説明

軒先ユニット

【課題】建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、軒先作業を安全に行うことができ、且つ、建物の外観上の美観を損なうことがなく、さらに十分な小屋裏換気が可能な軒先ユニットを提供する。
【解決手段】軒先ユニット20は、軒天部材21と、軒天部材21の建物本体1の屋外方向側の端部を覆うように立設される鼻隠し部材22と、鼻隠し部材22の外面から建物本体1の屋外方向へ突設されると共に軒樋42の上方に配置され、転落防止部材41を着脱可能に支持する支持部材24と、鼻隠し部材22の外面から建物本体1の屋外方向へ突設され、建物本体1の桁行方向に沿って配置される軒樋42を支持可能な樋受け部材25と、鼻隠し部材22の建物本体1側の内面に設けられ、建物躯体3に固定するための軒先ユニット取付部材23と、を備え、鼻隠し部材22には、建物本体1の屋外側から屋内方向へ貫通した複数の通気孔28が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の各種建物に取り付けられる軒先ユニットに係り、特に、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、軒先作業を安全に行うことが可能であると共に、小屋裏換気が可能な軒先ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、現場での施工作業を簡略化するために、軒天部材や鼻隠し部材などの軒先部品を予め一体化した軒先ユニットを、建物躯体に対して取り付ける技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
一般に、軒先ユニットが取り付けられる建物においても、軒先作業時における安全性を確保するために、建物の屋根部周囲には、地面等から外部足場が設置される。しかしながら、例えば、狭小地に建物を建設する場合には、このような外部足場を設置することが困難な場合がある。
【0004】
そこで、建物躯体に取り付けられる軒先足場取付具を有する腕部と、該腕部上に配置される軒先部品とを備えた軒先ユニットが提案されている。この軒先ユニットによれば、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、軒先ユニットに設けられた軒先足場取付具に転落防止部材を取り付けることができる(特許文献2参照)。
【0005】
一方、従来から住宅棟の建物の小屋裏換気を行うため、軒先の下方、すなわち軒天部に通気孔が設けられている。このような通気孔は主に軒天板や見切り材に設けられ、小屋裏に連通する多数の通気孔が設けられることが多い。しかし、軒天板や見切り材に通気孔を設けた場合、通気孔の開口部が軒下から視認されるため外観上好ましくないという問題があった。
【0006】
これに対し、軒天井から略垂直に立ち上がる鼻隠において通気穴が設けられた技術が提案されている(特許文献3)。このように、通気穴が軒天井と一体に形成された鼻隠の上部に設けられることにより、軒下から通気穴が見えることが無く、良好な外観とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3798587号公報
【特許文献2】特開平10−046803号公報
【特許文献3】特許第3078702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載の転落防止部材は、軒先ユニットを建物に対して取り付けた後、建物の屋外側から軒先足場取付具に取り付ける構成となっている。したがって、軒先足場取付具に対する転落防止部材の取付作業が完了するまでは、建物の屋根部周囲に転落防止部材が設置されない状態となり、軒先作業時における安全性が十分に確保されていないという問題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載の軒先ユニットでは、上記軒先部品が上方腕部及び下方腕部により下方から支持されている上、軒先足場取付部が軒先部品の建物の屋外方向の端部よりも突設しているため、軒先ユニットを下方から見たときに、上記上方腕部、下方腕部及び軒先足場取付部が露出する。このため、見栄えが悪く、建物の外観上の美観が著しく損なわれるという問題があった。
【0010】
一方、小屋裏換気に関する構成に関し、特許文献3に開示された技術では、軒天井と一体に形成された鼻隠に通気穴が設けられている。しかし、鼻隠と軒天井とが一体に形成されることにより施工性は向上するものの、鼻隠と軒天井とが連続した板材によって形成されることから、鼻隠と軒天井とを別途形成する場合と比較して大面積の板材を用いる必要があり、脆性もまた高くなる。そして、このように大面積の板材からなる鼻隠に開口した通気穴を形成した場合、強度が著しく損なわれるという問題があった。
【0011】
したがって特許文献3に開示された鼻隠・軒天部材に、鼻隠の部分に雨樋等の比較的軽量な部材を取り付けることは可能であるが、それ以上の重量物や、荷重のかかる部材を取り付けることができない。
【0012】
本発明は、上記不都合を解決するためになされたものであり、その目的は、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、軒先作業をより安全に行うことができ、且つ、建物の外観上の美観を損なうことのない軒先ユニットを提供することにある。また、本発明の他の目的は、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、軒先作業をより安全に行うことができると共に、十分な小屋裏換気が可能な軒先ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、本発明の軒先ユニットによれば、建物本体の軒先に取り付けられ、軒樋を後付け可能な軒先ユニットであって、前記建物本体の屋外側に位置される軒天部材と、該軒天部材の前記建物本体の屋外方向側の端部を覆うように立設される鼻隠し部材と、該鼻隠し部材の外面から前記建物本体の屋外方向へ突設されると共に前記軒樋の上方に配置され、転落防止部材を上方から着脱可能なように、前記転落防止部材を下方から支持する支持部材と、前記鼻隠し部材の外面から前記建物本体の屋外方向へ突設され、前記建物本体の桁行方向に沿って配置される前記軒樋を支持可能な樋受け部材と、前記鼻隠し部材の前記建物本体側の内面に設けられ、前記軒先ユニットを建物躯体に固定すると共に前記鼻隠し部材を介して前記支持部材に締結される軒先ユニット取付部材と、を備え、前記鼻隠し部材は、前記建物本体の屋外側から屋内方向へ貫通した複数の通気孔が形成されてなること、により解決される。
【0014】
以上のように、上記構成では、転落防止部材が、軒先ユニットに設けられる支持部材に対して着脱可能である。この構成により、例えば、予め転落防止部材を軒先ユニットに設置し、その後転落防止部材を備えた軒先ユニットを建物に取り付けることが可能となる。したがって、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、上記のような軒先ユニットを建物に設置するだけで転落防止部材を備えることができ、その結果、軒先作業の安全性を確保することができる。
また、上記構成では、鼻隠し部材の外面から建物本体の屋外方向へ突設する支持部材が軒樋の上方に配置される。すなわち、軒先ユニットを下方から見たときに、支持部材は軒樋の後方に配置されるため、支持部材を下方から視認することは困難である。従って、屋根上での作業が完了して転落防止部材を取り外した後、例えば、建物の新築工事が竣工した後においても、軒先ユニットに存置された支持部材によって、建物の外観上の美観が損なわれることがない。
さらに、建物の新築工事が完了した後であっても、建物の美観を損なうことなく軒先ユニットに存置される支持部材に、転落防止部材を取り付けることが可能なため、屋根の改修工事等をその後に行う場合においても、軒先作業における作業の安全性を確保することができる。
このように、本発明によれば、建物の周囲に外部足場を設置することが困難な場合、例えば、狭小地であっても、建物の外観上の美観を損なうことなく、建物本体の周囲に転落防止部材を配設することができる。
そして、上記構成では、鼻隠し部材において、建物本体の屋外側から屋内側へ貫通した通気孔が設けられている。したがって、軒下から通気孔が視認されることなく、別途設置される軒天部材は軒下から見た際に均一な面となることから、外観上の美観が損なわれることがない。さらに、このような通気孔を鼻隠し部材に設けても、鼻隠し部材に対して転落防止部材を支持する支持部材を接合することができる程度の強度を備えている。
つまり、鼻隠し部材に対して支持部材を接合する位置の裏面に、建物本体と接合される軒先ユニット取付部材を配設し、鼻隠し部材を介して軒先ユニット取付部材と支持部材を締結することにより、鼻隠し部材は十分な強度を保持している。
さらに、上記構成では、軒先部品である軒天部材、鼻隠し部材、軒先ユニット取付部材、支持部材、及び樋受け部材を予めユニットとして一体化する構成であるため、軒先工事の作業工程を大幅に削減することができると共に、作業効率を格段に向上させることができる。また、軒先ユニットを工場等で製作することが可能であるため、品質の均一化を図ることができる。
【0015】
また、前記通気孔は、前記鼻隠し部材の一部を切り起こして形成されたリブを備えてなると好適である。このように、鼻隠し部材を切り起こし、通気孔の開口部を覆う位置にリブを形成することにより、単に開口を設けた場合と比して、通気孔及び鼻隠し部材の強度を確保することができる。また、リブによって雨水や雪等が通気孔に侵入するのを防止することができるため、軒先ユニット内に大量の水等が蓄積することがない。
【0016】
さらに、前記通気孔の上方側及び前記建物本体の屋外側は、水切材によって覆われてなると好ましい。このように、通気孔の上方及び建物本体の屋外側を水切材によって覆うことにより、雨水や雪の侵入をさらに防止することができる。
【0017】
さらにまた、前記軒先ユニットは、前記建物本体の桁行方向に沿って複数個連続して配置されてなると好適である。このように構成することにより、通気孔を軒先の全周に渡って設置することができるため、十分な換気量を確保することができる。また、軒先ユニット自体をコンパクト化することが可能なため、軒先ユニットの建物本体に対する取付作業、運搬作業、及び工場等での製作作業の容易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る軒先ユニットによれば、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、建物の外観上の美観を損なうことなく軒先作業時における作業者の転落や転倒を確実に防止するができる。そして、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、十分な強度を備えた軒先ユニットに転落防止部材を備えることによって軒先作業を安全に行うことができ、さらに美観を損なうことなく十分な小屋裏換気が可能な軒先ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る軒先ユニットが建物本体に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】建物本体に対する軒先ユニットの取付状態を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る軒先ユニット調整装置の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る軒先ユニット調整装置の平面図である。
【図5】図3のA−A線に相当する断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る軒先ユニットの要部拡大図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る軒先ユニットを説明する説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る軒先ユニットを説明する説明図である。
【図9】鼻隠し部材に上側連結部材を装着した状態を示す側面図である。
【図10】図9に下側連結部材をさらに装着した状態を示す側面図である。
【図11】図9に下側連結部材を装着する過程を示す側面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る軒先ユニットを用いた建物の施工方法を示すフローチャート図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る軒先ユニットを示す斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る軒先ユニットが建物本体に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図15】隣接する転落防止部材を連結する連結部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施形態について、図1乃至図12を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0021】
図は、本発明の実施形態を示すものであり、図1乃至図12は、本発明の一実施形態に係る軒先ユニットに係り、図1は軒先ユニットが建物本体に取り付けられた状態を示す斜視図、図2は建物本体に対する軒先ユニットの取付状態を示す断面図、図3は軒先ユニット調整装置の斜視図、図4は軒先ユニット調整装置の平面図、図5は図3のA−A線に相当する断面図、図6は軒先ユニットの要部拡大図、図7、図8は軒先ユニットを説明する説明図、図9は鼻隠し部材に上側連結部材を装着した状態を示す側面図、図10は図9に下側連結部材をさらに装着した状態を示す側面図、図11は図9に下側連結部材を装着する過程を示す側面図、図12は軒先ユニットを用いた建物の施工方法を示すフローチャート図である。
また、図13乃至図15は本発明の他の実施形態に係り、図13は軒先ユニットを示す斜視図、図14は軒先ユニットが建物本体に取り付けられた状態を示す斜視図、図15は隣接する転落防止部材を連結する連結部材の斜視図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る建物本体1は、外壁パネル2の上方に設けられる軒桁3と、軒桁3上に配置される屋根パネル4と、を備えている。軒桁3は、小屋梁5を桁行方向に連結する横架材であり、例えば、断面略H形状の鉄製の部材により形成されている。この軒桁3は、建物本体1の主要構造物の一つを構成するものであり、特許請求の範囲に記載の「建物躯体」に相当する。
【0023】
屋根パネル4は、垂木4aと、野地材4bと、屋根葺き材4cと、を備えている。そして軒桁3上には、垂木4a、野地材4b、屋根葺き材4cが順にビスやボルト等によって固定されている。また、屋根パネル4の先端部4dは、後述する鼻隠し部材22の上面部22bにビス等により固定されている。このように、本実施形態では、屋根パネル4及び鼻隠し部材22を連結することにより、これらの建物本体1に対する取付強度をより強固なものとしている。
【0024】
次に、腕木部材10に取り付けられる軒先ユニット20について図2、図5乃至図8を参照して説明する。
図2、図5乃至図8に示すように、軒先ユニット20は、軒天部材21と、鼻隠し部材22と、軒先ユニット取付部材23と、支持部材24と、樋受け部材25とを備え、これらは工場等において予め一体的に製作される。この軒先ユニット20は建物本体1の桁行方向に沿って2以上に分割されて複数設けられている。また、軒先ユニット20は、軒天ランナー26をさらに備えると共に、軒天ランナー26の下方に、建物本体1の外壁パネル2と軒先ユニット20の軒天ランナー26との間の気密を保つシール部材26aを備えていても良い。
【0025】
鼻隠し部材22は、軒天部材21の建物本体1側の端部を覆う位置に配置され、SUSや鉄板等の鉄製の部材により形成されている。
この鼻隠し部材22は、略板状に形成された前面部22aと、前面部22aの上端部から建物本体1側斜め上方へ曲折して延びる上面部22bと、上面部22bの建物本体1側の端部から下方へ曲折して延びる上側突設部22cと、前面部22aの下端部から建物本体1側へ曲折して延びる下面部22dと、下面部22dの建物本体1側の端部から上方へ曲折して延びる下側突設部22eと、下側突設部22eの上端部から建物本体1側の端部から建物本体1側へ曲折して延びる突出部22fとを有し、これらは一体的に形成されている。
【0026】
(通気孔28)
図6乃至図8に示すように、鼻隠し部材22の前面部22aには、建物本体1の屋外方向から屋内方向に貫通する複数の通気孔28が桁行方向に隣り合って設けられている。通気孔28は、主として小屋裏換気を行うために設けられ、前面部22aの上方であって、水切材27によって覆われる位置に形成されている(図2参照)。通気孔28は、前面部22aを切り起こして開口部を覆うように形成されたリブ28aを備えているため、鼻隠し部材22の強度を確保すると共に、十分な数の通気孔28を備えることができ、換気のために必要な通気量を確保することができる(図8参照)。
【0027】
また、通気孔28にはリブ28aが備えられているため、リブ28aの側方から通気され、建物本体1の屋外側からは雨水や雪が入りにくいという効果も奏する。なお、本実施形態においては通気孔28にリブ28aを備えた例を示しているが、水切材27によって水等の侵入を十分に防ぐと共に鼻隠し部材22の十分な強度を確保することができれば、通気孔28の形状は、リブ28aを備えない切り抜き形状、すなわち開口した形状としても良い。
【0028】
従来のように軒天部分、軒裏見切り部分等に通気孔を設けるのではなく、鼻隠し部材22の前面部22aに通気孔28を形成することにより、下方から通気孔が視認されることが無いため、意匠上も好適である。また、軒裏見切り部分に通気孔を設けた場合、雨水の侵入防止のため、別途部材を設置する必要があり、さらに、軒裏見切り材の形状が複雑になるため経費が嵩むが、本発明のように、鼻隠し部材22に通気孔28を形成することにより、複雑な構成とすることなく、経費を抑えることができる。さらにまた、軒先ユニット20の鼻隠し部材22に通気孔28を備えた構成とすると、軒先の全周にわたって換気を確保することが可能となるため、十分な換気量を確保することができる。
【0029】
そして、鼻隠し部材22の前面部22aの建物本体1側の面には、図6のように、防火ダンパー29が取り付けられている構成としても良い。防火ダンパー29は、通気孔28と対応する位置に設けられており、鼻隠し部材22の前面部22a上、建物本体1の屋内側にボルト−ナット等の接合手段により係止される。
【0030】
(軒天部材21)
鼻隠し部材22と対向した位置に設けられる軒天ランナー26は、断面略L字状に形成されており、SUSや鉄板等の金属製の部材又は合成樹脂等の部材により形成されている。そして、建物本体1の桁行方向に延設される軒天ランナー26は、建物本体1の外壁パネル2及び軒天部材21に対し、当接して配設される。
【0031】
そして軒天部材21の軒天板21aは、後述する鼻隠し部材22及び軒天ランナー26に対し、下方から固定される構成となっている。
略板状合板等によって形成された軒天板21aは、建物本体1の屋内側及び屋外側の端部に、上方に突設された段差部21cをそれぞれ備えており、段差部21cは桁行方向に沿って延設されている。そして、段差部21cの略水平面は、鼻隠し部材22の突出部22fの下方面及び軒天ランナー26の下方面に当接して配設され、ビス等の接合手段によって接合される(図6参照)。
【0032】
また、軒天板21aは、軒天板21aの桁行方向の端部の側面に凹凸部が設けられている。そして、一つの軒先ユニット20内に複数の軒天板21aを隣接して配設する際や、複数の軒先ユニット20を桁行方向に連続して並べて配設する際、隣接する軒天板21a同士の接続部分、すなわち凹凸部を設けて互いに噛み合わせ、実継ぎ手としているため、雨水や火炎の侵入を防止できると共に、継ぎ手部分の強度が向上する。また、軒天板21aは、隣接される軒先ユニット20の軒天板21aと接する部分において、板厚を半分ずつ切り取って相互に張り合わせる構成、すなわち合決り継ぎとしてもよい。
【0033】
このように、本発明の軒先ユニット20において、軒天板21aの桁行方向の端部、すなわち軒天板21aの側面には、切り欠き(凹凸部)が設けられ、互いに隣接する軒天板21a同士が重なる部分を備えた構成となっている。そして、隣接する軒天板21aの端部同士において完全に接合した状態とせずに、一部が噛み合って当接する状態とすることにより、桁行方向に隙間(遊び)を持たせて配設することができる。その結果、軒先ユニット20の設置時、桁行方向の位置精度を問題とすることなく、調整を容易に行うことができる。
【0034】
また、軒天板21aは、岩綿等の保温板21bを下方から覆うように、軒天ランナー26及び鼻隠し部材22の下方に配設される。保温板21bは、軒天ランナー26及び鼻隠し部材22の突出部22fに支持されているため、軒天板21aを取り外しても落下しない。したがって、軒先ユニット20が建物本体1に設置された後であっても、軒天板21aの着脱を容易に行うことができる。
【0035】
さらに、軒天板21aが鼻隠し部材22及び軒天ランナー26の上方に嵌着された構成の軒先ユニット20では、破損等により軒天板21aを交換したい場合、軒先ユニット20ごと全て交換する必要があった。しかし、軒天板21aを下方から固着する構成とすると、軒天板21aのみを容易に着脱することができるため、さらに作業効率が向上する。
【0036】
さらにまた、上述のように、鼻隠し部材22には、通気孔28が備えられており、十分な小屋裏換気が可能であるため、軒天板21aには通気孔を設ける必要がない。したがって、軒天板21aを下方から目視した際、その外観が良い軒天部材21を提供することができる。
【0037】
(調整装置30)
本実施形態に係る軒先ユニット20の調整装置30について図2乃至図6を参照して説明する。
図2乃至図6に示すように、軒先ユニット調整装置30は、建物本体1の軒桁3に固定される複数の腕木部材10と、軒先ユニット取付部材23を備えている。そして、調整装置30は腕木部材10と、腕木部材10に下方から当接する軒先ユニット取付部材23と、腕木部材10と軒先ユニット取付部材23とを上下方向に貫通することにより接合する固定用ボルト31及び固定用ナット32と、を備えている。
【0038】
腕木部材10は、軒先ユニット取付部材23と締結されるフレーム部11を備えている。
フレーム部11は、鉄やSUS等の金属製の部材により形成されている。腕木部材10に備えられたフレーム部11は、軒桁3の桁行方向に沿って延在する側面から建物本体1の屋外方向へ略水平に突設されており、例えば、軒桁3に対してボルト等により固定されている。このフレーム部11は、軒先ユニット20に設けられる軒先ユニット取付部材23が配置される位置に対応して、軒桁3の桁行方向に所定間隔で離間して取り付けられている。フレーム部11は、断面略コ字状に形成され、底面部11aと、底面部11aの桁行方向の両端部から上方へ曲折して延びる一対の側面部11bと、を備えている。
そして、フレーム部11の底面部11aには、角度調節ボルト13と、角度調節ボルト挿通孔12a、ルーズ孔12b、シノ孔12cが設けられている。角度調節ボルト13と、角度調節ボルト挿通孔12a、ルーズ孔12b、シノ孔12cの構成及び作用は後述する。
【0039】
軒先ユニット取付部材23は、軒先ユニット10を建物本体1に対して設置するための部材であって、建物本体1に取り付けられた腕木部材10に固定される。
軒先ユニット取付部材23は、鼻隠し部材22の前面部22aの建物本体1側面に取り付けられる断面略L字形状の支持部23aと、支持部23aから建物本体1側へ略水平に突設するフレーム部23bと、を備えており、これらは鉄やSUS等の金属製の部材により一体的に形成されている。
【0040】
支持部23aは、所定位置に複数のボルト挿通孔(図示省略)を有し、鼻隠し部材22に対してボルト43及びナット44により締結固定されている。この支持部23aは、鼻隠し部材22の桁行方向の端部22gからやや内側の位置にそれぞれ配置されている。なお、支持部23aの取り付け位置に関し、鼻隠し部材22の端部22gに取り付ける場合に限定されるものではなく、例えば、鼻隠し部材22の桁行方向の中間部等に取り付けることも可能である。
【0041】
フレーム部23bは、例えば、断面略L字状に形成されており、鼻隠し部材22から建物本体1の屋内方向へ延びる略水平な上面部23dと、上面部23dから下方へ延設される側面部23cを備えており、上面部23dには固定用ボルト挿通孔23e、シノ孔23fが形成されている。また、フレーム部23bは、支持部23aに対して略垂直となるように、溶接等の手法により固着接合されている。さらに、側面部23cの下方端部は曲折され、軒天ランナー26の上面(軒天板21aが当接していない側の面)に接合される。
【0042】
また、フレーム部23bは、軒先ユニット20の両端部に配置されており、軒先ユニット20を建物本体1の桁行方向に沿って複数個連続して配置されたときに、隣接する軒先ユニット取付部材23のフレーム部23bが、それぞれ近接して腕木部材10のフレーム部11に係止される。したがってフレーム部11には、角度調節ボルト13と、角度調節ボルト挿通孔12a、ルーズ孔12b、シノ孔12cが少なくともそれぞれ二カ所(一組)以上設けられている。
【0043】
上面部23dには、所定位置に固定用ボルト31が挿通可能な固定用ボルト挿通孔23e、及び軒先ユニット20の取り付け位置を調節するために使用されるシノが上下方向に挿通可能なシノ孔23fが形成されている。なお本実施形態では、シノを挿通させるシノ孔23fが建物本体1側(上面部23dにおいて側面部23c側)に形成された例を示したが、腕木部材10と軒先ユニット20の相対位置を調整可能であれば、この位置に限定されるものではない。
【0044】
フレーム部23bは、図5に示すように、側面部23cの上端が上方に向かって突出して形成された突設部23gを備えている。突設部23gは軒先ユニット取付部23のフレーム部23bにおいて、上方に向かって突出すると共に、桁行方向に延設されている。なお、図5は説明のため突設部23gを大きく描いてあるが、実際には上面部23dに対してごく僅か突出している程度でよく、上面部23dと側面部23cの高さが数ミリメートル異なる構成であればよい。
【0045】
そして、上面部23dは、腕木部材10のフレーム部11に挿通された角度調節ボルト13の先端部13aが当接して配設される。この構成により、断面略コ字状に形成されたフレーム部11の底面部11aに、突設部23gが当接し、この突設部23gと離間して配設された角度調節ボルト13の挿入度合いに依存して腕木部材10に対する軒先ユニット取付部材23との角度が調整される。
【0046】
腕木部材10のフレーム部11には、角度調節ボルト13、固定用ボルト31、シノをそれぞれ挿通させるための角度調節ボルト挿通孔12a、ルーズ孔12b、シノ孔12cが設けられている。
底面部11aにおいて建物本体1の屋外側に設けられた角度調節ボルト挿通孔12aは、角度調節ボルト13が挿通され、上述のように、腕木部材10と軒先ユニット20とが成す角度を調整することができる。
【0047】
また、底面部11aに設けられた角度調節ボルト挿通孔12aに隣接してルーズ孔12bが設けられている。ルーズ孔12bは、建物本体1の屋内外方向に長軸を持つ長孔であり、ルーズ孔12bには固定用ボルト31が上下方向に挿通される。そして、軒先ユニット取付部材23のフレーム部23b側に設けられた固定用ボルト挿通孔23eに固定用ボルト31を挿通させ、固定用ナット32と螺合させることにより、腕木部材10に対して軒先ユニット20が取り付けられる。
【0048】
このように、ルーズ孔12bは建物本体1の屋内外方向に長軸を持つ長孔であるので、腕木部材10に対して軒先ユニット20の位置、より詳細には建物本体1の屋内または屋外方向の位置を適宜調整することができる。
【0049】
さらに、底面部11aにはシノ孔12cはシノが挿通され、フレーム部23bに設けられたシノ孔23fまでシノを挿通させた後、シノを適宜動かすことにより、腕木部材10に対する軒先ユニット20の位置を容易に調整して設置することができる。
【0050】
(支持部材24)
図2及び図6に示すように、支持部材24は、鼻隠し部材22の建物本体1の屋外方向側に取り付けられる略板形状のプレート支持部24aと、プレート支持部24aから建物本体1の屋外方向へ突出して設けられる転落防止部材41取付用の取付部24bと、を備えている。支持部材24は、転落防止部材41の一対の下端部41dが挿入可能なように、鼻隠し部材22の端部22gにそれぞれ配置されている。
【0051】
プレート支持部24aは、その所定位置に複数のボルト挿通孔(図示省略)が形成され、鼻隠し部材22の桁行方向の端部22gのそれぞれに取り付けられている。支持部材24は、鼻隠し部材22の前面部22aを、軒先ユニット取付部材23の支持部23aと支持部材24のプレート支持部24aとの間で挟み込んだ状態で、それぞれに設けられたボルト挿通孔にボルト43を挿通してナット44を締め込むことにより、鼻隠し部材22に締結されている。すなわち、支持部材24は、鼻隠し部材22を介して軒先ユニット取付部材23に締結されている。
【0052】
取付部24bは、転落防止部材41を上方から挿入可能な略円筒形状を有し、転落防止部材41を上方から着脱可能に支持する。
【0053】
図1及び図2に示すように、転落防止部材41は、水平部41aと、水平部41aの両端部から下方へ曲折して延びる一対の鉛直部41bと、水平部41aと略平行に配置され2つの鉛直部41b同士を所定の位置で連結する複数の中桟部41cと、を備えている。この転落防止部材41は、鉄等の金属製のパイプ状部材により形成されており、その重量の軽量化が図られている。一対の鉛直部41bの下端部41dの間の内幅は、軒先ユニット20の両端部に取り付けられる取付部24bの間隔と略等しく設定されている。鉛直部41bの下端部41dは、軒先ユニット20の取付部24bに上方から挿入可能な形状に形成されている。
【0054】
図2、図7に示すように、樋受け部材25は、鼻隠し部材22の前面部22aの建物本体1の屋外方向側の外面に、建物本体1の桁行方向に沿って所定間隔をあけて複数取り付けられており、建物本体1の桁行方向に沿って配置される軒樋42を上方から支持するように構成されている。樋受け部材25は、鼻隠し部材22に対してビス等により固定されるプレート部25aと、プレート部25aから建物本体1の屋外方向に突設される突設部25bと、突設部25bの建物本体1の屋外方向側の先端部25cと、突設部25bの下端部に設けられる弾性係止部25dと、を備えている。
【0055】
また、軒樋42は、断面略U字状に形成されており、雨水等の排水が可能な底面部42aと、底面部42aの建物本体1の屋外方向側の端部に設けられる鉤形状のフック部42bと、底面部42aの建物本体1側端部から軒樋42の開口方向へ突出する突部42cと、を備えている。軒樋42は、樋受け部材25に取り付けられた状態で、雨水等の排水を促進するため長手方向の一端側から他端側へ向けて傾斜して配置される。なお、軒樋42の傾斜方向の下端部には、縦樋(図示省略)と連結可能な排水口(図示省略)が設けられている。
【0056】
次に、軒樋42の樋受け部材25に対する取り付けについて図2及び図7に基づいて説明する。
軒樋42の樋受け部材25に対する取り付けは、先ず、軒樋42のフック部42bを樋受け部材25の先端部25cに嵌合させる。次に、この状態で、軒樋42の建物本体1側を上方へ移動させる。軒樋42を上方へ移動させると、弾性係止部25dが軒樋42の突部42cの進入により建物本体1の屋外方向へ弾性変形する。さらに、軒樋42を上方へ移動させると、弾性係止部25dが軒樋42の突部42cに嵌合して、その状態が保持される。このように、軒樋42は、樋受け部材25の先端部25cと軒樋42のフック部42b、及び樋受け部材25の弾性係止部25dと軒樋42の突部42cをそれぞれ嵌合させることにより、樋受け部材25に対して取り付けられる。軒樋42が樋受け部材25に対して取り付けられた状態では、支持部材24は、軒樋42によって下方から覆われる位置で、且つ軒樋42の底面42aから上方へ所定距離離間した、軒樋42の排水機能を阻害しない高さ位置に配置される。
【0057】
(連結装置50)
次に、隣接する鼻隠し部材22同士を連結する鼻隠し部材22の連結装置50について図9乃至図11を参照して説明する。
図9乃至図11に示すように、連結装置50は、軒先ユニット20を建物本体1の桁行方向に沿って複数個連続して配設したときに、隣接する鼻隠し部材22の端部22g間に跨った位置に配置される。連結装置50は、鼻隠し部材22の建物本体1側の上側内面22xに装着される上側連結部材51と、下側内面22yに装着される下側連結部材52とを備えている。
【0058】
上側連結部材51は、鼻隠し部材22の上側上面22xに対して止水材51dを介して当接する側面部51aと、側面部51aから建物本体1側へ曲折して延びる底面部51bと、底面部51bの建物本体1側から上方へ曲折して延びる上側突設部51cと、を備えている。
【0059】
側面部51aの外面(すなわち、建物本体1の外側)には、例えば、エチレン・プロピレン・ゴム(EPT)等の止水材51dが貼着されている。止水材51dは、上側連結部材51が後述の下側連結部材52により上方へ弾発された状態では、止水材51dが鼻隠し部材22の上側内面22xと密着可能なように構成されている。
【0060】
下側連結部材52は、鼻隠し部材22の下側上面22yに対して止水材52jを介して当接する側面部52aと、側面部52aの上端部から建物本体1側斜め上方へ曲折して延びる上面部52bと、上面部52bの建物本体1側端部から斜め下方へ曲折して延びる傾斜部52cと、傾斜部52cの建物本体1側端部から斜め上方へ曲折して延びる把持部52dと、傾斜部52cと把持部52dとの境界線から下方に向かって延びる下側突設部52eと、側面部52aの下端部から建物本体側へ曲折して延びる底面部52fと、底面部52fの建物本体1側端部から上方へ延びる上側突設部52gと、上側突設部52gの上端から建物本体1側に延びる突出部52hと、突出部52hの建物本体1側端部から上方へ延びる把持部52iと、を備えている。
【0061】
側面部52a、底面部52f、上側突設部52g、突出部52hの外周側の外面には、例えば、エチレン・プロピレン・ゴム(EPT)等の止水材52jが貼着されている。止水材52jは、上側連結部材51と当接し、鼻隠し部材22内に嵌合された状態では、止水材52jが鼻隠し部材22の下側内面22yと密着可能なように構成されている。
【0062】
下側連結部材52は、板バネであり、鼻隠し部材22の上側内面22xと上側突設部22cの間に上側連結部材51を配設した後、底面部52fを、鼻隠し部材22の下側内面22yと下側突設部22eとの間に挿入し、上面部52bを撓ませることにより、鼻隠し部材22内に上側連結部材51及び下側連結部材52が嵌合される。
【0063】
下側連結部材52を装着する際、側面部52aに対して上面部52bが下方へ付勢され、さらに、傾斜部52cと把持部52dとの境界部分が鼻隠し部材22の上側突設部22cの端部に当接することにより、上側連結部材51及び下側連結部材52の嵌合状態が維持される。
【0064】
次に、連結装置50の鼻隠し部材22に対する取り付けについて説明する。
図9に示すように、連結装置50の鼻隠し部材22への取り付けは、先ず、上側連結部材51を、建物本体1側から鼻隠し部材22の内面に固定する。
【0065】
次に、図11に示すように、上側連結部材51を鼻隠し部材22の上方に維持した状態で、下側連結部材52を、建物本体1側から鼻隠し部材22の内面に取り付ける。
この時、下側連結部材52はその側面部52aを下側内面22y側に押圧し、さらに底面部52fを鼻隠し部材22の下面部22dに、上側突設部52gを下側突設部22eに当接させた状態で取り付けられる。
【0066】
その後、鼻隠し部材22に対して下側連結部材52を挿入するように押圧し、把持部52dが鼻隠し部材22の上側突設部22cに当接するまで押圧する。この時、板バネからなる下側連結部材52は、上面部52bを弾性変形によって下方に沈み込ませることにより、上側連結部材51と係合して、鼻隠し部材22の内部に収納される。
【0067】
このように、止水材51dを備えた上側連結部材51及び止水材52jを備えた下側連結部材52を鼻隠し部材22に嵌合することにより、隣接する鼻隠し部材22の端部22g間に形成される隙間から鼻隠し部材22の上側内面22x及び下側内面22y側への雨水等の流入を防止することができる。また、連結部材50として、上記構成の上側連結部材51及び下側連結部材52を鼻隠し部材22内に嵌合するだけでよいので、その設置工程が簡素化される。
【0068】
(建物施工方法)
次に、本発明の軒先ユニット20を用いた建物の施工方法について図1、図2及び図12を参照して説明する。
図12に示すように、本実施形態に係る軒先ユニット20を用いた建物の施工方法は、建物躯体構築工程S1と、軒先ユニット仮固定工程S2と、軒先ユニット調整工程S3と、軒先ユニット本固定工程S4と、転落防止部材取付工程S5と、転落防止部材取外工程S6と、を備えている。
【0069】
図1に示すように、建物躯体構築工程S1では、建物本体1の柱(図示省略)、軒桁3、小屋梁5等の構造体の骨組を構築する。本実施形態では、鉄製の部材である軒桁3、小屋梁5等の構造体をボルトや溶接等によって接合することにより建築躯体が構築される。
【0070】
図12に示すように、建物躯体構築工程S1の後に、軒先ユニット仮固定工程S2が行われる。
この工程は、軒桁3に腕木部材10のフレーム部11がボルト等により固定された状態で開始される。
【0071】
軒天部材21、鼻隠し部材22、軒先ユニット取付部材23、支持部材24、及び樋受け部材25、軒天ランナー26が、予め一体化された複数の軒先ユニット20を、建物本体1の屋外側で吊り上げて、軒先ユニット20に設けられる軒先ユニット取付部材23のフレーム部23bを、建物本体1の屋内または屋外方向から腕木部材10のフレーム部11の底面部11aに当接させる。
【0072】
軒先ユニット取付部材23のフレーム部23bを腕木部材10のフレーム部11に当接させ、シノをシノ孔12c、シノ孔23fに上方から挿通させると共に、固定用ボルト31をルーズ孔12b、固定用ボルト挿通孔23eに上方から挿通させた状態とすることにより、軒桁3に対して仮固定される。この構成により、軒先ユニット20の落下が防止される。
【0073】
そして、固定用ボルト31が挿通された状態とした後、この固定用ボルト31に、固定用ナット32を螺合して仮締めする。この仮締めは、後述する角度調節ボルト13の締め込みにより建物本体1に対する軒先ユニット20の取付角度の調節が可能な程度に行う。
【0074】
上記軒先ユニット仮固定工程S2において、軒先ユニット20は、軒桁3に対して仮保持される。なお、軒先ユニット20を、建物本体1の屋外側で吊り上げて軒先ユニット取付部材23を腕木部材10上に配設する場合に限られず、軒先ユニット20を建物本体1の屋内側から搬入して、軒先ユニット取付部材23を腕木部材10上に配設することも可能である。
【0075】
軒先ユニット仮固定工程S2が行われた後は、軒先ユニット10が軒桁3に対して仮保持された状態では、軒先ユニット取付部材23の固定用ボルト挿通孔23e、シノ孔23fと、フレーム部11の孔ルーズ12b、シノ孔12cとがそれぞれ整合する。
【0076】
また、建物本体1の桁行方向に隣接する他方の軒先ユニット20も、上記一方の軒先ユニット20と同様に、フレーム部23bをフレーム部11の下方に当接させ、固定用ボルト31及び固定用ナット32を螺合して、他方の軒先ユニット20を、軒桁3に仮固定する(図4参照)。
【0077】
図12に示すように、軒先ユニット仮固定工程S2の後に、軒先ユニット調整工程S3が行われる。この軒先ユニット調整工程S3で行われる作業は、全て建物本体1の屋内側から行われる。
【0078】
軒先ユニット調整工程S3は、以下の二つの工程によって行われる。
先ず、建物本体1に対する軒先ユニット20の屋内外方向の取付位置の調整を行う。
上述のように、腕木部材10のフレーム部11のルーズ孔12bが、建物本体1の屋内外方向に沿って長孔状に形成されている。このため、ルーズ孔12bに固定用ボルト31を挿通して仮締めした状態では、軒先ユニット20は、建物本体1の屋内外方向へ移動可能である。
【0079】
すなわち、建物本体1に対する軒先ユニット20の屋内外方向の取付位置の調整は、軒先ユニット20を建物本体1の屋内外方向に適宜移動させることに行う。このような移動を行い、軒先ユニット20が適正な取付位置となった場合には、固定用ボルト31又は固定用ナット32を仮締めする。この仮締めは、軒先ユニット20が軒桁3に対して容易に移動しない程度に行う。
【0080】
なお、軒先ユニット20の位置調整を行う際、腕木部材10に備えられたフレーム11に設けられたシノ孔12c、及び軒先ユニット取付部材23に設けられたシノ孔23fにシノを挿通させた状態で、シノを適宜動かすことによって軒先ユニット20の位置調整を容易に行うことができる。
【0081】
次に、建物本体1に対する軒先ユニット20の取付角度の調整が行われる。この角度調節ボルト13を角度調節ボルト挿通孔12aの上方から挿通させて締め込むと、角度調節ボルト13の先端部13aが軒先ユニット取付部材23のフレーム部23bの上面と当接するため、その締め込み量を調節することにより、軒先ユニット20の建物本体1の屋外側を上下方向に移動させることができる。
【0082】
これにより、軒桁3の腕木部材10に対する軒先ユニット20の取付角度、より詳細には、建物本体1の屋外方向に行くにつれて軒天板21aが上又は下方向に傾斜する角度を調整することができる。
【0083】
例えば、角度調節ボルト13の締め込み程度が小さければ、軒先ユニット20は屋外方向に向かって軒天板21aが水平に近くなるように設置される。一方、角度調節ボルト13の締め込み程度を大きくすると、軒先ユニット20は屋外方向に向かって軒天板21aが下方に傾斜するように設置される。
【0084】
このような締め込みを行い、軒先ユニット20が建物本体1に対して適正な取付角度になると、建物本体1に対する軒先ユニット20の屋内外方向の取付位置が適正であるか否かを再度確認する。そして、その取付位置が適正でない場合には、上記のような手順を繰り返し行う。
【0085】
なお、桁行方向の取付位置の調整は、上述のように、隣接する軒天板21a同士の接続方法を実継ぎまたは合決り継ぎとし、互いに遊びをもって配設することができるので、桁行方向の取付精度誤差を吸収することができる。したがって、軒先ユニット20の桁行方向の取付位置を調整する工程を特に設ける必要が無く、作業工程を簡素化することができる。
【0086】
このように、軒先ユニット20を適宜移動させて、建物本体1に対する軒先ユニット20の取付角度、屋内外方向の取付位置、の両方が適正なものとなったときに、軒先ユニット調整工程S3は終了する。上記作業手順は、隣接する他方の軒先ユニット20においても同様に行われる。なお、建物本体1に対する軒先ユニット20の取付位置の調整は、軒先ユニット20の屋内外方向の取付位置の調整を行った後に、軒先ユニット20の取付角度の調整を行ったが、これに限定されず、軒先ユニット20の取付角度の調整を行った後に、軒先ユニット20の屋内外方向の取付位置の調整を行ってもよい。
【0087】
図12に示すように、軒先ユニット調整工程S3の後に、軒先ユニット本固定工程S4が行われる。この軒先ユニット本固定工程S4で行われる作業は、軒先ユニット調整工程S3と同様に全て建物本体1の屋内側から行われる。
【0088】
軒先ユニット本固定工程S4では、軒先ユニット取付部材23の固定用ボルト挿通孔23e、及び腕木部材10に備えられたフレーム部11のルーズ孔12bに挿通された固定用ボルト31を、作業者が建物本体1の屋内側から本締めする。また、上記作業手順は、隣接する他方の軒先ユニット20においても同様に行われる。
【0089】
なお、本実施形態では、固定用ボルト31を本締めした後に、隣接する鼻隠し部材22の端部22g間に建物本体1の屋内側から上述した連結装置50が装着される。
【0090】
図12に示すように、軒先ユニット本固定工程S4の後に、転落防止部材取付工程S5が行われる。この転落防止部材取付工程S5で行われる作業も、軒先ユニット本固定工程S4と同様に全て建物本体1の屋内側から行われる。
図1及び2に示すように、転落防止部材取付工程S5では、各軒先ユニット20に設けられる取付部24bに対して上方から転落防止部材41の取り付けを行う。
【0091】
転落防止部材41の軒先ユニット20への取り付けは、支持部材24の取付部24bに、建物本体1の屋内側から転落防止部材41の下端部41dを挿入することにより行われる。なお、転落防止部材41の軒先ユニット20への取り付けを、軒先ユニット20が軒桁3に固定された後に行ったが、予め転落防止部材41を軒先ユニット20に装着した状態で、この軒先ユニット20を建物本体1の屋外側から吊り上げて、上記軒先ユニット仮固定工程S2を行ってもよい。
【0092】
このように、転落防止部材41が、軒先ユニット20を構成する支持部材24に容易に取付可能であるため、外部足場を設置することが困難な狭小地においても、転落防止部材41を配設することができる。従って、狭小地においても転落防止部材41を配設することができ、屋根上での軒先工事における安全性を十分に確保することができる。また、建物本体1の周囲に地面等から外部足場を組み立てる必要がないため、軒先工事の作業工程を省略することができ、工期の短縮化を図ることができる。さらに、支持部材24は、軒先ユニット20にそのまま存置されるため、例えば、屋根等の改修工事を行う際に、この転落防止部材41を再度使用することも可能となる。
【0093】
図12に示すように、転落防止部材取付工程S5の後に、転落防止部材取外工程S6が行われる。
転落防止部材取外工程S6は、転落防止部材取付工程S5において転落防止部材41を軒先ユニット20に取り付けた後、例えば、屋根パネル4の取付作業や屋根上でのアンテナ設置作業等の屋根上での作業が全て完了したときに行われる。転落防止部材取外工程S6では、建物本体1の屋外側から転落防止部材41を軒先ユニット20から取り外す作業を行う。
【0094】
以上のように、本実施形態に係る軒先ユニットによれば、鼻隠し部材22の外面から建物本体1の屋外方向へ突設する支持部材24が軒樋42の上方に配置される。すなわち、軒先ユニット20を下方から見たときに、支持部材24は軒樋42の後方に配置されるため、支持部材24を下方から視認することは困難である。従って、屋根上での作業が完了して転落防止部材41を取り外した後、例えば、建物の新築工事が竣工した後においても、軒先ユニット20に存置された支持部材24によって、建物の外観上の美観が損なわれることがない。
【0095】
また、建物の新築工事が完了した後であっても、建物の美観を損なうことなく軒先ユニット20に存置される支持部材24に、転落防止部材41を取り付けることが可能なため、屋根の改修工事等をその後に行う場合においても、軒先作業における作業の安全性を確保することができる。
【0096】
このように、本実施形態によれば、狭小地であっても、建物の外観上の美観を損なうことなく、建物本体1の周囲に転落防止部材41を配設することができる。
【0097】
また、軒桁3に固定される軒先ユニット取付部材23は、軒天部材21の建物本体1の屋外方向側の端部を覆う鼻隠し部材22の前面部22aの建物本体1の側面に固定されている。すなわち、軒天部材21及び鼻隠し部材22等の軒先部品は、軒先ユニット取付部材23を下方から覆う位置に配置され、軒先ユニット取付部材23の上方には、障害物のない空間が形成される。従って、軒先ユニット取付部材23を、軒桁3への軒先ユニット20の固定以外の他の用途、例えば、屋根上に配置される部材を支持する際にも用いることができる。
【0098】
さらに、上記構成では、軒先部品である軒天部材21、鼻隠し部材22、軒先ユニット取付部材23、支持部材24、及び樋受け部材25を予めユニットとして一体化する構成であるため、軒先工事の作業工程を大幅に削減することができると共に、作業効率を格段に向上させることができる。また、軒先ユニット20を工場等で製作することが可能であるため、品質の均一化を図ることができる。
【0099】
また、支持部材24は、軒樋42が樋受け部材25に支持された状態で、軒樋42の底面42aから上方へ所定距離離間した、軒樋42の排水機能を阻害しない高さ位置に配置される。このため、建物の外観上の美観が損なわれることを防止しつつ、軒樋42を流下する雨水等の排水を円滑に行うことができる。
【0100】
さらに、軒先ユニット20が、建物本体1の桁行方向に沿って複数個連続して配置されるため、軒先ユニット20自体をコンパクトに形成することが可能なため、軒先ユニット20の建物本体1に対する取付作業、運搬作業、及び工場等での製作作業の容易化を図ることができる。
【0101】
本発明の軒先ユニット20を用いた建物の施工方法は、建物本体の建物躯体を構築する建物躯体構築工程S1と、建物躯体構築工程S1の後に、軒先ユニット取付部材23を、軒桁3から建物本体1の屋外方向へ突設する腕木部材10に仮固定する軒先ユニット仮固定工程S2と、軒先ユニット仮固定工程S2の後に、建物本体1に対する軒先ユニット20の上下方向の取付角度、屋内外方向の取付位置、及び桁行方向の取付位置の調整を建物本体1の屋内側から行う軒先ユニット調整工程S3と、軒先ユニット調整工程S3の後に、軒先ユニット20を建物本体1の屋内側から腕木部材10に本固定する軒先ユニット本固定工程S4と、軒先ユニット本固定工程S4の後に、転落防止部材41を支持部材24に取り付ける転落防止部材取付工程S5と、転落防止部材取付工程S5の後に、転落防止部材41を支持部材24から取り外す転落防止部材取外工程S6と、を備えている。
【0102】
本発明の軒先ユニット20を用いた建物の施工方法では、上述した軒先ユニット20を用いているため、建物の外観上の美観を損なうことなく、狭小地における作業の安全性を十分に確保でき、工期の短縮化を図ることが可能である。
【0103】
また、本発明の軒先ユニット20を用いた建物の施工方法では、軒先ユニット20の取付位置の調整、及び軒先ユニット20の仮固定及び本固定を建物本体1の屋内側から行うため、作業の安全性をさらに向上させることができる。
【0104】
(調整装置30の調整)
また、本実施形態に係る軒先ユニット20の調整装置30によれば、建物本体1に対する軒先ユニット20の建物本体1の屋内外方向の調整は、先ず、軒先ユニット20の軒先ユニット取付部材23を、建物本体1の屋外側から腕木部材10に備えられたフレーム部11の底面部11aに当接させる。次に、軒先ユニット取付部材23、腕木部材10に備えられたフレーム部11のそれぞれに形成されたルーズ孔12b、固定用ボルト挿通孔23eに、固定用ボルト31をその軸方向が上下方向となる向きで挿入して固定用ナット32を仮締めする。フレーム部11のルーズ孔12bは、建物本体1の屋内外方向に沿って長孔状に形成されているため、軒先ユニット20を建物本体1の屋内外方向の所望の位置に移動させることができる。すなわち、建物本体1に対する軒先ユニット20の建物の屋内外方向の調整は、軒先ユニット20が軒桁3に対して固定用ボルト31により仮固定された状態で、軒先ユニット20を建物本体1の屋内外方向へ適宜移動させることにより行うことができるため、その調整作業は極めて簡単である。
【0105】
また、軒先ユニット20の建物本体1の屋内外方向の取付位置が適正な位置になったときは、固定用ボルト31又は固定用ナット32を本締めする。固定用ボルト31は、その軸方向が上下方向となる向きで軒桁3から建物本体1の屋外方向へ突設されるフレーム部11に取り付けられるため、建物本体1の屋内側から固定用ボルト31の締め込みを行うにあたり、作業者は無理な姿勢となることがなく、容易に固定用ボルト31の締め込みを行うことができる。
【0106】
さらに、軒先ユニット20の位置調整は、フレーム部11に形成されたシノ孔12c及び軒先ユニット取付部材23に形成されたシノ孔23fにシノを挿通させ、シノを適宜動かすことによって行われる。したがって、軒先ユニット20の位置調整時、作業者はシノを用いて容易に軒先ユニット20の位置を動かすことができ、作業を行いやすい。
【0107】
一方、建物本体1に対する軒先ユニット20の取付角度の調整は、軒先ユニット20の軒先ユニット取付部材23を腕木部材10に備えられたフレーム部11に当接した状態で、フレーム部11の底面部11aから上方に突出した角度調節ボルト13を適宜締め込むことにより行う。すなわち、軒先ユニット20の取付角度の調整は、底面部11aに螺着される角度調節ボルト13の締め込み量を適宜調節することにより行うことができるため、その調整作業は極めて簡単である。
【0108】
また、角度調節ボルト13は、フレーム部11の底面部11aから上方に突出しているため、建物本体1の屋内側から角度調節ボルト13の締め込みを行うにあたり、無理な姿勢となることがなく、容易に角度調節ボルト13の締め込みを行うことができる。
【0109】
また、軒先ユニット20は、軒先ユニット取付部材23を腕木部材10に備えられたフレーム部11に当接させた状態で、軒先ユニット取付部材23、フレーム部11のそれぞれに形成されたルーズ孔12b、固定用ボルト挿通孔23eに固定用ボルト31を挿入するだけで、軒桁3に対して仮固定される。従って、このような極めて簡単な作業を行うことにより、軒先ユニット20の落下を防止することができ、作業の安全性を十分に確保することができる。
さらに、建物本体1に対する軒先ユニット20の調整及び固定を建物の屋内側から容易に行うことができる。
【0110】
また、軒先ユニット取付部材23は、軒先ユニット20の建物本体1の桁行方向の両端部に設けられ、軒先ユニット20を建物本体1の桁行方向に沿って複数個連続して配設したときに、一つの腕木部材10は、互いに隣接する二つの軒先ユニット取付部材23を接合可能である。このように、隣接する軒先ユニット20同士の相対位置の調整及びこれらの建物本体1に対する固定を一箇所で行うことができるため、作業効率を向上させることができる。
【0111】
(他の実施形態)
さらに、本実施形態では、軒桁3の桁行方向に沿って取り付けられる軒先ユニット20についてのみ説明したが、上記軒先ユニット20を、例えば、図13に示すように、出隅部7(図1参照)に取り付けるための軒先ユニット220として構成することも可能である。
【0112】
図14に示すように、この軒先ユニット220を出隅部7に取り付けた場合には、出隅部7の角部に転落防止部材41が配置されない危険領域Sが形成されるため、図15に示す連結部材141を両転落防止部材41、41に取り付けて、危険領域Sが形成されないように構成することも可能である。
【0113】
この連結部材141について具体的に説明すると、連結部材141は、転落防止部材41と同じ材料を用いて形成された略L字形状の水平部141aと、水平部141aの両端部にそれぞれ溶接等により固定される連結部141bと、連結部141bの下端部に溶接等により固定される結束バンド取付部141cと、を備えている。連結部141bは、2枚の板状部材が対向するように,水平部141aの水平方向の両外面に固定されている。
【0114】
連結部材141の転落防止部材41への取り付けは、隣接する転落防止部材41が軒先ユニット20のそれぞれに取り付けられた状態で、連結部材141の連結部141bのそれぞれを隣接する転落防止部材41に上方から圧嵌することにより行う。また、このときに、結束バンド取付部141cに、例えば、ゴム等からなる結束バンドの一端側を取り付けると共に、他端側を転落防止部材41の所定箇所に取り付けると、好適である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、建物の外観上の美観を損なうことなく軒先作業をより安全に行うことができる。さらに、建物の外観上の美観を損なうことなく、十分な小屋裏換気を確保することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 建物本体
2 外壁パネル
3 軒桁(建物躯体)
4 屋根パネル
4a 垂木
4b 野地材
4c 屋根葺き材
4d 先端部
5 小屋梁
7 出隅部
10 腕木部材
11 フレーム部
11a 底面部
11b 側面部
12a 角度調節ボルト挿通孔
12b ルーズ孔
12c シノ孔
13 角度調節ボルト
13a 先端部
20、220 軒先ユニット
21 軒天部材
21a 軒天板
21b 保温板
21c 段差部
22 鼻隠し部材
22a 前面部
22b 上面部
22c 上側突設部
22d 下面部
22e 下側突設部
22f 突出部
22g 端部
22x 上側内面
22y 下側内面
23 軒先ユニット取付部材
23a 支持部
23b フレーム部
23c 側面部
23d 上面部
23e 固定用ボルト挿通孔
23f シノ孔
23g 突設部
24 支持部材
24a プレート支持部
24b 取付部
25 樋受け部材
25a プレート部
25b 突設部
25c 先端部
25d 弾性係止部
26 軒天ランナー
26a シール部材
27 水切材
28 通気孔
28a リブ
29 防火ダンパー
30 調整装置
31 固定用ボルト(固定手段)
32 固定用ナット(固定手段)
41 転落防止部材
41a 水平部
41b 鉛直部
41c 中桟部
41d 下端部
42 軒樋
42a 底面部
42b フック部
42c 突部
43 ボルト
44 ナット
50 連結装置
51 上側連結部材
51a 側面部
51b 底面部
51c 上側突設部
51d 止水材
52 下側連結部材
52a 側面部
52b 上面部
52c 傾斜部
52d 把持部
52e 下側突設部
52f 底面部
52g 上側突設部
52h 突出部
52i 把持部
52j 止水材
141 連結部材
141a 水平部
141b 連結部
141c 結束バンド取付部
S 危険領域
S1 建物躯体構築工程
S2 軒先ユニット仮固定工程
S3 軒先ユニット調整工程
S4 軒先ユニット本固定工程
S5 転落防止部材取付工程
S6 転落防止部材取外工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体の軒先に取り付けられ、軒樋を後付け可能な軒先ユニットであって、
前記建物本体の屋外側に位置される軒天部材と、
該軒天部材の前記建物本体の屋外方向側の端部を覆うように立設される鼻隠し部材と、
該鼻隠し部材の外面から前記建物本体の屋外方向へ突設されると共に前記軒樋の上方に配置され、転落防止部材を上方から着脱可能なように、前記転落防止部材を下方から支持する支持部材と、
前記鼻隠し部材の外面から前記建物本体の屋外方向へ突設され、前記建物本体の桁行方向に沿って配置される前記軒樋を支持可能な樋受け部材と、
前記鼻隠し部材の前記建物本体側の内面に設けられ、前記軒先ユニットを建物躯体に固定すると共に前記鼻隠し部材を介して前記支持部材に締結される軒先ユニット取付部材と、を備え、
前記鼻隠し部材は、前記建物本体の屋外側から屋内方向へ貫通した複数の通気孔が形成されてなることを特徴とする軒先ユニット。
【請求項2】
前記通気孔は、前記鼻隠し部材の一部を切り起こして形成されたリブを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の軒先ユニット。
【請求項3】
前記通気孔の上方側及び前記建物本体の屋外側は、水切材によって覆われてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の軒先ユニット。
【請求項4】
前記軒先ユニットは、前記建物本体の桁行方向に沿って複数個連続して配置されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の軒先ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−41737(P2012−41737A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184032(P2010−184032)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)