説明

車輌用前照灯

【課題】 可動シェードの移動状態の適正化を図る。
【解決手段】 光を出射する光源11と光源から出射された光を反射するリフレクター10と光源から出射された光を投影して照射する投影レンズ9とを設け、光源から出射された光の一部を遮蔽する固定シェード13と、固定シェードに対して移動可能とされ光源から出射された光の一部を遮蔽可能な可動シェード14と、可動シェードを移動させる駆動モーター19と、可動シェードと駆動モーターの間に設けられ可動シェードの移動状態を制御するシェード制御手段として機能する駆動部材20とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用前照灯に関する。詳しくは、可動シェードと駆動モーターの間に可動シェードの移動状態を制御するシェード制御手段を設けて可動シェードの移動状態の適正化を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、例えば、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に、光源を有するランプユニットが配置されたものがある。
【0003】
ランプユニットには、光源から出射された光を前方へ向けて投影する投影レンズと、光源から出射された光を投影レンズ側へ反射するリフレクターとが設けられている。
【0004】
このような車輌用前照灯には、光源から出射された光の一部を遮蔽する固定シェードと、固定シェードに対して移動可能とされ光源から出射された光の一部を遮蔽可能な可動シェードとが設けられたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載された車輌用前照灯にあっては、駆動モーターの駆動力によって固定シェードに対して可動シェードをそれぞれ所定の位置に回動させて光源から出射された光の遮蔽状態を変化させることにより、近距離を照射するロービームモードや遠距離を照射するハイビームモード等の各種の照射モードを形成するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2010−257909号公報
【特許文献2】特開2010−40459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような駆動モーターの駆動力によって可動シェードを移動させる車輌用前照灯にあっては、駆動モーターの駆動力の可動シェードに対する伝達状態によっては、可動シェードの移動状態に支障を来たすおそれがある。
【0008】
例えば、駆動モーターの耐久性の向上を図るために可動シェードの回動角度を駆動モーターの回転角度より小さくしたい場合があり、この場合に減速ギヤを用いて減速比を高めようとすると、ギヤのモジュールを小さくしたりギヤを多段にする必要があるが、ギヤ歯の耐久性が低下して可動シェードの移動状態に支障を来たすおそれがある。
【0009】
一方、可動シェードの移動が所定の位置に設けられたストッパーによって規制されるように構成された車輌用前照灯が存在するが、このような車輌用前照灯において、例えば、駆動モーターの駆動力の伝達状態によって可動シェードの移動速度が速過ぎると、大きな力で可動シェードがストッパーに接触し、やはり可動シェードの移動状態に支障を来たすおそれがある。
【0010】
また、可動シェードの移動速度が速過ぎると、特に、動作の開始時にギヤ歯間に大きな衝撃が付与されたり各部材間で摩耗が発生し易くなり、可動シェードの移動状態が不安定になるおそれもある。
【0011】
そこで、本発明車輌用前照灯は、可動シェードの移動状態の適正化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
車輌用前照灯は、上記した課題を解決するために、光を出射する光源と前記光源から出射された光を反射するリフレクターと前記光源から出射された光を投影して照射する投影レンズとを備え、前記光源から出射された光の一部を遮蔽する固定シェードと、前記固定シェードに対して移動可能とされ前記光源から出射された光の一部を遮蔽可能な可動シェードと、前記可動シェードを移動させる駆動モーターと、前記可動シェードと前記駆動モーターの間に設けられ前記可動シェードの移動状態を制御するシェード制御手段とを設けたものである。
【0013】
従って、車輌用前照灯にあっては、シェード制御手段によって制御された状態で駆動モーターの駆動力が可動シェードに伝達される。
【発明の効果】
【0014】
本発明車輌用前照灯は、光を出射する光源と前記光源から出射された光を反射するリフレクターと前記光源から出射された光を投影して照射する投影レンズとを備えた車輌用前照灯であって、前記光源から出射された光の一部を遮蔽する固定シェードと、前記固定シェードに対して移動可能とされ前記光源から出射された光の一部を遮蔽可能な可動シェードと、前記可動シェードを移動させる駆動モーターと、前記可動シェードと前記駆動モーターの間に設けられ前記可動シェードの移動状態を制御するシェード制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
従って、可動シェードの移動状態がシェード制御手段によって制御されているため、可動シェードの移動状態の適正化を図ることができる。
【0016】
請求項2に記載した発明にあっては、前記シェード制御手段が、前記駆動モーターの出力軸に連結される連結部と前記出力軸の外周側に位置され前記連結部から突出された作用軸とを有する駆動部材によって構成され、前記駆動モーターの駆動力によって前記駆動部材が回転され前記作用軸が前記駆動部材の回転範囲における一部の範囲で前記可動シェードを押圧して前記可動シェードが移動されるようにしている。
【0017】
従って、減速ギヤを用いることなく駆動モーターの回転角度に対して小さな角度で可動シェードを移動させることができ、減速ギヤを用いた場合のようなギヤ歯の耐久性の低下による可動シェードの移動不良と言う不具合を発生することがなく、可動シェードの良好な移動状態を確保することができる。
【0018】
請求項3に記載した発明にあっては、前記可動シェードにウォームホイール部が設けられ、前記シェード制御手段が前記駆動モーターの出力軸に連結されたウォームによって構成されている。
【0019】
従って、ウォームを用いて可動シェードを移動させており、減速ギヤを用いないため、大きな減速比を確保することによりギヤ歯の耐久性の低下による可動シェードの移動不良と言う不具合を発生することがなく、可動シェードの良好な移動状態を確保することができる。
【0020】
請求項4に記載した発明にあっては、前記可動シェードに従動ギヤ部が設けられ、前記シェード制御手段が、伝達ギヤ部を有するフライホイールと、前記駆動モーターの出力軸に連結され前記可動シェードの従動ギヤ部に噛合された第1のギヤ部と前記フライホイールの伝達ギヤ部に噛合された第2のギヤ部とを有する増速ギヤとによって構成されている。
【0021】
従って、フライホイールの動力を伝達して可動シェードを移動させているため、可動シェードの移動速度が低下して可動シェードが低速で移動され、可動シェードの良好な移動状態を確保することができる。
【0022】
請求項5に記載した発明にあっては、前記可動シェードにギヤ部が設けられ、前記シェード制御手段が、前記従動ギヤ部に噛合された駆動ギヤ部を有するケース体と、前記駆動モーターの出力軸に連結され前記駆動モーターの回転に伴って前記ケース体に対して回転される回転駆動体と、一端部が前記ケース体に連結され他端部が前記回転駆動体に連結された渦巻きバネとによって構成されている。
【0023】
従って、可動シェードの移動速度が低下して可動シェードが低速で移動され、可動シェードの良好な移動状態を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明車輌用前照灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0025】
車輌用前照灯1は、車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0026】
車輌用前照灯1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口面を閉塞するカバー3とを備えている。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0027】
ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された取付孔2aが形成されている。ランプハウジング2の後端部には取付孔2aを閉塞するバックカバー6が取り付けられている。
【0028】
灯室5にはランプユニット7が配置されている。ランプユニット7は、図1及び図2に示すように、前端寄りに位置されたレンズホルダー8と、レンズホルダー8に保持された投影レンズ9と、レンズホルダー8の後方に配置されたリフレクター10と、リフレクター10の後端側に配置された光源11と、所定の各部が取り付けられた取付フレーム12とを有している。
【0029】
レンズホルダー8は略円環状の保持部8aと保持部8aからそれぞれ後方へ突出された取付部8b、8b、・・・とから成り、取付部8b、8b、・・・が周方向に離隔して設けられている。
【0030】
投影レンズ9はレンズホルダー8の保持部8aに保持され、光源11から出射された光を投影して外部へ照射する機能を有している。
【0031】
リフレクター10は内面が反射面10aとして形成されている。
【0032】
取付フレーム12は板状の材料が所定の形状に加工されて形成され、上半部に前後に貫通された光透過孔12aを有している。取付フレーム12の光透過孔12aの下側の部分は固定シェード13として設けられている。
【0033】
取付フレーム12の上下方向における中央部の左右両端部にはそれぞれ第1のストッパー12b、12bが設けられ、取付フレーム12の下端部の左右両端部にはそれぞれ第2のストッパー12c、12cが設けられている(図2及び図3参照)。取付フレーム12には第1のストッパー12b、12bと第2のストッパー12c、12cの間の位置にそれぞれ前後に貫通された挿通孔12d、12dが形成されいる。
【0034】
取付フレーム12には固定シェード13に対して回動可能な可動シェード14、14がそれぞれ回動自在に支持されている。可動シェード14、14は光源11から出射された光の一部を遮蔽する遮蔽位置と光源11から出射された光を遮蔽しない非遮蔽位置との間で回動可能とされている。
【0035】
尚、取付フレーム12に支持される可動シェードは一つであってもよい。
【0036】
可動シェード14は略左右方向に延びる遮蔽部15と遮蔽部15の外側の端部から略下方へ突出された被作用部16と遮蔽部15の外側の端部から略側方へ突出された被規制部17とから成り、遮蔽部15と被規制部17の連続部分に回動支点14aが設けられている。
【0037】
被作用部16には外側の側縁が前方へ折り曲げられることにより摺動突条16aが設けられている。被作用部16には摺動突条16aの近傍に前後に貫通された挿入配置孔16bが形成されている。
【0038】
取付フレーム12の後面における左右両端部にはシェード駆動機構18、18が取り付けられている。シェード駆動機構18は駆動モーター19と駆動モーター19の出力軸19aに連結された駆動部材20と駆動部材20を所定の方向へ付勢する戻しバネ21とを有している(図4参照)。
【0039】
駆動モーター19はモーターケース22とモーターケース22の内部に配置された図示しないモーター本体とを有し、出力軸19aがモーターケース22から前方へ突出されている。モーターケース22の前面部にはバネ掛け孔22aが形成されている。
【0040】
駆動部材20は可動シェード14と駆動モーター19の間に設けられ可動シェード14の移動状態(回動状態)を制御するシェード制御手段として機能する。
【0041】
駆動部材20は前後方向を向くベース部23とベース部23の中央部から後方へ突出された連結部24とベース部23から前方へ突出された作用軸25、25とから成る。ベース部23には側方へ突出されたバネ掛け片23aが設けられている。作用軸25、25は丸軸状に形成され、ベース部23の中心部より外周側において周方向に離隔して設けられている。
【0042】
駆動部材20は連結部24が出力軸19aに連結され、駆動モーター19の回転に伴って回転される。
【0043】
戻しバネ21は、例えば、コイルバネであり、一端部がモーターケース22のバネ掛け孔22aに挿入されて係合され、他端部がベース部23のバネ掛け片23aに係合されている。
【0044】
駆動部材20は戻しバネ21によって駆動モーター19の回転に伴って回転される方向と反対方向へ付勢されている。
【0045】
シェード駆動機構18が取付フレーム12の後面に取り付けられた状態においては、駆動部材20が取付フレーム12の挿通孔12dを挿通され、作用軸25、25が可動シェード14の摺動突条16aを挟んで反対側に位置される(図2及び図3参照)。一方の作用軸25は挿入配置孔16bに挿入される。
【0046】
駆動モーター19に通電が行われていない状態においては、戻しバネ21、21の付勢力によって可動シェード14、14の被規制部17、17がそれぞれ取付フレーム12の第1のストッパー12b、12bに押し付けられて接触されている(図3参照)。このとき可動シェード14、14は遮蔽位置にあり、遮蔽部15、15が水平方向に延びる状態とされ、光透過孔12aの下端部が遮蔽部15、15によって閉塞されている。駆動部材20は他方の作用軸25が摺動突条16aに接触されている。
【0047】
可動シェード14、14がともに遮蔽位置にある状態においては、ロービームの照射モードが形成される。
【0048】
可動シェード14が遮蔽位置にある状態において駆動モーター19に通電が行われて駆動モーター19が回転されると、戻しバネ21の付勢力に反して駆動モーター19の回転に伴って駆動部材20が回転される。
【0049】
駆動部材20の一定の回転範囲においては作用軸25、25が摺動突条16aに接触されない(図5参照)。駆動部材20が所定の角度回転されると、一方の作用軸25が摺動突条16aに接触され(図6参照)、引き続き駆動部材20が回転されることにより一方の作用軸25によって摺動突条16aが押圧されて可動シェード14が非遮蔽位置へ向けて回動される(図7参照)。このとき一方の作用軸25は摺動突条16aに摺動される。
【0050】
尚、車輌用前照灯1にあっては、可動シェード14の遮蔽位置から非遮蔽位置までの回動角度が、例えば、10°〜30°程度にされ、このときの駆動モーター19の回転角度が、例えば、約120°にされている。
【0051】
非遮蔽位置へ向けて回動された可動シェード14は被作用部16が取付フレーム12の第2のストッパー12cに接触されることにより回動を規制され、非遮蔽位置に至る。可動シェード14の非遮蔽位置への保持は、駆動モーター19に通電が継続されることにより行われる。
【0052】
可動シェード14が非遮蔽位置にある状態において駆動モーター19への通電が停止されると、駆動部材20が戻しバネ21の付勢力によって先程とは反対方向へ回転され、他方の作用軸25によって駆動部材20の一定の回転範囲で摺動突条16aが押圧され可動シェード14が遮蔽位置へ向けて回動される。可動シェード14は被規制部17が取付フレーム12の第1のストッパー12bに接触されることにより回動が規制され、遮蔽位置に保持される。
【0053】
車輌用前照灯1においては、一方の可動シェード14が遮蔽位置に保持され他方の可動シェード14が非遮蔽位置に保持された状態(図8及び図9参照)において、配光パターンの左半分又は右半分がハイビームの配光パターンとされる片側ハイビームの照射モードが形成される。また、両方の可動シェード14、14が非遮蔽位置に保持された状態(図10参照)において、ハイビームの照射モードが形成される。
【0054】
上記したように、シェード駆動機構18、18が設けられた車輌用前照灯1においては、駆動モーター19の駆動力によって駆動部材20が回転され作用軸25、25が駆動部材20の回転範囲、即ち、駆動モーター19の回転範囲における一部の範囲で可動シェード14の摺動突条16aを押圧して可動シェード14が回動される。
【0055】
従って、減速ギヤを用いることなく駆動モーター19の回転角度に対して小さな角度で可動シェード14を回動させることができ、減速ギヤを用いた場合のようなギヤ歯の耐久性の低下による可動シェードの移動不良と言う不具合を発生することがなく、可動シェード14の良好な移動状態を確保することができる。
【0056】
また、駆動モーター19の回転角度が可動シェード14の回動角度に対して大きくされるため、駆動モーター19の回転角度が小さい場合のようなブラシの摩耗粉による回転不良を防止することができ、駆動モーター19の耐久性の向上を図ることができる。
【0057】
以下に、シェード駆動機構の各変形例について説明する(図11乃至図18参照)。尚、上記したシェード駆動機構18に代えて以下の各変形例に係るシェード駆動機構を用いた場合には、車輌用前照灯1の構成においてシェード駆動機構の他に、主に、可動シェードの構成及び駆動モーターの構成が異なることのみが相違する。従って、以下の各変形例に係る説明においては、シェード駆動機構と可動シェードの構成等の異なる構成についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については上記の説明で付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
先ず、第1の変形例に係るシェード駆動機構18Aについて説明する(図11参照)。
【0059】
第1の変形例に係るシェード駆動機構18Aを用いた場合には、可動シェード14Aが用いられる。
【0060】
可動シェード14Aは略左右方向に延びる遮蔽部15と遮蔽部15の外側の端部から略側方へ突出された被作用部16Aと遮蔽部15の外側の端部から略下方へ突出された被規制部17Aとから成り、遮蔽部15と被作用部16Aの連続部分に回動支点14aが設けられている。
【0061】
被作用部16Aの外側の端部にはウォームホイール部16cが形成されている。
【0062】
取付フレーム12の後面における左右両端部にはシェード駆動機構18A、18Aが取り付けられている。シェード駆動機構18Aは駆動モーター19Aと駆動モーター19Aの出力軸19aに連結されたウォーム26とウォーム26の上端部に支持された戻しバネ21とを有している。
【0063】
駆動モーター19Aはモーターケース22Aとモーターケース22Aの内部に配置された図示しないモーター本体とを有し、出力軸19aがモーターケース22Aから上方へ突出されている。モーターケース22Aの上面には上方へ突出されたストッパーピン22bが設けられている。
【0064】
ウォーム26は可動シェード14Aと駆動モーター19Aの間に設けられ可動シェード14Aの移動状態(回動状態)を制御するシェード制御手段として機能する。
【0065】
ウォーム26の下端部には側方へ突出された被ストッパー突部26aが設けられている。ウォーム26は出力軸19aに連結され、駆動モーター19Aの回転に伴って回転される。
【0066】
戻しバネ21は一端部が取付フレーム12の図示しないバネ掛け部に係合され、他端部がウォーム26に設けられた図示しないバネ掛け突部に係合されている。ウォーム26は戻しバネ21によって駆動モーター19Aの回転に伴って回転される方向と反対方向へ付勢されている。ウォーム26は可動シェード14Aのウォームホイール部16cに噛合されている。
【0067】
駆動モーター19Aに通電が行われていない状態においては、ウォーム26を介して可動シェード14Aに伝達された戻しバネ21の付勢力によって被規制部17Aが取付フレーム12の第1のストッパー12bに押し付けられて接触されている。このとき可動シェード14Aは遮蔽位置にあり、遮蔽部15が水平方向に延びる状態とされ、光透過孔12aの下端部が遮蔽部15によって閉塞されている。
【0068】
尚、シェード駆動機構18Aが用いられた場合には取付フレーム12に第2のストッパー12cが設けられていない。
【0069】
可動シェード14Aが遮蔽位置にある状態において駆動モーター19Aに通電が行われて駆動モーター19Aが回転されると、戻しバネ21の付勢力に反して駆動モーター19Aの回転に伴ってウォーム26が回転される。
【0070】
ウォーム26が回転されるとウォームホイール部16cが送られて可動シェード14Aが非遮蔽位置へ向けて回動される。このときウォーム26とウォームホイール部16cのギヤ比は、例えば、30倍程度にされており、可動シェード14Aはウォーム26の回転に対して大きく減速されて回動される。
【0071】
非遮蔽位置へ向けて回動された可動シェード14Aはウォーム26の被ストッパー突部26aがモーターケース22Aに設けられたストッパーピン22bに接触されることにより回動を規制され、非遮蔽位置に至る。可動シェード14Aの非遮蔽位置への保持は、駆動モーター19Aに通電が継続されることにより行われる。
【0072】
可動シェード14Aが非遮蔽位置にある状態において駆動モーター19Aへの通電が停止されると、ウォーム26が戻しバネ21の付勢力によって先程とは反対方向へ回転され、可動シェード14Aが遮蔽位置へ向けて回動される。可動シェード14Aは被規制部17Aが取付フレーム12の第1のストッパー12bに接触されることにより回動が規制され、遮蔽位置に保持される。
【0073】
尚、シェード駆動機構18Aにあっては、ストッパーピン22bと被ストッパー突部26aを設けてウォーム26の回転を規制して可動シェード14Aを遮蔽位置から非遮蔽位置まで回動させるようにしている。
【0074】
従って、駆動モーター19Aの回転時において可動シェード14Aの回動を可動シェード14Aの一部をストッパーに接触させて規制する場合に比し、ウォーム26のウォームホイール部16cへのギヤ歯の食い込みが発生し難く、ウォーム26及び可動シェード14Aの円滑な動作状態を確保することができる。
【0075】
上記したように、シェード駆動機構18Aが設けられた車輌用前照灯1においては、ウォーム26を用いて可動シェード14Aを回動させており、減速ギヤを用いないため、大きな減速比を確保することによりギヤ歯の耐久性の低下による可動シェードの移動不良と言う不具合を発生することがなく、可動シェード14Aの良好な移動状態を確保することができる。
【0076】
また、ウォーム26を用いて可動シェード14Aを回動させているため、小型化を図ることができる。
【0077】
次に、第2の変形例に係るシェード駆動機構18Bについて説明する(図12参照)。
【0078】
第2の変形例に係るシェード駆動機構18Bが用いられた場合には、可動シェード14Bが用いられる。
【0079】
可動シェード14Bは略左右方向に延びる遮蔽部15と遮蔽部15の外側の端部から略下方へ突出された被作用部16Bとから成り、遮蔽部15と被作用部16Bの連続部分に回動支点14aが設けられている。可動シェード14Bの遮蔽部15には被作用部16B寄りの位置にバネ掛け突部15aが設けられている。
【0080】
被作用部16Bの外側の端部には従動ギヤ部16dが形成されている。
【0081】
また、シェード駆動機構18Bを用いた場合の取付フレーム12には、下側にそれぞれ第1のストッパー12b、12bが設けられ上側にそれぞれ第2のストッパー12c、12cが設けられている。取付フレーム12には第2のストッパー12c、12cの近傍にそれぞれバネ支持片12e、12eが設けられている。
【0082】
取付フレーム12の後面における左右両端部にはシェード駆動機構18B、18Bが取り付けられている。シェード駆動機構18Bは駆動モーター19Bと駆動モーター19Bの出力軸19aに連結された増速ギヤ27と増速ギヤ27に噛合されたフライホイール28と可動シェード14Bの回動支点14aに支持された戻しバネ21とを有している。
【0083】
駆動モーター19Bはモーターケース22Bとモーターケース22Bの内部に配置された図示しないモーター本体とを有し、出力軸19aがモーターケース22Bから前方へ突出されている。
【0084】
増速ギヤ27とフライホイール28は可動シェード14Bと駆動モーター19Bの間に設けられ可動シェード14Bの移動状態(回動状態)を制御するシェード制御手段として機能する。
【0085】
増速ギヤ27は後側に位置する第1のギヤ部27aと前側に位置し第1のギヤ部27aより大径の第2のギヤ部27bとが同軸上に設けられて成る。
【0086】
フライホイール28は前側に位置する重量部29と後側に位置する伝達ギヤ部30とが同軸上に設けられて成り、支持軸31を介して取付フレーム12に回転自在に支持されている。フライホイール28の伝達ギヤ部30の径は増速ギヤ27の第2のギヤ部27bの径より小さくされている。フライホイール28は伝達ギヤ部30が増速ギヤ27の第2のギヤ部27bに噛合されている。
【0087】
増速ギヤ27は出力軸19aに連結され、増速ギヤ27とフライホイール28が駆動モーター19Bの回転に伴って回転される。
【0088】
戻しバネ21は一端部が取付フレーム12のバネ支持片12eに係合され、他端部が可動シェード14Bに設けられたバネ掛け突部15aに係合されている。
【0089】
可動シェード14Bは戻しバネ21によって駆動モーター19Bの回転に伴って回動される方向と反対方向へ付勢されている。
【0090】
駆動モーター19Bに通電が行われていない状態においては、戻しバネ21の付勢力によって可動シェード14Bの被作用部16Bが取付フレーム12の第1のストッパー12bに押し付けられて接触されている。このとき可動シェード14Bは遮蔽位置にあり、遮蔽部15が水平方向に延びる状態とされ、光透過孔12aの下端部が遮蔽部15によって閉塞されている。
【0091】
可動シェード14Bが遮蔽位置にある状態において駆動モーター19Bに通電が行われて駆動モーター19Bが回転されると、戻しバネ21の付勢力に反して駆動モーター19Bの回転に伴って増速ギヤ27及びフライホイール28が回転される。
【0092】
増速ギヤ27が回転されると従動ギヤ部16dが送られて可動シェード14Bが非遮蔽位置へ向けて回動される。このとき増速ギヤ27の第1のギヤ部27aと可動シェード14Bの従動ギヤ部16dとのギヤ比は、例えば、7倍〜10倍程度にされており、可動シェード14Bは駆動モーター19Bの回転に対して大きく減速されて回動される。
【0093】
また、増速ギヤ27にはフライホイール28の伝達ギヤ部30が噛合されているため、可動シェード14Bはフライホイール28の動力によって緩徐な速度で回動される。
【0094】
非遮蔽位置へ向けて回動された可動シェード14Bは被作用部16Bが取付フレーム12の第2のストッパー12cに接触されることにより回動を規制され、非遮蔽位置に至る。可動シェード14Bの非遮蔽位置への保持は、駆動モーター19Bに通電が継続されることにより行われる。
【0095】
可動シェード14Bが非遮蔽位置にある状態において駆動モーター19Bへの通電が停止されると、増速ギヤ27及びフライホイール28が戻しバネ21の付勢力によって先程とは反対方向へ回転されると共に可動シェード14Bが戻しバネ21の付勢力によって先程とは反対方向へ遮蔽位置へ向けて回動される。可動シェード14Bは被作用部16Bが取付フレーム12の第1のストッパー12bに接触されることにより回動が規制され、遮蔽位置に保持される。このときも増速ギヤ27にはフライホイール28の伝達ギヤ部30が噛合されているため、可動シェード14Bはフライホイール28の動力によって緩徐な速度で回動される。
【0096】
上記したように、シェード駆動機構18Bが設けられた車輌用前照灯1においては、フライホイール28の動力を伝達して可動シェード14Bを回動させているため、可動シェード14Bの移動速度(回動速度)が低下して可動シェード14Bの第1のストッパー12b及び第2のストッパー12cとの接触時の衝撃が緩和され、可動シェード14Bの良好な移動状態を確保することができる。
【0097】
また、可動シェード14Bの移動速度が低下されているため、各部材のギヤ歯間に大きな衝撃が付与されることがないと共に各部材間で摩耗が発生し難く、可動シェード14Bの移動状態の安定化を図ることができる。
【0098】
さらに、可動シェード14Bの移動速度が低下されているため、照射モードの切替が瞬時に行われることがなく、運転者に対する違和感の発生を防止することができる。
【0099】
尚、上記のようなフライホイール28を用いた場合には、フライホイール28の動力(エネルギー)の大きさによっては遮蔽位置から非遮蔽位置まで回動されたときの可動シェード14Bの第2のストッパー12cとの接触時の衝撃の緩和が不十分になる可能性がある。
【0100】
そこで、可動シェード14Bの第2のストッパー12cとの接触時の衝撃を一層緩和するために、フライホイール28に代えて以下のようなフライホイール28Bを用いることも可能である(図13乃至図16参照)。
【0101】
フライホイール28Bは重量部29Bが支持軸31を介して伝達ギヤ部30Bに回転自在に支持されて成る(図13参照)。
【0102】
重量部29Bの後面には後方へ突出された被作用突部29a、29aが設けられ、被作用突部29a、29aは重量部29Bの中心軸を基準とした同一半径上において180°反対側に位置されている。重量部29Bの後面には被作用突部29a、29aより外周側に後方へ突出されたバネ係合軸部29bが設けられている。
【0103】
伝達ギヤ部30Bはギヤ体32とギヤ体32から前方へ突出された作用体33とが一体に形成されて成る。作用体33はギヤ体32の中心部から前方へ突出された中心軸部33aと中心軸部33aから側方において互いに反対側へ突出された一対の作用部33b、33bとから成る。作用体33には一方の作用部33bから側方へ突出されたバネ掛け軸部33cが設けられている。
【0104】
伝達ギヤ部30Bに重量部29Bが支持された状態において、両者の間には捩じりコイルバネ34が支持されている。捩じりコイルバネ34はコイル部34aが作用体33に外嵌状に支持され、一端部34bが重量部29Bのバネ係合軸部29bに係合され、他端部34cが伝達ギヤ部30Bのバネ掛け軸部33cに係合されている。
【0105】
従って、重量部29Bは捩じりコイルバネ34によって伝達ギヤ部30Bに対して駆動モーター19Bの回転に伴って回動される方向と反対方向へ付勢されている。
【0106】
可動シェード14Bが遮蔽位置にある状態において駆動モーター19Bに通電が行われて駆動モーター19Bが回転されると、可動シェード14Bは増速ギヤ27及びフライホイール28Bの回転に伴って非遮蔽位置まで回動される。
【0107】
可動シェード14Bが遮蔽位置から非遮蔽位置まで回動されるときには、フライホイール28Bは重量部29Bの被作用突部29a、29aがそれぞれ伝達ギヤ部30Bの作用部33b、33bに接した状態とされ、被作用突部29a、29aがそれぞれ作用部33b、33bに押圧されて重量部29Bと伝達ギヤ部30Bが後方から見て時計回り方向へ一体になって回転される(図14参照)。
【0108】
可動シェード14Bが非遮蔽位置に至ると、伝達ギヤ部30Bは可動シェード14Bの回動の停止に伴って回転が停止されるが、重量部29Bは伝達ギヤ部30に対して回転可能とされているため、慣性により引き続き時計回り方向へ回転される(図15参照)。伝達ギヤ部30Bの回転が停止され重量部29Bの回転が引き続き行われると、重量部29Bの回転に伴って捩じりコイルバネ34による重量部29Bに対する反時計回り方向への付勢力が次第に大きくなっていく。従って、重量部29Bは回転量が増加するに従って捩じりコイルバネ34の付勢力によって回転速度が低下していく。
【0109】
さらに重量部29Bが回転されて被作用突部29a、29aがそれぞれ伝達ギヤ部30Bの作用部33b、33bに接すると、重量部29Bの回転が停止される(図16参照)。このとき重量部29Bの回転速度が捩じりコイルバネ34の付勢力によって大きく低下されており、被作用突部29a、29aの作用部33b、33bに対する接触時の衝撃が小さくされている。
【0110】
このようにフライホイール28Bが用いられた場合には、可動シェード14Bが遮蔽位置から非遮蔽位置まで回動されたときにフライホイール28Bが引き続き回転され回転速度が次第に低下されるため、可動シェード14Bが第2のストッパー12cに接触されて非遮蔽位置に回動された状態における衝撃を十分に緩和することができる。
【0111】
可動シェード14Bが非遮蔽位置にある状態において駆動モーター19Bへの通電が停止されると、増速ギヤ27及びフライホイール28Bが戻しバネ21の付勢力によって先程とは反対方向へ回転されると共に可動シェード14Bが戻しバネ21の付勢力によって先程とは反対方向へ遮蔽位置へ向けて回動される。このとき被作用突部29a、29aがそれぞれ作用部33b、33bに押圧されて重量部29Bと伝達ギヤ部30Bが後方から見て反時計回り方向へ一体になって回転される。
【0112】
次に、第3の変形例に係るシェード駆動機構18Cについて説明する(図17及び図18参照)。
【0113】
第3の変形例に係るシェード駆動機構18Cが用いられた場合には、可動シェード14Cが用いられる。
【0114】
可動シェード14Cは略左右方向に延びる遮蔽部15と遮蔽部15の外側の端部から略下方へ突出された被作用部16Cとから成り、遮蔽部15と被作用部16Cの連続部分に回動支点14aが設けられている。
【0115】
被作用部16Cの下端部には従動ギヤ部16eが形成されている。被作用部16Cにはバネ掛け突部16fが設けられている。
【0116】
また、シェード駆動機構18Cを用いた場合の取付フレーム12には、被作用部16Cを挟んで左右に離隔してそれぞれ第1のストッパー12b、12bと第2のストッパー12c、12cが設けられている。取付フレーム12にはバネ支持片12e、12eが設けられている。
【0117】
取付フレーム12の後面における左右両端部にはシェード駆動機構18C、18Cが取り付けられている。シェード駆動機構18Cは駆動モーター19Cと駆動ユニット35と戻しバネ21を有している。
【0118】
駆動モーター19Cはモーターケース22Cとモーターケース22Cの内部に配置された図示しないモーター本体とを有し、出力軸19aがモーターケース22Cから前方へ突出されている。
【0119】
駆動ユニット35は可動シェード14Cの従動ギヤ部16eに噛合されたケース体36とケース体36に回転自在に支持され駆動モーター19Cの出力軸19aに連結された回転駆動体37とケース体36の内部に配置された渦巻きバネ38とから成る。
【0120】
駆動ユニット35は可動シェード14Cと駆動モーター19Cの間に設けられ可動シェード14Cの移動状態(回動状態)を制御するシェード制御手段として機能する。
【0121】
ケース体36は前方に開口されたケース部36aとケース部36aの後面から後方へ突出された駆動ギヤ部36bとから成る。ケース体36は駆動ギヤ部36bが可動シェード14Cの従動ギヤ部16eに噛合されている。
【0122】
回転駆動体37は円板状の連結板部37aと連結板部37aの中心部から前方へ突出された被支持軸部37bとから成り、被支持軸部37bがケース体36に後方から挿通されてケース体36に回転自在に支持されている。被支持軸部37bは前端部がケース体36のケース部36aの内部に位置されている。
【0123】
回転駆動体37は連結板部37aの中心部が駆動モーター19Cの出力軸19aに連結されている。
【0124】
渦巻きバネ38は一端部がケース体36のケース部36aの外周部に連結され他端部がケース部36aの内部に位置された回転駆動体37の被支持軸部37bの前端部に連結されている。
【0125】
戻しバネ21は一端部が取付フレーム12のバネ支持片12eに係合され、他端部が可動シェード14Cに設けられたバネ掛け突部16fに係合されている。
【0126】
可動シェード14Cは戻しバネ21によって駆動モーター19Cの回転に伴って回動される方向と反対方向へ付勢されている。
【0127】
駆動モーター19Cに通電が行われていない状態においては、戻しバネ21の付勢力によって可動シェード14Cの被作用部16Cが取付フレーム12の第1のストッパー12bに押し付けられて接触されている。このとき可動シェード14Cは遮蔽位置にあり、遮蔽部15が水平方向に延びる状態とされ、光透過孔12aの下端部が遮蔽部15によって閉塞されている。
【0128】
可動シェード14Cが遮蔽位置にある状態において駆動モーター19Cに通電が行われて駆動モーター19Cが回転されると、戻しバネ21の付勢力に反して駆動モーター19Cの回転に伴って駆動ユニット35の回転駆動体37が回転される。回転駆動体37が回転されると渦巻きバネ38が径が小さくなる方向へ巻き付けられていき、渦巻きバネ38の巻付動作に伴ってケース体36が回転される。
【0129】
ケース体36が回転されると従動ギヤ部16eが送られて可動シェード14Cが非遮蔽位置へ向けて回動される。このときケース体36の駆動ギヤ部37bと可動シェード14Cの従動ギヤ部16eとのギヤ比は、例えば、7倍〜10倍程度にされており、可動シェード14Cは駆動モーター19Cの回転に対して大きく減速されて回動される。
【0130】
また、ケース体36が渦巻きバネ38の巻付動作に伴って回転されるため、ケース体36の回転速度が回転駆動体37の回転速度より低く、可動シェード14Cは緩徐な速度で回動される。
【0131】
非遮蔽位置へ向けて回動された可動シェード14Cは被作用部16Cが取付フレーム12の第2のストッパー12cに接触されることにより回動を規制され、非遮蔽位置に至る。可動シェード14Cの非遮蔽位置への保持は、駆動モーター19Cに通電が継続されることにより行われる。
【0132】
可動シェード14Cが非遮蔽位置にある状態において駆動モーター19Cへの通電が停止されると、ケース体36が戻しバネ21の付勢力によって先程とは反対方向へ回転されると共に可動シェード14Cが戻しバネ21の付勢力によって先程とは反対方向へ遮蔽位置へ向けて回動される。このとき渦巻きバネ38はケース体36の回転動作に伴って巻き戻され、回転駆動体37が渦巻きバネ38の巻戻動作に伴って回転される。
【0133】
可動シェード14Cは被作用部16Cが取付フレーム12の第1のストッパー12bに接触されることにより回動が規制され、遮蔽位置に保持される。
【0134】
上記したように、シェード駆動機構18Cが設けられた車輌用前照灯1においては、ケース体36と回転駆動体37の間に渦巻きバネ38を介在させて可動シェード14Cを回動させているため、可動シェード14Cの移動速度(回動速度)が低下して可動シェード14Cの第2のストッパー12cとの接触時の衝撃が緩和され、可動シェード14Cの良好な移動状態を確保することができる。
【0135】
また、可動シェード14Cの移動速度が低下されているため、各部材のギヤ歯間に大きな衝撃が付与されることがないと共に各部材間で摩耗が発生し難く、可動シェード14Cの移動状態の安定化を図ることができる。
【0136】
さらに、可動シェード14Cの移動速度が低いため、照射モードの切替が瞬時に行われることがなく、運転者に対する違和感の発生を防止することができる。
【0137】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1にあっては、可動シェード14、14A、14B、14Cの移動状態がそれぞれシェード制御手段によって制御されているため、可動シェード14、14A、14B、14Cの移動状態の適正化を図ることができる。
【0138】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】図2乃至図18と共に本発明車輌用前照灯の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の概略縦断面図である。
【図2】ランプユニットの斜視図である。
【図3】可動シェードが遮蔽位置にある状態を示す概略正面図である。
【図4】シェード駆動機構の拡大分解斜視図である。
【図5】図6及び図7と共に駆動部材の動作を示すものであり、本図は、駆動部材の回転時に作用軸が可動シェードの摺動突条に接触されていない状態を示す拡大正面図である。
【図6】駆動部材の回転時に作用軸が可動シェードの摺動突条に接触された状態を示す拡大正面図である。
【図7】駆動部材の回転時に作用軸が可動シェードの摺動突条に接触されて可動シェードが回動された状態を示す拡大正面図である。
【図8】一方の可動シェードが非遮蔽位置まで回動された状態を示す概略正面図である。
【図9】他方の可動シェードが非遮蔽位置まで回動された状態を示す概略正面図である。
【図10】両方の可動シェードが非遮蔽位置まで回動された状態を示す概略正面図である。
【図11】第1の変形例に係るシェード駆動機構と可動シェードを示す概略正面図である。
【図12】第2の変形例に係るシェード駆動機構等を示す概略正面図である。
【図13】図14乃至図16と共に第2の変形例に係るシェード駆動機構において重量部と伝達ギヤ部が分離された構成を示すものであり、本図は、分解斜視図である。
【図14】重量部と伝達ギヤ部が一体になって回転されているときの被作用突部と作用部の関係を示す概略背面図である。
【図15】図14に引き続き重量部が回転され伝達ギヤ部の回転が停止されているときの被作用突部と作用部の関係を示す概略背面図である。
【図16】図15に引き続き重量部の回転が停止されたときの被作用突部と作用部の関係を示す概略背面図である。
【図17】図18と共に第3の変形例に係るシェード駆動機構を示すものであり、本図は、シェード駆動機構と可動シェードを示す概略正面図である。
【図18】シェード駆動機構と可動シェードを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0140】
1…車輌用前照灯、9…投影レンズ、10…リフレクター、11…光源、13…固定シェード、14…可動シェード、19…駆動モーター、19a…出力軸、20…駆動部材(シェード制御手段)、24…連結部、25…作用軸、14A…可動シェード、16c…ウォームホイール部、19A…駆動モーター、26…ウォーム(シェード制御手段)、14B…可動シェード、16d…ギヤ部、27…増速ギヤ(シェード制御手段)、27a…第1のギヤ部、27b…第2のギヤ部、28…フライホイール(シェード制御手段)、28B…フライホイール(シェード制御手段)、14C…可動シェード、16e…ギヤ部、19C…駆動モーター、36…ケース体(シェード制御手段)、36b…駆動ギヤ部、37…回動駆動体(シェード制御手段)、38…渦巻きバネ(シェード制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と前記光源から出射された光を反射するリフレクターと前記光源から出射された光を投影して照射する投影レンズとを備えた車輌用前照灯であって、
前記光源から出射された光の一部を遮蔽する固定シェードと、
前記固定シェードに対して移動可能とされ前記光源から出射された光の一部を遮蔽可能な可動シェードと、
前記可動シェードを移動させる駆動モーターと、
前記可動シェードと前記駆動モーターの間に設けられ前記可動シェードの移動状態を制御するシェード制御手段とを備えた
ことを特徴とする車輌用前照灯。
【請求項2】
前記シェード制御手段が、前記駆動モーターの出力軸に連結される連結部と前記出力軸の外周側に位置され前記連結部から突出された作用軸とを有する駆動部材によって構成され、
前記駆動モーターの駆動力によって前記駆動部材が回転され前記作用軸が前記駆動部材の回転範囲における一部の範囲で前記可動シェードを押圧して前記可動シェードが移動されるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項3】
前記可動シェードにウォームホイール部が設けられ、
前記シェード制御手段が前記駆動モーターの出力軸に連結されたウォームによって構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項4】
前記可動シェードに従動ギヤ部が設けられ、
前記シェード制御手段が、伝達ギヤ部を有するフライホイールと、前記駆動モーターの出力軸に連結され前記可動シェードの従動ギヤ部に噛合された第1のギヤ部と前記フライホイールの伝達ギヤ部に噛合された第2のギヤ部とを有する増速ギヤとによって構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項5】
前記可動シェードにギヤ部が設けられ、
前記シェード制御手段が、前記従動ギヤ部に噛合された駆動ギヤ部を有するケース体と、前記駆動モーターの出力軸に連結され前記駆動モーターの回転に伴って前記ケース体に対して回転される回転駆動体と、一端部が前記ケース体に連結され他端部が前記回転駆動体に連結された渦巻きバネとによって構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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