説明

軒先ユニット

【課題】通気性を確実に確保するとともに防水構造を確実に確保しながら、簡易に建物の軒先に設置することが可能であり、広小舞を使用することなしに設置することができる軒先ユニットを提供する。
【解決手段】建物本体1の軒先に取付けられ、軒樋42を後付け可能な軒先ユニットに関し、鼻隠し部材22と、軒先ユニットを建物躯体に固定するための複数の軒先ユニット取付部材23と、軒樋42を支持可能な複数の樋受け部材25と、鼻隠し部材22の建物屋外側の面の対面を上方側から被覆する水切材27とを少なくとも備え、鼻隠し部材22の屋外側の面には、少なくとも一つの通気孔が形成されるとともに、通気孔の屋外側を被覆するように形成されたリブ片を備え、鼻隠し部材22の建物本体1屋外側の面とリブ片との間には換気開口部を形成し、水切材27の側面被覆部27a及び上面被覆部27bは、通気孔を上方側から被覆する位置に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の各種建物に取付けられる軒先ユニットに係り、特に、高い防水性が実現されるとともに、広小舞を使用することなく、軒の出を有しない場合であっても簡易に設置することが可能な軒先ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建築物の軒先には、軒樋が備えられており、雨水等を排出できるようになっている。
また、外観上の仕上げの観点から、鼻隠し部材が備えられる等、建築物の軒先構造は複雑になっている場合が多い。
通常、建築物の軒先においては、垂木の屋外側先端部分には、広小舞が設置されている。
広小舞の材質としては、防腐処理を施した木製部材が広く使用されており、雨水等と接触することによる腐食を防止している。
また、更なる広小舞の腐食防止として、広小舞の上面から軒先水切が取付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の軒先構造によると、屋根を構成する垂木上方に載置固定された野地板の屋外側先端部には、広小舞が配設されている。
そして、この広小舞の下部に軒樋が配設される。
また、広小舞から軒樋方向へ向けて、軒先水切が配設されている。
この軒先水切は広小舞に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−117447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、軒先水切が、広小舞の屋外側端部上面を被覆するように取付けられるため、軒先水切が確実に建物軒先に設置されるとともに、雨水等が広小舞(屋外側端部)に接触して広小舞が腐食することを防止することもできる。
【0006】
一方、現場での軒先施工作業を簡易化して作業効率を向上させるために、軒天部材や鼻隠し部材等の軒先部品を予めユニット化した軒先ユニットを、躯体に対して取付ける技術が知られている。
また、従来より、住宅の小屋裏換気を行うために、軒先下方つまり軒天部に通気孔が設けられていた。
このような通気孔は、主として軒天板や見切り材に設けられ、小屋裏に連通する多数の通気孔を設けることが多い。
しかし、軒天板や見切り材に通気孔を設けた場合、通気孔の開口部が軒下より視認可能となるため、外観上好ましくないという問題点があった。
このため、鼻隠しに通気孔を設ける技術が提唱されており、軒下から通気孔が視認されることを有効に防止している。
このように、通気孔を視認され難く構成する等意匠性を向上させるとともに、軒先部品をユニット化して作業性を簡易にする技術が望まれている。
【0007】
このような背景のもと、軒先部品をユニット化して取付けるためには、更に施工性を向上させるべく、部品点数はできるだけ多くない方が好ましい。
しかし、一方、住宅においては、斜線対応や採光を確保するために、軒の出を有しない軒先が存在する。
このような場合には特に、軒先部品の設置空間が狭小となるため、できるだけ部品点数を少なくし、強度や防水性を維持した状態で軒先構造を簡略化する必要が生じていた。
つまり、軒の出を有する場合(軒の出310mm〜830mm)に比して、軒の出を有しない場合(軒の出132mm)には、特に、各種軒先部品をできるだけコンパクトに納める構造が要求される。
また、意匠性を確保するために鼻隠しに通気孔を形成することが望ましいが、この通気孔から小屋裏へ雨水等が浸入することを有効に防止し、防水性を高める必要があるとともに、通気性も十分に確保するための技術が切望されていた。
【0008】
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、通気性を確実に確保するとともに防水構造を確実に確保しながら、簡易に建物の軒先に設置することが可能であり、広小舞を使用することなしに設置することができる軒先ユニットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、軒の出を有しない場合であっても、つまり、設置箇所が狭小空間であっても、簡易に設置することが可能である軒先ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、請求項1に係る軒先ユニットによれば、建物本体の軒先に取付けられ、軒樋を後付け可能な軒先ユニットであって、前記建物本体の屋外方向側の端部を覆うように立設される鼻隠し部材と、前記鼻隠し部材の前記建物本体側の内面に設けられ、前記軒先ユニットを建物躯体に固定するための複数の軒先ユニット取付部材と、前記鼻隠し部材の外面から前記建物本体の屋外方向へ突設され、前記建物本体の桁行方向に沿って配置される軒樋を支持可能な複数の樋受け部材と、前記鼻隠し部材に取付けられるとともに、前記鼻隠し部材の建物屋外側の面の対面を上方側から被覆する水切材と、を少なくとも備え、前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面には、少なくとも一つの通気孔が形成されるとともに、前記通気孔の屋外側を被覆するように形成されたリブ片が備えられ、前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面と前記リブ片との間には、換気開口部が形成されており、前記水切材は、前記通気孔の上方側を被覆する位置に配設されていることにより解決される。
また、具体的には、前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面と前記リブ片との間にはスリット状に換気開口部が形成されている。
【0010】
このように構成されているため、本発明に係る軒先ユニットはコンパクトに設計されており、軒の出を有しない場合(つまり、狭小な設置空間であっても)であっても、納まりを実現することができる。
また、通気孔の屋外側は、リブ片により被覆されているため、雨水等が屋外に面する側から直接吹き込むことを有効に防止することができる。
更に、鼻隠し部材の建物本体屋外側の面とリブ片との間にはスリット状に換気開口部が形成されているため、十分な換気量を実現することができる。
このとき、前記通気孔の下方には、軒樋が備えられていると、この軒樋により雨水等の吹き上がりを有効に防止することができるため、防水性を実現する点において、更に好適である。
【0011】
また、更に、前記建物本体の軒先は、軒の出及び広小舞を有さないものであり、前記水切材の前記建物本体屋内側端部側は、屋根を構成する野地材上面に載置されるとともに、前記軒先ユニット取付部材は、建物躯体に連結された建物側取付部材に取付けられるよう構成されていると好適である。
【0012】
このように構成されていることにより、軒先ユニット取付部材が、建物躯体(例えば、軒桁)に連結された建物側取付部材(例えば、腕木部材)に取付けられるため、軒の出を有しない場合(つまり、狭小な設置空間であっても)でも、本発明に係る軒先ユニットは有効に設置可能であり、コンパクトな納まりを実現することができる。
更に、水切材の建物本体屋内側端部側は、屋根を構成する野地材上面に載置される構成であるため、広小舞を設置する必要がない。よって、軒先の部品点数を減らすことができるとともに、通常、防水処理を施された木材で構成される広小舞が雨水等により腐食するという懸念が払拭される。
【0013】
また、本発明に係る軒先ユニットは、軒先部品である鼻隠し部材、軒先ユニット取付部材、樋受け部材、及び水切材を予めユニットとして一体化する構成であるため、軒先工事の作業工程を大幅に削減することができると共に、作業効率を格段に向上させることができる。また、軒先ユニットを工場等で製作することが可能であるため、品質の均一化を確実に図ることができる。
【0014】
このとき、具体的には、前記水切材は、前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面の対面で前記鼻隠し部材を被覆する側面被覆部と、該側面被覆部から鈍角を成して前記建物本体屋内側上方へと屈曲して延出する上面被覆部と、該上面被覆部から垂直乃至鈍角を成して屈曲して上方へ起立する水切取付部と、該水切取付部から垂直乃至鈍角を成して屈曲して前記建物本体屋内側上方へ延出する載置部と、を少なくとも備え、前記載置部の前記建物本体屋内側端部側が前記野地材上面に載置されるとともに、前記側面被覆部及び前記上面被覆部は、前記通気孔を被覆する位置に配設されていると好適である。
【0015】
このように構成されていることにより、水切材を構成する水切取付部と、鼻隠し部材の建物本体屋外側の面とを連結することにより、鼻隠し部材の建物本体屋外側の面を側面被覆部及び上面被覆部で被覆するとともに、載置部を野地材に載置することができる。
【0016】
このとき、前記水切取付部と、前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面との間には、止水部材が挟持固定されていると好適である。
また、このとき、鼻隠し部材の建物本体屋外側の面には、少なくとも一つの通気孔が形成されており、水切材を構成する側面被覆部及び上面被覆部は、通気孔を被覆する位置に配設されるよう構成されている。
止水部材としては、シーリング効果を奏するものであればどのようなものでもよいが、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が使用される。
この止水部材は、例えば、水切取付部の一面(載置部延びる側の面)に予め貼付されていると好適である。
このように構成されていると、止水部材を鼻隠し部材の建物本体屋外側の面と水切材の水切取付部との間に簡易に挟持することができる。
また、上記のように構成されていることにより、小屋裏への雨水等の侵入を有効に阻止することが可能となり、止水効果が向上する。
【0017】
更に、このとき、前記鼻隠し部材の外面から前記建物本体の屋外方向へ突設されると共に前記軒樋の上方に配置され、転落防止部材を上方から着脱可能なように、前記転落防止部材を下方から支持する複数の支持部材を更に備えると好適である。
【0018】
このように構成されているため、転落防止部材が、軒先ユニットに設けられる転落防止部材に対して着脱可能であるため、例えば、予め転落防止部材が取付けられた軒先ユニットを、建物に取付けることが可能となる。
このようにすれば、建物の周囲に外部足場を設置しなくとも、上記のような軒先ユニットを建物に取付けるだけで、軒先作業の安全性をより確保することができる。
【0019】
また、上記構成では、鼻隠し部材の外面から建物本体の屋外方向へ突設する支持部材が軒樋の上方に配置される。すなわち、軒先ユニットを下方から見たときに、支持部材は軒樋の後方に配置されるため、支持部材を下方から視認することは困難である。従って、屋根上での作業が完了して転落防止部材を取り外した後、例えば、建物が竣工した後においても、軒先ユニットに存置された支持部材によって、建物の外観上の美観が損なわれることがない。
【0020】
更に、建物の新築工事が完了した後であっても、軒先ユニットに存置される支持部材に、転落防止部材を取付けることが可能なため、屋根の改修工事等をその後に行う場合においても、軒先作業における作業の安全性を確保することができる。
【0021】
このように、本発明によれば、建物の周囲に外部足場を設置することが困難な場合、例えば、狭小地であっても、建物の外観上の美感を損ねることなく、建物本体の周囲に転落防止部材を配設することができる。
【0022】
このとき、前記支持部材は、前記軒樋が前記樋受け部材に支持された状態で、前記軒樋の底面から上方へ所定距離離間した高さ位置に配置されると好適である。
このように構成されていると、上記のように、建物の外観上の美観が損なわれることを防止しつつ、軒樋を流下する雨水等の排水を円滑に行うことができる。
【0023】
また、このとき、前記軒先ユニットは、前記建物の桁行方向に沿って複数個連続して配置されると好適である。
このように構成されていると、軒先ユニット自体をコンパクトに形成することが可能なため、軒先ユニットの建物本体に対する取付作業、運搬作業、及び工場等での製作作業の容易化を確実に図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る軒先ユニットによれば、簡易に建物の軒先に設置することが可能であり、広小舞を使用することなしに、防水構造を確実に確保することができる軒先ユニットを提供することにある。
本発明に係る軒先ユニットにおいては、通気孔の屋外側は、リブ片により被覆されており、このため、雨水等が屋外に面する側から直接吹き込むことを有効に防止することができるとともに、鼻隠し部材の建物本体屋外側の面とリブ片との間にはスリット状に換気開口部が形成されているため、十分な換気量を実現することができる。
また、通気孔の下方には、軒樋を備える構成としたため、この軒樋により雨水等の吹き上がりを有効に防止することができ、防水性が更に高くなる。
更に、本発明に係る軒先ユニットによれば、軒天部材が不要であるため、軒の出を有しない場合であっても、つまり、設置箇所が狭小空間であっても、簡易に設置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る軒先ユニットの納まりを示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る軒先ユニットを示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る鼻隠し部材を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る軒先ユニット取付部材を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る水切材の斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る水切材の取付け状態説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る水切材の構造説明のための側面図である。
【図8】本発明の改変例に係る水切材の構造説明のための側面図である。
【図9】本発明の改変例に係る水切材の構造説明のための側面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る軒先の施工手順を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る軒先の施工手順を示す説明図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る軒先の施工手順を示す説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る腕木部材を示す三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0027】
本実施形態は、軒の出を有しない軒先に簡易に設置することが可能であり、広小舞を使用することなしに、防水構造を確実に確保することができる軒先ユニットに関するものである。
【0028】
図1乃至図13は、本発明に係る一実施形態を示すものであり、図1は軒先ユニットの納まりを示す説明図、図2は軒先ユニットを示す説明図、図3は鼻隠し部材を示す説明図、図4は軒先ユニット取付部材を示す斜視図、図5は水切材の斜視図、図6は水切材の取付け状態説明図、図7は水切材の構造説明のための側面図、図8及び図9は他の形態の軒先に対応する水切材の構造説明のための側面図、図10乃至図12は軒先の施工手順を示す説明図、図13は腕木部材を示す三面図である。
【0029】
図1乃至図4により、本実施形態に係る建物本体1の軒先構造及び軒先ユニット20について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る建物本体1は、外壁パネル2の上方に設けられる軒桁3と、軒桁3上に配置される屋根パネル4と、を備えている。
本実施形態に係る軒桁3は、所謂小屋梁を桁行方向に連結する横架材であり、例えば、断面略コ字形状、断面略H形状等の鉄製の部材により形成されている。
【0030】
そして、この軒桁3は、建物本体1の主要構造物の一つを構成するものであり、特許請求の範囲に記載の建物躯体に相当する。
また、軒桁3には、後述する腕木部材10が取付けられており、本実施形態に係る軒先ユニット20は、この腕木部材10に取付けられる。
この腕木部材10が、特許請求の範囲に記載の建物側取付部材に相当する。
【0031】
本実施形態に係る屋根パネル4は、垂木4aと、野地材4bと、屋根葺き材4cと、を備えている。
これらの部材は、軒桁3上に固定される垂木4a上に順次、野地材4b、屋根葺き材4cの順に連結される。
この連結は、ビスやボルト等によって実施される。
【0032】
次に、腕木部材10に取付けられる軒先ユニット20について図1乃至図4を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る軒先ユニット20は、鼻隠し部材22と、軒先ユニット取付部材23と、複数の支持部材24と、複数の樋受け部材25と、水切材27と、を備えて構成されている。
なお、これらは工場等において予め一体的に製作され、軒先ユニット20として出荷される。
この軒先ユニット20は建物本体1の桁行方向に沿って2以上に分割されて複数設けられている。
なお、所謂「軒天部材」は、本実施形態においては不要である。
【0033】
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係る鼻隠し部材22は、建物本体1側の端部を覆う位置に配置され、SUSや鉄板等の鉄製の部材により形成されている。
この鼻隠し部材22は分割された構成であり、上部鼻隠し部材22Aと下部鼻隠し部材22Bとを組合わせることにより構成されている。
【0034】
上部鼻隠し部材22Aは、略板状に形成された前面部22aと、この前面部22aの上端部から建物本体1側斜め上方へ曲折して延びる上面部22bと、この上面部22bの建物本体1側の端部から下方へ曲折して延びる上側突設部22cと、この前面部22aの下端部から建物本体1側へ曲折して延びる下面部22dと、この下面部22dの建物本体1側の端部から上方へ曲折して延びる下側突設部22eとを有し、これらは一体的に形成されている。
【0035】
また、下面部22d下方側面の建物本体1内部側には、略板状に形成された下面部接合部22fが固定されており、この下面部接合部22fの屋外側からは、下方側へ建物側被覆部22gが垂下している。また、建物側被覆部22gの下端側から屋外側へ向けて底面固定部22hが曲折して延びている。
【0036】
下部鼻隠し部材22Bは、略板状に形成された前面部被覆部22iと、この前面部被覆部22iの下端部から建物本体1内部側斜め上方へ屈曲して延びる下面部接触部22j、この下面部接触部22jの建物本体1内部側端部から下方へ曲折して延びる前方被覆部22kと、この前方被覆部22kの下端側から建物本体1内部側へ曲折して延びる底面部22lと、この底面部22lの建物本体1側から底面部22lの下方側面に沿って折り返されるとともにその端部が下方向へと曲折した補強部22mとを有し、これらは一体的に形成されている。
【0037】
上述した通り、本実施形態に係る鼻隠し部材22は、上部鼻隠し部材22A及び下部鼻隠し部材22Bを組合わせることによって形成されている。
つまり、図3の矢印で示すように組合わせることにより、鼻隠し部材22が形成される。
下部鼻隠し部材22Bを構成する前方被覆部22kの上下方向の距離は、上部鼻隠し部材22Aを構成する下面部22dの下方側面と底面固定部22hの上方側面との距離よりも若干大きくなるように、もしくは両距離がほぼ同一となるように構成されている。
【0038】
このため、底面部22lの上方面に底面固定部22hを載置した状態で、前方被覆部22kを、下面部22dの下方側面と底面固定部22hの上方側面との間に圧入すると、下面部接触部22jと前方被覆部22kとの境界部分(屈曲部分)が下面部22dの下方側面に圧接し、前方被覆部22kは、下面部22dの下方側面と底面固定部22hの上方側面との間に突っ張り固定される。
そしてこのとき、前面部被覆部22iは、前面部22aの屋外側面下方側を被覆する。
【0039】
また、鼻隠し部材22を構成する前面部22aには、建物本体1の屋外方向から屋内方向に貫通する複数の通気孔28が桁行方向に並列して形成されている。
通気孔28は、主として小屋裏換気を行うために形成されている。
この通気孔28は、前面部22aの上方側であって、後述する水切材27によって被覆される位置に形成されている。
【0040】
また、この通気孔28には、前面部22aを切り起こすことにより通気孔28となる開口部を被覆するように形成されたリブ片28aを備えられている。
このリブ片28aにより、通気孔28の前面から雨水が吹き込むことが防止されるとともに、鼻隠し部材22の強度が向上する。
つまり、通気孔28と屋外側とは、リブ片28aと前面部22aとの間に形成されるスリット状の開口部(側方に開口しており、以下、「換気開口部28b」と記す)により連通するため、通気孔28の前面から雨水が吹き込むことが防止され、十分な換気もまた行うことができる。
このように構成されていることにより、小屋裏換気のための十分な数の通気孔28を形成することが可能となり、換気に必要とされる通気量を十分に確保することができる。
【0041】
従来の技術では、軒天部分、軒天見切部分等に通気孔を設けていたが、本実施形態では、鼻隠し部材22を構成する前面部22aに通気孔28を設ける構成としたため、下方から通気孔28の視認が不可能になり、意匠面において有利である。
【0042】
また、軒天見切部分に通気孔を設ける場合には、雨水の浸入を防止するため、別途雨水浸入阻止部材を設置する必要があり、これに伴って軒裏見切り材の形状が複雑になるため経費が高騰するが、本実施形態においては、鼻隠し部材22に通気孔28を形成する構成としたため、複雑な構成が不要となり、経費が軽減される。
更に、軒先ユニット20を構成する鼻隠し部材22に通気孔28を形成した構成であるため、軒先の全周囲にわたって換気を確保することが可能となり、十分な換気量を確保することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、下側突設部22e上部には、防火ダンパーD1が配設されている。この防火ダンパーD1は、通気孔28と対応する位置に配設される。
しかし、この防火ダンパーD1は、必須の構成ではなく、配置を省略することもできる。
更に、本実施形態においては、通気孔28を建物本体1側から被覆するように配設された換気孔経路カバーD2が、前面部22aの建物本体1側面に沿って配設されている。
また、本実施形態においては、上側突設部22c自由端側と下側突設部22e自由端側とを架橋するように、ロックウール保温板固定バンドD3が配設されている。
【0044】
本実施形態に係る軒先ユニット取付部材23は、軒先ユニット20を建物本体1に対して取付けるための部材であり、建物本体1を構成する軒桁3から延びる腕木部材10に固定されている。
図4に示すように、軒先ユニット取付部材23は、鼻隠し部材22を構成する前面部22aの建物本体1側面に取付けられる略平板状の支持部23aと、この支持部23aの端辺から略垂直に建物本体1側に屈曲する固定部取付部23bと、固定部取付部23bの裏面(支持部23aが配設されている側と反対側の面)の下方側にその上方部分が溶接されている連結部23cと、この連結部23cの下端側から支持部23aが配設されている側と反対側に略垂直に屈曲して延出する固定部23dとを有して構成されている。
【0045】
支持部23aの上下方向には、支持部ボルト孔123aが2個並列して形成されている。
また、固定部取付部23bの上部略中央には、固定部取付部ボルト孔123bが形成されており、固定部23dの略中央部には、固定部ボルト孔123dが形成されている。
【0046】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る支持部材24は、鼻隠し部材22の建物本体1屋外方向側に取付けられる略板形状のプレート支持部24aと、このプレート支持部24aから建物本体1の屋外方向へ突出して設けられる転落防止部材取付用の取付部24bと、を備えて構成されている。
【0047】
なお、図示は省略するが、転落防止材部材は、例えば、水平部と、この水平部の両端部から下方へ曲折して延びる一対の鉛直部とを少なくとも備える略コ字形状の部材として構成される。
転落防止部材は、水平部が地表面と平行に鉛直部により下方から支持されるように配置される。
この転落防止部材は、鉄等の金属製のパイプ状部材により形成されており、その重量の軽量化が図られている。
支持部材24は、転落防止部材の一対の鉛直部の下端部が挿入可能なように、鼻隠し部材22の両端部にそれぞれ配置されている。
【0048】
本実施形態に係るプレート支持部24aは、その所定位置に複数のボルト挿通孔(図示省略)が形成され、鼻隠し部材22の桁行方向の両端部のそれぞれに取付けられている。
支持部材24は、鼻隠し部材22の前面部22aを、軒先ユニット取付部材23の支持部23aと支持部材24のプレート支持部24aとの間で挟み込んだ状態で、それぞれに設けられたボルト孔にボルト(図示せず)を挿通してナット(図示せず)を締め込むことにより、鼻隠し部材22に締結固定されている。
【0049】
取付部24bは、本実施形態においては、転落防止部材の下端部を上方から挿入可能な略円筒形状を有し、転落防止部材を上方から着脱可能に支持する。
この形状は、これに限られるものではなく、転落防止部材を構成する鉛直部の形状に整合するように構成されるとよい。例えば、転落防止部材が角柱パイプ等で構成されている場合には、中空角柱状に構成される。
【0050】
一対の鉛直部の下端部間の内幅は、軒先ユニット20の両端部に取付けられる取付部24bの間隔と略等しく設定されている。
そして、この鉛直部の先端部分は、軒先ユニット20の取付部24bに上方から挿入可能な形状に形成されている。
【0051】
本実施形態に係る樋受け部材25は、鼻隠し部材22の前面部22aの建物本体1の屋外方向側の外面に、建物本体1の桁行方向に沿って所定間隔をあけて複数取付けられており、建物本体1の桁行方向に沿って配置される軒樋42(次いで説明する)を上方から支持するように構成されている。
【0052】
樋受け部材25は、鼻隠し部材22に対してビス等により固定されるプレート部25aと、プレート部25aから建物本体1の屋外方向に突設される突設部25bと、突設部25bの建物本体1の屋外方向側の先端部25cと、突設部25bの下端部に設けられる弾性係止部25dと、を備えている。
【0053】
次いで、前述の軒樋42について説明する。
本実施形態に係る軒樋42は、樋受け部材25に取付けられる長尺の樋であり、雨水等の排水を促進するための部材である。
この軒樋42は、雨水等の排水を促進するため、長手方向の一端側から他端側へ向けて傾斜して配置される。
【0054】
本実施形態においては、軒樋42は断面略U字状に形成されており、雨水等の排水が可能な軒樋底面部42aと、軒樋底面部42aの建物本体1の屋外方向側の端部に設けられる鉤形状のフック部42bと、底面部42aの建物本体1側端部から軒樋42の開口方向へ突出する突部42cと、を備えている。
なお、軒樋42の傾斜方向の下端部には、縦樋(図示省略)と連結可能な排水口(図示省略)が設けられている。
【0055】
次に、軒樋42の樋受け部材25に対する取付けについて説明する。
軒樋42の樋受け部材25に対する取付けは、先ず、軒樋42のフック部42bを樋受け部材25の先端部25cに嵌合させる。
次に、この状態で、軒樋42の建物本体1側を上方へ移動させる。軒樋42を上方へ移動させると、弾性係止部25dが軒樋42の突部42cの進入により建物本体1の屋外方向へ弾性変形する。さらに、軒樋42を上方へ移動させると、弾性係止部25dが軒樋42の突部42cに嵌合して、その状態が保持される。
【0056】
このように、軒樋42は、樋受け部材25の先端部25cと軒樋42のフック部42b、及び樋受け部材25の弾性係止部25dと軒樋42の突部42cをそれぞれ嵌合させることにより、樋受け部材25に対して取付けられる。軒樋42が樋受け部材25に対して取付けられた状態では、支持部材24は、軒樋42によって下方から覆われる位置で,且つ軒樋42の軒樋底面部42aから上方へ所定距離離間した、軒樋42の排水機能を阻害しない高さ位置に配置される。
【0057】
次いで、図5乃至図7により、水切材27について説明する。
本実施形態においては、2.5寸屋根勾配の屋根軒先に使用される水切材27について説明する。
本実施形態に係る水切材27は、鼻隠し部材22を構成する前面部22aに形成された通気孔28の上方側に配設されて、通気孔28を被覆する。
【0058】
図5及び図6に示すように、本実施形態に係る水切材27は、側面被覆部27a、上面被覆部27b、水切取付部27c、載置部27d、下部折返し部27e、上部折返し部27fにより、断面略階段状に形成された部材である。
側面被覆部27aは、略矩形状平板であり、その上端部からは、この側面被覆部27aと鈍角を成して建物本体1側上方に向けて略矩形平板の上面被覆部27bが延出している。
更に、上面被覆部27bの建物本体1側端部からは、略矩形平板の水切取付部27cが上方へ向かい起立している。
【0059】
また、水切取付部27cの上方側端部からは、この水切取付部27cと鈍角を成して建物本体1側上方に向けて略矩形平板の載置部27dが延出している。
更に、側面被覆部27aの下方側端部には、この側面被覆部27aと鋭角を成して、上面被覆部27bが配設される側上方へ向けて折れ上がる略矩形平板の下部折返し部27eが形成されているとともに、載置部27dの上方側端部には、この載置部27dと鋭角を成して上方へ向けて折れ上がる略矩形平板の上部折返し部27fが形成されている。
なお、本実施形態においては、図7に示すように、下記のように角度が設定されている。
(x1,y1,z1)=(124.5°,104.0°,104.0°)
ただし、この角度は一例であり、具体的な施工現場に応じて適宜変更することは可能である。
【0060】
なお、図6に示すように、水切取付部27cには、ネジ孔が形成されており、ネジにより鼻隠し部材22を構成する前面部22aを貫通して取付けられるよう構成されている。
また、水切取付部27cの(建物本体1屋内側(載置部27dが延びる側)の面には、止水部材Wが貼付されている。
このため、水切取付部27cと、鼻隠し部材22を構成する前面部22aとの取合い部分は、止水部材W(例えば、EPDM:エチレンプロピレンジエンゴム等)で止水処理が施される。
【0061】
また、このとき、水切材27は、鼻隠し部材22を構成する前面部22aに形成された通気孔28の上方側に配設されて、その側面被覆部27aで前面からの通気孔28への雨水等の浸入を、上面被覆部27bで上方からの通気孔28への雨水等の浸入を防止する。
なお、通気のための通路は確保されているため、通気孔28による換気を阻害することはない。
そして、水切材27を構成する載置部27dの屋内側端部は、野地材4bの屋外側端部上に載置される。
このように、水切材27を上記形状としたため、広小舞を必要としない。
【0062】
次いで、他の屋根形状の場合に使用される水切材27の例について説明する。
図8に、12.5寸屋根勾配の屋根軒先に使用される水切材27について説明する。
この場合には、屋根勾配の傾斜がきついため、上記実施形態に係る水切材27とは異なる形状となる。
ただし、機能に関わる基本形状は上記実施形態と同様であり、各部分のサイズ及び部分間の成す角度が異なるのみである。
具体的には、下記のように角度が設定されている。
(x2,y2,z2)=(116.9°,90.0°,141.4°)
ただし、この角度は一例であり、具体的な施工現場に応じて適宜変更することは可能である。
【0063】
次いで、他の屋根形状の場合に使用される水切材27の例について説明する。
図9に、6寸屋根勾配の屋根軒先に使用される水切材27について説明する。
この場合には、屋根勾配の傾斜がきついため、上記実施形態に係る水切材27とは異なる形状となる。
ただし、機能に関わる基本形状は上記実施形態と同様であり、各部分のサイズ及び部分間の成す角度が異なるのみである。
具体的には、下記のように角度が設定されている。
(x3,y3,z3)=(135.4°,121.7°,121.6°)
ただし、この角度は一例であり、具体的な施工現場に応じて適宜変更することは可能である。
【0064】
次に、図10乃至図12により、本実施形態に係る軒先ユニット20を使用した軒先の施工方法について説明する。
まず、図10(a)に示すように、軒桁3に腕木部材10を取付ける。
腕木部材10について図13により簡単に説明する。
腕木部材10は、桁取付け部10Aとフレーム部10Bとを有して構成されている。
桁取付け部10Aは、略矩形平板状に形成されており、並列して2個のタップTが突設されている。
【0065】
また、フレーム部10Bは、断面略コ字形状に形成され、フレーム底面部10aと、フレーム底面部10aの桁行方向両端部から下方へ屈曲して延びる一対のフレーム側面部10bとを備えている。
フレーム部10Bを構成するフレーム底面部10aには、ボルト貫通孔100aが並列して形成されており、このボルト貫通孔100aの下方側(フレーム側面部10Bが延びる方向側)には、このボルト貫通孔100aと連通するようにナットN2が溶接されている。
【0066】
図10(a)に示すように、腕木部材10は、タップTを軒桁3に形成されたボルト貫通孔(図示しない)に貫通させて、ナットN3で締結することにより、軒桁3に取付けられる。
このとき、腕木部材10を構成するフレーム部10Bのフレーム底面部10aが上方に配設されるように腕木部材10の方向を整合させる。
【0067】
次いで、図10(b)及び図10(c)に示すように、軒先ユニット20を腕木部材10に取付ける。
まず、図10(b)に示すように、軒先ユニット取付部材23を構成する固定部23dの略中央部に形成された固定部ボルト孔123dと、フレーム部10Bのフレーム底面部10aに形成されたボルト貫通孔100aとが連通するように位置を調整し、上方からボルトB1を締結して軒先ユニット20を腕木部材10に取付ける。
図10(c)に、軒先ユニット20が腕木部材10に取付けられた状態を示す。
【0068】
次いで、図11(d)に示すように、軒樋42を樋受け部材25に取付ける。
樋受け部材25に対する軒樋42の取付けは、樋受け部材25の先端部25cと軒樋42のフック部42b、及び樋受け部材25の弾性係止部25dと軒樋42の突部42cをそれぞれ嵌合させることにより行われる。
【0069】
次いで、図11(e)及び図11(f)に示すように、屋根パネル4を軒桁3に対して取付ける。
図11(f)に示すように、屋根パネル4の設置が終了した後、図12(g)に示すように、水切材27を取付ける。
水切材27は、水切取付部27cに形成されたネジ孔(図示しない)と、これと連通する鼻隠し部材22を構成する前面部22aに形成されたネジ孔(図示しない)とにネジSを貫通させて取付けられる。
【0070】
また、このとき、載置部27dの屋内側端部は、野地材4bの屋外側端部上に載置される。
水切材27が取付けられ、ルーフィングを設置した様子を図12(h)に示す。
このように、水切材27が取付けられた後、図12(i)に示すように、屋根葺き材4cを設置して完了する。
【0071】
(他の実施形態)
他の実施形態として、外部足場がある場合を説明する。
この場合の軒先ユニット20には、支持部材24が存在しないが、その他の構成は上記実施形態の軒先ユニット20と同様である。
【0072】
この場合の軒先ユニット20を使用した軒先の施工方法について説明する。
軒先ユニット20を腕木部材10に取付けるまでの手順は、上記実施形態と同様である。
つまり、図10(a)から図10(c)までの手順は同様である。
【0073】
次いで、本実施形態においては、屋根パネル4を設置する。
つまり、図10(c)の工程の後、図11(e)から図11(f)の工程へと進む。
次いで、水切材27を取付ける。
つまり、図12(g)及び図12(h)の工程へと進む。
そして、最後に、屋根葺き材4cを設置するとともに、軒樋42を樋受け部材25に取付ける。
つまり、工程の最後に、図12(i)の工程及び図11(d)の工程を行うが、この順序は特に特定されるものではなく、同時に行ってもよい。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る軒先ユニット20は、建物本体1の軒先に簡易に取付けられる。
また、特に、本実施形態に係る軒先ユニット20は、軒の出を有しない場合であっても簡易に設置することが可能であり、狭小な設置空間に腕木部材10や防火ダンパーD1を設置することを可能とした。
更に、水切材27を上記形状としたため、広小舞を必要としない。
また、転落防止部材を支持するための支持部材24を備えるバージョンと備えないバージョンとに展開することができ、施工性の自由度が向上する。
【符号の説明】
【0075】
1 建物本体
2 外壁パネル
3 軒桁(建物躯体)
4 屋根パネル
4a 垂木
4b 野地材
4c 屋根葺き材
6 軒先
10 腕木部材(建物側取付部材)
10A 桁取付け部
10B フレーム部
10a フレーム底面部
10b フレーム側面部
100a ボルト貫通孔
20 軒先ユニット
22 鼻隠し部材
22A 上部鼻隠し部材
22B 下部鼻隠し部材
22a 前面部
22b 上面部
22c 上側突設部
22d 下面部
22e 下側突設部
22f 下面部接合部
22g 建物側被覆部
22h 底面固定部
22i 前面部被覆部
22j 下面部接触部
22k 前方被覆部
22l 底面部
22m 補強部
23 軒先ユニット取付部材
23a 支持部
23b 固定部取付部
23c 連結部
23d 固定部
123a 支持部ボルト孔
123b 固定部取付部ボルト孔
123d 固定部ボルト孔
24 支持部材
24a プレート支持部
24b 取付部
25 樋受け部材
25a プレート部
25b 突設部
25c 先端部
25d 弾性係止部
27 水切材
27a 側面被覆部
27b 上面被覆部
27c 水切取付部
27d 載置部
27e 下部折返し部
27f 上部折返し部
28 通気孔
28a リブ片
28b 換気開口部
42 軒樋
42a 軒樋底面部
42b フック部
42c 突部
B1 ボルト
D1 防火ダンパー
D2 換気孔経路カバー
D3 ロックウール保温板固定バンド
N1,N2,N3 ナット
S ネジ
T タップ
W 止水部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体の軒先に取付けられ、軒樋を後付け可能な軒先ユニットであって、
前記建物本体の屋外方向側の端部を覆うように立設される鼻隠し部材と、
前記鼻隠し部材の前記建物本体側の内面に設けられ、前記軒先ユニットを建物躯体に固定するための複数の軒先ユニット取付部材と、
前記鼻隠し部材の外面から前記建物本体の屋外方向へ突設され、前記建物本体の桁行方向に沿って配置される軒樋を支持可能な複数の樋受け部材と、
前記鼻隠し部材に取付けられるとともに、前記鼻隠し部材の建物屋外側の面の対面を上方側から被覆する水切材と、を少なくとも備え、
前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面には、少なくとも一つの通気孔が形成されるとともに、前記通気孔の屋外側を被覆するように形成されたリブ片が備えられ、
前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面と前記リブ片との間には、換気開口部が形成されており、
前記水切材は、前記通気孔の上方側を被覆する位置に配設されていることを特徴とする軒先ユニット。
【請求項2】
前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面と前記リブ片との間には、換気開口部がスリット状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軒先ユニット。
【請求項3】
前記通気孔の下方には、軒樋が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の軒先ユニット。
【請求項4】
前記建物本体の軒先は、軒の出及び広小舞を有さないものであり、前記水切材の前記建物本体屋内側端部側は、屋根を構成する野地材上面に載置されるとともに、前記軒先ユニット取付部材は、建物躯体に連結された建物側取付部材に取付けられることを特徴とする請求項1に記載の軒先ユニット。
【請求項5】
前記水切材は、前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面の対面で前記鼻隠し部材を被覆する側面被覆部と、該側面被覆部から鈍角を成して前記建物本体屋内側上方へと屈曲して延出する上面被覆部と、該上面被覆部から垂直乃至鈍角を成して屈曲して上方へ起立する水切取付部と、該水切取付部から垂直乃至鈍角を成して屈曲して前記建物本体屋内側上方へ延出する載置部と、を少なくとも備え、
前記載置部の前記建物本体屋内側端部側が前記野地材上面に載置されるとともに、前記側面被覆部及び前記上面被覆部は、前記通気孔を被覆する位置に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の軒先ユニット。
【請求項6】
前記水切取付部と、前記鼻隠し部材の前記建物本体屋外側の面との間には、止水部材が挟持固定されていることを特徴とする請求項5に記載の軒先ユニット。
【請求項7】
前記鼻隠し部材の外面から前記建物本体屋外方向へ突設されると共に前記軒樋の上方に配置され、転落防止部材を上方から着脱可能なように、前記転落防止部材を下方から支持する複数の支持部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の軒先ユニット。
【請求項8】
前記支持部材は、前記軒樋が前記樋受け部材に支持された状態で、前記軒樋の底面から上方へ所定距離離間した高さ位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載の軒先ユニット。
【請求項9】
前記軒先ユニットは、前記建物の桁行方向に沿って複数個連続して配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項8いずれか一項に記載の軒先ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−32652(P2013−32652A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169418(P2011−169418)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)