテナ22から起動信号(ウェークアップ信号)を電磁波として送信させる。
【0023】
上記の動作で、電子キー41の送受信アンテナ43が上記の起動信号を受信して誘起起電力を発生させるから、この誘起起電力によってコンデンサを充電する電力回路45が電源回路となりトランスポンダ48の各回路部を給電する。
この結果、CPU46がコード信号(IDコードと識別コードを含む)をEEPROM47から読み出し、送受信回路44に送る。
したがって、送受信回路44によって高周波変調されたコード信号が送受信アンテナ43から送信される。
なお、コード信号には、車輌固有のIDコードと電子キー41の種類(駆動用キー41A、登録用キー41B、診断用キー41C)を示す識別コードが含まれている。
【0024】
続いて、電子キー41から送られるコード信号が車体側の送受信アンテナ22によって受信されて送受信器23に送られ、送受信器23で復調されたコード信号がCPU33に送られる。
ここで、CPU33が入力したコード信号に含む識別コードから、キーブレード42をキー挿入孔21aに挿入されている電子キー41が、駆動用キー41Aか、登録用キー41Bか、診断用キー41Cかを判別する。
【0025】
判別結果が駆動用キー41Aである場合は、コード信号に含まれるIDコードとイモビライザECU26のEEPROM35から読み出した照合コードとを比較し、これらコードが一致していれば、駆動用キーの動作モードとなる。
判別結果が登録用キー41Bである場合には、上記同様にコード信号に含まれるIDコードとEEPROM35から読み出した照合コードとを比較し、これらコードが一致していれば、登録用キーの動作モードとなる。
判別結果が診断用キー41Cである場合には、直ちに診断用キーの動作モードとなる。
【0026】
図3は、上記したところのイモビライザECUの動作を示すフローチャートである。
既に述べた通り、イグニションスイッチ24をONさせることで、CPU33と送受信器23が給電されて送受信アンテナ22から起動信号(ウェークアップ信号)が送信される。(ST300、ST301)
電子キー41が起動信号を受信すると、IDコードと識別コードを含むコード信号を送信するので、このコード信号が送受信アンテナ22によって受信されてイモビライザECU26のCPU33に送られ、CPU33がコード信号から電子キー41の種類を識別する。(ST302、ST303、ST304、ST305)
【0027】
CPU33の識別動作において、駆動用キー41Aが識別されると、コード信号に含まれるIDコードとEEPROM35から読み出した照合コードとを比較し、一致していれば駆動用キー41Aの動作モードとなる。(ST306、ST307)
コード比較において一致しないときは、比較ステップST306で動作終了となる。
CPU33の識別動作において、登録用キー41Bが識別されると、コード信号に含まれるIDコードとEEPROM35から読み出した照合コードとを比較し、一致していれば登録用キー41Bの動作モードとなる。(ST308、ST309)
コード比較において一致しないときは、比較ステップST308で動作終了となる。
CPU33の識別動作において、診断用キー41Cが識別されると、コード比較を行うことなく、診断用キー41Cの動作モードとなる。(ST310)
なお、診断用キー41Cが識別された場合、診断用キー41CのIDコードとEEPROM35の照合コードとを比較するようにしてもよいが、ただ、これらコードが一致するか否かは無視して診断用キー41Cの動作モードに進む。
【0028】
図4は、駆動用キーの動作モード(エンジン始動モード)を示したフローチャートである。
図示する如く、駆動用キー41Aをキー挿入孔21aに挿入してキーシリンダ21を回転操作し、イグニションスイッチ24をOFFからONにさせると、図3のフローチャートに示したように、駆動用キー41Aの識別のもとに、コード信号のIDコードと照合コードが比較され、一致する場合に駆動用キー41Aの動作モードとなる。(ST401、ST402)
したがって、駆動用キー41Aを回転操作し、イグニッションスイッチ24をON位置からSTART位置に切り換えれば、CPU33がエンジン始動許可信号をエンジン始動装置27に送り、このエンジン始動装置27の動作でエンジン28が始動する。(ST403、ST404)
【0029】
なお、エンジン始動装置27は、CPU33から出力されたエンジン始動許可信号に応じてエンジン始動を制御するエンジンECUとすることが一般的であるが、簡易なスターターリレーとすることもできる。
簡易なスターターリレーとしては、CPU33がIDコードの一致を照合すると、スターターリレーに電力を供給してリレーをONさせることにより、エンジン28が始動するように構成する。
【0030】
また、駆動用キー41Aの動作モードにおいても、故障検出を行う。(ST405)
すなわち、このステップST405の故障検出は、図5に示すフローチャートの如く、故障検出センサー30や故障検出スイッチ31などを動作させ故障検出し、故障検出情報をEEPROM35に書き込む。(ST501、ST502)
【0031】
登録用キー41Bの動作モード(登録モード)は、電子キー(駆動用キー41A、登録用キー41B、診断用キー41C)41の識別コードが記憶されているEEPROM35の記憶領域に、新たな駆動用キー、または、増設する駆動用キーのIDコードを書き込むことで登録する。
この登録モードにおいても図5の故障検出が行なわれる。
【0032】
図6は、診断用キー41Cの動作モード(故障診断モード)の動作を示すフローチャートである。
図3のフローチャートのステップST305より分かるように、CPU33が診断用キー41Cの使用であることを識別すると、直ちに故障診断の動作モードに移る。
したがって、図5に示す故障検出が行われ、故障検出センサー30や故障検出スイッチ31などの動作により検出された故障検出情報がEEPROM35に書き込まれる。(ST601、ST602)
【0033】
なお、故障検出センサー30や故障検出スイッチ31などで故障検出(故障診断)される部所については、例えば、数十箇所に定めると共に、検出部所の1箇所毎の故障検出情報については、8ビットを1バイトに定めた検出情報としてある。
そして、診断用キー41CのON位置で全ての検出部所の故障検出動作が終わると、EEPROM35から故障検出情報が故障検出別に順次読み出される。(ST603、ST604)
例えば、第1番目の故障検出部所の故障検出情報が1ビットづつ読み出され、そのビットが「1」か「0」かが判断される。(ST605)
読み出されたビットが「0」であるときは、「0」を示すホーン発音となり、ビット「1」が読み出されときは、「1」を示すホーン発音となる。(ST606、ST607)
なお、このホーン発音はCPU33の判断指示にしたがってホーン32を動作させて発音させる。
【0034】
そして、1ビットづつの読み出しを繰り返し、上記同様にホーン発音動作する。
そして、最終ビット(8番目のビット)の読み出しが終わると、第2番目の故障検出部所の故障検出情報が上記同様にして読み出される。(ST608、ST609)
この場合、第2番目の故障部所の故障検出情報を読み出す前に所定の待ち時間をおき、第1番目の故障検出情報のホーン発音と第2番目の故障検出情報のホーン発音とが区別できるようになっている。(ST610、ST611、ST612)
このことは、第3番目、第4番目、第5番目・・・・・の故障検出部所の検出情報を読み出す場合も同様であり、EEPROM35に書き込まれた全ての故障検出情報が読み出され、その故障検出情報に応じてホーン発音される。
【0035】
ホーン32の発音(ホーン発音)について、今少し具体的に述べる。
本実施形態では、図7に示す如く、故障検出情報を周期T=2秒でくり返えされる8ビットのデータとし、EEPROM35から読み出されたビットが「0」であるときは、周期Tの25%のパルスの換算、つまり、0.5秒の間ホーン32を発音動作させ、また、読み出したビットが「1」であるときは、周期Tの75%のパルスに換算、つまり、1.5秒の間ホーン32を発音動作させる構成としてある。
【0036】
図8は、故障検出情報(データ)を示し、図8(A)は、8ビットが「0」の検出データの例を示し、例えば、この検出データが第1番目の故障検出部所に振り分けられた故障検出情報とすれば、このデータによるホーン発音から、第1番目の故障検出部所が故障していることを知ることができる。
また、図8(B)は、読み出されたビットが、「0、0、0、0、0、0、1、1」のデータとなっているので、この検出データが第2番目の故障検出部所に振り分けられておれば、このデータによるホーン発音から、第2番目の故障検出部所が故障していることを知ることができる。
【0037】
その他の故障検出部所についても、検出部所前に変えた1バイトのデータを割り振りし、上記同様にホーン発音させれば、検出部所特有のホーン発音からその故障部所の故障を知ることができる。
なお、全ての故障検出部所に故障がなければ、EEPROM35からの読み出される故障検出情報がないので、ホーン32が非動作となる。
また、故障検出情報がないことを示すパルスデータを発生させてホーン発音させる構成とすることもできる。
【0038】
なお、上記のような故障検出は、例えば、エンジンスターターリレーの故障、送受信アンタナの断線故障、バッテリーの消耗故障など多種多様に定めることができる。
また、電子キー41とは異なるキーを使ってキーシリンダ21を回転し、イグニッションスイッチ24がONされるようなときは、CPU33が車輌の盗難と判断する。
この場合は、イグニッションスイッチ24が異なるキーで3回ONしたとき、CPU33が盗難行為と判断し、図9に示すパルスデータにしたがってホーン32を発音動作させて盗難警報する。
なお、図9において1Hzは2秒である。
さらに、登録用キー41Bが故障した場合も上記同様にCPU33が盗難と判断し、図9に示すパルスデータにしたがってホーン32を発音動作させる。
【0039】
以上、キーシリンダにOFF−ON−START位置のある農業機械や建設機械などの実施形態について説明したが、ACC位置のある自動車についても実施することができ、この場合には、電子キー41によってキーシリンダをACC位置に回転操作し、上記同様に故障検出を行う構成とする。
【0040】
また、故障検出を知らせるホーン32は、視覚的に報知する、例えば、インジ
ケータの点滅で故障を報知するその他の報知手段とすることができる。
さらに、診断用キー41Cは、自己診断モードで故障検出に使用することだけでなく、駆動用キー41Aの動作モード(エンジン始動モード)や登録用キー41Bの動作モード(登録モード)において記憶させた故障検出情報をEEPROM35から読み出し、ホーン32を発音動作せる読出用キーとして使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
イモビライザシステムを備える農業機械や建設機械などのように小規模の故障診断システムを有する車輌の故障診断装置に適する。
【符号の説明】
【0042】
21 キーシリンダ
22 送受信アンテナ
23 送受信器
24 イグニッションスイッチ
25 ステアリングロックボデー
26 イモビライザECU
30 故障検出センサー
31 故障検出スイッチ
32 ホーン
41 電子キー
41A 駆動用キー
41B 登録用キー
41C 診断用キー
48 トランスポンダ






















【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーから送信されるIDコードと記憶しているIDコードとを比較し、所定の比較結果であるとき被制御部材の動作を許可する制御部を有するイモビライザシステムを備えた車輌において、
前記電子キーとして、前記被制御部材を動作させるための駆動用キーと、前記制御部に備えた車輌の故障診断手段を動作させるための診断用キーとの少なくとも2つの電子キーを設けたことを特徴とする故障診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載した故障診断装置において、
前記駆動用キーと前記診断用キーは、それぞれキー毎に固有のIDコードと、キーの種類を識別する識別コードとを含むコード信号の出力可能な電子キーであり、
前記制御部は、前記電子キーのコード信号と同じコード信号を記憶する記憶手段と、
電子キーから受信したコード信号に含まれたIDコードと前記記憶手段に記憶されたコード信号に含まれたIDコードとを比較する比較手段と、
電子キーから受信したコード信号に含まれた識別コードから電子キーの種別を識別する識別手段と、
車輌の故障診断を行う故障診断手段とを備えたことを特徴とする故障診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載した故障診断装置において、
前記制御部は、前記識別手段が駆動用キーであると識別したときは、受信したコード信号に含まれるIDコードと前記記憶手段に記憶されたIDコードとを比較し、所定の比較結果に応じて被制御部材を動作させ、前記識別手段が診断用キーであると識別したときは、前記故障診断手段を動作させることを特徴とする故障診断装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載した故障診断装置において、
前記制御部には、故障箇所に対応させ予め定めた複数の故障データを記憶させた記憶手段を設け、
前記制御部が故障診断手段の診断結果に応じて前記記憶手段から故障データを読み出し、その故障データ信号によって報知手段を動作させることを特徴とする故障診断装置。

























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−117856(P2012−117856A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265960(P2010−265960)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)