説明

軒 樋

【課題】 化粧性と重厚感を有した軒樋本体のうねりや波打ち等の歪みを目立たないようにし、下方からみて一番目立つ底壁部と前壁部の剛性を高めた軒樋を提供することを目的とする。
【解決手段】 軒樋本体1の前壁部2と底壁部4の外周面に、軒樋本体1の長手方向に連続する中空リブからなる突起7が複数条設けられて凹凸面が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧性や重厚感を有した軒樋に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、屋根の軒先には半円形、角型等の断面を有した軒樋が使用されているが、近年の住宅のデザインの多様化にともない、軒先のデザインをより美しく仕上げるものとして、例えば、特開平10─227104号公報及び実開平3─76934号公報に記載されているように軒樋本体の前面側の中程を前方に張り出すように形成した軒樋が知られている。
【0003】上記従来の軒樋は、例えば図3に示すように、軒樋本体aの底壁部bとこの底面部bの前側と後側にそれぞれ連続する前壁部cと後壁部dが立設されており、前壁部cと後壁部dの上端部分にはそれぞれ係止耳部e、fが形成されている。また、前壁部cは下方前方に突出するように湾曲状に傾斜して形成され、この前壁部cの下端に、下方へ鋭角状に屈曲した前側コーナーgが形成されている。
【0004】そして、前側コーナーgに連続する底壁部bは、前側コーナーgより後上方へ傾斜するように延出した傾斜面部hとこの傾斜面部hの後端より下方後方へと湾曲するように延出した湾曲面部iとを有している。
【0005】上記軒樋においては、軒先jに固定された軒樋吊具kによって吊下げ支持されて使用されるものであり、その際、軒樋本体aの前壁部cの係止耳部eが軒樋吊具kの前端部上方へ折曲した係合部mに係止され、他方、軒樋本体aの後端の係止耳部nに係止されて支持されるようになっている。
【0006】従って、軒先jに吊下げ支持された軒樋を軒下からみると、軒樋本体aの下方前方に突出するように湾曲状に傾斜して形成された前壁部cと、湾曲面部iを有した底壁部bとが軒先のデザインをより美しく仕上げることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかながら、従来の軒樋は、軒樋本体aの底壁部bと前壁部cを広幅形状とすると、更に意匠性が向上するが、底壁部bと前壁部cの外表面にうねりや波打ち等の歪みが見えて、外観上見苦しいという問題があった。
【0008】そこで、この軒樋本体aの壁厚を厚くすればうねりや波打ち等の歪みが少なくなるが、軒樋が重くなりしかも、樹脂量を多く使用するのでコスト高となる問題があった。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みて、化粧性と重厚感を有した軒樋本体のうねりや波打ち等の歪みを目立たないようにし、下方からみて一番目立つ底壁部と前壁部の剛性を高めた軒樋を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明の軒樋は、軒樋本体の前壁部と底壁部の外周面に、軒樋本体の長手方向に連続する中空リブからなる突起が複数条設けられて凹凸面が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】本発明の軒樋においては、材料や加工方法は特に限定されないが、合成樹脂を溶融して押出成形により樋形状に押出したものが挙げられる。
【0012】
【作用】本発明軒樋においては、軒先に取付けて使用すると、軒樋本体の前壁部と底壁部部の外周面に、軒樋本体の長手方向に連続する中空リブからなる突起が複数条設けられて凹凸面が形成されているので、下方からみて一番目立つ底壁部部と前壁部の剛性が上がり、化粧性と重厚感を有した軒樋本体のうねりや波打ち等の歪みが目立たなくなる。更に、突起が中空リブであるため、樹脂量が少なくてすみ軒樋は軽量化される。
【0013】
【実施例】以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明する。図1は本発明軒樋の一実施例を示す一部切り欠き斜視図である。
【0014】図1において、1は軒樋本体であり、この軒樋本体1は屋外側の前壁部2、屋内側の後壁部3、底壁部4とからなる。5は屋外側の前壁部2の上部に設けられている屋外側の耳部である。また、6は屋内側の後壁部3の上部に設けられている屋内側の耳部である。
【0015】前壁部2は、下方前方に突出するように傾斜して外向き湾曲状に形成されており、この前壁部2の下端に、下方へ鋭角状に屈曲した前側コーナー20が形成されている。
【0016】また、前側コーナー20に連続する底壁部4は、前側コーナー20より後上方へ傾斜するように延出した傾斜面部21とこの傾斜面部21の後端より下方後方へと外向きに湾曲するように延出した湾曲面部22とを有している。
【0017】そして、底壁部4と前壁部2の外周面には、軒樋本体1の長手方向に連続する突起7が複数条設けられており、突起7、8は内部に中空部7が形成されて中空リブを構成し筋状の凹凸面を形成している。
【0018】次に、この軒樋の使用方法について図2に基づいて説明する。先ず、軒先の鼻隠し板10に軒樋吊具11の取付位置をきめ、軒樋吊具11の軒先取付部12の取付孔に釘13を差し込み、鼻隠し板10に釘13を打ちつけて、軒樋吊具11を軒先に固定する。
【0019】続いて、この軒先取付部12から屋外側に向けて屈曲して突出している軒樋支持腕14の屋外側耳保持部15に、軒樋の屋外側耳部5を嵌め込む。最後に、軒樋支持腕14の屋内側耳保持部16に軒樋の屋内側耳部6を差し込んで、軒樋吊具11の軒樋支持腕14に軒樋を取り付ける。
【0020】このようにすると、軒樋本体1の前壁部2と底壁部4は、中空リブからなる突起7によって剛性が上がっているので、うねり等の歪みの発生が防止される。仮に前壁部2と底壁部4に歪みが発生していても、複数条の突起7で形成された凹凸面により歪みが目立たなくなり、更に、屋根の軒先に取り付けると、化粧性と重厚感のある意匠性の優れたものとなる。
【0021】以上、本発明実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこの実施例の限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0022】例えば、上記実施例では、中空リブからなる突起7の断面形状を角形としたが三角形としてもよい。また、前壁部2と底壁部3に形成された突起7は寸法、形状を異なるようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】本発明の軒樋では、軒樋本体の前壁部と底壁部の外周面に、軒樋本体の長手方向に連続する中空リブからなる突起が複数条設けられて凹凸面が形成されているので、下方からみて一番目立つ底壁部部と前壁部の剛性が上がるから、軒樋本体のうねりや波打ち等の歪みが目立たなくなり、軒先のデザインが美しくなる。
【0024】更に、突起は中空リブであるため、樹脂量が少なくてすみ軒樋が軽量化されたものとなるから、運搬や取付け作業が楽に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軒樋の一実施例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】本発明の軒樋を軒先に取付けて使用している状態を示す側面図である。
【図3】従来の軒樋を示す一部切り欠き斜視図である。
【符号の説明】
1 軒樋本体
2 前壁部
20 コーナー部
3 後壁部
4 底壁部
5 屋外側耳部
6 屋内側耳部
7 突起
71 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 軒樋本体の前壁部と底壁部の外周面に、軒樋本体の長手方向に連続する中空リブからなる突起が複数条設けられて凹凸面が形成されていることを特徴とする軒樋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−314000(P2003−314000A)
【公開日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−121139(P2002−121139)
【出願日】平成14年4月23日(2002.4.23)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)