説明

車輌用放電灯の点灯回路

【目的】 車輌用放電灯の点灯回路について確実な異常検出を行うことで安全性の向上を図る。
【構成】 メタルハライドランプの点灯回路1において、点灯スイッチ5の投入によりバッテリー電圧が直流昇圧回路7での昇圧後に直流−交流変換回路8を介して交流化され、メタルハライドランプ11に印加される。異常検出回路15を設ける。直流−交流変換回路8の出力電圧を検出し、検出レベルの値によりランプのオープン、ショートの状態を判断する。異常検出信号を電源遮断用リレー回路6に送出することによりリレー接点6aを開き直流昇圧回路7への電源供給を遮断する。尚ランプのショート状態はランプの両端子に加わる電圧を各別に監視し、両者の相対比較を行うことによっても判断できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異常状態の検出を確実に行うことによって回路の保護や感電事故の未然防止に関する措置を講じ、放電灯の安全性を高めるようにした新規な車輌用放電灯の点灯回路を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】近時、白熱電球に代わる光源として小型のメタルハライドランプが注目されており、車輌用メタルハライドランプの点灯回路の構成としては、例えば、電源に直流電源を用い、直流入力電圧を昇圧回路によって昇圧した後、直流−交流変換回路によって正弦波又は矩形波状の交流電圧に変換した後メタルハライドランプに印加するようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、放電灯の点灯中に何らかの異常が発生した場合、例えば、放電灯がオープン状態になったり、放電灯が車体とショートしたりといった異常状態下でさらに電力供給を継続すると発火の危険性が高まったり、また、ユーザーが放電灯に高電圧が印加されているのを知らずにランプ交換を行ってしまって、感電事故の危険を誘発したり、放電灯の点灯には安全面で問題がある。
【0004】よって、このような異常状態を検出して安全対策を施すことが必要とされ、例えば、回路の制御状態を常時監視することによって異常状態の発生を検出する方法等が考えられるが、制御回路や給電系回路を構成する半導体スイッチ素子の温度特性の影響により確実な異常検出を行うことが困難であるという問題が残る。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、上記した課題を解決するために、本発明車輌用放電灯の点灯回路の第1のものは、直流電圧を交流電圧に変換して放電灯に供給するための直流−交流変換手段を備えた車輌用放電灯の点灯回路において、放電灯の管電圧又はその相当信号を検出してその検出レベルと所定の基準電圧とを比較し又は検出レベルが所定の基準範囲内にあるか否かを比較することによって放電灯の異常状態を判定する異常検出手段と、異常検出手段から回路の異常状態を示す信号を受けたときに放電灯への電源供給を遮断する電源遮断手段とを設けたものである。
【0006】また、本発明車輌用放電灯の点灯回路の第2のものは、直流電圧を交流電圧に変換して放電灯に供給するための直流−交流変換手段を備えた車輌用放電灯の点灯回路において、放電灯の管電圧又はその相当信号を検出し放電灯の各端子について得られる検出レベル同士を相対的に比較することによって放電灯の異常状態を判定する異常検出手段と、異常検出手段から回路の異常状態を示す信号を受けたときに放電灯への電源供給を遮断する電源遮断手段とを設けたものである。
【0007】
【作用】従って、本発明によれば、放電灯の管電圧又はその相当信号を監視し、その検出レベルを基準電圧と比較したり、放電灯の各端子について得られる検出レベル同士を相対的に比較し、異常状態が検出されたときに放電灯への電源供給を断つようにしているので、放電灯の状態に忠実な異常検出を行うことができ、異常状態の発生を速やかに検出し、しかも半導体スイッチ素子の温度特性によって異常検出の確実性が左右されるといった不都合を解消することができる。
【0008】
【実施例】以下に、本発明車輌用放電灯の点灯回路の詳細を図示した各実施例に従って説明する。尚、図示した実施例は本発明を矩形波点灯方式の点灯回路に適用したもである。
【0009】図1乃至図7は本発明の第1の実施例を示すものである。
【0010】図1は点灯回路1の概要を示しており、バッテリー2が直流電圧入力端子3、3′間に接続される。
【0011】4、4′は直流電源ラインであり、その一方のプラスライン4上には点灯スイッチ5が設けられている。
【0012】プラスライン4上にはリレー接点6aが設けられており、電源遮断用リレー回路6によってその開閉がなされる。つまり、電源遮断用リレー回路6は回路に異常が検出された時に後段の回路へのバッテリー電圧の供給を断つために設けられている。
【0013】7は直流昇圧回路であり、そのプラス側入力端子がリレー接点6aの出力側端子に接続され、他方のグランド側入力端子が直流電圧入力端子3′に接続されている。
【0014】この直流昇圧回路7はバッテリー電圧の昇圧のために設けられており、後述する制御回路によってその昇圧制御が行なわれるようになっている。
【0015】8は直流−交流変換回路であり、上記直流昇圧回路7の後段に設けられ、直流昇圧回路7から送られてくる直流電圧を矩形波交流電圧に変換するための回路である。この直流−交流変換回路8には、例えば、ブリッジ型駆動回路が用いられる。
【0016】9はイグナイタ回路であり、上記直流−交流変換回路8の後段に配置され、その交流出力端子10、10′間には定格電力35Wのメタルハライドランプ11が接続されるようになっている。
【0017】12は直流昇圧回路7の出力電圧を制御するための制御回路であり、直流昇圧回路7の出力端子間に設けられた分圧抵抗13、13′によって検出される直流昇圧回路7の出力電圧に対応した電圧検出信号が入力される。
【0018】また、直流昇圧回路7と直流−交流変換回路8とを結ぶグランドライン上に設けられた電流検出用抵抗14によって、直流昇圧回路7の出力電流に対応した電流検出信号が電圧変換された形で制御回路12に入力されるようになっている。
【0019】そして、制御回路12はこれらの検出信号に応じた制御信号を発生して直流昇圧回路7に送出し、その出力電圧を制御することで、メタルハライドランプ11の起動時の状態に合せた電力制御を行い、ランプの始動時間や再始動時間の短縮化を図ることができるように構成されている。
【0020】15は異常検出回路であり、直流−交流変換回路8の出力電圧を常時監視することによって回路の異常状態を検出し、回路保護や事故防止を図るために設けられている。
【0021】ここで、異常状態としては下記の状況が挙げられる。
【0022】(1)ランプのオープン状態。
【0023】(2)ランプのショート状態。
【0024】(3)ランプが車体にショートしている状態。
【0025】このような状況下においてランプへの電力供給を行い続けると、回路及びその周辺部での発熱による発火の危険を招いたり、感電事故を引き起こす虞れがある。
【0026】そこで、上記の状況が生じたときに迅速かつ確実に異常を検出することができるように、その検出位置を図1にA点で示すように直流−交流変換回路8の出力段(またはこれに等価な信号が得られる位置であれば良い。)に選んでおり、異常検出回路15は上記の異常を検出したときに、電源遮断用リレー回路6に信号を送りバッテリー2から直流昇圧回路7への電源電圧の供給を断つようになっている。
【0027】つまり、異常の判断について直接の目安となるのがランプの管電圧であるが、直流−交流変換回路8の出力する矩形波がイグナイタ回路9のインダクタを介してランプに供給されるため管電圧にほぼ等しい電圧となるため、この矩形波を監視することがランプの状態を把握するのに適しているからである。
【0028】また、異常の検出位置を図1にB点で示すように直流昇圧回路7の出力段とした場合には、半導体スイッチ素子のもつ温度特性によって検出のマ−ジンがとれないために正常状態と異常状態との違いを検出するのに困難を伴い、誤検出の発生を免れえないこともその一要因である。
【0029】ところで、ランプの管電圧は、図2に示すように、点灯の初期において小さく、時間の経過とともに高くなってある電圧で定常値に落ち着く。
【0030】上記した異常状態のうち、(1)の場合には直流−交流変換回路8の出力電圧が最も高くなりA点の電位が直流昇圧回路7の能力の限界まで上昇することになる。
【0031】また、(2)、(3)の異常時には、A点の電位はほぼゼロとなる。
【0032】そこで、管電圧の最小値を「VLmin」とし、管電圧の最大値を「VLmax」としたときに、最小値VLminに対してマージン「ΔMIN」を差し引いた閾値Vmin(=VLmax−ΔMIN)を設定し、また、最大値VLmaxに対してマージン「ΔMAX」を上乗せした閾値Vmax(=VLmax+ΔMAX)を設定し、検出電圧とこれらの閾値とを比較すれば、異常状態かどうかの判断を下すことができる。
【0033】つまり、直流−交流変換回路8の出力電圧を「VL」とするとき、VL≦Vminである場合に(2)、(3)のショート状態と判断し、またVL≧Vmaxである場合に(1)のオープン状態と判断することができる。
【0034】異常検出回路15はこのような場合分けに対応した2つのレベル判定部16、17を有しており、その一方16が管電圧の下限について判定し、他方17が管電圧の上限について判定するようになっている。
【0035】18は点灯/不点灯検出回路であり、管電流を検出してメタルハライドランプ11が点灯したか否かを判断し、その判断結果に応じた検出信号を低電圧リセット回路19に出力するようになっている。
【0036】低電圧リセット回路19は、バッテリー電圧の値が監視するバッテリー電圧検出回路20からの信号を受けてバッテリー電圧が異常に低くなったことを知ると、これ以上ランプの点灯を維持することができないと判断してリレー接点6aを開き、直流昇圧回路7へのバッテリー電圧の供給を一時的に断つようになっている。
【0037】尚、このような動作は、点灯/不点灯検出回路18から送られてくる検出信号を受けて、ランプが点灯していないことを知らされたときにのみ行なわれれるようになっている。
【0038】つまり、低電圧リセット回路19はバッテリー電圧の大きさだけで直流昇圧回路7への給電の許否を決定しているのではなく、ランプの点灯状態を常に監視し、ランプが不点灯状態であることを知った上で、はじめてバッテリー電圧が所定値以下かどうかを判断して給電系へのバッテリー電圧の供給の許否を決定する。
【0039】21は低電圧リセット禁止回路であり、点灯スイッチ5の投入後から所定の期間が経過するまでの間低電圧リセット機能を禁止してランプを強制的に点灯させるために設けられている。
【0040】即ち、低電圧リセット機能は、バッテリー2からの供給電圧がある値以下であってランプの立ち消えが生じた時に点灯の続行が不可能であると判断して、供給電圧が回復するまでの間点灯を中断するものであるが、点灯スイッチ5を投入した直後において供給電圧が所定値以下の場合にはランプが点灯しづらく、よって定常点灯状態に至るまでの過渡期間に点灯と消灯とを繰り返すような状況が起こり得るため、このような状況で低電圧リセット機能を働かせたのでは、点灯の可能性を閉ざすことになりかねない。
【0041】そこで、点灯スイッチ5の投入から所定の期間が経過するまでは、低電圧リセット機能が働かないようにすることで、ランプをできるだけ点灯させるようになっている。
【0042】次に、点灯回路1のうち異常検出回路15の構成例と給電系の要部の構成について詳述する。
【0043】図3(a)は、直流−交流変換回路8の要部を示すものである。
【0044】直流−交流変換回路8はFETを用いたブリッジ型駆動回路22と、FETに対してスイッチング制御信号を送出する駆動制御部23とからなっている。
【0045】図中24、24′は直流電圧入力端子であり、その一方24がプラス側入力端子、他方24′がグランド側入力端子とされており、これらの端子には直流昇圧回路7の出力電圧が入力される。
【0046】ブリッジ型駆動回路22を構成する4つのNチャンネルFET25(i)(但し、i=1、2、3、4)のうち、FET25(1)と25(2)とが直列に接続され、また、FET25(3)と25(4)とが直列に接続されており、このように2段重ねのFETの組みが互いに並列の関係となるように配置されている。
【0047】即ち、高段側のFET25(1)は、そのドレインがプラス側入力端子24に接続され、そのソースが低段側のFET25(2)のドレインに接続されており、FET25(2)のソースがグランド側入力端子24′に接続されている。
【0048】また、これらのFET25(1)、25(2)に対して並列に設けられたFET25(3)、25(4)に関しては、高段のFET25(3)のドレインがプラス側入力端子24に接続され、そのソースが低段のFET25(4)のドレインに接続されており、FET25(4)のソースがグランド側入力端子24′に接続されている。
【0049】尚、FET25(1)、FET25(3)のゲート−ソース間にはツェナーダイオードがそれぞれ介挿されるとともに、これらツェナーダイオードのアノードとFETの各ゲートとの間にコンデンサ及び抵抗が設けられており、該コンデンサと抵抗との間にダイオードを介して所定電圧(+Vcc)が加えられている。
【0050】26、26′は出力端子であり、その一方26がFET25(1)のソースに接続され、他方26′がFET25(3)のソースに接続されている。
【0051】尚、図中のA点が異常検出位置を示している。
【0052】FET25(i)のスイッチング制御については、斜向いに位置するFET同士を一組としてこれらを相反的に制御するように駆動制御部23から各FETに制御信号S1、S2がそれぞれ送られるようになっている。
【0053】つまり、駆動制御部23は、互いに相反関係とされた制御信号がFET又は反転回路を介して各FETに送出するようになっており、FET25(1)とFET25(4)とを組みとし、またFET25(2)とFET25(3)とを組みとしてスイッチング制御を行う。
【0054】即ち、一方の制御信号S1はFET27を介してFET25(1)のゲートに送られるとともに、反転回路28を介してFET25(4)のゲートに送られ、また、他方の制御信号S2はFET29を介してFET25(3)のゲートに送られるとともに、反転回路30を介してFET25(2)のゲートに送られるようになっている。
【0055】図3(b)は、制御信号S1、S2の位相関係を示ものであり、FETの切り替え期間中に全てのFETがオン状態となる期間が生じないように、全FETが同時にオフ状態となるデッドタイムDTがスイッチング制御の切換期間中に含まれている。
【0056】図4は異常検出回路15のレベル判定部16の構成例を示すものである。
【0057】前述したように(2)、(3)の異常状態の検出位置はブリッジ型駆動回路22の出力端子26、つまりA点とされており、該出力電圧を分圧抵抗31、32によって分圧したものが演算増幅器33の反転入力端子の入力される。
【0058】演算増幅器33の非反転入力端子には所定の基準電圧(電圧源E1で示す。)が加えられている。尚、この基準電圧が前述した閾値Vminに対応している。
【0059】演算増幅器33の出力端子はダイオードを介して検出出力端子34に接続されている。
【0060】また、演算増幅器33の出力はオープンコレクタとされており、その出力端子が抵抗35を介してFET29のゲート(図3にa点で示す。)に接続されている。
【0061】つまり、A点での検出信号と同相の信号が得られるa点での信号が選ばれている。
【0062】従って、異常状態が生じたときに、A点での矩形波状電圧が基準電圧E1より小さくなり、検出電圧と同相の矩形波状検出信号が検出出力端子34から得られることになる。
【0063】また、正常状態ではA点での矩形波状電圧が基準電圧E1より大きいため、演算増幅器33の出力とa点での検出信号が反相関係になり検出出力がL(ロー)信号となる。
【0064】尚、このようなレベル判定部16はメタルハライドランプ11の一方の端子におけるショート状態を検出するものであるが、図4と同様の回路構成をもったレベル判定部をもう一つ設けることによってランプの両端についてショート検出を行うようにしても良い。この場合には、矩形波の検出位置を図3に示すように出力端子側のA′点とし、これに同相となるFET27の駆動信号、つまりa′の電位を演算増幅器の出力端子に加えれば良い。
【0065】図5は異常検出回路15のうち前記(1)の異常状態を検出するレベル判定部17の構成例を示すものであり、上記した回路16とは、演算増幅器に入力される信号の符号や基準電圧に相違があるだけで、その他の部分は同様の構成となっている。
【0066】この場合にも、異常状態の検出位置がA点に選ばれており、矩形波状出力電圧を分圧抵抗36、37によって分圧したものが演算増幅器38の非反転入力端子に入力される。
【0067】演算増幅器38の反転入力端子には所定の基準電圧(電圧源E2で示す)が加わっており、この基準電圧が前述した閾値Vmaxに対応している。
【0068】そして、演算増幅器38の出力端子はダイオードを介して検出出力端子39に接続されている。
【0069】また、演算増幅器38の出力はオープンコレクタとされており、その出力端子は抵抗40を介してFET29のゲート、つまり、A点での検出信号と同相の信号が得られるa点に接続されている。
【0070】従って、異常状態が生じたときに、A点での矩形波状電圧が基準電圧E2より大きくなり、検出電圧と同相の矩形波状検出信号が検出出力端子39から得られることになる。
【0071】また、正常状態ではA点での矩形波状電圧が基準電圧E2より小さいため、演算増幅器の出力とa点での検出信号が反相関係になり検出出力はL信号となる。
【0072】以上のようにして検出された各異常信号は、OR(和)出力とされ、最終的に電源遮断用リレー回路6に送られてここで保持され、リレー接点6aを開くための信号として利用される。
【0073】図6は電源遮断用リレー回路6の構成例を示すものである。
【0074】41は電源端子であり、逆電圧防止用ダイオード42を介して点灯スイッチ5の出力側端子に接続されている。
【0075】43はリレーであり、そのコイル43aの一端が電源端子41に接続され、他端はNPNトランジスタ44のコレクタに接続されている。このコイル43aの励磁動作の有無に応じてリレー接点6aの開閉が行なわれる。
【0076】45は信号保持回路であり、その入力端子46に上記した異常検出信号が送られてくるようになっており、入力端子46がHレベルになったときに、この状態が保持されてトランジスタ44がオフ状態となるように構成されている。
【0077】つまり、図示するように入力端子46はエミッタ接地のPNPトランジスタ47のコレクタに接続されており、該コレクタが抵抗48、コンデンサ49を介して接地されるとともに、抵抗48、50を介してNPNトランジスタ51のベースに接続されている。尚、50′はトランジスタ51のベース−コレクタ間に設けられた抵抗である。
【0078】そして、エミッタ接地とされたNPNトランジスタ51のコレタタは、ダイオード52、抵抗53を介して上記したトランジスタ44のベースに接続されるとともに、該コレクタは抵抗54、54′を介してダイオード42のカソードに接続され、抵抗54と54′との間がPNPトランジスタ47のベースに接続されている。
【0079】尚、53′はトランジスタ44のベースエミッタ間に設けられた抵抗である。
【0080】よって、入力端子46にH信号が加わると、トランジスタ51、47がオン状態となるとともにこの状態が保持され、トランジスタ44がオフする。
【0081】従って、リレー43がオフし、直流昇圧回路7への電源電圧の供給が断たれることになる。そして、この状態は点灯スイッチ5を一旦切った後再び投入しない限り継続するようになっている。
【0082】図7はレベル判定部の変形例16Aを示すものである。
【0083】前述したレベル判定部16は、その検出位置をブリッジ型回路の出力であるA点としたが、ここでの矩形波状信号と等価な信号を利用するすることができるならば、検出位置に関する制約は緩やかになる。
【0084】つまり、図3に示した回路では、A点と同相の出力をFETのゲート(図にC点で示す。)から得ることができるので、これを検出して所定の基準電圧と比較することで異常状態(2)、(3)を検出することができる。
【0085】図示するようにC点のゲート電圧を分圧抵抗55、56によって分圧したものが演算増幅器57の反転入力端子の入力され、演算増幅器57の非反転入力端子には所定の基準電圧(閾値Vminに対応する。)が加えられている。
【0086】また、演算増幅器57の出力はオープンコレクタとされており、その出力端子にはFET29のゲート、つまり、C点の検出信号と同相の信号が得られるa点での信号が抵抗58を介して供給される。
【0087】そして、これと対を成すように、ブリッジ型駆動回路22の出力端子上のA′点と同相のFET25(3)のゲート(図にC′点で示す。)電位を検出する回路が設けられており、C′点でのゲート電圧を分圧抵抗59、60によって分圧したものが演算増幅器61の反転入力端子に入力され、演算増幅器61の非反転入力端子には所定の基準電圧(閾値Vminに対応する。)が加えられている。
【0088】また、演算増幅器61の出力はオープンコレクタとされており、その出力端子にはFET27のゲート、つまり、C点の検出信号と同相の信号が得られるa′点での信号が抵抗62を介して供給される。
【0089】これらの演算増幅回路57、61の出力は、ダイオード63、64によりOR出力とされて上記した電源遮断用リレー回路6に送出される。
【0090】上記の回路動作については、前記した回路と同様であり、異常状態(2)、(3)が発生したときに、矩形波状の異常検出信号が電源遮断用リレー回路6に送られて保持され、リレー43がオフ状態となってその接点6aが開かれる。
【0091】図8乃至図11は本発明車輌用放電灯の点灯回路の第2の実施例1Aを示すものである。
【0092】この第2の実施例1Aに示す車輌用放電灯の点灯回路が上記した第1の実施例1に示した車輌用放電灯の点灯回路と相違するところは、第1の実施例では直流−交流変換回路8の出力電圧が所定範囲に入っているか否かを検出することで異常状態の判断を行ったのに対して、第2の実施例では、直流−交流変換回路8の出力端子上のA点、A′点での矩形波状電圧を相対的に比較することによって異常状態の検出を行っている点である。
【0093】よって、この第2の実施例1Aの構成部分に関して前記第1の実施例1の構成部分と同様の働きをもつ部分については第1の実施例で用いた符号と同じ符号を付することによりその説明を省略する。
【0094】図8は点灯回路1Aの構成を示すものであり、バッテリー2からの供給電圧が点灯スイッチ5を介して直流昇圧回路7に送られた後、直流−交流変換回路8によって矩形波状電圧に変換され、イグナイタ回路9のインダクタを介してメタルハライドランプ11に印加される。
【0095】異常検出回路65は、直流−交流変換回路8の出力、つまりA点とA′点の電位を検出して、両者を比較することによって前記した異常状態(3)が生じたかどうかを判断し、結果を電源遮断用リレー回路6に送出するようになっている。
【0096】図9(a)は正常状態におけるA点での検出電圧V(A)と、A′点での検出電圧V(A′)とを示し、図9(b)はランプの片側、例えば、A点側が車体とショートした場合における検出電圧V(A)と、A′点での検出電圧V(A′)とを示すものである。尚、これらの検出電圧波形はグランド(車体)に対する波形を示している。
【0097】図中「VL」は検出電圧V(A)の振幅を示し、また、「VL′」は検出電圧V(A′)の振幅を示しており、正常時には図9(a)に示すようにVL、VL′はランプの管電圧にほぼ等しい値となっているが、ランプの一端がショートした時には図9(b)に示すようにVL<<VL′となる。
【0098】また、図示は省略するがランプの他端側がショートした場合には逆にVL>>VL′となり、それらの波形についてはV(A)とV(A′)とが全く逆の関係になる。
【0099】このように検出点A、A′の振幅についての相対的な比較に基づいて異常状態の発生を検出することができる。
【0100】図10は異常検出回路65の構成例を示すものであり、A点側のショートを検出する回路66とA′点側のショートを検出する回路67とからなり、両者は対称的な構成を有する。
【0101】回路66は検出電圧V(A)についてのサンプルホールド電圧を得て、これと検出電圧V(A′)とのレベル比較を行うことものである。
【0102】即ち、V(A)と同相の信号であるブリッジ型駆動回路22のFET29のゲート電圧(図3のa点)がエミッタ接地とされたNPNトランジスタ68のベースに与えられ、該トランジスタ68のコレクタが抵抗を介してPNPトランジスタ69のベースに接続されている。
【0103】トランジスタ69のベース−エミッタ間には抵抗70が設けられるともに、該抵抗70の反ベース側はコンデンサ71を介して接地されている。
【0104】そして、コンデンサ71の端子電圧はコンパレータを構成する演算増幅器72の反転入力端子に送られるようになっている。
【0105】73はトランジスタ69のエミッタ−コレクタ間に設けられたダイオードであり、そのアノードがトランジスタ69のコレクタに接続され、カソードがトランジスタ69のエミッタに接続されている。
【0106】74、75は分圧抵抗であり、抵抗74の一端にA点の電圧が供給されるようになっており、該抵抗74の他端がトランジスタ69のコレクタに接続されるとともに抵抗75を介して接地されている。
【0107】演算増幅器72の非反転入力端子にはA′点の検出電圧が入力されるようになっており、これとコンデンサ71の端子電圧との比較結果に応じた出力がダイオードを介して検出出力端子76から得られるようになっている。
【0108】図11は回路66の動作を説明するために各部の波形を示すものであり、トランジスタ68への入力信号「CK」、A点での検出電圧「V(A)」、コンデンサ71の端子電圧「VC」の関係を示している。
【0109】信号CKがHレベルの時には、トランジスタ68がオン状態であるため、A点から抵抗74、ダイオード75を介したコンデンサ71への充電、又は、トランジスタ68を通したコンデンサ71の放電がなされるため、コンデンサ71の端子電圧がA点の電位により規定される。
【0110】また、信号CKがLレベルの時には、トランジスタ68がオフ状態となり、コンデンサ71の充放電はなされず、その端子電圧のレベルが保持される。
【0111】よって、コンデンサ71の端子電圧VCは、V(A)をサンプルホールドしたものとなり、このレベルとV(A′)との比較によりVL<<VL′の判定を行ってA点側のショートを検出することができる。
【0112】A′点側のショート検出に係る回路は、検出電圧V(A′)についてのサンプルホールド電圧を得て、これと検出電圧V(A)とのレベル比較を行うことものであり、V(A′)と同相の信号であるブリッジ型駆動回路22のFET27のゲート電圧(図3のa′点)がエミッタ接地とされたNPNトランジスタ77のベースに与えられ、該トランジスタ77のコレクタが抵抗を介してPNPトランジスタ78のベースに接続されている。
【0113】そして、トランジスタ78のベース−エミッタ間には抵抗79が設けられるともに、抵抗79の反ベース側端子はコンデンサ80を介して接地され、該コンデンサ80の端子電圧がコンパレータを構成する演算増幅器81の反転入力端子に送られるようになっている。
【0114】82はトランジスタ78のエミッタ−コレクタ間に設けられたダイオードであり、そのアノードがトランジスタ78のコレクタに接続され、カソードがトランジスタ78のエミッタに接続されている。
【0115】83、84は分圧抵抗であり、抵抗83の一端にA′点の電圧が供給されるようになっており、該抵抗83の他端がトランジスタ78のコレクタに接続されるとともに抵抗84を介して接地されている。
【0116】そして、演算増幅器81の非反転入力端子にはA点の検出電圧が入力され、これとコンデンサ80の端子電圧との比較結果に応じた出力がダイオードを介して検出出力端子76から得られるようになっている。
【0117】従って、回路67によれば、上記の説明から明らかなようにV(A)のサンプルホールド電圧とV(A′)との比較によりVL′<<VLの判定を行ってA′点側のショートを検出することができる。
【0118】こうして得られる異常検出信号は、ダイオードによるOR出力となって電源遮断用リレー回路6に送出され、リレー接点6aをオフするための信号として利用される。
【0119】上記異常検出回路65は、イグナイタ回路9内の誘導性負荷成分によってランプの管電圧が上昇したようなときでも、異常状態と正常状態との区別について検出マージンを広くとることができ、また、ブリッジ型駆動回路22を構成するFETの温度特性の影響を受けないため、正確な異常検出を行うことができる。
【0120】尚、回路66、67についてはサンプルホールド回路とコンパレータの組み合わせであればどのような構成を採用しても良い。また、検出位置をA、A′点に代わってC、C′点とすることができる。
【0121】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなように、本発明によれば、放電灯の管電圧又はその相当信号を監視して、その検出レベルを基準電圧と比較したり、あるいは放電灯の各端子について得られる検出レベル同士を相対的に比較し、異常状態が検出されたときに放電灯への電源供給を断つようにしているので、異常時における発火や感電事故を未然に防止することができ、また、放電灯の状態を直接的に監視することによって異常状態の発生を速やかに検出し、異常検出の確実性を保証することができる。
【0122】尚、前記した実施例は本発明の一実施例にすぎず、この例のみによって本発明の技術的範囲が狭く解釈されてはならない。例えば、前記実施例においては本発明を矩形波点灯方式の点灯回路に適用した例を示したが、これに限らず正弦波点灯方式の点灯回路等に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明車輌用放電灯の点灯回路に係る第1の実施例の概要を示すブロック図である。
【図2】放電灯の管電圧の時間的変化を概略的に示すグラフ図である。
【図3】直流−交流変換回路の構成例を示すものであり、(a)は回路図、(b)はFETへの制御信号を示すタイムチャート図である。
【図4】放電灯のショート状態の検出に係る異常検出回路の構成例を示す回路図である。
【図5】放電灯のオープン状態の検出に係る異常検出回路の構成例を示す回路図である。
【図6】図1の電源遮断用リレー回路の構成例を示す回路図である。
【図7】放電灯のショート状態の検出に係る異常検出回路の変形例を示す回路図である。
【図8】本発明車輌用放電灯の点灯回路に係る第2の実施例の概要を示すブロック図である。
【図9】第2の実施例に係る異常検出について説明するためのタイムチャート図であり、(a)は正常状態を示し、(b)は異常状態を示す。
【図10】第2の実施例に係る異常検出回路の構成例を示す図である。
【図11】図10の異常検出回路の動作を説明するためのタイムチャート図である。
【符号の説明】
1 車輌用放電灯の点灯回路
6 電源遮断手段
8 直流−交流変換手段
11 放電灯
15 異常検出手段
1A 車輌用放電灯の点灯回路
65 異常検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 直流電圧を交流電圧に変換して放電灯に供給するための直流−交流変換手段を備えた車輌用放電灯の点灯回路において、放電灯の管電圧又はその相当信号を検出してその検出レベルと所定の基準電圧とを比較し又は検出レベルが所定の基準範囲内にあるか否かを比較することによって放電灯の異常状態を判定する異常検出手段と、異常検出手段から回路の異常状態を示す信号を受けたときに放電灯への電源供給を遮断する電源遮断手段とを設けたことを特徴とする車輌用放電灯の点灯回路。
【請求項2】 直流電圧を交流電圧に変換して放電灯に供給するための直流−交流変換手段を備えた車輌用放電灯の点灯回路において、放電灯の管電圧又はその相当信号を検出し放電灯の各端子について得られる検出レベル同士を相対的に比較することによって放電灯の異常状態を判定する異常検出手段と、異常検出手段から回路の異常状態を示す信号を受けたときに放電灯への電源供給を遮断する電源遮断手段とを設けたことを特徴とする車輌用放電灯の点灯回路。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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