説明

車輌用放電灯

【課題】 セラミック発光管におけるクラックの発生を防止する。
【解決手段】 セラミック発光管19と、該セラミック発光管に保持された一対の電極24、24と、ガラスによって形成されセラミック発光管を覆う第1の外管20と、ガラスによって形成され第1の外管を覆う第2の外管21とを設け、セラミック発光管と第1の外管の間に第1の空間29を形成し、第1の外管と第2の外管の間に第2の空間32を形成し、第1の空間を真空状態とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用放電灯に関する。詳しくは、セラミック発光管を覆う第1の外管と該第1の外管を覆う第2の外管とを設けてセラミック発光管におけるクラックの発生を防止する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、例えば、光源として白熱電球又はハロゲン電球が用いられたタイプや光源として放電灯(放電バルブ)が用いられたタイプがある。
【0003】
光源として白熱電球やハロゲン電球が用いられた車輌用前照灯にあっては、白熱電球及びハロゲン電球のフィラメントが略均一に発光して棒状の発光部となるため、リフレクター等を用いた反射型の灯具として用いる場合に、リフレクターの反射面の形状による配光制御が行い易いと言う長所がある。
【0004】
一方、光源として放電灯が用いられた車輌用前照灯にあっては、放電灯が白熱電球及びハロゲン電球に比較して光量が大きいため輝度の向上を図ることができ、また、白熱電球及びハロゲン電球に比較して放電灯の寿命が長いと言う長所がある。
【0005】
このように放電灯は白熱電球及びハロゲン電球と比較して輝度が高く寿命が長いため、近年、車輌用前照灯として放電灯を備えたものが普及している。
【0006】
車輌用放電灯としては、一対の電極を保持し内部に希ガス等の気体が封入された発光管がガラスによって形成されたものがあるが、ガラスによって形成された発光管であるガラス発光管は、内部に封入されている金属ハロゲン化物により腐食が進み、黒化や失透現象が生じて適正な配光が得られず、また、腐食が進む分、寿命も短くなってしまうと言う短所がある。
【0007】
そこで、このようなガラス発光管に代えて、セラミックによって形成されたセラミック発光管を備えた車輌用放電灯が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に記載された車輌用放電灯にあっては、セラミック発光管に一対の電極が保持され、該一対の電極にそれぞれリード線が接続されている。一対のリード線はそれぞれセラミック発光管の両端部に接合されて封止され、セラミック発光管の内部に密閉された空間が形成されている。セラミック発光管の内部に形成された密閉空間には、希ガス等の気体と金属ハロゲン化物が封入されている。セラミック発光管はガラスによって形成された外管に覆われており、セラミック発光管と外管の間にも密閉空間が形成されている。
【0009】
このようにして構成された車輌用放電灯は、セラミック発光管が金属ハロゲン化物に対して安定であるため、ガラス発光管を有する車輌用放電灯に比べて寿命が長いという長所がある。
【0010】
【特許文献1】特開2004−103461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、発光管を形成する材料として用いられたセラミックは急激な温度変化に対する強度が低いため、特許文献1に記載された従来の車輌用放電灯にあっては、点灯が終了したときの消灯時に、セラミック発光管にクラックが生じることがあると言う問題を有している。
【0012】
即ち、セラミック発光管が消灯時に急激に冷却されると、セラミック発光管に対する熱衝撃が大きく、点灯により膨張していたセラミック発光管において、外面側が先に冷却されて収縮し、この収縮により内面側にクラックが発生し易いと言う問題がある。
【0013】
このようなクラックの発生は、セラミック発光管の破裂を生じるおそれがある。
【0014】
そこで、本発明車輌用放電灯は、セラミック発光管におけるクラックの発生を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
車輌用放電灯は、上記した課題を解決するために、ガラスによって形成されセラミック発光管を覆う第1の外管と、ガラスによって形成され前記第1の外管を覆う第2の外管とを設け、前記セラミック発光管と前記第1の外管の間に第1の空間を形成すると共に前記第1の外管と前記第2の外管の間に第2の空間を形成し、前記第1の空間を真空状態としたものである。
【0016】
従って、車輌用放電灯にあっては、消灯時におけるセラミック発光管の冷却速度が抑制される。
【0017】
上記車輌用放電灯において、前記一対の電極の並び方向における前記第1の外管と前記第2の外管の両端部をそれぞれ接合して前記第1の空間と前記第2の空間をそれぞれ密閉された空間として形成し、前記一対の電極に接続され該一対の電極に電圧を印加するための外部リード線を前記第2の外管の外側に配置することが可能である。
【0018】
このような構成とすることにより、第1の外管と第2の外管のクリアランスを小さくして保温性の向上を図ることが可能となり、消灯時におけるセラミック発光管の冷却速度が一層抑制される。
【発明の効果】
【0019】
本発明車輌用放電灯は、セラミックによって形成されたセラミック発光管と該セラミック発光管に保持された一対の電極とを備えた車輌用放電灯であって、ガラスによって形成され前記セラミック発光管を覆う第1の外管と、ガラスによって形成され前記第1の外管を覆う第2の外管とを備え、前記セラミック発光管と前記第1の外管の間に第1の空間が形成されると共に前記第1の外管と前記第2の外管の間に第2の空間が形成され、前記第1の空間を真空状態としたことを特徴とする。
【0020】
従って、保温性が向上し、放電灯が消灯したときのセラミック発光管の冷却速度が抑制されて急激な冷却が防止され、消灯時におけるセラミック発光管のクラックの発生を防止することができる。
【0021】
請求項2に記載した発明にあっては、前記第2の空間に、前記一対の電極に対する電圧の印加時に紫外線を発生させる気体を封入したので、発生した紫外線によってセラミック発光管の内部において行われる放電が促進され、放電灯の点灯時における起動電圧を低下させることができる。
【0022】
請求項3に記載した発明にあっては、前記第2の外管を、紫外線を遮蔽する機能を有する材料によって形成し、前記第1の外管を、紫外線を遮蔽する機能を有しない材料によって形成したので、第2の外管から外方への紫外線の出射が防止され、人体への紫外線の照射の防止や、樹脂材料によって形成されたリフレクターや前面カバー等の灯具を構成する部品への紫外線の照射の防止を図ることができる。
【0023】
請求項4に記載した発明にあっては、前記一対の電極の並び方向における前記第1の外管と前記第2の外管の両端部をそれぞれ接合して前記第1の空間と前記第2の空間をそれぞれ密閉された空間として形成し、前記一対の電極に接続され該一対の電極に電圧を印加するための外部リード線を前記第2の外管の外側に配置したので、第1の外管と第2の外管のクリアランスを小さくすることができ、その分、第2の外管を第1の外管に近付けることが可能となり、保温性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明車輌用放電灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。車輌用放電灯は車輌用前照灯に備えられている。
【0025】
車輌用前照灯1、1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0026】
車輌用前照灯1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2と該ランプハウジング2の開口面を閉塞するカバー3とを備え、ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成されている。灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。ランプハウジング2及びカバー3は、例えば、樹脂材料によって形成されている。
【0027】
ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された挿通孔2aが形成され、該挿通孔2aはバックカバー6によって閉塞されている。ランプハウジング2の下端部には上下に貫通された配置孔2bが形成されている。
【0028】
灯室5には、図示しない光軸調整機構によってリフレクター7が傾動可能に支持されている。リフレクター7は、例えば、樹脂材料によって形成され、後端部に前後に貫通された取付孔7aを有している。
【0029】
リフレクター7の取付孔7aには放電灯(車輌用放電灯)8が取り付けられている。
【0030】
ランプハウジング2の配置孔2bには放電灯点灯装置9が取り付けられている。放電灯点灯装置9は、ケース体10の内部に図示しない点灯回路が収納されて成る。ケース体10の外周面には入力側コネクター11が設けられ、ケース体10の上面には出力側コネクター12が設けられている。入力側コネクター11は図示しない電源供給回路に接続されている。
【0031】
出力側コネクター12は給電コード13を介して始動装置14に接続され、該始動装置14のコネクター14aが放電灯8の後述するソケットに接続されている。
【0032】
放電灯8の点灯は、電源供給回路の電源電圧を放電灯点灯装置9の点灯回路によって昇圧すると共に直交変換して高圧の交流電圧である点灯電圧とし、該点灯電圧を給電コード13及び始動装置14を介して放電灯8に印加することによって行われる。
【0033】
灯室5には該灯室5に配置された各部の一部を遮蔽するためのエクステンション15が設けられている。灯室5には放電灯8から出射される光の一部を遮蔽する図示しないシェードが配置されている。
【0034】
放電灯8は本体16と外部リード線17がソケット18に接続されることにより構成されている(図2参照)。
【0035】
本体16はセラミック発光管19と該セラミック発光管19を覆う第1の外管20と該第1の外管20を覆う第2の外管21とを有している。
【0036】
セラミック発光管19はセラミックによって形成され、図3に示すように、発光部22と該発光部22の前後両端にそれぞれ連続する細管部23、23とが一体に形成されて成り、該細管部23、23の外径が発光部22の外径より小さくされている。
【0037】
発光部22の内部には金属ハロゲン化物とキセノンやアルゴン等の希ガスが封入されている。
【0038】
一般に、セラミック発光管は金属ハロゲン化物に対して安定であるため、ガラス発光管よりも寿命が長いという長所がある。また、セラミック発光管はガラス発光管に比して耐熱性が高く成形自由度も高いと言う長所をも有している。
【0039】
細管部23、23の内部にはそれぞれ電極24、24の一部が配置されている。電極24は前後に長く形成され、放電電極部24aと接続用電極部24bが発光部22側から順に連続して設けられている。放電電極部24aは、例えば、タングステンによって形成され、接続用電極部24bは、例えば、モリブデンによって形成されている。
【0040】
放電電極部24a、24aは対向する側の端部がそれぞれ発光部22の内部に位置されている。
【0041】
電極24、24の外側の端部には、それぞれ前後に延びるリード線25、25が接続されている。リード線25は中間部に位置するモリブデン箔25aと該モリブデン箔25aの両端部がそれぞれ接続された接続部25b、25cとから成る。接続部25b、25cは、例えば、ニオブ又はサーメット(金属マトリックスにセラミック粒子が分散された複合材料)によって形成され、線膨張率がセラミック発光管19の線膨張率と略同じにされている。
【0042】
モリブデン箔25a、25aのセラミック発光管19側の端部に接続された接続部25b、25bは、一部がそれぞれセラミック発光管19の細管部23、23の内部に挿入され、電極24、24の接続用電極部24b、24bに接続されている。接続部25b、25bは、細管部23、23の内部に挿入された部分がそれぞれフリットガラス26、26によって細管部23、23に接合されている。接続部25b、25bがそれぞれフリットガラス26、26によって細管部23、23に接合されることにより、セラミック発光管19の内部に密閉空間が形成される。
【0043】
セラミック発光管19は第1の外管20によって覆われている。第1の外管20はセラミック発光管19を覆う閉塞部27と該閉塞部27の前後両端部にそれぞれ連続された保持部28、28とが石英ガラスによって一体に形成されて成る。保持部28、28にはそれぞれリード線25、25のモリブデン箔25a、25aが埋設された状態で保持されている。
【0044】
セラミック発光管19が第1の外管20の閉塞部27に覆われた状態において、セラミック発光管19と閉塞部27の間に密閉空間である第1の空間29が形成される。第1の空間29は真空状態にされている。この真空状態とは、第1の空間29に空気等の気体が全く存在しない状態の他、100Pa以下の状態をも含む意味である。
【0045】
このように第1の空間29が真空状態とされているため、第1の空間29には対流が発生しないか又は小さな対流しか発生しない。従って、第1の空間29を真空状態とすることにより、保温性が向上し、放電灯8が消灯したときのセラミック発光管19の冷却速度が抑制されて急激な冷却が防止される。
【0046】
第1の外管20は第2の外管21によって覆われている。第2の外管21は第1の外管20を覆う閉塞部30と該閉塞部30の前後両端部にそれぞれ設けられた接合部31、31とが石英ガラスによって一体に形成されて成る。第2の外管21は接合部31、31が第1の外管20における保持部28、28の外側の端部にそれぞれ溶着されて接合されている。
【0047】
第1の外管20が第2の外管21の閉塞部30に覆われた状態において、第1の外管20と閉塞部30の間に密閉空間である第2の空間32が形成される。第2の空間32にはキセノンやアルゴン等の希ガス又は窒素等の所定の気体が、5kPa〜40kPaの低圧状態で封入されている。第2の空間32にこれらの希ガス等が封入されることにより、セラミック発光管19の内部で電極24、24からの放電が行われるときにリード線25、25のモリブデン箔25a、25aにも電圧が印加されるため、第2の空間32において紫外線が発生する。発生した紫外線は、第1の外管20及び第1の空間29を介してセラミック発光管19の内部に作用し、セラミック発光管19の内部において行われる放電を促進させる役割を果たす。従って、第2の空間32に希ガス等の気体を封入することにより、放電灯8の点灯時における起動電圧を低下させることができる。
【0048】
尚、第2の空間32に封入される気体の圧力を5kPa〜40kPaの低圧状態とすることにより、紫外線の放出量が増えて放電をさらに促進させることができると共に、一層の保温性を高め、放電灯8が消灯したときのセラミック発光管19の冷却速度一層の抑制を図ることも可能であるが、第2の空間32に封入される気体の圧力を5kPaよりも低くすると、セラミック発光管19の内部で電極24、24からの放電が行われたときに、第2の空間32において紫外線が発生せず、セラミック発光管19の内部において行われる放電の促進を図ることはできない。
【0049】
上記したように第2の外管21は石英ガラスによって形成されているが、第2の外管21に紫外線を遮蔽する機能を付与するために、第2の外管21を、例えば、石英ガラスに紫外線を遮蔽する添加物を添加して形成してもよい。第2の外管21が紫外線を遮蔽する機能を有することにより、セラミック発光管19の内部における放電時に発生する光に含まれる紫外線及び第2の空間32で発生する紫外線の第2の外管21から外方への出射が防止され、例えば、樹脂材料によって形成されたカバー3やリフレクター7の紫外線による劣化の防止や人体への紫外線の照射の防止を図ることができる。
【0050】
但し、第2の外管21を石英ガラスに添加物を添加して形成した場合には、添加物の作用により第2の外管21の耐熱性が低下するおそれがあるため、添加物の添加の是非及び添加する添加物の量は、耐熱性の低下と紫外線の外部への出射の防止の双方の作用を考慮して定めることが望ましい。
【0051】
尚、上記には、第2の外管21に紫外線を遮蔽する機能を付与する場合を例として示したが、例えば、第2の外管21に代えて第1の外管20に紫外線を遮蔽する機能を付与することも可能である。しかしながら、第1の外管20に紫外線を遮蔽する機能を付与した場合には、セラミック発光管19の内部で電極24、24からの放電が行われたときに、第2の空間32において発生する紫外線によって放電を促進させることができなくなるため、第1の外管20より第2の外管21に紫外線を遮蔽する機能を付与することが望ましい。
【0052】
前側に位置するリード線25の前端部は第2の外管21の前側の接合部31から前方へ突出されている。後側に位置するリード線25の接続部25cは第2の外管21の後側の接合部31から後方へ突出され、ソケット18に設けられた図示しない第1の接続端子に接続されている。
【0053】
前側に位置するリード線25の前端部は外部リード線17に接続されている。外部リード線17は第2の外管21の下側において前後方向に延びる水平部17aと該水平部17aの前端部から屈曲され上下方向に延びる垂直部17bとから成り、水平部17aの後端部がソケット18に設けられた図示しない第2の接続端子に接続され、垂直部17bの上端部が前側に位置するリード線25の前端部に、例えば、溶接によって接合されている。外部リード線17の水平部17aには絶縁スリーブ33が被着されている。
【0054】
このように放電灯8にあっては、外部リード線17が第2の外管21の外側に配置されているため、第1の外管20の閉塞部27における外周面と第2の外管21の閉塞部30の内周面とのクリアランスH(図2参照)を小さくすることができ、その分、第2の外管21を第1の外管20に近付けることが可能となり、保温性の向上を図ることができる。
【0055】
また、外部リード線17を第2の外管21の外側に配置させることにより、第2の外管21の外形を小さくすることができ、発光部22から出射されリフレクター7によって反射された光が第2の外管21によって遮られ難くなり、その分、配光の制御の容易化を図ることができる。
【0056】
尚、放電灯8にあっては、外部リード線17が第2の外管21の外側に配置された構成とされているため、第1の外管20の保持部28、28と第2の外管21の接合部31、31とがそれぞれ接合され内部空間が封止された構造とされている。従って、放電灯8は第1の外管20と第2の外管21が前後の2箇所で接合されて強度が高い構造とされ、耐振動性の向上を図ることができると共に第1の外管20と第2の外管21の位置ずれが生じず第1の外管20と第2の外管21の位置精度の向上を図ることができる。
【0057】
放電灯8にあっては、第1の外管20の外面に導電膜を形成することが可能である。導電膜を形成することにより、セラミック発光管19の内部において放電が行われるときに導電膜の作用により第2の空間32においても放電現象が生じ、セラミック発光管19の内部において行われる放電が促進される。従って、第1の外管20の外面に導電膜を形成することにより、放電灯8の点灯時における起動電圧を低下させることができる。
【0058】
また、放電灯8において、図4に示すように、第1の外管20の前後方向における中央部を除く部分に遮光膜34、34を形成してもよい。このように第1の外管20に遮光膜34、34を形成することにより、遮光膜34、34が形成された部分からの光の出射を防止することができ、不必要な光の出射の防止による対向車等に対する幻惑光の発生を防止することができる。
【0059】
尚、遮光膜34、34をセラミック発光管19の外面に形成して不必要な光の出射を防止することも考えられるが、遮光膜34、34をセラミック発光管19に形成すると、耐熱性の問題により剥離してしまう等のおそれがあるため、遮光膜34、34は第1の外管20に形成することが望ましい。
【0060】
また、遮光膜34、34を第2の外管21の外面に形成して不必要な光の出射を防止することも可能であるが、遮光膜34、34を第2の外管21に形成した場合には遮光膜34、34を形成する範囲が大きくなる等の不具合を生じるため、やはり、遮光膜34、34は第1の外管20に形成することが望ましい。
【0061】
さらに、放電灯8にあっては、第1の外管20の外面における略下側半分の部分に反射膜を形成してもよい。第1の外管20の外面における略下側半分の部分に反射膜を形成したときには、発光部22から下方へ向けて出射された光も反射膜で反射されて光が放電灯8から上方向のみに出射されるため、配光制御が容易となり、光の利用効率の向上を図ることができる。
【0062】
以上に記載した通り、放電灯8にあっては、石英ガラスによって形成されセラミック発光管19を覆う第1の外管20と、石英ガラスによって形成され第1の外管20を覆う第2の外管21とを設け、セラミック発光管19と第1の外管20の間に形成された第1の空間29を真空状態としている。
【0063】
従って、保温性が向上し、放電灯8が消灯したときのセラミック発光管19の冷却速度が抑制されて急激な冷却が防止され、消灯時におけるセラミック発光管19のクラックの発生を防止することができる。
【0064】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図2乃至図4と共に本発明車輌用放電灯の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の概略断面図である。
【図2】放電灯の一部を断面にして示す拡大側面図である。
【図3】セラミック発光管と電極を示す拡大断面図である。
【図4】第1の外管に遮光膜が形成された例を一部を断面にして示す拡大側面図である。
【符号の説明】
【0066】
8…放電灯、17…外部リード線、19…セラミック発光管、20…第1の外管、21…第2の外管、24…電極、29…第1の空間、32…第2の空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックによって形成されたセラミック発光管と該セラミック発光管に保持された一対の電極とを備えた車輌用放電灯であって、
ガラスによって形成され前記セラミック発光管を覆う第1の外管と、
ガラスによって形成され前記第1の外管を覆う第2の外管とを備え、
前記セラミック発光管と前記第1の外管の間に第1の空間が形成されると共に前記第1の外管と前記第2の外管の間に第2の空間が形成され、
前記第1の空間を真空状態とした
ことを特徴とする車輌用放電灯。
【請求項2】
前記第2の空間に、前記一対の電極に対する電圧の印加時に紫外線を発生させる気体を封入した
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用放電灯。
【請求項3】
前記第2の外管を、紫外線を遮蔽する機能を有する材料によって形成し、
前記第1の外管を、紫外線を遮蔽する機能を有しない材料によって形成した
ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用放電灯。
【請求項4】
前記一対の電極の並び方向における前記第1の外管と前記第2の外管の両端部をそれぞれ接合して前記第1の空間と前記第2の空間をそれぞれ密閉された空間として形成し、
前記一対の電極に接続され該一対の電極に電圧を印加するための外部リード線を前記第2の外管の外側に配置した
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用放電灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−129675(P2009−129675A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302880(P2007−302880)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】